JP7157760B2 - 樹脂組成物、積層体及び包装体 - Google Patents
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Description
-(CH2)n-OCO- ・・・(I)
(式(I)中、nは、2~6の整数を表す。)
-(CH2)n-OCO- ・・・(I)
(式(I)中、nは、2~6の整数を表す。)
-(CH2)n-OCO- ・・・(I)
(式(I)中、nは、2~6の整数を表す。)
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(α)は、EVOH(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを含有する。当該樹脂組成物(α)は、さらに金属化合物(C)を含有することが好ましい。当該樹脂組成物は、熱成形性に優れ、かつブリードアウトが抑制された成形体を得ることができる。また、当該樹脂組成物は、溶融押出成形によりペレット化する際、スクリューへの付着が抑制され、得られるペレットのサイズのバラツキが小さくなるなど、溶融成形性が高い。当該樹脂組成物は、包装体などの成形材料として好適に用いることができる。
EVOH(A)は、主構造単位として、エチレン単位(-CH2-CH2-)及びビニルアルコール単位(-CH2-CHOH-)を有する重合体である。EVOH(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の構造単位を有していてもよい。
脂肪族ポリエステル(B)は、繰り返し単位の主鎖中に芳香環を有さないポリエステルである。脂肪族ポリエステル(B)は、芳香環を有さないポリエステルであることが好ましい。
-(CH2)n-OCO- ・・・(I)
(式(I)中、nは、2~6の整数を表す。)
-R-CO- ・・・(II)
(式(II)中、Rは、2価の脂肪族炭化水素基である。)
金属化合物(C)は、金属塩(C1)と金属化合物粒子(C2)とを含むことが好ましい。上記金属化合物(C)の金属成分が、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム又はこれらの組み合わせを含むことが好ましく、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム又はこれらの組み合わせを含むことがより好ましい。なお、これらの金属成分は、金属塩(C1)及び金属化合物粒子(C2)の一方又は双方に含まれていてよい。
金属塩(C1)は、当該樹脂組成物(α)の成形性、層間接着性、外観等を改善することができる。金属塩(C1)は、アニオンとカチオンとが解離した状態、あるいは微粒子の状態で存在する。金属塩(C1)が微粒子の状態で存在する場合、この平均粒子径は、通常、0.5μm以下であり、0.1μm以下であってよい。
金属化合物粒子(C2)は、通常、当該樹脂組成物(α)中に分散した粒子の状態で存在する。金属化合物粒子(C2)の平均粒子径の下限は、1μmが好ましく、1.1μmがより好ましく、1.2μmがさらに好ましい。一方、この平均粒子径の上限は、15μmが好ましく、12μmがより好ましく、8μmがさらに好ましい。金属化合物粒子(C2)の平均粒子径が上記範囲である場合、良好な分散性を有し、樹脂組成物(α)の熱成形性、溶融成形性、得られる包装体のレトルト処理後の酸素遮蔽性などがより高まる。
当該樹脂組成物は、EVOH(A)、脂肪族ポリエステル(B)及び金属化合物(C)以外の他の成分をさらに含有していてもよい。他の成分としては、酸、ホウ素化合物、可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、滑剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤、乾燥剤、架橋剤、各種繊維、EVOH(A)及び脂肪族ポリエステル(B)以外の他の樹脂等を挙げることができる。なお、当該樹脂組成物(α)において、EVOH(A)、脂肪族ポリエステル(B)及び金属化合物(C)以外の他の成分の含有量の上限としては、10,000ppmが好ましいこともあり、1,000ppmがより好ましいこともあり、100ppmがさらに好ましいこともある。また、上記他の成分は、含有しない場合がよいこともある。上記他の成分の含有量を上記上限以下とすることで、本発明の効果がより十分に発揮される。
当該樹脂組成物(α)の製造方法は、特に限定されず、各成分を混合することによって得ることができるが、以下の方法により製造することが好ましい。
EVOH(A)を合成する工程(工程1)、
EVOH(A)と金属塩(C1)とを混合する工程(工程2)
EVOH(A)及び金属塩(C1)の混合物と脂肪族ポリエステル(B)とを混合することにより、分散媒を得る工程(工程3)、及び
上記分散媒と金属化合物粒子(C2)とを混合する工程(工程4)
を備える。
工程1は、EVOH(A)を合成する工程である。EVOH(A)は、従来公知の方法により合成することができる。通常、エチレンとビニルエステルとを共重合し、得られたエチレン-ビニルエステル共重合をケン化することにより、EVOH(A)を得ることができる。
工程2は、EVOH(A)と金属塩(C1)とを混合する工程である。EVOH(A)と金属塩(C1)との混合方法としては特に限定されず、例えば金属塩(C1)が溶解した溶液に、EVOH(A)のペレット又はストランドを浸漬させる方法を挙げることができる。本方法は、金属塩(C1)をEVOH(A)中に均質に分散させることができる点で好ましい。上記金属塩(C1)を溶解する溶媒としては、水が好適に用いられる。
工程3は、上記工程2で得られた混合物と脂肪族ポリエステル(B)とを混合する工程である。これにより、分散媒が得られる。上記混合方法は特に限定されず、ヘンシエルミキサーやタンブラーを用いて行うことができる。また溶融混練によっても行うことができる。溶融混練する場合には、樹脂の溶融混練に用いられる一般的な装置を採用することができる。混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機などの連続混練装置を用いてもよいし、バンバリーミキサーなどのバッチ式混練装置を用いてもよい。
工程4は、工程3で得られた分散媒と金属化合物粒子(C2)とを混合する工程である。分散媒と金属化合物粒子(C2)とを混合する方法は特に限定されないが、通常、溶融混練により好適に行うことができる。上記分散媒に金属粒子化合物(C2)の水溶液を液添してもよい。取扱い性、得られる樹脂組成物の溶融成形性、レトルト処理後の酸素遮蔽性等の観点から、好ましくは粉体状の金属化合物粒子(C2)を分散媒に対して添加することが好ましい。溶融混練する場合には、樹脂の溶融混練に用いられる一般的な装置を採用することができる。混練装置としては、一軸押出機、二軸押出機などの連続混練装置を用いてもよいし、バンバリーミキサーなどのバッチ式混練装置を用いてもよい。
本発明の一実施形態に係る分散媒は、金属化合物粒子の分散媒であって、EVOH(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを含有する。当該分散媒において、EVOH(A)及び脂肪族ポリエステル(B)の合計100質量部に対する脂肪族ポリエステル(B)の含有量が、0.01質量部以上30質量部未満である。当該分散媒に金属化合物粒子を分散させて得られる樹脂組成物は、熱成形性に優れ、かつブリードアウトが抑制された成形体を得ることができる。また、当該分散媒は、脂肪族ポリエステル(B)を含有するため、金属化合物粒子を良好に分散させることができ、溶融成形性にも優れる。当該分散媒に金属化合物粒子を分散させて得られる樹脂組成物からは、レトルト処理後の酸素遮蔽性が高い包装体を得ることができる。
当該分散媒の製造方法は、特に限定されず、各成分を混合することによって得ることができる。例えば、上述した樹脂組成物の製造方法における工程1~工程3により、当該分散媒を得ることができる。また、EVOH(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを溶融混練することによって得ることができる。溶融混練方法は、樹脂組成物(α)の製造方法において記載した方法を参照することができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(β)は、当該分散媒と、この分散媒に分散された金属化合物粒子(C2)とを含む樹脂組成物である。当該樹脂組成物(β)は、金属化合物粒子(C2)の分散性が良好であり、熱成形性に優れ、かつブリードアウトが抑制された成形体を得ることができる。また、当該樹脂組成物は、溶融成形性にも優れ、レトルト処理後の酸素遮蔽性が高い包装体を得ることができる。
当該樹脂組成物(β)の製造方法は、特に限定されず、例えば上述した樹脂組成物の製造方法における工程4により、当該樹脂組成物(β)を得ることができる。すなわち、当該分散媒と金属化合物粒子(C2)とを溶融混練等により混合することによって得ることができる。また、分散媒の製造と樹脂組成物(β)の製造とを連続的に行ってもよい。すなわち、例えば、EVOH(A)と金属塩(C1)との混合物(I)に対して、脂肪族ポリエステル(B)を添加して溶融混練することで分散媒を得て、続けてこの分散媒に金属化合物粒子(C2)を添加して溶融混練することで樹脂組成物(β)を得てもよい。溶融混練方法は、樹脂組成物(α)の製造方法において記載した方法を参照することができる。
当該樹脂組成物(α)及び樹脂組成物(β)(以下、両樹脂組成物をまとめて単に「樹脂組成物」ともいう。)は、溶融成形によりフィルム、シート、容器、パイプ、繊維等、各種の成形物に成形される。溶融成形法としては押出成形、インフレーション押出、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形等が可能である。溶融成形温度はEVOH(A)の融点等により異なるが、150~270℃程度が好ましい。
当該樹脂組成物は、当該樹脂組成物のみの単層からなる成形体としても使用可能であるが、当該樹脂組成物からなる少なくとも1層を含む積層体とすることが好適である。すなわち、本発明の一実施形態に係る積層体は、当該樹脂組成物からなるバリア層、及び上記バリア層の少なくとも一方の面側に配置された熱可塑性樹脂を含む層(熱可塑性樹脂層)を備える積層体である。
(2)当該積層体(フィルム、シートなど)を圧延することにより得られる圧延シート又はフィルム
(3)当該積層体(フィルム、シートなど)を真空成形、圧空成形、真空圧空成形等、熱成形することにより得られるトレーカップ状容器
(4)当該積層体(パイプなど)をストレッチブロー成形することなどにより得られるボトル、カップ状容器
(5)当該積層体(パリソンなど)を二軸延伸ブロー成形することなどにより得られるボトル状容器
各ポリエステルの数平均分子量について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、ポリメタクリル酸メチルの分子量換算値として求めた。測定条件は以下の通りである。
装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「HLC-8320」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR-H(S)」2本連結
カラム温度:40℃
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール、流速:0.2mL/分
検出器:RI、試料濃度:0.1重量%(20mMトリフルオロ酢酸ナトリウム塩含有ヘキサフルオロイソプロパノール溶液)
各ポリエステルについて、TA Instruments製の示差走査型熱量計「Q2000」を用い、20℃から250℃までを10℃/分の速度で昇温し測定されるピーク温度より融点(Tm)を求めた。
各樹脂組成物を材料とし、東洋精機製作所社の押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=3.5、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にて単層製膜を行い、単層フィルムを得た。
シリンダー温度:供給部180℃、圧縮部220℃、計量部220℃
ダイ温度:220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量:1.2kg/時間
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.0m/分
フィルム厚み:20μm
形状測定レーザマイクロスコープ「VK-X200」(非接触式、キーエンス社製)を用いて、得られた単層フィルムを観察し、金属化合物粒子(C2)の粒子径を測定した。測定はn=10で行い、その平均値を平均粒子径とした。
(エチレン-酢酸ビニル共重合体の重合)
撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口、開始剤添加口及びディレー(逐次添加)溶液添加口を備える250L加圧反応槽に酢酸ビニル83.0kg、メタノール26.6kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が3.6MPaとなるようにエチレンを仕込んだ。開始剤として、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解し、濃度2.5g/Lの開始剤溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記重合槽内温を60℃に調整した後、上記開始剤溶液362mLを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を3.6MPaに、重合温度を60℃に維持し、上記開始剤溶液を用いて1120mL/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。5.0時間後に重合率が40%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いでラシヒリングを充填した塔の上部から得られた共重合体溶液を連続的に供給し、塔下部よりメタノールを吹き込み塔頂部よりメタノールと未反応酢酸ビニルモノマーの混合蒸気を流出させ、塔底部より未反応酢酸ビニルモノマーを除去したエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVAc)のメタノール溶液を得た。
得られたEVAc溶液にメタノールを加えて濃度が15質量%となるように調整したEVAcのメタノール溶液253.4kg(溶液中のEVAc 38kg)に、76.6L(EVAc中の酢酸ビニルユニットに対してモル比0.4)のアルカリ溶液(NaOHの10質量%メタノール溶液)を添加して60℃で4時間撹拌することにより、EVAcのケン化を行った。反応開始から6時間後、9.2kgの酢酸と60Lの水を添加して上記反応液を中和し、反応を停止させた。
中和された反応液を、反応器からドラム缶に移して16時間室温で放置し、ケーキ状に冷却固化させた。その後、遠心分離機(国産遠心器社製「H-130」回転数1200rpm)を用いて、上記ケーキ状の樹脂を脱液した。次に、遠心分離機の中央部に、上方よりイオン交換水を連続的に供給しながら洗浄し、上記樹脂を水洗する工程を10時間行った。洗浄開始から10時間後の洗浄液の伝導度は、30μS/cm(東亜電波工業社製「CM-30ET」で測定)であった。
このようにして得られた粉末状のEVOHを乾燥機を用いて60℃、48時間乾燥した。乾燥した粉末状のEVOH20kgを、80Lの水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=4/6)に80℃で12時間、撹拌しながら溶解させた。次に、撹拌を止めて溶解槽の温度を65℃に下げて5時間放置し、上述のEVOHの水/メタノール溶液の脱泡を行った。そして、直径3.5mmの円形の開口部を有する金板から、5℃の水/メタノール混合溶液(質量比:水/メタノール=9/1)中に押出してストランド状に析出させ、切断することで直径約4mm、長さ約5mmの含水EVOHペレットを得た。
このようにして得られた含水EVOHペレット40kg及びイオン交換水150Lを、高さ900mm、開径600mmの金属製ドラム缶に入れ、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。次に、30kgの含水EVOHペレットに対して150Lの1g/Lの酢酸水溶液を加え、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を2回繰り返した。さらに、含水EVOHペレット30kgに対して150Lのイオン交換水を加えて、25℃で2時間撹拌しながら洗浄及び脱液する操作を6回繰り返すことで、ケン化工程での副生物等の不純物の除去された含水EVOHペレット(w-EVOH-1)を得た。6回目の洗浄を行った後の洗浄液の伝導度を東亜電波工業社製「CM-30ET」で測定した結果、上記洗浄液の伝導度は3μS/cmであった。得られた含水EVOHペレットの含水率は200質量%であった。
水に酢酸0.364g/L、及び酢酸ナトリウム0.455g/Lとなるようそれぞれの成分を溶解した水溶液94.5Lに、上記合成例1にて得られた含水率200%の含水EVOHペレット10.5kgを投入して、25℃で6時間、時々攪拌しながら浸漬を行った。浸漬後の含水EVOHペレットを遠心脱液により脱水した後、熱風乾燥機中80℃で3時間、引き続き120℃で24時間乾燥した。これにより、EVOHと金属塩との混合物である乾燥EVOH樹脂組成物のペレット(EVOH-1)を得た。なお、本実施例で用いたEVOHについてビニルアルコール単位含有量及びケン化度を核磁気共鳴(NMR)法によって分析したところ、ビニルアルコール単位含有量(Ma)は68モル%、ケン化度(DS)は99.98モル%以上であった。
上記EVOH-1を凍結粉砕により粉砕した。得られたEVOH-1の粉末10gとイオン交換水50mLを100mL共栓付き三角フラスコに投入し、冷却コンデンサーを付けて、95℃で10時間撹拌、加熱抽出した。得られた抽出液2mLを、イオン交換水8mLで希釈した。上記の希釈された抽出液を、パーキンエルマージャパン社製ICP発光分光分析装置「Optima 4300 DV」を用いて、以下に示す各観測波長で手量分析することで、各金属イオンの量を定量した。
Na :589.592nm
K :766.490nm
Mg :285.213nm
Ca :317.933nm
その結果、EVOH-1は金属イオンとしてナトリウムイオンを8.7μmol/g(EVOH100質量部に対して0.02質量部)含んでいた。
特許4493993号の製造例8の記載に準拠して、1,4-ブタンジオールとコハク酸との共重合体である脂肪族ポリエステル(ポリエステルB1)を得た。得られたポリエステルB1の数平均分子量は69,700であり、融点(Tm)は108℃であった。また、ポリエステルB1は、上記式(I)(n=4)で表される構造単位を有するものであった。
特表2011-518941号の実施例2の記載に準拠して、1,4-ブタンジオールとp-フタル酸ジメチルとの共重合体である芳香族ポリエステル(ポリエステルb1)を得た。得られたポリエステルb1の数平均分子量は56,500であり、融点(Tm)は124℃であった。また、ポリエステルb1は、上記式(I)(n=4)で表される構造単位を有するものであった。
その他、以下の市販のポリエステルを使用した。
・ポリエステルB2:和光純薬工業株式会社製のポリ-ε-カプロラクトン(数平均分子量は10,000であり、融点(Tm)は60℃であった。また、上記式(I)(n=5)で表される構造単位を有するものであった。)
・ポリエステルB3:ビックケミー・ジャパン株式会社製のDisperplast1018(数平均分子量は4,500であり、融点(Tm)は60℃であった。また、上記式(I)(n=4)で表される構造単位を有するものであった。)
EVOH(調製例で得られた、金属塩を含む混合物(EVOH-1))99.48質量部に対して、ポリエステルB1を0.52質量部添加し、ドライブレンドして、実施例1の樹脂組成物のペレットを得た。
EVOH(調製例で得られた、金属塩を含む混合物(EVOH-1))99.48質量部に対して、ポリエステルB1を0.52質量部添加し、二軸押出機(東洋精機製作所社の「2D25W」、D(mm)=25、L/D=20、押出温度:220℃)を用いて、窒素雰囲気下で溶融押出を行い、実施例2の樹脂組成物のペレットを得た。
用いたポリエステルの種類、及びEVOHとポリエステルの含有量(混合比)を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3~10及び比較例1~3の各樹脂組成物のペレットを得た。
(熱成形性)
実施例1~10及び比較例1~3で得られた各樹脂組成物を中間層とし、ホモポリプロピレン〔PP、日本ポリプロ社の「EA7AD」、MI=1.4g/10分(230℃、2160g荷重)〕を内外層、無水マレイン酸変性ポリプロピレン〔三井化学社の「アドマーQF500」、MI=5.3g/10分(230℃、2160g荷重)〕を接着樹脂(AD)層とする構成で、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層(PP/AD/樹脂組成物/AD/PP=厚み230μm/10μm/20μm/10μm/230μm)で全体厚みが500μmの熱成形用シートを得た。なお押出機及び押出条件は以下の通りである。
押出機:
樹脂組成物:単軸押出機(東洋精機株式会社 ラボ機ME型CO-EXT)
口径 20mmφ、L/D=20、スクリュー フルフライトタイプ
PP:単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所 GT-32-A)
口径 32mmφ、L/D=28、スクリュー フルフライトタイプ
AD:単軸押出機(株式会社テクノベル SZW20GT-20MG-STD)
口径 20mmφ、L/D=20、スクリュー フルフライトタイプ
押出条件:
樹脂組成物:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=175/210/220/230℃
PP:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/200/210/230℃
AD:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=150/200/220/220℃
得られた熱成形用シートを熱成形機(浅野製作所製)にてシート温度170℃にて、カップ形状(金型形状70φ×70mm、絞り比S=1.0)に熱成形(圧空:5kg/cm2、プラグ:45φ×65mm、シンタックスフォーム、プラグ温度:150℃、金型温度:70℃を使用)を行った。得られた成形体の角部の形状を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
A:透けることなく均一に引き延ばされていた。
B:引き伸ばしに偏りがあり一部透けていた。
実施例1~10及び比較例2~3で得られた各樹脂組成物を材料とし、東洋精機製作所社の押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=3.5、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にて単層製膜を行い、単層フィルムを得た。
シリンダー温度:供給部180℃、圧縮部220℃、計量部220℃
ダイ温度:220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量:1.2kg/時間
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.0m/分
フィルム厚み:20μm
A:ブリードアウトが発生していなかった。
B:少しブリードアウトの発生が見られた。
C:顕著にブリードアウトの発生が見られた。
EVOH(99.48質量部)とポリエステルB1(0.52質量部)とをドライブレンドした。次いで、この混合物(分散媒)100質量部を二軸押出機(JSW日本製鋼所のSuper TEX 44αII、L/D=45.5、ダイ温度:220℃)を用いて金属化合物粒子としてのリン酸水素二ナトリウムの粒子(平均粒子径2.8μm)4.71質量部をサイドフィードしながら、窒素雰囲気下で溶融押出を行った。これにより、実施例11の樹脂組成物のペレットを得た。なお、EVOHは、調製例で得られた、金属塩を含む混合物(EVOH-1)として、ドライブレンドに供した。
EVOH(99.48質量部)と、ポリエステルB1(0.52質量部)と、金属化合物粒子としてのリン酸水素二ナトリウムの粒子(平均粒子径2.8μm)4.71質量部とをドライブレンドした。次いで、この混合物を二軸押出機(JSW日本製鋼所のSuper TEX 44αII、L/D=45.5、ダイ温度:220℃)を用いて、窒素雰囲気下で溶融押出を行った。これにより、実施例12の樹脂組成物のペレットを得た。なお、EVOHは、調製例で得られた、金属塩を含む混合物(EVOH-1)として、ドライブレンドに供した。
EVOH(99.48質量部)とポリエステルB1(0.52質量部)とをドライブレンドした。次いで、この混合物(分散媒)100質量部を二軸押出機(JSW日本製鋼所のSuper TEX 44αII、L/D=45.5、ダイ温度:220℃)を用いて金属化合物粒子としてのリン酸水素二ナトリウムの粒子(平均粒子径2.8μm)4.71質量部の水溶液を添加しながら、窒素雰囲気下で溶融押出を行った。これにより、実施例13の樹脂組成物のペレットを得た。なお、EVOHは、調製例で得られた、金属塩を含む混合物(EVOH-1)として、ドライブレンドに供した。
用いたポリエステル及び金属化合物粒子の種類、及びEVOHとポリエステルと金属化合物中の金属元素の含有量(混合比)を表2に示す通りとしたこと以外は実施例11と同様にして、実施例14~25及び比較例4~7の各樹脂組成物のペレットを得た。表2には、各樹脂組成物におけるEVOH中のビニルアルコール単位(Ma)と金属化合物(C)中の金属元素(Mc)とのモル比(Ma/Mc)、及び脂肪族ポリエステル(B)と金属化合物(C)中の金属元素(C’)との質量比(B/C’)もあわせて示す。なお、金属化合物の含有量は、配合する金属化合物粒子の量で調整した。各金属化合物粒子は、市販品を用いた。金属化合物粒子は、粉砕により粒径を適宜調整した。
(スクリューへの付着量)
実施例11~25及び比較例4~7で得られた各樹脂組成物を材料とし、東洋精機製作所社の押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にて単層製膜を行い、単層フィルムを得た。
シリンダー温度:供給部180℃、圧縮部220℃、計量部220℃
ダイ温度:220℃
スクリュー回転数:40rpm
吐出量:1.2kg/時間
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:3.0m/分
フィルム厚み:20μm
ペレットサイズのバラツキ抑制の指標として、実施例11~25及び比較例4~7で得られた各樹脂組成物のペレットの円相当径(半径)の粒度分布を、ヴァーダー・サイエンティフィック社の「CAMSIZER XT」を用い、ISO 13322-2(2006年)に準拠した動的画像解析法によって算出された円相当径から求めた。なお、それぞれ、樹脂組成物のペレット500gを用いて上記測定を行った。得られた粒度分布から、半値全幅(mm)を求めた。測定値を表2に示す。
酸素遮断性の評価として、レトルト処理後酸素透過速度を測定した。まず、実施例11~25及び比較例4~7で得られた各樹脂組成物を中間層とし、ホモポリプロピレン〔PP、日本ポリプロ社の「EA7AD」、MI=1.4g/10分(230℃、2160g荷重)〕を内外層、無水マレイン酸変性ポリプロピレン〔三井化学社の「アドマーQF500」、MI=5.3g/10分(230℃、2160g荷重)〕を接着樹脂(AD)層とする構成で、T型ダイを備えた共押出機にて3種5層(PP/AD/樹脂組成物/AD/PP=厚み368μm/16μm/32μm/16μm/368μm)で全体厚みが500μmの多層シートを得た。なお押出機及び押出条件は以下の通りである。
押出機:
樹脂組成物:単軸押出機(東洋精機株式会社 ラボ機ME型CO-EXT)
口径 20mmφ、L/D=20、スクリュー フルフライトタイプ
PP:単軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所 GT-32-A)
口径 32mmφ、L/D=28、スクリュー フルフライトタイプ
AD:単軸押出機(株式会社テクノベル SZW20GT-20MG-STD)
口径 20mmφ、L/D=20、スクリュー フルフライトタイプ
押出条件:
樹脂組成物:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=175/210/220/230℃
PP:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/200/210/230℃
AD:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=150/200/220/220℃
レトルト処理温度:120℃
時間:30分
圧力:0.15MPa
上記レトルト処理後の多層シートを20℃、内層100%RH/外層65%RHの条件下で2か月間調湿した。その後、同条件下でMocon社の「OX-TORAN MODEL 2/21」を用いて、JIS K 7126(等圧法)記載の方法に準じて酸素透過速度の測定を行った。測定結果は、樹脂組成物の層20μmあたりの酸素透過速度として換算した。測定結果を表2に示す。
Claims (8)
- エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)と、
数平均分子量(Mn)が1,000以上100,000以下、融点が40℃以上120℃以下であり、下記式(I)で表される構造単位を有する脂肪族ポリエステル(B)と、
金属化合物(C)と
を含有し、
上記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及び上記脂肪族ポリエステル(B)の合計100質量部に対する上記脂肪族ポリエステル(B)の含有量が、0.01質量部以上30質量部未満であり、
上記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及び上記脂肪族ポリエステル(B)の合計100質量部に対する上記金属化合物(C)中の金属元素(C’)の含有量が、0.05質量部以上20質量部以下であり、
上記金属化合物(C)が金属化合物粒子(C2)を含み、
上記金属化合物粒子(C2)が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、硫酸マグネシウム、ジクエン酸三マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、コハク酸マグネシウム、乳酸カルシウム、ナノクレイ、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、ポリリン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、ポリリン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ポリリン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム又はこれらの組み合わせである樹脂組成物。
-(CH2)n-OCO- ・・・(I)
(式(I)中、nは、2~6の整数を表す。) - 上記エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)中のビニルアルコール単位(Ma)と上記金属化合物(C)中の金属元素(Mc)とのモル比(Ma/Mc)が、0.01以上500以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記脂肪族ポリエステル(B)と上記金属化合物(C)中の金属元素(C’)との質量比(B/C’)が、0.0005以上5以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記金属化合物(C)の金属成分が、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム又はこれらの組み合わせを含む請求項1に記載の樹脂組成物。
- 上記金属化合物粒子(C2)が、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硫酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、硫酸マグネシウム、ジクエン酸三マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、コハク酸マグネシウム、乳酸カルシウム、ナノクレイ又はこれらの組み合わせである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1に記載の樹脂組成物からなるバリア層、及び
上記バリア層の少なくとも一方の面側に配置された熱可塑性樹脂を含む層
を備える積層体。 - 請求項6に記載の積層体を含む包装体。
- レトルト用である請求項7に記載の包装体。
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