JP7154593B2 - 複合荷電粒子ビーム装置、及び制御方法 - Google Patents
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Description
また、電子ビームにおいてもビームブースターを使用することは周知されている(特許文献5)。
集束イオンビームの制御方法として、イオンビームの電流量に対応してレンズの設定、非点補正値、アパーチャ径、ビームアライメントへの印加電圧、および対物レンズへの印加電圧等のイオンビーム光学条件と、複数個の加工内容とをコンピュータに記憶させておき、加工内容に従って光学条件を選択、設定し複数個の加工を行うことが開示されている(特許文献7)。
集束イオンビームのレンズの制御として、集束電圧テーブルを作成し、この集束電圧テーブルに基づいて集束電圧を設定することによってビーム電流値を基準値または任意値に合わせることが開示されている(特許文献8)。
(1)本発明の一態様に係る複合荷電粒子ビーム装置は、イオンビームを供給するイオン供給部と、前記イオン供給部が供給する前記イオンビームに加速電圧を印加することによって加速させる加速電圧印加部と、前記加速電圧印加部が加速させた前記イオンビームを集束させる第1集束部と、前記第1集束部が集束させた前記イオンビームにビームブースター電圧を印加するビームブースター電圧印加部と、前記ビームブースター電圧印加部が前記ビームブースター電圧を印加した前記イオンビームを集束させて試料に照射させる第2集束部と、電子ビームを前記試料に照射する電子ビーム照射部と、前記ビームブースター電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記ビームブースター電圧の値を、前記加速電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記加速電圧の値と、集束させた前記イオンビームの焦点距離とに応じて予め決められた設定値に基づいて設定する制御部とを備える。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る複合荷電粒子ビーム装置Dの構成の一例を示す図である。
複合荷電粒子ビーム装置Dは、集束イオンビーム装置D1と、ビームブースター制御部6と、ビームブースター電源部7と、レンズ電源部8と、制御部9と、タンク制御モジュール12と、ホストPB部13と、真空制御部14と、ステージ制御部15と、スキャンボード16と、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)17と、走査型電子顕微鏡D2(不図示)とを備える。
引き出し電源11は、イオンエミッタEの先端と、引出電極2との間に引き出し電圧Vextを印加することによって、当該先端から荷電粒子としてガリウムイオンを引き出す。
スティグマ電極42は、ビームブースター制御部6のスティグマ電源62と接続され、イオンビームBに電圧を印加することによって、通過するイオンビームBを断面形状の歪みを補正し、真円に形成する。
ブランキング電極43は、ビームブースター制御部6のブランキング電源63と接続され、イオンビームBに電圧を印加することによって、通過するイオンビームBを試料SP1に照射されないように偏向させる。
デフレクション電極44は、ビームブースター制御部6のデフレクション電源64と接続され、イオンビームBに電圧を印加することによって、通過するイオンビームBを試料SP1上に走査する。
メモリコントロールユニット(MCU:Memory Control Unit)60は、ビームブースター電源部7によって設定されるビームブースター電圧Vbに基づいて、アライメント電源61と、スティグマ電源62と、ブランキング電源63と、デフレクション電源64とを制御する。
レンズ電源部8は、コンデンサレンズ電源80と、対物レンズ電源81とを備える。コンデンサレンズ電源80は、コンデンサレンズ3に電圧を印加する。対物レンズ電源81は、対物レンズ5に電圧を印加する。
なお、光絶縁Pは、スキャンボード16と高圧フローティング部66との間に備えられる代わりに、高圧フローティング部66内に備えられて、D/A変換部67によって変換されたXアナログ走査信号4S及びYアナログ走査信号5Sを絶縁アンプ等を用いて絶縁してもよい。
処理部90は、PC17から供給される加速電圧値Eaccと、記憶部91から読み出す電圧テーブルTとに基づいてビームブースター電圧Vbの値であるビームブースター電圧値Ebを算出する。処理部90は、算出したビームブースター電圧値Ebをビームブースター電源部7に供給する。
処理部90は、加速電圧Vaccの切り替え時には、電圧テーブルTが示すビームブースター電圧設定値TEbより等しいか低い電圧値に、ビームブースター電圧値Ebを変化させる。すなわち電圧テーブルTにはビームブースター電圧Vbの上限を与えるビームブースター電圧設定値TEbが記憶されている。ビームブースター電圧値Ebを設定した後は、電圧テーブルTには加速電圧値Eaccと設定したビームブースター電圧値Ebとの組が記憶されてもよい。次回ビームブースター電圧Vbを設定する際は、処理部90は、加速電圧値Eaccに対応する記憶されたビームブースター電圧値Ebを使用してもよい。
一方、走査型電子顕微鏡D2に備えられる電子ビーム鏡筒B1は、Z軸から所定の角度だけ傾いて備えられる。電子ビームEBは、電子ビーム鏡筒B1から当該所定の角度だけ傾いて試料SP1に照射される。当該所定の角度は、例えば水平面から30~60°の範囲で設定される。
走査型電子顕微鏡D2の像分解能を確保するため、FIB作動距離WDa1の方がSEM作動距離WDb1よりも長い。FIB作動距離WDa1は、例えば8~16mmの範囲で設定される。SEM作動距離WDb1は、例えば2~7mmの範囲で設定される。
ステップS10:処理部90は、PC17から加速電圧値Eaccを取得する。
ステップS20:処理部90は、記憶部91から電圧テーブルTを読み出す。
ここで、電圧テーブルTとは、加速電圧値Eaccとビームブースター電圧設定値TEbとの組である。したがって、制御部9は、加速電圧値Eaccとビームブースター電圧設定値TEbとの組を記憶する記憶部91から読み出した組に基づいて、ビームブースター電圧値Ebをビームブースター電圧設定値TEbに設定する。
また記憶部91が電圧テーブルTを記憶する代わりに、記憶部91が加速電圧値Eaccからビームブースター電圧値Ebを算出する演算式を記憶し、制御部9はこの演算式に基づいてビームブースター電圧値Ebを算出して設定してもよい。
ここで図8及び図9を参照し、集束イオンビーム鏡筒A1、及び電子ビーム鏡筒B1の配置の変形例について説明する。
一方、電子ビーム鏡筒B2は、Z軸と平行、つまり鉛直方向に備えられる。電子ビームEBは、電子ビーム鏡筒B2からZ軸の負の向きに試料SP2に照射される。
FIB作動距離WDa2の方がSEM作動距離WDb2よりも長い。
一方、電子ビーム鏡筒B3は、Z軸と平行、つまり鉛直方向に備えられる。電子ビームEBは、電子ビーム鏡筒B3からZ軸の負の向きに試料SP3に照射される。
FIB作動距離WDa3の方がSEM作動距離WDb3よりも長い。
(1)粗加工
集束イオンビームの加速電圧を30kV、ビーム電流を10nAとして薄片の周辺部の加工を行う。薄片の周辺部を高加速電圧、及び大電流により加工レートの大きな条件で加工を行うことは公知である(特許文献1)。加速電圧30kVでは色収差やクーロン相互作用によるビームボケは顕著ではないため、ビームブースターの設定電圧は0Vとする。本粗加工により薄片の幅を0.7μmまで削り込む。薄片の幅は、薄片加工部と同一点に照射されている電子ビームによる走査電子顕微鏡像により、加工の進行状況をほぼリアルタイムで観察することで確認する。但し加速電圧が30kVのため、Si層においてはGa注入および原子間の衝突カスケードにより25nmの深さのダメージ層が形成される。薄片の両面にそれぞれ表面から25nmの深さのダメージ層が形成される。
集束イオンビームの加速電圧を1kV、ビーム電流を200pAとして、上述した粗加工で形成されたダメージ層をエッチングする。その際に新たに形成されるダメージ層の厚みを極力薄くするために、加速電圧を下げて加工を行う。加速電圧1kVでは色収差やクーロン相互作用によるビームボケは顕著になるため、ビームブースターの設定電圧は図4を参照して-7kVを設定する。本中間加工により薄片の幅を0.3μmまで削り込む。薄片の幅は、粗加工と同様に、薄片加工部と同一点に照射されている電子ビームによる走査電子顕微鏡像により、加工の進行状況をほぼリアルタイムで観察することで確認する。但し加速電圧が1kVのため、Si層においてはGa注入および原子間の衝突カスケードにより3nmのダメージ層が形成される。薄片の両面にそれぞれ表面から3nmの深さのダメージ層が形成される。
集束イオンビームの加速電圧を0.5kV、ビーム電流を50pAとして、上述した中間加工で形成されたダメージ層をエッチングしてダメージ層を薄くしつつ、薄片の厚さも薄く仕上げる。その際に新たに形成されるダメージ層の厚みを極力薄くするために、加速電圧をさらに下げて加工を行う。加速電圧0.5kVでは色収差やクーロン相互作用によるビームボケはさらに顕著になるため、ビームブースターの設定電圧は図4を参照して-4kVを設定する。このとき、本発明によるビームブースターの設定方法を使用しない場合、例えば上述した中間仕上げの条件であるビームブースターの設定電圧と同じ-7kVを設定すると、集束イオンビームの焦点を薄片試料に合わせることができない。本仕上げ加工により薄片の幅を0.1μm(=100nm)まで削り込む。薄片の幅は、上述した加工と同様に、薄片加工部と同一点に照射されている電子ビームによる走査電子顕微鏡像により、加工の進行状況をほぼリアルタイムで観察することで確認する。但し加速電圧が0.5kVのため、Si層においてはGa注入および原子間の衝突カスケードにより2nmのダメージ層が形成される。薄片の両面にそれぞれ表面から2nmの深さのダメージ層が形成される。
3本の荷電粒子ビームが試料上の同一点に照射できない場合、例えば集束イオンビームと電子ビームとの試料上の同一照射点CP1と、集束イオンビームとアルゴンイオンビームとの試料上の同一照射点CP2を定義し、それぞれに対応する電圧テーブルT-1およびT-2を用意して集束イオンビームのビームブースター電圧Vbを設定する。試料に集束イオンビームと電子ビームとの照射を行うプロセスでは電圧テーブルT-1を使用して集束イオンビームのビームブースター電圧Vbを設定し、試料に集束イオンビームとアルゴンイオンビームの照射を行うプロセスでは電圧テーブルT-2を使用して集束イオンビームのビームブースター電圧Vbを設定する。
さらに荷電粒子ビームが増えた場合は上記の方法を拡張して、対応する電圧テーブルT-nを用意することで、CPnに合焦可能なビームブースター電圧Vbの値(ビームブースター電圧値Eb)を設定できる。
また、上述した実施形態における制御部9の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。制御部9の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
Claims (4)
- イオンビームを供給するイオン供給部と、
前記イオン供給部が供給する前記イオンビームに加速電圧を印加することによって加速させる加速電圧印加部と、
前記加速電圧印加部が加速させた前記イオンビームを集束させる第1集束部と、
前記第1集束部が集束させた前記イオンビームにビームブースター電圧を印加するビームブースター電圧印加部と、
前記ビームブースター電圧印加部が前記ビームブースター電圧を印加した前記イオンビームを集束させて試料に照射させる第2集束部と、
電子ビームを前記試料に照射する電子ビーム照射部と、
前記ビームブースター電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記ビームブースター電圧の値を、前記加速電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記加速電圧の値と、集束させた前記イオンビームの焦点距離とに応じて予め決められた設定値に基づいて設定する制御部と
を備える複合荷電粒子ビーム装置。 - 集束した前記イオンビームの照射点および焦点と、前記電子ビームの照射点とは前記試料上の同一の点である
請求項1に記載の複合荷電粒子ビーム装置。 - 前記制御部は、前記加速電圧の値と前記設定値との組を記憶する記憶部から読み出した前記組に基づいて、前記ビームブースター電圧の値を前記設定値に設定する
請求項1または請求項2に記載の複合荷電粒子ビーム装置。 - イオンビームを供給するイオン供給部と、
前記イオン供給部が供給する前記イオンビームに加速電圧を印加することによって加速させる加速電圧印加部と、
前記加速電圧印加部が加速させた前記イオンビームを集束させる第1集束部と、
前記第1集束部が集束させた前記イオンビームにビームブースター電圧を印加するビームブースター電圧印加部と、
前記ビームブースター電圧印加部が前記ビームブースター電圧を印加した前記イオンビームを集束させて試料に照射させる第2集束部と、
電子ビームを前記試料に照射する電子ビーム照射部と、
を備える複合荷電粒子ビーム装置における制御方法おいて、
前記ビームブースター電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記ビームブースター電圧の値を、前記加速電圧印加部が前記イオンビームに印加する前記加速電圧の値と、集束させた前記イオンビームの焦点距離とに応じて予め決められた設定値に基づいて設定する制御過程
を有する制御方法。
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