JP7158025B2 - 二重管継手構造の製造方法及びその継手構造 - Google Patents
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Description
その結果、外管,内管の共通部分から生じて押込まれた抜カスを側壁で円滑に奥方向へ案内して衝突を回避することができ、外管,内管の共通部分に内管の分岐接続のためのプレス式の穿孔工作を行う際に、抜カスによる不具合が生ずることがなく、又、穿孔工作の切断加工が容易かつ確実になされるという効果がもたらされる。
もう一つは、二重管の継手構造(特許文献2)に関し、その概要は、「外管の内部に内管が配設され外管,内管が一部分を共通化されて一体的に形成された二重管を接続するものであって、外管,内管の共通部分に接続用の孔が穿孔され、孔は一部に未切断部分のある不完全な穿孔とされ、孔を形成した切断片は外管,内管の共通部分から内管の内部に突出するように延びていることを特徴とする」ものである。
その結果、切断片が穿孔された孔と閉塞される端口との間に形成される空隙を塞いで流体の滞溜,攪乱を防止する整流板として機能し、外管,内管の一部分が共通化された二重管の内管を流体の流通性を損なうことなく、容易に接続することができるという効果がもたらされる。
このとき、外管,内管の共通部分に接続用に穿孔された孔は、一部に未切断部分のある不完全な穿孔とされる部分については、接続状態が一様でないため、丁寧で熟練した技が必要とされ、作業の長時間化と複雑化を招いていた。
又、内管用接続管と外管用接続管とが近接位置に並設されると、互いの間隔が狭いものとなり、2つの管が向かい合った面での蝋付け作業は、互いの存在が作業の邪魔となってしまい、それを避けるよう迂回させながら蝋付けをしなければならないという問題点を残していた。
更に、内管及び外管と内管用接続管及び外管用接続管とが直交状態に接続されるため、ときに周囲の部材配置の障害となってしまうことがあり、配置構造上の問題となる場合が生じていた。
そして、終端部では、二重管の外管内側には大径接続管の外径と同一直径の円形が形成され、内管及び共通部分の内側には小径接続管の外径と同一直径の円形が形成される。
且つ、それが夫々先端部と断面積を徐々に拡大する中腹部及び終端部を備えた大径パンチ及び小径パンチからなる成形パンチを押し込むだけの操作で、自動的に遂行され、複雑な屈曲作業等を要さない。
従って、その管体の端口に沿って蝋付け作業を行えば、そこを一つの蝋付け具を周回させることで、又は複数の蝋付け具で囲んで蝋付けすることで、接合部の隙間を完全に密閉させることができる。
即ち、入り組んだ箇所への何度もの蝋付け作業を要することなく、略一回の蝋付け作業で、より完全なかたちでの蝋付けが完了するものとなる。
又、周囲の装置、器具との関係で、その設置の障害となることを避けることができ、又、必要に応じて曲げが要されるときは、任意の箇所で屈曲部を形成することができ、構造的自由度を高めることができる。
本発明の対象とする二重管は、例えば、車載用空調機の冷媒の通路等として使用するに好適なもので、その形態は、図1に示すように、一方に外管11及び内管12からなる二重管10を配し,他方に大径接続管21,小径接続管22からなる接続管20とを配してなる。
該二重管20の外管11,内管12は、熱伝導性の良好なアルミニウム系の金属材を押出金型(ダイス)Dから直状に押出して一体的に形成され、内管12が外管11の内部に配設された格好になっている。車載用空調機の冷媒の通路等として使用する場合、外管11を流通する流体が冷媒の気化した気体で、内管12を流通する流体が冷媒の液体である。従って、外管11が低圧管で内管12が高圧管となるが、全体の剛性を考慮して外管11の肉厚aが内管2の肉厚bよりも厚くなるよう設定してもよい。二重管1の外管11は、断面が円形に形成されている。
斯くして、一方に外管11の内部に内管12が配設され外管と内管が一部分を共通化されて押出金型からの押出しで一体的に形成された二重管10が形成される。
そこで、大径接続管21の断面は、外管11内を流れる気化した冷媒がそのまま流れるよう外管の内腔部11bと同一の断面積とした円形とする。
小径接続管22の断面は、内管12内を流れる液体の冷媒がそのまま流れるよう内管12の内腔部12bと同一断面積とした円形とする。
大径パンチ42は、先端部42a、中腹部42b、終端部42cの各部を配してなり、
先端部42aは、その先端が上記外管11の内腔部に臨むよう先細状とする。
中腹部42bは、その断面積を徐々に拡大させて外管11を拡張させようとするもので、先端部42aから上方に傾斜した中腹部42b1と下方に傾斜した42b2とで傾斜壁を形成する。
終端部42cは、上記中腹部42の拡張を終了させるもので、上方の終端部42c1と下方の終端部42c2とで上記大径接続管の外径と同一直径の円形を形成することとなる。
中腹部43bは、その断面積を徐々に拡大させて内管12及び共通部分13を拡管させようとするもので、先端部43aから上方に傾斜した中腹部43b1と下方に傾斜した43b2とで傾斜壁を形成する。
終端部43cは、上記中腹部43での拡張を終了させるもので、上方の終端部43c1と下方の終端部43c2とで上記小径接続管の外径と同一直径の円形を形成することとなる。
小径パンチ43が大径パンチ42と異なる点は、拡管させる対象が内管12及び共通部分13の双方となることである。
該右枠体51は、その上方に大径接続管外径の曲率と同一曲率となる大径凹部51aを配し、下方に小径接続管外径の曲率と同一曲率となる小径凹部51bを配し、その中間に境界部51cを配してなる。
左枠体52にあっても同様の関係であり、大径凹部52aと小径凹部52bが配され、中間に境界部52cが配設される。
該工程は、図4~図6に示す如く、初期工程と、拡張工程と、終端工程と、締付工程と、装填工程及び蝋付け工程とからなる。
該初期工程は、図4-a(イ)に示す如くで、二重管10に向かって成型パンチ40を対峙させ、先ず、成形パンチ40の大径パンチ42の先端部42aを、二重管10の外管11の内腔部に臨ませる。同時に、小径パンチ43の先端部43aを内管12の内腔部に臨ませる。
その位置関係は、先端部42aが外管11の内腔部に導かれれば良く、必ずしも、先端部42aを外管11の中心位置に置く必要はない。下方の先端部42bにあっても同様で、先端部42bが内管12の内腔部に導かれれば良い。
同時に、小径パンチ43の中腹部43bの傾斜に沿って内管12及び共通部分13を徐々に拡張させる。
即ち、上記大径パンチ42にあっては、上記初期工程で外管11の内腔部に臨んだ先端部42aをそのまま進ませると、やがて大径パンチ42の上方が中腹部42b1に下方が中腹部42b2に当たり、それを更に押し進めると、そこに形成された傾斜壁に沿って外管11の外管壁11aが徐々に拡張されるものとなる。
このとき、拡張幅の大きな外側に従って管体の肉厚が薄くなるが、パンチ42の進行は中心部で大きく、外側にいくに従って小さなものとなるから、肉厚が薄くなる度合いは小さなものとなり、肉厚の不均衡は解消される。
次に、下方の中腹部43b2が先ず当たるのは、共通部分13の共通部壁13aであり、それを更に押し進めると、形成された傾斜壁に沿って共通部分13の共通部壁13aが拡張され、やがて境界点13b、13cに至る。この境界点を通り過ぎた時点で、今度は内管12の内管壁1aに至り、これを傾斜壁に沿って徐々に拡張させるものとなる。
即ち、小径パンチ43側にあっては、拡張させるのは、内管壁12aのみではなく、先ず、共通部分13の共通部壁13aであり、境界点を過ぎた時点で内管12の内管壁12aに及び、共通部壁13a及び内管壁12aの双方を拡張させるものとなる。
この拡張に伴って、先ず、外管11はその中心部がより外側に位置した大径接続管21の中心位置へと徐々に移動すると同時に、内管12及び共通部分13はその中心部がより外側に位置した小径接続管22の中心位置へと移動するものとなる。
即ち、外管11内に内包されていた内管12は、徐々に外側へと導かれて外管11から抜けだし、やがて独立した管体として外管11の外側に位置するものとなる。
即ち、成型パンチ40の大径パンチ42は、大径接続管21の外径と同一直径の円形に形成したから、それをそのまま押し込めば、終端部で拡張後の外管の内径が大径接続管21の外径と同一な円形となる。
小径パンチ42の小径パンチ43にあっては、上記拡張工程の対象は共通部壁13a及び内管壁12aの双方であるが、終端工程では、小径接続管22の外径と同一直径の円形に形成したので、終端部で拡張後の内管の内径が小径接続管21の外径と同一な円形となる。
ここで、成型パンチ40の進行を停止し、該拡張後の二重管10から成型パンチ40を抜き出す。
すると、先ず、締付クランプ50の先細となった境界部51cが、外管11の大径パンチ42と外管壁11aとの間にできた内腔部11bの一部となる間隙部の部分に当たり(図4-d(ロ))、更に締め付けると、大径接続管外径の曲率と同一曲率となる大径凹部51aが形成されているので、上記間隙部は、その曲率に従って内側へと変形されるものとなり、やがて両者は密着状態に接合されたものとなる(図4-d(ハ))。
そして、そこから成形パンチ43を抜き取り(図4-e(ニ))、締付クランプを外す(図4-e(ホ))。
すると、内管壁12aの壁厚分だけを隔てて、小径接続管22の外径と同一の内径を備えた内管12が、大径接続管21の外径と同一の内径を備えた外管11と離れて、その外側にまったく独立状態に配設された二重管が形成されたものとなる((図4-e(ヘ)))。
そして、この接合部30には、図5(ロ)に示す如く、上記外管11の大径パンチ42と外管壁11aとの間を狭めた境界部間隙32aと、共通部分13の境界点13b、13cから折り返した部分に生じる折返部間隙32bが形成されるものとなる。
この間隙は上記密着により、後述する蝋付け工程により封鎖可能な間隙となるが、このとき、上記締付クランプ50による締め付けを、該間隙32を0.1~0.5mmの間隙とすれば、より蝋の侵入に適した間隙となる。
即ち、二重管10と接続管20との接合部30には、内管12の内管壁12aの壁厚だけを離して両者が並列するように配設され、それが図6(ロ)に示した如く、二つの円形が直列に並んだものとなり、それは管体の端口31が一つに連なった形態となる。
従って、蝋付Rすべき行路軌道は、一つの蝋付け具をこの一連の端口31を周回するように巡回させるか(図6(ロ)参照)、或いは、幾つかの蝋付け具を端口31を囲むよう配することができ、その形態は、差し蝋、置き蝋のいずれであっても良い。
この継手構造によって、上記製造方法で説明した作用効果がもたらされるほか、周囲の装置、器具との関係で、その設置の障害となることを避けることができ、又、必要に応じて曲げが要されるときは、任意の箇所で屈曲部を形成することができ、構造的自由を得ることができる。
11 外管
11a 外管壁
11b 内腔部
12 内管
12a 内管壁
12b 内腔部
13 共通部分
13a 共通部壁
13b 境界点
13c 境界点
20 接続管
21 大径接続管
21a 接続管壁
21b 内腔部
22 小径接続管
22a 接続管壁
22b 内腔部
30 接合部
31 管体端口
32 間隙
32a 境界部間隙
32b 折返部間隙
40 成形パンチ
41 台座
42 大径パンチ
42a 先端部
42b1 中腹部
42b2 中腹部
42c1 終端部
42c2 終端部
42d 中心点
43 小径パンチ
43a 先端部
43b1 中腹部
43b2 中腹部
43c1 終端部
43c2 終端部
43d 中心点
50 締付クランプ
51 右枠体
51a 大径凹部
51b 小径凹部
51c 境界部
52 左枠体
52a 大径凹部
52b 小径凹部
52c 境界部
R 蝋
Claims (2)
- 外管の内部に内管が配設され外管と内管が一部分を共通化されて押出金型からの押出しで一体的に形成された二重管と、外管の内腔部と同一断面積とした円形の大径接続管と内管の内腔部と同一断面積とした円形の小径接続管とが並べられた接続管とを継手構造に成形するにあたり、
上記外管の内腔部に臨む先端部と、徐々に断面積を拡大する中腹部と、上記大径接続管の外径と同一直径の円形となる終端部とを備えた大径パンチと、上記内管の内腔部に臨む先端部と、徐々に断面積を拡大する中腹部と、上記小径接続管の外径と同一直径の円形となる終端部とを備えた小径パンチとを、台座を基端として上方に大径パンチ及び下方に小径パンチを配し且つ両者の隙間寸法が内管の壁厚と同一となる間隔に配設してなる成形パンチと、
大径接続管外径の曲率と同一曲率となる大径凹部と小径接続管外径の曲率と同一曲率となる小径凹部を形成した右枠体及び左枠体を左右に配設してなる締付クランプとを備えた成形器を用い、
a)該成形パンチの大径パンチの先端部を二重管の外管の内腔部に、小径パンチの先端部を内管の内腔部に、夫々臨ませる初期工程と、
b)該成形パンチを二重管内腔部に押し込んで、その大径パンチの中腹部の傾斜に沿って外管を、小径パンチの中腹部の傾斜に沿って内管及び共通部を、夫々徐々に拡張させる拡張工程と、
c)更に成形パンチを押し込んで、外管内側が大径パンチの終端部で大径接続管の外径と同寸となるまで、内管内側が小径パンチの終端部で小径接続管の外径と同寸となるまで、夫々を拡張させた段階で進行を停止する終端工程と、
d)該拡張させた管体を、上記右枠体及び左枠体に分割された締付クランプで締め付けて、大径接続管と小径接続管の外形に沿った形状に変形させる締付工程と、
e)該変形後の二重管の外管内側に大径接続管を内管内側に小径接続管を、夫々装入する装填工程と、
f)該締付工程後の二重管と接続管との接合部の管体端口及び両者の間にできる間隙を覆うよう蝋付けする蝋付け工程と、
により成形することを特徴とする二重管継手構造の製造方法。 - 請求項1記載製造方法のd)締付工程において、締付クランプによる締め付けで二重管と接続管との間にできる間隙を、蝋の侵入に適した0.1~0.5mmの間隙としたことを特徴とする二重管継手構造の製造方法。
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