JP7153488B2 - 肉盛用又は溶射用の粉末 - Google Patents
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Description
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
及び
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
を含む。この合金はさらに、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素Xを含む。この合金における、下記数式によって算出される値TEは、0.00083以上0.0083以下である。
この数式において、nは元素Xに含まれる元素種類数を表し、Pxiは元素X中のi番目の元素の含有率(質量%)を表し、AWiは元素X中のi番目の元素の原子量を表す。
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
及び
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
を含む。この合金はさらに、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素Xを含む。この合金における、下記数式によって算出される値TEは、0.00083以上0.0083以下である。この被覆層における、元素Xの酸化物の数密度は、5個/μm2以上80個/μm2以下である。
この数式において、nは元素Xに含まれる元素種類数を表し、Pxiは元素X中のi番目の元素の含有率(質量%)を表し、AWiは元素X中のi番目の元素の原子量を表す。
Fe又はCo:ベース
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
及び
元素X:含有率Px(Pxは、下記数式を満たす)
を含む。元素Xは、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上である。以下、この合金における各元素の役割が詳説される。
この合金のベース元素は、Fe又はCoである。換言すれば、この合金は、Fe基合金又はCo基合金である。Fe基合金及びCo基合金は、強度及び耐摩耗性に優れる。この合金からなる粉末は、特に金型の補修に適している。合金のベース元素は、Feのみであってもよく、Coのみであってもよく、FeとCoとの両方であってもよい。
Cは、Fe及びCoに固溶する。Cは、粉末から得られた被覆層の硬度、強度及び耐摩耗性に寄与しうる。この観点から、Cの含有率は0.03質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上が特に好ましい。Cの含有率は、2.6質量%以下が好ましい。この含有率が2.6質量%以下である粉末から得られた被覆層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は2.0質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。
Siは、Fe及びCoに固溶する。Siは、粉末から得られた被覆層の強度及び耐ヒートチェック性に寄与しうる。この観点から、Siの含有率は0.05質量%以上が好ましく、0.10質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。Siの含有率は、1.0質量%以下が好ましい。この含有率が1.0質量%以下である粉末から得られた被覆層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
Mnは、粉末から得られた被覆層の硬度及び強度に寄与しうる。この観点から、Mnの含有率は0.10質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.20質量%以上が特に好ましい。Mnの含有率は、1.0質量%以下が好ましい。この含有率が1.0質量%以下である粉末から得られた被覆層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は0.8質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。
Crは、Fe及びCoへの他の元素の固溶に寄与する。Crは、被覆層の耐食性及び耐ヒートチェック性に寄与しうる。この観点から、Crの含有率は3.0質量%以上が好ましく、3.5質量%以上がより好ましく、4.0質量%以上が特に好ましい。Crの含有率は、30質量%以下が好ましい。この含有率が30質量%以下である粉末から得られた被覆層は、靱性に優れる。この観点から、含有率は20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。
元素Xは、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上である。元素Xの酸素ガスとの反応性は、Cの酸素ガスとの反応性に比べると、高い。元素Xを含有する粉末が肉盛法、溶射法等に用いられると、元素Xが優先的に酸素ガスと反応する。従って、酸素ガスとのCの反応が、抑制される。この粉末から得られた被覆層には、十分な量のCが残存する。この被覆層の硬度は、高い。この被覆層は、強度及び耐摩耗性に優れる。
この数式において、nは元素Xに含まれる元素種類数を表し、Pxiは元素X中のi番目の元素の含有率(質量%)を表し、AWiは元素X中のi番目の元素の原子量を表す。
Ca:40.08
Dy:162.50
Gd:157.25
La:138.91
Nd:144.24
Y:88.91
Al:26.98
Zr:91.22
Fe又はCo:ベース
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
元素X:上記数式を満たす量
残部:不可避的不純物
合金が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)及びバナジウム(V)からなる群から選択された1種又は2種以上の元素Mを含有してもよい。この元素Mは、被覆層の強度に寄与する。元素Mの合計の含有率は0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。この含有率は、25質量%以下が好ましい。
本発明に係る粉末は、アトマイズ法、粉砕法等によって製造されうる。アトマイズ法として、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法及びディスクアトマイズ法が例示される。合金に不純物が混入しにくいとの観点から、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法が好ましい。合金に不純物が混入しにくいとの観点から、不活性ガス雰囲気でのアトマイズが好ましい。量産性の観点から、ガスアトマイズが好ましい。
本発明に係る粉末が用いられた肉盛法又は溶射法により、金型が補修される。肉盛法及び溶射法では、粉末の粒子に圧縮ガス等によって速度が与えられる。加速されて進行中の粒子が、加熱手段にて加熱される。加熱手段として、ガスの燃焼炎、プラズマ、レーザー等が挙げられる。加熱により、粒子は溶融状態又は半溶融状態となる。この粒子が金型に衝突させられ、凝固する。凝固により、粒子同士が結合する。粒子は、下地である金型とも結合する。結合により、肉盛部(被覆層)が形成される。粒子が金型に衝突した後に、加熱がなされてもよい。粒子が金型に接触した状態で、加熱がなされてもよい。
肉盛部(又は被覆層)におけるCの残存率Pcは、90%以上が好ましく、93%以上がより好ましく、96%以上が特に好ましい。残存率Pcが高い肉盛部は、高硬度である。残存率Pcは、下記の数式によって算出される。
Pc = (P2 / P1) * 100
この数式において、P1は粉末におけるCの含有率(質量%)を表し、P2は肉盛部(又は被覆層)におけるCの含有率(質量%)を表す。
被覆層における、元素Xの酸化物の数密度Doは、5個/μm2以上が好ましい。数密度Doが5個/μm2以上である被覆層は、高硬度である。この観点から、数密度Doは8個/μm2以上がより好ましく、10個/μm2以上が特に好ましい。数密度Doは、80個/μm2以下が好ましい。酸化物の数密度Doは、顕微鏡にて合金が観察されることで算出される。合金の、1000000/μm2のゾーン存在する酸化物の個数がカウントされて、数密度Doが算出される。
[実施例1]
所定の組成を有する原料を、準備した。この原料は、表1に示されるSKH57をベースとし、これに表2に示されるように0.050質量%のCaを添加することで得られた。この原料を、真空中にてアルミナ製坩堝で、高周波誘導加熱法にて加熱した。この加熱によって原料を溶融させ、溶湯を得た。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、実施例1の粉末を得た。
添加元素の種類と量とを下記の表2及び3に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-50及び比較例1-10の粉末を得た。
[実施例51]
所定の組成を有する原料を、準備した。この原料は、表1に示されるSKH51をベースとし、これに表4に示されるように0.288質量%のNdを添加することで得られた。この原料を、真空中にてアルミナ製坩堝で、高周波誘導加熱法にて加熱した。この加熱によって原料を溶融させ、溶湯を得た。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、実施例51の粉末を得た。
添加元素の種類と量とを下記の表4及び5に示される通りとした他は実施例51と同様にして、実施例52-100及び比較例11-20の粉末を得た。
[実施例101]
所定の組成を有する原料を、準備した。この原料は、表1に示されるSKD11をベースとし、これに表6に示されるように0.170質量%のGdを添加することで得られた。この原料を、真空中にてアルミナ製坩堝で、高周波誘導加熱法にて加熱した。この加熱によって原料を溶融させ、溶湯を得た。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、実施例101の粉末を得た。
添加元素の種類と量とを下記の表6及び7に示される通りとした他は実施例101と同様にして、実施例102-150及び比較例21-30の粉末を得た。
[実施例151]
所定の組成を有する原料を、準備した。この原料は、表1に示される試作合金をベースとし、これに表8に示されるように0.174質量%のLaを添加することで得られた。この原料を、真空中にてアルミナ製坩堝で、高周波誘導加熱法にて加熱した。この加熱によって原料を溶融させ、溶湯を得た。坩堝下にある直径が5mmのノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、高圧アルゴンガスを噴霧し、実施例151の粉末を得た。
添加元素の種類と量とを下記の表8及び9に示される通りとした他は実施例151と同様にして、実施例152-200及び比較例31-40の粉末を得た。
厚さが20mmである板を用意した。各実施例及び各比較例の粉末を用い、レーザー肉盛法により、この板の上に肉盛部(被覆層)を形成した。この肉盛部では、長さは100mmであり、厚さは10mmであった。なお、板の材質は、適用される粉末の材質と同じとした。
前述の方法にて、添加元素の酸化物の数密度Doをカウントした。この結果が、下記の表2-9に示されている。
「JIS Z 2244」の規定に準拠して、肉盛部のビッカース硬度を測定した。この結果が、下記の表2-9に示されている。
肉盛部から、幅が5mmであり、長さが50mmであり、厚さが3mmである試験片を切り出した。この試験片を用い、「JIS Z 2248」の規定に準拠して、抗折強度を測定した。5回の測定の平均値が、下記の表2-9に示されている。
P:30.97
Mg:24.31
Ti:47.90
Claims (6)
- その材質がFe又はCoを主成分とする合金である粉末であって、
上記合金が、
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
及び
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
を含んでおり、
上記合金が、W、Mo及びVからなる群から選択された1種又は2種以上の元素Mを含んでおり、
上記元素Mの含有率が0.5質量%以上25質量%以下であり、
上記合金がさらに、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素Xを含んでおり、
残部が不可避的不純物であり、
上記合金における、下記数式によって算出される値TEが、0.00083以上0.0083以下である肉盛用又は溶射用の粉末。
- 上記値TEが0.0025以上0.0058以下である請求項1に記載の粉末。
- 上記元素Xが、Al及び/又はZrである請求項1又は2に記載の粉末。
- その材質がFe又はCoを主成分とする合金である粉末から得られた被覆層であって、
上記合金が、
C:0.03質量%以上2.6質量%以下
Si:0.05質量%以上1.0質量%以下
Mn:0.10質量%以上1.0質量%以下
及び
Cr:3.0質量%以上30質量%以下
を含んでおり、
上記合金がさらに、Ca、Dy、Gd、La、Nd、Y、Al及びZrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素Xを含んでおり、
上記合金における、下記数式によって算出される値TEが、0.00083以上0.0083以下であり、
上記被覆層における、上記元素Xの酸化物の数密度が、5個/μm2以上80個/μm2以下である被覆層。
- 上記値TEが0.0025以上0.0058以下である請求項4に記載の被覆層。
- 上記元素Xが、Al及び/又はZrである請求項4又は5に記載の被覆層。
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JP2000117485A (ja) | 1998-10-13 | 2000-04-25 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 粉体プラズマ肉盛溶接用粉末材料及び粉体プラズマ肉盛溶接金属 |
JP2002361482A (ja) | 2001-04-02 | 2002-12-18 | Fujikoo:Kk | 耐食性、耐摩耗性および耐焼付き性に優れた肉盛り用材料及び複合工具 |
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