JP7153337B2 - スピロシロキサン化合物、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサン及びそれらの製造方法 - Google Patents

スピロシロキサン化合物、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサン及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はスピロシロキサン化合物、定序性ポリシロキサン及びそれらの製造方法に関し、さらに詳しくは、新規なスピロシロキサン化合物、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサン、並びにアルコキシ基を2つ有するスピロシロキサンとトリヒドロシランを脱炭化水素縮合により重縮合することによる主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する化合物の製造方法、及び主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する化合物を用いてオレフィンのヒドロシリル化によるスピロシロキサン構造を有する化合物の製造方法に関する。
ポリシロキサン(シリコーン)は、耐熱性や耐候性、電気絶縁性、化学安定性などの優れた物性を有しているため、単なるオイルやゴムとしてだけではなく、LEDや太陽電池モジュールの封止材や低燃費エコタイヤなどにも幅広く用いられており、産業界には欠かすことのできない重要な材料である。ポリシロキサンの基本骨格はシロキサン結合(Si-O-Si結合)によって構成されているため、効率的なシロキサン結合形成法の開発が古くから活発に行われてきた。現在広く用いられているシロキサン結合形成法は、クロロシラン類やアルコキシシラン類の加水分解/脱水縮合による方法である。しかしながら、加水分解/脱水縮合法により複数の原料を共重合させる場合、シロキサンの配列制御を行うことはできない。その一方で、シロキサンの配列構造を精密に制御した定序性ポリシロキサンは、従来型のランダム配列型ポリシロキサンとは異なる特徴的な物性を示すことが期待されている。シロキサンの配列を制御して合成する手法として、シラノールとクロロシランの縮合反応とシラノール基の形成反応を逐次的に交互に行う手法が知られているが(非特許文献1、2)、シロキサン結合形成段階毎に単離精製操作が必要となるため操作が煩雑であり、分子量の大きなシロキサン化合物の合成には適していない。
一方、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランは、アルコキシシランとヒドロシランとの脱炭化水素縮合法によるシロキサン結合形成の触媒として知られており(特許文献1、非特許文献3)、この手法を用いた定序性ポリカルボシロキサンの合成が報告されている(非特許文献4)。ポリシロキサン合成にもこの脱炭化水素縮合法を用いることはできるが、シロキサン結合の組み替えなどの副反応が起こるため、この脱炭化水素縮合法でシロキサン配列を制御して定序性ポリシロキサンを合成することは極めて困難であった(非特許文献5)。例外として、Liuらは、主鎖中に環状4量体構造を含む定序性大環状ポリシロキサンの合成を報告している(非特許文献6)。また、この脱炭化水素縮合法による重縮合によりポリシロキサンを合成する場合は、ヒドロシラン原料の有する全てのSi-H基を反応させているため、この脱炭化水素縮合法による重縮合によりSi-H基を有するポリシロキサンを合成した例はない。その一方で松本らは、重縮合ではないがアルコキシシランとトリヒドロシランが2対1で選択的に脱炭化水素縮合し、トリヒドロシランの3つのSi-H基のうち1つが未反応のまま生成物中に残ることを見出している(非特許文献7)。
米国特許出願公開第2004/0127668号明細書
H.Uchida,Y.Kabe,K.Yoshino,A.Kawamata,T.Tsumuraya,S.Masamune,J.Am.Chem.Soc.,1990,112,7077-7079. Z.Chang, M.C.Kung,H.H.Kung,Chem.Commun.,2004,206-207. J.Chojnowsk,S.Rubinsztajn,J.A.Cella,W.Fortuniak,M.Cypryk,J.Kurjata,K.Kazmierski,Organometallics,2005,24,6077-6084. S.Rubinsztajn,J.A.Cella,Macromolecules,2005,38,1061-1063. J.Chojnowsk,W.Fortuniak,J.Kurjata,S.Rubinsztajn,J.A.Cella,Macromolecules,2006,39,3802-3807. J.Yu,Y.Liu,Angew.Chem.Int.Ed.,2017,56,8706-8710. K.Matsumoto,Y.Oba,Y.Nakajima,S.Shimada,K.Sato,Angew.Chem.Int.Ed.,2018,57,4637-4641.
本発明は、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する新規な化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ルイス酸性を有するホウ素化合物存在下で、アルコキシ基を2つ有するスピロシロキサンとトリヒドロシランを脱炭化水素縮合させることによって、スピロシロキサン構造を有する新規な化合物が得られるという知見を得た。さらには、上記脱炭化水素縮合により主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを効率よく製造することができることを見出した。また、この方法により得られるスピロシロキサン構造とSi-H基を有する化合物を用いてオレフィンのヒドロシリル化を行うことで、さらなる変換反応を施すことができ、スピロシロキサン化合物モノマーの変換のみならず、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を含む。
<1> 下記式(C)で表される構造を有する、スピロシロキサン化合物。
Figure 0007153337000001

(式(C)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、Rは水素、または-(CHで表わされる炭素原子数2~22の炭化水素基(Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基)を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表し、n=1の場合、末端は炭素原子数1~20の炭化水素基、水素、及び-SiRで表されるシリル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む。)
<2> nが2以上である、<1>に記載のスピロシロキサン化合物。
<3> nが3以上の大環状ポリシロキサンである、<2>に記載のスピロシロキサン化合物。
<4> ルイス酸性を有するホウ素化合物の存在下、下記式(a)で表される化合物と下記式(b)で表される化合物とを反応させて下記式(c)で表される構造を有する化合物を生成する工程(I)を含む、スピロシロキサン化合物の製造方法。
Figure 0007153337000002

(式(a)~(c)中、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1~20の炭化水素基を、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表す。)
<5> 白金触媒の存在下、下記式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物と下記式(d)で表される化合物とを反応させて下記式(c’)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物を生成する工程(II)を含む、スピロシロキサン化合物の製造方法。
Figure 0007153337000003

(式(c)、(c’)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表し、式(d)、(c’)中、Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。)
<6> nが2以上である、<4>又は<5>に記載のスピロシロキサン化合物の製造方法。
<7> nが3以上の大環状ポリシロキサンである、<6>に記載のスピロシロキサン化合物の製造方法。
本発明によれば、スピロシロキサン構造を有する新規な化合物が提供される。また、スピロシロキサン構造を有する新規な化合物を効率よく製造することができる。
本発明の詳細を説明するに当たり、具体例を挙げて説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
1.スピロシロキサン化合物
本発明の一態様は、下記式(C)で表される構造を有することを特徴とする、スピロシロキサン化合物である。以下、式(C)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物を説明する。
Figure 0007153337000004

(式(C)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、Rは水素、または-(CHで表わされる炭素原子数2~22の炭化水素基(Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基)を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表し、n=1の場合、末端は炭素原子数1~20の炭化水素基、水素、及び-SiRで表されるシリル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む。)
(R~R
式(C)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して「窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)」を表しているが、「窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」とは、炭化水素基の水素原子が窒素原子を含む1価の官能基又はハロゲン原子で置換されていてもよいほか、炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子が窒素原子を含む2価以上の官能基(連結基)で置換されていてもよいことを意味する。中でも、少なくとも1つのハロゲン原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基が好ましい。
「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。
、R、R、及びRの炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、R、R、R、及びRが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
、R、R、及びRの炭化水素基に含まれる官能基としては、フルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)、ヨード基(-I)、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。なお、官能基がアルケニル基、アルキニル基等、炭素原子を含む場合、炭化水素基の炭素数に含める。また、R、R、R、及びRが窒素原子を含む場合は、NH結合以外であり、例えば、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ピリジル基等が挙げられる。
、R、R、及びRとしては、メチル基(-CH,-Me)、エチル基(-C,-Et)、n-プロピル基(-,-Pr)、i-プロピル基(-,-Pr)、n-ブチル基(-,-Bu)、t-ブチル基(-,-Bu)、n-ペンチル基(-11)、n-ヘキシル基(-13,-Hex)、シクロヘキシル基(-11,-Cy)、アリル基(-CHCH=CH)、ベンジル基(-CH)、ビニル基(-CH=CH)、フェニル基(-C,-Ph)、クロロメチル基(-CHCl)、トリフルオロメチル基(-CF)等が挙げられる。
(R
式(C)中、Rは水素、または-(CHで表わされる炭素原子数2~22の炭化水素基(Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基)である。
(R
式(C)中、Rは「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基」を表しているが、有機基としては、好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基並びにシリル基が挙げられる。
1価の有機基が炭化水素基である場合、「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」とは、炭化水素基の水素原子が窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等を含む1価の官能基で置換されていてもよいほか、炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子が窒素原子、酸素原子、ケイ素原子等を含む2価以上の官能基(連結基)で置換されていてもよいことを意味する。また、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。Rが脂肪族炭化水素基の場合の炭素原子数は、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、Rが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
また、1価の有機基がシリル基である場合、「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」とは、シリル基のケイ素原子に窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子等を含む1価の官能基が結合されていてもよいことを意味する。
に含まれていてもよい官能基としては、水酸基(-OH)、エーテル基(オキサ基,-O-)、フルオロ基(-F)、クロロ基(-Cl)、ブロモ基(-Br)、ヨード基(-I)、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
従って、「窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」炭素原子数1~20の炭化水素基には、例えば-CFのようにハロゲンを含んでいる炭素数1の炭化水素基、-CFCFのようにハロゲンを含んでいる炭素数2の炭化水素基、-CHCHCH-Clのようにハロゲンを含んでいる炭素数3の炭化水素基、-CH-O-CHのようにエーテル基を炭素骨格の内部に含んでいる炭素数2の炭化水素基等が含まれ、Rとしては、メチル基(-CH,-Me)、エチル基(-C,-Et)、n-プロピル基(-,-Pr)、i-プロピル基(-,-Pr)、n-ブチル基(-,-Bu)、t-ブチル基(-,-Bu)、n-ペンチル基(-11)、n-ヘキシル基(-13,-Hex)、シクロヘキシル基(-11,-Cy)、アリル基(-CHCH=CH)、ベンジル基(-CH)、ビニル基(-CH=CH)、フェニル基(-C,-Ph)、4-クロロフェニル基(-CCl)、グリシジルエーテル基、ヒドロキシエトキシメチル基(-CHO(CHOH)等が挙げられる。
また、「窒素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい」シリル基には、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、トリアルコキシシリル基、ジアルコキシアルキルシリル基、アルコキシジアルキルシリル基、トリハロシリル基等が挙げられ、中でも、トリアルキルシリル基が好ましい。Rとしては、例えば、トリメチルシリル基(-Si(CH,-TMS)、トリメトキシシリル基(-Si(OCH)、トリエトキシシリル基(-Si(OC)、トリエチルシリル基(-Si(C,-TES)、トリイソプロピルシリル基(-Si(C,-TIPS)、t-ブチルジメチルシリル基(-Si(CHC(CH,-TBDMS)、ジ
メチルフェニルシリル基(-SiPh(CH)、t-ブチルジフェニルシリル基(-SiPhC(CH,-TBDPS)、ジメトキシメチルシリル基(-SiCH(OCH)、メトキシジメチルシリル基(-Si(CH(OCH))、トリクロロシリル基(-SiCl)等が挙げられる。
式(C)中、nは好ましくは、2以上、50以下であり、より好ましくは2以上20以下である。また、nが3以上の大環状ポリシロキサンも好ましい態様である。
式(C)中、kは、合成のし易さ、ポリシロキサンの定序性の確保の観点から、好ましくは、4以下、より好ましくは2以下である。
式(C)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物としては、具体的には、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007153337000005

Figure 0007153337000006


nは1~100であり、好ましくは2~50であり、より好ましくは2~20である。
Figure 0007153337000007

nは1~100であり、好ましくは2~50であり、より好ましくは2~20である。
次に、式(C)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物の製造方法について説明する。
2.スピロシロキサン化合物の製造方法
本発明の一態様であるシロキサン化合物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と略す場合がある。)は、ルイス酸性を有するホウ素化合物の存在下、下記式(a)で表される化合物であるスピロシロキサンと下記式(b)で表される化合物であるトリヒドロシランとを反応させて下記式(c)で表される構造を有する、スピロシロキサン構造とSi-H基を有するスピロシロキサン化合物を生成する工程(I)を含む。また、白金触媒存在下、上記工程(I)により得られる下記式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物と下記式(d)で表される化合物とを反応させて下記式(c’)で表される構造を有する、スピロシロキサン化合物を生成する工程(II)(以下、「ヒドロシリル化工程」と表記する場合がある。)を含む。
Figure 0007153337000008

(式(a)~(c)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表す。)
Figure 0007153337000009

(式(c)、(c’)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表し、式(d)、(c’)中、Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。)
クロロシラン類やアルコキシシラン類の加水分解/脱水縮合によるシロキサン結合形成法では、シロキサンの配列を精密に制御して定序性ポリシロキサンを得ることはできない。また、ルイス酸性を有するホウ素化合物を触媒とするアルコキシシラン類とヒドロシラン類の脱炭化水素縮合反応では、シロキサン結合の組み替えなどの副反応が起こるため、シロキサンの配列を制御して定序性ポリシロキサンを合成することは極めて困難であり、単環式の環状4量体構造を含む定序性大環状ポリシロキサンの合成が報告されているのみである。
本発明者らは、ルイス酸性を有するホウ素化合物を触媒とするアルコキシシランとヒドロシランの脱炭化水素縮合反応を、アルコキシ基を2つ有するスピロシロキサンとトリヒドロシランに適用することにより新規な化合物の合成に成功し、さらに、ルイス酸性を有するホウ素化合物を触媒とするアルコキシシランとヒドロシランの脱炭化水素縮合反応を、アルコキシ基を2つ有するスピロシロキサンとトリヒドロシランの共重合に適用することによって、シロキサン結合の組み替え反応を抑制して、主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを効率よく製造することができることを見出したのである。
以下、「工程(I)」、「工程(II)」について詳細に説明する。
2.1 工程(I):脱炭化水素縮合反応
工程(I)、すなわち、脱炭化水素縮合反応は、ルイス酸性を有するホウ素化合物の存在下、式(a)で表される化合物と式(b)で表される化合物とを反応させて式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン構造とSi-H基を有するスピロシロキサン化合物を生成する工程である。
式(a)で表される化合物の具体的種類は特に限定されず、製造目的であるスピロシロキサン化合物に応じて適宜選択されるべきであるが、基本的に、製造目的であるスピロシロキサン化合物と共通の構造を有する化合物を選択すべきでありアルコキシ基を2つ有するスピロシロキサンである下記式(a)で表される化合物が挙げられる。
(式(a)で表される化合物)
Figure 0007153337000010


(式(a)中、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1~20の炭化水素基を、kは1~5の整数を表す。)
式(a)中、R、R、及びRは、式(C)で説明したR、R、及びRと同
義であり、好ましい態様も同様である。
はそれぞれ独立して、「炭素原子数1~20の炭化水素基」を表しているが、「炭化水素基」は、分岐構造、環状構造のそれぞれを有していてもよく、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基等の何れであってもよいものとする。また、炭素原子数は、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下であり、Rが芳香族炭化水素基である場合の炭素原子数は、通常6以上である。
としては、メチル基(-CH,-Me)、エチル基(-C,-Et)、n-プロピル基(-,-Pr)、i-プロピル基(-,-Pr)、n-ブチル基(-,-Bu)、t-ブチル基(-,-Bu)、n-ペンチル基(-11)、n-ヘキシル基(-13,-Hex)、シクロヘキシル基(-11,-Cy)、アリル基(-CHCH=CH)、ベンジル基(-CH)、ビニル基(-CH=CH)、フェニル基(-C,-Ph)等が挙げられる。
-ORで表される基としては、例えば下記式で表されるアルコキシ基が挙げられる。
Figure 0007153337000011
式(a)で表される化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0007153337000012
式(a)で表される化合物は、例えば、WO2018/159756号、非特許文献7
を参照して合成することが出来る。
(式(b)で表される化合物)
トリヒドロシランである、式(b)で表される化合物の具体的種類は、目的とするスピロシロキサン化合物に応じて適宜選択される。以下、式(b)で表される化合物について説明する。
Figure 0007153337000013

(Rは窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。)
式(b)中、Rは式(C)で説明したR、R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(b)で表される化合物としては、例えば、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0007153337000014

式(b)で表される化合物の使用量(仕込量)は、式(a)で表される化合物の物質量に対して、通常0.5当量以上、好ましくは0.9当量以上、より好ましくは0.95当量以上であり、通常1.5当量以下、好ましくは1.1当量以下、より好ましくは1.05当量以下である。
上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(ルイス酸性を有するホウ素化合物)
ルイス酸性を有するホウ素化合物の具体的種類は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。なお、ルイス酸性を有するホウ素化合物は、1種類に限られず、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ルイス酸性を有するホウ素化合物としては、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(B(C)、トリス(ペンタクロロフェニル)ボラン(B(CCl)、トリフェニルボラン(BPh)、三フッ化ホウ素(BF)、三塩化ホウ素(BCl)、三臭化ホウ素(BBr)等が挙げられるが、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランが特に好ましい。
上記のものであると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
ルイス酸性を有するホウ素化合物の使用量(仕込量)は、式(b)で表される化合物に対して物質量換算で、通常0.01mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常20mol%以下、好ましくは10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。
上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(溶媒)
工程(I)は、無溶媒で行ってもよいが、溶媒を使用することが好ましい。溶媒の種類は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。この中でもトルエンが特に好ましい。
また、大環状のポリシロキサンを選択的に生成させる場合、溶媒を使用することが好ましく、式(a)で表される化合物が溶媒に対し、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
上記のものであると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(その他の反応条件)
工程(I)の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、通常100℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは40℃以下である。
工程(I)の反応時間は、通常10分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、通常96時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは12時間以下である。
工程(I)は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物)
工程(I)によって生成する式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物は、製造目的に応じて適宜選択することができる。また、上述した通り、式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物は、式(C)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物の一実施形態である。なお、生成物の同定は、29Si{H} NMR測定、MALDI-TOFMSにより行うことができる。また、重量平均分子量及び数平均分子量(ポリスチレン換算)は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により、決定することもできる。
Figure 0007153337000015

式(c)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは2~100の整数を、kは1~10の整数を表す。
~Rは「式(a)で表される化合物」、「式(b)で表される化合物」のものと同義であり、好ましい態様も同様である。nは1~100、好ましくは2~50、より好ましくは2~20の整数である。nは好ましくは、2以上、50以下であり、より好ましくは2以上20以下である。kは、合成のし易さ、ポリシロキサンの定序性の確保の観点から、好ましくは、4以下、より好ましくは2以下である。
式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物としては、好ましくは、k=1である下記式(c1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007153337000016


(式(c1)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは1~100の整数を表す。)
式(c1)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0007153337000017
また、(c1)で表されるポリシロキサンとして、大環状ポリシロキサンが挙げられる。大環状ポリシロキサンとしては、例えば、n=3~5のポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0007153337000018
また、式(c1)で表される鎖状ポリシロキサンとしては、末端構造が、例えば、Si-H、Si-OR等のものが挙げられる。すなわち、末端が炭素原子数1~20の炭化水素基、水素、及び-SiRで表されるシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。具体的には、下記式の化合物が挙げられる。
Figure 0007153337000019

nは好ましくは、1~100の整数であり、好ましくは2以上、50以下であり、より好ましくは2以上20以下である。
2.2 工程(II):ヒドロシリル化工程
工程(II)(ヒドロシリル化工程)は、白金触媒存在下、工程(I)で生成される式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物とオレフィンである式(d)で表される化合物とを反応させて式(c’)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物を生成する工程を含む。式(d)で表される化合物の具体的種類は、製造目的であるスピロシロキサン化合物に応じて適宜選択されるべきであるが、下記式(d)で表される化合物が挙げられる
(式(d)で表される化合物)
Figure 0007153337000020

(式(d)中、Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。)
式(d)中、Rは式(C)で説明したRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(d)で表されるオレフィンとしては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 0007153337000021
式(d)で表される化合物の使用量(仕込量)は、式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物のnが1の場合の物質量に対して、通常0.5当量以上、好ましく
は0.9当量以上、より好ましくは0.95当量以上であり、通常10当量以下、好ましくは5当量以下、より好ましくは1.5当量以下である。上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(白金触媒)
白金触媒の具体的種類は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。なお、白金触媒は、1種類に限られず、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
白金触媒としては、白金炭素、カールステッド触媒、塩化白金(PtCl)、塩化白金(PtCl)、塩化白金酸(HPtCl)、塩化白金酸(HPtCl)、アダムス触媒(PtO-HO)等が挙げられるが、カールステッド触媒が特に好ましい。上記のものであると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
白金触媒の使用量(仕込量)は、式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物のnが1の場合の物質量に対して、通常0.01mol%以上、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは1mol%以上であり、通常20mol%以下、好ましくは10mol%以下、より好ましくは5mol%以下である。上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(溶媒)
ヒドロシリル化工程は、無溶媒であっても良いが、溶媒を使用することが好ましい。溶媒の種類は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的にはヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。この中でもトルエンが特に好ましい。
上記のものであると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
(その他の反応条件)
ヒドロシリル化工程の反応温度は、通常0℃以上、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上であり、通常150℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下である。
ヒドロシリル化工程の反応時間は、通常10分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上であり、通常96時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは12時間以下である。
ヒドロシリル化工程は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
上記範囲内であると、より効率良く主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンを製造することができる。
ヒドロシリル化工程によって生成する式(c’)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物の具体的種類は、製造目的に応じて適宜選択される。上述した通り、式(c’)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物は、式(C)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物の一実施形態である。なお、生成物の同定は、29Si{H}
NMR測定、MALDI-TOFMSにより行うことができる。また、重量平均分子量及び数平均分子量(ポリスチレン換算)は、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)測定により、決定することもできる。
Figure 0007153337000022

式(c’)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、nは1~100の整数を、kは1~10の整数を表し、式(d)、(c’)中、Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基を表す。
式(c’)中、R~R、R、n及びkは、「式(c)で表される化合物」、「式(d)で表される化合物」と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(c’)で表されるスピロシロキサン化合物としては、好ましくは、下記式(c2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007153337000023

式(c2)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、窒素原子及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基を、Rは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含んでいてもよい1価の有機基を、nは2~100の整数を表す。
式(c2)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物としては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。nは1~100の整数であり、好ましくは2以上、50以下であり、より好ましくは2以上20以下である。中でも、nが3~20の大環状ポリシロキサンが好ましい。
Figure 0007153337000024
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<実施例1>
Figure 0007153337000025

B(C(3.6mg,0.0070mmol)をトルエン(56mL)に溶
解させた。この溶液に、4,12-diisopropoxy-2,2,6,6,10,10,14,14-octamethyl-4,12-diphenyl-1,3,4,7,9,11,13,15-octaoxa-2,4,6,8,10,12,14-heptasilaspiro[7.7]pentadecane(505mg,0.704mmol)を加えた。さらに、PhSiH(87.0μL,0.704mmol)を加えて室温で撹拌した。12時間後、反応混合物をアルミナパッドによりろ過し(溶出液:ヘキサン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法-飛行時間型質量分析法(MALDI-TOFMS)によって、n=3~10の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.42、-16.44、-16.54、-16.56、-48.6、-78.125、-78.134、-105.6.
<実施例2>
Figure 0007153337000026

B(C(5.1mg,0.010mmol)をトルエン(80mL)に溶解させた。この溶液に、4,12-diisopropoxy-2,2,6,6,10,10,14,14-octamethyl-4,12-diphenyl-1,3,4,7,9,11,13,15-octaoxa-2,4,6,8,10,12,14-heptasilaspiro[7.7]pentadecane(717mg,1.00mmol)を加えた。さらに、nHexSiH(161μL,1.00mmol)を加えて室温で撹拌した。18時間後、反応混合物をアルミナパッドによりろ過し(溶出液:ヘキサン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~7の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.61、-16.63、-16.68、-16.71、-35.2、-78.3、-105.5.
<実施例3>
Figure 0007153337000027

B(C(1.2mg,0.0024mmol)をトルエン(20mL)に溶解させた。この溶液に、4,12-dihexyl-4,12-diisopropoxy-2,2,6,6,10,10,14,14-octamethyl-1,3,4,7,9,11,13,15-octaoxa-2,4,6,8,10,12,14-heptasilaspiro[7.7]pentadecane(176mg,0.240mmol)を加えた。さらに、PhSiH(32.6μL,0.264mmol)を加え
て室温で撹拌した。18時間後、反応混合物をアルミナパッドによりろ過し(溶出液:トルエン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造とSi-H基を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~10の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-17.58、-17.60、-17.74、-17.76、-49.8、-65、31、-65.32、-105.5.
<実施例4>
Figure 0007153337000028

カールステッド触媒(0.1mg,0.0001mmol)をトルエン(1.0mL)に溶解させた。この溶液に、実施例1と同様にして合成したポリシロキサン(74mg,0.10mmol)を加えた。さらに、1-Octene(16μL,0.10mmol)を加えて室温で撹拌した。10時間後、反応混合物をシリカゲルパッドによりろ過し(溶出液:ヘキサン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~5の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.84、-16.90、-16.94、-17.0、-33.9、-79.05、-79.06、-105.6.
<実施例5>
Figure 0007153337000029

カールステッド触媒(0.1mg,0.0001mmol)をトルエン(1.0mL)に溶解させた。この溶液に、実施例1と同様にして合成したポリシロキサン(74mg,
0.10mmol)を加えた。さらに、1-(Trimethylsilyl)ethene(15μL,0.10mmol)を加えて室温で撹拌した。22時間後、反応混合物をシリカゲルパッドによりろ過し(溶出液:トルエン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~6の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):3.0、-16.8、-16.91、-16.94、-17.0、-33.8、-79.0、-105.6.
<実施例6>
Figure 0007153337000030

カールステッド触媒(0.1mg,0.0001mmol)をトルエン(1.0mL)に溶解させた。この溶液に、実施例1と同様にして合成したポリシロキサン(74mg,0.10mmol)を加えた。さらに、ビニルグリシジルエーテル(12μL,0.10mmol)を加えて室温で撹拌した。1時間後、反応混合物をシリカゲルパッドによりろ過し(溶出液:トルエン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~7の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.7、-16.8、-33.8、-48.6、-78.97、-78.98、-105.5.
<実施例7>
Figure 0007153337000031

カールステッド触媒(0.1mg,0.0001mmol)をトルエン(1.0mL)に溶解させた。この溶液に、実施例1と同様にして合成したポリシロキサン(74mg,0.10mmol)を加えた。さらに、2-アリルオキシエタノール(11μL,0.10mmol)を加えて室温で撹拌した。1時間後、反応混合物をシリカゲルパッドによりろ過し(溶出液:トルエン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~6の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.62、-16.64、-16.76、-16.78、-33.9、-78.9、-105.5.
<実施例8>
Figure 0007153337000032

B(C(0.1mg,0.0001mmol)をトルエン(1.0mL)に溶解させた。この溶液に、実施例1と同様にして合成したポリシロキサン(74mg,0.10mmol)を加えた。さらに、4-クロロスチレン(13μL,0.10mmol)を加えて室温で撹拌した。1時間後、反応混合物をシリカゲルパッドによりろ過し(溶出液:トルエン)、目的とする主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンが得られたことを29Si{H} NMR測定によって確認した。また、MALDI-TOFMSによって、n=3~6の大環状ポリシロキサンを検出した。
29Si{H}NMR(C):-16.56、-16.59、-16.7、-16.8、-35.2、-78.9、-105.6.
本発明により得られる、スピロシロキサン化合物、主鎖中にスピロシロキサン構造を有する定序性ポリシロキサンは、機能性シリコーン材料や含シリコーン有機無機ハイブリット材料等の原料として利用することができる。

Claims (7)

  1. 下記式(C)で表される構造を有する、スピロシロキサン化合物。
    Figure 0007153337000033
    (式(C)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ピリジル基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、Rは水素、または-(CHで表わされる炭素原子数~22の炭化水素基(R炭素原子数1~20の炭化水素基又はシリル基を表し、前記炭化水素基は水酸基及びハロゲン原子からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよく、前記炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子がエーテル基で置換されていてもよい。)を、nは1~100の整数を、kは1~の整数を表し、n=1の場合、末端は炭素原子数1~20の炭化水素基、水素、及び-SiRで表されるシリル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む。)
  2. nが2以上である、請求項1に記載のスピロシロキサン化合物。
  3. nが3以上の大環状ポリシロキサンである、請求項2に記載のスピロシロキサン化合物。
  4. ルイス酸性を有するホウ素化合物の存在下、下記式(a)で表される化合物と下記式(b)で表される化合物とを反応させて下記式(c)で表される構造を有する化合物を生成する工程(I)を含む、スピロシロキサン化合物の製造方法。
    Figure 0007153337000034
    (式(a)~(c)中、Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1~20の炭化水素基を、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ピリジル基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは1~100の整数を、kは1~の整数を表す。)
  5. 白金触媒の存在下、下記式(c)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物と下記式(d)で表される化合物とを反応させて下記式(c’)で表される構造を有するスピロシロキサン化合物を生成する工程(II)を含む、スピロシロキサン化合物の製造方法。
    Figure 0007153337000035
    (式(c)、(c’)中、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ピリジル基、及びハロゲン原子からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい炭素原子数1~20の炭化水素基(但し、NH結合を含まない)を、nは1~100の整数を、kは1~の整数を表す。式(d)、(c’)中、R炭素原子数1~20の炭化水素基又はシリル基を表し、前記炭化水素基は水酸基及びハロゲン原子からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されていてもよく、前記炭化水素基の炭素骨格内部の炭素原子がエーテル基で置換されていてもよい。
  6. nが2以上である、請求項4又は5に記載のスピロシロキサン化合物の製造方法。
  7. nが3以上の大環状ポリシロキサンである、請求項6に記載のスピロシロキサン化合物の製造方法。
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