JP7155649B2 - 空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍サイクルの回路構成を切替可能な空調装置に関する。
従来、空調装置においては、電磁弁や電気式膨張弁の開閉動作を用いて、冷凍サイクルの回路構成を切り替え、様々な運転モードを実現している。この点についてなされた空調装置に関する発明として、特許文献1に記載された発明が知られている。
特許文献1に記載された車両用空調装置では、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に、2つの開閉弁と、2つの電気式膨張弁が配置されており、これらの開閉動作を制御することによって、暖房モード、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード等の運転モードを実現している。
特許第5929372号公報
ここで、一般的な冷凍サイクルにおいて、回路構成を切り替える為に、差圧のかかった状態の電磁弁を閉状態から開状態に作動させると冷媒が急激に流動する。この為、電磁弁の作動時には、冷媒の急激な流動に起因した異音の発生に留意する必要がある。
例えば、特許文献1に記載された車両用空調装置においては、2つの電磁弁を共に閉状態とした冷房モード及び直列除湿暖房モードと、2つの電磁弁を共に開状態とした並列除湿暖房モードとを実現することができる。従って、特許文献1のような車両用空調装置に関して、これらの運転モードの切替に際して、冷媒の急激な流動による異音を抑制する要請がある。
又、運転モードの切替時に異音が発生する関係上、異音の発生を抑制することを重視しすぎると、運転モードの切替に要する時間が長期化することが懸念される。運転モードの切替が長期化した場合、吹出温度の変動等を生じさせてしまい、乗員等の快適性が損なわれてしまう。
本発明は、これらの点に鑑みてなされており、切替弁を閉状態から開状態にして回路構成及び運転モードを切り替える際の冷媒異音の発生を抑制しつつ、切替動作の短期化を可能とした空調装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、請求項1に記載の空調装置は、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
圧縮機から吐出された吐出冷媒を放熱させる凝縮器(12)を有し、吐出冷媒を熱源として、空調対象空間へ送風される送風空気を加熱する加熱部と、
加熱部から流出した冷媒を減圧させる暖房用膨張弁(14a)と、
暖房用膨張弁から流出した冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(16)と、
熱交換器から流出した冷媒を減圧させる吸熱用膨張弁(14b)と、
吸熱用膨張弁から流出した冷媒を蒸発させて冷却対象から吸熱する蒸発器(18)と、
加熱部から流出した冷媒を吸熱用膨張弁の上流側へ導くバイパス通路(22a)と、
バイパス通路に配置され、バイパス通路を開閉する第1電磁弁(15a)と、
熱交換器から流出した冷媒を圧縮機の吸入口側へ導く暖房用通路(22b)と、
暖房用通路に配置され、暖房用通路を開閉する第2電磁弁(15b)と、
第1電磁弁及び第2電磁弁を制御する制御部(60)と、を有し、
制御部は、
第1電磁弁及び第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも小さい場合に、
第1電磁弁の閉状態を維持したまま、吸熱用膨張弁の開度を大きくして第2差圧を低減する差圧低減工程と、
差圧低減工程の後に、第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
少なくとも第2電磁弁の開状態への切替以後に、第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行い、
制御部は、
第1電磁弁及び第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも大きい場合に、
暖房用膨張弁の開度を大きくして第1差圧を低減する差圧低減工程と、
差圧低減工程の間において、第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
少なくとも第2電磁弁の開状態への切替以後に、第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行う。
即ち、当該空調装置によれば、第1電磁弁、第2電磁弁の開閉動作により、冷媒流路を切り替えて、種々の運転モードを実現することができる。
当該空調装置は、運転モードの切替に関して、第1電磁弁及び第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、第1差圧が第2差圧よりも小さい場合に、差圧低減工程を実行して、第2差圧を低減する。
当該差圧低減工程においては、第1電磁弁の閉状態を維持したまま、吸熱用膨張弁の開度を大きくして第2差圧を低減する為、吸熱用膨張弁の開度を大きくしたことによる差圧低減の効果を効率よく発揮させることができ、第2差圧の低減に要する期間を短くすることができる。
又、当該空調装置は、差圧低減工程の後に、第2電磁弁を開状態に切り替え、少なくとも第2電磁弁の開状態への切替以後に、第1電磁弁を開状態に切り替える為、差圧が十分に小さくなった状態で、第1電磁弁及び第2電磁弁が開状態に切り替えられる。
この為、当該空調装置によれば、第1電磁弁及び第2電磁弁にて冷媒が急激に流れることを抑制することができ、冷媒通過音の発生を抑制することができる。又、当該空調装置は、差圧低減工程にて効率よく第2差圧を低減することができるので、第1電気弁及び第2電磁弁を開状態にする運転モードの切替を短期間に完了させることができる。
又、請求項3に記載の空調装置は、
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
圧縮機から吐出された吐出冷媒を放熱させる凝縮器(12)を有し、吐出冷媒を熱源として、空調対象空間へ送風される送風空気を加熱する加熱部と、
加熱部から流出した冷媒を減圧させる暖房用膨張弁(14a)と、
暖房用膨張弁から流出した冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(16)と、
熱交換器から流出した冷媒を減圧させる吸熱用膨張弁(14b)と、
吸熱用膨張弁から流出した冷媒を蒸発させて冷却対象から吸熱する蒸発器(18)と、
加熱部から流出した冷媒を吸熱用膨張弁の上流側へ導くバイパス通路(22a)と、
バイパス通路に配置され、バイパス通路を開閉する第1電磁弁(15a)と、
熱交換器から流出した冷媒を圧縮機の吸入口側へ導く暖房用通路(22b)と、
暖房用通路に配置され、暖房用通路を開閉する第2電磁弁(15b)と、
第1電磁弁及び第2電磁弁を制御する制御部(60)と、を有し、
制御部は、
第1電磁弁及び第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも大きい場合に、
暖房用膨張弁の開度を大きくして第1差圧を低減する差圧低減工程と、
差圧低減工程の間において、第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
少なくとも第2電磁弁の開状態への切替以後に、第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行う。
これにより、当該空調装置によれば、第1電磁弁、第2電磁弁の開閉動作により、冷媒流路を切り替えて、種々の運転モードを実現することができる。
当該空調装置は、運転モードの切替に関して、第1電磁弁及び第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、第1差圧が第2差圧よりも大きい場合に、差圧低減工程を実行して、第1差圧を低減する。
当該差圧低減工程においては、暖房用膨張弁の開度を大きくして第1差圧を低減すると共に、当該差圧低減工程の間にて、第2電磁弁を開状態に切り替える。そして、第2電磁弁の開状態への切替以後に、第1電磁弁を開状態に切り替える。
これにより、当該空調装置は、暖房用膨張弁の開度を大きくしたことによる差圧低減の効果を効率よく発揮させることができ、第1差圧の低減に要する期間を短くすることができる。従って、当該空調装置によれば、第1電気弁及び第2電磁弁を開状態にする運転モードの切替を短期間に完了させることができる。
又、当該空調装置によれば、差圧が十分に小さくなった状態で、第1電磁弁及び第2電磁弁が開状態に切り替えられる為、第1電磁弁及び第2電磁弁にて冷媒が急激に流れることを抑制することができ、冷媒通過音の発生を抑制することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態に係る車両用空調装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る車両用空調装置の制御系を示すブロック図である。 第2実施形態に係る車両用空調装置の概略構成図である。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1~図2に基づいて説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用空調装置1の概略構成図である。
第1実施形態では、本発明に係る空調装置を、車両走行用の駆動力を電動モータから得る電気自動車に搭載された車両用空調装置1に適用している。当該車両用空調装置1は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行うことで、車室内の快適性を向上させる。
図1の全体構成図に示すように、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10、室内空調ユニット30等を備えている。
冷凍サイクル装置10は、車室内の空調を行うために、車室内へ送風される送風空気を冷却及び加熱する機能を果たす。
第1実施形態に係る冷凍サイクル装置10は、車室内の空調を行うために、様々な運転モード用の冷媒回路を切替可能に構成されている。例えば、冷房モードの冷媒回路、除湿暖房モードの冷媒回路、暖房モードの冷媒回路等を切替可能に構成されている。
又、冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用しており、圧縮機11から吐出された吐出冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。更に、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
冷凍サイクル装置10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、車室の前方に配置されて電動モータ等が収容される駆動装置室内に配置されている。
圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する制御装置60から出力される制御信号によって、回転数(即ち、冷媒吐出能力)が制御される。
圧縮機11の吐出口には、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内凝縮器12は、少なくとも暖房モード時や除湿暖房モード時に高圧高温冷媒と、後述する室内蒸発器18を通過した送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。室内凝縮器12は、送風空気を加熱する凝縮器であり、且つ、加熱部として機能する。
そして、室内凝縮器12の冷媒出口側には、互いに連通する3つの流入出口を有する第1三方継手13aの流入口側が接続されている。このような三方継手としては、複数の配管を接合して形成されたものや、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けることによって形成されたものを採用することができる。
更に、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第2三方継手13b~第6三方継手13fを備えている。第2三方継手13b~第6三方継手13fの基本的構成は、第1三方継手13aと同様である。
第1三方継手13aの一方の流出口には、暖房用膨張弁14aの入口側が接続されている。第1三方継手13aの他方の流出口には、バイパス通路22aを介して、第2三方継手13bの一方の流入口側が接続されている。バイパス通路22aには、除湿用開閉弁15aが配置されている。
除湿用開閉弁15aは、第1三方継手13aの他方の流出口側と第2三方継手13bの一方の流入口側とを接続する冷媒通路を開閉する電磁弁であり、第1電磁弁として機能する。更に、冷凍サイクル装置10は、後述する暖房用開閉弁15bを備えている。暖房用開閉弁15bの基本的構成は、除湿用開閉弁15aと同様である。
除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bは、冷媒通路を開閉することで、各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bは、サイクルの冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置である。除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bは、制御装置60から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
暖房用膨張弁14aは、少なくとも車室内の暖房を行う運転モード時に、室内凝縮器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒を減圧させると共に、下流側へ流出させる冷媒の流量(質量流量)を調整する暖房用減圧部である。暖房用膨張弁14aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の開度を変化させる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の可変絞り機構である。
更に、冷凍サイクル装置10は、後述するように、冷房用膨張弁14bを備えている。冷房用膨張弁14bの基本的構成は、暖房用膨張弁14aと同様である。
暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、及び弁開度を全閉にすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
そして、この全開機能および全閉機能によって、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bは、各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bは、冷媒回路切替装置としての機能も兼ね備えている。暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bは、制御装置60から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
暖房用膨張弁14aの出口には、室外熱交換器16の冷媒入口側が接続されている。室外熱交換器16は、暖房用膨張弁14aから流出した冷媒と図示しない冷却ファンにより送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器16は、熱媒体としての外気と熱交換を行う熱交換器として機能する。
そして、室外熱交換器16は、駆動装置室内の前方側に配置されている。この為、車両走行時には、室外熱交換器16に走行風を当てることができる。
室外熱交換器16の冷媒出口には、第3三方継手13cの流入口側が接続されている。第3三方継手13cの一方の流出口には、暖房用通路22bを介して、第4三方継手13dの一方の流入口側が接続されている。
そして、暖房用通路22bには、この冷媒通路を開閉する暖房用開閉弁15bが配置されている。暖房用開閉弁15bは、制御装置60から出力される制御電圧によって、その作動が制御される電磁弁によって構成されており、第2電磁弁として機能する。上述したように、暖房用開閉弁15bは、除湿用開閉弁15aと共に、冷媒回路切替装置として機能する。
第3三方継手13cの他方の流出口には、第2三方継手13bの他方の流入口側が接続されている。第3三方継手13cの他方の流出口側と第2三方継手13bの他方の流入口側とを接続する冷媒通路には、逆止弁17が配置されている。逆止弁17は、第3三方継手13c側から第2三方継手13b側へ冷媒が流れることを許容し、第2三方継手13b側から第3三方継手13c側へ冷媒が流れることを禁止する機能を果たす。
第2三方継手13bの流出口には、冷房用膨張弁14bの入口側が接続されている。冷房用膨張弁14bは、少なくとも車室内の冷房を行う運転モード時に、室外熱交換器16から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する冷房用減圧部である。当該冷房用膨張弁14bは吸熱用膨張弁として機能する。
冷房用膨張弁14bの出口には、室内蒸発器18の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器18は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内蒸発器18は、冷房用膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒と送風機32から送風された送風空気とを熱交換させて低圧冷媒を蒸発させ、低圧冷媒に吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
即ち、当該室内蒸発器18は、冷却対象を送風空気とした蒸発器として機能する。そして、室内蒸発器18の冷媒出口には、蒸発圧力調整弁20の入口側が接続されている。
蒸発圧力調整弁20は、室内蒸発器18の着霜を抑制するために、室内蒸発器18における冷媒蒸発圧力を、予め定めた基準圧力以上に維持する機能を果たす。蒸発圧力調整弁20は、室内蒸発器18の出口側冷媒の圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構で構成されている。
これにより、蒸発圧力調整弁20は、室内蒸発器18における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器18の着霜を抑制可能な着霜抑制温度(本実施形態では、1℃)以上に維持することができる。
蒸発圧力調整弁20の出口には、第4三方継手13dの他方の流入口側が接続されている。第4三方継手13dの流出口には、アキュムレータ21の入口側が接続されている。アキュムレータ21は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰液相冷媒を蓄える気液分離器である。アキュムレータ21の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、第1実施形態に係る車両用空調装置1の室内空調ユニット30の概略構成について説明する。室内空調ユニット30は、冷凍サイクル装置10によって温度調整された送風空気を車室内へ吹き出すためのものである。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット30は、図1に示すように、その外殻を形成する空調ケース31内に形成された空気通路内に送風機32、室内蒸発器18、室内凝縮器12等を収容したものである。
空調ケース31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成している。空調ケース31は、或る程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。
空調ケース31の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置33が配置されている。内外気切替装置33は、空調ケース31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。
内外気切替装置33は、空調ケース31内へ内気を導入させる内気導入口及び外気を導入させる外気導入口の開口面積を、内外気切替ドアによって連続的に調整して、内気の導入風量と外気の導入風量との導入割合を変化させるものである。内外気切替ドアは、内外気切替ドア用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、送風機32が配置されている。送風機32は、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風するものである。送風機32は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。送風機32は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(即ち、送風能力)が制御される。
送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器18、室内凝縮器12が、送風空気流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器18は、室内凝縮器12よりも、送風空気流れ上流側に配置されている。
空調ケース31内には、室内蒸発器18通過後の送風空気を、室内凝縮器12を迂回して流す冷風バイパス通路35が設けられている。空調ケース31内の室内蒸発器18の送風空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア34が配置されている。
エアミックスドア34は、室内蒸発器18通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12側を通過する送風空気の風量と冷風バイパス通路35を通過させる送風空気の風量との風量割合を調整する風量割合調整部である。エアミックスドア34は、エアミックスドア用の電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータは、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
空調ケース31内の室内凝縮器12及び冷風バイパス通路35の送風空気流れ下流側には、混合空間が配置されている。混合空間は、室内凝縮器12にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路35を通過して加熱されていない送風空気とを混合させる空間である。
更に、空調ケース31の送風空気流れ下流部には、混合空間にて混合された送風空気(即ち、空調風)を、空調対象空間である車室内へ吹き出す為の開口穴が配置されている。
この開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、及びデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
これらのフェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴は、それぞれ空気通路を形成するダクトを介して、車室内に設けられたフェイス吹出口、フット吹出口およびデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)に接続されている。
従って、エアミックスドア34が、室内凝縮器12を通過させる風量と冷風バイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間にて混合される空調風の温度が調整される。そして、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度が調整される。
又、フェイス開口穴、フット開口穴及びデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、フェイスドア、フットドア及びデフロスタドア(いずれも図示せず)がそれぞれ配置されている。フェイスドアは、フェイス開口穴の開口面積を調整するものである。フットドアは、フット開口穴の開口面積を調整するものである。デフロスタドアは、フロスタ開口穴の開口面積を調整するものである。
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替装置を構成するものである。これらのドアは、リンク機構等を介して、吹出口モードドア駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。この電動アクチュエータも、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
吹出口モード切替装置によって切り替えられる吹出口モードとしては、具体的に、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード等がある。
フェイスモードは、フェイス吹出口を全開としてフェイス吹出口から車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。バイレベルモードは、フェイス吹出口とフット吹出口の両方を開口して車室内乗員の上半身と足元に向けて空気を吹き出す吹出口モードである。フットモードは、フット吹出口を全開とするとともにデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す吹出口モードである。
更に、乗員が操作パネル70に設けられた吹出モード切替スイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタモードに切り替えることもできる。デフロスタモードは、デフロスタ吹出口を全開としてデフロスタ吹出口からフロント窓ガラス内面に空気を吹き出す吹出口モードである。
次に、当該車両用空調装置1の制御系について、図2を参照しつつ説明する。当該車両用空調装置1は、その構成機器の作動を制御する為の制御装置60を有している。当該制御装置60は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。
制御装置60は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御機器の作動を制御する。各種制御機器には、圧縮機11、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15b、送風機32等が含まれている。
また、制御装置60の入力側には、各種センサが接続されており、各種センサの検出信号が入力される。図2に示すように、各種センサには、内気温センサ61、外気温センサ62、日射センサ63、第1冷媒温度センサ64a~第4冷媒温度センサ64d、冷媒圧力センサ65、蒸発器温度センサ66、空調風温度センサ69等が含まれている。
内気温センサ61は、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ62は、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ63は、車室内へ照射される日射量Tsを検出する日射量検出部である。
第1冷媒温度センサ64aは、圧縮機11から吐出された冷媒の温度T1を検出する吐出冷媒温度検出部である。第2冷媒温度センサ64bは、室内凝縮器12の冷媒通路から流出した冷媒の温度T2を検出する第2冷媒温度検出部である。
第3冷媒温度センサ64cは、室外熱交換器16から流出した冷媒の温度T3を検出する第3冷媒温度検出部である。第4冷媒温度センサ64dは、室内蒸発器18から流出した冷媒の温度T4を検出する第4冷媒温度検出部である。冷媒圧力センサ65は、室内凝縮器12の冷媒通路から流出した冷媒の圧力P1を検出する冷媒圧力検出部である。
蒸発器温度センサ66は、室内蒸発器18における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。具体的に、蒸発器温度センサ66では、室内蒸発器18の熱交換フィン温度を検出している。空調風温度センサ69は、混合空間から車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
更に、制御装置60の入力側には、図2に示すように、操作パネル70が接続されている。操作パネル70は、車室内前部の計器盤付近に配置されている。この操作パネル70に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置60に入力される。
操作パネル70に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置の自動制御運転を設定或いは解除するオートスイッチ、室内蒸発器18で送風空気の冷却を行うことを要求するエアコンスイッチ、送風機32の風量をマニュアル設定する風量設定スイッチ、車室内の目標温度Tsetを設定する温度設定スイッチ、吹出モードをマニュアル設定する吹出モード切替スイッチ等がある。
尚、本実施形態の制御装置60は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェア及びソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置60のうち、圧縮機11の冷媒吐出能力(具体的には、圧縮機11の回転数)を制御する構成は、圧縮機制御部60aを構成している。また、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bの作動を制御する構成は、膨張弁制御部60bを構成している。除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bの作動を制御する構成は、冷媒回路切替制御部60cを構成している。
更に、制御装置60のうち、除湿用開閉弁15aの入口側と出口側における冷媒圧力の差である第1差圧と、暖房用開閉弁15bの入口側と出口側における冷媒圧力の差である第2差圧とを比較して判定する構成は、差圧判定部60dを構成している。そして、制御装置60のうち、運転モードの切替に際して、後述する差圧低減工程を含む一連の作動を制御する構成は、均圧切替制御部60eを構成している。
続いて、上述のように構成された車両用空調装置1の作動について説明する。第1実施形態に係る車両用空調装置1は、車室内を冷房する冷房モード、車室内を暖房する暖房モード、車室内を除湿しながら暖房する除湿暖房モードに切り替えることができる。
そして、当該車両用空調装置1の除湿暖房モードには、直列除湿暖房モードと、並列除湿暖房モードが含まれており、これらも運転モードとして切り替えることができる。直列除湿暖房モードは、車室内への吹出空気の温度調整可能範囲が低温域から高温域の広範囲となる除湿暖房モードである。又、並列除湿暖房モードは、車室内への吹出空気の温度調整可能範囲が直列除湿暖房モードに比べて高温域となる除湿暖房モードである。
当該車両用空調装置1における各運転モードの切り替えは、空調制御プログラムが実行されることによって行われる。この空調制御プログラムは、操作パネル70のオートスイッチが投入(換言すればON)された際に実行される。
空調制御プログラムのメインルーチンでは、空調制御用のセンサ群の検出信号および各種空調操作スイッチからの操作信号を読み込む。そして、読み込んだ検出信号および操作信号の値に基づいて、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOを以下の数式F1に基づいて算出する。
TAO=Kset×Tset-Kr×Tr-Kam×Tam-Ks×Ts+C…(F1)
尚、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内設定温度、Trは内気温センサ61によって検出された車室内温度(内気温)、Tamは外気温センサ62によって検出された外気温、Tsは日射センサ63によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
そして、当該制御装置60は、算出された目標吹出温度TAOに加えて、操作パネル70からの操作信号、外気温センサ62で検出された外気温Tam等を用いて、上述した複数の運転モードから車両用空調装置1の状況に応じた運転モードに決定する。
操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが予め定められた冷房基準温度よりも低くなっている場合は、運転モードは冷房モードに決定される。又、操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度以上になっており、かつ、外気温Tamが予め定めた除湿暖房基準温度よりも高くなっている場合には、運転モードは直列除湿暖房モードに決定される。
そして、操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度以上になっており、かつ、外気温Tamが除湿暖房基準温度以下になっている場合は、運転モードは並列除湿暖房モードに決定される。
又、外気温Tamが予め定められた作動最低外気温Tam1よりも高い状態で、エアコンスイッチが投入されていない場合には、運転モードは暖房モードに決定される。作動最低外気温Tam1は、冷凍サイクル装置10が暖房能力を発揮させることができる外気温の下限値を意味する。
当該車両用空調装置1において、冷房モードは、主に夏季のように比較的外気温が高い場合に実行される。直列除湿暖房モードは、主に春季或いは秋季に実行される。
並列除湿暖房モードは、主に早春季或いは晩秋季のように直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で空気を加熱する必要のある場合に実行される。そして、暖房モードは、主に冬季の低外気温時に実行される。
このようにして、当該車両用空調装置1は、各運転モードを、車両用空調装置1の運転環境に応じて、暖房モード、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モードを適切に切り替えることができる。
次に、第1実施形態に係る冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モードにおける冷凍サイクル装置10の作動について、詳細に説明する。
(1)冷房モード
先ず、冷房モードにおける冷凍サイクル装置10の作動について説明する。当該冷房モードでは、冷凍サイクル装置10で発生させた冷熱によって車室内への送風空気を冷却し、車室内の冷房を実現している。
冷房モードでは、制御装置60が、除湿用開閉弁15aにてバイパス通路22aを閉じると共に、暖房用開閉弁15bにて暖房用通路22bを閉じる。更に、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを、減圧作用を発揮する絞り状態とする。
従って、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→(室内凝縮器12)→(暖房用膨張弁14a)→室外熱交換器16→逆止弁17→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
このサイクル構成で、制御装置60が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、冷房モードにおける圧縮機11の冷媒吐出能力(即ち、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号)については、以下のように決定される。先ず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置60に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器18から吹き出される送風空気の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。
そして、この目標蒸発器吹出温度TEOと蒸発器温度センサ66の検出値との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器18を通過した空気の温度が、目標吹出温度に近づくように圧縮機11に出力される制御信号が決定される。
又、冷房用膨張弁14bへ出力される制御信号については、冷房用膨張弁14bへ流入する冷媒の過冷却度が、COPを最大値とするように予め定められた目標過冷却度に近づくように決定される。
又、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の空気通路を閉塞し、室内蒸発器18を通過後の送風空気の全流量が冷風バイパス通路35を通過するように決定される。従って、送風空気は、室内凝縮器12にて高温高圧の吐出冷媒と殆ど熱交換することはなく、室内蒸発器18で冷却された状態で車室内に供給される。
冷房モードの冷凍サイクル装置10では、室外熱交換器16を外気に対する放熱器として機能させ、室内蒸発器18を蒸発器として機能させる。そして、室内蒸発器18にて冷媒が蒸発する際に送風空気から吸熱することで、冷却対象である送風空気を冷却し、吸熱した熱を室外熱交換器16にて外気に放熱する。
これにより、車室内に供給される送風空気を冷却することができる為、冷房モードの車両用空調装置1は、車室内の冷房を実現できる。
(2)直列除湿暖房モード
次に、直列除湿暖房モードにおける冷凍サイクル装置10の作動について説明する。直列除湿暖房モードは、冷凍サイクル装置10で発生させた冷熱によって冷却された送風空気を再加熱して車室内へ供給する除湿暖房モードの一つである。当該直列除湿暖房モードは、除湿暖房に関して、吹出空気の温度調整可能範囲が低温域から高温域の広範囲に及ぶという特徴を有している。
直列除湿暖房モードでは、制御装置60が、除湿用開閉弁15aにてバイパス通路22aを閉じると共に、暖房用開閉弁15bにて暖房用通路22bを閉じる。そして、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bを絞り状態又は全開状態とする。
従って、直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→逆止弁17→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。即ち、直列除湿暖房モードでは、冷媒の流れに対して、室外熱交換器16と室内蒸発器18が直列に接続された構成となる。
このサイクル構成で、制御装置60は、冷房モードと同様に圧縮機11の作動を制御する。又、制御装置60は、室内凝縮器12側の空気通路が全開となるようにエアミックスドア34を変位させる。
又、制御装置60は、暖房用膨張弁14aへ流入する冷媒の圧力に基づいて、サイクルのCOPが極大値に近づくように暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bの作動を制御する。この際、制御装置60は、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度を減少させ、冷房用膨張弁14bの絞り開度を増加させる。
直列除湿暖房モードでは、室内凝縮器12を放熱器として機能させ、室内蒸発器18を蒸発器として機能させる。更に、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気よりも高い場合には、室外熱交換器16を放熱器として機能させ、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気よりも低い場合は、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる。
この為、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気よりも高い場合には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って室外熱交換器16の冷媒の飽和温度を低下させて、室外熱交換器16における冷媒の放熱量を減少させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて加熱能力を向上させることができる。
又、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気よりも低い場合には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って室外熱交換器16の冷媒の飽和温度を低下させて、室外熱交換器16における冷媒の吸熱量を増加させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて加熱能力を向上させることができる。
従って、直列除湿暖房モードでは、室内蒸発器18にて冷却されて除湿された空気を、室内凝縮器12にて再加熱することができ、車室内の除湿暖房を行うことができる。更に、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における放熱量を調整することができ、車室内へ吹き出す吹出空気の温度を低温域から高温域までの広範囲に亘って調整することができる。
従って、直列除湿暖房モードによれば、室外熱交換器16を放熱器或いは蒸発器の何れか一方として機能させるサイクル構成よりも、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を幅広い範囲で調整することができ、除湿暖房運転時に空調対象空間へ吹き出される吹出空気の温度調整範囲を拡大させることができる。
(3)並列除湿暖房モード
続いて、並列除湿暖房モードにおける冷凍サイクル装置10の作動について説明する。並列除湿暖房モードは、冷凍サイクル装置10で発生させた冷熱によって冷却された送風空気を再加熱して車室内へ供給する除湿暖房モードの一つである。当該並列除湿暖房モードは、除湿暖房に関して、吹出空気の温度調整可能範囲が直列除湿暖房モードに比べて高温域となるという特徴を有している。
並列除湿暖房モードでは、制御装置60が、除湿用開閉弁15aにてバイパス通路22aを開くと共に、暖房用開閉弁15bにて暖房用通路22bを開く。そして、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bをそれぞれ絞り状態とする。
従って、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→暖房用開閉弁15b→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環すると共に、圧縮機11→室内凝縮器12→除湿用開閉弁15a→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。即ち、並列除湿暖房モードでは、冷媒の流れに対して、室外熱交換器16と室内蒸発器18が並列に接続されたサイクルが構成される。
このサイクル構成で、制御装置60が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。
例えば、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bについては、制御装置60は、暖房用膨張弁14aへ流入する冷媒の圧力に基づいて、サイクルのCOPが極大値に近づくようにその作動を制御する。
この際、制御装置60は、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度を減少させ、冷房用膨張弁14bの絞り開度を増加させる。又、制御装置60は、室内凝縮器12側の空気流路が全開となるようにエアミックスドア34を変位させる。
並列除湿暖房モードでは、室内凝縮器12を放熱器として機能させ、室外熱交換器16及び室内蒸発器18を蒸発器として機能させる。この為、目標吹出温度TAOの上昇に伴って室外熱交換器16の冷媒の飽和温度を低下させて、室外熱交換器16における冷媒の吸熱量を増加させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて加熱能力を向上させることができる。
従って、並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器18にて冷却されて除湿された空気を、室内凝縮器12にて再加熱することで、車室内の除湿暖房を行うことができる。
そして、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度(換言すれば蒸発温度)を、室内蒸発器18における冷媒の飽和温度(換言すれば蒸発温度)よりも低下させることができるので、直列除湿暖房モードよりも室内凝縮器12における放熱量を増加させることができる。これにより、並列除湿暖房モードは、直列除湿暖房モードに比べて、送風空気の加熱能力を増加させることができる。
(4)暖房モード
次に、暖房モードにおける冷凍サイクル装置10の作動について説明する。当該暖房モードでは、冷凍サイクル装置10で発生させた温熱によって車室内への送風空気を加熱して、車室内の暖房を実現している。
当該暖房モードでは、制御装置60が除湿用開閉弁15aにてバイパス通路22aを閉塞すると共に、暖房用開閉弁15bにて暖房用通路22bを開く。更に、暖房用膨張弁14aを絞り状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉する。
従って、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→暖房用開閉弁15b→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環するサイクルが構成される。
このサイクル構成で、制御装置60が、目標吹出温度TAO、センサ群の検出信号等に基づいて、各種制御機器の作動状態(各種制御機器へ出力する制御信号)を決定する。例えば、暖房用膨張弁14aへ出力される制御信号については、暖房用膨張弁14aへ流入する冷媒の過冷却度が、サイクルの成績係数(COP)を最大値に近づけるように予め定められた目標過冷却度に近づくように決定される。
又、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、エアミックスドア34が冷風バイパス通路35を閉塞し、室内蒸発器18を通過後の送風空気の全流量が室内凝縮器12側の空気通路を通過するように決定される。
暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を送風空気に対する放熱器として機能させ、室外熱交換器16を蒸発器として機能させる。そして、室外熱交換器16にて冷媒が蒸発する際に外気から吸熱した熱を室内凝縮器12にて送風空気に放熱する。これにより、車室内に供給される送風空気を加熱することができる為、暖房モードの車両用空調装置1は、車室内の暖房を行うことができる。
第1実施形態に係る車両用空調装置1においては、運転モードを切り替える際に、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bの開閉状態の切り替えが行われる。この運転モードの切替時に生じる異音として、冷媒通過音が知られている。
冷媒通過音は、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bのような切替弁が閉状態で、且つ、当該切替弁の前後に圧力差がある場合において、切替弁を閉状態から開状態に動作させた場合に生じる。この為、冷媒通過音の発生原因は、切替弁の下流に対する流体の急流出であると考えられる。
従って、第1実施形態に係る車両用空調装置1の場合、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bに対して冷媒による差圧がかかった状態で、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替えた場合に、冷媒通過音が発生することが想定される。
この為、第1実施形態に係る車両用空調装置1では、上述した運転モードの切替に際して、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bの作動を、所定の工程に従って順番に制御することで、冷媒通過音の発生を抑制すると共に、短期間での運転モードの切替を実現している。
第1実施形態に係る車両用空調装置1では、冷房モードから並列除湿暖房モードに切り替える場合、制御装置60が、冷媒通過音の発生を抑制する為の動作制御を実行する。
上述したように、冷房モードでは、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが閉状態である。そして、暖房用膨張弁14aは全開状態であり、冷房用膨張弁14bは絞り状態である。
この為、冷房モードでは、除湿用開閉弁15aの入口側及び出口側には、高圧冷媒の冷媒圧力が作用する為、除湿用開閉弁15aに第1差圧はかかっていない状態となる。
この場合、暖房用開閉弁15bの入口側には、高圧冷媒の冷媒圧力が作用し、暖房用開閉弁15bの出口側には、冷房用膨張弁14bで減圧された低圧冷媒の冷媒圧力が作用する。従って、暖房用開閉弁15bに係る第2差圧は、高圧冷媒と低圧冷媒の圧力差となって、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧よりも大きな値を示す。
一方、切替後の運転モードである並列除湿暖房モードでは、上述したように、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが何れも開状態になる。この為、冷房モードから並列除湿暖房モードへの切替に際しては、暖房用開閉弁15bにおける冷媒の差圧が問題となる。
この為、第1実施形態においては、制御装置60は、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を低減する為に、差圧低減工程を実行する。この場合の差圧低減工程では、冷房用膨張弁14bの開度を所定開度以上に増加させて、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を低減する。
この時、冷房用膨張弁14bの開度が徐々に増加するように、冷房用膨張弁14bの開度の単位時間当たりの増加率を所定増加率にすることによって、冷房用膨張弁14bにおける冷媒通過音を抑制する。
そして、冷房用膨張弁14bの開度を増加させる差圧低減工程の間において、制御装置60は、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を低減し効果的に均圧化を進める為に、除湿用開閉弁15aが閉状態を維持するように制御する。
差圧低減工程の間、除湿用開閉弁15aを閉状態で維持する点について、差圧低減工程の途中で除湿用開閉弁15aを開状態にした場合を例に挙げて説明する。差圧低減工程の途中で、除湿用開閉弁15aを開状態にすると、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒の一部が、バイパス通路22aを介して、冷房用膨張弁14bへ流入することになる。
つまり、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒の一部が、室外熱交換器16を迂回して流れることになる為、室外熱交換器16における外気に対する放熱量が減少する。室外熱交換器16における放熱量の低下は、冷凍サイクルのバランス原理上、冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力を上昇させる。
この為、冷房用膨張弁14bにおける差圧低減の効果が、差圧低減工程中に除湿用開閉弁15aを開状態に切り替えたことによる高圧側冷媒圧力の上昇によって阻害される。即ち、差圧低減工程中に、除湿用開閉弁15aを開状態にした場合、第2差圧を予め定められた基準値まで低減するまでに要する期間が長期化して、冷媒通過音の抑制がうまくできなくなってしまう。
この点、冷房用膨張弁14bに係る差圧低減工程の間、除湿用開閉弁15aを閉状態に維持すると、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒は、バイパス通路22aを通過することなく、室外熱交換器16を通過する。この為、室外熱交換器16における外気への放熱量の低下が生じることはなく、冷凍サイクルの高圧側冷媒圧力が上昇することもない。
従って、差圧低減工程の間、除湿用開閉弁15aを閉状態のままで維持することで、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を、効果的に低減させることができる。これにより、冷媒通過音が生じない程度まで第2差圧を低減させる為に要する期間が短期化する為、冷媒通過音の発生を抑制しつつ、短時間での運転モードの切替を実現することができる。
冷房用膨張弁14bに係る差圧低減工程を終了した後、除湿用開閉弁15aを閉状態から開状態に切り替える。そして、除湿用開閉弁15aの開状態への切替と同時に又はそれ以後において、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替える。
この除湿用開閉弁15aの開弁は、差圧低減工程の終了後である為、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧の低減に大きな影響を与えることはない。そして、暖房用開閉弁15bの開弁は、冷房用膨張弁14bによる差圧低減工程にて、暖房用開閉弁15bの第2差圧が低減されており、暖房用開閉弁15bに差圧がかからない状態で行われる。この為、暖房用開閉弁15bの開弁にて、冷媒が急激に流れることを抑制でき、暖房用開閉弁15bを開弁したときの冷媒通過音を抑制できる。
冷房用膨張弁14bによる差圧低減工程の後に、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bを開弁することで、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、冷房モードから並列除湿暖房モードに切り替えられる。尚、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bの絞り開度は、少なくとも、差圧低減工程の終了後において、並列除湿暖房モードにて定められた絞り開度となるように調整される。
このように、第1実施形態に係る車両用空調装置1では、制御装置60は、冷房モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、除湿用開閉弁15aを閉状態としたままで、冷房用膨張弁14bによる差圧低減工程を行い、当該差圧低減工程の後に、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bを開弁する。
これにより、車両用空調装置1は、冷房モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を、効率よく短期間で低減することができる。従って、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、冷房モードから並列除湿暖房モードへの運転モードの切替に際して、冷媒通過音の発生を抑制すると共に、短期間での運転モードの切替を実現することができる。
更に、第1実施形態に係る車両用空調装置1では、直列除湿暖房モードから並列除湿暖房モードに切り替える場合においても、制御装置60が、冷媒通過音の発生を抑制する為の動作制御を実行する。
ここで、直列除湿暖房モードでは、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが閉状態であり、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bは何れも絞り状態である。
従って、直列除湿暖房モードにおいて、除湿用開閉弁15aの入口側には、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の冷媒圧力が作用する。そして、除湿用開閉弁15aの出口側には、暖房用膨張弁14aにて減圧された中間圧冷媒の冷媒圧力が作用する。
この時、暖房用開閉弁15bの入口側には、暖房用膨張弁14aにて減圧された中間圧冷媒の冷媒圧力が作用する。そして、暖房用開閉弁15bの出口側には、冷房用膨張弁14bで減圧された低圧冷媒の冷媒圧力が作用する。
つまり、直列除湿暖房モードにおいて、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧は、高圧冷媒と中間圧冷媒の冷媒圧力差であり、暖房用膨張弁14aの冷媒減圧量に対応する。そして、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧は、中間圧冷媒と低圧冷媒との冷媒圧力差であり、冷房用膨張弁14bの冷媒減圧量に対応する。
直列除湿暖房モードでは、上述した順に冷媒が直列に流れる為、暖房用膨張弁14aにおける冷媒減圧量は、暖房用膨張弁14aにおける絞り開度の二乗に反比例する。又、冷房用膨張弁14bにおける冷媒減圧量は、暖房用膨張弁14aと同様に、冷房用膨張弁14bにおける絞り開度の二乗に反比例する。
従って、制御装置60は、暖房用膨張弁14aの絞り開度と冷房用膨張弁14bの絞り開度の大小関係に基づいて、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧と暖房用開閉弁15bに係る第2差圧の大小関係を特定することができる。
例えば、冷房用膨張弁14bの絞り開度が暖房用膨張弁14aの絞り開度より小さい場合、制御装置60は、暖房用開閉弁15bに係る第2差圧が除湿用開閉弁15aに係る第1差圧よりも大きい状態であると特定することができる。
そして、冷房用膨張弁14bの絞り開度が暖房用膨張弁14aの絞り開度より大きい場合、制御装置60は、暖房用開閉弁15bに係る第2差圧が除湿用開閉弁15aに係る第1差圧よりも小さい状態であると特定することができる。
ここで、直列除湿暖房モードにおける暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bの絞り開度に関して、制御装置60は、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度を減少させ、冷房用膨張弁14bの絞り開度を増加させる。
従って、直列除湿暖房モードでは、室内凝縮器12及び室外熱交換器16を放熱器として機能させ、室内蒸発器18を吸熱器として機能させる態様と、室内凝縮器12を放熱器として機能させ、室外熱交換器16及び室内蒸発器18を吸熱器として機能させる態様が含まれている。
以下の説明では、上述した直列除湿暖房モードにおける2つの態様のうち、室外熱交換器16が放熱器として機能する場合を、直列除湿暖房モードの低温モードといい、室外熱交換器が吸熱器として機能する場合を、直列除湿暖房モードの高温モードという。
先ず、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードへ切り替える場合について説明する。直列除湿暖房モードの低温モードにおいて、冷房用膨張弁14bの絞り開度が暖房用膨張弁14aの絞り開度よりも小さくなるように調整される。従って、暖房用開閉弁15bに係る第2差圧は、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧よりも大きな値を示す。
そして、切替後の運転モードである並列除湿暖房モードでは、上述したように、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが何れも開状態になる。この為、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードへの切替に際し、冷媒通過音を抑制する為には、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧が除湿用開閉弁15aにおける第1差圧よりも重要となる。
この為、第1実施形態においては、制御装置60は、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を低減する為に、差圧低減工程を実行する。この場合の差圧低減工程では、上述した冷房モードから並列除湿暖房モードへの切替と同様に、冷房用膨張弁14bの開度を所定開度以上に増加させて、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を低減する。
そして、当該差圧低減工程の間において、制御装置60は、除湿用開閉弁15aが閉状態を維持するように制御する。これにより、上述した冷房モードからの切替時と同様に、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を、効果的に低減させることができる。
従って、当該車両用空調装置1によれば、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードへの切替に際しても、冷媒通過音が生じない程度まで第2差圧を低減させる為に要する期間が短期化する為、冷媒通過音の発生を抑制しつつ、短時間での運転モードの切替を実現することができる。
冷房用膨張弁14bに係る差圧低減工程を終了した後、除湿用開閉弁15aを閉状態から開状態に切り替える。そして、除湿用開閉弁15aの開状態への切替と同時に又はそれ以後において、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替える。
暖房用開閉弁15bの開弁は、冷房用膨張弁14bによる差圧低減工程にて、暖房用開閉弁15bの第2差圧が低減されており、暖房用開閉弁15bに差圧がかからない状態で行われる。この為、暖房用開閉弁15bの開弁にて、冷媒が急激に流れることを抑制でき、暖房用開閉弁15bを開弁したときの冷媒通過音を抑制できる。
これらの工程を行うことで、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードに切り替えられる。尚、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bの開度は、少なくとも、差圧低減工程の終了後において、並列除湿暖房モードにて定められる開度となるように調整される。
これにより、車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧を、効率よく短期間で低減することができる。従って、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードの低温モードから並列除湿暖房モードへの運転モードの切替に際して、冷媒通過音の発生を抑制すると共に、短期間での運転モードの切替を実現することができる。
次に、直列除湿暖房モードの高温モードから並列除湿暖房モードへ切り替える場合について説明する。当該直列除湿暖房モードの高温モードでは、冷房用膨張弁14bの絞り開度は、暖房用膨張弁14aの絞り開度よりも大きくなるように調整される。従って、暖房用開閉弁15bに係る第2差圧は、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧よりも小さな値を示す。
そして、切替後の運転モードである並列除湿暖房モードでは、上述したように、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが何れも開状態になる。この為、直列除湿暖房モードの高温モードから並列除湿暖房モードへの切替に際し、冷媒通過音を抑制する為には、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧が暖房用開閉弁15bにおける第2差圧よりも重要となる。
この為、第1実施形態においては、制御装置60は、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧を低減する為に、差圧低減工程を実行する。この場合の差圧低減工程では、暖房用膨張弁14aの開度を所定開度以上に増加させて、除湿用開閉弁15aの第1差圧を低減する。
この時、暖房用膨張弁14aの開度が徐々に増加するように、暖房用膨張弁14aの開度の単位時間当たりの増加率を所定増加率にすることによって、暖房用膨張弁14aにおける冷媒通過音を抑制する。
そして、暖房用膨張弁14aの開度を増加させる差圧低減工程の間において、制御装置60は、除湿用開閉弁15aの第1差圧を低減し効果的に均圧化を進める為に、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替える。暖房用開閉弁15bの開弁と同時又はそれ以後において、除湿用開閉弁15aを閉状態から開状態に切り替える。
差圧低減工程の間において、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替え、それ以後に除湿用開閉弁15aを開状態に切り替える点について、除湿用開閉弁15aを開状態に切り替えた後に、暖房用開閉弁15bを開状態にした場合を例に挙げて説明する。
図1からわかるように、暖房用開閉弁15bが閉状態のままで、除湿用開閉弁15aを開状態に切り替えると、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒の一部は、第1三方継手13aからバイパス通路22aを通過し、第2三方継手13bから流出する。この為、室外熱交換器16→逆止弁17→第2三方継手13b→冷房用膨張弁14bを通過する冷媒の流れが、高圧冷媒と逆止弁17の作用によって遮断されてしまう。
これにより、暖房用膨張弁14a→第3三方継手13c→室外熱交換器16→逆止弁17までの冷媒流路が高圧冷媒で満たされることになる為、暖房用開閉弁15bの入口側に高圧冷媒の冷媒圧力が作用することになる。
即ち、除湿用開閉弁15aを開状態にして、除湿用開閉弁15aにおける差圧を解消した結果、暖房用開閉弁15bに差圧がかかった状態が生じてしまう。並列除湿暖房モードに切り替える為には、暖房用開閉弁15bを開状態にする必要がある為、暖房用開閉弁15bの開弁に際して冷媒通過音が発生することが懸念される。
この点、差圧低減工程の間において、暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態に切り替え、それ以後に除湿用開閉弁15aを開状態に切り替えるように制御すれば、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15bにおける差圧の低減を効果的に行うことができる。
第1実施形態に係る車両用空調装置1では、制御装置60は、直列除湿暖房モードの高温モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、暖房用膨張弁14aによる差圧低減工程の間に、暖房用開閉弁15bを開状態に切り替え、それ以後に、除湿用開閉弁15aを開状態に切り替える。
これにより、車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードの高温モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧を、効率よく短期間で低減することができる。従って、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードの高温モードから並列除湿暖房モードへの運転モードの切替に際して、冷媒通過音の発生を抑制すると共に、短期間での運転モードの切替を実現することができる。
又、第1実施形態に係る車両用空調装置1において、制御装置60は、運転モードにて定められた開度となるように、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bの絞り開度を調整する為、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bの絞り開度を特定できる。
即ち、第1実施形態に係る車両用空調装置1によれば、差圧判定部60dにて暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14bの絞り開度から、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧と暖房用開閉弁15bにおける第2差圧の大小関係を特定することができ、第1差圧と第2差圧の大小関係に応じたモード切替動作を選択して実行することができる。
この結果、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、直列除湿暖房モードから並列除湿暖房モードに切り替える際に、低温モード、高温モードに応じたモード切替動作を選択することができ、冷媒通過音を抑制しつつ、短期間でのモード切替を確実に実現させることができる。
以上説明したように、第1実施形態に係る車両用空調装置1は、除湿用開閉弁15a、暖房用開閉弁15b等の開閉制御を行うことで、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モード等の運転モードを切り替えることができる。
当該車両用空調装置1は、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが閉状態である運転モード(例えば、冷房モードや直列除湿暖房モード)から、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが開状態である運転モード(例えば、並列除湿暖房モード)に切り替える際に、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧が暖房用開閉弁15bに係る第2差圧よりも小さい場合に、差圧低減工程を実行して、第2差圧を低減する。
この場合の差圧低減工程では、除湿用開閉弁15aの閉状態を維持したまま、冷房用膨張弁14bの開度を大きくして第2差圧を低減する為、冷房用膨張弁14bの開度を大きくしたことによる差圧低減の効果を効率よく発揮させることができ、第2差圧の低減に要する期間を短くすることができる。
そして、当該車両用空調装置1は、差圧低減工程の後に、暖房用開閉弁15bを開状態に切り替え、少なくとも暖房用開閉弁15bの開状態への切替以後に、除湿用開閉弁15aを開状態に切り替える為、差圧が十分に小さくなった状態で、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが開状態に切り替えられる。
この為、当該車両用空調装置1によれば、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bにて冷媒が急激に流れることを抑制することができ、冷媒通過音の発生を抑制することができる。又、当該車両用空調装置1は、差圧低減工程にて、効率良く第2差圧を低減することができるので、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bを開状態にする運転モードの切替を短期間に完了させることができる。
又、当該車両用空調装置1は、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが閉状態である運転モード(例えば、冷房モードや直列除湿暖房モード)から、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが開状態である運転モード(例えば、並列除湿暖房モード)に切り替える際に、除湿用開閉弁15aに係る第1差圧が暖房用開閉弁15bに係る第2差圧よりも大きい場合に、差圧低減工程を実行して、第1差圧を低減する。
この場合の差圧低減工程においては、暖房用膨張弁14aの開度を大きくして第1差圧を低減すると共に、当該差圧低減工程の間にて、暖房用開閉弁15bを開状態に切り替える。そして、暖房用開閉弁15bの開状態への切替以後に、除湿用開閉弁15aを開状態に切り替える。
これにより、当該車両用空調装置1は、暖房用開閉弁15b膨張弁の開度を大きくしたことによる差圧低減の効果を効率よく発揮させることができ、第1差圧の低減に要する期間を短くすることができる。従って、当該車両用空調装置1によれば、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bを閉状態から開状態にする運転モードの切替を短期間に完了させることができる。
又、当該車両用空調装置1によれば、差圧が十分に小さくなった状態で、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bが開状態に切り替えられる為、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bにて冷媒が急激に流れることを抑制することができ、冷媒通過音の発生を抑制することができる。
更に、当該車両用空調装置1によれば、暖房用膨張弁14aの絞り開度と冷房用膨張弁14bの絞り開度の大小関係から、第1差圧と第2差圧の大小関係を特定して、第1差圧と第2差圧の大小関係に応じた工程で、差圧低減工程を含む運転モードの切替動作を行うことができる。これにより、当該車両用空調装置1は、適切に第1差圧及び第2差圧を低減することができ、冷媒通過音の発生を抑制しつつ、短期間での運転モードの切替を実現することができる。
(第2実施形態)
続いて、上述した第1実施形態とは異なる第2実施形態について、図3を参照しつつ説明する。第2実施形態に係る車両用空調装置1は、空調対象空間である車室内の空調を行う機能に加えて、バッテリ80の温度を調整する機能を有している。この為、車両用空調装置1は、バッテリ温度調整機能付きの空調装置と呼ぶこともできる。第2実施形態に係る車両用空調装置1は、冷凍サイクル装置10と、室内空調ユニット30と、低温側熱媒体回路50と、制御装置60等を有している。
第2実施形態において、バッテリ80は、電動モータ等の車載機器へ供給される電力を蓄える二次電池である。当該バッテリ80は、リチウムイオン電池である。バッテリ80は、複数の電池セル81を積層配置し、これらの電池セル81を電気的に直列或いは並列に接続することによって形成された、いわゆる組電池である。
この種のバッテリは、低温になると出力が低下しやすく、高温になると劣化が進行しやすい。この為、バッテリの温度は、バッテリの充放電容量を充分に活用することができる適切な温度範囲内(例えば、15℃以上、かつ、55℃以下)に維持されている必要がある。
そこで、車両用空調装置1では、冷凍サイクル装置10によって生成された冷熱によってバッテリ80を冷却することができるようになっている。従って、第2実施形態においては、冷凍サイクル装置10における冷却対象である送風空気とは別に、冷却対象物としてバッテリ80が採用されている。
先ず、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置10の構成について説明する。図3に示すように、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置10は、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bに加えて、冷却用膨張弁14cを備えている。冷却用膨張弁14cの基本的構成は、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bと同様である。
即ち、冷却用膨張弁14cは、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bと同様に、全開機能及び全閉機能を有している。冷却用膨張弁14cは、暖房用膨張弁14a及び冷房用膨張弁14bと協働して、各運転モードの冷媒回路を切り替える冷媒回路切替装置としての機能も兼ね備えている。冷却用膨張弁14cは、制御装置60から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
図3に示すように、第2三方継手13bと冷房用膨張弁14bの間には、第5三方継手13eが配置されている。第5三方継手13eの流入口側は、第2三方継手13bの流出口側に接続されており、第5三方継手13eの流出口の一方側は、冷房用膨張弁14bの流入口側に接続されている。
そして、第5三方継手13eの流出口の他方側には、冷却用膨張弁14cの流入口側が接続されている。つまり、第5三方継手13eは、第2三方継手13bから流出した冷媒を、冷房用膨張弁14b側の冷媒流路と、冷却用膨張弁14c側の冷媒流路に分岐させる分岐部として機能する。
冷却用膨張弁14cは、少なくともバッテリ80の冷却を行う運転モード時に、第5三方継手13eから流出した冷媒を減圧させると共に、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する冷却用減圧部である。
冷却用膨張弁14cの出口には、チラー19の冷媒通路の入口側が接続されている。チラー19は、冷却用膨張弁14cにて減圧された低圧冷媒を流通させる冷媒通路と、低温側熱媒体回路50を循環する低温側熱媒体を流通させる水通路とを有している。そして、チラー19は、冷媒通路を流通する低圧冷媒と、水通路を流通する低温側熱媒体とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発部である。
チラー19の冷媒通路の出口側には、第6三方継手13fの他方の流入口側が接続されている。第6三方継手13fの一方の流入口側には、室内蒸発器18の出口側が接続されており、第6三方継手13fの流出口側には、蒸発圧力調整弁20の入口側が接続されている。即ち、第6三方継手13fは、室内蒸発器18から流出した冷媒とチラー19から流出した冷媒を合流させる合流部として機能する。
更に、第2実施形態における蒸発圧力調整弁20は、合流部である第6三方継手13fよりも下流側に配置されている。この為、蒸発圧力調整弁20は、チラー19における冷媒蒸発温度についても、着霜抑制温度以上に維持している。
図3に示すように、第2実施形態に係る冷凍サイクル装置10において、室内蒸発器18およびチラー19は、冷媒流れに対して互いに並列的に接続されている。更に、バイパス通路22aは、室内凝縮器12から流出した冷媒を分岐部の上流側へ導いている。暖房用通路22bは、室外熱交換器16から流出した冷媒を、圧縮機11の吸入口側へ導いている。
次に、第2実施形態に係る車両用空調装置1の低温側熱媒体回路50の構成について説明する。低温側熱媒体回路50は、低温側熱媒体を循環させる熱媒体循環回路である。低温側熱媒体としては、エチレングリコール、ジメチルポリシロキサン、あるいはナノ流体等を含む溶液、不凍液等を採用することができる。
図3に示すように、低温側熱媒体回路50においては、チラー19の水通路、低温側熱媒体ポンプ51、冷却用熱交換部52、三方弁53、低温側ラジエータ54等が配置されている。低温側熱媒体ポンプ51は、低温側熱媒体をチラー19の水通路の入口側へ圧送する水ポンプである。低温側熱媒体ポンプ51は、制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
チラー19の水通路の出口には、冷却用熱交換部52の入口側が接続されている。冷却用熱交換部52は、バッテリ80を形成する複数の電池セル81に接触するように配置された金属製の複数の熱媒体流路を有している。そして、熱媒体流路を流通する低温側熱媒体と電池セル81とを熱交換させることによって、バッテリ80を冷却する熱交換部である。
冷却用熱交換部52の出口には、三方弁53の流入口側が接続されている。三方弁53は、1つの流入口と、2つの流出口とを有し、2つの流出口の通路面積比を連続的に調整可能な電気式の三方流量調整弁である。三方弁53は、制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
三方弁53の一方の流出口には、低温側ラジエータ54の熱媒体入口側が接続されている。三方弁53の他方の流出口には、低温側熱媒体ポンプ51の吸入口側が接続されている。従って、三方弁53は、低温側熱媒体回路50において、冷却用熱交換部52から流出した低温側熱媒体のうち、低温側ラジエータ54へ流入させる低温側熱媒体の流量を連続的に調整する機能を果たしている。
低温側ラジエータ54は、冷却用熱交換部52から流出した冷媒と図示しない外気ファンにより送風された外気とを熱交換させて、低温側熱媒体の有する熱を外気に放熱させる熱交換器である。
低温側ラジエータ54は、駆動装置室内の前方側に配置されている。この為、車両走行時には、低温側ラジエータ54に走行風を当てることができる。低温側ラジエータ54の熱媒体出口には、低温側熱媒体ポンプ51の吸入口側が接続されている。
従って、低温側熱媒体回路50では、低温側熱媒体ポンプ51が、冷却用熱交換部52へ流入する低温側熱媒体の流量を調整することによって、冷却用熱交換部52における低温側熱媒体がバッテリ80から奪う吸熱量を調整することができる。
つまり、第2実施形態では、チラー19及び低温側熱媒体回路50の各構成機器によって、冷却用膨張弁14cから流出した冷媒を蒸発させて、バッテリ80を冷却する冷却部が構成されている。
図3に示すように、第2実施形態に係る車両用空調装置1におけるその他の構成は、基本的に第1実施形態と同様である。従って、これらに関する説明は、第1実施形態を参照するものとし、再度の説明を省略する。
上述のように構成された第2実施形態に係る車両用空調装置1は、第1実施形態と同様に、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、暖房モードを切り替えて、車室内の空調を行うことができる。
そして、第2実施形態に係る車両用空調装置1は、上述した空調運転モードと、バッテリ80の冷却モードを組み合わせた11種類の運転モードの何れかに切り替えることができる。
11種類の運転モードには、(1)冷房モード、(2)直列除湿暖房モード、(3)並列除湿暖房モード、(4)暖房モード、(5)冷房+冷却モード、(6)直列除湿暖房+冷却モード、(7)並列除湿暖房+冷却モード、(8)暖房+冷却モード、(9)暖房+直列冷却モード、(10)暖房+並列冷却モード、(11)冷却モードが含まれている。
これらの運転モードの切替は、上述したセンサ群の検出信号、操作パネル70の操作信号、及び、第1実施形態と同様に決定された目標吹出温度TAOに加え、バッテリ80の温度に基づくバッテリ80の冷却の要否に従って実行される。
次に、第2実施形態に係る車両用空調装置1における各運転モードの概要について説明する。先ず、車室内の空調だけを行う(1)冷房モード~(4)暖房モードについて説明する。(1)冷房モード~(4)暖房モードは、第1実施形態と同様である為、詳細な説明を省略する。
(1)冷房モード
冷房モードは、バッテリ80の冷却を行うことなく、送風空気を冷却して車室内へ吹き出すことによって車室内の冷房を行う運転モードである。
(2)直列除湿暖房モード
直列除湿暖房モードは、バッテリ80の冷却を行うことなく、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
(3)並列除湿暖房モード
並列除湿暖房モードは、バッテリ80の冷却を行うことなく、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
(4)暖房モード
暖房モードは、バッテリ80の冷却を行うことなく、送風空気を加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の暖房を行う運転モードである。
(5)冷房+冷却モード
冷房+冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、送風空気を冷却して車室内へ吹き出すことによって車室内の冷房を行う運転モードである。
冷房+冷却モードでは、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cを、冷房+冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを閉状態とし、暖房用開閉弁15bを閉状態とする。
これにより、冷房+冷却モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12(→暖房用膨張弁14a)→室外熱交換器16→逆止弁17→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環すると共に、圧縮機11→室内凝縮器12(→暖房用膨張弁14a)→室外熱交換器16→逆止弁17→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、冷房+冷却モードでは、室内凝縮器12及び室外熱交換器16が放熱器として機能し、室内蒸発器18及びチラー19が蒸発器として機能する。
これによれば、冷房+冷却モードの車両用空調装置1では、室内蒸発器18にて送風空気を冷却すると共に、エアミックスドア34の開度調整によって、室内蒸発器18にて冷却された送風空気の一部を室内凝縮器12にて再加熱することができる。つまり、目標吹出温度TAOに近づくように温度調整された送風空気を車室内へ吹き出して、車室内の冷房を行うことができる。
又、冷房+冷却モードの車両用空調装置1では、チラー19にて低圧側熱媒体を冷却することができるので、冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることによって、バッテリ80の冷却を行うことができる。
(6)直列除湿暖房+冷却モード
直列除湿暖房+冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
直列除湿暖房+冷却モードでは、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cを、それぞれに関して直列除湿暖房+冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを閉状態とし、暖房用開閉弁15bを閉状態とする。
尚、直列除湿暖房+冷却モードでは、目標吹出温度TAOが上昇するに伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度が小さくなり、冷房用膨張弁14bの絞り開度が大きくなるように定められる。
従って、直列除湿暖房+冷却モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→逆止弁17→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環すると共に、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→逆止弁17→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、直列除湿暖房+冷却モードでは、室内凝縮器12が放熱器として機能し、室内蒸発器18及びチラー19が蒸発器として機能する。更に、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも高くなっている際には、室外熱交換器16が放熱器として機能する。室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも低くなっている際には、室外熱交換器16が蒸発器として機能する。
従って、直列除湿暖房+冷却モードの車両用空調装置1では、室内蒸発器18にて冷却されて除湿された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことで、車室内の除湿暖房を行うことができる。この際、直列除湿暖房モードと同様に、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
更に、直列除湿暖房+冷却モードの車両用空調装置1は、チラー19にて低圧側熱媒体を冷却することができる為、冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることで、バッテリ80の冷却を行うことができる。
(7)並列除湿暖房+冷却モード
並列除湿暖房+冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房+冷却モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。
並列除湿暖房+冷却モードでは、暖房用膨張弁14a、冷房用膨張弁14b及び冷却用膨張弁14cを、それぞれに関して並列除湿暖房+冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを開状態とし、暖房用開閉弁15bを開状態とする。
従って、並列除湿暖房+冷却モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→暖房用通路22b→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環すると共に、圧縮機11→室内凝縮器12→バイパス通路22a→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器18→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環し、更に、圧縮機11→室内凝縮器12→バイパス通路22a→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、並列除湿暖房+冷却モードでは、室内凝縮器12が放熱器として機能し、冷媒流れに対して並列的に接続された室外熱交換器16、室内蒸発器18及びチラー19が蒸発器として機能する。
従って、並列除湿暖房+冷却モードの車両用空調装置1では、室内蒸発器18にて冷却されて除湿された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱して車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。この際、室外熱交換器16における冷媒蒸発温度を室内蒸発器18における冷媒蒸発温度よりも低下させることで、直列除湿暖房+冷却モードよりも高い加熱能力で送風空気を再加熱することができる。
更に、並列除湿暖房+冷却モードの車両用空調装置1は、チラー19にて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることで、バッテリ80の冷却を行うことができる。
(8)暖房+冷却モード
暖房+冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、送風空気を加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の暖房を行う運転モードである。
暖房+冷却モードでは、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とし、冷却用膨張弁14cを暖房冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを閉状態とし、暖房用開閉弁15bを閉状態とする。
従って、暖房+冷却モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12(→暖房用膨張弁14a)→室外熱交換器16→逆止弁17→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、暖房+冷却モードでは、室内凝縮器12及び室外熱交換器16が放熱器として機能し、チラー19が蒸発器として機能する。
従って、暖房+冷却モードの車両用空調装置1では、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。更に、チラー19にて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることによって、バッテリ80の冷却を行うことができる。
(9)暖房+直列冷却モード
暖房+直列冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、送風空気を暖房+冷却モードよりも高い加熱能力で加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の暖房を行う運転モードである。
暖房+直列冷却モードでは、冷房用膨張弁14bを全閉状態とし、暖房用膨張弁14a及び冷却用膨張弁14cを、それぞれについて暖房+直列冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを閉状態とし、暖房用開閉弁15bを閉状態とする。
尚、暖房+直列冷却モードでは、目標吹出温度TAOが上昇するに伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度が小さくなり、冷却用膨張弁14cの絞り開度が大きくなるように定められる。
従って、暖房+直列冷却モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→逆止弁17→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、暖房+直列冷却モードでは、室内凝縮器12が放熱器として機能し、チラー19が蒸発器として機能する。さらに、室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも高くなっている際には、室外熱交換器16が放熱器として機能する。室外熱交換器16における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも低くなっている際には、室外熱交換器16が蒸発器として機能する。
従って、暖房+直列冷却モードの車両用空調装置1では、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。更に、チラー19にて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることで、バッテリ80の冷却を行うことができる。
更に、暖房+直列冷却モードにて、目標吹出温度TAOの上昇に伴って暖房用膨張弁14a及び冷却用膨張弁14cの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができ、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
(10)暖房+並列冷却モード
暖房+並列冷却モードは、バッテリ80の冷却を行うと共に、送風空気を暖房+直列冷却モードよりも高い加熱能力で加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の暖房を行う運転モードである。
暖房+並列冷却モードでは、冷房用膨張弁14bを全閉状態とし、暖房用膨張弁14a及び冷却用膨張弁14cを、それぞれについて暖房+並列冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを開状態とし、暖房用開閉弁15bを開状態とする。
従って、暖房+並列冷却モードでは、圧縮機11→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→室外熱交換器16→暖房用通路22b→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環すると共に、圧縮機11→室内凝縮器12→バイパス通路22a→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、暖房+並列冷却モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12が放熱器として機能し、冷媒流れに対して並列的に接続された室外熱交換器16及びチラー19が蒸発器として機能する。
従って、暖房+並列冷却モードの車両用空調装置1では、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。更に、チラー19にて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることで、バッテリ80の冷却を行うことができる。
更に、暖房+並列冷却モードでは、室外熱交換器16とチラー19が冷媒流れに対して並列的に接続され、チラー19の冷媒通路の下流側に蒸発圧力調整弁20が配置されている。これにより、室外熱交換器16における冷媒蒸発温度を、チラー19の冷媒通路における冷媒蒸発温度よりも低下させることができる。
従って、暖房+並列冷却モードでは、暖房+直列冷却モードよりも、室外熱交換器16における冷媒の吸熱量を増加させることができ、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させることができる。その結果、暖房+並列冷却モードでは、暖房+直列冷却モードよりも高い加熱能力で送風空気を再加熱することができる。
(11)冷却モード
冷却モードは、車室内の空調を行うことなく、バッテリ80の冷却を行う運転モードである。
冷却モードでは、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とし、冷却用膨張弁14cを冷却モードにて定められた絞り開度に調整する。そして、除湿用開閉弁15aを閉状態とし、暖房用開閉弁15bを閉状態とする。
従って、冷却モードの冷凍サイクル装置10では、圧縮機11→室内凝縮器12(→暖房用膨張弁14a)→室外熱交換器16→逆止弁17→冷却用膨張弁14c→チラー19→蒸発圧力調整弁20→アキュムレータ21→圧縮機11の順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
つまり、冷却モードの冷凍サイクル装置10では、室外熱交換器16が放熱器として機能し、チラー19が蒸発器として機能する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
従って、冷却モードの車両用空調装置1では、チラー19にて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換部52へ流入させることによって、バッテリ80の冷却を行うことができる。
以上の如く、第2実施形態の車両用空調装置1では、各種運転モードを切り替えることができ、車室内の快適な空調及びバッテリ80の適切な温度調整を行うことができる。
そして、第2実施形態に係る車両用空調装置1において、各種運転モードの切替に関して、除湿用開閉弁15a及び暖房用開閉弁15bを何れも閉状態から開状態に切り替える際に、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧と、暖房用開閉弁15bにおける第2差圧との大小関係に応じて、第1実施形態と同様に、差圧低減工程を含むモード切替動作を実行する。
具体的には、第2実施形態に係る車両用空調装置1にて、(1)冷房モード、(2)直列除湿暖房モード、(5)冷房+冷却モード、(6)直列除湿暖房+冷却モード、(9)暖房+直列冷却モード、(11)冷却モードの何れかの運転モードから、(3)並列除湿暖房モード、(7)並列除湿暖房+冷却モード、(10)暖房+並列冷却モードの何れかの運転モードに切り替える際に、第1実施形態の作動制御を適用することができる。
これにより、第2実施形態に係る車両用空調装置1は、車室内の空調機能に加えて、冷却対象物としてのバッテリ80の冷却機能を有する構成であっても、運転モードの切替時における冷媒通過音の発生を抑制しつつ、運転モードの切替を短期間で完了させることができる。
以上説明したように、第2実施形態に係る車両用空調装置1によれば、上述した第1実施形態と共通の構成及び作動から奏される作用効果を、第1実施形態と同様に得ることができる。
第2実施形態に係る車両用空調装置1において、第5三方継手13eと第6三方継手13fの間に、冷却用膨張弁14c及びチラー19が配置されている為、冷却用膨張弁14cで減圧された冷媒の蒸発潜熱によって、低温側熱媒体回路50の低温側熱媒体を冷却することができる。
低温側熱媒体回路50において、冷却用熱交換部52は、チラー19にて冷却された低温側熱媒体とバッテリ80とを熱交換させることができる為、当該車両用空調装置1は、バッテリ80を冷却する機能を有する。
即ち、第2実施形態に係る車両用空調装置1は、車室内の空調機能と、冷却対象物としてのバッテリ80の冷却機能とを組み合わせた運転モードの切替に際しても、冷媒通過音の発生を抑制して、運転モードの切替を短期間で完了させることができる。
(他の実施形態)
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。例えば、上述した各実施形態を適宜組み合わせても良い。又、上述した実施形態を、例えば、以下のように種々変形することも可能である。
(1)上述した実施形態では、空調装置を車両用空調装置1に適用していたが、この態様に限定されるものではなく、空調装置であれば、種々の態様を採用することができる。
(2)又、上述した実施形態においては、加熱部を室内凝縮器12で構成し、室内凝縮器12において送風空気を加熱していたが、この態様に限定されるものではない。即ち、圧縮機11からの吐出冷媒を熱源として、送風空気を加熱することができれば、吐出冷媒と送風空気の間に熱媒体(例えば、冷却水)が介在する構成を加熱部として採用することができる。
この場合、水-冷媒熱交換器と、ヒータコアを含む高温側熱媒体回路を加熱部として、ヒータコアを、上述した実施形態における室内凝縮器12の位置に配置する。水-冷媒熱交換器にて、吐出冷媒の熱を高温側熱媒体に放熱し、ヒータコアにて、高温側熱媒体の熱が送風空気に放熱される。
(3)そして、第1実施形態においては、室内蒸発器18にて、冷却対象としての送風空気を冷却する構成であったが、この態様に限定されるものではない。第1実施形態における室内蒸発器18に相当する蒸発器を、室内空調ユニット30と異なる位置に配置して、送風空気とは異なる対象を冷却対象にするように構成することも可能である。
例えば、第2実施形態のようにバッテリを冷却するように構成しても良いし、作動に伴い発熱する発熱機器(例えば、インバータやモータジェネレータ)を冷却するように構成することも可能である。
(4)又、上述した実施形態においては、暖房用膨張弁14a等の絞り開度から、除湿用開閉弁15aにおける第1差圧と暖房用開閉弁15bにおける第2差圧の大小関係を判定して、差圧低減工程を含むモード切替動作を変更するように構成していたが、この態様に限定されるものではない。
例えば、各膨張弁の開度パターンが予め定められている場合には、その開度パターンから第1差圧と第2差圧の大小関係を特定して、モード切替動作を変更しても良い。又、第1差圧と第2差圧を特定できるように、複数の冷媒圧力センサを配置して、これらの検出結果に応じて、モード切替動作を変更しても良い。
1 車両用空調装置
10 冷凍サイクル装置
14a 暖房用膨張弁
14b 冷房用膨張弁
15a 除湿用開閉弁
15b 暖房用開閉弁
22a バイパス通路
22b 暖房用通路
60 制御装置
60e 均圧切替制御部

Claims (3)

  1. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された吐出冷媒を放熱させる凝縮器(12)を有し、前記吐出冷媒を熱源として、空調対象空間へ送風される送風空気を加熱する加熱部と、
    前記加熱部から流出した冷媒を減圧させる暖房用膨張弁(14a)と、
    前記暖房用膨張弁から流出した冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(16)と、
    前記熱交換器から流出した冷媒を減圧させる吸熱用膨張弁(14b)と、
    前記吸熱用膨張弁から流出した冷媒を蒸発させて冷却対象から吸熱する蒸発器(18)と、
    前記加熱部から流出した冷媒を前記吸熱用膨張弁の上流側へ導くバイパス通路(22a)と、
    前記バイパス通路に配置され、前記バイパス通路を開閉する第1電磁弁(15a)と、
    前記熱交換器から流出した冷媒を前記圧縮機の吸入口側へ導く暖房用通路(22b)と、
    前記暖房用通路に配置され、前記暖房用通路を開閉する第2電磁弁(15b)と、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を制御する制御部(60)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、前記第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が前記第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも小さい場合に、
    前記第1電磁弁の閉状態を維持したまま、前記吸熱用膨張弁の開度を大きくして前記第2差圧を低減する差圧低減工程と、
    前記差圧低減工程の後に、前記第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
    少なくとも前記第2電磁弁の開状態への切替以後に、前記第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行い、
    前記制御部は、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、前記第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が前記第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも大きい場合に、
    前記暖房用膨張弁の開度を大きくして前記第1差圧を低減する差圧低減工程と、
    前記差圧低減工程の間において、前記第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
    少なくとも前記第2電磁弁の開状態への切替以後に、前記第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行う空調装置。
  2. 冷媒を圧縮して吐出する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機から吐出された吐出冷媒を放熱させる凝縮器(12)を有し、前記吐出冷媒を熱源として、空調対象空間へ送風される送風空気を加熱する加熱部と、
    前記加熱部から流出した冷媒を減圧させる暖房用膨張弁(14a)と、
    前記暖房用膨張弁から流出した冷媒と熱媒体とを熱交換させる熱交換器(16)と、
    前記熱交換器から流出した冷媒を減圧させる吸熱用膨張弁(14b)と、
    前記吸熱用膨張弁から流出した冷媒を蒸発させて冷却対象から吸熱する蒸発器(18)と、
    前記加熱部から流出した冷媒を前記吸熱用膨張弁の上流側へ導くバイパス通路(22a)と、
    前記バイパス通路に配置され、前記バイパス通路を開閉する第1電磁弁(15a)と、
    前記熱交換器から流出した冷媒を前記圧縮機の吸入口側へ導く暖房用通路(22b)と、
    前記暖房用通路に配置され、前記暖房用通路を開閉する第2電磁弁(15b)と、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を制御する制御部(60)と、を有し、
    前記制御部は、
    前記第1電磁弁及び前記第2電磁弁を閉状態から開状態に切り替える際に、前記第1電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第1差圧が前記第2電磁弁の前後における冷媒の差圧を示す第2差圧よりも大きい場合に、
    前記暖房用膨張弁の開度を大きくして前記第1差圧を低減する差圧低減工程と、
    前記差圧低減工程の間において、前記第2電磁弁を開状態に切り替える工程と、
    少なくとも前記第2電磁弁の開状態への切替以後に、前記第1電磁弁を開状態に切り替える工程と、を行う空調装置。
  3. 前記熱交換器から流出した冷媒の流れを、前記吸熱用膨張弁へ向かう流れから分岐させる分岐部(13e)と、
    前記分岐部にて分岐された冷媒を減圧させる冷却用膨張弁(14c)と、
    前記冷却用膨張弁から流出した冷媒を蒸発させて冷却対象物を冷却する冷却部(19、50)と、
    前記蒸発器から流出した冷媒の流れと前記冷却部から流出した冷媒の流れとを合流させて、前記圧縮機の吸入口側へ流出させる合流部(13f)と、を有する請求項1又は2に記載の空調装置。
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