JP7153412B2 - ゴム粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム粒子及びその製造方法に関する。本願は、2020年6月24日に、日本に出願された特願2020-108942号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、アクリルビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリウレタンビーズ等の粒子が、塗料、プラスチック、粘着剤、化粧品等の種々の製品に使用されている。
近年、海洋環境におけるマイクロプラスチックの問題が大きく取り上げられているため、天然物を原料とするマイクロメートルスケールの粒子のニーズが高まっている。
天然物を原料とするマイクロメートルスケールの粒子として、例えば特許文献1にはセルロースエステルを用い、下記の(1)、(2)の方法で製造したセルロース球状粒子が開示されている。
(1):セルロースエステルの有機溶媒中の溶液を原液として、乾式紡糸法により製造したセルロースエステルのフィラメントを切断してチップとなし、チップを媒体中で加熱溶融することによりセルロースエステルの球状粒子を形成し、次いでこれを鹸化する方法。
(2):セルロースエステルの有機溶媒中の溶液を原液として、原液をその有機溶媒に溶解しないか又はわずかしか溶解しない媒体中に懸濁させ、懸濁粒子を含有する媒体を加熱して有機溶媒を蒸発させることにより、セルロースエステルの球状粒子を形成し、次いでこれを鹸化する方法。
特公昭55-40618号公報
しかし、セルロースは柔軟性に劣る傾向があり、セルロースを原料として製造したセルロース粒子も硬くなりやすい。硬い粒子を例えば化粧品に用いると、感触が悪くなる場合がある。
本発明は、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子と、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、柔らかい特性を有する天然ゴムに着目したが、天然ゴムはタック(表面の粘着性)が強い傾向にあり、粒子化が困難となる場合があることが判明した。
そこで、天然ゴムの粒子化についてさらに検討した結果、天然ゴムを環化させることで容易に粒子化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 天然ゴムからなり、球状である、ゴム粒子。
[2] 平均粒子径が1~300μmである、前記[1]のゴム粒子。
[3] 前記天然ゴムが、環化された環化ゴムである、前記[1]又は[2]のゴム粒子。
[4] 前記環化ゴムの環化率が60~90%である、前記[3]のゴム粒子。
[5] 前記[1]~[4]のいずれかのゴム粒子の製造方法であって、天然ゴムを溶剤に溶解して環化反応を行い、環化ゴム溶液を得る工程と、水及び懸濁安定剤の存在下で、前記環化ゴム溶液を懸濁させる工程と、を有する、ゴム粒子の製造方法。
[6] 前記環化ゴム溶液を撹拌しながら40~150℃に加熱する、[5]のゴム粒子の製造方法。
[7] 前記環化ゴム溶液にラジカル重合開始剤を添加する、[5]又は[6]のゴム粒子の製造方法。ここで、前記ラジカル重合開始剤は、有機過酸化物の1種以上又はアゾ化合物の1種以上を含むことが好ましい。前記有機過酸化物は、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、及びt-ヘキシルパーオキシピバレートから任意に選択される1種以上を含むことが好ましい。
[8] 前記溶剤が芳香族炭化水素を含む、[5]~[7]のいずれかのゴム粒子の製造方法。ここで、前記芳香族炭化水素はトルエン、キシレン及びエチルベンゼンから任意に選択される1種以上を含むことが好ましい。
[9] 前記溶剤に環化触媒として、硫酸、有機スルホン酸又は金属ハロゲン化合物を添加する、[5]~[8]のいずれかのゴム粒子の製造方法。ここで、前記環化触媒は有機スルホン酸を含むことが好ましく、p-トルエンスルホン酸、モノフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、及びアルキルベンゼンスルホン酸から任意に選択される1種以上を含むことがより好ましい。
[10] 前記環化反応の後、前記環化触媒を中和する、[9]のゴム粒子の製造方法。前記中和は、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液を前記環化ゴム溶液に添加することにより行うことが好ましい。前記水溶液は中和後に前記環化ゴム溶液から分離することが好ましい。
[11] 前記懸濁安定剤がセルロース系水溶性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、及び第3リン酸塩類から任意に選択される1種以上を含む、[5]~[10]のいずれかのゴム粒子の製造方法。ここで、前記懸濁安定剤はセルロース系水溶性樹脂を含むことが好ましく、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースから任意に選択される1種以上を含むことがより好ましい。
[12] 前記環化ゴム溶液に含まれる環化ゴムの環化率が60~90%である、[5]~[11]のいずれかのゴム粒子の製造方法。
[13] 前記天然ゴムが、天然ゴムラテックスに凝固剤を添加し、前記天然ゴムラテックスに含まれる分散媒から分離して得られたものである、[5]~[12]のいずれかのゴム粒子の製造方法。ここで、前記凝固剤は、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、及び塩化カルシウムから任意に選択される1種以上を含むことが好ましい。
[14] 前記天然ゴムラテックスにさらに界面活性剤を添加した後で、前記天然ゴムを前記分散媒から分離して得る、[13]のゴム粒子の製造方法。ここで、界面活性剤はアニオン系界面活性剤を含むことが好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムを含むことがより好ましい。
本発明によれば、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子と、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子を簡便に製造する方法を提供できる。
[ゴム粒子]
本発明の第一態様のゴム粒子は、天然ゴムから形成されたものである。天然ゴムは、一般に、シス-1,4-ポリイソプレンを主骨格とする重合体が主成分のゴムである。天然ゴムは、例えばパラゴムノキ等の植物の樹液から得られる。樹液には、ゴム成分の他、水や非ゴム成分(例えばタンパク質、脂肪酸、無機塩類等の不純物)が含まれている。天然ゴムは本発明の効果を損なわない範囲内であれば非ゴム成分を含んでいてもよい。また、天然ゴムとして、樹液を公知の精製・固液分離の手法により精製した天然ゴムラテックスを用いてもよいし、樹液を固化したスモークドシート等を用いてもよい。
本態様のゴム粒子の製造時に、水等の分散媒に天然ゴムが分散された天然ゴムラテックス(天然ゴムの乳濁液)を用いる場合、天然ゴムラテックスの総質量に対するゴム成分(すなわち、天然ゴム)の含有量は10~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、目的のゴム粒子の収量が多くなるので好ましい。上記範囲の上限値以下であると、乳濁液中の天然ゴムの分散性が高くなるので好ましい。
なお、本態様のゴム粒子を形成する天然ゴムは、植物から採取されたものに限らず、イソプレン分子を公知方法で化学的に重合させて得た、いわゆる人工天然ゴムであってもよい。
本態様のゴム粒子を形成する天然ゴムの重量平均分子量として、例えば1万~100万が挙げられる。
本態様のゴム粒子が含む天然ゴムは、環化された環化ゴムであることが好ましい。天然ゴムが環化ゴムであれば、ゴム粒子の耐薬品性、耐熱性及び耐候性が高まる。加えて、ポリオレフィンなどの非極性ポリマーや、ポリエステル、ポリウレタン、アルキッド樹脂などの極性ポリマー、鉄などの金属等との接着性も高まる。
環化ゴムは、環化触媒を用いて天然ゴムを環化反応することで得られる。環化反応については、詳しくは後述する。
なお、本明細書において、環化されて環化ゴムとなった天然ゴムを「環化天然ゴム」ということがある。
環化ゴムの環化率は60~90%が好ましく、65~85%がより好ましい。環化ゴムの環化率が上記下限値以上であれば、天然ゴムが有するタックの影響を受けることなく、容易に粒子化できる。環化ゴムの環化率が上記上限値以下であれば、残存する二重結合により、架橋率の向上が見込める。
環化ゴムの環化率は、環化触媒の使用量を調節することにより調整でき、環化触媒の使用量が多くなるほど、環化率は高くなる傾向にある。
本発明において、「環化率」とは、環化ゴム中における環化部の割合を意味し、H-NMRにより求められる。具体的には、環化反応前の天然ゴムの二重結合由来のプロトンのピーク面積(S)と、環化反応後の天然ゴム(環化ゴム)の二重結合由来のプロトンのピーク面積(S)をそれぞれ測定し、下記式(i)より環化ゴムの環化率を求める。
環化率(%)={1-(S/S)}×100 ・・・(i)
本態様のゴム粒子の形状は球状であってもよいし、球状でなくてもよいが、球状であることが好ましい。ゴム粒子が球状であると、個々のゴム粒子の柔軟性を高めることができ、ゴム粒子同士が接触した際の滑り性を高めことができ、ゴム粒子の集合体(全体)の柔軟性を高めることができる。本発明において、「球状」とは真球状に限られず、楕円体のような球体に近い形状や、表面に凹凸がある球体等も含まれる。一方、板状、薄片状、棒状等の形状は球状には該当しない。ゴム粒子の形状は光学顕微鏡又は電子顕微鏡で観察することにより判定される。
なお、球状のゴム粒子と、非球状のゴム粒子とが混在しているような場合も、ゴム粒子の集合体(全体)として本発明の要件を満たし、本発明の効果が得られる限り、本発明の範囲から排除されるものではない。この場合、非球状のゴム粒子の量は、本態様のゴム粒子の集合体の総体積に対して、好ましくは10体積%以下であり、より好ましくは5体積%以下であり、さらに好ましくは1体積%以下である。
本態様のゴム粒子の平均粒子径は1μm~500μmが好ましく、1μm~300μmがより好ましく、1μm~200μmがさらに好ましく、1μm~180μmが特に好ましい。特に、ゴム粒子の平均粒子径が1μm~300μmであれば、ゴム粒子を化粧品に好適に使用できる。
本発明において、「平均粒子径」は、レーザ回折式粒度分布計で測定した体積基準での累積分布の50%に相当する粒子径(体積平均粒子径)である。ここで、体積平均粒子径はメジアン径(d50)である。
本態様のゴム粒子は、天然ゴム以外の成分を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、製造上、不可避的に混入した成分以外の成分を含まないことを意味する。具体的には、ゴム粒子の総質量に対する天然ゴムの含有量は、99質量%以上が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。ここで、植物に由来する天然ゴムが含み得る非ゴム成分は、「天然ゴム以外の成分」に該当しない。
本態様のゴム粒子の総質量に対するシス-1,4-ポリイソプレン(環化したものを含む)の含有量は、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましく、99.5質量%以上が特に好ましく、99.9質量%以上が最も好ましい。
<ゴム粒子の製造方法>
以下、本発明の第二態様の「ゴム粒子の製造方法」の実施形態の一例について説明する。
本実施形態のゴム粒子の製造方法では、天然ゴムを溶剤に溶解し、環化反応を行って得られた環化ゴム溶液を水及び懸濁安定剤の存在下で懸濁させて、ゴム粒子を得る。
すなわち、本実施形態のゴム粒子の製造方法は、天然ゴムを溶剤に溶解して環化反応を行い、環化ゴム溶液を得る工程(環化工程)と、水及び懸濁安定剤の存在下で、環化ゴム溶液を懸濁させる工程(懸濁工程)とを有する。
また、本実施形態のゴム粒子の製造方法は、懸濁工程の後、懸濁液から溶剤を除去してゴム粒子が水に分散した水性分散液を得る工程(溶剤除去工程)と、溶剤除去工程で得られた水性分散液を固液分離し、回収したゴム粒子を水で洗浄する工程(洗浄工程)と、洗浄後のゴム粒子を乾燥する工程(乾燥工程)を有してもよい。
なお、環化工程は、天然ゴムが溶剤に溶解したゴム溶液の状態で行われるが、このとき、ゴム溶液中の水分は少ないほど好ましい。よって、天然ゴムとして天然ゴムラテックスを用いる場合は、環化工程の前に天然ゴムラテックスを塩析により凝固させ、天然ゴムを固形物の状態で回収しておくことが好ましい(塩析工程)。
(塩析工程)
塩析工程は、天然ゴムラテックスを塩析し、水等の分散媒から天然ゴムを分離させる工程である。
塩析工程では、凝固剤を用いて天然ゴムラテックスを塩析により凝固させた後、固液分離により固形物を回収し、乾燥させて天然ゴムの固形物を得る。
凝固剤としては、例えば硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
凝固剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
凝固剤の添加量は、天然ゴムラテックス中の天然ゴム100質量部に対して、5~200質量部が好ましく、10~150質量部がより好ましい。凝固剤の添加量が、上記下限値以上であれば天然ゴムラテックスを充分に塩析できるが、上記上限値を超えても凝固剤の効果は頭打ちになるため、コストが高くなるばかりである。
塩析は、界面活性剤の存在下で行ってもよい。
界面活性剤としては特に制限されず、公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックス中の天然ゴム100質量部に対して、0.5~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。界面活性剤の添加量が、上記下限値以上であれば天然ゴムが著しく凝集することなくスラリーとして容易に取り出すことができる。界面活性剤の添加量が、上記上限値以下であればコストを抑えることができる。
凝固剤と界面活性剤の好ましい組み合わせとしては、例えば、硫酸アルミニウムとラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤との組み合わせが挙げられる。この好ましい組み合わせにおいて、それぞれの好ましい添加量は、上述の通りである。
乾燥温度は50~120℃が好ましく、70~100℃がより好ましい。
乾燥時間は10~48時間が好ましく、15~24時間がより好ましい。
(環化工程)
環化工程は、天然ゴムを溶剤に溶解して環化反応を行い、環化ゴム溶液を得る工程である。
環化工程では、まず、天然ゴムを溶剤に溶解させて天然ゴム溶液を調製する。
溶剤としては、天然ゴムを溶解できるものであれば特に限定されないが、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、沸点の観点からトルエンが好ましい。
溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
天然ゴム溶液の総質量に対する天然ゴムの含有量は、5~60質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましい。この好ましい範囲であると天然ゴム溶液の粘度が扱いやすい程度になる。
天然ゴム溶液を調製する際は、天然ゴムを溶剤に溶解させやすくする観点から、溶剤を加温してもよい。加温する際の温度は、20~120℃が好ましく、40~100℃がより好ましい。
次いで、天然ゴム溶液に環化触媒を添加し、環化反応を行う。環化反応により天然ゴムが環化されて環化ゴムとなる。環化ゴムは溶液の状態で得られる。
環化触媒としては、例えば硫酸;p-トルエンスルホン酸、モノフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化合物などが挙げられる。これらの中でも、酸触媒残渣の除去の観点から有機スルホン酸が好ましく、p-トルエンスルホン酸がより好ましい。
環化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸性の環化触媒は環化反応の後で中和されることが好ましい。中和後に生成した酸触媒残渣は環化ゴム溶液から除去されることが好ましい。アルカリ金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム)又はアルカリ金属炭酸水素塩(例えば炭酸水素ナトリウム)の水溶液を環化ゴム溶液に添加し、攪拌することにより、酸性の環化触媒を中和することができる。中和された環化触媒は水溶液に溶解し易い。上記の攪拌を停止すると、有機相である環化ゴム溶液と、水相である前記水溶液とは自然に分離するので、中和された環化触媒を含む水溶液を容易に除去することができる。
環化触媒の添加量は、天然ゴム溶液中の天然ゴム100質量部に対して、0.5~30質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましい。環化触媒の添加量が上記範囲内であれば、環化ゴムの環化率を所望の値に調節しやすい。
環化反応の反応温度は、50~150℃が好ましく、80~110℃がより好ましい。環化反応の反応時間は、0.5~10時間が好ましく、2~5時間がより好ましい。
天然ゴム溶液を構成する溶剤と環化触媒の好ましい組み合わせとしては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素とp-トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との組み合わせが挙げられる。この好ましい組み合わせにおいて、天然ゴムの好ましい含有量、環化触媒の好ましい添加量、環化反応の好ましい反応温度及び反応時間は、上述の通りである。
(懸濁工程)
懸濁工程は、水及び懸濁安定剤の存在下で、環化ゴム溶液を懸濁させる工程である。環化ゴム溶液を懸濁させることで、ゴム粒子が溶剤と共に油分として水中に分散した状態で得られる。
懸濁安定剤としては、セルロース系水溶性樹脂(例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、第3リン酸塩類などが挙げられる。
懸濁安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
懸濁安定剤の使用量は、環化ゴム溶液中の環化ゴム100質量部に対して、1~30質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。懸濁安定剤の使用量が上記範囲内であれば、懸濁状態を充分に安定化させることができる。
懸濁工程では、例えば、水に懸濁安定剤を溶解させた分散媒と、環化ゴム溶液とを混合して懸濁液を調製し、得られた懸濁液を加温して環化ゴム同士を架橋反応(懸濁架橋反応)させてもよい。このとき、環化ゴム溶液の総質量に対する環化ゴムの含有量が5~30質量%となるように、予め環化ゴム溶液を濃縮したり、溶剤でさらに希釈したりしてもよい。希釈に用いる溶剤としては、環化工程の説明において先に例示した溶剤が挙げられる。なお、環化ゴム同士が架橋する場合、環化した部位とは異なる部位が架橋するので、懸濁架橋反応の前後において、環化ゴムの環化率は変化しない。
懸濁架橋反応の反応温度は、40~150℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。懸濁架橋反応の反応時間は、0.5~10時間が好ましく、2~5時間がより好ましい。
また、懸濁状態をより安定化させる目的で、界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤としては特に制限されず、公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、環化ゴム溶液中の環化ゴム100質量部に対して、0.1~30質量部が好ましく、0.5~15質量部がより好ましい。界面活性剤の添加量が、上記下限値以上であれば懸濁状態を充分に安定化できるが、上記上限値を超えても界面活性剤の効果は頭打ちになるため、コストが高くなるばかりである。
界面活性剤は、分散媒に添加するのが好ましい。
懸濁工程においては、環化ゴム溶液に含まれる環化ゴムを架橋しながら懸濁させてもよい。環化ゴム同士を架橋することで、得られるゴム粒子の耐溶剤性が向上する。
環化ゴム溶液に含まれる環化ゴムを積極的に架橋させる場合は、水、懸濁安定剤及びラジカル重合開始剤の存在下で、環化ゴム溶液を懸濁させればよい。具体的には、水に懸濁安定剤を溶解させた分散媒と、環化ゴム溶液にラジカル重合開始剤を添加した混合液とを混合して架橋用懸濁液を調製し、得られた架橋用懸濁液を加温して反応させればよい。
架橋の反応温度は、40~150℃が好ましく、60~130℃がより好ましい。架橋の反応時間は、0.5~10時間が好ましく、2~5時間がより好ましい。
ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度は35~150℃が好ましく、45~130℃がより好ましい。ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が上記下限値以上であれば、反応が暴走することを抑制でき、取り扱いが容易となる。ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度が上記上限値以下であれば、加熱によるラジカル重合開始剤の残渣の不活性化が容易である。
ラジカル重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド(10時間半減期温度:74℃)、ジラウロイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度:104℃)、m-トルイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(10時間半減期温度:41℃)、t-ブチルパーオキシピバレート(10時間半減期温度:58℃)、クミルパーオキシネオデカノエート(10時間半減期温度:38℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:77℃)、オクタノイルパーオキサイド(10時間半減期温度:62℃)、デカノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度:72℃)、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(10時間半減期温度:99℃)、クミルパーオキシオクタエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート(10時間半減期温度:53℃)等の有機過酸化物;2,2-アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期温度:65℃)、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(10時間半減期温度:51℃)、1,1-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)(10時間半減期温度:88℃)等のアゾ化合物などが挙げられる。これらの中でも水素引き抜きによる架橋点形成の観点から有機過酸化物が好ましく、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレートがより好ましい。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記有機過酸化物の例示した群から任意に選択される1種以上が好ましく、2種以上がより好ましく、3種以上がさらに好ましい。特に、10時間半減期温度が互いに異なる複数のラジカル重合開始剤を併用すると、低温の早い時期にラジカルを生成する重合開始剤(半減期温度が低い重合開始剤)が、高温の遅い時期にラジカルを生成する重合開始剤(半減期温度が高い重合開始剤)のラジカル生成を促進して、架橋反応を速やかに進行させることができる。
ラジカル重合開始剤の合計の添加量は、環化ゴム溶液中の環化ゴム100質量部に対して、0.5~30質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量が、上記下限値以上であれば環化ゴムを充分に架橋できるが、上記上限値を超えてもラジカル重合開始剤の効果は頭打ちになるため、コストが高くなるばかりである。
(溶剤除去工程)
溶剤除去工程は、懸濁工程の後、懸濁液から溶剤を除去してゴム粒子が水に分散した水性分散液を得る工程である。
上述したように、ゴム粒子は溶剤と共に油分として水中に分散した状態で得られる。そこで、溶剤除去工程で溶剤を懸濁液から除去することで、ゴム粒子が水に分散した水性分散液が得られる。
懸濁工程の後の懸濁液から溶剤を除去するには、懸濁液を加熱すればよい。加熱温度は、70~120℃が好ましく、80~100℃がより好ましい。加熱時間は、1~10時間が好ましく、2~5時間がより好ましい。
なお、溶剤除去工程における加熱処理によって、上述した懸濁架橋反応と同様に、環化ゴム同士の架橋が少し起きることがある。
(洗浄工程)
洗浄工程は、溶剤除去工程で得られた水性分散液を固液分離し、回収したゴム粒子を水で洗浄する工程である。水による洗浄方法は特に制限されず、例えば、ゴム粒子を水に懸濁した後、濾過や沈殿等の固液分離によってゴム粒子を回収する方法が挙げられる。
(乾燥工程)
乾燥工程は、洗浄後のゴム粒子を乾燥する工程である。
乾燥方法としては、例えば加熱乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、赤外線乾燥法などが適用される。
例えば、加熱乾燥法を適用した場合、乾燥温度は40~120℃とすることが好ましく、60~100℃がより好ましい。乾燥時間は2~48時間とすることが好ましく、6~24時間がより好ましい。
(他の実施形態)
ゴム粒子の製造方法は、上述した実施形態に限定されない。
上述した実施形態では、天然ゴムとして天然ゴムラテックスを用いているが、スモークドシート等の固形物の状態の天然ゴムを用いてもよい。固形物の状態の天然ゴムを用いる場合は、環化工程の前に天然ゴムを素練りしておくことが好ましい。ここで、素練りとは、機械的せん断力を加えることによって、弾性や可塑性を加工し易い状態に調整することをいう。
また、環化されていない天然ゴムからなるゴム粒子は、例えば以下のようにして製造できる。すなわち、天然ゴムラテックスに含まれる天然ゴムの粒子表面をビニルモノマーなどにより改質させた後、天然ゴムラテックスを乾燥することにより、サブミクロンサイズのゴム粒子が得られる。
<作用効果>
以上説明した本発明のゴム粒子は、天然ゴムからなるので、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子である。また、本発明のゴム粒子の製造方法によれば、天然ゴムを環化させることで容易に粒子化できるので、天然物を原料とし、柔軟性を有する粒子を簡便に製造できる。
<用途>
本発明のゴム粒子は、塗料、プラスチック、粘着剤、化粧品、紙塗工材、繊維加工材、筆記具、マーカー等のフィラー等に使用される天然由来のマイクロビーズとして利用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[測定方法]
<環化率の測定>
環化ゴムの環化率は、核磁気共鳴装置を用いてH-NMRを測定することで求めた。具体的には、環化反応前後の天然ゴムについて、以下の測定条件にてH-NMRを測定し、環化反応前の天然ゴムの二重結合由来のプロトンのピーク面積(S)と、環化反応後の天然ゴムの二重結合由来のプロトンのピーク面積(S)をそれぞれ測定し、下記式(i)より環化ゴムの環化率を求めた。
環化率(%)={1-(S/S)}×100 ・・・(i)(測定条件)
・装置:日本電子株式会社製、「JNM-ECP600」
・溶媒:クロロホルム-d
・濃度:0.01g/mL
・共鳴周波数:600MHz
・積算回数:32回
・測定試料とした天然ゴムの量:0.02mg
<体積平均粒子径の測定>
粒子(ゴム粒子又はセルロース粒子)の体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布計(株式会社島津製作所製、「SALD2100」)を用いて測定した。
<柔軟性の評価>
下記評価基準に基づき、粒子(ゴム粒子又はセルロース粒子)を肌に塗布した際の触感を評価した。
〇:粒子の硬さが原因で発生するきしみ感がない。
×:粒子の硬さが原因で発生するきしみ感がある。
<耐溶剤性の評価>
耐溶剤性の評価として、ゴム粒子をトルエンに溶解させた時のゲル分率を以下のようにして求めた。
ゴム粒子を容器に精秤(W)し、そこにトルエンをゴム粒子の濃度が0.625質量%になるように投入した。24時間経過した後、容器内の液を濾紙(保持粒子径:8μm)で濾過し、得られた濾紙上の残渣(トルエン不溶分)を110℃で2時間乾燥し、トルエン不溶分の質量(W)を測定し、下記式(ii)よりゲル分率を求めた。ゲル分率が高いほど耐溶剤性に優れることを意味する。なお、得られた粒子を保持できればどのような濾紙を用いてもよい。
ゲル分率(%)=(W/W)×100 ・・・(ii)
[製造例1]
5L撹拌機付きセパラブルフラスコにイオン交換水3800gを仕込み、この中に天然ゴムラテックス(住友ゴム工業株式会社製、「SeLatex1100」、天然ゴムの含有量:60質量%、水等の分散媒の含有量:40質量%)800gと、ラウリル硫酸ナトリウム4.8gを投入してラテックス液を調製した。そこへ濃度33.6質量%の硫酸アルミニウム水溶液267.2gを投入し、天然ゴムラテックスの塩析を行った。次いで、ろ布を用いて固液分離により固形物を回収し、80℃で20時間乾燥して、天然ゴムの固形物を得た(塩析工程)。天然ゴム100質量部に対して、ラウリル硫酸ナトリウムの添加量は1質量部であり、硫酸アルミニウムの添加量は18.7質量部であった。
2L撹拌機付きセパラブルフラスコに天然ゴムの固形物120gとトルエン480gを仕込み、100℃に加温して、天然ゴムをトルエンに溶解させて濃度20質量%の天然ゴム溶液を調製した。次いで、p-トルエンスルホン酸12g投入し、100℃で環化反応を開始した。p-トルエンスルホン酸の投入から2時間半後、濃度25質量%の炭酸ナトリウム水溶液19.2gを投入して反応を停止し、環化ゴム溶液を得た(環化工程)。天然ゴム100質量部に対して、p-トルエンスルホン酸の添加量は10質量部であった。なお、p-トルエンスルホン酸は炭酸ナトリウムと反応して炭酸ナトリウム水溶液に溶解した。
得られた環化ゴム溶液(ただし、投入した炭酸水素ナトリウム水溶液を考慮しない。)の総質量に対する、環化ゴム(環化天然ゴム)の含有量は20質量%であり、トルエンの含有量は80質量%であった。
また、環化ゴムの環化率は83.5%であった。なお、環化率を測定するに際しては、環化ゴム溶液の一部を採取し、溶剤を除去して得られた残渣を乾燥したものを測定に用いた。
[製造例2]
p-トルエンスルホン酸の添加量を3gに変更した以外は、製造例1と同様にして環化ゴム溶液を得た。天然ゴム100質量部に対して、p-トルエンスルホン酸の添加量は2.5質量部であった。
得られた環化ゴム溶液の総質量に対する、環化ゴム(環化天然ゴム)の含有量は20質量%であり、トルエンの含有量は80質量%であった。
また、環化ゴムの環化率は67.8%であった。
[製造例3]
製造例1と同様にして塩析工程を行い、天然ゴムの固形物を得た。
2L撹拌機付きセパラブルフラスコに天然ゴムの固形物120gとトルエン480gを仕込み、100℃に加温して、天然ゴム溶液を得た。
得られた天然ゴム溶液の総質量に対する、天然ゴムの含有量は20質量%であり、トルエンの含有量は80質量%であった。
[実施例1]
2L撹拌機付きセパラブルフラスコに水600gを仕込み、この中にヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、「メトローズ90SH-100」)15gを投入して水に溶解させ、分散媒を調製した。分散媒を撹拌機の回転数400rpmで撹拌しながら、製造例1で得られた環化ゴム溶液300gを添加して、懸濁液を調製した。撹拌を継続しながら懸濁液を80℃に昇温し、80℃で2時間、懸濁架橋反応を行った(懸濁工程)。環化ゴム100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの添加量は25質量部であった。
懸濁工程の後の懸濁液を100℃に昇温し、100℃で1時間保持して懸濁液からトルエンを除去して、ゴム粒子が水に分散した水性分散液を得た(溶剤除去工程)。
水性分散液を室温(20℃)まで冷却した後、固液分離し、回収したゴム粒子を水で洗浄した(洗浄工程)。
洗浄後のゴム粒子を70℃で20時間乾燥して、球状のゴム粒子を得た。電子顕微鏡観察によって、得られたゴム粒子の殆ど全てが球状であることを確認した。
得られたゴム粒子について、体積平均粒子径を測定し、柔軟性及び耐溶剤性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ヒドロキシプロピルメチルセルロースの添加量を9g(環化ゴム100質量部に対して、15質量部に相当)に変更し、撹拌機の回転数を250rpmに変更した以外は、実施例1と同様にして球状のゴム粒子を得た。
得られたゴム粒子について、体積平均粒子径を測定し、柔軟性及び耐溶剤性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
2L撹拌機付きセパラブルフラスコに水600gを仕込み、この中にヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、「メトローズ90SH-100」)15gを投入して水に溶解させ、分散媒を調製した。別途、製造例1で得られた環化ゴム溶液300gに、ラジカル重合開始剤としてt-ブチルパーオキシピバレート1.2g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2g及びt-ヘキシルパーオキシピバレート1.2gを添加して混合液を調製した。分散媒を撹拌機の回転数400rpmで撹拌しながら、混合液303.6gを添加して、架橋用懸濁液を調製した。撹拌を継続しながら架橋用懸濁液を80℃に昇温し、80℃で2時間、架橋しながら懸濁架橋反応を行った(懸濁工程)。環化ゴム100質量部に対して、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの添加量は25質量部であり、ラジカル重合開始剤の合計の添加量は6質量部であった。
懸濁工程の後の架橋用懸濁液を100℃に昇温し、100℃で1時間保持して架橋用懸濁液からトルエンを除去して、ゴム粒子が水に分散した水性分散液を得た(溶剤除去工程)。
水性分散液を室温(20℃)まで冷却した後、固液分離し、回収したゴム粒子を水で洗浄した(洗浄工程)。
洗浄後のゴム粒子を70℃で20時間乾燥して、球状のゴム粒子を得た。
得られたゴム粒子について、体積平均粒子径を測定し、柔軟性及び耐溶剤性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
製造例1で得られた環化ゴム溶液300gの代わりに、製造例2で得られた環化ゴム溶液300gを用いた以外は、実施例3と同様にして球状のゴム粒子を得た。得られたゴム粒子について、体積平均粒子径を測定し、柔軟性及び耐溶剤性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
製造例1で得られた環化ゴム溶液300gの代わりに、製造例3で得られた天然ゴム溶液300gを用いた以外は、実施例3と同様にしてゴム粒子を製造しようとしたが、天然ゴムが粒子化せず、ゴム粒子を製造することができなかった。
[比較例2]
2L撹拌機付きセパラブルフラスコに酢酸エチル720gを仕込み、この中に酢酸セルロース(酢化度55%)180gを溶解して酢酸セルロース溶液を調製した。この溶液の25℃粘度は146000mPa・sであった。
これとは別に、2L撹拌機付きセパラブルフラスコに水300gを仕込み、この中にヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製、「メトローズ90SH-100」)5gとラウリル硫酸ナトリウム1gを溶解して分散媒水溶液を調製した。
酢酸セルロース溶液に分散媒水溶液を添加して、懸濁液を調製した。次いで、撹拌機の回転数300rpmで撹拌しながら懸濁液を90℃に昇温し、2時間懸濁液から酢酸エチルを揮発させた。次いで、95℃に昇温し、水酸化ナトリウムを70g添加して、1.5時間保持し、酢酸セルロース粒子からアセチル基を脱離させ、セルロース粒子を得た。これにより、水中にセルロース粒子が分散したスラリーを得た。
次いで、得られたスラリーを室温まで冷却した後、ろ過により固液分離し、回収した固形物を水で充分洗浄した後、70℃で20時間乾燥して、球状のセルロース粒子を得た。
得られたセルロース粒子について、体積平均粒子径を測定し、柔軟性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007153412000001
表1から明らかなように、各実施例で得られたゴム粒子は、比較例2で得られたセルロース粒子に比べて柔軟性に優れていた。
特に、天然ゴムを環化させた後、さらにラジカル重合開始剤を用いて架橋した環化ゴムを用いた実施例3、4のゴム粒子は、ゲル分率が高く、耐溶剤性にも優れていた。

Claims (5)

  1. 天然ゴムからなり、球状である、ゴム粒子であって、
    前記天然ゴムが、環化された環化ゴムであり、
    前記環化ゴムの環化率が60~90%である、ゴム粒子。
  2. 平均粒子径が1~300μmである、請求項1に記載のゴム粒子。
  3. 請求項1又は2に記載のゴム粒子の製造方法であって、
    天然ゴムを溶剤に溶解して環化反応を行い、環化ゴム溶液を得る工程と、
    水及び懸濁安定剤の存在下で、前記環化ゴム溶液を懸濁させる工程と、
    を有する、ゴム粒子の製造方法。
  4. 前記環化ゴム溶液を撹拌しながら40~150℃に加熱する、請求項に記載のゴム粒子の製造方法。
  5. 前記環化ゴム溶液にラジカル重合開始剤を添加する、請求項又はに記載のゴム粒子の製造方法。
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