(第1の実施の形態)
この発明の第1の実施の形態に係る、包装容器1について説明する。図1は、この発明の第1の実施の形態に係る、包装容器1を正面側から見た外観斜視図である。図2は、この発明の第1の実施の形態に係る、包装容器1を背面側から見た外観斜視図である。図3は、この発明の第1の実施の形態に係る、包装容器1を底面側から見た外観斜視図である。図4は、この発明の第1の実施の形態に係る、包装容器1の展開図である。図8~図13は、本実施の形態に係る作用説明図である。
以下、包装容器1が有する各構成について、順に説明する。
本実施の形態に係る包装容器1は、例えば、商品たる被包装物Pを店舗等にて懸吊支持しながら見栄えよく展示するためのものである。また本実施の形態では、被包装物Pとして、例えば、リップクリーム、口紅のような化粧品の容器、或いは、スティック糊といったステーショナリ類等に多くみられる概略長尺円筒柱状をなす商品を想定している。
本実施の形態に係る包装容器1は、上述の商品たる被包装物Pを包装容器1が好適に包装、収容するためのものである。具体的には、包装容器1内の被包装物Pが、店舗に展示されているときも、出荷中にあるときも、被包装物Pを好適に保護しつつ、且つ、外方への不意な抜脱を確実に回避し得るものである。
包装容器1は、例えば厚紙と称されるような可撓性を有するシート材によって構成され、シート材を主体とする包装容器1は、弾力性すなわち変形に抗して、原形に復しようとする力のある性質を有する、板紙(例えば折り畳み箱用板紙)やプラスチック製板等からなる。
すなわち、当該包装容器1は、通常、紙素材や可撓性樹脂といった可撓性を有するシート材を主体としたものであり、当該シート材を適宜の平面視形状に切り出し、所定の箇所を折り曲げ容易とするようにプレスすることにより筋入れ折り曲げ線が形成される。そして組み立て時には、適宜の箇所を筋入れ部分を折り曲げ線として折り曲げて他部分とを接着するようにして、被包装物Pを包装するに足る、前面板2、後面板4および底面板6を有する立体形状に形成される。また、シート材の詳細な構成を適宜形成することにより、接着を回避し凹凸係合等により立体形状を形成する態様も可能である。
本発明に係る包装容器1は、図4および図5に示すように、被包装物Pの前面を覆う前面板2と、被包装物Pの後面を覆う後面板4と、被包装物Pを外方から特に下方から上方に向けて挿入可能に構成し、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で内方で上方に向けて延出する底面板6と、前面板2の(左側)側端部14Bと後面板4の(右側)側端部14Aとを連設する連続板8とを具備する。すなわち、包装容器1は、被包装物Pの外周面に接する後面板4と、後面板4に(右側)側端部14A及び(左側)側端部14Bを介して連設された前面板2と、前面板2及び後面板4の下端の底部16とを備えている。
本実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pの前面を覆う前面板2と、被包装物Pの後面を覆う後面板4と、被包装物Pを外方から特に下方(底部16側)から上方に向けて挿入可能に構成し、前面板2及び後面板4の底部16を構成する下端Rからそれぞれ異なる寸法で、内方で上方に向けて延出する底面板6と、を具備する。すなわち、包装容器1は、被包装物Pの外周面に接する後面板4と、後面板4に折り目を介して連設された前面板2とを備え、折り目によりシート材を折り曲げて形成された(右側)側端部14Aおよび(左側)側端部14Bを備えている。
複数の底面板6のうち、最も下端Rからの突出寸法が大きい第1の底面板62が、他の何れかの底面板(第2の底面板64,第3の底面板66,第4の底面板68)に対し底面側で当接する被支持面62cを有していることを特徴とする。換言すれば、複数の底面板6のうち、最も下端Rからの突出寸法が大きい第1の底面板62が、他の何れかの底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)によって、底部側で下方から支持され得る被支持面62cを有する
複数の底面板6を構成する第1の底面板62,第2の底面板64,第3の底面板66及び第4の底面板68は、互いに部分的に底面視重複することにより、底面側たる底部16からの埃の侵入を抑止し得るような底面側たる底部16の隙間が無くなるように構成されている。
底面板6は、包装容器1に内包された被包装物Pへ向けて越えて延びるように、後面板4に、底部16の側に形成された下端Rを介して連設された第1の底面板62及び第2の底面板64と、前面板2に、第2の底面板64に並列して、下端Rに形成された折り返し線を介して連設された第3の底面板66及び第4の底面板68とを備える。
当該包装容器1は、商品たる被包装物Pを底面側から包装容器1の内方に向けて挿入して包装し、包装容器1を使用する使用者(商品の購入者)が後面板4の上端近傍に設けられた取り出し部のミシン目44を破断することにより、当該包装容器1から容易に商品たる被包装物Pを取り出して、使用に供し得るように、構成されている。
当該包装容器1は、被包装物Pの出荷前に被包装物Pを底面側から挿入し、被包装物Pを包装するが、底面側から被包装物Pが抜脱し得ないように構成されている。換言すれば、当該包装容器1は、底面側に、底面板6(第1の底面板62,第2の底面板64,第3の底面板66,第4の底面板68)によって構成されたいわゆる逆止弁構造を用いることにより、容易に被包装物Pを収納でき、且つ、不意な被包装物Pの抜脱を有効に防ぎ得る構成を有している。
ここで、本実施の形態に係る包装容器1は、容器の底部16を構成する底面板6を複数有し、これら底面板6を構成する第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68は、それぞれの延出する寸法をそれぞれ異ならせるような平面視形状を備えていることを特徴とする。
ここで、上記「延出する寸法とは、単なる素材の延出する寸法のみならず、延出する角度を異ならせることによって生成される正面視(側面視、背面視)の寸法すなわち高さや幅をも含む概念である。
本実施の形態に係る包装容器1は、これら複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が、被包装物Pの荷重を受けるタイミングをそれぞれ異なるように構成していることを特徴とする。
具体的には、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が、それぞれ、被包装物Pを挿入するときに異なるタイミングで接触ないしは接合して異なるタイミングで通過し、被包装物Pにより底面側に荷重が掛かったときにそれぞれ異なるタイミングで接触ないしは接合して異なるタイミングで被包装物Pの荷重を受け又は支持するように構成されていることを特徴とする。
また包装容器1は、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)のうち、最も下端Rからの突出寸法が大きい第1の底面板62が、前記被包装物に優先的に接し且つ隣接する他の底面板(第2の底面板64,第3の底面板66,第4の底面板68)に接続されていない独立板を構成し、前記第2の底面板64,第3の底面板66及び第4の底面板68は、隣接する他の底面板に接続されている接続板8を構成する。
(展開した状態の包装容器)
包装容器1を構成するシート材は、図4において示すように、板紙(例えば折り畳み箱用板紙)やプラスチック製板等を適宜な裁断方法により切断して前面板2、後面板4及び底面板6を合わせた外形を形成している。更に、具体的には、切断によって、前面板2及び後面板4の上辺及び側縁、並びに底面板6を構成する第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66及び第4の底面板68の外形部を形成しており、後面板4と前面板2と各底面板6とが一体成形されている。
シート材を主体とする包装容器1は、図4において示すように、平面状に展開した包装容器1を構成するシート材を折り返すために、筋押し、ミシン目44等の折り目付けにより、適宜折り目線が形成されている。
包装容器1を構成するシート材は、図4(平面視)において、前面板2と後面板4とが、第3の折り曲げ線104を介して、並列され、且つ、前面板2の左側に、第4の折り曲げ線106を介して、接続板8が並列されるとともに、前面板2の下部に、底面板6を構成する第3の底面板66及び第4の底面板68が、第1の折り曲げ線100を介して、並列され、且つ、後面板4の下部に、底面板6を構成する第1の底面板62及び第2の底面板64が第2の折り曲げ線102を介して、並列されている。
この実施の形態においては、折り目線によって、前面板2、後面板4、底面板6及び連続板8を区画するように、形成されている。
又、底面板6の一部を、折り目線によって、別の機能を有する領域を形成するように、区画するために形成されている。
更に具体的に言えば、折り目線は、前面板2と第3の底面板66及び第4の底面板68との境界に形成された第1の折り曲げ線100と、後面板4と第1の底面板62及び第2の底面板64との境界に形成された第2の折り曲げ線102と、前面板2と底面板6との境界に形成された第3の折り曲げ線104と、前面板2と連続板8との境界に形成された第4の折り曲げ線106を含む。
そして、折り目線は、第3の底面板66を立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに区画する第6の折り曲げ線110、並びに、第4の底面板68を立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに区画する第7の折り曲げ線112を含む。
具体的には、包装容器1を構成するシート材は、折り返すために、筋押し、ミシン目44等の折り目付けにより、下端Rを形成する折り曲げ線(第1の折り曲げ線100及び第2の折り曲げ線102)、前面板2及び後面板4との境界を形成する折り曲げ線(第3の折り曲げ線104)、及び、前面板2と連続板8との境界を形成する折り曲げ線(第4の折り曲げ線106)が形成される。取り出し部40は、ミシン目44で切り取るように、シート材に切れ目が形成されている。
底面板6は、溝12によって、第1の底面板62と、第2の底面板64と、第3の底面板66と、第4の底面板68とに、区画されている。
溝12は、第1の底面板62と第2の底面板64とを区画する第1の溝120と、第2の底面板64と第3の底面板66とを区画する第2の溝122と、第3の底面板66と第4の底面板68とを区画する第3の溝124とを、含む。
更に、溝12は、第3の底面板66を、立ち上げ領域66A及び接合領域66Bとに区画する第4の溝126と、第4の底面板68を、立ち上げ領域68A 及び接合領域68Bとに区画する第5の溝128とを含む。
第1の底面板62は、後面板4の(図4における)右端縁から、後面板4の中央側に向けて斜め方向に延びる、舌状体である。
第2の底面板64は、第1の溝120を挟んで、第1の底面板62の左端縁と向き合う右端縁を備え、それに続いて、階段状の底支持端縁64a、側支持端縁64b及び案内縁64cを備える。
第1の溝120は、第2の折り曲げ線102との間に一定の間隔を置いて、後面板4の中央から、第3の折り曲げ線104側に向けて、斜め方向に延びる。
そして、第2の折り曲げ線102と第1の溝120との間に形成された連結部分は、第1の底面板62と第2の底面板64とを繋ぐ第1の底面板62及び第2の底面板64を上方に向けて立ち上げる、立ち上げ領域を構成している。
第3の底面板66は、第4の溝126によって幅方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに分かれる。第3の底面板66は、第4の溝126の最深部から第3の折り曲げ線104に向けて斜め方向に伸びる第6の折り曲げ線110によって、立ち上げ領域66A と接合領域66Bとに区画されている。
第4の底面板68は、第5の溝128によって高さ方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに分かれる。第4の底面板68は、第5の溝128の最深部から第5の溝128の先端部分に向けて斜め方向に伸びる第7の折り曲げ線112によって、立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに区画されている。
第3の溝124と第4の溝126及び第5の溝128との間において、第3の底面板66および第4の底面板68を、上方に向けて立ち上げる立ち上げ領域(立ち上げ領域66A及び立ち上げ領域68A)が、前面板2の中央付近を境にして形成されている。
第3の溝124は、第1の折り曲げ線100との間に一定の間隔を置いて、第1の折り曲げ線100とほぼ直交する方向に、伸びている。
そして、第1の折り曲げ線100と第3の溝124との間に形成された連結部分は、第3の底面板66と第4の底面板68と繋ぎ、第3の底面板66と第4の底面板68とを上方に向けて立ち上げる、立ち上げ領域を構成している。
(組み立てた状態の包装容器)
以下、前記展開した状態のシート材を折り目線において折り曲げ、筒状体にした本実施の形態に係る包装容器1の各部の構成について、図1~図13に基づいて、具体的に説明する。
本実施の形態に係る包装容器1は、上述の通り、被包装物Pの前面を覆う前面板2と、被包装物Pの後面を覆う後面板4と、被包装物Pを外方から挿入可能に構成し、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で延出する底面板6と、を具備する。
そして、包装容器1は、前面板2および後面板4とを連続する右側側部14Aおよび左側側部14Bを包装容器1の幅方向における左右端に備える。また、包装容器1は、前面板2と後面板4との下端縁(下端R)及び底面板6で形成される底部16を備える。更に、包装容器1は、前面板2と後面板4とを接着する連続板8を備える。
また、本実施の形態では、前面板2及び後面板4は、シート材が第3の折り曲げ線104において折り曲げられて(右側)側端部14Aを形成し、且つ、例えば前面板2に連続して設けられた連続板8を介して接着或いは係合により接続されて、シート材が第4の折り曲げ線106において折り曲げられて(左側)側端部14Bを形成している。
この実施の形態においては、後面板4の裏面と連続板8の連結領域8Cの表面とを接合し、接着剤により、接着されている。
後面板4の第3の折り曲げ線104とは反対側の端縁と前面板2の第4の折り曲げ線106側の端縁とが一致して、(左側)側端部14Bが形成されている。
この実施の形態においては、連続板8は、第4の折り曲げ線106においてシート材が折り曲げられ、前面板2の内側面すなわち折り曲げられたときに対向する後面板4の内面に接着されている。
この連続板8は、主に前面板2及び後面板4を接続させるものであるが、接着されていない先端部分に、被包装物Pを側面から支持する側端縁8aを有している。
接続板8は、図4に示すように、第4の折り曲げ線106を介して、前面板2に連設されており、後面板4の内側面に接着される連結領域8Cと、連結領域8C に連設された立ち上げ領域8Aとを備える。立ち上げ領域8Aと接合領域8Bとは、第4の折り曲げ線106と平行に伸びる、直線状の境界によって区画されている。
立ち上げ領域8Aは、下方領域において、第4の底面板68の接合領域68Bの裏側面と接着される、接合領域8Bを備える。
立ち上げ領域8Aは、連結領域8Cとの境界8Dを境にして、図5Bにおいて示すように、前面板2と後面板4とが対向する包装容器1の内側面間の空中に向けて延び、その先端には、自由端である接合領域8Bが形成されている。
前面板2及び後面板4は、下端Rにおいて底面板6と連続している。
包装容器1は、後面板4と前面板2とが対向して、断面略円筒状に形成されており、前面板2と後面板4とによって形成された略楕円状の包装容器1の底部16を構成する底面板6により底部16が略塞がれている。
後面板4と前面板2とを連結して筒状にするために、前面板2に連設された連続板8と後面板4とは接着されて、後面板4と前面板2とが筒状に形成されている。
連続板8は、後面板4と前面板2とを連結するために、前面板2の側縁側の近傍において、例えば、上辺から前面板2の下方に向けて直線状に延び連結領域8Cに帯状に接着剤を塗布され、かかる接着剤によって、前面板2と後面板4とが連結されている。
前面板2及び後面板4とは、第3の折り曲げ線104を折り曲げることにより形成された(右側)側端部14Aと、第4の折り曲げ線106を折り曲げることにより形成された(左側)側端部14Bとを境界にして連設されている。
そして、前面板2及び後面板4とは、幅方向における(左側)側端部14Bと(右側)側端部14Aにおいて連結され、前面板2の下部に連設された底面板6を構成する第3の底面板66及び第4の底面板68が、第1の折り曲げ線100を介して、前面板2と後面板4とが対向する包装容器1の内側に立ち上がり、且つ、後面板4の下部に連設された底面板6を構成する第1の底面板62及び第2の底面板64が、第2の折り曲げ線102を介して、前面板2と後面板4とが対向する包装容器1の内側に立ち上がった底面板6を挟んで、筒状に形成されている。
第1の折り曲げ線100において第3の底面板66及び第4の底面板68が前面板2の内側に向いて折り曲げられて底部16を構成し、第2の折り曲げ線102において第1の底面板62及び第2の底面板64が後面板4の内側に折り曲げられて底部16を構成している。
下端Rには、前面板2側中央及び下端R側両側近傍の3か所に接地片Sを有している。接地片Sは、前面板2及び後面板4の何れか1方の中央に1つ、及び他方に正面視対象に2つ設けているので、がたつきを有効に回避しながら平面上により安定して載置させ得る構成を実現できる。
前面板2は、上端近傍における中央部分に穿たれた円形状をなす孔である懸吊孔22と、商品たる被包装物Pを好適に購買者に視認させるための透明窓24とを有している。懸吊孔22は、前面板2上部において幅方向中央に設けられた丸孔である。当該懸吊孔22により、店舗内における吊り下げによる商品たる被包装物Pの陳列を可能としている。
前面板2は、幅方向における中央に、透明窓24を穿設している。透明窓24は、本実施の形態においては前面板2の主体となる素材(紙素材)に矩形状の開口を設け、当該開口に可撓性を有する透明の樹脂素材を用いている。
なお、透明窓24は、被包装物Pが抜脱しない程度の寸法に設定されているのであれば、樹脂素材を設けない態様としてもよい。
前面板2は、被包装物Pの高さより高い高さと被包装物Pの幅より長い幅とを備える平面視略長方形であり、上縁側が、直線状の上辺を備え、底面板6に連続する側が、シート材を第2の折り曲げ線102において折り返すことにより形成された直線状の下端Rを備える。前面板2は、図4の展開図に示されるように、折り目(第3の折り曲げ線104)が一方の側部(すなわち(右側)側端部14A)を構成し、折り目(第3の折り曲げ線104)とは反対側の他方の側縁(すなわち(左側)側端部14B)が第4の折り曲げ線106を介して連続板8に連続する。
後面板4は、被包装物Pの高さより高い高さと被包装物Pの幅より長い幅とを備える平面視略矩形状であり、上縁側が、直線状の上辺を備え、底面板6に連続する側が、シート材を第1の折り曲げ線100において折り返すことにより形成された直線状の下端Rを備える。後面板4は、図4の展開図に示されるように、折り目(第3の折り曲げ線104)が一方の側端部(すなわち(右側)側端部14A)を構成し、折り目(第3の折り曲げ線104)とは反対側の他方の側縁が(左側)側端部14Bを構成する。包装容器1が正面視矩形状をなすが故に、下端Rと上辺とは、平行である。
後面板4の上辺近傍には、被包装物Pを取り出すために切り取られる、取り出し部40が形成されている。
取り出し部40は、ミシン目44で切り取るように、シート材に切れ目が形成されている。既存の構成をなすものである。
取り出し部40は、商品たる被包装物Pの購入者が、購入後、商品を包装容器1から取り出すためのものである。取り出し部40は、後面板4を開封するために設けられたミシン目44と、被包装物Pの厚みに応じて形成されたマチ42と、後面板4を被包装物Pの形状に応じて好適に撓ませるための縦スリット46とを有している。本実施の形態では、縦スリット46は、取り出し部40に略連続させて設けられた上スリット46aである。
また本実施の形態は、縦スリット46を別途前面板2に設ける構成を妨げるものではない。また縦スリット46として、後面板4の下端Rに連続するかその近傍に、別途下スリット(46b)を設けてもよい。斯かる下スリットにより、後面板4の撓みがより助長される。
マチ42は、円筒形状をなす被包装物Pの上面の形状に応じて平板状に形成されている。本実施の形態では、ミシン目44を破断しマチ42を上方に持ち上げることにより被包装物Pの上方が解放される。これにより、容易に被包装物Pを取り出すことができる。
本実施の形態に係る包装容器1は、それぞれ下端Rからの立ち上げ寸法が異なる複数の底面板(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)からなる底面板6を具備する。
以下、逆止弁構造を備える底面板6の各部の構成について詳述する。
包装容器1の底部16を構成する下端Rは、前面板2と後面板4とに亘って、シート材を展開した状態(図4図示)において、一直線上に並列されている。
下端Rに設けられた折り返し線(第1の折り曲げ線100及び第2の折り曲げ線102)は、後面板4及び前面板2の下端Rを構成し、後面板4及び前面板2側に、下端Rに連続して穿設された切れ目が折り返し線(第1の折り曲げ線100及び第2の折り曲げ線102)を適宜形成している。
底面板6は、本実施の形態では、それぞれ下端Rからの立ち上げ寸法が異なる複数の底面板で構成されている。
底面板6は、第1の底面板62と、第2の底面板64と、第3の底面板66と、第4の底面板68とを有している。特に図3に示されるように、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、図8に示されるように、隣接する他の底面板6に対し平面視一部重複している。具体的には、第1の底面板62は、第3の底面板68と平面視一部重複している。第2の底面板64は、第3の底面板66に一部重複している。第3の底面板66は、第1の底面板62及び第2の底面板64に一部重複している。第4の底面板68は、第1の底面板62に一部重複している。換言すれば、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、隣接または対向する他の底面板6と平面視(底面視)重複するように構成しているので、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士で補強し合いながらより強固に被包装物Pの抜脱を回避することができる。
第1の底面板62は、下端Rを介して折り返されて包装容器1の内部の上方に向けて延出され、後面板4の下部に連設された、底面視略々U字形ないしはコ字形の板状体である。
第1の底面板62は、下端Rを介して、後面板4の下部に連設された、包装容器1の幅方向の中心に向けて傾斜して延出した略々丸みをおびた平面視略台形状をなす板状体である。第1の底面板62は、後面板4の略々半分の幅寸法を備えている。
第1の底面板62は、シート材を第2の折り曲げ線102において包装容器1の内側に向けて鋭角に折り曲げることにより、丸みをおびた先端側において、被包装物Pを保持するように、端縁62aが形成されている。
第1の底面板62は、図8において示すように、被包装物Pの底面の中央またはその近傍に接し、且つ、被包装物Pを収容し静置される通常の状態において、第1の底面板62のみが被包装物Pの底面に接している。
具体的には、第1の底面板62は、他の各底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)とは独立して動作し得る。第1の底面板62は、下端Rに対し所定の傾斜角62θをもって延出する。当該傾斜角62θは、包装容器1の底面形状を勘案し、45°~60°とすることが好ましい。本実施の形態では、被包装物Pの形状および包装容器1自体の寸法を勘案し、一例として45°に設定している。この第1の底面板62は、被包装物Pの下端を素材の端面にて直接する端縁62aと、上述した傾斜角62θをもって傾斜した傾斜縁62bとを有している。この第1の底面板62は、被包装物Pに優先的に接し且つ隣接する他の底面板6に接続されていない独立板に相当する。
下端Rと平行な第1の底面板62に続いて、第2の底面板64が形成されている。第1の底面板62は、他の各底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)よりも優先して被包装物Pの底面側を直接支持し、第2の底面板64は、被包装物Pの側縁を支持する機能をも有する。第1の底面板62と第2の底面板64とは、図3に示されるように、被包装物Pを収容し得る状態において底面視一部重複する。
具体的には、第1の底面板62は、第3の底面板68と平面視一部重複している。第2の底面板64は、第3の底面板66に一部重複している。第3の底面板66は、第1の底面板62及び第2の底面板64に一部重複している。第4の底面板68は、第1の底面板62に一部重複している。換言すれば、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、隣接または対向する他の底面板6と平面視(底面視)重複するように構成しているので、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士で補強し合いながらより強固に被包装物Pの抜脱を回避することができる。
第1の底面板62は、他の各底面板6とも連続板8とも接続せずに独立して動作し得るように構成されている。これにより、第1の底面板62は、下方から被包装物Pを支持する機能のみならず、後面板4の内面側に向けて押して近づけることにより、他の底面板と重複する領域を少なくして底部16の空間を大きくすることができる、すなわち被包装物Pの底部の視認を行い易くする機能をも有している。
詳細には、一般的に、本実施の形態にて図示するような長尺状をなす商品である被包装物Pは、底面側に、商品管理のための記号やロット番号が記されているのが通例である。すなわち、本実施の形態では、図13において示すように、第1の底面板62を、商品の管理者や購買者が適宜手指等にて動作させ、底面側から包装容器1を視認することにより、商品の状態を、容易に把握し得るように構成されている。
第1の底面板62は、後面板4の内面側に下端R(第2の折り曲げ線102)において折り返されて、被包装物Pを下端R側から後面板4の内面側に向けて挿入されて保持されるときに、被包装物Pを挿入し且つ保持できる幅及び/又は高さと、被包装物Pの外周面に沿って湾曲する弾力性とを備える。第1の底面板62は、シート材の内側面(すなわち包装容器1の内側)から見て、谷折りに折られる。
第2の底面板64は、第3の底面板66と、部分的に例えば接着により接続し、下端Rから上方に突出するように構成されている。第2の底面板64は、底面板6のうち最も大きく上方に突出しつつ、上方から、被包装物Pの底面に接し得る底支持端縁64aと、被包装物Pを側方に位置決めする側支持端縁64bと、被包装物Pの不意の下方向への移動時に移動方向を案内するための案内縁64cとを有している。
なお、底支持端縁64aは、他の底面板6すなわち第1の底面板62が被包装物Pの底面側に接した後に被包装物Pに接するように構成されている。第2の底面板64は、被包装物Pに接したとき、カーブ状に形成された案内縁64cに沿って被包装物Pを幅方向中央に案内、誘導する。これにより、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士を近接或いは当接させて、前面板2及び後面板4を徐々に膨出させ、底面16に蓋をする役割を担わせる。
第2の底面板64は、後面板4の下端Rに連設された、概略3段の階段状をなす多角形状をなす板状体である。
第2の底面板64は、下端Rより下方に向けて突設される。第2の底面板64は、前面板2と略々半分の幅寸法を備えている。
第2の底面板64は、第1の底面板62側に、被包装物Pからの荷重を第1の底面板62が受け、第1の底面板62が撓んだ際に第1の底面板62に接し、荷重への応力を助勢させるための底支持端縁64aを有する。換言すれば、底支持端縁64aは、被包装物Pからの荷重に抗する第1の底面板62の起立姿勢の維持を助勢するために形成されている。
第2の底面板64は、下端Rに近い領域に、前面板2側に形成された第3の底面板66の一部(接合領域66B)と接着されることにより、第2の底面板64自体のみならず第1の底面板62の起立を助勢するように形成されている。
第3の底面板66は、第4の溝126によって幅方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに分かれた板状体である。第3の底面板66は、第4の溝126の最深部から第3の折り曲げ線104に向けて斜め方向に伸びる第6の折り曲げ線110によって、立ち上げ領域66A と接合領域66Bとに区画されている。
第3の底面板66は、前面板2の下端Rに連設された板状体であり、前面板2の内面側に下端R(第1の折り曲げ線100)において折り返されて、第2の底面板64の面に接合領域66Bにおいて接着されている。第3の底面板66は、被包装物Pを下端R側から後面板4の内面側に向けて挿入されて保持されるときに、被包装物Pを挿入し且つ保持できる幅及び/又は高さを備え、且つ、シート材の素材の通り、被包装物Pの外周面に沿って湾曲する弾力性を備えた可撓性を備える。
第3の底面板66は、シート材の内側面から見て、第1の折り曲げ線100において谷折りに折られている。
第3の底面板66は、接合領域66Bにおいて第2の底面板64に例えば接着により接続する。
第3の底面板66は、第1の折り曲げ線100において、内側に折り曲げられ、且つ、接合領域66Bが、第6の折り曲げ線110において、底から見て谷折りされると共に、第1の折り曲げ線100において内側に折り返された第2の底面板64の表側面に、接合領域66Bがその内側面において接着されている。
第6の折り曲げ線110は、第1の折り曲げ線100と45°の角度をもって、第3の底面板66に形成されており、第3の底面板66の第6の折り曲げ線110が、第2の底面板64の第2の折り曲げ線102に重なるように、接着されている。
また本実施の形態では、図12~図13に示されるように、被包装物Pをスムーズに内部に装填し得るための構成として、複数の底面板6のうちの第2の底面板64と第3の底面板66とは、折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)において谷折りされた底面板(第3の底面板66)の一部(接合領域66B)が他の底面板(第2の底面板64)と接合され、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A)に向けて間隔をとって立ち上がり、底面板(第3の底面板66)の折り曲げされた折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)は、被包装物Pが入れられる前においては、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A及び(左側)側端部14B)を通る仮想平面Qに重なるように位置するように構成している。
第4の底面板68は、前面板2の下端Rに連設された板状体である。
第4の底面板68は、第5の溝128によって高さ方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに分かれる。第4の底面板68は、第5の溝128の最深部から第5の溝128の先端部分に向けて斜め方向に伸びる第7の折り曲げ線112によって、立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに区画されている。
第4の底面板68は、第7の折り曲げ線112において、内側に折り曲げられ、且つ、接合領域68Bが、第7の折り曲げ線112において、底から見て谷折りされると共に、第4の折り曲げ線106において内側に折り返された連続板8の接合領域8Bの表側面に、接合領域68Bがその内側面において接着されている。
第7の折り曲げ線112は、第5の溝128を第1の折り曲げ線100において前面板2の内側に向けて折り曲げたとき、その内側に向けて折り曲げられた連続板8の接合領域8Bに接合されるに適する角度をもって、第4の底面板68に形成されている。
第3の底面板66は、被包装物Pを下方から支持するための支持端縁66aを有している。本実施の形態では、当該支持端縁66aは第1の底面板62の下方から支持する態様にて被包装物Pを支持し得る。
第4の底面板68は、前面板2の内面側に下端R(第1の折り曲げ線100)において折り返されて、接合領域68Bにおいて連続板8に接着される板状体であって、被包装物Pを下端R側から後面板4の内面側に向けて挿入されて保持されるときに、被包装物Pを挿入し且つ保持できる幅及び/又は、高さと、被包装物Pの外周面に沿って湾曲する弾力性とを備える。
第4の底面板68は、シート材の内側面から見て、第1の折り曲げ線100において、若干折り曲がるように形成されている。
第4の底面板68の接合領域68Bの表面と接合領域8Bの裏面とが接着されて、(左側)側端部14Bの内側端縁と、第7の折り曲げ線112が斜めに交差するように、前面板2と後面板4と対向する。内側において、一体化した第4の底面板68の接合領域68Bと連続板8の立ち上げ領域8Aとは、立ち上がるように構成されている。
後面板4と前面板2とは、包装容器1を正面から見て、左側と右側とにおいて連接されて、対向する略々同じ大きさの円弧が逆向きに組み合わさる断面略レンズ形の筒状に形成され、対向する後面板4と前面板2との間に被包装物Pを収容する。
第4の底面板68は、具体的には、連続板8に例えば接着により接続している。第4の底面板68は、第1の折り曲げ線100において、内側に折り曲げられ、且つ、接合領域68Bが、第7の折り曲げ線112において、底から見て谷折りされると共に、第4の折り曲げ線106において内側に折り返された接合領域8Bの表側面に、接合領域68Bがその内側面において接着されている。
また、第7の折り曲げ線112は、第4の底面板68の下端から上端を結ぶように斜め方向に最大限に長くなるように位置づけられている。換言すれば、第4の底面板68は、複数の底面板のうち連続板8に接着される少なくとも1つの底面板であって、連続板8に接続する部分と、接続しない部分との境界において底面視谷折りされる谷折り線である第7の折り曲げ線112が設けられている。
当該第7の折り曲げ線112は、第4の底面板68における下端Rから最も遠い先端から斜め方向に最大限に長くなるように位置づけられている。
第4の底面板68は、被包装物Pを底面側から支持し得る支持端縁68aと、連続板8の側端縁8aとともに被包装物Pを側方に押圧する側押圧縁68bとを有している。
接続板8は、図4に示すように、第4の折り曲げ線106を介して、前面板2に連設されており、後面板4の内側面に接着される連結領域8Cと、連結領域8Cに連設された立ち上げ領域8Aとを備える。
立ち上げ領域8Aと接合領域8Bとは、第4の折り曲げ線106と平行に伸びる、直線状の境界8Dによって区画されている。
立ち上げ領域8Aは、下方領域において、第4の底面板68の接合領域68Bの裏側面と接着される、接合領域8Bを備えており、接合領域8Bの表側面と、接合領域68Bの裏側面とが接着され、該立ち上げ領域8A は、連結領域8Cとの境界を境にして、図5Bにおいて示すように、前面板2と後面板4とが対向する包装容器1の内側面間の空中に向けて延びている。そして、立ち上げ領域8Aの先端には、自由端である接合領域8Bが形成されており、接合領域8Bによって被包装物Pを側面から支持するように構成されている。
すなわち、本実施の形態に係る底面板6は、被包装物Pの側面に端縁で接する側面を支持するための側支持端縁64bと、被包装物Pの底面に端縁で接する底面を支持するための支持端縁たる端縁62a、底支持端縁64a、支持端縁66a及び支持端縁68aとを有しているので、所望の位置に被包装物Pを位置決めしながら支持し得る構成を実現し得る。
而して本実施の形態では、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が、それぞれ、被包装物Pを挿入するときに異なるタイミングで通過し、被包装物Pに底面側に荷重が掛かったときにそれぞれ異なるタイミングで被包装物Pの荷重を受けるように構成されていることを特徴とすることを特徴としている。
以下、図8~図11を参照しつつ、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)の動作並びに作用について説明する。
まず、被包装物Pが通常に包装されているとき、図8に示される状態となっている。具体的には同図に示される状態において、被包装物Pは、連続板8の側端縁、第4の底面板68の側押圧縁68bにより押圧されつつ第2の底面板64の側支持端縁64bに当接することによって幅方向の位置決めがされている。また同時に、第1の底面板62の端縁(の同図に〇で示した箇所)によって高さ方向の位置決め、換言すれば抜脱(落下)防止のための支持が実現されている。また、本実施の形態では、第1の底面板62の傾斜縁の傾斜角62θは45°としている。また当該傾斜角62θは、45°~60°とすることが好ましい。これは、包装容器1の底面形状を勘案しつつ、他の底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)に対し不要な干渉を回避するためである。
ここで、各底面板は、前面板2及び後面板4に対し、鋭角に折り返されているので、底面板6が被包装物Pを支持する強度をより強くせしめている。
そして、例えば輸送中の振動や、店舗における商品の取り扱いによって不意な底面側への荷重を被包装物Pが底面板6に与えた場合の挙動はまず、図9に示されるように、第1の底面板62が下方へ撓みつつ、第2の底面板64の案内縁64cに沿って被包装物Pが斜め方向へ移動する。その結果、第3の底面板66の支持端縁66aが第1の底面板62に下方から当接する(の同図に〇で示した箇所)ことにより荷重を受ける。このとき、底面板6に接続している前面板2及び後面板4が平面視膨らむように撓む。その結果、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士がそれぞれ近接或いは当接し、底面側の支持強度を上昇させつつ底面側の隙間を少なくするように姿勢が変更される。
また、さらに被包装物Pの底面側への荷重が増した場合、タイミングを異ならせて第4の底面板68の支持端縁66aが直接被包装物Pの底面に当接(の同図に〇で示した箇所)する。
そして、更にさらに被包装物Pへの底面側への荷重が増した場合、タイミングを異ならせて第2の底面板64の底支持端縁64aが直接被包装物Pの底面に当接(の同図に〇で示した箇所)する。
これら図9~図11に示した一連の過程において、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が撓むタイミングがそれぞれ異なっている。これは、底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)を反転させるような前面板2及び後面板4の撓みが一度に強く起こってしまうことを有効に回避しつつ、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)がそれぞれ好適な姿勢で被包装物Pの底面を支持し得る姿勢をとることに資する。
このように、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、図9~図11に示されるように、被包装物Pの荷重の増加に応じて平面方向に強く接するように構成されている。
すなわち、本実施の形態に係る底面板6は、被包装物Pの底面に直接接する第1の底面板62と、互いに接続され前面板2及び後面板4に亘って接続され第1の底面板62を下方から支持し得る第2の底面板64及び第3の底面板66と、被包装物Pの側面に接する第4の底面板68とを有するので、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士で補強し合いながらより強固に被包装物Pの抜脱を回避することができる。
底面板6は、被包装物Pの底面に接する底面支持板たる端縁62a、底支持端縁64a、支持端縁66a、支持端縁68aと、被包装物Pの側面に接する側面支持板たる側支持端縁64bとを有しているので、被包装物Pの所望の位置への位置決めをより確実に行うことができる。
底面板6は、被包装物Pに対しすべて素材の端縁で接しているので、可撓性を有するシートを用いても、より強い強度で被包装物Pを支持することができる。
特に本実施の形態では、前面板2及び後面板4との間に形成される厚みは、前面板2及び後面板4の幅方向の寸法よりも小さいので、収納容器1自体の幅方向に伸長する方向の張力が強くなり、各底面板6同士を互いに補強し得る構成を容易に実現し得る。
なお、上述した図8~図11に示されるように本実施の形態に係る包装容器1は、4つの底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が順次被包装物Pからの荷重を異なるタイミングで受けるということは、逆に、包装容器1への被包装物Pの底面側からの挿入時には、底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、それぞれ異なるタイミングで順次被包装物Pに接しながら上方に退避していきながら被包装物Pの挿入を許容する構成となっていることを意味する。これにより、被包装物Pの出荷前段階での包装作業を、小さい外力により容易に行い得る。
他方、後面板4の上端には、被包装物Pを取り出すための取り出し部40を設けているので、本実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pを容易に挿入しつつ、且つ、容易に被包装物Pを取り出す構成を有効に実現せしめている。
また本実施の形態では、図12~図13に示されるように、被包装物Pをスムーズに内部に装填し得るための構成として、複数の底面板6のうちの第2の底面板64と第3の底面板66とは、折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)において谷折りされた底面板(第3の底面板66)の一部(接合領域66B)が他の底面板(第2の底面板64)と接合され、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A)に向けて間隔をとって立ち上がり、底面板(第3の底面板66)の折り曲げされた折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)は、被包装物Pが入れられる前においては、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A及び(左側)側端部14B)を通る仮想平面Qに重なるように位置するように構成している。
また、本実施の形態では、包装容器1は、図12に示されるように、複数の底面板が、互いに部分的に底面視重複することにより底面側からの埃の侵入を抑止し得るような底面側の隙間が無くなるように構成している。
すなわち、本実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pの底面からの荷重を利用して、複数の底面板6同士の平面視(底面視)の距離を近接させ、互いに重複させる。
更に、本実施の形態では図13に示されるように、独立板たる第1の底面板62は、底面からの外力により退避して被包装物Pの底面を視認し得るように構成されている。
これにより、被包装物Pの底面側からの抜脱を有効に禁止しつつ、被包装物の底面に主に記載されているロット番号や有効期限、消費期限といった必要な情報を、例えば包装容器1を取り扱う管理者が容易に視認できるようにしている。すなわち、当該構成は、簡便且つ有効な商品管理に資するものとなっている。
以上のように、本実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pを挿入するときにスムーズに挿入することができ、且つ、被包装物Pが底面板6から抜脱することをより確実に回避することができる。
特に、本実施の形態では、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が被包装物Pの荷重を受けるタイミングをそれぞれ異ならせている。これにより、前面板2と後面板4とが一度に大きく撓んで底面板6が思案点を超えて反転し被包装物Pが抜脱するという不具合を有効に回避している。このような構成とすることで、可撓性を有する紙素材を主体としていても、可撓性を有するシート状の樹脂素材を主体としても、必要十分な強度を得た包装容器1を提供することができる。
複数の底面板6のうちのいずれか複数の底面板6は折り曲げ線において谷折りされた底面板6の一部が他の底面板6と接合されることにより互いの折り曲げ状態を担保し、複数の底面板6は、延出寸法または折り曲げ角度を異ならせることにより、被包装物Pの底面に接し得る各端縁(62a、64a、66a、68a)の上下位置がそれぞれ異なっていることで、上記の効果をより有効に発揮し得る。
また本実施形態では、底面板6は、前面板2と後面板4とが対向する内側において立ち上がり、第3の底面板66が前面板2と後面板4とが連接された(右側)側端部14A及び(左側)側端部14Bに向けて間隔をとって立ち上がり、第3の底面板66の折り曲げされた折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)は図5Bにおいて示すように、被包装物が入れられる前においては、前面板2と後面板4とが連接された(右側)側端部14A及び(左側)側端部14Bを通る仮想平面(図12図示)に重なるように位置しているので、被包装物Pを安定して保持することができる。
複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、隣接する他の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)に対し平面視(底面視)一部重複している。具体的には、第1の底面板62は、第3の底面板68と平面視一部重複している。第2の底面板64は、第3の底面板66に一部重複している。第3の底面板66は、第1の底面板62及び第2の底面板64に一部重複している。第4の底面板68は、第1の底面板62に一部重複している。換言すれば、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、隣接または対向する他の底面板6と平面視(底面視)重複するように構成しているので、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)同士で補強し合いながらより強固に被包装物Pの抜脱を回避することができる。
また、本実施の形態では、底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が、隣接する他の底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)及び連続板8に接続されている底面板6(第4の底面板68)と、被包装物Pに優先的に接し且つ隣接する他の底面板6(第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)に接続されていない独立板である第1の底面板62とを有しているので、独立板たる第1の底面板62が通常の状態にあるときに被包装物Pを好適な状態に保つことができる。
独立板たる第1の底面板62は、底面からの外力により退避して被包装物Pの底面を視認し得るように構成されているので、被包装物Pの底面を容易に視認することにより、被包装物Pの底面に記載された記載等を確認でき、好適な被包装物Pの品質管理に資する。
複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、被包装物Pの荷重の増加に応じて平面方向に強く接するように構成されているので、被包装物Pの荷重の増加に応じて漸次応力が強くなる構成を実現し得る。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図14~図18を参照しつつ説明する。なお、当該実施の形態について、前記実施の形態において記載した構成要素に相当するものに対しては、同じ符号を付すとともにその詳細な説明を省略する。
図14は、当該第2の実施の形態に係る、包装容器1を正面側から見た外観斜視図である。図15は、当該第2の実施の形態に係る、包装容器1を背面側から見た外観斜視図である。
前記実施形態では前面板2及び後面板4を挟持しつつ、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)により好適に中央に誘導し被包装物Pの下方への落下を好適に回避し得る態様を開示した。
それに対し、本第2の実施の形態では、前面板2及び後面板4を十分に撓ませることにより、より径の大きな概略円柱形状をなす被包装物Pを好適に収容し得る態様を開示する。
すなわち、本第2の実施の形態に係る包装容器1は、後面板4に上スリット46aを設け、後面板4の撓みをより助長し得るようになっている。また、前面板2は、透明窓24が前記実施の形態同様に設けられ、しかも、透明窓24に設けられた透明樹脂は前面板2、後面板4の素材よりも、より撓みやすい素材を適用している。このため、前面板2は後面板4よりも撓みやすい構成となっている。
更に、本第2の実施の形態に係る包装容器1は、後面板4の上端付近に、引き出し部42とは異なる下方向に膨出する部分円形状に湾曲した案内スリット48を有している。当該案内スリット48は、概略円筒形状をなす被包装物Pの上端に優先的に当接し、且つ変形し得る。これにより、被包装物Pの挿入時に後面板4、具体的には取り出し部40に加わる外力が適度に軽減される。その結果、被包装物Pの挿入作業時における、後面板4に過剰な外力が掛かることによる不意な取り出し部40の損傷を有効に回避し得る。
そして本第2の実施の形態に係る包装容器1は、図18に示すように、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)が、互いに部分的に底面視重複することにより底面(底部16)側からの埃の侵入を抑止し得るような底面(底部16)側の隙間が無くなるように構成している。
そして、本第2の実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pの大きさ、特に幅寸法が、包装容器1の幅寸法に近くまで、具体的には少なくとも半分以上におよび、被包装物Pの前面を覆う前面板2と、被包装物Pの後面を覆う後面板4とが平面視十分に撓み平面視レンズ形状或いは楕円形状となる。これにより、自ずと被包装物Pが幅方向中央に位置づけられる。
そして、本第2の実施の形態に係る包装容器1は、上記実施の形態同様、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、下端Rに対し所定の傾斜をもって延出する、被包装物Pに優先的に接し且つ隣接する他の底面板6(第4の底面板64)に接続されている第1の底面板62を有する。
ここで、本第2の実施の形態では、各底面板62、64、66、68は、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で延出し、且つ、底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、被包装物Pの側面を位置決めする面(第1実施の形態に係る側支持端縁64b、側押圧縁68b、連続板8の側端縁8a)を有していない、ことを特徴とする。
第2の実施の形態においては、折り目線によって、前面板2、後面板4、底面板6及び連続板8を区画するように、形成されている。
また、底面板6の一部を、折り目線によって、別の機能を有する領域を形成するように、区画するために形成されている。
更に具体的に言えば、折り目線は、前面板2と第3の底面板66及び第4の底面板68との境界に形成された第1の折り曲げ線100と、後面板4と第1の底面板62及び第2の底面板64との境界に形成された第2の折り曲げ線102と、前面板2と底面板6との境界に形成された第3の折り曲げ線104と、前面板2と連続板8との境界に形成された第4の折り曲げ線106を含む。
そして、折り目線は、第3の底面板66を立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに区画する第6の折り曲げ線110、並びに、第4の底面板68を立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに区画する第6の折り曲げ線110を含む。
底面板6は、溝12によって、第1の底面板62と、第2の底面板64と、第3の底面板66と、第4の底面板68とに、区画されている。
溝12は、第1の底面板62と第2の底面板64とを区画する第1の溝120と、第2の底面板64と第3の底面板66とを区画する第2の溝122と、第3の底面板66と第4の底面板68とを区画する第3の溝124とを、含む。
更に、溝12は、第3の底面板66を、立ち上げ領域66A及び接合領域66Bとに区画する第4の溝126と、第4の底面板68を、立ち上げ領域68A 及び接合領域68Bとに区画する第5の溝128とを含む。
第1の底面板62は、後面板4の(図16における)右端縁から、後面板4の中央側に向けて斜め方向に延びる、舌状体である。
第2の底面板64は、第1の溝120を挟んで、第1の底面板62の左端縁と向き合う右端縁を備え、それに続いて、階段状の底支持端縁64a及び案内縁64cを備える。
第1の溝120は、第2の折り曲げ線102との間に一定の間隔を置いて、後面板4の中央から、第3の折り曲げ線104側に向けて、斜め方向に延びる。
そして、第2の折り曲げ線102と第1の溝120との間に形成された連結部分は、第1の底面板62と第2の底面板64とを繋ぐ第1の底面板62及び第2の底面板64を上方に向けて立ち上げる、立ち上げ領域を構成している。
第3の底面板66は、第4の溝126によって幅方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに分かれる。第3の底面板66は、第4の溝126の最深部から第3の折り曲げ線104に向けて斜め方向に伸びる第6の折り曲げ線110によって、立ち上げ領域66Aと接合領域66Bとに区画されている。
第4の底面板68は、第5の溝128によって高さ方向における中央付近が窪み、その窪みによって立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに分かれる。第4の底面板68は、第5の溝128の最深部から第1の折り曲げ線100の先端部分に向けて斜め方向に伸びる第6の折り曲げ線110によって、立ち上げ領域68Aと接合領域68Bとに区画されている。第1の折り曲げ線100の先端は、組み立てたときに前面板2と後面板4とを連結して繋がる端縁すなわち連続板8が形成された端縁に達している先端をいう。
第3の溝124と第4の溝126及び第5の溝128との間において、第3の底面板66および第4の底面板68を、上方に向けて立ち上げる立ち上げ領域(立ち上げ領域66A及び立ち上げ領域68A)が、前面板2の中央付近を境にして形成されている。
第3の溝124は、第1の折り曲げ線100との間に一定の間隔を置いて、第1の折り曲げ線100とほぼ直交する方向に、伸びている。
そして、第1の折り曲げ線100と第3の溝124との間に形成された連結部分は、第3の底面板66と第4の底面板68と繋ぎ、第3の底面板66と第4の底面板68とを上方に向けて立ち上げる、立ち上げ領域を構成している。
第3の底面板66は、第1の折り曲げ線100において、内側に折り曲げられ、且つ、接合領域66Bが、第6の折り曲げ線110において、底から見て谷折りされると共に、第1の折り曲げ線100において内側に折り返された第2の底面板64の表側面に、接合領域66Bがその内側面において接着されている。
第3の底面板66の第6の折り曲げ線110は、第1の折り曲げ線100と45°の角度をもって、第3の底面板66に形成されており、第3の底面板66の第6の折り曲げ線110が、第2の底面板64の第2の折り曲げ線102に重なるように、接着されている。
第4の底面板68は、第6の折り曲げ線110において、内側に折り曲げられ、且つ、接合領域68Bが、第6の折り曲げ線110において、底から見て谷折りされると共に、第2の折り曲げ線102において内側に折り返された第1の底面板62の接合領域8Bの表側面に、接合領域68Bがその内側面において接着されている。
第4の底面板68の第6の折り曲げ線110は、第1の折り曲げ線100と45°の角度をもって、第4の底面板68に形成されており、第4の底面板68の接合領域68Bと第1の底面板62とが連結されて第4の底面板68の立ち上げ領域68A及び第1の底面板62が立ち上がるように、接着できるように形成されている。
また本第2の実施の形態では、図16~図18に示されるように、被包装物Pをスムーズに内部に装填し得るための構成として、複数の底面板6のうちの第2の底面板64と第3の底面板66とは、折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)において谷折りされた底面板の一部(接合領域66B)が他の底面板(第1の底面板62、第2の底面板64)と接合され、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A)に向けて間隔をとって立ち上がり、底面板の折り曲げされた折り曲げ線(第6の折り曲げ線110)は、被包装物Pが入れられる前においては、前面板2と後面板4とが連接された側端部((右側)側端部14A及び(左側)側端部14B)を通る仮想平面Qに重なるように位置するように構成している。
そして、本第2の実施の形態に係る包装容器1は、被包装物Pの大きさ、特に幅寸法が、包装容器1の幅寸法に近くまで、具体的には少なくとも半分以上におよび、被包装物Pの前面を覆う前面板2と、被包装物Pの後面を覆う後面板4とが平面視十分に撓み平面視レンズ形状或いは楕円形状となる。これにより、自ずと被包装物Pが幅方向中央に位置づけられる。
そして本第2の実施の形態に係る包装容器1は、上記実施の形態同様、複数の底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、下端Rに対し所定の傾斜をもって延出する、被包装物Pに優先的に接し且つ隣接する他の底面板6(第4の底面板64)に接続されている第1の底面板62を有する。
ここで、本第2の実施の形態では、各底面板62、64、66、68は、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で延出し、且つ、底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、被包装物Pの側面を位置決めする面(第1実施の形態に係る側支持端縁64b、側押圧縁68b、連続板8の側端縁8a)を有していない、ことを特徴とする。
すなわち、上記各実施形態に係る包装容器1は、第1の実施の形態のように、包装容器1自体に余裕があり側端縁8aや側押圧縁68bにより円筒状の被包装物Pの幅方向の位置決めを好適に行い得るものであっても、第2の実施の形態のように被包装物Pの径が大きい、換言すれば包装容器1自体の幅寸法に近い径を有した、幅方向の位置決め要素の必要なく前面板2、後面板4の撓みのみで幅方向の位置決めを行い得るものであっても、第3の実施の形態のように、いわゆるチューブ形状をなす被包装物Pであっても、どれも上記の効果を奏する。
つまり、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で延出すること、そして、底面板6が、それぞれ、被包装物Pを挿入するときに異なるタイミングで通過し、被包装物Pにより底面側に荷重が掛かったときにそれぞれ異なるタイミングで被包装物Pの荷重を受けるように構成されていること、を特徴とするものである。
加えて、透明窓24は、上記実施の形態に係る被包装物Pよりも、より大きな被包装物Pを外方から好適に視認させるべく、上記実施形態の透明窓24よりも大きく形成されている。これにより、前面板2は、上記実施の形態の前面板2よりも更に撓み易くなっている。
また、本実施の形態に係る後面板4は、被包装物Pの上端の平面形状に好適に対応すべく、マチ42の形状を側面視隆起させ、且つ、被包装物Pの上端の角を受け入れるための案内スリット48を設けた、概略山形形状としている。具体的は、本実施の形態では、被包装物Pの装填時には取り出し部40を損傷させず、商品である被包装物Pを購入者が取り出したいときにはミシン目44を上方に押し上げることにより商品たる被包装物Pを上方から容易に取り出せるようにしている。
ここで本実施の形態では、前面板2及び後面板4は、幅方向の寸法が大きい底面視概略ひし形状をなす。これにより、包装容器1の幅寸法を有効に利用しつつ、前面板2及び後面板4が互いに接しようとする、素材自体の特性を利用した弾性反発力を利用し、被包装物Pの抜脱を有効に防止することができる。
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について、図19及び図20を参照しつつ説明する。なお、当該実施の形態について、上記第1の実施の形態において記載した構成要素に相当するものに対しては、同じ符号を付すとともにその詳細な説明を省略する。
図16は、当該実施の形態に係る、包装容器1を正面側から見た外観斜視図である。図17は、当該実施の形態に係る、包装容器1を背面側から見た外観斜視図である。
本実施の形態に係る包装容器1が包装する被包装物Pは、図19に示されるように、上端が平板状をなし下端が円筒状をなす概略チューブ形状をなす。本実施の形態における底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)の形状及び作用、効果については、上記実施形態並びに実施の形態同様である。
しかしながら、本実施の形態では、前面板2と後面板4とを上端近傍においてマチ42を介さず近接させることで、概略チューブ形状をなす被包装物Pの平板状の端部を挟持し、被包装物Pの安定した収容を担保している。
そして本実施の形態では、後面板4の上部に設けられたミシン目44が、幅方向に直線状に延伸することで、概略チューブ形状をなす被包装物Pの端部を好適に露出させ得るようになっている。
すなわち、取り出し部40は、被包装物Pを前後から挟持するために平板状に形成されている。
以上のように、本実施の形態によれば、単純ではない形状である被包装物Pを有効に収容することができる。具体的には、本実施の形態によれば、被包装物Pたるチューブ状容器の一端を有効に位置決めすることで、被包装物Pを有効に収容することができる。
すなわち、上記各実施形態に係る包装容器1は、第1の実施の形態のように、包装容器1自体に余裕があり側端縁8aや側押圧縁68bにより円筒状の被包装物Pの幅方向の位置決めを好適に行い得るものであっても、第2の実施の形態のように被包装物Pの径が大きい、換言すれば包装容器1自体の幅寸法に近い径を有した、幅方向の位置決め要素の必要なく前面板2、後面板4の撓みのみで幅方向の位置決めを行い得るものであっても、第3の実施の形態のように、いわゆるチューブ形状をなす被包装物Pであっても、どれも上記の効果を奏する。
つまり、各底面板6(第1の底面板62、第2の底面板64、第3の底面板66、第4の底面板68)は、前面板2及び後面板4の下端Rからそれぞれ異なる寸法で延出すること、そして、底面板6が、それぞれ、被包装物Pを挿入するときに異なるタイミングで通過し、被包装物Pにより底面側に荷重が掛かったときにそれぞれ異なるタイミングで被包装物Pの荷重を受けるように構成されていること、を特徴とするものである。
なお、本発明の実施の形態は、上記した記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態では、素材として使用するシート材を、可撓性を有する紙素材として説明したが、同様に可撓性を有するシート材であれば、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエチレンテレフタレートといった既存の種々の樹脂素材を用いることができる。樹脂素材を主体としてもよい。このようなものであっても、通常では強度を十分に有さないと解される素材を用いても、必要十分な強度を得た包装容器を提供することができる。
また、上記各実施形態では、前面板及び後面板は屈曲して接続或いは折り曲げられることで、幅方向の寸法が大きい底面視概略ひし形形状をなしていた。しかしながら、前面板及び後面板との接続を湾曲形状に設定することで、底面視概略楕円形状をなすものとしてもよい。
このようなものであっても、容器自体の幅方向に伸長する張力を強くする構成を有効に実現し得る。この点は、上記実施の形態に記載した通り、複数の底面板の支持性能(弾性反発力)を有効に助長し得る。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。