以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1から図7は、本発明の第1実施形態に係る包装箱10を示す。図1及び図2に示すように、この包装箱10は、四角筒状の外周部12と、外周部12の開口を塞ぐ蓋部20とを備えるラップアラウンドケースである。蓋部20は、一対の内フラップ21,21と一対の外フラップ23,25とを備え、これらが熱溶融樹脂等の接着剤(貼着部28A,28B)よって貼着(ホットメルト)されている。包装箱10には、蓋部20の一部を開封するための破断部30,32が設けられている。本実施形態では、貼着部28A,28Bから外フラップ25を剥離させることなく、破断部30,32に沿って内フラップ21の一部を円滑に破断可能とする。
(包装箱の概要)
包装箱10は、図3に示す一枚のブランクを所定部位で折り曲げて固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱10の外面)と裏ライナ(包装箱10の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。図3中の一点鎖線は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図3中の二点鎖線は、肉厚を圧縮するように表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。図3中の実線は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
以下の説明では、蓋部20,20が対向する方向をX方向といい、外周部12の側板13,13が対向する方向をY方向といい、外周部12の底板14と天板15が対向する方向をZ方向という。本実施形態の包装箱10は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長く形成されているが、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも長く形成されてもよいし、X方向とY方向の寸法が同一に形成されていてもよく、このような態様も本発明に含まれる。
図1及び図2に示すように、外周部12は、一対の側板(第1側板)13,13、底板14、及び天板(第2側板)15を備える。そのうち、側板13,13は、X方向の寸法がZ方向の寸法よりも長い同一の四角形状である。底板14と天板15は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い概ね同一の四角形状である。底板14と天板15は、側板13,13に対して直交する方向へ相対的に折り曲げられている。
図3を参照すると、天板15、側板13、底板14、及び側板13は、この順で上側から下側へ、折曲線17を介して連設されている。なお、折曲線17が形成された部分が、側板13の第1辺である。図3の下端に位置する側板13には、折曲線17を介して貼着板16が連設されている。貼着板16は、図3の上端に位置する天板15の内面(裏ライナ)に、貼着部28によって貼着されている。折曲線17は、汎用罫線からなり、図1及び図2の組立状態ではX方向に延びている。
引き続いて図1及び図2を参照すると、蓋部20,20は、Y方向の寸法がZ方向の寸法よりも長い同一の四角形状である。個々の蓋部20は、側板13,13のX方向の端に連設された内フラップ21,21と、底板14のX方向の端に連設された外フラップ23と、天板15のX方向の端に連設された外フラップ25とで構成されている。
内フラップ21は、側板13のZ方向に延びる辺(第2辺)に、汎用罫線からなる折曲線22を介して連設されている。内フラップ21,21は、側板13,13に対して、底板14及び天板15と同じ方向に相対的に折り曲げられている。下側の外フラップ23は、底板14のY方向に延びる辺に、汎用罫線からなる折曲線24を介して連設されている。上側の外フラップ25は、天板15のY方向に延びる辺(第3辺)に、汎用罫線からなる折曲線26を介して連設されている。外フラップ23,25は、内フラップ21,21の外面(表ライナ)側に重なるように折り曲げられ、貼着部28A,28Bによって貼着されている。
図3を参照すると、折曲線24から外フラップ23の先端までの外フラップ23の突出寸法は、折曲線26から外フラップ25の先端までの外フラップ25の突出寸法と同一である。これらの突出寸法は、互いの先端が突き合う長さ(側板13のZ方向の寸法の半分)に設定されている。また、折曲線22から内フラップ21の先端までの内フラップ21の突出寸法は、外フラップ23,25の突出寸法と同一に設定されている。これにより、X方向の同一端に位置する内フラップ21,21の先端間には、所定の隙間が形成されている。
包装箱10は、例えば次のように封緘される。まず、図3のブランクを、裏ライナが上側に位置するように配置し、底板14上に収容する物品を配置する。ついで、底板14に対して側板13,13を折り曲げた後、側板13,13に対して貼着板16と天板15を折り曲げる。そして、天板15と貼着板16を貼着部28によって貼着する。
次に、側板13,13に対して内フラップ21,21を折り曲げる。ついで、底板14に対して外フラップ23を折り曲げるとともに、天板15に対して外フラップ25を折り曲げる。そして、内フラップ21,21と外フラップ23,25の重なり合った一部分を、貼着部28A,28Bによって貼着する。これにより、蓋部20が形成され、外周部12の開口が封緘(閉塞)される。
図3を参照すると、天板15と貼着板16の貼着部28は、貼着板16(X方向)に沿って細長く延びている。図1及び図2を参照すると、内フラップ21,21と外フラップ23,25の貼着部28A,28Bは、Y方向に細長く延びている。このY方向は、外フラップ25を開封する際の操作方向(Z方向)と直交する方向である。また、底板14側に位置する貼着部28Aと、天板15側に位置する貼着部28Bとは、Z方向の中央を基準として上下に間隔をあけて配置されている。また、貼着部28A,28BのY方向の内端と内フラップ21の先端とは、所定間隔をあけて位置し、貼着部28A,28BのY方向の外端と折曲線22とは、所定間隔をあけて位置する。
(包装箱の開封構造)
第1実施形態の包装箱10は、蓋部20(内フラップ21)と側板13をZ方向の概ね中央部分で破断することで、トレイ状に開封される(図7参照)。蓋部20の内フラップ21は、上側の外フラップ25の操作により破断され、側板13は、中央の操作部40の操作により破断され、それぞれ天板15側が分離される。包装箱10には、内フラップ21を破断するために、第1破断部30、第2破断部32、及び折目線34が設けられ、側板13を破断するために、破断部45が設けられている。
なお、第1破断部30、第2破断部32、折目線34、及び破断部45は、包装箱10の開封用であり、包装箱10の解体用ではない。また、第1破断部30、第2破断部32、及び折目線34は、貼着部28A,28Bによる貼着位置を回避するように設けられている。
(蓋部の破断構造)
図1から図3に示すように、第1破断部30は、貼着部28A,28B間、つまり貼着部28Bよりも外フラップ25の先端側に位置するように、内フラップ21に設けられている。この第1破断部30は、外フラップ25の操作方向(Z方向上向き)に交差するように、概ねY方向へ延びている。詳しくは、第1破断部30は、内フラップ21の先端側に位置する第1部分30aと、内フラップ21の側板13側に位置する第2部分30bとを備える。第1部分30aは、折曲線26に沿って平行に延びている。第2部分30bは、第1部分30aの端から天板15に向けて、湾曲又は屈曲している。
更に詳しく説明すると、第1破断部30は、内フラップ21の先端側から側板13側に延びる片ジッパーからなる。片ジッパーは、間隔をあけてミシン目状に延びる複数の第1切断線と、個々の第1切断線の側板13側の端から底板14側へ傾斜して延びる第2切断線とを備える。第1破断部30の側板13側は、天板15に向けて傾斜されている。内フラップ21の先端側に位置する第1破断部30の端は、内フラップ21の先端と間隔をあけて位置する。側板13側に位置する第1破断部30の端は、折曲線22と間隔をあけて位置する。
第2破断部32は、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断後に、引き続いて破断されるものである。この第2破断部32は、外フラップ25の操作方向に延びるように、側板13の端の折曲線22(第2辺)上、つまり側板13と内フラップ21の間の稜部に設けられている。第2破断部32は、第1破断部30と同様の片ジッパーからなり、その第2切断線は、底板14側の端から内フラップ21内へ傾斜している。
第2破断部32の底板14側の端は、折曲線22のZ方向中央よりも天板15側に位置し、第1破断部30の側板13側の端と定められた間隔をあけて位置する。第2破断部32の天板15側の端は、折曲線17に対して定められた間隔をあけて位置する。このように、異なる方向に延びる第1破断部30と第2破断部32を連続させていないため、包装箱10の剛性低下を最小限に抑えることができる。但し、第2破断部32と第1破断部30とは必要に応じて連続させてもよい。また、第2破断部32と折曲線17も必要に応じて連続させてもよい。
折目線34は、第2破断部32に沿った破断を補助するもので、貼着部28Bと第2破断部32の間に位置するように、第2破断部32に沿って内フラップ21に設けられている。この折目線34は汎用罫線からなり、第1破断部30側から天板15側に向けて、貼着部28B側から側板13側へ、次第に近づく向きに傾斜している。
詳しくは、折目線34は、貼着部28Bの近傍から折曲線22,26の交点に向けて延びている。折目線34の第1破断部30側の端は、第1破断部30に対して間隔をあけて位置するとともに、第1破断部30の側板13側の端よりも内フラップ21の先端側(Y方向内側)に位置する。折目線34の天板15側の端は、第2破断部32に対して間隔をあけて位置するとともに、第2破断部32のZ方向の中間部分に位置する。
外フラップ25の先端中央を把持し、図4に示すように、外フラップ25を天板15の方へ操作する。すると、外フラップ25への操作力が貼着部28Bを介して内フラップ21,21に伝わり、第1破断部30に沿って内フラップ21,21が破断される。この際、第1破断部30に作用する力は、内フラップ21の先端から側板13側へ伝わり、この向きは貼着部28Bが延びる方向であるため、貼着部28Bから外フラップ25が剥離することはない。
第1破断部30に沿った内フラップ21の破断の完了後、引き続いて外フラップ25を操作すると、図5に示すように、折目線34に沿って内フラップ21が山折れする。これにより、第2破断部32には、第2破断部32と交差する蓋部20の中央に向けたY方向の引張り力が作用する。また、本実施形態では、折目線34の傾斜方向の設定により、天板15側よりも第1破断部30側の変位(引張り力)が大きくなる。そのため、図6に示すように、第1破断部30に沿った破断に引き続いて、第2破断部32に沿って側板13と内フラップ21の間の稜部を確実に破断できる。
このように、外フラップ25を操作することで、貼着部28Bから外フラップ25を剥離させることなく、破断部30,32に沿って内フラップ21を円滑に破断できる。よって、内フラップ21,21と外フラップ23,25からなる蓋部20の開封性を向上できる。
(蓋部の破断補助構造)
図1から図3に示すように、外フラップ25には、破断部30,32に沿った破断を補助(開封性を向上)するために、一対の第1補助折曲線36,36と、一対の第2補助折曲線38,38とが設けられている。
第1補助折曲線36は、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断を補助するもので、外フラップ25のY方向の中央に設けられている。この第1補助折曲線36は、蓋部20を構成する一対の内フラップ21,21の先端間に設けられている。詳しくは、第1補助折曲線36は、汎用罫線からなり、外フラップ25の先端中央側から天板15側に延び、Y方向外向き(側板13に近づく向き)に傾斜している。但し、第1補助折曲線36は、折曲線22に対して平行に位置するように、Z方向に延びるように形成してもよい。
外フラップ25の先端側に位置する第1補助折曲線36の端は、外フラップ25の先端と間隔をあけて位置する。天板15側に位置する第1補助折曲線36の端は、天板15(折曲線26)と間隔をあけて位置する。
第2補助折曲線38は、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断と、第2破断部32に沿った内フラップ21の破断を補助するもので、外フラップ25のY方向の外側に設けられている。この第2補助折曲線38は、逆罫線からなり、天板15の端の折曲線26と貼着部28Bの間に位置し、折曲線26に沿って延びている。図2に最も明瞭に示すように、第2補助折曲線38は、第2補助折曲線38の延長線(図示せず)が折目線34と交差するように、外フラップ25の側縁から外フラップ25の中央に向けて、天板15側へ近づく向きに傾斜している。
第2補助折曲線38の側板13の端は、貼着部28の近傍に位置するとともに、外フラップ25の側縁と間隔をあけて位置する。外フラップ25の中央側に位置する第2補助折曲線38の端は、折曲線26と間隔をあけて位置するとともに、第1補助折曲線36の天板15側の端と間隔をあけて位置する。本実施形態では、第2補助折曲線38を延長すると、折曲線26上で第1補助折曲線36の延長線と交差するように、補助折曲線36,38の傾斜角度が設定されている。
図4に示すように、外フラップ25を開封操作すると、外フラップ25は、中央の第1補助折曲線36に沿って山折れするとともに、側板13側の第2補助折曲線38に沿って谷折れする。第1補助折曲線36による外フラップ25の山折れによって、内フラップ21の第1破断部30にはせん断力が作用する。また、第2補助折曲線38による外フラップ25の谷折れによって、内フラップ21の第1破断部30には引張り力が作用する。そして、これらの力が相俟って第1破断部30に作用するため、第1破断部30に沿って内フラップ21を確実に破断できる。
第1破断部30に沿った内フラップ21の破断後には、第2補助折曲線38に沿った外フラップ25の谷折れによって、折目線34に沿って内フラップ21が山折れする。すると、第2補助折曲線38に沿った外フラップ25の谷折れにより、貼着部28Bを介して内フラップ21が外向きに引っ張られるため、内フラップ21の変位量が大きくなる。よって、第2破断部32に沿った側板13と内フラップ21の間の稜部の破断が促進されるため、外フラップ25の操作による内フラップ21の破断作業性を向上できる。
(側板の破断構造)
図1及び図3に示すように、操作部40は、側板13を天板15に向けて操作するためのもので、側板13の概ね中央に設けられている。この操作部40は、折曲線41、一対の第1破断線42,42、及び第2破断線43によって画定されている。
折曲線41は、汎用罫線からなり、折曲線17に沿ってX方向に延びている。第1破断線42は、間隔をあけて形成された2以上の切断線からなり、折曲線41の両端から内フラップ21に向けて、X方向へ円弧状に延びている。第2破断線43は、間隔をあけて形成された2以上の切断線からなり、一対の第1破断線42,42のX方向の外端のうち、一方から他方へ円弧状に延びている。
破断部45は、操作部40の操作により側板13,13を破断するもので、操作部40のX方向両側にそれぞれ設けられている。この破断部45は、所定間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、操作部40から内フラップ21に向けて、折曲線17に沿って延びている。詳しくは、破断部45は、第1破断線45a、第2破断線45b、及び第3破断線45cを備える。
第1破断線45aは、操作部40から折曲線22に向けて、折曲線17と平行に延びている。第2破断線45bは、第1破断線45aの外端から天板15に向けて、X方向外向きに傾斜している。第3破断線45cは、第2破断線45bの外端から折曲線22の近傍にかけて、折曲線17と平行に延びている。なお、全体として破断部45は、折曲線17と平行に形成してもよいし、円弧状に形成してもよいし、凹凸を繰り返す波状に形成してもよく、その形状は必要に応じて変更が可能である。
破断部45に沿って側板13を破断する際には、操作部40をY方向の内向きに押す。これにより、第1破断線42,42と第2破断線43に沿って側板13を破断し、操作部40を開口させる。
次に、操作部40に手を差し込み、側板13の天板15側を把持して、天板15の方へ操作する。これにより、第1破断線45a、第2破断線45b、及び第3破断線45cに沿って側板13を破断する。破断が第3破断線45cの外端に達すると、第2破断部32又は第2破断部32に沿って破断した縁に繋がることで、包装箱10を図7に示すように開封できる。
(側板の破断補助構造)
図1及び図3に示すように、側板13には、破断部45に沿った破断を補助するために、一対の第3補助折曲線47,47と、一対の第4補助折曲線48,48と、一対の第5補助折曲線49,49とが設けられている。これらの補助折曲線47~49は、破断部45よりも天板15側に位置するように、側板13に設けられている。
第3補助折曲線47は、汎用罫線からなり、側板13のX方向の中央部分に形成されている。この第3補助折曲線47は、操作部40側から天板15側に延び、X方向外向きに傾斜している。但し、第3補助折曲線47は、折曲線22に対して平行に位置するように、Z方向に延びるように形成してもよい。第3補助折曲線47の操作部40側の下端は、操作部40と間隔をあけて位置する。第3補助折曲線47の天板15側の上端は、折曲線17と間隔をあけて位置する。
第4補助折曲線48は、逆罫線からなり、第3補助折曲線47よりもX方向の外側に位置するように、側板13に形成されている。この第4補助折曲線48は、第3補助折曲線47とは逆向きに傾斜されている。つまり、第4補助折曲線48は、第3破断線45c側から天板15側に延び、X方向内向きに傾斜している。但し、第4補助折曲線48は、折曲線22に対して平行に位置するように、Z方向に延びるように形成してもよい。第4補助折曲線48の第3破断線45c側の下端は、第3破断線45cと間隔をあけて位置する。第4補助折曲線48の天板15側の上端は、折曲線17と間隔をあけて位置する。
第5補助折曲線49は、汎用罫線からなり、第4補助折曲線48よりもX方向の外側に位置するように、側板13に形成されている。この第5補助折曲線49は、第4補助折曲線48とは逆向き傾斜され、第3補助折曲線47と同じ向きに傾斜されている。つまり、第5補助折曲線49は、第3破断線45c側から天板15側に延び、X方向外向きに傾斜している。但し、第5補助折曲線49は、折曲線22に対して平行に位置するように、Z方向に延びるように形成してもよい。第5補助折曲線49の第3破断線45c側の下端は、第3破断線45cと間隔をあけて位置する。第5補助折曲線49の天板15側の上端は、折曲線17と間隔をあけて位置する。
開封操作により側板13は、中央の第3補助折曲線47に沿って山折れし、両側の第4補助折曲線48に沿って谷折れし、両側の第5補助折曲線49に沿って山折れする。すると、側板13には、破断部45に沿ったせん断力と引張り力が作用するため、破断部45に沿って側板13を確実に破断できる。
(包装箱の開封作業)
封緘状態の包装箱10を開封する場合、例えば、外フラップ25を操作して蓋部20を破断した後、操作部40を操作して側板13を破断する。但し、操作部40の操作により側板13を破断した後、外フラップ25の操作により蓋部20を破断することで、包装箱10を開封してもよい。また、包装箱10内から物品の一部だけを取り出す場合、図6に示すように、一対の蓋部20.20のうちの一方だけを開封した状態としてもよい。つまり、使用者は必要に応じた開封状態とするが、本実施形態の包装箱10によれば、いずれの態様で開封する場合でも包装箱20を円滑に破断できる。
(第2実施形態)
図8から図10は第2実施形態の包装箱10を示す。この第2実施形態では、側板13には破断構造を設けることなく、蓋部20の天板15側と底板14側の両方を開放可能としている。詳しくは、内フラップ21には、Z方向中央にY方向へ直線状に延びる第1破断部30が設けられ、折曲線22上には、第1破断部30の上方から下方にかけて延びる第2破断部32が設けられている。また、下側の外フラップ23には、上側の外フラップ25と同様に、第1補助折曲線36と第2補助折曲線38とが設けられている。
図8及び図9に示すように、第1破断部30は、Y字形状をなす複数の切断線によって構成されている。切断線の二股に分かれた分岐部分は、側板13側に形成されている。全体として第1破断部30は、折曲線22に対して直交する方向に延びている。但し、第1破断部30は、直線状であれば、折曲線22に対して傾斜していてもよい。
第2破断部32は、第1実施形態と同様の片ジッパーからなる。第1破断部30よりも天板15側に位置する第1部分32aでは、折曲線22に沿って延びる第1切断線の下端に、第2切断線が設けられている。第1破断部30よりも底板14側に位置する第2部分32bでは、折曲線22に沿って延びる第1切断線の上端に、第2切断線が設けられている。
折目線34は、1枚の内フラップ21に、第1破断部30を基準線として対称に一対設けられている。これらの折目線34は、貼着部28A,28Bと第2破断部32の間に設けられ、第2破断部32に沿って延びている。
この包装箱10を開封する場合、例えば第1実施形態と同様に上側の外フラップ25を操作することで、蓋部20の天板15側を開封する。その後、下側の外フラップ23を操作して、蓋部20の底板14側を開封する。この際、内フラップ21,21は、第1破断部30に沿って既に破断されているため、外フラップ23の操作では、未だ破断されていない第2部分32bに沿ってのみ破断される。
開封操作により外フラップ23は、第1補助折曲線36に沿って山折れし、第2補助折曲線38に沿って谷折れする。これにより内フラップ21は、折目線34に沿って山折れする。よって、第2破断部32の第2部分32bには、第1部分32aと同様に、Y方向の引張り力が作用するため、側板13と内フラップ21の稜部を確実に破断できる。その結果、図10に示すように、側板13に対して内フラップ21全体を破断し、外周部12の一端を開封できる。
(第3実施形態)
図11から図14は第3実施形態の包装箱60を示す。図11に示すように、この包装箱60は、四角筒状の外周部62と、外周部62の下端開口を塞ぐ下蓋部68と、外周部62の上端開口を塞ぐ上蓋部74とを備える汎用ケースである。この第3実施形態では、第1破断部30、第2破断部32、折目線34、第1補助折曲線36、及び第2補助折曲線38は、上蓋部74に設けられている。
(包装箱の概要)
以下の説明では、外周部62の端板63,63が対向する方向をX方向といい、外周部62の側板64,64が対向する方向をY方向といい、下蓋部68と上蓋部74が対向する方向をZ方向という。本実施形態の包装箱60は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長く形成されているが、Y方向の寸法がX方向の寸法よりも長く形成されてもよいし、X方向とY方向の寸法が同一に形成されていてもよい。
図11に示すように、外周部62は、一対の端板(第1側板)63,63と、一対の側板(第2側板)64,64とを備える。端板63,63は、Y方向の寸法がZ方向の寸法よりも長い概ね同一の四角形状である。側板64,64は、X方向の寸法がZ方向の寸法よりも長い同一の四角形状である。側板64,64は、端板63,63に対して直交する方向へ相対的に折り曲げられている。
図12を参照すると、端板63と側板64は、左側から右側へ折曲線66を介して交互に連設されている。なお、折曲線66が形成された部分が、端板63の第1辺である。図12の右端に位置する側板64には、折曲線66を介して貼着板65が連設されている。貼着板65は、図12の左端に位置する端板63の内面(裏ライナ)に、貼着部28によって貼着されている。折曲線66は、汎用罫線からなり、図11の組立状態ではZ方向に延びている。
図12を併せて図11を参照すると、下蓋部68と上蓋部74は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも長い同一の四角形状である。
下蓋部68は、一対の内フラップ69,69と、一対の外フラップ71,71とを備える。内フラップ69,69は、概ね同一の四角形状であり、汎用罫線からなる折曲線70,70を介して、端板63,63の下辺に連設されている。外フラップ71,71は、概ね同一の四角形状であり、汎用罫線からなる折曲線72,72を介して、側板64,64の下辺に連設されている。
上蓋部74は、一対の内フラップ75,75と、一対の外フラップ77,77とを備える。内フラップ75,75は、概ね同一の四角形状であり、汎用罫線からなる折曲線76,76を介して、端板63,63の上辺(第2辺)に連設されている。外フラップ77,77は、概ね同一の四角形状であり、汎用罫線からなる折曲線78,78を介して、側板64,64の上辺(第3辺)に連設されている。
端板63に対して内フラップ69,75は、側板64と同じ方向に相対的に折り曲げられている。側板64に対して外フラップ71,77は、端板63と同じ方向に相対的に折り曲げられている。これにより、下蓋部68では、内フラップ69,69の外面に外フラップ71,71が重なり、これらの重なり合った一部分が貼着部28,28によって貼着されている。上蓋部74では、内フラップ75,75の外面に外フラップ77,77が重なり、これらの重なり合った一部分が貼着部28,28によって貼着されている。
(上蓋部の破断構造)
図11及び図12に示すように、上蓋部74には、内フラップ75を破断するための第1破断部30、第2破断部32、及び折目線34が設けられている。
第1破断部30は、外フラップ77の概ね先端に位置するように、内フラップ75に設けられている。この第1破断部30は、片ジッパーからなり、外フラップ77の開封操作方向(Y方向右向き)に交差するように、X方向へ直線状に延びている。
第2破断部32は、外フラップ77の操作方向に延びるように、端板63の端の折曲線76(第2辺)上に設けられている。この第2破断部32は、第2実施形態と同様に、第1破断部30を挟んでY方向の両側に位置する第1部分32aと第2部分32bとを備える。第2破断部32は、片ジッパーからなり、第1切断線が折曲線76上に設けられ、第2切断線が第1切断線の第1破断部30側の端に設けられている。
折目線34は、貼着部28,28と第2破断部32の間にそれぞれ位置するように、内フラップ75に設けられ、第2破断部32に沿って延びている。この折目線34は汎用罫線からなり、第1破断部30側から側板64側に向けて、貼着部28,28側から端板63側へ、端板63に近づく向きに傾斜している。
一対の外フラップ77,77のうち一方を把持し、図13に示すように、外フラップ77を連続する側板64の方へ操作する。すると、外フラップ77への操作力が貼着部28を介して内フラップ75,75に伝わり、第1破断部30に沿って内フラップ75,75が破断される。
第1破断部30に沿った内フラップ75の破断が完了した後、引き続いて外フラップ77を操作すると、折目線34に沿って内フラップ75が山折れする。これにより、第2破断部32には、第2破断部32と交差する上蓋部74の中央に向けたX方向の引張り力が作用する。また、折目線34の傾斜方向の設定により、内フラップ75のY方向中央でのX方向の変位(引張り力)が大きくなる。よって、図14に示すように、第1破断部30に沿った破断に引き続いて、第2破断部32(第1部分32a)に沿って端板63と内フラップ75の間の稜部を確実に破断できる。
また、一対の外フラップ77,77のうち一方の開封が完了すると、他方を把持して開封操作する。これにより、残りの内フラップ75を第2破断部32(第2部分32b)に沿って破断できる。よって、外周部62の上端全てを開封することができる。
(蓋部の破断補助構造)
図11及び図12に示すように、一対の外フラップ77,77のうちの一方には、開封用の操作部80と、破断部30,32に沿った破断を補助するための補助折曲線36,38とが設けられている。
操作部80は、封緘状態で外フラップ77を把持するためのもので、外フラップ77の先端中央に設けられている。この操作部80は、外フラップ77の先端、折曲線81、及び一対の破断線82,82によって画定されている。
折曲線81は、汎用罫線からなり、外フラップ77の先端に沿ってX方向に延びている。破断線82は、間隔をあけて形成された2以上の切断線からなり、折曲線81のX方向の端から両側へ円弧状に延び、外フラップ77の先端にかけて設けられている。
第1補助折曲線36は、一対の内フラップ75,75間に位置する操作部80から、外フラップ77が連続する側板64に向けてY方向に延びている。この第1補助折曲線36は、汎用罫線からなり、X方向外向きに傾斜している。但し、第1補助折曲線36は、折曲線76に対して平行に形成してもよい。
第2補助折曲線38は、外フラップ77のX方向の外側に設けられている。この第2補助折曲線38は、概ね段ボールシートの肉厚分の隙間をあけて、平行に延びる一対の汎用罫線からなる。第2補助折曲線38は、貼着部28と折曲線78の間に位置し、折目線34と交差するように折曲線78に対して傾斜している。
図13に示すように、操作部80を開口させ、外フラップ77を操作すると、外フラップ77は、第1補助折曲線36に沿って山折れするとともに、一対の第2補助折曲線38,38に沿って谷折れする。すると、内フラップ75には、第1破断部30に沿ってせん断力と引張り力が作用するため、第1破断部30に沿って内フラップ75を確実に破断できる。
第1破断部30に沿った内フラップ75の破断後には、第2補助折曲線38に沿った外フラップ77の谷折れによって、折目線34に沿って内フラップ75が山折れし、内フラップ75の変位量が大きくなる。よって、第2破断部32に沿った端板63と内フラップ75の間の稜部の破断が促進されるため、内フラップ75の破断作業性を向上できる。
このように、第3実施形態の包装箱60は汎用ケースであるが、第1実施形態と同様に、外フラップ77の操作により折目線34に沿って内フラップ75が折れ曲がる。そして、貼着部28から外フラップ77を剥離させることなく、第1破断部30に沿った破断後に、第2破断部32に沿った破断が可能である。よって、包装箱60の開封性を向上できる。
(第4実施形態)
図15から図17は第4実施形態の包装箱60を示す。図15に示すように、この包装箱60は、第3実施形態と同様の汎用ケースであり、Z方向の全高を第3実施形態よりも高くしている。また、図17に示すように、第4実施形態の包装箱60では、一対の外フラップ77,77のうちの一方だけを開封可能とするとともに、外周部62の一部も一緒に開封可能とした点で、第3実施形態と相違する。
詳しくは、図15及び図16に示すように、第1破断部30と折目線34は、第3実施形態と同様に内フラップ75に設けられている。また、第1補助折曲線36も、第3実施形態と同様に外フラップ77に設けられている。第2補助折曲線38は、1本のリード罫によって構成した点で、第3実施形態と相違する。なお、リード罫とは、汎用罫線上に所定間隔をあけて切断線を設けたものである。操作部80は、打ち抜きにより最初から開口させた点で、第3実施形態と相違する。
そして、第4実施形態の包装箱60では、第2破断部32が端板63(第1側板)に設けられている。また、第4実施形態の包装箱60には、第3破断部85、切込線86、及びヒンジ線87が設けられている。
第2破断部32は、折曲線76(第2辺)と間隔をあけて位置するように、端板63,63にそれぞれ設けられている。この第2破断部32は、ミシン目状をなすように所定間隔をあけて切断線を設けた構成であり、折曲線76に対して平行に延びている。第2破断部32のY方向の一端は、第1破断部30の形成位置に対応し、第2破断部32のY方向の他端は、折曲線66上に位置している。但し、第2破断部32の他端は、折曲線66に対して間隔をあけて形成されてもよい。
第3破断部85は、内フラップ75に形成された第1破断部30と、端板63に形成された第2破断部32とを繋ぐもので、端板63に設けられている。この第3破断部85は、ミシン目状をなすように所定間隔をあけて切断線を設けた構成であり、折曲線66に沿ってZ方向に延びている。第3破断部85と第1破断部30は、連続するように形成してよいし、間隔をあけて形成してもよく、第1破断部30に沿った破断に引き続いて第3破断部85に沿って破断される態様であればよい。第3破断部85と第2破断部32も、連続するように形成してよいし、間隔をあけて形成してもよく、第3破断部85に沿った破断に引き続いて第2破断部32に沿って破断される態様であればよい。
切込線86は、切断線と同様に、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成したもので、折曲線66からX方向内向きに延びるように、側板64に設けられている。切込線86と第2破断部32は、連続するように形成してよいし、間隔をあけて形成してもよい。切込線86の全長は、上蓋部74の開封による側板64の裂けを防ぐことが可能であれば、可能な限り短くすることが好ましい。
ヒンジ線87は、汎用罫線からなり、一対の切込線86,86のうち、一方の内端から他方の内端にかけてX方向に延びている。このヒンジ線87は、円弧状の凹凸を繰り返す波状に形成されているが、直線状に形成してもよい。また、ヒンジ線87の両端には、汎用罫線からなり、側板64と外フラップ77の間の折曲線78の端にかけて延びる補助折曲線88が設けられている。
この包装箱60を開封する場合、操作部80から手を差し込んで外フラップ77を側板64に向けて操作する。これにより、第3実施形態と同様に、第1破断部30に沿って内フラップ75を破断できる。この破断は、折目線34に沿った内フラップ75の折れ曲がりと、第1補助折曲線36と第2補助折曲線38に沿った外フラップ77の折れ曲がりとにより、促進される。
内フラップ75の破断完了後、外フラップ77の操作を続けると、引き続いて第3破断部85に沿って端板63がZ方向に破断された後、引き続いて第2破断部32に沿って端板63がY方向に破断される。そして、端板63の破断が完了すると、破断が切込線86で止まり、図17に示すように、ヒンジ線87に沿って側板64が折曲可能になる。
このように、第2破断部32は、端板63(第1実施形態の側板13)と内フラップ75(第2実施形態の内フラップ21)の稜部に設ける構成に限られず、稜部と間隔をあけて形成してもよい。そして、外フラップ77(第1実施形態の外フラップ25)の操作により、外周部62(第1実施形態の外周部12)の一部を一緒に破断した開封状態としてもよい。このようにすれば、開封部分の面積を大きくすることができるため、内部の物品の取出作業性を向上できる。
(第5実施形態)
図18は第5実施形態の包装箱10を示す。この包装箱10は、第1実施形態と同様のラップアラウンドケースであり、内フラップ21又は側板13を破断するための第2破断部を設けていない点と、側板13を破断するための破断部を設けていない点で、第1実施形態と相違する。
この包装箱10では、外フラップ25を操作すると、第1実施形態と同様に、第1破断部30に沿って内フラップ21がY方向に破断される。その後、外フラップ25の操作を続けると、第2部分30bの傾斜と、折目線34に沿った内フラップ21の折れ曲がりにより、引き続いて内フラップ21と側板13の稜部(側板13の第2辺)が破断される。これにより、包装箱10を図6のように開封することができる。
第5実施形態では、第2破断部を設けていないため、内フラップ21と側板13の間の破断縁は不整の形になるが、包装箱10の剛性低下を抑制できる。また、蓋部20の底板14側が閉じられたままのため、包装箱10内から一部の物品だけを取り出す場合に有効である。
(第6実施形態)
図19から図25は第6実施形態の包装箱10を示す。この包装箱10は、第1実施形態と同様のラップアラウンドケースであり、第1実施形態の包装箱10とは底板14と天板15の間隔(Z方向の高さ)が異なっている。また、図19に示すように、包装箱10は、内フラップ21の折目線34を、外フラップ25の開封操作方向(Z方向上向き)における貼着部28Bの前側(上側)に設けた点で、第1実施形態と最も異なっている。なお、側板13には、側板13を破断するための破断部45は設けられていない。
図21を参照すると、本実施形態の外周部12は、側板13、天板15、側板13、底板14、及び貼着板16の順で上側から下側へ、折曲線17を介して連設されている。蓋部20を構成する内フラップ21は、折曲線22を介して側板13に連設され、外フラップ23,25は、折曲線24,26を介して底板14と天板15に連設されている。
(蓋部の破断構造)
図19から図21に示すように、包装箱10には、蓋部20を開封するために、内フラップ21を破断するための第1破断部30、第2破断部32、及び折目線34が設けられている。
第1破断部30は、貼着部28A,28B間に位置するように内フラップ21に設けられ、外フラップ25の操作方向(Z方向上向き)に交差するようにY方向へ延びている。第1破断部30は、内フラップ21のZ方向の中央よりも、底板14側へ偏った位置に設けられている。
更に詳しく説明すると、第1破断部30は、Y方向へ間隔をあけてミシン目状に延びる複数の切断線からなる。内フラップ21の先端には、第1破断部30に連続する切欠部90が設けられている。本実施形態では、内フラップ21の先端側に位置する第1破断部30の端は切欠部90に連続し、側板13側に位置する第1破断部30の端は折曲線22上に位置しているが、それぞれ間隔をあけて設けてもよい。
第2破断部32は、外フラップ25の操作方向に延びるように、側板13の端の折曲線22(第2辺)上に設けられている。第2破断部32は、Z方向へ間隔をあけてミシン目状に延びる複数の切断線からなる。第2破断部32の底板14側の端は、第1破断部30よりも底板14側へ延び、底板14とは間隔をあけて位置する。第2破断部32の天板15側の端は、概ね貼着部28Bの高さまで延び、天板15とは間隔をあけて位置する。
折目線34は、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断と、第2破断部32に沿った内フラップ21の破断とを補助するもので、貼着部28Bと天板15の折曲線(第3辺)26の間に位置するように、内フラップ21に設けられている。折目線34は逆罫線からなり、折曲線26に沿って延び、内フラップ21の先端から側板13に向けて、貼着部28B(底板14)に近づく下向きに傾斜されている。
内フラップ21の先端側に位置する折目線34のY方向の内端は、貼着部28Bの内端とY方向の位置が概ね一致しており、内フラップ21の先端、及び天板15側の内フラップ21の縁とは間隔をあけて位置する。側板13側に位置する折目線34のY方向の外端は、貼着部28Bの外端よりも側板13の近くまで延び、側板13の折曲線22とは間隔(例えば15mm以上)をあけて位置する。なお、折目線34は、Y方向の外端を起点とし、Y方向内側へ可能な限り長く形成することが好ましい。
外フラップ25の先端中央を把持し、図22に示すように、外フラップ25を天板15の方へ操作する。すると、外フラップ25への操作力が貼着部28Bを介して内フラップ21,21に伝わり、内フラップ21が折目線34に沿って谷折れする。よって、内フラップ21には、Z方向の引張り力が作用するため、第1破断部30に沿って内フラップ21を破断できる。また、本実施形態では、内フラップ21に設けた切欠部90に引張り力が集中するため、第1破断部30に沿って内フラップ21を効果的に破断できる。
第1破断部30に沿った内フラップ21の破断の完了後、引き続いて外フラップ25を操作すると、図23に示すように、折目線34に沿った内フラップ21の谷折れが促進される。これにより、第2破断部32には、X方向のせん断力が作用する。また、本実施形態では、折目線34の傾斜角度の設定により、側板13から離れる向きの引張り力も作用する。よって、図24に示すように、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断に引き続いて、第2破断部32に沿って側板13と内フラップ21の間の稜部を確実に破断できる。
このように、外フラップ25を操作することで、貼着部28Bから外フラップ25を剥離させることなく、破断部30,32に沿って内フラップ21を円滑に破断できる。よって、内フラップ21,21と外フラップ23,25からなる蓋部20の開封性を向上できる。
また、外フラップ25の開封が完了すると、必要に応じて底板14側の外フラップ23も開封する。つまり、第2実施形態と同様に、外フラップ23を操作を底板14側に操作し、第2破断部32の残りと折曲線22に沿って、内フラップ21と側板13の稜部を破断する。これにより、図25に示すように、側板13に対して内フラップ21全体を破断し、外周部12の一端を開封する。
(蓋部の破断補助構造)
図19から図21に示すように、外フラップ25には、破断部30,32に沿った破断を補助するために、一対の第1補助折曲線36,36と、一対の第2補助折曲線38,38とが設けられている。そのうち、第1補助折曲線36は、第1実施形態と同様に設けられている。
第2補助折曲線38は、折目線34が位置する外フラップ25だけに、概ね第1実施形態と同様に設けられている。つまり、第2補助折曲線38は逆罫線からなり、天板15の端の折曲線26と貼着部28Bの間に位置し、折曲線26に沿って延びている。第2補助折曲線38と折目線34の傾斜角度は一致し、それぞれ同じ方向へ延びている。図20を参照すると、第2補助折曲線38と折目線34は、外フラップ25を正対する向きに見て、一部が重なるように設けられている。なお、図20では、第2補助折曲線38と折目線34の両方を認識できるように図示している。
第2補助折曲線38と折目線34の傾斜角度、つまり天板15の折曲線(第3辺)26と第2補助折曲線38及び折目線34とのなす角は、大きすぎても小さすぎても好ましくない。折曲線26に対する傾斜角度を過度に小さくすると、折曲線26との角度差が無くなるため、外フラップ25と内フラップ21の谷折れが困難になる。折曲線26に対する傾斜角度を過度に大きくすると、第1破断部30に沿った内フラップ21の破断を促進できなくなる。よって、第1破断部30と第2破断部32に沿った内フラップ21の破断を促進するには、折曲線26に対する第2補助折曲線38と折目線34の傾斜角度は、3度以上60度以下の範囲に設定する必要があり、この範囲中の5度以上45度以下に設定することが好ましく、本実施形態では16度としている。
図22に示すように、外フラップ25を開封操作すると、外フラップ25は、中央の第1補助折曲線36に沿って山折れするとともに、側板13側の第2補助折曲線38に沿って谷折れする。この第2補助折曲線38の谷折れによって、第2補助折曲線38に一部が一致する折目線34に沿った内フラップ21の谷折れが促進される。
第1補助折曲線36による外フラップ25の山折れによって、内フラップ21の第1破断部30にはせん断力が作用する。また、第2補助折曲線38による外フラップ25の山折れによって、内フラップ21の第1破断部30に作用する引張り力が促進される。そして、これらの力が相俟って第1破断部30に作用するため、第1破断部30に沿って内フラップ21を確実に破断できる。
第1破断部30に沿った内フラップ21の破断後には、第2補助折曲線38に沿った外フラップ25の谷折れによって、折目線34に沿った内フラップ21の谷折れが促進される。よって、第2破断部32に沿った側板13と内フラップ21の間の稜部の破断が促進されるため、外フラップ25の操作による内フラップ21の破断作業性を向上できる。
底板14側を開封する際には、外フラップ23を底板14側に操作することで、第1補助折曲線36に沿って外フラップ23が山折れする。よって、側板13と内フラップ21の間の稜部に引張り力を作用させることができるため、稜部を効果的に破断できる。
以上のように、第6実施形態の包装箱10では、第1実施形態と同様に、内フラップ21に設けた折目線34によって、第1破断部30と第2破断部32に沿った内フラップ21の破断を効果的に行うことができる。よって、包装箱10の蓋部20の開封性を向上できる。また、第6実施形態のように、折目線34を外フラップの操作方向の前側に設ける構成は、第3実施形態の包装箱(汎用ケース)60であっても同様に適用でき、同様の作用及び効果を得ることができる。
なお、本発明の包装箱10,60は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、第1破断部30は、第1実施形態のように一部が湾曲又は傾斜した形状としてもよいし、第2実施形態のように直線状に形成してもよい。また、第1破断部30は、全体として湾曲した形状としてもよいし、外フラップの操作方向に対して定められた角度で傾斜させてもよい。
第2破断部32は、第1破断線30側の一部を湾曲又は傾斜させた形状としてもよいし、全体を湾曲又は傾斜させてもよい。なお、全体を湾曲又は傾斜させる場合、第1側板と内フラップの間の稜線(第2辺)上に、第2破断部32の一端を配置することが好ましい。また、第2破断部32は、第1側板と内フラップの稜線と間隔をあけて、第1側板側に設けてもよいし、内フラップ側に設けてもよい。
折目線34は、間隔をあけて断続的に設けた2以上の汎用罫線又は逆罫線によって構成してもよい。また、折目線34は、所定間隔をあけて並設した2以上の汎用罫線又は逆罫線によって構成してもよい。さらに、折目線34は、汎用罫線又は逆罫線に沿って切断線を設けたリード罫によって構成してもよい。そして、折目線34は、一部を湾曲又は傾斜させた形状としてもよいし、全体を湾曲させた形状としてもよい。
第1補助折曲線36は、一部又は全体を湾曲させてもよい。また、第2補助折曲線38も、一部又は全体を湾曲させてもよい。また、第2補助折曲線38は、組立状態で折目線34と交差する全長としてもよい。さらに、第1補助折曲線36及び第2補助折曲線38も、断続的に設けた2以上の罫線によって構成してもよいし、並設した2以上の罫線によって構成してもよいし、リード罫によって構成してもよい。
第1破断部30及び第2破断部32は、片ジッパーやミシン目状の破断線に限られず、表ライナ側又は裏ライナ側の半分を切断したハーフカット線によって構成してもよく、その種類は必要に応じて変更が可能である。
包装箱は、第1側板と第2側板の間に面取り板を備えていてもよいし、第1側板と内フラップの間に面取り板を備えていてもよいし、第2側板と外フラップの間に面取り板を備えていてもよい。第1側板と内フラップの間に面取り板を形成する場合、第1破断部は、内フラップと面取り板の稜部まで設けてもよいし、側板と面取り板の稜部まで設けてもよい。
内フラップと外フラップは、熱溶融樹脂による貼着に限られず、酢酸ビニルエマルジョン系の接着剤によって貼着してもよいし、両面テープによって貼着してもよく、所定の貼着力が得られるならば、貼着する手段は必要に応じて変更が可能である。
また、包装箱の素材は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートであってもよい。また、包装箱の素材は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートであってもよい。