JP6432905B2 - リターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ - Google Patents

リターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ Download PDF

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本発明は、電子ビームを減速してフィルタリングを行い、その後に加速するリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータに関するものである。
従来、エネルギーアナライザの分解能ΔUは、電子の加速電圧U0に対しΔU/U0が1/1000程度であることが多い。つまり、分解能を高めるための最も容易な方法は加速電圧を下げることである。もちろん、その他の方法としてアナライザの大きさあるいは長さを大きくとることもあるが、大きさには適度なサイズが存在するので高いエネルギー分解能を得るために低い加速電圧でアナライザが使われることが普通に行われている。
ところが、分析対象の電子ビームはその発生時点では数ボルト程度と言った低い加速電圧であったとしても、色々な理由からいったん高加速電圧に加速される場合も多い。例えば、PEEM(光電子顕微鏡)などでは発生した電子の電圧は低いが、発生した電子の角度分布が大きく、これを収束させるためいったん加速される。SEM(走査電子顕微鏡)用のモノクロメータとしての利用でも、いったん所定の加速電圧まで加速した後、モノクロメータに入る所で減速して使用される。
しかしながら、減速作用はレンズとしても働くが、そのレンズは一般に収差が非常に大きく、またビームは発散されるため、その広がりが避けられない。それでも加速電圧を下げることによって得られる分解能の向上が収差の増大による分解能の低下を上回る限り、リターディング(減速)が行われるのが普通である。このようなリターディングの操作は多くの電子やイオンのアナライザで行われている。
以下に例としてウィーンフィルタを用いた場合について説明する。ウィーンフィルタ以外でも同様のことが生ずる。ただ、ウィーンフィルタは光軸が直線であるため、ビームの進行方向の距離に対してそれと直交する成分を拡大して示すことが容易であるため、現象が理解しやすい特徴がある。
ウィーンフィルタには色々な形のものが従来、提案されているが、図9に示すものは太い4極と細い4極を合わせた8極からなる多極子フィルタであり、コイルを2つに纏めるために途中から極を折り曲げてあるタイプである。各極の角度は図9の(b)に示してある。この構造の利点は、8つの極がバラバラにならずに電極は2つにまとまっており、磁極も上下の極がヨークで一体化していることで、寸法精度の出しやすい構造になっている。もちろん、以下で示す現象はウィーンフィルタの特別な形状に依存しているわけではなく、別の形のフィルタを使った場合にも成立する。
図10は、このウィーンフィルタについて計算した電子軌道で、フィルタの中心をZ=0としたときにZ=22mmでフォーカスするよう電場・磁場の値を調節してある。エネルギー差10eVのビームはXZ面の軌道で分散を示し、YZ面内では分散しない。右端のフォーカス面では両者ともに、左端の出発点よりもフォーカス点でのビームは太くなっており、収差が出ていることが分かる。
ウィーンフィルタはその電子線モノクロメータ、アナライザとしての最初の応用からリターディングを前提として用いられてきた。最初にリターディングウィーンフィルタを電子ビームに用いたのはBoerschら(非特許文献1)である。Boerschらの先験的な研究は1960年代に始まり1980年代の前半まで続いた。このリターディングウィーンフィルタによるモノクロメータ、アナライザは1980年代後半から田中らによって電子顕微鏡上に組み上げられた(非特許文献2)。Boersch の時代には電子軌道のシミュレーションが出来る環境にはなかったが、1990 年代になると3Dシミュレーションの技術も進み、リターディングエネルギーフィルタの中での電子の振る舞いも明らかになってきた。上記の非特許文献の図によると、外から入射した電子ビームはリターディング場を通り抜け、フィルタのフリンジ場付近で入射ビームのフォーカスを作る。次にフィルタの出口のフリンジ場近辺で次のフォーカスを作り、ここでエネルギーの違いによる分散を作る。次いで再び加速場に入りエネルギー分散を残したまま最初の加速電圧に戻る。これが一般的にリターディングエネルギーフィルタにおける電子軌道の振る舞いである。このようにしてエネルギーフィルタ像の取得も可能であると考えられた。
次に、この振る舞いの一例について説明する。ウィーンフィルタの前方並びに後方にここでは3枚の電極からなる後述するバトラーレンズをそれぞれ設け、フィルタの両側にある電極は金属磁性体で作り、フィルタの電場および磁場 のフリンジ場の分布を制限するためのミラープレートの役割を果たさせている。ミラープレートはフィルタのフリンジ場の形状を整える役割を持ち、電場のフリンジ場と磁場のそれを同じ分布にすることでフリンジ領域においても電子の直進の条件であるウィーン条件(E=vB)を満たす役割を担っている。
ここで、バトラーレンズはフィールドエミッション電子銃などで用いられ、良く知られているように、当該バトラーレンズの電極の形状は、光軸上の穴のレンズ作用を小さく抑えることが出来るものと言われている。減速レンズによる収差発生の問題をバトラーレンズの採用によって少なくすることが出来るものと考えられる。バトラーレンズは、フィールドエミッション電子銃のためのガンレンズ専用の電極形状として一般に考えられているが、このようなリターディングフィルタに使用することも有効であると考えられる。
図11は従来の技術の説明図を示す。この図11は5kVから100Vに加速電圧を下げて電子ビームを減速し、1eVのエネルギー差が分解できるかどうかを見たものである。確かに1eVを分解しているがウィーンフィルタの後の収束点では電子ビームが大きく広がって三角形をなしている。つまり、非常に大きな2次収差を含んでいることが分かる。さらには、加速レンズを通り過ぎた当たりでもう一度フォーカスをしているがそこではもはや1eVのエネルギー差を十分に分離していない。実際に使用する装置では、この加速レンズの後方に電子レンズを置いてこの収束点を拡大してスリット上に投影することでエネルギー選別を行っている。
H. Boersch, J. Geiger, H. Hellwig, Steigerung der Aufloesung bei der Elektronen -Energieanalyse, Physics Letters 3 (1962) 64-66. M. Terauchi, R. Kuzuo, F. Satou, M. Tanaka, K. Tsuno, J. Ohyama, Performanceof a Wien-Filter energy analyzer installed in a TEM for EELS, Proc. XIIth Int. Cong. Electron Microscopy, SanFrancisco Press (1990) 88-89.
上記図10および図11の説明から、5kVの加速電圧で直接1eVのエネルギー分解能を得ることには困難が伴い、また、5kVから100Vに減速することで1eVの分離がなされてはいるが、リターディングによる収差の増大があまりにも大きく、それほど有効な方法であるとも考えられないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するため、リターディングによる減速レンズとフィルタ、フィルタと加速レンズとの間などに生じる収差の影響を最小限に低減すると共にエネルギー選択スリットを挿入して所望のエネルギー電子ビームを選択可能にするようにしている。
そのため、本発明は、電子ビームを減速してフィルタリングを行い、その後に加速するリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータにおいて、電子ビームあるいは加速された電子ビームを減速する減速レンズと、減速レンズで減速された電子ビームをフィルタリングするフィルタと、フィルタでフィルタリングされた後の電子ビームを加速する加速レンズとを設け、電子ビームを減速レンズ中に第1のフォーカスをさせ、かつフィルタを通過後の電子ビームをフィルタから加速レンズまでの間と加速レンズ中あるいは加速レンズ通過後とに第2と第3のフォーカスをさせ、減速レンズとフィルタおよびフィルタと加速レンズとの間の収差による影響を低減してエネルギー分解能を高くするようにしている。
この際、減速レンズ、加速レンズとして、バトラーレンズを用いるようにしている。
また、減速レンズについて、一対の3つあるいは2つの極からなるバトラーレンズとしてこのうちフィルタに近い1つの極を、リターディング用電極とフィルタのフリンジ場分布規制用のミラープレートとを兼用させるようにしている。
また、更に、1つの極をフィルタのフリンジ磁場の形をフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成するようにしている。
また、加速レンズについて、3つの極からなるバトラーレンズとしてこのうちフィルタに近い1つの極をフィルタのフリンジ場分布規制用のミラープレートとし、他の2つの極を電子ビームを加速するものとしている。
また、更に、1つの極をフィルタのフリンジ磁場の形をフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成するようにしている。
また、エネルギー選択スリットを、フィルタに近い1つの極(第1番目の極)と第2番目の極との間あるいは第3番目の極の後に配置するようにしている。
また、バトラーレンズの曲面側は、凸形状の回転対称の曲面を有しかつ中心に穴を有する形状とするようにしている。
また、フィルタとして、ウィーンフィルタとするようにしている。
また、第1のフォーカスを減速レンズより前に配置する電子ビームを集束するコンデンサーレンズ、減速レンズ、電子ビームの加速電圧のいずれか1つ以上により行い、第2および第3のフォーカスを、コンデンサーレンズ、減速レンズ、フィルタに印加する電界と磁界、加速レンズ、電子ビームの加速電圧のいずれか1つ以上により行うようにしている。
また、減速レンズに入射する電子ビームについて、前段に配置するコンデンサーレンズの絞りの穴径を小さくして電子ビームの広がりを小さくすることにより、エネルギー分解能をより高くするようにしている。
本発明は、減速レンズ、フィルタ、および加速レンズを設け、電子ビームを減速レンズ中に第1のフォーカスをさせ、かつフィルタを通過後の電子ビームをフィルタから加速レンズまでの間と加速レンズ中あるいは加速レンズ通過後とに第2と第3のフォーカスをさせ、減速レンズとフィルタおよびフィルタと加速レンズとの間の収差による影響を低減して高いエネルギー分解能を得ることができ、実験では現時点で0.15eV程度という極めて高い分解能が得られた。
また、第2フォーカスの点あるいは近傍、または第3フォーカスの点あるいは近傍にエネルギー選択スリットを挿入して所望のエネルギーの電子を抽出することができる。
本発明は、減速レンズ、フィルタ、および加速レンズを設け、電子ビームを減速レンズ中に第1のフォーカスをさせ、かつフィルタを通過後の電子ビームをフィルタから加速レンズまでの間と加速レンズ中あるいは加速レンズ通過後とに第2と第3のフォーカスをさせ、減速レンズとフィルタおよびフィルタと加速レンズとの間の収差による影響を低減して高いエネルギー分解能を得ることを実現した。
また、第2フォーカスの点あるいは近傍、または第3フォーカスの点あるいは近傍にエネルギー選択スリットを挿入して所望のエネルギーの電子を抽出することを実現した。
図1は、本発明の1実施例構成図を示す。
図1の(a)は本発明の減速レンズ(3極)、ウィーンフィルタ、加速レンズ(3極)の断面模式図を示し、図1の(b)は減速レンズ、加速レンズの電界、および電子ビームの軌道例(シミュレーション結果)の模式図を示し、図1の(c)は軸上の電子ビームの電子エネルギーの模式図を示す。ここでは、左から右方向に3keVの電子ビーム1が入射して減速レンズ2で100eVに減速してウィーンフィルタ3に入射し、ウィーンフィルタ3でフィルタリングされた後に100eVで出射し、加速レンズ4で加速して元の3keVの電子ビームが右方向に出射する様子を模式的に示す。
図1において、電子ビーム1は、エネルギーフィルタリングする対象の電子ビームであって、通常は加速された1keVないし数十keVのエネルギーを有する電子ビームである。図示の例では、左側から3keVの電子ビーム(図示外の電子銃で発生された0.1〜数eVのエネルギーを初速度として有する電子を3keVの電圧で加速し、コンデンサーレンズで集束した電子ビーム)を入射する。
減速レンズ2は、電子ビームを減速するレンズであって、図示の例ではバトラーレンズ(3極)であり、当該バトラーレンズの電界中に第1フォーカス11を形成したものである。減速レンズ2の第3番目の極(ウィーンフィルタ3に近い方の極)は、ウィーンフィルタ3のフリンジ場分布の規制用のミラープレートとして設けたものであって、ウィーンフィルタ3のフリンジ磁場の形とフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成する。
第1フォーカス11は、減速レンズ2の減速電界中に電子ビーム1を集束させる部分(点)であって、図示外のコンデンサーレンズ、減速レンズ2、および電子ビーム1の加速電圧のいずれか1つ以上によってフォーカスさせる部分(点)である。第1フォーカスを減速レンズ2の減速電界中に設けたことにより、電子ビーム1の走行経路を軸に可及的に近くにすることができ、減速レンズ2とウィーンフィルタ3との間のフリンジ場の乱れなどによる収差が電子ビーム1に与える影響を最小限に低減することが可能となる。
ウィーンフィルタ3は、磁界と電界の作用によりエネルギーフィルタリングを行う公知のフィルタである(図9、図10など参照)。
加速レンズ4は、低速の電子ビーム1を加速するレンズであって、図示の例ではバトラーレンズ(3極)であり後段の第2番目と第3番目の極に加速電圧を印加して加速するものである。加速レンズ4の第1番目の極(以下「第1極」という、他も同様)と第2極の間に第2フォーカス12、第2極と第3極との間あるいは第3極の後に第3フォーカス13を形成するものである。加速レンズ4の第1極(ウィーンフィルタ3に近い方)は、ウィーンフィルタ3のフリンジ場分布の規制用のミラープレートのために設けたものであって、ウィーンフィルタ3のフリンジ磁場の形とフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成する。
第2フォーカス12は、ここでは、加速レンズ4の電界のない第1極と第2極との間に電子ビーム1をフォーカスさせる部分(点)であって、図示外のコンデンサーレンズ、減速レンズ2、ウィーンフィルタ4に印加する電界・磁界、および電子ビーム1の加速電圧のいずれか1つ以上によってフォーカスさせる部分(点)である。
第3フォーカス13は、加速レンズ4の第2極と第3極との間の加速電界中に電子ビーム1を集束させる部分(点)であって、図示外のコンデンサーレンズ、減速レンズ2、ウィーンフィルタ3、加速レンズ4および電子ビーム1の加速電圧のいずれか1つ以上によってフォーカスさせる部分(点)である。
ここで、第2フォーカスと第3フォーカスを、ウィーンフィルタ3の出口のフリンジ場の直後の加速レンズ4の第1極と第2極との間、第2極と第3極の間あるいは第3極の後にそれぞれ設けたことにより、電子ビーム1の走行経路を軸に可及的に近くにすることができ、ウィーンフィルタ3と加速レンズ4との間のフリンジ場の乱れなどによる収差が電子ビーム1に与える影響を最小限に低減することが可能となる。更に、後述するエネルギー選択スリットを第2フォーカス12の部分(加速レンズ4の第1極と第2極との間)、第3フォーカス13の部分(第2極と第3極との間、あるいは第3極の後)に配置し、所望のエネルギーの電子ビームのみを選択(抽出)することが可能となる。
図2は、本発明の1実施例構成図(その2)を示す。図2は、図1の(a)の減速レンズ2を2極とし、バトラーレンズ(2極)に置き換えた例を示す。他の構成は同一であるので説明を省略する。尚、図2の減速レンズ2を図1の(a)の3極から2極に代えたことにより、電子ビーム1の進行方向の行程長が1極分だけ短くなるが、その分はウィーンフィルタ3を長くしたり、あるいは行程長が短くなった分だけ減速レンズ2、ウィーンフィルタ3に印加する電界、磁界、更に電子ビーム1の加速電圧などで調整して所望の位置に第2フォーカス、第3フォーカスが得られるようにすればよい。また、図2の減速レンズ2の第2極は、減速用の電極とウィーンフィルタ3のフリンジ場分布の規制用のミラープレートとを兼用させるために、ウィーンフィルタ3のフリンジ磁場の形とフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成する。尚、図2のバトラーレンズの1極の電子ビーム1の入射側の面は円板状である。この円板状を加工が少し面倒であるが凸の曲面状にしてもよい。
図3は、本発明のスリット配置例を示す。ここで、図3以降は図2の減速レンズ2であるバトラーレンズが2極を例に以下順次説明する。尚、図1の3極の場合も同様である。
図3の(a)は投影レンズ8で投影してエネルギースリット(1)を配置した例を模式的に示し、図3の(b)はバトラー電極7の後端近傍にエネルギースリット(2)を配置した例を模式的に示し、図3の(c)はバトラー電極7の第1極と第2極との間の等電位の部分にエネルギースリット(3)を配置した例を模式的に示す。
図3の(a)では、投影レンズ8でバトラー電極7から出射した電子ビームを右側のエネルギースリット(1)上にフォーカス(投影)するため、バトラー電極7の第2極と第3極との間の電界中に電子ビーム1をフォーカスさせても(第3フォーカス)、それを投影してエネルギースリット(1)にフォーカスさせることができ、いわば高電界中に導電性のスリットを配置することが極めて困難な事態を回避して、等価の効果を得ることができる。
図3の(b)では、第3フォーカスをバトラー電極7の後端の極(第3極)の外になる図示のように形成し、この第3フォーカスの部分にエネルギースリット(2)を配置し、所望のエネルギーの電子ビームを簡単な構成で選択(抽出)することができる。この調整はコンデンサーレンズの限られた調整範囲とフィルタ電界・磁界のこれも限られた調整範囲内で行わなければならないが、あらかじめシミュレーションによって条件を見つけておくことによって可能となる。
図3の(c)では、第2フォーカス(バトラー電極7の第1極と第2極との間の電界の印加されない空間の部分)にエネルギースリット(3)を配置し、エネルギースリットを高電圧中に置かなければならないという製作上の困難は伴うものの、所望のエネルギーの電子ビームを簡単な構成で選択(抽出)することができる。
図4は、本発明の説明図(コンデンサーレンズの穴径0.1mmの例)を示す。
図4の(a)は電子軌道(シミュレーション)例を模式的に示し、図4の(b)、(c)は加速後のフォーカス点付近Z=91mmとZ=92mmでの電子ビーム形状の例をシミュレーションによって示す。図4の(b),(c)から0.1eVのエネルギー差を明確に分離していることが判明する(シミュレーション結果)。
即ち、図4では、SEMのコンデンサーレンズの絞りの穴径をそれ以前の0.2mmから0.1mmに減らした場合、エネルギースリットのサイズの調整は必要であったものの加速電圧5keVのSEMにおいて、0.1eVのエネルギーを選別するモノクロメータを作ることが出来た。
尚、コンデンサーレンズの絞りの穴径をより小さくすると、減速レンズ2、ウィーンフィルタ3、加速レンズ4に入射する電子ビームの広がりがより小さくなり、これによりエネルギー分解能が向上すると推察される。
図5および図6は、本発明の具体例の構成図を示す。図5および図6は既述した図3の(a)および(c)に対応する具体的構成図を示す。以下順次詳細に説明する。
図5は、本発明の具体的構成図(その1)を示す。図5は既述した図3の(a)に対応するものである。図中で、1、2、3、4は既述した図1から図4中の同一番号に対応する。本例は、レンズ(減速レンズ2および加速レンズ4)としてバトラーレンズを使用している。
図5において、減速レンズ2は、図示のように2極から構成され、左から入射した電子ビーム1のエネルギーを減速(例えば3keVから100eVに減速)するものである。減速レンズ2の第2極(ウィーンフィルタ3に近い極)には減速電圧(リターディング電圧)を印加する役割と共に、ウィーンフィルタ3のフリンジ場分布規制用のミラープレートとしての役目も果たすために、図示のフリンジ場調整電極21としている。
フリンジ場調整電極21は、減速レンズ2の第2極であって、上述したように減速電圧を印加すると共に、ウィーンフィルタ3からの磁界と電界を可及的に乱さないようにした電極かつ磁極である。ここでは、金属磁性体で作成しかつ、ウィーンフィルタ3に面した側は例えば円板状かつ中心に小さな電子ビーム1を通過させる穴を設けた形状である。
ウィーンフィルタ3は、電界と磁界とによってエネルギーフィルタリングを行う公知のものである(例えば既述した図9、図10とその説明参照)。
加速レンズ4は、図示のようにここでは3極から構成され、左から第1極、第2極、第3極とから構成され、第1極と第2極との間には電圧差がなく、第2極と第3極との間に加速電圧を印加し、電子ビーム1のエネルギーを加速(例えば100eVから3keVに加速)するものである。ここでは、既述したように第1極と第2極との間に第2フォーカスし、第2極と第3極との間あるいは第3極の後に第3フォーカスするように構成されている。
フリンジ場調整電極41は、加速レンズ4の第1極であって、上述したようにここでは電圧差がなく、ウィーンフィルタ3からの磁界と電界を可及的に乱さないようにした電極かつ磁極である。ここでは、金属磁性体で作成しかつ、ウィーンフィルタ3に面した側は例えば円板状かつ中心に小さな電子ビーム1を通過させる穴を設けた形状である。
絞り付きトランスファーレンズ81は、加速レンズ4の第2極と第3極の間(あるいは第3極の後ろ)に形成された第3フォーカスを、当該絞り付きトランスファーレンズ81を構成するスリット9に投影し、所望のエネルギーの電子ビーム1のみを選択(抽出)するものである。
スリット9は、エネルギーフィルタリングされた電子ビーム1中から所望のエネルギーの電子ビーム1のみを選択(抽出)するスリットであって、通常は円形または矩形の絞りである。
以上のように構成することにより、左側から入射した電子ビーム1(例えば3keV)は減速レンズ2で100eV(50eVから数百eVの範囲内の所定値)に減速した後、ウィーンフィルタ3に入射してフィルタリングが行われ、ウィーンフィルタ3から出射した電子ビーム1は加速レンズ4で元の電圧(ここでは、3keV)に加速された後、絞り付きトランスファーレンズ81のスリット9に第3フォーカスが投影・結像され、所望のエネルギーのみの電子ビーム1を選択(抽出)することが可能となる。実験では、後述する図8で説明するように、0.15eVのエネルギー分解能が得られた。
図6は、本発明の具体的構成図(その2)を示す。図6は、図5のスリット9を、加速レンズ4の第1極と第2極の間の第2フォーカスに図示のスリット91として配置した例を示す。他は図5と同じであるので説明を省略する。
図6において、スリット91は、加速レンズ4を構成する第1極と第2極との間の等電位の領域に配置したスリットであって、既述した第2フォーカスの位置に当該スリット91を配置したものである。
ここで、ウィーンフィルタ3の出口のすぐ後方にできた第2フォーカスでの分散量は加速レンズ4内あるいはその外に作られた第3フォーカスの分散量よりも一般に大きく、しかも、電子ビーム1のシャープさは前者の方が鋭い。このことからスリットの位置としては本来、第2フォーカスの位置に置くことが望ましい。そのため、本実施例では、加速前の第2フォーカスの位置に配置したものである。ただし、加速前であるため、ウィーンフィルタ3と同様に、スリットも高電圧上に設置しなければならない。
図7は、本発明の応用例を示す。
図7の(a)は本発明を用いた1応用例の全体構成図を示し、図7の(b)はその要部構成図を示す。
図7の(a),(b)において、Gunは電子ビーム1を発生させる電子銃である。
CLは、電子銃Gunで発生された電子ビーム1を集束するコンデンサーレンズである。
Defは、Gun、CLの軸と、Monochroの軸とを合わせる偏向系である。
Monochroは、モノクロメータであって、ここでは、ウィーンフィルタである。
Slitは、スリットであって、既述した加速レンズの後に配置したスリットであり、フィルタリングした後の所望のエネルギーの電子ビーム1を選択(抽出)するためのスリットである。
Scanは、偏向系であって、選択された所望のエネルギーの電子ビーム1をXY方向に走査するものである。
OLは、対物レンズであって、電子ビーム1をサンプル上に細く絞るものである。
サンプルは、細く絞られた本発明の選択されたエネルギーの電子ビーム1でXY方向に走査してその反射電子(必要に応じて2次電子)を検出し、図示外のエネルギーアナライザでエネルギー分析する対象の試料である。
次に、図7の動作を説明する。
(1)図7の(a)の左端の電子銃Gunから電子ビーム1(例えば3keV)を発生させ,これをコンデンサーレンズCLで集束させ、偏向系Defで電子ビーム1を偏向して軸合わせしたウィーンフィルタMonochroに入射する。
(2)ウィーンフィルタから出射した電子ビームを加速レンズで加速した後、スリットSlitで所望のエネルギーの電子ビーム1を選択(抽出)する。
(3)選択された電子ビーム1を、偏向系ScanでX、Y方向に偏向走査し、対物レンズOLで電子ビーム1を細く絞って右端のサンプル(例えば銀の板)に照射しつつ平面走査する。
(4)そのときにサンプルで反射された反射電子を図示外のエネルギーアナライザでエネルギー分析すると、後述する図8の実験データが得られる。
図8は、本発明の実験結果例を示す。これは、既述した図3の(a),図5、図7の構成で実験したものであって、電子ビーム1は3keVで、減速レンズ2で減速後の電子ビーム1は100eV、加速レンズ4で加速後の電子ビーム1は3keVである。そして、エネルギースリット(1)を通過後の電子ビーム1をAg(銀の板)に照射してそのときに反射した反射電子を、図示外のエネルギーアナライザで当該反射電子のエネルギーを横軸、縦軸をそのときの強度としたものが当該図8の実験結果の一例である。
実験結果の図8から、本発明では電子ビーム1をエネルギーフィルタリングした分解能は約0.15eVが得られたことが判明する。
尚、本実施例ではバトラーレンズの形状を与える式には電子ビームを通すために必要な穴は考慮されていないが、実際に使うためには穴が必要であり、またバトラーレンズの目的は穴のレンズ作用を軽減することであるため、シミュレーションでは穴付の形状について行った。
尚、本実施例ではフィルタ3としてウィーンフィルタ3を用いたが、これに限られずエネルギーフィルタリングを行うことができればどのようなフィルタでもよい。例えば磁界型セクタなどのように均一扇型磁界/電界中の電子軌道の違いを利用したり、電界型平行平面(Plane Mirror Analyzer;PMA)などのように一様電場中の電子軌道の違いを利用したり、電界型円筒セクタ、半球フィルタ、静電レンズ、磁界レンズなどのように色収差を利用したりするフィルタでもよい。
本発明の1実施例構成図である。 本発明の1実施例構成図(その2)である。 本発明のスリット配置例である。 本発明の説明図(コンデンサーレンズの穴径0.1mmの例)である。 本発明の具体的構成図(その1)である。 本発明の具体的構成図(その2)である。 本発明の応用例である。 本発明の実験結果例である。 ウィーンフィルタの形状例である。 ウィーンフィルタの電子軌道例である。 従来技術の説明図である。
1:電子ビーム
2:減速レンズ
21、41:フリンジ場調整電極
3:フィルタ、ウィーンフィルタ
4:加速レンズ
5:入射レンズ
6、7:バトラー電極
8:投影レンズ
81:絞り付きトランスファーレンズ
9、91:スリット

Claims (8)

  1. 電子ビームを減速してフィルタリングを行い、その後に加速するリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータにおいて、
    電子ビームあるいは加速された電子ビームを、減速する減速レンズである、一対の3つあるいは2つの極からなり、このうちフィルタに近い1つの極を、リターディング用電極と当該フィルタのフリンジ場分布規制用のミラープレートとを兼用させた構造を有する第1のバトラーレンズと、
    前記第1のバトラーレンズで減速された電子ビームをフィルタリングするフィルタと、
    前記フィルタでフィルタリングされた後の電子ビームを、加速する加速レンズである、3つの極からなり、このうちフィルタに近い1つの極を当該フィルタのフリンジ場分布規制用のミラープレートとし、他の2つの極を電子ビームを加速する構造を有する第2のバトラーレンズとを設け、
    前記電子ビームを、前記第1のバトラーレンズ中に第1のフォーカスをさせ、かつ前記フィルタを通過後の電子ビームを、当該フィルタから前記第2のバトラーレンズまでの間と前記第2のバトラーレンズ中あるいは当該第2のバトラーレンズ通過後とに第2のフォーカスと第3のフォーカスをさせ、前記第1のバトラーレンズと前記フィルタおよび前記フィルタと前記第2のバトラーレンズとの間の収差による影響を低減して高いエネルギー分解能を得ることを特徴とするリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  2. 前記第1のバトラーレンズの前記1つの極を当該フィルタのフリンジ磁場の形をフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成したことを特徴とする請求項1に記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  3. 前記第2のバトラーレンズの前記1つの極を当該フィルタのフリンジ磁場の形をフリンジ電場の形とを一致させるために金属磁性材料で作成したことを特徴とする請求項1に記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  4. エネルギー選択スリットを、フィルタに近い前記第2のバトラーレンズの1つの極(第1番目の極)と前記第2のバトラーレンズの第2番目の極との間あるいは前記第2のバトラーレンズの第3番目の極の後に配置したことを特徴とする請求項1あるいは請求項3に記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  5. 前記バトラーレンズの曲面側に、凸形状の回転対称の曲面を有しかつ中心に穴を有する形状としたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  6. 前記フィルタとして、ウィーンフィルタとしたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  7. 前記第1のフォーカスを、前記第1のバトラーレンズより前に配置する電子ビームを集束するコンデンサーレンズ、前記第1のバトラーレンズ、当該電子ビームの加速電圧のいずれか1つ以上により行い、前記第2および第3のフォーカスを、当該コンデンサーレンズ、前記第1のバトラーレンズ、前記フィルタに印加する電界と磁界、前記第2のバトラーレンズ、当該電子ビームの加速電圧のいずれか1つ以上により行うことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
  8. 前記第1のバトラーレンズに入射する電子ビームについて、前段に配置するコンデンサーレンズの絞りの穴径を小さくして電子ビームの広がりを小さくすることにより、上記エネルギー分解能をより良くしたことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載のリターディングを用いたエネルギーアナライザ・モノクロメータ。
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