JP7156838B2 - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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Description
特許文献2~特許文献4には、ネオジム化合物に代えテトラアザポルフィルン化合物をプラスチック眼鏡レンズに含有せしめて、580nm~590nm付近の光をカットし、防眩性と視認性をもたらす技術が開示されている。
しかしながら太陽光などの眩しさを防ぐには550~600nmの光をカットするだけでは不十分である。加えて、より短波長の光、特に、ギラツキの原因となり、視界のちらつき、かすみを起こすだけでなく目に有害な450nm以下の青色~紫色領域の光もカットする必要がある。さらに、高齢者や白内障患者は目の水晶体に白濁を生じ450nm以下波長の光が散乱しやすく、このため同波長領域の光により眩しさを強く感じる。
しかしながら、これらの防眩用光学物品は、黄色や橙色に着色しており、またこれを用いた眼鏡レンズなどは、眩しさを防ぐ効果が必ずしも十分ではない。
特許文献9には、特定のスクアリリウム化合物を含む光学フィルターが開示されている。しかしながらこの光学フィルターは耐光性に問題が有り、可視光透明性についても更なる改善が求められている。
さらにはコントラスト向上および可視光透明性に優れ、光に安定な光学フィルターを提供することである。
すなわち、本発明は、
(i)(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、(B)有機色素として下記一般式(1)で表されるクマリン系化合物を、少なくとも含有することを特徴とする樹脂組成物、
[式(1)中、R1~R9は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアリールオキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、置換若しくは非置換のアリールチオ基、アルキルカルボニル基、置換若しくは非置換のアリールカルボニル基、置換若しくは非置換のアミノ基を表し、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R8とR9は結合して脂肪族環、芳香環或いは複素環を形成しても良い。]
(ii)一般式(1)において、R1~R9がそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数2~12のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、または2~16のアルコキシアルキル基、炭素数1~8のアルキルアミノ基、総炭素数2~16のジアルキルアミノ基である、(i)の樹脂組成物、
(iii)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、熱硬化性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂およびアリルジグリコールカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である、(i)~(ii)いずれかの樹脂組成物、
(iv)(i)~(iii)いずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体、
(v)防眩用光学物品である、(iv)の成形体、
(vi)光学フィルターである、(iv )の成形体、
(Vii)サンバイザーである、(iv)の成形体、
(Viii)ヘルメット用シールドである、(iv)の成形体、
(ix)情報機器の表示装置用防眩コート、または情報機器の表示装置用防眩フィルムである、(iv)の成形体 に関する。
さらに着色がほとんどないため、これを成形して得られる成形体は、眼鏡レンズ、サンバイザー、ヘルメット用シールド、情報機器の表示装置用防眩コートまたは防眩フィルム等の防眩用光学物品に非常に有用であり、液晶表示装置や有機ELディスプレイなどの画像表示装置の寿命向上、や、明室でのコントラストの向上にも有用である。有機色素として一般式(1)で表されるクマリン系化合物を含有する本発明の樹脂組成物は、他の構造の化合物を使用した場合に比べて着色が低い。
また本発明の樹脂組成物は、樹脂中に色素が良く溶解しているため透明度が高く、従って不要光以外の可視光線を良く透過させ、光線透過率の低下が少ない。さらに本発明の樹脂組成物は、耐光性が高く樹脂中の色素の劣化が少なく、有用である。
本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、(B)有機色素として特定構造のクマリン系化合物を、少なくとも含有することを特徴とする。
まず、(B)の有機色素について以下に説明する。
本発明の樹脂組成物に係る特定構造のクマリン系化合物は、下記一般式(1)で表される。
[式(1)中、R1~R9は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアリール基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアリールオキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、置換若しくは非置換のアリールチオ基、アルキルカルボニル基、置換若しくは非置換のアリールカルボニル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、置換若しくは非置換のアリールアミノ基を表し、R1とR2、R2とR3、R3とR4、R5とR6、R6とR7、R7とR8、R8とR9は結合して脂肪族環、芳香環或いは複素環を形成しても良い。]
R1~R9がハロゲン原子であるものとしては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
置換または無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、フェネチル基、α-メチルフェネチル基、α,α-ジメチルベンジル基、α,α-ジメチルフェネチル基、4-メチルフェネチル基、4-メチルベンジル基、4-イソプロピルベンジル基などの、無置換またはアルキル基を有するアラルキル基、例えば、4-ベンジルベンジル基、4-フェネチルベンジル基、4-フェニルベンジル基などのアリ-ル基またはアラルキル基を有するアラルキル基、例えば、4-メトキシベンジル基、4-n-テトラデシルオキシベンジル基、4-n-ヘプタデシルオキシベンジル基、3,4-ジメトキシベンジル基、4-メトキシメチルベンジル基、4-ビニルオキシメチルベンジル基、4-ベンジルオキシベンジル基、4-フェネチルオキシベンジル基などの置換オキシ基を有するアラルキル基。例えば、4-ヒドロキシベンジル基、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル基などの水酸基を有するアラルキル基、例えば、4-フルオロベンジル基、3-クロロベンジル基、3,4-ジクロロベンジル基などのハロゲン原子を有するアラルキル基、更には、例えば、2-フルフリル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基などが挙げられる。
無置換アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1,1-ジメチルブチルオキシ基、1,2,2-トリメチルプロピルオキシ基、2-エチルブチルオキシ基、1,3-ジメチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-へプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、3,5,5-トリメチルヘキシルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、1-アダマンチルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルコキシ基が挙げられる。
無置換アルキルチオ基の例としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、2-メチルペンチルチオ基、1,1-ジメチルブチルチオ基、1,2,2-トリメチルプロピルチオ基、2-エチルブチルチオ基、1,3-ジメチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、メチルシクロペンチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-へプチルチオ基、n-オクチルチオ基、3,5,5-トリメチルヘキシルチオ基、n-デシルチオ基、n-ウンデシルチオ基、n-ドデシルチオ基、1-アダマンチルチオ基、n-ペンタデシルチオ基等の直鎖、分岐又は環状の無置換のアルキルチオ基が挙げられる。
メトキシカルボニルメチルチオ基、エトキシカルボニルメチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルメチルチオ基、メトキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルエチルチオ基、n-プロピルオキシカルボニルエチルチオ基、エトキシカルボニルプロピルチオ基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアキルチオ基;
メチルアミノメチルチオ基、2-メチルアミノエチルチオ基、2-( 2-メチルアミノエトキシ) エチルチオ基、4-メチルアミノブチルチオ基、1-メチルアミノプロパン-2-イルオキシ基、3-メチルアミノプロピルチオ基、2-エチルアミノエチルチオ基、2-( 2-エチルアミノエトキシ)エチルチオ基、3-エチルアミノプロピルチオ基、1-エチルアミノプロピルチオ基、2-イソプロピルアミノエチルチオ基、2-(n-ブチルアミノ)エチルチオ基、3-(n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基、4-(シクロヘキシルアミノ)ブチルチオ基等のアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基;
ジメチルアミノメチルチオ基、2-ジメチルアミノエチルチオ基、4-ジメチルアミノブチルチオ基、1-ジメチルアミノプロパン-2-イルチオ基、3-ジメチルアミノプロピルチオ基、2-ジエチルアミノエチルチオ基、3-ジエチルアミノプロピルチオ基、2-ジイソプロピルアミノエチルチオ基、2-(ジ-n-ブチルアミノ)エチルチオ基、2-ピペリジルエチルチオ基、3-(ジ-n-ヘキシルアミノ)プロピルチオ基等のジアルキルアミノ基で置換されたアルキルチオ基;
メチルチオメチルチオ基、2-メチルチオエチルチオ基、2-エチルチオエチルチオ基、2-n-プロピルチオエチルチオ基、2-イソプロピルチオエチルチオ基、2-n-ブチルチオエチルチオ基、2-イソブチルチオエチルチオ基、(3,5,5-トリメチルヘキシルチオ)ヘキシルチオ基等のアルキルチオ基で置換されたアルキルチオ基;
2-N-モルホリニルエチルチオ基、2-N-ピリジルエチルチオ基、2-N-ピロリルエチルチオ基、2-(2-フリル)エチルチオ基、2-(1-インドリル)エチルチオ基、2-(3-チエニル)エチルチオ基、3-N-モルホリニルプロピルチオ基、3-N-ピリジルプロピルチオ基、3-N-ピロリルプロピルチオ基、3-(1-インドリル)プロピルチオ基等の複素環基で置換されたアルキルチオ基;等が挙げられる。
置換または無置換のアリールチオ基としては、ヘテロアリールチオ基も含まれ、フェニルチオ基、2-メチルフェニルチオ基、4-メチルフェニルチオ基、3-エチルフェニルチオ基、4-n-プロピルフェニルチオ基、4-n-ブチルフェニルチオ基、4-イソブチルフェニルチオ基、4-tert-ブチルフェニルチオ基、4-n-ペンチルフェニルチオ基、4-n-ヘキシルフェニルチオ基、4-シクロヘキシルフェニルチオ基、4-n-オクチルフェニルチオ基、4-n-ドデシルフェニルチオ基、4-n-オクタデシルフェニルチオ基、2,5-ジメチルフェニルチオ基、3,4-ジメチルフェニルチオ基、5-インダニルチオ基、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ナフチルチオ基、2-メトキシフェニルチオ基、3-メトキシフェニルチオ基、4-エトキシフェニルチオ基、4-n-プロポキシフェニルチオ基、2,4-ジメトキシフェニルチオ基、3,5-ジエトキシフェニルチオ基、2-メトキシ-4-メチルフェニルチオ基、2-メチル-4-メトキシフェニルチオ基、2-フルオロフェニルチオ基、4-フルオロフェニルチオ基、2-クロロフェニルチオ基、4-ブロモフェニルチオ基、4-トリフルオロメチルフェニルチオ基、3-トリフルオロメチルフェニルチオ基、2,4-ジフルオロフェニルチオ基、2,4-ジクロロフェニルチオ基、2-クロロ-4-メトキシフェニルチオ基、2-ナフチルチオ基、4-メチル-1-ナフチルチオ基、4-エトキシ-1-ナフチルチオ基、2-ピリジルチオ基、4-アミノフェニルチオ基、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニルチオ基、4-(N,N-ジエチルアミノ)-1-ナフチルチオ基、4-〔N,N-ジ(4’-メチルフェニル)アミノ〕フェニルチオ基、4-(N-フェノキサジイル)フェニルチオ基などが挙げられる。
置換または無置換のアルキルカルボニル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、iso-バレリル基、sec-バレリル基、トリメチルアセチル基、ヘキサノイル基、t-ブチルアセチル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、2-エチルヘキサノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、テトラアデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、オレオイル基、シクロペンタンカルボニル基、シクロヘキサンカルボニル基、6-クロロヘキサノイル基、6-ブロモヘキサノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロプロピオニル基、パ-フルオロオクタノイル基、2,2,4,4,5,5,7,7,7-ノナフルオロ-3,6-ジオキサヘプタノイル基、メトキシアセチル基、3,6-ジオキサヘプタノイル基、シンナモイル基等が挙げられる。
R1~R9が置換または無置換のアリールカルボニル基であるものとしては、総炭素数7~25の置換または無置換のアリールカルボニル基が好ましく、総炭素数7~19の置換または無置換のアリールカルボニル基がより好ましい。
R1~R9が置換または無置換のアミノ基であるものとしては、アミノ基または総炭素数1~24の置換アミノ基が好ましく、総炭素数2~16のジアルキルアミノ基がより好ましい。
置換アミノ基の置換基としては、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアラルキル基が好ましい。
例としては例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、3,5,5-トリメチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基等のモノアルキルアミノ基;
ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、ジ-n-ペンチルアミノ基、N-メチル-N-エチルアミノ基、N-エチル-N-イソプロピルアミノ基、N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ基、N-メチル-N-n-オクチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;
N-メチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-フェニルアミノ基、N-エチル-N-(2,4-ジメチルフェニル)アミノ基、N-n-プロピル-N-(2-エトキシフェニル)アミノ基、N-メチル-N-(3-クロロフェニル)アミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ-(p-トリル)アミノ基、N-メチル-N-(2-ナフチル)アミノ基等のアリール基を有するアミノ基;
ベンジルアミノ基、フェネチルアミノ基、3-フェニルプロピルアミノ基、4-エチルベンジルアミノ基、4-イソプロピルベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ビス(4-エチルベンジル)アミノ基、ビス(4-イソプロピルベンジル)アミノ基、N-エチル-N-ベンジルアミノ基、N-メチル-N-フェネチルアミノ基等のアラルキル基を有するアミノ基;等が挙げられる。
例えば特開平8-28326号等に記載の方法により製造することができる。
例としては、下記一般式(2)のクマリンカルボン酸誘導体と、下記一般式(3)のアニリン誘導体を、塩化チオニル及びピリジン存在下にトルエン中で反応することにより製造することができる。
[式中、R1~R9は一般式(1)のR1~R9と同じものを示す。]
次に、(A)の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂について以下に説明する。
本発明の樹脂組成物に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、透明樹脂であることが好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、主にジヒドロキシジアリール化合物類とホスゲンを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物類とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステル類とを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり代表的なものとして、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物類としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-第三ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジクロロフェニル)プロパンのような(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのような(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3、3’-ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4‘-ジヒドロキシ-3,3‘-ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4‘-ジヒドロキシ-3,3‘-ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類などが挙げられる。
これらは単独又は2種類以上から選択されて使用される。これらの他にピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4‘-ジヒドロキシジフェニル等と併用して使用してもよい。なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は通常10000~100000、好ましくは10000~400000である。
上記ジカルボン酸化合物類としては、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)ノルボルナン、ビス(ヒドロキシカルボニルメチル)テトラヒドロジシクロペンタジエンなどが挙げられ、これらのジカルボン酸化合物類から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
特に透明性の観点から非結晶性のポリアミド樹脂が好ましく、一般的には透明ナイロンと称され、例えばエムス社のグリルアミドTR-55、グリルアミドTR-90、グリルアミドTR-XE3805、あるいはヒュルス社のトロガミドCX-7323などを例示することができる。
また、メタクリル酸アルキル以外の単量体は、分子内に1個の重合性炭素-炭素二重結合を有する単官能単量体であってもよいし、分子内に2個以上の重合性炭素-炭素二重結合を有する多官能単量体であってもよいが、特に単官能単量体が好ましく用いられる。その例としては、アクリル酸メチルやアクリル酸エチルのようなアクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルなどが挙げられる。
また、アクリル樹脂の中で、ガラス転移温度が低く、例えばガラス転移温度が0℃未満、好ましくは-20℃以下のポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂は粘着剤、接着剤等として用いられ、例えば薄型ディスプレイ用光学フィルターの各層の張り合わせ、あるいは光学フィルターとディスプレイ画面の接着などに広く使用されている。
このポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂の粘着剤に、前記有機色素としてのキノフタロン系化合物およびテトラアザポルフィリン系化合物とを含有した樹脂組成物も、本発明の権利範囲内である。
炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他、共重合可能な単量体の例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;α-メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレンなどに代表されるスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどに代表されるビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル;マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾールなどを挙げることができる。
コポリエステルとしては、ポリC2-4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2-4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2-4アルキレングリコール、C6-10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA-アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6-12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。
ポリエステル樹脂としては、透明性が高い等の点で、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が好ましい。また、C2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなどのような非結晶性コポリエステルも加工性に優れ好ましい。特にPETが、大量に生産され、耐熱性、強度等に優れているので好ましい。
ポリチオウレタン樹脂としては、代表的なものとして、メタキシリレンジイソシアネートとペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)から製造されたポリチオウレタン樹脂が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂(以下両者を単に樹脂ともいう)と、(B)有機色素として前記一般式(1)で表されるクマリン系化合物を、少なくとも含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物における樹脂と有機色素の配合量は、用途や樹脂成形体の厚みにより異なるが、透光性、透明性が失われない限度内の濃度にあれば良く、通常成形体の厚み方向に対して可視光線透過率が12~99%、好ましくは20~90%となるように調整する。例えば、厚み2.15mmの眼鏡レンズでポリカーボネート樹脂へ混合するのであれば、有機色素の使用量はポリカーボネート樹脂に対し0.001重量%~0.1重量%である。一般に、成形体の厚みが0.1mm~20mmであれば、有機色素の使用量は熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に対し0.0001~2重量%である。
本発明の樹脂組成物には、樹脂と有機色素以外に、必要に応じて公知の紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、各種樹脂添加剤を配合することができる。各種樹脂添加剤としては、フェノール系酸化防止剤、離型剤、染顔料、リン系熱安定剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤・アンチブロッキング剤、難燃剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、有機色素と熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を混合することによって得られ、少なくともこれを成型してなる成形体においては有機色素と樹脂は相溶状態であることが望ましい。
樹脂組成物の樹脂が熱可塑性樹脂の場合、有機色素と熱可塑性樹脂の粉末あるいはペレットとを、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を使用して混合することで樹脂組成物が得られ、これを、バンバリーミキサー、加熱ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの公知の溶融混練機で溶融混練することによって、有機色素と熱可塑性樹脂が均一の樹脂組成物を製造できる。
また、熱可塑性樹脂および有機色素を溶解しうる有機溶媒に溶解混合後、有機溶媒を取り去ることにより製造することもできる。その際使用される有機溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられるが、上記樹脂組成物に対して化学反応的に不活性で、かつ適度に低沸点のものであれば特に限定されるものではない。
また、有機色素を溶媒に溶解させた後、樹脂または樹脂成形体を接触させて有機色素を樹脂内に拡散、侵入させることにより製造することも可能で、かくして得られた樹脂組成物も本発明の権利範囲内である。有機色素を溶解させる有機溶媒は、特に限定はないが、有機色素を分解するものや、熱可塑性樹脂を変質させるものであってはならない。通常、液体のケトンやアルコ-ル類がよく使用される。溶液の濃度は、目的に応じた任意であるが、通常0.01%~30%程度が良好な範囲である。拡散の条件は、有機色素、溶媒、熱可塑性樹脂の種類等により変化するが、通常、常圧もしくは加圧下で、25℃~200℃、数分~5時間である。
樹脂組成物の樹脂が熱硬化性樹脂の場合、有機色素を溶媒に溶解させた後、樹脂または樹脂成形体を接触させて有機色素を樹脂内に拡散、侵入させる方法、または熱硬化性樹脂の原料モノマーに有機色素を混合後、これを重合する方法があるが、後者が多く用いられる。後者の方法について以下に説明する。
熱硬化性樹脂の原料モノマーに有機色素を混合する工程において、有機色素の混合対象により、モノマー混合物を構成するモノマー群のいずれかに混合させた後にモノマー混合物とする方法、モノマー混合物及びその他の添加剤からなる混合物に混合させた後、触媒を加える方法、あるいはモノマー混合物、触媒、及びその他の添加剤からなる混合物に混合させる方法などがある。
重合触媒としては、有機過酸化物が知られており、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどの化合物系が挙げられる。
混合に当たっては、樹脂組成物に必要とされる有機色素濃度に相当する量が樹脂組成物に含有されるように混合させてもよく、また一方の原料モノマーなどいずれかの成分に目的濃度より高濃度で有機色素を含有させたマスターバッチを調製しておき、必要に応じて配合すべき他成分を加えて希釈させて目的の濃度の樹脂組成物を製造しても良い。また有機色素の溶解にあたって、樹脂組成物の劣化や可使時間などの点で実施上支障がない範囲で加温することもできる。
[成形体]
以下に、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなる。
成形体の態様としては、樹脂組成物からなる光学物品、または樹脂組成物を部分的に含有する光学物品であっても良いし、あるいは粉末やペレット状態、フィルムなど、光学物品製造の中間材料であっても良い。
光学物品としては、後述する様に、眼鏡レンズ、サンバイザー、ヘルメット用シールド、情報機器の表示装置用防眩コートまたは防眩フィルム、各種フィルター、照明機器用カバーなどの防眩用光学物品が例示できる。さらに液晶表示装置や有機ELディスプレイなどの画像表示装置の寿命向上、や、明室でのコントラストの向上にも用いられる光学フィルターが例示できる。
なお、本明細書において、樹脂組成物を部分的に含有する光学物品とは、光学物品の各種部材または膜などの内部に含有された状態、部材または各層の表面にコーティングした、または貼り付けられた状態を含むものである。
樹脂組成物を注型用鋳型に注入、内蔵させ、次いで注型用鋳型をオーブン中または水中等の加熱可能装置内で所定の温度プログラムにて数時間から数十時間かけて加熱する。重合硬化の温度および時間は、混合物の組成、触媒の種類、モールドの形状等によって異なるが、およそ-50~200℃の温度で1~100時間である。通常、5℃から40℃の範囲の温度で開始し、その後徐々に80℃から130℃の範囲にまで昇温し、その温度で1時間から4時間加熱するのが一般的である。硬化成形終了後、注型用鋳型から取り出すことで、目的の成形体を得ることができる。
また、有機溶剤に、樹脂または樹脂モノマーとクマリン系化合物を分散、溶解させ、キャスティング法により高分子成形体を作製する方法が挙げられる。
本発明の樹脂組成物の成形体は、防眩用光学物品として非常に有用である。
防眩用光学物品としては、眼鏡レンズ、サンバイザー、ヘルメット用シールド、自動車や飛行機の風防ガラス用フィルム、自動車ヘッドライト用カバー、スキー用ゴーグル、情報機器の表示装置用防眩コートまたは防眩フィルム、LED照明用フィルターなどが挙げられるが、眩しさを防ぎ、コントラストや自然な色調を確保する目的の用途に限定なく使用できる。
防眩用光学物品の製造方法は、物品の形態や樹脂の種類により異なり、前記した成形体の製造方法が適用できる。
なお、防眩用光学物品に要求される機能に応じて、反射防止機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、ガスバリア機能、紫外線カット機能のいずれか一つ以上の機能を設けても構わない。
本発明の光学フィルターは、好ましくは、基材中に前記一般式(1)で表されるクマリン系化合物を含有する。本発明で基材に含有するということは、基材の内部に含有されること、基材の表面に塗布した状態或いは基材と基材の間に挟まれた状態を意味する。
基材としては、樹脂、ガラス等が挙げられるが、樹脂が好ましい。樹脂は、粘着剤、シート、フィルム、バインダー樹脂、成形体など様々な形態が使用できる。また、シートの上に粘着剤を有するなど、複数の形態を組み合わせたものであっても良い。
基材の厚さは、ある程度の機械的強度が有れば特に制限はないが、通常は、20μm~10mmであり、20μm~1mmが好ましく、20μm~200μmが好ましい。
(2)に挙げた高分子成形体へ含有させる方法としては、(A)樹脂にクマリン系化合物を混練し、加熱成形する方法と、(B)有機溶剤に、樹脂または樹脂モノマーとクマリン系化合物を分散、溶解させ、キャスティング法により高分子成形体を作製する方法が挙げられる。
加工条件は、用いるクマリン系化合物、ベース高分子によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、クマリン系化合物をベース高分子の紛体或いはペレットに添加し、150~350℃に加熱、溶解させた後、成形して板を作製する方法。押し出し機でフィルム化する方法。押し出し機で原反を作製し、30~120℃で2~5倍に1軸乃至2軸に延伸して、10~200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられる。
尚、混練する際に可塑剤等の通常の樹脂成形に用いる添加剤を加えても良い。クマリン系化合物の添加量は、吸光係数、作製する高分子成形体の厚み、目的の吸収強度、目的の透過性・透過率等によって異なるが、通常、ベース高分子成形体の重量に対して1ppm~20重量であり、1ppm~10重量%が好ましく、1ppm~5重量%が特に好ましい。
使用される樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂(PVA、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂モノマーが挙げられる。
クマリン系化合物の濃度は色素の吸光係数、板またはフィルムの厚み、目的の吸収強度、目的の透過特性・透過率によってことなるが、樹脂モノマーの重量に対して、通常、1ppm~20重量%である。また、樹脂濃度は、塗料全体に対して1~90重量%である。
バインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系樹脂(PVA,EVA等)或いはそれらの共重合樹脂等が挙げられる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル系溶媒、或いはそれらの混合物が挙げられる。
本発明の一般式(1)のクマリン系化合物を含有する光学フィルターは有機EL発光素子の長寿命化、液晶ディスプレイのコントラスト向上、LED液晶ディスプレイのブルーライトカット、近性外線吸収カットフィルターの耐久性向上を目的として使用することができる。
[合成例1]具体例化合物(1)-1の製造
i) 7-メトキシクマリン-3-カルボン酸の製造
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド15.2g、メルドラム酸18.6g、ピペリジン酢酸塩0.36gをエタノール200mL中にて還流下、4時間撹拌した。
冷却後、析出物をろ取、エタノールにて洗浄、乾燥して淡黄色粉末19.4gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・ESI-Mass: 221(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:60.03%、H:3.69%);
理論値(C:60.01%、H:3.66%)
ii) 具体例化合物(1)-1の製造
合成例1のi)で製造した7-メトキシクマリン-3-カルボン酸11gをトルエン100mLにて75℃にて30分間攪拌後、DMF0.25gを添加後、塩化チオニル7.27gを滴下して75℃にて6時間攪拌した。過剰の塩化チオニルを留去後、トルエン50mLを添加、75℃にてピリジン4.43g、4-ブトキシアニリン9.1gを滴下して3.5時間反応した。反応混合物を1%苛性ソーダ水300mLで洗浄後、湯洗した後、トルエン留去、残渣にメタノール200mLを添加、30分間還流した。
冷却後、析出物をろ取、乾燥して下記構造式の(具体例化合物(1)-1)7.2gを淡黄色粉末として得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・ESI-Mass: 368(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:68.68%、H:5.80%、N:3.78%);
理論値(C:68.65%、H:5.76%、N:3.81%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は356nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は6.83×104g/mL・cmであった。
i)7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸の製造
合成例1のi)の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド15.2gの代わりに4-ジメチルアミノサリシルアルデヒド19.3gを使用した以外は合成例1のi)と同様にして淡燈色粉末16.2を得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・ESI-Mass: 262(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:64.40%、H:5.81%、N:5.33%);
理論値(C:64.36%、H:5.79%、N:5.36%)
ii)具体例化合物(1)-31の製造
合成例1のii)において、7-メトキシクマリン-3-カルボン酸11gの代わりに合成例2のi)で製造した7-ジエチルアミノクマリン-3-カルボン酸10.45gを使用し、4-ブトキシアニリン9.1gの代わりに4-ブチルアニリン8.2gを使用した以外は合成例1のii)と同様にして下記構造式の(具体例化合物(1)-31)
12.9gを淡黄色粉末として得た。
・ESI-Mass: 393(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:73.47%、H:7.21%、N:7.11%);
理論値(C:73.44%、H:7.19%、N:7.14%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は423.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は1.37×105g/mL・cmであった。
i)5,6-ベンゾクマリン-3-カルボン酸の製造
合成例1のi)の2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド15.2gの代わりに2-ヒドロキシナフトアルデヒド17.2gを使用した以外は合成例1のi)と同様にして淡黄色粉末23.1gを得た。
得られた化合物は、下記の分析結果より目的の化合物であることを確認した。
・ESI-Mass: 241(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:70.03%、H:3.40%);
理論値(C:70.00%、H:3.36%)
合成例1のii)において、7-メトキシクマリン-3-カルボン酸11gの代わりに合成例3のi)で製造した5,6-ベンゾクマリン-3-カルボン酸12gを使用し、4-ブトキシアニリン9.1gの代わりに4-ブチルアニリン8.2gを使用した以外は合成例1のii)と同様にして下記構造式の(具体例化合物(1)-57)12.6gを淡黄色粉末として得た。
・ESI-Mass: 372(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:77.63%、H:5.73%、N:3.75%);
理論値(C:77.61%、H:5.70%、N:3.77%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は381.5nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.9×104g/mL・cmであった。
合成例1のii)において、7-メトキシクマリン-3-カルボン酸11gの代わりに合成例3のi)で製造した5,6-ベンゾクマリン-3-カルボン酸12gを使用した以外は合成例1のii)と同様にして下記構造式の(具体例化合物(1)-57)
16.8gを淡黄色粉末として得た。
・ESI-Mass: 388(M+H)+
・元素分析値:実測値(C:74.43%、H:5.48%、N:3.59%);
理論値(C:74.40%、H:5.46%、N:3.62%)
このようにして得られた化合物のトルエン溶液は383nmに極大吸収を示し、グラム吸光係数は5.31×104g/mL・cmであった。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製H-3000FN)1000重量部と合成例1で製造したクマリン系化合物(具体例化合物(1)-1)0.015重量部をタンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製H-3000FN)1000重量部と合成例2で製造したクマリン系化合物(具体例化合物(1)-31)0.015重量部をタンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製H-3000FN)1000重量部と合成例3で製造したクマリン系化合物(具体例化合物(1)-57)0.015重量部をタンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック(株)製H-3000FN)1000重量部と合成例4で製造したクマリン系化合物(具体例化合物(1)-59)0.015重量部をタンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
ポリアミド樹脂(エムスケミー・ジャパン製:Grilamid TR90)1000重量部と、具体例化合物(1)-1を0.01重量部、タンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成社製:80N)1000重量部と、具体例化合物(1)-31を0.015重量部、タンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
実施例1で製造したペレットを原料とし、射出成形機で、シリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル60秒の条件下で、外形150mm×300mm、厚さ2mmの平板の樹脂組成物を成形した。この樹脂組成物の透過スペクトルを測定したところ、図1に示すスペクトルが得られた。
実施例4で製造した製造したペレットを原料とした以外は実施例7と同様に操作を行って、平板の樹脂組成物を成形した。この樹脂組成物の透過スペクトルを測定したところ、図2に示すスペクトルが得られた。
シクロヘキサンと塩化メチレンの7:3(質量比)混合溶液400重量部に、環状オレフィン系樹脂(APEL6015T、三井化学株式会社製)100重量部、合成例2で製造したクマリン系化合物(具体例(1)-31)0.1重量部を加えることで、樹脂濃度が20質量%の溶液を得た。
次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、40℃で4時間、60℃で4時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの光学フィルターを作製した。
この光学フィルターの透過スペクトル図を図3に示す。
合成例3で合成したクマリン系化合物(具体例(1)-57)0.1重量部を使用した以外は実施例9と同様にして光学フィルターを得た。この光学フィルターの透過スペクトル図を図4に示す。
実施例7で製造した外形150mm×300mm、厚さ2mmの平板を、オートバイのヘルメットシールドの形状にカットし、加熱炉に入れ160℃に加熱した。この加熱した平板を成形型に入れ、曲率半径約120mmを有する曲面成型物とし、冷却後成形型より取り出して、ヘルメット用シールドを得た。
このシールドをヘルメットに取り付け、昼間および夜間の走行に使用した結果、晴天下の走行において眩しさを感じることが少なく、また夜間の走行においても光の透過度が大きく低下することはなかった。また、信号の青色(緑色)、黄色、赤色が明瞭に確認できた。
メチルエチルケトン300重量部に、ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成社製:80N)100重量部と合成例2で製造したクマリン系化合物(具体例(1)-31)0.05重量部とを溶解し、塗布液とした。
この塗布液を、厚さ約200μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シートの表面に、乾燥後の膜厚が約10μmになるようにマイヤーバーで塗布、乾燥した。
この防眩コート付きPETシートを、LEDバックライトのパソコン用ディスプレイ画面の前に設置し、文字表示、画像表示、動画表示など種々の条件下で画面を観察した。その結果、設置前よりギラツキ・眩しさが低下して眼の疲労感が低減しただけでなく、画像等のコントラストが向上してくっきりと見え、一方色調が変わることはなかった。
ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成社製:80N)1000重量部と、合成例3で合成したクマリン系化合物(具体例(1)-57)0.132重量部を、タンブラーによって20分混合した後、単軸押出機によって、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数56rpmの条件下で溶融・混練してペレット化した。
このペレットを二軸押出機内で混合・押出し、厚さ約200μmのフィルム(シート)を製造した。押出しゾーン及び溶融ラインにおける温度は最高275℃、冷却ロールの温度は30℃であった。
得られたフィルムをカットし、携帯型情報機器の表示面上にアクリル系接着剤を用いて貼り付けた。文字表示、画像表示などなど種々の条件下で表示面を観察した結果、貼付前よりギラツキ・眩しさが低下しただけでなく、画像等のコントラストが向上してくっきりと見え、一方色調が変わることはなかった。
Claims (10)
- (A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、(B)有機色素として下記一般式(1)で表されるクマリン系化合物を含有し、(A)に対する(B)の配合量が0.0001~2重量%であって、380~450nmの青色光をカットすることを特徴とする樹脂組成物。
[式(1)中、R 1 ~R 4 はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、置換若しくは非置換のアリールチオ基、置換若しくは非置換のアミノ基を表し(但し、すべてが水素原子の場合を除く);
R 5 ~R 9 はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアラルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアリールオキシ基、置換若しくは非置換のアルキルチオ基、置換若しくは非置換のアリールチオ基、置換若しくは非置換のアミノ基を表し(但し、すべてが水素原子の場合を除く);
R1とR2、R2とR3、R3とR 4 、R 6 とR 7 は結合して脂肪族環、芳香環或いは複素環を形成しても良い。] - 前記有機色素が一般式(1)で表されるクマリン系化合物であり、同式中、R1~R4は水素原子、置換若しくは非置換のアルコキシ基、置換若しくは非置換のアミノ基を表し(但し、すべてが水素原子の場合を除く);R5~R9は水素原子、置換若しくは非置換のアルキル基、置換若しくは非置換のアルコキシ基を表し(但し、すべてが水素原子の場合を除く)、R1とR2は結合して芳香環を形成してもよいクマリン系化合物である請求項1の樹脂組成物。
- 一般式(1)において、R1~R9がそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、トリフルオロメチル基、炭素数2~12のパーフルオロアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、または2~16のアルコキシアルキル基、炭素数1~8のアルキルアミノ基、総炭素数2~16のジアルキルアミノ基である、請求項1の樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂およびポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、熱硬化性樹脂がポリウレタン樹脂、ポリチオウレタン樹脂およびアリルジグリコールカーボネート樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3いずれかの樹脂組成物。
- 請求項1~4いずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 防眩用光学物品である、請求項5の成形体。
- 光学フィルターである、請求項5の成形体。
- サンバイザーである、請求項5の成形体。
- ヘルメット用シールドである、請求項5の成形体。
- 情報機器の表示装置用防眩コートまたは情報機器の表示装置用防眩フィルムである、請求項5の成形体。
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