以下、図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る什器について説明する。図1に示すように、本実施形態の什器1は、後述するトレー2を内部に収納した状態で、これを介して商品S(図8参照)などを陳列するためのものであり、外観が縦長のほぼ直方体状に形成されている。
なお、以下の説明においては、図1の矢印X-X’で示す方向を「前後方向」、矢印Y-Y’で示す方向を「左右方向」、上下方向を「上下方向」とそれぞれ呼ぶとともに、各構成要素についても同様に称する。以上の点は、後述する図9及び図15においても同様である。
同図に示すように、什器1は、什器本体10を備えており、この什器本体10は、前壁部11、左壁部12、右壁部13及び後壁部14で構成されている。これらの4つの壁部11~14はいずれも、互いに同じ高さの縦長矩形の形状を有し、一体に形成されている。さらに、前壁部11及び後壁部14は互いに同じ横幅を有し、左右の壁部12,13も互いに同じ横幅を有している。それにより、什器本体10は、縦長のほぼ直方体状で中空の筒状に構成されている。
この什器本体10の四隅すなわち隣り合う各2つの壁部の接続部には、合計12個の支持部15が設けられている。12個の支持部15の各々は、前後方向に延びる矩形の板部と、左右方向に延びる矩形の板部とを、平面視した状態で互いに直交するように連設したものであり、支持部15の上端面は水平に配置されている。
これらの支持部15では、4個の支持部15が什器本体10の隣り合う各2つの壁部の境界線上の同じ高さに設けられており、これら4個の支持部15を1組として、上中下の計3組の支持部15が上下方向に配置されている。上側の1組の支持部15は、その上端が什器本体10の上端から所定距離d1分、下方になるように配置されており、この所定距離d1は、後述するトレー2の前側板2aの高さh(図3参照)よりも大きい値に設定されている。この理由については後述する。
また、什器本体10の前壁部11には、上下2つの前側開口16,16と、前側開口16,16の各々の下側部分を覆う前側カバー部17とが設けられている。2つの前側開口16,16は、上下方向に所定間隔を存して配置されており、左右の壁部12,13の前端部が各前側開口16の左右の縁部になっている。それにより、前側開口16の左右方向の幅は左右の壁部12,13の内壁面間の距離とほぼ同じになっている。また、前側開口16の上縁部は、左右方向に延びている。
さらに、前側カバー部17は、ほぼ矩形の板状部材であり、その幅は、前側開口16の左右方向の幅とほぼ同じになっている。前側カバー部17の上端部は、左右方向に延びており、その中央部には、作業者が指を引っかけるための、円弧状の切欠き17aが形成されている。また、前側カバー部17の下端部は、前壁部11との接続部分になっている。
この前側カバー部17には、一対の第1折目線f1,f1及び第2折目線f2が形成されている。一対の第1折目線f1,f1は、前側カバー部17の中央の部位に設けられ、前側カバー部17の両端間において、互いに平行に左右方向に延びている。
これらの第1折目線f1,f1は、前側カバー部17の折曲げ作業を容易に行うための線(例えば、ミシン目状の線)であり、前側カバー部17の表裏面に形成されている(図1,3参照)。この点は後述する他の折目線においても同様である。
前側カバー部17は、一対の第1折目線f1,f1を介して、什器本体10の内側に2段階に折り曲げ可能になっている。また、一対の第1折目線f1,f1の下側の第1折目線f1と第2折目線f2との間隔d2は、トレー2の前側板2aの高さhよりも大きい値に設定されている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10内に収納する際、一対の第1折目線f1,f1を介して、前側カバー部17を什器本体10の内側に2段階に折り曲げることで、トレー2の前側板2aを覆うことができる(図5~7参照)。
また、第2折目線f2は、前側カバー部17の前壁部11との接続部分に設けられており、前側カバー部17の両端間において、第1折目線f1,f1と平行に左右方向に延びている。前側カバー部17は、この第2折目線f2を介して手前に折り曲げ可能になっている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10内に収納する際、前側カバー部17を、第2折目線f2を介して手前に折り曲げることができる(図4参照)。
本実施形態の什器本体10は、図2に示す段ボール板紙10’を原紙から打抜いて形成し、これを折り曲げて組み立てられたものである。以下、この段ボール板紙10’の構成について説明する。
同図に示すように、段ボール板紙10’は、一部を除いて矩形状のものであり、左側から右側に向かって、フラップ12a、左壁部12、前壁部11、右壁部13及び後壁部14が一体に連設されている。
この段ボール板紙10’には、一対の切込みc1,c1(切目)を1組として、上中下の3組の切込みc1,c1が上下方向に一直線上に並ぶように形成されているとともに、これら3組の切込みc1,c1が左右方向の4箇所において、同じ高さの位置に設けられている。すなわち、合計12組の切込みc1,c1が段ボール板紙10’に形成されている。また、一対の切込みc1,c1は互いに同じ長さで左右方向に互いに平行に延びている。
フラップ12aは、その上下端部が斜めに切り欠かれた台形板状のものであり、左壁部12から一体に左方に突出している。このフラップ12aと左壁部12との接続部分には、第3折目線f3が形成されている。
この第3折目線f3は、フラップ12aと左壁部12との接続部分の上端から下端まで延びており、その途中には、上中下の3組の切込みc1,c1が第3折目線f3を横切るように所定位置に形成されている。
上側の1組の切込みc1,c1は、左壁部12の上端から前述した所定距離分、下方の位置に設けられており、互いに平行に所定間隔で左右方向に延びているとともに、第3折目線f3を中心として左右対称な長さを有している。この上側の1組の切込みc1,c1の場合、その上側に位置する切込みc1と左壁部12の上端との間隔は、前述した所定距離d1(図1参照)に設定されている。
また、中央の1組の切込みc1,c1は、上側の1組の切込みc1,c1よりも下方の所定位置に配置されており、下側の1組の切込みc1,c1は、中央の1組の切込みc1,c1よりも下方の所定位置に配置されている。
一方、左壁部12と前壁部11は、上中下の3箇所の接続部分で接続されている。これら3箇所の接続部分にはそれぞれ、上中下の3つの第4折目線f4,f4,f4と、これら3つの第4折目線f4,f4,f4をそれぞれ横切るように、上中下の3組の切込みc1,c1が設けられている。
これらの第4折目線f4を横切っている3組の切込みc1,c1はそれぞれ、第3折目線f3を横切っている3組の切込みc1,c1と同じ高さの位置に設けられている。より具体的には、中央の1組の切込みc1,c1の場合、その上側に位置する切込みc1は、第2折目線f2と同じ高さの位置に設けられている。
これと同様に、下側の1組の切込みc1,c1でも、その上方の切込みc1は、第2折目線f2と同じ高さの位置に設けられている。これは、後述するように、前側カバー部17を第2折目線f2に沿って手前に折り曲げたときに、前側カバー部17の上面と支持部15の上端面との間の段差を小さくするためである。
また、この段ボール板紙10’では、一対の切込みc2,c2がそれぞれ、各前側カバー部17の左右両端部と左右の壁部12,13との間に形成されている。一対の切込みc2,c2はそれぞれ、第4折目線f4及び後述する第5折目線f5と同一直線上に位置し、前側カバー部17の上端と、第2折目線f2と同じ高さに位置する切込みc1との間に延びている。それにより、各前側カバー部17の左右両端部は、左右の壁部12,13から切り離された状態になっている。
さらに、前壁部11と右壁部13は、3箇所の接続部分で接続されている。これら3箇所の接続部分にはそれぞれ、上中下の3つの第5折目線f5,f5,f5と、これら3つの第5折目線f5,f5,f5をそれぞれ横切るように、上中下の3組の切込みc1,c1が設けられている。これら3組の切込みc1,c1は、第4折目線f4を横切っている3組の切込みc1,c1と同じ高さに配置されている。
さらに、右壁部13と後壁部14との接続部分には、第6折目線f6が形成されている。この第6折目線f6は、接続部分の上端から下端まで延びており、その途中には、上中下の3組の切込みc1,c1が第6折目線f6を横切るように所定位置に形成されている。これら上中下の3組の切込みc1,c1は、前述したように、第3~第5折目線f3~f5を横切っている上中下の3組の切込みc1,c1と同じ高さに設けられている。
次に、以上の図2に示す段ボール板紙10’から図1に示す什器本体10を組み立てる手順について説明する。なお、以下の組み立て作業はすべて作業者の手作業によって実施される。
まず、段ボール板紙10’のフラップ12a及び左壁部12を、第3折目線f3を介して互いに直交する状態まで折り曲げるとともに、左壁部12及び前壁部11を、第4折目線f4を介して互いに直交する状態まで折り曲げる。
これと同様に、前壁部11及び右壁部13を、第5折目線f5を介して互いに直交する状態まで折り曲げるとともに、右壁部13及び後壁部14を、第6折目線f6を介して互いに直交する状態まで折り曲げる。
次いで、12組の切込みc1,c1において、各組の切込みc1,c1の間を指で押圧し、内側に突出するように折り曲げることにより、計12個の支持部15を形成する。その後、後壁部14の先端面が左壁部12の外表面と面一になっている状態で、フラップ12aの外表面を接着剤を介して、後壁部14の内面に接着する。以上により、什器本体10が段ボール板紙10’から組み立てられる。
なお、什器本体10を段ボール板紙10’から組み立てる作業手法は、上記の手法に限られるものではない。例えば、接着剤に代えて、マジックテープ(登録商標)により、フラップ12aを後壁部14に固定してもよく、機械貼りにより、フラップ12aを後壁部14に固定してもよい。
次に、以上のように構成された什器1において、トレー2を什器本体10内に収納し、商品Sを陳列する場合の動作について説明する。この場合のトレー2は、ラップアラウンドケースを上下2つに破断したときの下半部に相当するものである。
また、以下の説明では、上側の前側開口16及び前側カバー部17を介して、トレー2を什器本体10内に収納する場合を例にとって説明する。なお、以下の動作はすべて作業者の手作業によるものとする。
まず、図3に示すように、前側カバー部17を、前壁部11に対して直角な状態すなわち水平な状態になるまで、第2折目線f2に沿って手前に折り曲げる。次いで、トレー2を準備する。
トレー2は、前側板2a、左右の側板2b,2c及び後側板2dなどを備えており、4つの側板2a~2dは、互いに同じ高さhに設定されている。また、図示しないが、側板2a~2dの上端面はギザギザの破断面になっている。このトレー2の場合、その幅と奥行は、什器本体10の内部空間における幅及び奥行よりも若干、小さい値になっている。
次に、図4に示すように、トレー2の底面を前側カバー部17の上面を摺動させながら、前側開口16を介して、トレー2を図中に実線で示す位置まで什器本体10内に差し込む。その際、前側カバー部17の上面は、支持部15の上端面よりも若干、高い位置にあって、両者の段差が小さい状態になっているので、トレー2は、前側の左右の支持部15,15に案内されながら円滑に移動し、什器本体10内に収納される。それにより、トレー2は、その四隅の底面が4つの支持部15によって支持された状態となる。
次いで、図5に示すように、前側カバー部17を、前壁部11に対して平行な状態になるまで、第2折目線f2に沿って上方に折り曲げる。さらに、図6に示すように、前側カバー部17を、下側の折目線f1に沿って下方に折り曲げる。その後、図7に示すように、前側カバー部17を、奥側の折目線f1に沿って下方に折り曲げることにより、トレー2の前側板2aの上端の破断面が、前側カバー部17によって覆われた状態になる。
この場合、前側カバー部17の幅は、什器本体10の内寸(すなわち左右の壁部12,13の内面間の距離)とほぼ同一であり、トレー2の内寸(すなわち左右の側板2b,2cの内面間の距離)よりも若干、大きくなっているので、前側カバー部17は、下方に折り曲げられる際、トレー2の左右の側板2b,2c間に圧入されることになる。それにより、前側カバー部17は、下方に折り曲げられた後、図7に実線で示す位置に保持される。
以上のように、トレー2を什器本体10内に収納した後、多数の商品Sを前側開口16を介してトレー2内に並べることにより、商品Sの陳列が終了する。この状態では、図8に示すように、商品購入者が前側開口16を介して商品Sを参照した際、トレー2の前側板2aの上端の破断面が前側カバー部17によって覆われていることで、この破断面が見えず、商品Sしか見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1に陳列したときの見栄えを向上させることができる。
なお、商品Sをトレー2内に並べるタイミングは、上記のタイミングに限らず、トレー2が什器本体10内に収納された以降のタイミングであればよい。例えば、前側カバー部17が図4に示す状態に保持されているときに、商品Sをトレー2内に並べるようにしてもよい。
この什器1では、以上の手順により、トレー2を、上側の前側開口16及び上側の前側カバー部17を介して什器本体10内に収納することができる。また、以上と同様の手順により、トレー2を、下側の前側開口16及び下側の前側カバー部17を介して什器本体10内に収納することもできる。
これに加えて、トレー2を、什器本体10の上端開口を介して、什器本体10内に差し込み、トレー2の底面を上側の4つの支持部15に当接させることによって、トレー2を什器本体10内に収納することができる。
その状態では、什器本体10の前壁部11の上端と支持部15の上端との間の間隔d1が、トレー2の前側板2aよりも大きくなっていることで、商品購入者が什器1を正面から見たときに、トレー2の前側板2aの上端の破断面が見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1に陳列したときの見栄えを向上させることができる。
以上のように、第1実施形態の什器1では、合計3個のトレー2を什器本体10に収納することができる。その状態で、3つのトレー2の前側板2aの上端の破断面が前方から見えない状態にすることができ、消費者の商品購入意欲の低下を回避できる。その結果、什器自体の商品性を向上させることができる。
なお、第1実施形態は、什器本体10を段ボール紙10’で構成した例であるが、本発明の什器本体はこれに限らず、合成樹脂などの他の材質で構成してもよい。
また、第1実施形態は、4つの支持部15の各々を、前後方向に延びる矩形の板部と、左右方向に延びる矩形の板部とが互いに直交しながら連設されている構成とした例であるが、本発明の4つの支持部はこれに限らず、器本体の互いに隣接する壁部の境界線のそれぞれにおける所定の高さから内方に突出するように設けられ、什器本体内に位置するトレーを下方から支持できるものであればよい。例えば、4つの支持部として、什器本体の四隅の所定部位から内方に平面視して円弧状にそれぞれ突出するものを用いてもよい。
さらに、第1実施形態は、什器本体10を合計3個のトレー2を収納することができるように構成した例であるが、例えば、前壁部11における前側開口16及び前側カバー部17の数を変更することにより、2個又は4個以上のトレー2を収納できるように構成してもよい。
また、第1実施形態の什器本体10の前側カバー部17において、第1折目線f1,f1を省略し、第2折目線f2のみを介して外方に折り曲げ可能に構成してもよい。その場合には、前側カバー部17の上端と第2折目線f2との間隔をトレー2の壁部の高さhよりも高く設定し、トレー2を前方から見たときに、トレー2の前側板2aの上端の破断面が見えないようにすればよい。
次に、図9~14を参照しながら、本発明の第2実施形態に係る什器1Aについて説明する。本実施形態の什器1Aは、第1実施形態の什器1と比較すると、一部を除いて同様に構成されているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態の什器1と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
同図に示すように、什器1Aは、什器本体10Aを備えており、この什器本体10Aは、第1実施形態の什器本体10と比べて、前壁部11の一部の構成と、左右の壁部12,13の構成が異なっているので、以下、これらの点について説明する。
この什器本体10Aの前壁部11には、2つの前側開口16A,16Aと、前側開口16A,16Aの各々の下側部分を覆う前側カバー部17Aとが設けられている。各前側開口16Aは、矩形に構成されており、その幅が前述した前側開口16と同じサイズになっている。
また、前側カバー部17Aは、ほぼ矩形に構成されており、その幅が第1実施形態の前側カバー部17と同じサイズで、その下端部すなわち前壁部11との接続部分が前側カバー部17よりも所定距離d2分、高い位置になっている。
この前側カバー部17Aの下端部には、前述した一対の第1折目線f1,f1が形成されている。これらの第1折目線f1,f1は、前側カバー部17Aの両端間に左右方向に延びるとともに、互いに平行に設けられている。
これらの第1折目線f1,f1のうち、下側の第1折目線f1は、前側カバー部17Aと前壁部11の接続部分に配置されている。前側カバー部17Aは、一対の第1折目線f1,f1を介して、什器本体10Aの内側に2段階に折り曲げ可能であるとともに、下側の第1折目線f1を介して、下側に折り曲げ可能になっている。
それにより、後述するように、トレー2を什器本体10A内に収納する際、前側カバー部17Aを、下側の第1折目線f1を介して、下側に折り曲げることで、前側開口16Aの開口面積を拡げ、トレー2を什器本体10A内に容易に差し込むことができる(図11参照)。
さらに、トレー2を什器本体10A内に収納した後、前側カバー部17Aを、図9に示す状態に戻してから、一対の第1折目線f1,f1を介して、2段階に奥側に折り曲げることで、トレー2の前側板2aを覆うことができる(図13,14参照)。
また、左右の壁部12,13は、互いに同様に構成されているので、以下、右壁部13の構成を例にとって説明する。この右壁部13には、1つの切欠き18と、上下2つの横側開口19,19と、横側開口19,19の各々の下側部分を覆う横側カバー部20とが設けられている。
これらの切欠き18及び上下2つの横側開口19,19は、互いに同じ前後方向の幅を有し、右壁部13の上下方向に整列した状態で並んでいる。切欠き18は、右壁部13の上端部に設けられており、矩形で上方に開放されている。
この切欠き18の下縁は、支持部15の上端よりも低い高さになっている。これは、後述するように、トレー2を什器本体10Aの上端開口から収納する際、作業者の片手の自由度を向上させ、作業性を向上させるためである。
一方、各横側開口19は、矩形に構成され、その上縁が前側開口16Aの上縁と同じ高さになっている。なお、横側開口19の上縁と前側開口16Aの上縁が異なる高さになっていてもよい。また、横側開口19の左縁と右壁部13の左端の間隔、及び横側開口19の右縁と右壁部13の右端の間隔は、所定値d3に設定されている。
さらに、横側開口19の下縁は、支持部15の上端よりも低い位置になっている。これは、後述するように、両手を前側開口16A及び横側開口19から差し込んでトレー2の収納作業を実施する際、横側開口19から差し込んだ片手の自由度を向上させ、作業性を向上させるためである。
さらに、横側カバー部20は、ほぼ矩形の板状部材であり、その幅は、横側開口19の前後方向の幅とほぼ同じになっている。横側カバー部20の上端部は、左右方向に延びており、その中央部には、作業者が指を引っかけるための、円弧状の切欠き20aが形成されている。また、横側カバー部20の下端部は、右壁部13との接続部分になっている。
この横側カバー部20には、一対の第1横側折目線f11,f11及び第2横側折目線f12が形成されている。一対の第1横側折目線f11,f11は、横側カバー部20のほぼ中央の部位に設けられ、横側カバー部20の両端間において、互いに平行に前後方向に延びている。
横側カバー部20は、一対の第1横側折目線f11,f11を介して、什器本体10Aの内側に2段階に折り曲げ可能になっている。また、一対の第1横側折目線f11,f11の下側の第1横側折目線f11と支持部15の上端との間隔は、トレー2の右側板2cの高さhよりも大きい値に設定されている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10A内に収納する際、横側カバー部20を、一対の第1横側折目線f11,f11を介して什器本体10Aの内側に2段階に折り曲げることで、トレー2の右側板2cを覆うことができる(図13,14参照)。
また、第2横側折目線f12は、横側カバー部20の右壁部13との接続部分に設けられており、横側カバー部20の両端間において、第1横側折目線f11,f11と平行に前後方向に延びている。横側カバー部20は、この第2横側折目線f12を介して下方に折り曲げ可能になっている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10A内に収納する際、横側カバー部20を、第2横側折目線f12を介して下方折り曲げることで、横側開口19の開口面積を拡げることができる(図11参照)。
右壁部13は、以上のように構成されており、左壁部12もこれと同様に構成されている。
本実施形態の什器本体10Aは、図10に示す段ボール板紙10A’を原紙から打抜いて形成し、これを折り曲げて組み立てられたものである。以下、この段ボール板紙10A’の構成について説明する。この段ボール板紙10A’の場合、什器本体10Aについて説明した内容に加えて、以下のように構成されている。
この段ボール板紙10A’の前壁部11には、一対の切込みc3,c3が、各前側カバー部17Aの左右両端部と左右の壁部12,13との間に形成されている。これらの切込みc3,c3はそれぞれ、第4折目線f4及び第5折目線f5と同一直線上に位置し、前側カバー部17Aの上端と一対の第1折目線f1,f1のうちの下方の第1折目線f1との間に延びている。それにより、各前側カバー部17Aの左右端部は、左右の壁部12,13から切り離された状態になっている。
さらに、右壁部13には、一対の切込みc4,c4が、各横側カバー部20の両端部と右壁部13との間に形成されている。これらの切込みc4,c4はそれぞれ、横側カバー部20の上端と第2横側折目線f12との間に延びており、それにより、横側カバー部20は、右壁部13から切り離された状態になっている。以上と同様に、左壁部12にも、一対の切込みc4,c4が形成されている。
以上の図10に示す段ボール板紙10A’から図9に示す什器本体10Aを組み立てる手順は、前述した第1実施形態の段ボール板紙10’から什器本体10を組み立てる手順と同じであるので、その説明を省略する。
次に、以上のように構成された什器1Aにおいて、トレー2を什器本体10A内に収納し、商品Sを陳列する場合の動作について説明する。以下の説明では、上側の前側開口16A及び前側カバー部17Aと、上側の横側開口19及び横側カバー部20とを介して、トレー2を什器本体10A内に収納する場合を例にとって説明する。なお、以下の動作はすべて作業者の手作業によるものとする。
まず、図11に示すように、前側カバー部17Aを、前壁部11に対して直角な状態すなわち水平な状態になるまで、下側の第1折目線f1に沿って手前側に折り曲げる。さらに、横側カバー部20を、右壁部13に対して直角な状態になるまで第2横側折目線f12に沿って右側に折り曲げる。
次に、図12に示すように、左手Lhでトレー2を把持しながら、前側開口16Aを介して什器本体10A内に差し込むとともに、右手Rhを什器本体10A内に差し込み、両手Lh,Rhでトレー2を把持する。そして、その状態で、トレー2を、その四隅の底面が4つの支持部15によって支持される位置まで移動させる。以上により、トレー2が什器本体10A内に収納される。
この場合、第2横側折目線f12が支持部15の上端よりも低い位置に設けられているので、収納作業の際、右手Rhをトレー2の収納位置(すなわちトレー2の底面が支持部15の上端面に当接する位置)まで自由に動かすことができ、トレー2の収納作業を容易に行うことができる。
次いで、前側カバー部17Aを、前壁部11に対して平行な状態(図9に示す状態)になるまで、下側の第1折目線f1に沿って上方に折り曲げる。さらに、横側カバー部20を、右壁部13に対して平行な状態(図9に示す状態)になるまで、第2横側折目線f12に沿って上方に折り曲げる。
その後、図13に示すように、前側カバー部17Aを、前壁部11に対して直交する状態になるまで、下側の第1折目線f1に沿って什器本体10Aの奥側に折り曲げる。さらに、左右2つの横側カバー部20をそれぞれ、左右の壁部12,13に対して直交する状態になるまで、下側の第1横側折目線f11に沿って什器本体10Aの奥側に折り曲げる。
次いで、前側カバー部17Aを、奥側の第1折目線f1に沿って下方に折り曲げる。それにより、トレー2の前側板2aの上端の破断面が前側カバー部17Aによって覆われた状態になる(図14参照)。この場合、前述した前側カバー部17と同じ理由により、前側カバー部17Aは、下方に折り曲げられた状態に保持される。
さらに、左右2つの横側カバー部20をそれぞれ、奥側の第1横側折目線f11に沿って下方に折り曲げる。それにより、トレー2の左右の側板2b,2cの上端の破断面がそれぞれ、左右の横側カバー部20によって覆われた状態になる(図14参照)。
以上のように、トレー2を什器本体10A内に収納した後、多数の商品Sをトレー2内に並べることにより、商品Sの陳列が終了する。この状態では、図14に示すように、商品購入者が前側開口16A及び左右の横側開口19,19を介して商品Sを参照した際、トレー2の前側板2a及び左右の側板2b,2cの上端の破断面がそれぞれ、前側カバー部17A及び2つの横側カバー部20,20によって覆われていることで、これらの破断面が見えず、商品Sしか見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1Aに陳列したときの見栄えを向上させることができる。
この什器1Aでは、以上の手順により、トレー2を、上側の前側開口16A及び上側の前側カバー部17Aと、右壁部13(又は左壁部12)における上側の横側開口19及び上側の横側カバー部20を介して什器本体10A内に収納することができる。また、以上と同様の手順により、トレー2を、下側の前側開口16A及び下側の前側カバー部17Aと、右壁部13(又は左壁部12)における下側の横側開口19及び下側の横側カバー部20を介して什器本体10A内に収納することができる。
これに加えて、トレー2を、什器本体10Aの上端開口を介して、什器本体10A内に差し込み、トレー2の底面を最上位の4つの支持部15に当接させることによって、トレー2を什器本体10A内に収納することができる。その際、前述したように、切欠き18の下縁は、支持部15の上端よりも低い高さになっているので、トレー2を什器本体10Aの上方から収納する際、作業者の片手の自由度を向上させることができ、作業性を向上させることができる。
また、前述した理由により、商品購入者が什器1Aを正面から見たときに、最も高い位置に収納されたトレー2の前側板2aの上端の破断面が見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1Aに陳列したときの見栄えを向上させることができる。
以上のように、第2実施形態の什器1Aでは、合計3個のトレー2を什器本体10Aに収納することができる。その状態で、3つのトレー2の前側板2aの上端の破断面が前方から見えない状態にすることができる。これに加えて、トレー2の左右の側板2b,2cの上端の破断面が、上下の横側開口19を介して横側から見えない状態にすることができる。その結果、消費者の商品購入意欲の低下を回避でき、什器自体の商品性を向上させることができる。
さらに、什器1Aの場合、前側カバー部17Aの前壁部11との接続部分が支持部15の上端から所定値d2分、高い位置に設けられているので、第1実施形態の前側カバー部17のように、前壁部11との接続部分が支持部15の上端に等しい位置に設けられている場合と比べて、前壁部11の強度を高めることができる。さらに、右壁部13(又は左壁部12)における横側開口19は、その両縁部が右壁部13(又は左壁部12)の両端に対して所定距離d3分、離間しているので、その分、右壁部13(又は左壁部12)の強度を確保できる。
なお、第2実施形態の什器1Aにおいて、商品購入者が什器1Aを横側から見たときの見栄えを向上させるために、左右の切欠き18を省略したり、横側カバー部20と同様のカバー部を切欠き18の下縁部に連続するように設けたりしてもよい。また、左右の横側開口19,19及び横側カバー部20,20を省略してもよい。さらに、横側カバー部20,20を省略するとともに、左右の横側開口19,19の下縁を第2横側折目線f12の位置に設定してもよい。
また、第2実施形態の什器1Aは、横側開口19,19を左右の壁部の双方に設けた例であるが、横側開口19,19を左右の壁部の一方に設けてもよい。
さらに、第2実施形態の什器1Aは、横側開口19の下縁部を支持部15の上端面よりも低い位置とした例であるが、横側開口19の下縁部を支持部15の上端面と同じ高さに設定してもよい。
また、第2実施形態の什器1Aの前壁部11において、前側カバー部17Aを省略し、前側開口16Aのみが前壁部11に設けられているように構成してもよい。その場合には、前側開口16Aの下縁部と支持部15の上端との間隔をトレー2の前側板2aの高さhよりも高く設定し、トレー2の前側板2aの上端の破断面が前方から見えないようにすればよい。
次に、図15~21を参照しながら、本発明の第3実施形態に係る什器1Bについて説明する。本実施形態の什器1Bは、第2実施形態の什器1Aと比較すると、一部を除いて同様に構成されているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第2実施形態の什器1Aと同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
図15及び図16に示すように、什器1Bは、什器本体10Bを備えており、この什器本体10Bは、第2実施形態の什器本体10Aと比べて、左右の壁部12,13及び後壁部14の構成が異なっているので、以下、これらの点について説明する。なお、図16は、什器本体10Bの背面図である。
この什器本体10Bの場合、第2実施形態の什器本体10Aと異なり、左右の壁部12,13には、切欠き18及び上下2つの横側開口19,19が形成されておらず、左右の壁部12,13は、第1実施形態の什器本体10と同様に、矩形の平板状に構成されている。
また、後壁部14には、1つの切欠き30と、上下2つの後側開口31,31と、後側開口31,31の各々の下側部分を覆う後側カバー部32とが設けられている。これらの切欠き30及び上下2つの後側開口31,31は、互いに同じ左右方向の幅を有し、後壁部14の上下方向に整列した状態で並んでいる。切欠き30は、後壁部14の上端部に設けられており、矩形で上方に開放されている。
この切欠き30の下縁は、支持部15の上端よりも低い高さになっている。これは、後述するように、トレー2を什器本体10Bの上端開口から収納する際、作業者の片手の自由度を向上させ、作業性を向上させるためである。
一方、各後側開口31は、矩形に構成され、その上縁が前側開口16Aの上縁と同じ高さになっている。この後側開口31の左縁と後壁部14の左端との間隔、及び後側開口31の右縁と後壁部14の右端との間隔は、所定値d4に設定されている。
また、後側開口31の下縁は、支持部15の上端よりも低い位置になっている。これは、後述するように、両手を前側開口16A及び後側開口31から差し込んでトレー2の収納作業を実施する際、後側開口31から差し込んだ片手の自由度を向上させ、作業性を向上させるためである。
さらに、後側カバー部32は、ほぼ矩形の板状部材であり、その幅は、後側開口31の前後方向の幅とほぼ同じになっている。後側カバー部32の上端部は、左右方向に延びており、その中央部には、作業者が指を引っかけるための、円弧状の切欠き32aが形成されている。また、後側カバー部32の下端部は、後壁部14との接続部分になっている。
この後側カバー部32には、一対の第1後側折目線f31,f31及び第2後側折目線f32が形成されている。一対の第1後側折目線f31,f31は、後側カバー部32のほぼ中央の部位に設けられ、後側カバー部32の両端間において、互いに平行に前後方向に延びている。
後側カバー部32は、一対の第1後側折目線f31,f31を介して、什器本体10Bの内側に2段階に折り曲げ可能になっている。また、一対の第1後側折目線f31,f31の下側の第1後側折目線f31と支持部15の上端との間隔は、トレー2の後側板2dの高さhよりも大きい値に設定されている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10B内に収納する際、一対の第1後側折目線f31,f31を介して、後側カバー部32を什器本体10Bの内側に2段階に折り曲げることで、トレー2の後側板2dを覆うことができる(図20参照)。
また、第2後側折目線f32は、後側カバー部32の後壁部14との接続部分に設けられており、後側カバー部32の両端間において、第1後側折目線f31,f31と平行に前後方向に延びている。後側カバー部32は、この第2後側折目線f32を介して後側に折り曲げ可能になっている。それにより、後述するように、トレー2を什器本体10B内に収納する際、後側カバー部32を、第2後側折目線f32を介して後側に折り曲げることができる(図20参照)。
本実施形態の什器本体10Bは、図17に示す段ボール板紙10B’を原紙から打抜いて形成し、これを折り曲げて組み立てられたものである。以下、この段ボール板紙10B’の構成について説明する。この段ボール板紙10B’の場合、什器本体10Bについて説明した内容に加えて、以下のように構成されている。
この段ボール板紙10B’の後壁部14には、一対の切込みc5,c5が、各後側開口31の両端部と後壁部14との間に形成されている。これらの切込みc5,c5はそれぞれ、後側カバー部32の上端と第2後側折目線f32との間に延びており、それにより、後側カバー部32は、後壁部14から切り離された状態になっている。
以上の図17に示す段ボール板紙10B’から図9に示す什器本体10Bを組み立てる手順は、前述した段ボール板紙10’から什器本体10を組み立てる手順と同じであるので、その説明を省略する。
次に、以上のように構成された什器1Bにおいて、トレー2を什器本体10B内に収納し、商品Sを陳列する場合の動作について説明する。以下の説明では、上側の前側開口16A及び前側カバー部17Aと、上側の後側開口31及び後側カバー部32とを介して、トレー2を什器本体10B内に収納する場合を例にとって説明する。なお、以下の動作はすべて作業者の手作業によるものとする。
まず、図18に示すように、前側カバー部17Aを、前壁部11に対して直角な状態すなわち水平な状態になるまで、下側の第1折目線f1に沿って下方に折り曲げる。さらに、後側カバー部32を、後壁部14に対して直角な状態になるまで第2後側折目線f32に沿って下方に折り曲げる。
次に、図19に示すように、左手Lhでトレー2を把持しながら、これを前側開口16Aを介して什器本体10B内に差し込むとともに、右手Rhを後側開口31を介して什器本体10B内に差し込み、両手Lh,Rhでトレー2を把持する。そして、その状態で、トレー2を、その四隅の底面が4つの支持部15によって支持される位置まで移動させる。以上により、トレー2が什器本体10B内に収納される。
この場合、第2後側折目線f32が支持部15の上端よりも低い位置に設けられているので、収納作業の際、右手Rhをトレー2の収納位置まで自由に動かすことができ、トレー2の収納作業を容易に行うことができる。
次いで、前側カバー部17Aを、前壁部11に対して平行な状態(図15に示す状態)になるまで、下側の第1折目線f1に沿って上方に折り曲げる。さらに、後側カバー部32を、後壁部14に対して平行な状態(図16に示す状態)になるまで、第2後側折目線f32に沿って上方に折り曲げる。
その後、図20に示すように、前側カバー部17Aを一対の第1折目線f1,f1に沿って什器本体10Bの内側に2段階に折り曲げることにより、トレー2の前側板2aの上端の破断面が前側カバー部17Aによって覆われた状態になる。さらに、後側カバー部32を一対の第1後側折目線f31,f31に沿って什器本体10Bの内側に2段階に折り曲げることにより、トレー2の後側板2dの上端の破断面が後側カバー部32によって覆われた状態になる。
以上のように、トレー2を什器本体10B内に収納した後、多数の商品Sをトレー2内に並べることにより、商品Sの陳列が終了する。この状態では、図21に示すように、商品購入者が後側開口31を介して商品Sを参照した際、トレー2の後側板2dの上端の破断面が、後側カバー部32によって覆われていることで、破断面が見えず、商品Sしか見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1Bに陳列したときの見栄えを向上させることができる。
この什器1Bでは、以上の手順により、トレー2を、上側の前側開口16A及び上側の前側カバー部17Aと、上側の後側開口31及び上側の後側カバー部32とを介して、什器本体10B内に収納することができる。また、以上と同様の手順により、トレー2を、下側の前側開口16A及び下側の前側カバー部17Aと、下側の後側開口31及び下側の後側カバー部32とを介して、什器本体10B内に収納することができる。
これに加えて、トレー2を、什器本体10Bの上端開口を介して、什器本体10B内に差し込み、トレー2の底面を最上位の4つの支持部15に当接させることによって、トレー2を什器本体10B内に収納することができる。その際、前述したように、切欠き30の下縁は、支持部15の上端よりも低い高さになっているので、トレー2を什器本体10Bの上方から収納する際、作業者の片手の自由度を向上させることができ、作業性を向上させることができる。
また、前述した理由により、商品購入者が什器1Bを正面から見たときに、最も高い位置に収納されたトレー2の前側板2aの上端の破断面が見えない状態となる。それにより、商品Sを什器1Bに陳列したときの見栄えを向上させることができる。
以上のように、第3実施形態の什器1Bでは、合計3個のトレー2を什器本体10Bに収納することができる。その状態で、3つのトレー2の前側板2aの上端の破断面が前方から見えない状態にすることができる。これに加えて、トレー2の後側板2dの上端の破断面が、上下の後側開口31を介して後側から見えない状態にすることができる。その結果、消費者の商品購入意欲の低下を回避でき、什器自体の商品性を向上させることができる。
また、この什器1Bの場合、前述した什器1Aと同様に、前側カバー部17Aの前壁部11との接続部分が支持部15の上端から所定値d2分、高い位置に設けられているので、その分、前壁部11の強度を第1実施形態の什器1よりも高めることができる。さらに、後壁部14における後側開口31は、その両縁部が後壁部14の両端に対して所定距離d4分、離間しているので、その分、後壁部14の強度を確保できる。
なお、第3実施形態の什器1Bにおいて、商品購入者が什器1Bを後ろ側から見たときの見栄えを向上させるために、切欠き30を省略したり、後側カバー部32と同様のカバー部を切欠き30の下縁部に連設したりしてもよい。また、後側開口31及び後側カバー部32を省略してもよい。さらに、後側カバー部32を省略するとともに、後側開口31の下縁部を第2後側折目線f32の高さに設定してもよい。
第3実施形態は、後側開口31の下縁部を支持部15の上端面よりも低い位置とした例であるが、後側開口31の下縁部を支持部15の上端面と同じ高さの位置としてもよい。
次に、図22~23を参照しながら、本発明の第4実施形態に係る什器1Cについて説明する。本実施形態の什器1Cは、第1実施形態の什器1と比較すると、一部を除いて同様に構成されているので、以下、異なる点を中心に説明する。また、第1実施形態の什器1と同一の構成に対しては同じ符号を付すとともに、その説明を省略する。
図22に示すように、什器1Cは、什器本体10Cを備えており、この什器本体10Cは、図23に示す段ボール板紙10C’から組み立てられる。この段ボール板紙10C’は、一部を除いて矩形状のものであり、左側から右側に向かって、左壁部12の半部12’、前壁部11、右壁部13、後壁部14及び左壁部12の半部12’が一体に連設されている。この段ボール板紙10C’の場合、後壁部14と左壁部12の半部12’の間には、折目線f7が上下方向に延びている。
什器本体10Cは、段ボール板紙10C’の左壁部12の半部12’、前壁部11、右壁部13、後壁部14及び左壁部12の半部12’を、折目線f4~f7を介して互いに直交する状態まで折り曲げた後、2つの半部12’12’を重ね合わせた状態で互いに固定することによって作製されている。
この什器本体10Cの四隅すなわち隣り合う各2つの壁部の接続部には、合計8個の支持部40が設けられている。8個の支持部40のうち、上側の4個の支持部40は互いに同じ高さに配置されており、下側の4個の支持部40も同じ高さに配置されている。
各支持部40は、2つの二等辺三角形の壁部を組み合わせた形状を有しており、什器本体10Cの内方に突出しているとともに、その上端面はほぼ水平に配置されている。前述したトレー2は、前側開口16を介して、什器本体10Cに収容されたときに、4つの支持部40によって支持される。
また、段ボール板紙10C’には、一対の折目線f9,f9と一対の切込みc6,c6(切目)が形成されており、これらの折目線f9,f9及び切込みc6,c6は、菱形に配置されている。
一対の折目線f9,f9は、折目線f4~f7の各々を間にして左右対称に設けられ、上方に向かうほど、互いの間隔がより大きくなるようになっている。また、一対の切込みc6,c6は、一対の折目線f9,f9の上端からそれぞれ上方に延び、上方に向かうほど、互いの間隔がより小さくなるようになっている。
支持部40は、一対の折目線f9,f9及び一対の切込みc6,c6によって囲まれた菱形の部分を指で押圧し、什器本体10Cの内側に折り曲げることによって形成されている。
また、什器本体10Cの前壁部11には、上下2つの前側カバー部17’,17’が設けられているとともに、その下側には、前述した前側カバー部17が設けられている。下側の前側カバー部17’は、上側の開口16の下半部を覆っているとともに、その両下端部は、上述した切込みc6,c6によって、斜めに切り欠かれた形状になっている。
この前側カバー部17’には、一対の第1折目線f1,f1、折目線f2’及び折目線f8が形成されている。前側カバー部17’は、この折目線f2’を介して、手前側に折り曲げ可能になっており、この折目線f2’と下側の第1折目線f1の間隔は、第1折目線f1と第2折目線f2の間隔と同一に設定されている。
また、折目線f8は、前側カバー部17’を前述した図7に示す状態でトレー2に取り付けた後、これをトレー2から取り外す際、前側カバー部17’の先端部を上方に折り曲げるために用いられる。さらに、上側の前側カバー部17’は、下側の前側カバー部17’と同一に形成され、その上縁が什器本体10Cの上縁になっている。
また、什器本体10Cの左右壁部12,13及び後壁部14には、左右のカバー部12A,13A及び後カバー部14Aがそれぞれ設けられている。後カバー部14Aは、前側カバー部17’と同一に構成されている。
さらに、左右のカバー部12A,13Aは、前後方向の横幅以外は、前側カバー部17’と同一に構成されている。すなわち、左右のカバー部12A,13Aの各々には、前述した一対の第1折目線f1,f1、折目線f2’及び折目線f8が形成されている。
これに加えて、什器本体10Cの右壁部13には、図23に示すように、矩形の蓋部13Bが設けられている。この蓋部13Bは、折目線f10と「コ」字状のミシン目線C7とによって形成されており、ミシン目線C7に沿って右壁部13から切り離し可能であるとともに、折目線f10に沿って手前に折り曲げ可能になっている。
以上のように構成された第4実施形態の什器1Cによれば、2個のトレー2を支持部40で支持しながら什器本体10Cに収納することができる。さらに、1個のトレー2を、下側の前側開口16を介して什器本体10C内の支持台代わりの箱などの上に載置することにより、トレー2を什器本体10Cに収納することができる。すなわち、合計3個のトレー2を什器本体10Cに収納することができる。その状態で、2つの前側カバー部17’,17’及び前側カバー部17を内側に折り曲げることにより、3つのトレー2の前側板2aの上端の破断面が前方から見えない状態にすることができる。
これに加えて、上側の4つの支持部40に支持されたトレー2においては、前側カバー部17A、左右のカバー部12A,13A及び後カバー部14Aをそれぞれ、前側カバー部17と同様に、内側に折り曲げることにより、トレー2の左右の側板2b,2c及び後側板2dの上端の破断面が左右方向及び後方から見えない状態にすることができる。
さらに、作業者は、蓋部13Bをミシン目線C7に沿って右壁部13から切り離しながら、折目線f10に沿って手前に折り曲げることにより、開口を右壁部13に形成することができる。それにより、作業者は、この開口を介して手を什器本体10C内に差し込むことができ、什器本体10C内の収容物に対して手作業を容易に行うことができる。
なお、第1~第3実施形態の什器1,1A,1Bにおいて、支持部15に代えて、上記の支持部40を設けてもよい。さらに、第1~第3実施形態の什器1,1A,1Bにおいて、上記の前側カバー部17A、左右のカバー部12A,13A及び後カバー部14Aをそれぞれ設けてもよい。
また、第1及び第3実施形態の什器1,1Bにおいて、上記の蓋部13Bを左右の壁部12,13に設けてもよい。さらに、第2実施形態の什器1Aにおいて、横側カバー部20及び横側開口19が左右の壁部12,13に存在しない場合には、上記の蓋部13Bを左右の壁部12,13に設けてもよい。