JP2001351561A - 集束イオンビーム装置 - Google Patents

集束イオンビーム装置

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JP2001351561A
JP2001351561A JP2000172942A JP2000172942A JP2001351561A JP 2001351561 A JP2001351561 A JP 2001351561A JP 2000172942 A JP2000172942 A JP 2000172942A JP 2000172942 A JP2000172942 A JP 2000172942A JP 2001351561 A JP2001351561 A JP 2001351561A
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ion beam
electrode
power supply
aberration
aberration correction
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JP2000172942A
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Kiyoshi Sakaguchi
清志 坂口
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イオン光学系の収差を軽減して、コンパクト
で性能のよいFIB装置を提供すること。 【解決手段】 イオン光学系内に、減速場と加速場とを
設け、減速された場に多極子等を組み合わせた負の収差
を持った収差補正場を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、集束イオンビーム
装置に関し、詳しくはイオン照射系の収差補正に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図1は、最も一般的な集束イオンビーム
(focused ion beam, FIB)装置を説明する図であ
る。図1において、1はイオンビームを放射する液体金
属イオン源(LMIS)のエミッタ、2はイオンの放射
を制御するためのサプレッサ電極、3はイオンをエミッ
タから引き出すための引き出し電極、7は引き出し電極
3と後述の加速電極8と共に静電レンズとして働くコン
デンサレンズ電極、8はイオンを加速するための加速電
極でアース電位となっている。9はイオンビーム電流を
制限するための絞りアッセンブリであって、複数の穴径
の絞りから成り、何れかを選択して使用する。10はイ
オンビームをフォーカスさせるための対物レンズ、Wは
試料、11は試料Wを載置する試料ステージである。一
般に、エミッタ1から対物レンズ10まではイオン光学
系あるいはイオン照射系と呼ばれる。
【0003】更に、12は加速電圧電源であって、アー
スに対してエミッタ1に正の高電圧Vaccを印加する。
13はサプレッサ電極2にサプレッサ電圧Vsupを印加
して、エミッタ1からのイオンのエミッション電流を制
御するためのサプレッサ電圧電源である。14は引き出
し電極3に引き出し電圧Vextを印加して、エミッタ1
からイオンを引き出するための引き出し電圧電源であ
る。17はコンデンサレンズ電源であって、引き出し電
極3と加速電極8との間にあるコンデンサレンズ電極7
に所定の電圧を印加して、絞りアッセンブリ9の絞りの
穴径と相まって、イオンビーム電流を所望の値に設定す
る。
【0004】次に、このような構成の動作について簡単
に説明する。まず、加速電圧電源12から加速電圧Va
cc(例えば50kV)が供給され、エミッタ1とアー
ス間に印加される。引き出し電圧電源14からはエミッ
タ1から見て負の電圧(例えば−5kV)が供給され、
引き出し電極3に印加され、エミッタ1からイオンビー
ムを引き出す。このとき、同じく、サプレッサ電圧電源
13からはエミッタ1と同程度の電圧(例えば±1k
V)が供給され、サプレッサ電極2に印加され、エミッ
タ1から引き出されるイオンビームIBの放出量(エミ
ッション電流)を制御する。
【0005】更に、コンデンサレンズ電源17からは、
所定の電圧が供給され、コンデンサレンズ電極7に印加
され、引き出し電極3とコンデンサレンズ電極7と加速
電極8の3つの電極から成る静電レンズとして働かせ
る。この印加する電圧を適当に選ぶことによって、絞り
アッセンブリ9の絞りの穴径と相まって、イオンビーム
電流が決定される。
【0006】また更に、図示しない対物レンズ電源から
は対物レンズ10を構成する電極に所定の電圧が供給・
印加され、イオンビームを試料W上にフォーカスさせて
照射する。
【0007】さて、このようにして試料W上に照射され
るビームは、コンデンサレンズや対物レンズの持つ収差
の影響を受けている。そして、この収差によって最小の
ビーム径が決まってくる。
【0008】液体金属イオン源(LMIS)を用いた集
束イオンビーム(focused ion beam, FIB)装置
は、1)半導体の加工、断面観察による構造解析、故障
解析、2)マスクや半導体パターンの修正、3)MRH
材料のトリミングや測長、4)イオン・ビーム・リソグ
ラフィ、5)マイクロ・マシン作製用としての微細加工
ツール等としての応用分野がある。このうち一部は、い
まだ実験段階のものもあるが、これらの分野で、FIB
の応用をより活発にし、さらにはFIBが利用できる新
しい分野を開拓するには、FIBのハードウェア上の性
能を向上させることが重要である。FIBのハードウェ
ア上の性能とは下記の2点である。 1)イオンビーム電流の全領域でのビーム径の最小化。
即ち、小電流領域では分解能向上、大電流全領域では加
工速度の増大につながる。 2)イオンビームのテール部の縮小と軽減による加工部
周辺の非加工部に与えるダメージの軽減。
【0009】このような性能の向上には、以下がポイン
トとなる。即ち、第1はエミッタ(LMIS)の特性向
上であり、第2は静電レンズの収差係数低減であり、第
3は光学系の最適化(加速電圧、レンズの位置や数、電
流制限絞りの位置や径、ビームのレイパス等の最適化)
である。
【0010】ところで、LMISに利用される金属には
様々な種類がある。しかし上で述べた応用分野を考慮す
るとイオン源となり得る金属種は次のようなものでなけ
ればならない。即ち、a)加工速度を得るために、ある
程度の質量を持った原子でなければならない。b)大電
流が取れるように角電流密度が大きい金属でなければな
らない。c)小電流領域でビームが絞れるためには、エ
ネルギ半値幅の小さいイオン源でなければならない。
d)半導体の応用では、ビーム照射による半導体特性劣
化を引き起こす度合いの少ない金属でなければならな
い。この様な理由やエミッションの安定性等の理由によ
り、現在 LMISとしてはガリウム(Ga)が広く使
われている。
【0011】ガリウム(Ga)エミッタは、常温で 1
ないし3μA程度のエミッション電流で使用される。こ
のときの角電流密度(dI/dΩ)は15ないし20μ
A/srであり、エネルギ半値幅(ΔE)はおおよそ5
eVである。
【0012】一般的にエミッション電流は角電流密度や
エネルギ半値幅の値に密接に関係する。エミッション電
流を大きく取れば角電流密度は増大し、大電流領域では
ビーム電流密度を向上させ得る。しかし一方、エネルギ
半値幅の増大をももたらし小電流領域での分解能劣化の
原因となる。更には、エネルギ半値幅の増大はビームの
テールを大きくし、加工周辺の非加工部のダメージを増
やし、加えてエミッタの寿命も短くする。逆に、エミッ
ション電流を小さくすればエネルギ半値幅は小さくな
り、小電流領域での分解能は向上するが、角電流密度は
減少するため大電流領域ではビーム電流密度が減少して
不利となり、加えてエミッション安定性も悪くなる。
【0013】FIB装置に使用される光学要素の1つで
あるレンズは、上記応用に適した加速電圧(30ないし
100kV)やイオンの質量等を考慮して通常静電型が
用いられる。静電レンズの色収差係数の形状依存性は小
さいこと、球面収差係数の形状依存性は比較的大きいこ
と等は、よく知られている。これらを考慮して、FIB
の目的に応じたレンズ形状等の最適化は既になされてい
る。更に、ビーム径を如何にしてより小さくするかや電
流密度の増大を目指した光学系の最適化の方法も様々に
論議されている。そして最近のFIB装置ではこういっ
た設計の手法は既に全て取り入れられていると思われ
る。これらを考慮するとLMISを用いたFIBの全電
流領域での性能(ビーム径や電流密度)の大幅な向上
は、レンズ形状や光学系の最適化によっては、もはや見
込めないと推定される。
【0014】以上の観点より現状のLMISを用いたF
IB装置は、既にその性能限界に限りなく近づいている
と考えられる。すなわち従来技術の延長線上ではもはや
その性能向上に大幅な期待がもてないため、新しい構想
が強く求められる時期に達していると思われる。
【0015】この様な従来技術上の限界を越えるため
に、近年再びガスフェイズのイオンソースが検討され始
めている。これはイオンソースとなるガス状物質を、ニ
ードル近傍の高電界の力を借り電界効果イオン化 (fiel
d effect ionization) によりエネルギ半値幅の非常に
小さいビームを形成し、高分解能FIB装置を実現しよ
うという試みである。しかしこの技術には次のような欠
点がある。即ち、イオンソースとなり得る物質に制限が
あり、かつイオン源として適した多くは軽い原子である
ため、単に高い分解能を得るという目的には有効である
ものの、加工という目的には合致しない。更に、FIB
光学系におけるビーム径は、小電流領域ではガウス像と
色収差が支配的であり、大電流領域では球面収差が支配
的である。これに対してガスフェイズのイオンソースで
はエネルギ半値幅が小さいので色収差を小さくすること
に有効であり、小電流領域でビーム径を小さくすること
には有効であるものの、大電流領域での小さいビームの
形成には効果は小さく、加工という目的には適していな
い。また、多くの場合このためのイオンソースは液体ヘ
リウムまたは液体窒素で冷却の必要があり、メンテナン
スに難がある。
【0016】これとは別に電子光学系では、電界と磁界
を重畳した多極子の組み合わせにより負の収差係数が得
られることが知られていた。これを正の収差係数を持つ
電子光学系に挿入すれば、収差をキャンセルして、収差
の殆ど無い光学系が理論的には可能になるはずである。
しかし実際の装置に利用する過去の試みの殆ど全てが失
敗に終わっている。これは多極子の機械加工、組立精度
の不足、電気的安定度の不足等に対する考察・対策に原
因があると言われている。しかし近年下記の技術の向上
によって走査電子顕微鏡(SEM)の分解能の大幅な向
上が実際に確認されるようになった。即ち、機械加工、
組立精度の不足から発生する不都合を克服する技術、補
正子用の電源安定度の大幅な向上、補正手順の厳密な考
察とその確立等である。
【0017】この様な多極子の組み合わせによる収差補
正装置についてその原理と動作の一例を6極子を用いて
簡単に説明する。まず6極子の性質について説明する。
6極子は光軸に対して3回対称(6極子を光軸の周りに
一回転させたときその特性の幾何学的配置が3回繰り返
す)な場と軸対称(6極子を光軸の周りに回転させたと
きその特性の幾何学的配置が常に不変)な場とが共に生
じる。しかも後者の軸対称な場は、通常の電磁レンズの
収差に対して負の収差を示す場である。そこでこの様な
6極子を2つ配置し、その間に電子ビームの軌道を正確
に反転させるような伝達レンズ群を設けて、ここに電子
ビームを通せば、前者の3回対称な場の効果は2つの6
極子でキャンセルされ、後者の軸対称な場は加算されて
残る。従って、この様な場を通常の電子光学系に挿入す
れば、通常の電磁レンズの正の収差とこの軸対称場によ
る負の収差でキャンセルさせることが期待される。実際
にはさらに、電子ビームの照射条件に関わらず上記の様
な光学条件が常に満足するような工夫が必要であり、そ
のための新たな伝達レンズ群を追加している。
【0018】当然この成果をFIB装置にも応用するこ
とが検討された。しかし上記収差補正法はビームが電子
からなる電子光学系では有効でも、電子より遥かに大き
な質量を持ち、SEMよりも比較的高加速電圧で使用す
るイオン光学系に応用するのは、収差補正装置は極めて
大幅な大型化を招くことになるため、実際上は不可能だ
と結論された。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に対処すべくなされたものであって、大幅な大型化を招
くことなく収差補正装置をイオン光学系に適用させて、
性能を向上させたFIB照射系を提供することを目的と
している。
【0020】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
本発明の集束イオンビーム装置は、イオンビームを発生
し取り出すイオン源と、発生し取り出したイオンビーム
にエネルギーを与える加速電極と、加速されたイオンビ
ームを集束して試料上に照射するレンズを備えたイオン
光学系とを有する集束イオンビーム装置において、前記
イオン源と前記加速電極との間に、減速場と収差補正場
とから成る収差補正手段を挿入したことを特徴とする。
【0021】あるいは、イオンビームを発生し取り出す
イオン源と、発生し取り出したイオンビームにエネルギ
ーを与える加速電極と、加速されたイオンビームを集束
して試料上に照射するレンズを備えたイオン光学系とを
有する集束イオンビーム装置において、前記イオン光学
系中に減速場と収差補正場と加速場とから成る収差補正
手段を挿入したことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を用いて
説明する。図2は本発明に係る収差補正ユニットの一例
を説明する図、図3は本発明に係る収差補正ユニットを
組み込んだFIB装置の一例を説明する図である。
【0023】図2および図3において、1はイオンビー
ムを放射する液体金属イオン源(LMIS)のエミッ
タ、2はイオンの放射を制御するためのサプレッサ電
極、3はイオンをエミッタから引き出すための引き出し
電極、4は引き出されたイオンを減速するための減速電
極、5は収差を補正するための収差補正レンズ、6は減
速電極4と同電位に保たれる保証電極、7は保証電極6
と後述の加速電極8と共に静電レンズとして働くコンデ
ンサレンズ電極、8はイオンを加速するための加速電極
である。更に、便宜上、引き出し電極3から加速電極8
までを収差補正ユニット100と呼ぶことにする。な
お、収差補正レンズ5は前記「従来の技術」の項で述べ
た多極子と伝達レンズ群等から成るものと基本的には同
じものである。
【0024】続いて図3において、9はイオン電流を制
限するための絞りアッセンブリであって、複数の穴径の
絞りから成り、何れかを選択して使用する。10はイオ
ンビームを集束するための対物レンズ、Wは試料、11
は試料Wを載置する試料ステージである。なお、エミッ
タ1から対物レンズ10までをイオン光学系50と呼ぶ
ことにする。
【0025】更に、12は加速電圧電源であって、アー
スに対してエミッタ1に正の高電圧Vaccを印加する。
13はサプレッサ電極2にサプレッサ電圧Vsupを印加
して、エミッタ1からのイオンのエミッション電流を制
御するためのサプレッサ電圧電源である。14は引き出
し電極3に引き出し電圧Vextを印加して、エミッタ1
からイオンを引き出するための引き出し電圧電源であ
る。15は減速電極4に減速電圧Vcを印加してイオン
を減速し、更に保証電極6にも同電位Vcを印加して、
減速電極4と保証電極6との間を同電位とするための減
速電圧電源である。16は収差補正レンズに幾つかの電
圧と電流を供給して、収差を補正するための収差補正電
源である。17はコンデンサレンズ電源であって、保証
電極6と加速電極8との間にあるコンデンサレンズ電極
7に所定の電圧を印加して、絞りアッセンブリ9の絞り
の穴径と相まって、イオンビーム電流を所望の値に設定
する。
【0026】ここで、サプレッサ電圧電源13、引き出
し電圧電源14、減速電圧電源15、コンデンサレンズ
電源17の各出力電圧は、加速電圧に重畳するようにな
っている。更に、収差補正電源16は減速電圧に重畳す
るようになっている。
【0027】18は装置の各部を制御するためのコンピ
ュータであって、加速電圧電源12、サプレッサ電圧電
源13、引き出し電圧電源14、減速電圧電源15、収
差補正電源16、コンデンサレンズ電源17等は全てコ
ンピュータ18で制御される。19はコンピュータ18
内に格納され、装置の各部および装置全体を制御するた
めの制御プログラムである。また、図示しないが、コン
ピュータ18には、プログラム19や各種データ等を記
憶するメモリー、オペレータの指示を受けるためのキー
ボード等の入力デバイス、各種表示のためのデスプレイ
等が取り付けられている。
【0028】次に、このような構成の動作について説明
する。まず最初は、説明の都合で減速電圧電源15と収
差補正電源16とは初期状態(ビームに何の影響も与え
ないような状態)の場合である。
【0029】オペレータが図示しないキーボード等から
コンピュータ18に動作の指示を行うと、コンピュータ
18はこれに従い制御プログラム19を用いて各部に指
令を送る。この指令を受けて、加速電圧電源12は加速
電圧Vacc(例えば50kV)を発生させ、エミッタ1
とアース間に加速電圧Vaccを印加する。更に、加速電
圧電源12は、サプレッサ電圧電源13、引き出し電圧
電源14、減速電圧電源15、コンデンサレンズ電源1
7にも加速電圧Vaccに相当する電圧を印加する。
【0030】次いで、コンピュータ18は、制御プログ
ラム19を用いてサプレッサ電圧電源13と引き出し電
圧電源14に指令を送る。この指令を受けて、引き出し
電圧電源14は引き出し電極3にエミッタ1から見て負
の電圧(例えば−5kV)を印加して、エミッタ1から
イオンビームIBを引き出す。このとき、イオンビーム
IBのエネルギは引き出し電極3に印加された電圧に相
当する値(例えば5keV)となっている。同じく、サ
プレッサ電圧電源13はサプレッサ電極2にエミッタ1
と同程度の電圧(例えば±1kV)を印加して、エミッ
タ1から引き出されるイオンビームIBの放出量(エミ
ッション電流)を制御する。
【0031】更に、コンピュータ18は、制御プログラ
ム19を用いてコンデンサレンズ電源17に指令を送
る。この指令を受けて、コンデンサレンズ電源17はコ
ンデンサレンズ電極7に所定の電圧を印加し、保証電極
6とコンデンサレンズ電極7と加速電極8の3つの電極
から成る静電レンズとして働かせる。この印加する電圧
を適当に選ぶことによって、絞りアッセンブリ9の絞り
の穴径と相まって、イオンビーム電流が決定される。
【0032】また更に、コンピュータ18は、制御プロ
グラム19を用いて図示しない対物レンズ電源にも指令
を送る。この指令を受けて、対物レンズ電源は対物レン
ズ10を構成する電極に所定の電圧を印加し、ビームを
試料W上にフォーカスさせて照射する。また、コンピュ
ータ18は、制御プログラム19を用いて図示しない偏
向電源にも指令を送る。この指令を受けて、偏向電源は
図示しない偏向電極に所定の電圧を印加することによっ
て、ビームを試料W上に二次元的に走査させることがで
きる。
【0033】さて、このようにして試料W上に照射され
るビームは、コンデンサレンズや対物レンズの持つ収差
の影響を受けている。そして、この収差によって最小の
ビーム径が決まってくる。そこで次に、オペレータは図
示しないキーボード等からコンピュータ18と制御プロ
グラム19を介して減速電圧電源15と収差補正電源1
6とに指令を送って、これらを動作させる。
【0034】この指令を受けて、減速電圧電源15は減
速電極4と保証電極6にエミッタ1から見てわずかに低
い電圧となるよう低い電圧(例えば50V)を印加し
て、引き出されたイオンビームIB(エネルギは今、5
keVになっている)を減速して十分に低いエネルギ
(50eV)とする。なお、保証電極6にも同じは電圧
が印加されているが、これは収差補正レンズ5に入射す
るイオンビームIBが出射するまでの間、イオンビーム
IBのエネルギを一定に保つためである。
【0035】更に、コンピュータ18からの指令を受け
た収差補正電源16は、詳しくは図示しない収差補正レ
ンズ5に構成される各種レンズ群それぞれに所定の電圧
と電流を供給して、先のコンデンサレンズや対物レンズ
の持つ収差に見合った負の収差を発生されるように、収
差補正レンズを動作させる。このようにして、収差を補
正することによって、より小さなビーム径とすると共に
テール部を減衰させることができる。
【0036】ガリウムイオンの質量は電子の質量の5桁
ほど大きいが、この発明の如く減速電極4を用いて十分
に減速すれば、電子ビームを用いたSEMの収差補正レ
ンズとほぼ同等の大きさにまでコンパクト化することが
でき、実用の範囲となる。
【0037】なお、コンピュータ18に納められている
制御プログラム19は、主に次の三つの部分から成って
いる。第1は、通常のFIB装置の制御プログラムであ
る。第2は、補正すべき収差係数の決定プログラムであ
る。すなわち、加速電圧、サプレッション電圧、引き出
し電圧、コンデンサレンズや対物レンズに掛ける電圧等
に対応したFIB装置のイオン照射系の収差係数の算出
と、算出された収差に見合った補正とするための収差補
正レンズ各部に供給すべき電圧や電流値の算出、あるい
はルックアップテーブルの作成と呼び出しと補間計算な
どを行う。第3は、上記計算結果を基に、収差補正レン
ズを制御して自動設定したり、微調整を行ってよりよい
結果を得るための補助的機能を有するものである。
【0038】以上のごとく本発明について詳細に記載し
たが、本発明は上記記載に限定されるものではない。例
えば、上記では、収差補正ユニット100をエミッタ1
とサプレッサ電極2の直下に配置したが、加速電極8の
直下ないし下流に配置してもよい。ただしその場合に
は、ビームのエネルギが加速電圧の値(例えば50kV
ないし100kV)にまで高くなっているので、収差補
正レンズ5の前後に設ける減速手段や加速手段は多段に
する等の工夫が必要である。図4に一例として減速手段
と加速手段を2段とした例を示す。31は周りの照射系
と同じ電位(アース電位)の保証電極、32は第1段目
の減速電極、33は第2段目の減速電極、5は収差補正
電極、34は第2段目の減速電極33と同じ電位の保証
電極、35は第1段目の加速電極、36は第2段目の加
速電極である。
【0039】更に、減速電圧電源15は加速電圧電源1
2からの加速電圧Vacc(例えば50kV)が重畳さ
れ、収差補正電源16は減速電圧電源15の出力が重畳
されている。加速電圧電源12からの加速電圧Vaccは
1/2に分圧され第1段目の減速電極32と第1段目の
加速電極35に印加されている。
【0040】このような構成の場合の動作を説明する。
【0041】加速電圧Vaccまで加速されたイオンビ
ームは、まず保証電極31を通過し、第1段目の減速電
極32でそのエネルギをほぼ1/2に減速され、さらに
第2段目の減速電極33で十分に低いエネルギ(例えば
50eV)にまで減速される。十分に低いエネルギに減
速されたイオンビームは、収差補正電極5で負の収差が
付加されて保証電極34を通過する。次いで、保証電極
34を通過したイオンビームは、第1段目の加速電極3
5で加速電圧のほぼ1/2まで加速され、さらに第2段
目の加速電極36で元の加速電圧Vaccまで加速されて
加速電極36を通過する。そして、収差補正電極5で付
加された負の収差が、FIBの照射系の持つ収差と同等
となるよう調節すれば、収差補正ユニット100を含め
たFIBの照射系全体の収差は補正され最小になる。こ
れによって、FIB装置のビーム径は更に小さくでき分
解能が向上し、ビームの照射電流密度が高くなり加工速
度が改善され、さらには、ビームのテールの減少も図れ
る。なお、保証電極31は、FIB照射系の構成によっ
ては、必ずしも必要とは限らない。
【0042】このような収差補正ユニットを組み込んだ
FIB装置の性能をコンピュータによるシミュレーショ
ンを行った結果は図5の如くである。図5の左図は照射
電流(横軸)とビーム径(縦軸)との関係を示す。実線
のグラフは加速電圧30kV、点線は50kVの場合
で、それぞれ上から、補正無し、補正量50%、70
%、90%を表す。図5の右図は照射電流(横軸)と電
流密度(縦軸)との関係を示す。実線のグラフは加速電
圧30kV、点線は50kVの場合で、それぞれ下から
上へ、補正無し、補正量50%、70%、90%を表
す。これを見ると、例えば、補正量90%の場合、ま
ず、分解能が要求される照射電流が1pA付近でのビー
ム径は、加速電圧30kVの場合、5.8nmであった
ものが3.4nmと大幅に改善され、加速電圧50kV
では、4.8nmが2.7nmと大幅に改善される。次
いで、最大加工電流近傍のビーム電流である照射電流が
10nA付近での電流密度は、加速電圧30kVの場
合、6.2A/cm2であったものが350A/cm2
と飛躍的に改善され、加速電圧50kVでは、20A/
cm2が900nmと飛躍的に改善される。なお、ここ
でのシミュレーションは、その照射系は最適化されたも
のであるとした場合である。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のFIB装置の一例を説明する図
【図2】本発明に係る収差補正ユニットの一例を説明す
る図
【図3】本発明に係る収差補正ユニットを組み込んだF
IB装置の一例を説明する図
【図4】本発明に係る収差補正ユニットの他の例を説明
する図
【図5】本発明に係る収差補正ユニットを組み込んだF
IB装置の性能の例を説明する図
【符号の説明】
1…エミッタ、2…サプレッサ電極、3…引き出し電
極、4…減速電極、5…収差補正レンズ、6…保証電
極、7…コンデンサレンズ電極、8…加速電極、9…絞
りアッセンブリ、10…対物レンズ、W…試料、11…
試料ステージ、12…加速電圧電源、13…サプレッサ
電圧電源、14…引き出し電圧電源、15…減速電圧電
源、16…収差補正電源、17…コンデンサレンズ電
源、18…コンピュータ、19…制御プログラム、31
…保証電極、32…減速電極、33…減速電極、34…
保証電極、35…加速電極、36…加速電極、R…抵抗
器、50…イオン光学系、100…収差補正ユニット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンビームを発生し取り出すイオン源
    と、発生し取り出したイオンビームにエネルギーを与え
    る加速電極と、加速されたイオンビームを集束して試料
    上に照射するレンズを備えたイオン光学系とを有する集
    束イオンビーム装置において、前記イオン源と前記加速
    電極との間に、減速場と収差補正場とから成る収差補正
    手段を挿入したことを特徴とする集束イオンビーム装
    置。
  2. 【請求項2】前記収差補正場は、少なくとも2つの多極
    子と2つの伝達レンズから成ることを特徴とする請求項
    1記載の集束イオンビーム装置。
  3. 【請求項3】イオンビームを発生し取り出すイオン源
    と、発生し取り出したイオンビームにエネルギーを与え
    る加速電極と、加速されたイオンビームを集束して試料
    上に照射するレンズを備えたイオン光学系とを有する集
    束イオンビーム装置において、前記イオン光学系中に減
    速場と収差補正場と加速場とから成る収差補正手段を挿
    入したことを特徴とする集束イオンビーム装置。
  4. 【請求項4】前記収差補正場は、少なくとも2つの多極
    子と2つの伝達レンズから成ることを特徴とする請求項
    3記載の集束イオンビーム装置。
  5. 【請求項5】前記減速場と前記加速場の何れかは、少な
    くとも2つの多段電極から成ることを特徴とする請求項
    3または4の何れかに記載の集束イオンビーム装置。
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