JP7151297B2 - 成形用貼り合せシート - Google Patents

成形用貼り合せシート Download PDF

Info

Publication number
JP7151297B2
JP7151297B2 JP2018170865A JP2018170865A JP7151297B2 JP 7151297 B2 JP7151297 B2 JP 7151297B2 JP 2018170865 A JP2018170865 A JP 2018170865A JP 2018170865 A JP2018170865 A JP 2018170865A JP 7151297 B2 JP7151297 B2 JP 7151297B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
paper
molding
base
adhesive layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018170865A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019059233A (ja
Inventor
亮平 桐山
康次郎 堤
俊康 湯川
勝巳 原田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Publication of JP2019059233A publication Critical patent/JP2019059233A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7151297B2 publication Critical patent/JP7151297B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

本発明は、成形用貼り合せシートに関する。
従来、成形用のシートとして、種々のシートが開示されている。
例えば、特許文献1には、「3層以上の多層抄き合わせ紙からなる紙容器用原紙であって、曲げ試験における破壊発生角度が、25°以上35°未満であることを特徴とする紙容器用原紙。」が開示されている。
特許文献2には、「紙基材を含む成形用積層体において、該紙基材が密度0.1~0.45g/cmである低密度紙を少なくとも一層含む積層体であることを特徴とする成形用積層体。」が開示されている。
特許文献3には、「少なくともその中の1層の紙基材の破断伸び率が縦方向及び横方向共に10%以上である1層以上の紙基材層と、積層構成中の少なくとも最外層と最内層が熱可塑性樹脂層からなる容器材料が、P=10kg/cm~95kg/cmの折り圧力で折り込まれて成形されたことを特徴とする紙容器。」が開示されている。
特開2012-158854号公報 特開2000-085085号公報 特開2003-291947号公報
ここで、例えば、繊維結合等によって、結束力が強いシートを折り曲げて成形するときに、外側となる表面は引っ張られ、内側となる裏面は圧縮される。そして、引っ張られる表面と圧縮される裏面との力の関係により、シートの表面は裏面の影響を受け、裏面は表面の影響を受けることが考えられる。そこで、基材シート上に接着層を挟んで表面シートを設け、表面のシート(表面シート)の伸び縮みと裏面のシート(基材シート)の伸び縮みとの関係を、接着層である程度断絶させた貼り合せシートを用い、更にシートの内側になる基材シートの部分に、切り込みなどの折込線を入れて折り曲げる成形用貼り合せシートを検討した。しかしながら、成形用貼り合せシートの断面から見て、表面シートを外側に向けて凸状(表面シート側を外側)となるように、折り曲げて成形したところ、表面シートに折れ割れが発生する場合があることが分かった。
本発明の課題は、折り曲げて用いる、表面(表面シート)と裏面(基材シート)の間に接着層を挟んだ構成の貼り合せシートにおいて、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、表面シートが折り曲げた際の負荷に追従して伸びない材質の場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>に係る発明は、
折込線および第1の切取線を有する基材シートと、
前記基材シート上に設けられた接着層と、
前記接着層上に設けられ、前記接着層を介して前記第1の切取線と対向して設けられた第2の切取線とを有する表面シートであって、表面シートが、紙、不織布、および合成紙よりなる群から選ばれるいずれか一つを含み、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる表面シートと、
を有する成形用貼り合せシート。
<2>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記紙の密度が、0.20g/cm以上0.80g/cm以下である<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<3>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記紙の厚みが、40μm以上400μm以下である<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<4>に係る発明は、
前記表面シートが紙である場合、1)紙の密度が基材シートの密度よりも低い、2)紙の厚さが基材シートよりも薄い、及び、3)紙の繊維長が基材シートの繊維長よりも長い、からなる条件の少なくとも一つを満足する表面シートを有する<1>から<3>のいずれか1項に記載の成形用貼り合わせシート。
<5>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記不織布の密度が、0.20g/cm以上0.50g/cm以下である<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<6>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記不織布の繊維長が、5μm以上である<4>に記載の成形用貼り合せシート。
<7>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記合成紙の密度が、0.70g/cm以上1.30g/cm以下である<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<8>に係る発明は、
前記表面シートにおける前記合成紙が、ポリプロピレンおよびポリエステルのいずれか一方の樹脂を有する<6>に記載の成形用貼り合せシート。
<9>に係る発明は、
前記基材シートが、紙、不織布、および合成紙からなる群のいずれか一つである<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<10>に係る発明は
前記基材シートが、紙であり、表面のシートが合成紙および不織布のいずれか一つである<8>に記載の成形用貼り合せシート。
<11>
前記基材シート及び前記表面シートが、それぞれ基層と、前記基層の少なくとも一方の面上に設けられた樹脂層とを有する<1>に記載の成形用貼り合せシート。
<12>
前記接着層の厚さが、前記基材シート及び前記表面シートのそれぞれに設けられた樹脂層の2倍以上である<11>に記載の成形用貼り合せシート。
<13>
前記接着層の厚さが、35μm以上60μm以下であり、前記樹脂層の厚さが、5μm以上30μm以下である<11>又は<12>に記載の成形用貼り合せシート。
<1>に係る発明によれば、折り曲げて用いる表面(表面シート)と裏面(基材シート)の間に接着層を挟んだ貼り合せシートでは、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、折り曲げたときの表面シートは裏面シートの繊維により引っ張られること無く、伸ばされるため、表面シートが、折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びにくい材質で構成された場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<2>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、折り曲げたときの紙層が変化し難いと考えられる紙の密度が0.8g/cmを超える場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<3>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、紙層内での繊維の移動が大きくなると考えられる紙の厚みが400μmを超える場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<4>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、外側に折られる紙が局部的に伸ばされ、表面シートが折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びにくいと考えられる密度が同じであり、厚さが同じであり、繊維長が同じである2枚の紙を基材シートおよび表面シートとして貼り合せた貼り合せシートを折り曲げた場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<5>に係る発明によれば、外側に発生する引張応力と基材シート側に発生する圧縮応力がより均衡に近い状態とならないと考えられる表面シートで構成された場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<6>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、外側に発生する引張応力と基材シート側に発生する圧縮応力がより均衡に近い状態とならないと考えられる表面シートで構成された場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<7>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、外側に発生する引張応力と基材シート側に発生する圧縮応力がより均衡しないと考えられる表面シートで構成された場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<8>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、外側に発生する引張応力と基材シート側に発生する圧縮応力がより均衡に近い状態とならない表面シートで構成された場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<9>に係る発明によれば、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、基材シートは圧縮応力を受けるが、基材シートに設けられた折込線で圧縮応力が低減されるようになっており、折りこみ線で内側に折り曲げた際、表面シートが受ける引張応力と均衡に近い状態とならない基材である場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<10>に係る発明によれば、基材シートおよび表面シートが紙である場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<11>に係る発明によれば、基材シートおよび表面シートが紙単体である場合に比べ、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<12>に係る発明によれば、基材シートおよび表面シートが紙単体である場合に比べ、接着層の厚さが、基材シート及び前記表面シートのそれぞれに設けられた樹脂層の2倍以上であっても、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
<13>に係る発明によれば、基材シートおよび表面シートが紙単体である場合に比べ、接着層の厚さが、35μm以上60μm以下であり、樹脂層の厚さが、5μm以上30μm以下であっても、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制される成形用貼り合せシートが提供される。
本実施形態に係る成形用貼り合せシートの一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートを折り曲げた状態の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートの一例を示す概略平面図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートに適用される基材シート及び表面シートの一例を示す模式図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートの他の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートに適用される基材シート及び表面シートの他の一例を示す模式図である。 本実施形態に係る成形用貼り合せシートの他の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<成形用貼り合せシート>
本実施形態に係る成形用貼り合せシートは、折込線および第1の切取線を有する基材シートと、基材シート上に設けられた接着層と、接着層上に設けられ、接着層を介して第1の切取線と対向して設けられた第2の切取線とを有する表面シートであって、表面シートが、紙、不織布、および合成紙よりなる群から選ばれるいずれか一つを含む。そして、表面シートは、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる特性を有する。
ここで、例えば、繊維結合等によって結束力が強いシートを素材とした成形用シートを、表面が外側になるように折り曲げて成形するとき、成形用シートの表面には引張応力がはたらき、成形用シートの裏面には圧縮応力がはたらく。例えば、成形用シートが1枚の単層で構成された成形用シートである場合には、1枚で構成された成形用シートの特性が折り曲げ適性を決定しうる。
例えば、1枚で構成された成形用シートが、紙、不織布、および合成紙のいずれかである場合、成形用シートの厚みが厚すぎると、折り曲げたときに折り曲げが難しくなり、成形性が低下しやすくなる。一方で、成形用シートの厚みが薄すぎると、折り曲げが可能であっても、成形後の形状保持性が低くなる。また、例えば、1枚で構成された成形用シートが合成紙である場合には、折り曲げを行った後、形状が保持されずに、折り曲げる前の状態に近い状態に戻ってしまう場合がある。さらに、1枚で構成された成形用シートでは、折り曲げを行った部分の外側となる部分に、折れ割れが発生しやすくなる。
また、例えば、成形用シートが紙である場合、紙の構成を多層抄きの紙と、表面と裏面の構成を変化させることも考えられる。しかし、表面と裏面の構成を変化させたとしても、多層抄きの紙は全層で繊維が結合されているため、表面は裏面の圧縮される力の影響を受けやすい。
そこで、折り曲げが可能なように、1枚で構成された成形用シートに、切込み等の折込線を付与することが考えられるが、この場合、成形用シートには、層割れ、破断などが発生しやすくなる。1枚で構成された成形用シートが多層抄きの紙の場合も層割れを起こしやすい。また、折込線で破断することがある。
上記のように、表面が外側になるように折り曲げて成形するとき、表面は引っ張る力が付与され、裏面は圧縮される力が付与される。そのため、成形用シートには、引っ張られる表面と圧縮される裏面との関係によって、シートの表面は裏面の影響を受け、シートの裏面は表面の影響を受けることが考えられる。
そこで、表面のシート(表面シート)の伸び縮みと裏面のシート(基材シート)の伸び縮みとの関係をある程度分断させるために、接着層を介して、表面のシートと裏面のシートとを貼り合わせ、さらに、より折り曲げやすくするために、裏面のシートに折込線を設けた成形用貼り合せシートを検討した。
基材シート上に表面シートを有する成形用貼り合せシートを、表面シート側を外側、および基材シート側を内側となるように折り曲げたときに、表面シートに折れ割れが発生した。これは、成形用貼り合せシートを折り曲げたときに、表側シートの特性、材質などよっては、折り曲げたときの曲率(R)に追従し難いため、折り割れが発生すると考えられる。つまり、折り割れは、シートを折り曲げたとき折り目の外側が局部的に伸ばされるため、この局部的な伸びに対して、表面シートの伸びが耐えられなくなったときに発生すると考えられる。
例えば、基材シートとして紙を用い、表面シートとして紙を用い、基材シートを内側となるように90°以上の角度になるように、折り曲げて成形した場合について説明する。
貼り合わせ成形用シートでは、表面シートの紙と基材シートの紙との間に、接着層を挟んでいるため、表面シートは裏面シートが縮むことによる繊維の移動は接着層で断絶される。そのため、単層の紙および多層抄きの紙のように、紙の表面側と裏面側、および表面シートと裏面シートと繊維が結合されていることによって、表面シートの繊維が裏面シートの繊維に引っ張られることが抑制される。しかし、接着層を介して貼り合わされているため、折り曲げたときの曲率(R)は大きくなり、表面シートの紙は、折り曲げた部分の曲率(R)に追従し難くなり、繊維が立ち上がるようになる。
これに対し、本実施形態に係る成形用貼り合せたシートでは、表面シートは、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる特性を有する。つまり、表面シートがこの特性を有することで、折り曲げたときに、表面シートである紙に発生する引張応力と、基材シートである紙に発生する圧縮応力が均衡しやすくなる。そのため、折り曲げたときの曲率(R)が大きくなっても、折り曲げた部分の曲率(R)に追従しやすくなり、繊維の立ち上がりが抑制されると考えられる。その結果、本実施形態に係る成形用貼り合せたシートは、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折り割れの発生が抑制されると考えられる。
ここで、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる紙としては、例えば、密度が低い紙、厚みが薄い紙、繊維長が長い紙が挙げられる。なお、これらの紙は、折り曲げたときに、塑性変形を伴って伸びる。
例えば、高密度(例えば、0.90g/cm)どうしの紙を貼り合せた場合、表面シートは高密度であるために、折り曲げたときに紙層が変化し難い。そのため、折り曲げた部分にかかる内部ひずみが大きくなり、1)繊維間結合点が開放される、2)繊維が破断してしまう、などにより、表面シートに折り割れが発生すると考えられる。
これに対し、表面シートの密度が低い場合、繊維間結合が少ないため、紙層内に空隙が多く存在することで、折り曲げに要する力が小さい。また、折り曲げたときに、空隙に繊維が移動しやすくなるため、紙層状態が変化しやすい。このため、折り曲げた部分にかかる負荷が小さく、内部ひずみが小さくなる。そして、折り曲げたときに、紙層内の空隙によって、ひずみが吸収されるために、表面シートの折り割れの発生が抑制されると考えられる。
なお、基材シートも同じように密度を低くしてしまうと、成形させた際に強度が弱くなるので、表面シートの密度と基材シートの密度とに差をもたせ、表面シートの密度を基材シートの密度より低く設定すると、なおよい。
また、表面シートの紙の厚さが厚い場合は、表面シートの紙では、折り曲げた部分で、紙層内での繊維、特に表層の繊維の移動距離が大きくなると考えられる。そのため、繊維の移動が大きいことに起因して、折り曲げた部分の曲率(R)に追従し難くなり、表面シートに折り割れが発生すると考えられる。
これに対し、表面シートの厚さが薄い場合、折り曲げたときに、紙層内での繊維の移動距離が小さくなる。そのため、折り曲げた部分の曲率(R)に追従しやすくなり、表面シートの折り割れの発生が抑制されると考えられる。
なお、基材シートと表面シートの紙の厚さが同じである場合は、折り曲げた角部の内側で強度が足りなくなるので、表面シートの厚さと基材シートの厚さとに差をもたせ、表面シートの厚さを基材シートの厚さより低く設定すると、なおよい。
また、表面シートの紙の繊維長が短い場合は、繊維長に起因して、折り曲げたときの曲率(R)に追従し難いため、折り曲げた部分の外側に向かって、繊維が立ち上がるようになると考えられる。そのため、表面シートに折り割れが発生すると考えられる。
これに対し、表面シートの繊維長が、表面シートでは、繊維長が長いために、折り曲げたときの曲率(R)に追従しやすくなる、そのため、折り曲げた部分で、繊維が立ち上がり難くなるため、表面シートに折れ割れの発生が抑制されると考えられる。
基材シートに関しては、繊維長が短い材質を使用しても、切り込みに沿って折り曲げ、折り曲げた箇所は摩擦を受けないため、繊維が立ち上がる懸念はない。
一方、表面シートとして不織布または合成紙を用いた場合について説明する。表面シートとして不織布または合成紙を用いた場合でも、折り曲げたときに、表面シートでは、表面シートにおける外側部分では引張応力が発生し、内側部分では圧縮応力が発生する。表面シートとして不織布または合成紙を用いた場合には、折り曲げて成形した場合でも、引張応力と圧縮応力とがより均衡に近い状態となる。そのため、表面シートに折れ割れの発生が抑制されると考えられる。ここで、表面シートとして不織布または合成紙を用いた場合は、上記のとおり、引張応力と圧縮応力とがより均衡に近い状態となる素材である。その点で、不織布または合成紙は、これら素材自体が、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる素材となる。ここで、不織布または合成紙は、折り曲げたときに、塑性変形を伴って伸びる。
なお、成形用シートには、成形体を作製するために成形用シートから分離するための切取線が設けられることがある。1枚で構成された成形用シートが繊維結合によって構成されたシートである場合、成形体を作製するために、成形用シートから分離するための切取線が設けられていたとしても、切り取った面で毛羽立ち等が発生してしまう。また、切取線で破断することがある。特に、成形用シートが合成紙である場合は切取線での破断が顕著になる。
これに対し、表面シートと基材シートが接着層を介して貼り合わされているため、接着層の存在によって、成形体を作製するために、成形用シートから分離するための切取線が設けられても、分離面が毛羽立つことが抑制される。また、切取線での破断が抑制される。
ここで、本明細書中において、「折れ割れ」とは、表面シートを外側となるように折り曲げたときに、表面シートの折り曲げた部分に亀裂が発生している状態を表す。なお、亀裂とは、シートの層内で剥離している状態のもの、シート層内での剥離の発生は無い(又は少ない)ものの、シート表面で繊維状に毛羽立ちが認められるものを包含する。
なお、この現象は特に、シート状物を90°以上の角度になるように折り曲げるといったくらい負荷をかけた際に発生しやすく、たいして折り曲げていない状態(90°未満の角度)で表面がこすれて割れてくる場合の割れとは発生のメカニズムが異なる。
以下、本実施形態に係る成形用貼り合せシートについて図面を参照して説明する。なお、図1、図2、および図3において、実質的に同一の機能を有する部材には、同じ符合を付与している。
図3は、本実施形態に係る成形用貼り合せシートの一例を表す平面図である。図3は、成形用貼り合せシートが箱に適用された場合の概略展開図を表し、箱の内側となる面(つまり、基材シート側)からみた概略展開図を表す。図3に示すように、成形用貼り合せシート100は、折込線23、および切込線21を有している。なお、切込線21は、基材シートと貼り合わされた、図示しない表面シートに形成されている切込線とともに、一対の切込線を示している。
図1は、本実施形態に係る成形用貼り合せシートの一例を表す断面図であり、図3に示すA-A断面図である。つまり、図1は、図3に示す成形用貼り合せシート100おいて、折込線23、切込線21、および成形用貼り合せシート100の端面と交差するように切断した断面図である。図1に示すように、成形用貼り合せシート100は、基材シート11の上に、接着層15を有し、接着層15の上に表面シート13を有する。つまり、成形用貼り合せシート100は、基材シート11と、表面シート13とが、接着層15を介して貼り合わされて構成されている。また、成形用貼り合せシート100は、基材シートに、第1の切取線21A、及び表面シートに、第2の切取線21Bを有している。第1の切取線21Aと、第2の切取線21Bとは接着層を介して対向して設けられており、一対の切取線を形成している。第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bは、基材シート11または表面シート13の表面から接着層15に向かって、接着層15に達する深さで設けられている。さらに、基材シート11には、折込線23が形成されており、基材シート11の表面から接着層15に向かって、接着層15には到達しない深さで設けられている。
図2は、本実施形態の成形用貼り合せシートを折り曲げた状態の一例を表す断面図である。図2は、図3および図1に示す成形用貼り合せシート100を、一対の第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bに沿って切り取って、成形体を作製するためのシート120とし、成形用の折込線23を内側になるように、折込線23で折り曲げた状態を表している。
なお、図1に示す第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bは、接着層に接する深さで設けることを示しているが、これに限定されるものではない。また、図1および図2に示す折込線23は、接着層15に達しない深さで設けているが、これに限定されるものではない。表面シートを第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bの切取線に沿って切断したとき、表面シートの切り取り面の表面状態の外観の低下が抑制されるのであれば、第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bの深さはこれに限定されない。また、折込線23は、基材シート11を織り込んだときに、折込線23以外の部分において、基材シートに層割れなどの折込不良の発生が抑制されるのであれば、折込線の深さはこれに限定されるものではない。さらに、切取線21Aおよび第2の切取線21B、並びに折込線23の断面形状は、図1に示す形状に限定されるものではない。
また、図3は、箱に適用された場合の一例を示しているが、箱の形状は限定されず、予め定められた形状に適用すればよい。さらに、箱以外にも、例えば、ポップ広告(Point of purchase advertising)などの表示体に適用してもよい。
以下、本実施形態に係る成形用貼り合せシートの各層について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
(表面シート)
本実施形態に係る成形用貼り合せシートにおいて、表面シートは、紙、不織布、および合成紙からなる群から選ばれる材料を含む。以下、表面シートに用いる各材料について説明する。
-紙-
本明細書中において、「紙」とは、繊維の水性分散液を抄造して繊維を膠着させて形成したシート状物を指す。具体的には、例えば、繊維を水に分散させて、脱水・乾燥などの湿式による過程を経て製造したシート状物である。なお、湿式による過程を経て製造したシート状物のうち、例えば、このシート状物を水流交絡により繊維を交絡させたシート状物(いわゆるスパレース不織布)、熱圧着等により、溶着および接着させて繊維を結合したシート状物など、交絡処理、結合処理などの処理によって、繊維を結合させたものは、本明細書中では、不織布に分類する。
紙は、パルプ繊維を含む繊維と、必要に応じて、填料等その他添加剤と、を含んで構成されている。
まず、パルプ繊維について説明する。パルプ繊維としては公知のものが挙げられる。具体的には、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の木材パルプのパルプ繊維;ケナフパルプ、バガスパルプ、竹パルプ、綿パルプ、麻パルプ、ワラパルプ(稲ワラ、麦ワラ等)、葦パルプ、エスパルトパルプ等の非木材パルプ(靱皮繊維を含む)のパルプ繊維;古紙原料を脱墨や漂白処理して得られた古紙パルプのパルプ繊維が挙げられる。
また、例えば、木材やチップを機械的にパルプ化したグランドウッドパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に機械的にパルプ化したケミメカニカルパルプ、及び、チップを軟らかくなるまで蒸解した後にリファイナーでパルプ化したサーモメカニカルパルプ、木材やチップに薬液を染み込ませた後に蒸気で加熱し、リファイナーでパルプ化したケミサーモメカニカルパルプ等の機械パルプのパルプ繊維も挙げられる。
パルプ繊維は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を使用してもよい。
その他、紙を構成する繊維としては、必要に応じて、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成高分子物質をパルプ状の形状にした合成パルプを用いてもよい。また、レーヨン等の再生繊維、ポリエステルやナイロン等の合成繊維を用いてもよい。
これらの中でも、木材パルプのパルプ繊維を用いることがよく、針葉樹パルプのパルプ繊維(例えば、針葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹の機械パルプ等)と、広葉樹パルプ(例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、広葉樹の機械パルプ等)のパルプ繊維とを用いることがよい。折れ割れの発生を抑制する点で、繊維長の長い繊維が好ましい。この点で、例えば、パルプ繊維は針葉樹パルプを含むことも好ましい。例えば、繊維長としては、数平均繊維長で、1mm以上であることがよい。繊維長の上限は、紙が製造できる繊維長であれば、特に限定されるものではない。例えば、数平均繊維長で、5mm以下でもよい。繊維長は、紙を水に分散させて、例えば、カヤーニ繊維分布測定機等の分析装置による測定や、光学顕微鏡およびデジタルマイクロスコープを使用した繊維観察によって繊維長を測定する。
次に、填料、その他添加剤について説明する。填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョーク、カオリン、焼成クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、セリサイト、ホワイトカーボン、サポナイト、カルシウムモンモリロナイト、ソジウムモンモリロナイト、ベントナイト等の白色無機顔料、及びアクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、尿素樹脂、等の有機顔料が挙げられる。また、古紙を配合する場合には、古紙原料に含まれる灰分を予め推定して填料の添加量を調整することがよい。
その他の添加剤としては、例えば、通常の紙に使用される、公知の内添又は外添のサイズ剤及び内添又は外添の紙力増強剤等が挙げられる。第1の紙基材及び第2の紙基材には、内添サイズ剤を添加することがよい。内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙法で抄造する場合、中性抄紙法に用いられる、いわゆる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系、アルキルケテンダイマー(AKD)系、石油樹脂系の内添サイズ剤が挙げられる。また、第1の紙基材及び第2の紙基材には、必要に応じて、外添サイズ剤を外添してもよい。外添サイズ剤としては、アルキルケテンダイマー系、スチレン-アクリル酸共重合体系、スチレン-マレイン酸共重合体系等の外添サイズ剤が挙げられる。
紙の表面をカチオン性に調整する場合には、例えば、親水性のカチオン樹脂等を表面に処理してもよい。
紙の内部へ、カチオン性樹脂の浸透を抑制するためには、カチオン性樹脂を塗布する前の各紙基材のサイズ度を10秒以上60秒未満とすることがよい。
紙には、必要に応じて、通常の紙に使用される公知の紙力増強剤を内添又は外添してもよい。紙力増強剤としては、でんぷん、変性でんぷん、ジアルデヒドでんぷん、植物ガム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン、エポキシ化ポリアミド、ポリアミド・エピクロルヒドリン系樹脂、メチロール化ポリアミド、キトサン誘導体等が挙げられる。
また、紙には、これらの添加剤を定着させるための定着剤の他、例えば、染料、pH調整剤等、消泡剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、歩留まり向上剤、紙用嵩高剤等の通常の紙の抄造に配合される各種助剤を添加してもよい。
特に、助剤としては、紙の密度を調整する点で、紙用嵩高剤等を用いることがよい。紙用嵩高剤は特に限定されるものではないが、例えば、発泡性マイクロカプセル粒子が挙げられる。
また、紙の片面又は両面には、必要に応じて、表面サイズ液の塗工による表面処理が施されていてもよい。また、顔料塗工層形成用の塗工液を塗工して、顔料塗工層が形成された塗工紙であってもよい。
表面サイズ液の塗工表面処理や、顔料塗工層形成用の塗工液の塗工は、例えば、サイズプレス塗工、シムサイズ塗工、ゲートロール塗工、ロール塗工、バー塗工、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、ブレード塗工、カーテン塗工等の通常使用されている塗工方法によって、塗工すればよい。
表面サイズ液としては、例えば、前述の外添するための紙力増強剤、及び外添サイズ剤等が挙げられる。また、寸法安定化剤、無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料、カチオン性樹脂等の添加剤等が挙げられる。表面サイズ液は、これらを1種、又は2種以上を使用してもよい。
また、顔料塗工層形成用の塗工液には、顔料と、顔料を接着するための接着剤と、必要に応じて、その他添加剤と、を含んで構成されている。顔料としては、通常の顔料塗工紙に用いられる顔料が用いられる。具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネーテッドクレー、アルミノ珪酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン樹脂微粒子、尿素ホルムアルデヒド樹脂微粒子、微小中空粒子及びその他の有機系顔料等を単独又は複数組み合わせて使用してもよい。
また、顔料塗工層形成用の塗工液に用いる、顔料を接着するための接着剤としては、例えば、合成接着剤及び天然接着剤が挙げられる。具体的には、合成接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合及びポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等が挙げられる。これらの合成接着剤の中で目的に応じて、1種又は2種以上を使用してもよい。
また、天然接着剤として、酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプンや
それらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼイン、大豆たんぱく等
の一般に知られた接着剤が挙げられる。
これらの接着剤は顔料100質量%あたり、5質量%以上50質量%以下であることがよく、10質量%以上30質量%以下が好ましい。
また、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等、通常の塗工紙に配合される各種助剤が使用されてもよい。
さらに、紙には、必要に応じて、粘着加工、磁性加工、難燃加工、耐熱加工、耐水加工、耐油加工、防滑加工等の後加工を施すことにより、各種の用途適性を付加されていてもよい。
紙の密度は、折れ割れの発生を抑制する点で、0.20g/cm以上0.80g/cm以下であることがよい。
紙の厚さは、折れ割れの発生を抑制する点で、40μm以上400μm以下であることがよく、78μm以上200μm以下であることがよい。なお、紙の厚さおよび密度はJIS P 8118(2014)に準じて測定すればよい。
なお、紙の坪量で、紙の中の繊維の移動しやすさを捉えてもよく、表面のシートを裏面のシートより坪量の低いもので構成してもよい。
-紙の製造方法-
紙は、例えば、パルプ繊維とその他必要に応じて添加剤を含むパルプスラリーを用い、抄紙機において、ワイヤー部で脱水、プレス部で圧搾及び搾水、及びドライヤー部で乾燥等の過程を経て、ロール状又はシート状の紙基材を得る。また、必要に応じて、カレンダ等の平滑化処理を施してもよい。
紙の密度の調製は公知の方法で調製すればよい。例えば、パルプ繊維や添加剤の調製の他、抄紙機の搾水部(プレス部)における圧力、平滑化装置(カレンダ等)の圧力等により調整することが挙げられる。紙の表面に顔料塗工層が形成された塗工紙である場合には、顔料塗工層形成後の平滑化装置の圧力等によって調整してもよい。
-不織布-
本明細書中において、「不織布」とは、紙および編物を除く、繊維を織らずに形成したシート状物を指す。具体的には、例えば、繊維を湿式による過程を経て製造したシート状物、及び、繊維を乾式による過程を経て製造したシート状物であり、これらシート状物を交絡処理、結合処理などの処理によって繊維を結合させたものが含まれる。すなわち、不織布は、湿式または乾式による過程を経て製造したシート状物(紙を除く)を、交絡処理、結合処理、または交絡処理および結合処理によって繊維を結合させることで得られる。
繊維を湿式による過程を経て製造したシート状物は、紙と同様の製造過程で製造されたシート状物が挙げられる。
繊維を乾式による過程を経て製造したシート状物は、例えば、カード法、エアレイ法(短繊維(例えば、有機繊維、天然繊維、無機繊維、及び金属繊維のうちの少なくとも一つの短繊維)を製造してからシート化する方法);スパンボンド法、メルトブロー法(樹脂を溶融紡糸した状態からシート化する方法);電界紡糸法(樹脂溶液または溶融状態の樹脂を電界下で紡糸した状態からシート化する方法)などの製造方法で得られたシート状物が挙げられる。そして、湿式または乾式による過程を経て製造したシート状物を交絡処理、結合処理、及びこれらの処理の組み合わせによって繊維を結合することで、表面シートに用いる不織布が得られる。
シート状物を交絡処理する方法としては、例えば、ニードルパンチ法、水流交絡法が挙げられる。ニードルパンチ法は、不織布に多数の針を突き刺し、不織布を構成する繊維を交絡させる方法である。水流交絡法とは、不織布に細い水流を噴射し、不織布を構成する繊維を交絡させる方法である。ニードルパンチ法と水流交絡法は併用してもよい。
シート状物を結合処理する方法としては、サーマルボンド法(熱的接着法)、ケミカルボンド法(化学的接着法)が挙げられる。サーマルボンド法は、不織布を構成する繊維として、熱で溶融する繊維を使用し、不織布を加熱することで、繊維を熱によって溶融させて、繊維どうしを結合させる方法である。ケミカルボンド法は、接着樹脂を不織布に含有させ、不織布を加熱することで、繊維を結合させる方法である。
不織布を構成する繊維は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン等のポリアミドなどの合成繊維が挙げられる。また、レーヨン等の再生繊維;綿等の天然繊維も挙げられる。さらに、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維;金属繊維も挙げられる。また、不織布を構成する繊維は、例えば、異なる樹脂で構成された、芯部と被覆層とを有する芯鞘複合繊維でもよい。
不織布の製造方法により、用いられる繊維の繊維長は異なり、特に制限はないが、折れ割れの発生を抑制する点で、不織布に用いられる繊維の繊維長は5mm以上であることがよく、10mm以上であることがよい。特に、スパンボンド法は、樹脂を溶融紡糸した状態からシート化するため、不織布を構成する繊維は連続して形成されている。そのため、不織布に用いられる繊維長の上限は限定されるものではない。
なお、不織布の繊維長の測定方法としては、光学顕微鏡及びデジタルマイクロスコープを使用した繊維観察による繊維長測定が挙げられる。
不織布の密度は、折れ割れの発生を抑制する点で、0.20g/cm以上0.50g/cm以下であることがよく、0.30g/cm以上0.50g/cm以下であることがよい。なお、不織布の密度はJIS P 8124(2011)に準じて測定される単位面積当たりの質量を不織布の厚さで除して算出すれば良い。
不織布の厚さは、折れ割れの発生を抑制する点で、100μm以上400μm以下であることがよく、200μm以上300μm以下であることがよい。なお、不織布の厚さはJIS P 8118(2014)に準じて測定すればよい。
-合成紙-
本明細書中において、「合成紙」とは、合成樹脂を含む原料を押し出してフィルムとし、このフィルムから形成したシート状物を指す。合成紙には、合成樹脂を原料として得られたフィルム上に、顔料塗工層が設けてシート状物としたものも含まれる。
ここで、本明細書中において、「フィルム」は、「フィルム」と称する場合でも「シート」に包含される。
合成紙としては、具体的には、例えば、合成樹脂を含む原料を押し出してフィルムとし、このフィルムを延伸しない無延伸のシート状物;合成樹脂を含む原料を押し出してフィルムとし、延伸(例えば、二軸延伸)することによりフィルム内部に空孔が形成されたシート状物;合成樹脂を含む原料を押し出してフィルムとし、延伸(例えば、二軸延伸)するが、フィルム内部に空孔が形成されていないシート状物が挙げられる。なお、本明細書中において、繊維から形成したシート状物を溶融することでフィルム状に形成したシート状物は、不織布に分類するものとする。
合成紙としては、例えば、具体的には、フィルムを二軸延伸することにより空孔を発生させて成膜したタイプのユポ(登録商標、ユポ・コーポレーション社製)、クリスパー(登録商標、東洋紡社製)などが挙げられる。また、合成樹脂を原料として得られたフィルムの表面に顔料塗工層を設けた合成紙も挙げられる。顔料塗工層は、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれのフィルム上に設けてもよい。顔料塗工層を設ける延伸フィルムは、フィルム内部に空孔を有するフィルム、フィルム内部に空孔を有さないフィルムのいずれでもよい。
合成紙を構成する合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン等の単独重合体または共重合体のポリオレフィン樹脂;ポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;スチレンの単独重合体または共重合体のポリスチレン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、折れ割れ性の発生を抑制する点で、ポリオレフィンおよびポリエステルのいずれか一方であることがよく、ポリプロピレンおよびポリエステルのいずれか一方であることがよい。
なお、合成紙を構成する樹脂の測定方法としては、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)などで測定することができる。
また、合成紙には、合成樹脂と共に、充填剤が含まれていてもよい。充填剤としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイソウ土、酸化珪素、水酸化アルミニウム、カオリンなどが挙げられる。これらの充填剤は、1種単独、または2種以上を混合して用いてもよい。
合成紙の密度は、折れ割れ性の発生を抑制する点で、0.70g/cm以上1.30g/cm以下であることがよく、0.70g/cm以上1.20g/cm以下であることがよく、0.70g/cm以上1.10g/cm以下であることがよい。
合成紙の厚さとしては、特に限定されるものではない。折れ割れ性の発生を抑制する点で、合成紙の厚さは、例えば、50μm以上300μm以下であることがよく、50μm以上200μm以下でもよく、60μm以上100μm以下でもよい。なお、合成紙の厚さおよび密度はJIS P 8118(2014)に準じて測定すればよい。
(接着層)
本実施形態に係る成形用貼り合せシートは、表面シートと基材シートとの間に接着層が形成されている。つまり、接着層は表面シートと基材シートとを接着剤により貼り合されて形成されているものである。
接着剤としては、特に限定されず、水系接着剤、溶剤系接着剤、エマルジョン系接着剤等の公知の接着剤が挙げられる。中でも、ホットメルト接着剤が好ましい。
ホットメルト接着剤としては、樹脂を主成分として含んでいる。なお、主成分とは、全成分の示す割合のうち、占める割合が最も多い成分を表す。
樹脂としては、例えば、具体的には、エチレン、プロピレン等のポリオレフィン;天然又は合成のゴム:ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;エポキシ;アクリル;ポリアシド;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン-アクリレート共重合体(EEA);エチレンメタクリル酸メチル共重合体(EMMA);などの樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂やエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。
また、ホットメルト接着剤は、上記の熱可塑性樹脂以外にも、粘着付与剤、ワックスなどを含んでいてもよい。
接着層の厚さとしては、表面シートと基材シートとを貼り合わせられる範囲であれば、特に限定されるものではない。切取線からの切り離しやすさの点から、例えば、20μm以上80μm以下であることがよく、25μm以上75μm以下が好ましく、30μm以上70μm以下がより好ましい。
(基材シート)
基材シートは、特に限定されるものはないが、例えば、紙、不織布、及び合成紙からなる群から選ばれたいずれか一つでもよい。これらの中でも、基材シートには、紙を用いることが好ましい。基材シートと表面シートとの組み合わせは、例えば、紙と紙、紙と不織布、紙と合成紙など、いずれの組み合わせでもよい。これらの中でも、表面シートおよび基材シートともに、紙を用いることがよい。
なお、表面シート側を外側になるように折り曲げたときに、基材シートは、圧縮応力を受けるが、基材シートに設けられた折込線で圧縮応力が低減されるようになっている。基材シートが紙、不織布、及び合成紙のいずれか一つであると、表面シートが受ける引張応力と均衡に近い状態となると考えられる。
基材シートに用いる紙、不織布および合成紙は、上記の表面シートで説明した紙、不織布および合成紙と同様のものが挙げられる。
基材シートに用いる紙としては、成形後の成形体の機械的強度などを確保する点で、例えば、1)密度が0.80g/cm以上(好ましくは0.90g/cm以上1.10g/cm以下)、2)厚さが200μm以上(好ましくは200μm以上500μm以下)、および3)繊維長が1mm以上2mm以下からなる条件の少なくとも一つを満足することがよい。
なお、例えば、基材シートに紙を用い、表面シートに紙を用いる場合、表面シートは、1)紙の密度が基材シートの密度よりも低い、2)紙の厚さが基材シートよりも薄い、及び、3)紙の繊維長が基材シートの繊維長よりも長い、からなる条件の少なくとも一つを満足するものを用いると、表面シートの表面の折り曲げた部分に、折れ割れの発生が抑制されやすくなる。
なお、基材シートに紙を用いる場合、折れ割れ発生の抑制の点で、基材シートに対する表面シートの厚さの比(表面シートの厚さ/基材シートの厚さ)としては、1.3以下であることがよく、0.9以下であることがよい。下限としては特に限定されるものではないが、0.2以上でもよく、0.3以上でもよく、0.4以上でもよい。
以上、表面シート及び基材シートに用いる各材料について説明したが、紙、不織布、及び合成紙はそれぞれ単体で用いるだけでなく、他の材料と複合化されてもよい。例えば
紙、不織布、及び合成紙を組み合わせて積層してもよい。また、紙、不織布、及び合成紙から選択される少なくとも1種の材料を基層とし、不織布及び合成紙以外の樹脂層を基層上に積層した材料であってもよい。つまり、本実施形態に係る成形用貼り合せシートは、基層と、基層の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを有する材料を表面シート及び基材シートのいずれにも適用されてもよい。また、樹脂層上には機能層(例えば、画像を形成するためのコート層など)が設けられていてもよい。基層の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層を有する材料を、表面シート及び基材シートに用いることで、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる表面シートとなる。
図4は、本実施形態に係る成形用貼り合せシートに適用される基材シート及び表面シートの一例を示す模式図である。図4に示すシート17は、基材シート及び表面シートのいずれにも適用可能なシートを表している。シート17は、基層17Aと、基層17Aの両面に設けられた樹脂層17Bと、樹脂層17B上に設けられた画像形成層となるコート層17Cとを有する。基層17Aは、紙、不織布、及び合成紙から選択される少なくとも1種の材料である。樹脂層17Bは、不織布及び合成紙以外の樹脂からなる層である。
図5は本実施形態に係る成形用貼り合せシートの他の一例を示す概略断面図である。図5に示す成形用貼り合せシート110は、図4に示すシート17を基材シート11及び表面シート13の両方に適用し、接着層15を介して貼りあわされている。つまり、基材シート11及び表面シート13が、それぞれ基層17Aと、基層17Aの両面上に設けられた樹脂層17Bとを有している。そして、成形用貼り合せシート110では、樹脂層17Bが成形用貼り合せシート110の表面側(基層17Aの接着層15と接する面と対向する面側)と接着層15側の両方に設けられている。また、基材シート11に、第1の切取線21A、及び表面シートに、第2の切取線21Bを有しており、一対の切取線を形成している。第1の切取線21Aおよび第2の切取線21Bは、基材シート11または表面シート13の表面から接着層15に向かって、接着層15に達する深さで設けられている。さらに、基材シート11には、折込線23が形成されており、基材シート11の表面から接着層15に向かって、接着層15には到達しない深さで設けられている。
図6は、本実施形態に係る成形用貼り合せシートに適用される基材シート及び表面シートの他の一例を示す模式図である。図6に示すシート19は、基材シート及び表面シートのいずれにも適用可能なシートを表している。シート19は、基層19Aと、基層19Aの片面に設けられた樹脂層19Bと、樹脂層19B上に設けられたコート層19Cとを有する。図7は、本実施形態に係る成形用貼り合せシートの他の一例を示す概略断面図である。図7に示す成形用貼り合せシート120は、図6に示すシート19を基材シート11及び表面シート13の両方に適用し、樹脂層側を成形用貼り合せシート120の表面側になるように、基層19Aどうしを接着層15を介して貼り合わされている。つまり、基材シート11及び表面シート13が、それぞれ基層19Aと、基層19Aの片面上に設けられた樹脂層19Bとを有している。そして、成形用貼り合せシート120では、樹脂層19Bが成形用貼り合せシート120の表面側(基層19Aの接着層15と接する面と対向する面側)に設けられている。また、第1の切取線21Aおよび第2の切取線21B、並びに折込線23は、図5に示す成形用貼り合せシート110と同様の形態で設けられている。
なお、図5に示す成形用貼り合せシート110、及び図7に示す成形用貼り合せシート120は、表面シート13と基材シート11とを同じ材料を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、表面シート13に用いる基層の厚みが基材シート11に用いる基層の厚みより小さいものであってもよい。
ここで、例えば、折り割れの発生しにくい樹脂層が設けられた紙を表面シートとして採用し、基材シートとして樹脂層が設けられていない紙を採用した場合には、表面シート側は樹脂層を有するので、周囲の環境の水分を含水し難い。一方、基材シート側は周囲の環境の水分を含水しやすいので、シートが画像形成装置で画像形成する以前からカールが発生してしまうことがある。そこで、図5に示すように、基材シートと表面シートとを、両面に樹脂層が設けられた紙からなる同じシートを採用することで、カールが抑制される。また、表面シートと基材シート自体も両面が樹脂層で覆われたシートであるので、接着層で接着されて成形用貼り合わせシートを形成する前において、それぞれの単体シートの状態でもカールが抑制される。
一方、基層の片面のみに樹脂層を有するシートでは、成形用貼り合わせシートを形成する前において、それぞれの単体シートの状態でカールが発生しやすい。樹脂層を成形用貼り合わせシートの外面側に設けるようにすることで、カールの発生が抑制される。
また、接着層の厚さは、折れ割れ発生の抑制の点で、基材シート及び前記表面シートにおけるそれぞれの基層上に設けられた樹脂層の2倍以上であることがよい。同様の点で、接着層の厚さは、35μm以上60μm以下であり、樹脂層の厚さは、5μm以上30μm以下であることがよい。接着層と、基層上に設けられた樹脂層との厚さの関係が、上記関係であることにより、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びやすくなる。
(成形用貼り合せシートの製造方法)
本実施形態に係る成形用貼り合せシートは、表面シートおよび基材シートのいずれか一方のシート上に、接着層を設ける第1の工程と、接着層を介して、表面シートと基材シートとを貼り合わせた貼り合せシートを得る第2の工程と、貼り合せシートの基材シート側に、折込線および第1の切取線を設け、表面シートに、接着層を介して第1の切取線と対向して第2の切取線を設ける第3の工程と、を有する。
第1の工程では、まず、表面シートおよび基材シートを準備する。次に、表面シートおよび基材シートのいずれか一方のシートの表面に、接着層を設ける。例えば、接着層がホットメルト接着剤で形成される場合、ホットメルト接着剤は、グラビア塗布、ファンテン塗布、ロール塗布、Tダイ塗布、カーテン塗布、エクストルージョン塗布等の塗布方法により、基材シートのいずれか一方のシートの表面に塗布され、接着層が形成される。着層がホットメルト接着剤で形成される場合の塗布するときのホットメルト接着剤の温度は、ホットメルト接着剤の種類によって定めればよい。
第2の工程では、表面シートおよび基材シートのいずれか一方のシートの表面に設けられた接着層上に、基材シートまたは表面シートを重ねて貼り合わせて、貼り合せシートを得る。例えば、接着層がホットメルト接着剤である場合、ホットメルト接着層上に、基材シートまたは表面シートを重ねた後、冷却することで、貼り合せシートが得られる。
第3の工程では、基材シートに、折込線および第1の切取線を設け、表面シートに、接着層を介して第1の切取線と対向して第2の切取線を設ける。
折込線、並びに、第1の切取線および第2の切取線は、例えば、予め定められた抜き型を用いることによって設けられる。第1の切取線および第2の切取線は、成形用貼り合せシートから、成形体を作製するためのシートとして分離するために設けられるものである。一方、折込線は、成形体を作製するために折り込む部分に設けるものである。
折込線、並びに、第1の切取線および第2の切取線の深さは、特に限定されず、切取りやすさ、折り込みやすさ等に応じて、予め定められた深さで設ければよい。第1の切取線および第2の切取線の深さは、例えば、表面シートの切り取り面の表面状態の外観の低下抑制など、取りやすさに応じて、表面シートの表面から接着層までの深さの範囲で設けられていてもよい。なお、成形用貼り合せシートの機械的強度などが確保されるのであれば、表面シートの表面から接着層の一部までの深さで設けられていてもよい。
また、折込線の深さは、折込みやすさに応じて、基材シートの表面から接着層までの範囲で設けていてもよい。なお、成形用貼り合せシートの機械的強度などが確保されるのであれば、基材シートの表面から接着層の一部までの深さで設けられていてもよい。
例えば、基材シートに形成された折込線で、基材シートが内側となるように折り曲げたときに、折込線と第1の切取線との間で基材シートが折れ曲がる、基材シートが紙である場合に、折込線と第1の切取線との間で紙層剥離が発生するなどの、折込不良の発生が抑制されるのであれば、折込線は、表面シートの表面から接着層までに達する深さでもよい。また、表面シートの表面から接着層までの間の半分以下の距離であってもよい。折り込みやすさの点で、折込線の深さは、表面シートの表面から接着層までの間の半分以上の距離が好ましい。
第1の切取線および第2の切取線の形状は、成形用貼り合せシートから、成形体を作製するためのシートとして分離できれば、特に限定されるものではない。成形体を作製するためのシートとして分離した後のシート断面に毛羽等の外観の低下を抑制する点で、第1の切取線および第2の切取線の形状は、例えば、連続した線状の切り込みであることがよい。
一方、折込線は、例えば、上記の折込不良が生じないのであれば、折込線の形状は特に限定されず、連続した線状でもよく、点線、破線、鎖線などの断続的な線状としてもよい。また、折込線は、切り込みにより形成した折込線でもよく、押し込みにより形成した折込線(押し込み筋)でもよい。折込線は、折り込み易さの点で、切り込みにより形成した折込線が好ましい。
なお、成形用貼り合せシートは、上記の第2工程と第3工程との間、または第3工程の後に、画像を形成してもよい。成形用貼り合せシートの表面に画像を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、電子写真方式の画像形成装置、インクジェット方式の画像形成装置などの公知の画像形成装置を用いて画像を形成してもよい。
例えば、成形用貼り合せシートに画像を形成する方法として、電子写真方式の画像形成装置による画像形成について、一例を挙げて説明する。
まず、電子写真用感光体(像保持体)の表面に電荷を与え帯電させた後、その表面に、得られた画像情報を露光し、露光に対応した静電潜像を形成する。次に、前記感光体表面の静電潜像に現像器から画像形成材料であるトナーを供給することで、静電潜像がトナーによって可視化現像される(トナー画像が形成される)。さらに、形成されたトナー画像を、成形用貼り合せシートの表面シート側の表面に転写し、最後に熱や圧力などによりトナー画像が画像受像層表面に定着されて、成形用貼り合せシートが電子写真方式の画像装置から排出されて、画像が形成された成形用貼り合せシートが得られる。なお、画像は、表面シート側の表面のみでなく、基材シート側の表面にも形成されていてもよい。
成形用貼り合せシートの表面に画像を形成するときの画像の形成のしやすさの点で、成形用貼り合せシートの全体の厚さは、150μm以上500μm以下であることがよく、成形後の成形体の機械的強度を確保する点で、200μm以上500μm以下であることが好ましく、300μm以上500μm以下であることがより好ましい。
なお、成形用貼り合せシートにおいて、表面シート、接着層、および基材シート、並びに、成形用貼り合せシート全体の厚みは、対象となる成形用貼り合せシートを光学顕微鏡で観察して厚みを測定すればよい。
成形用貼り合せシートは、成形用貼り合せシートから、成形体を作製するためのシートとして分離した後、基材シートに形成された折込線に沿って、基材シートが内側となるように折られ、立体形状に成形されて、成形体が作製される。成形体は、特に限定されるものではないが、例えば、箱、袋などの包装体、ポップ広告などの表示体などに適用される。
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
[評価]
後述の各実施例、各比較例により各記成形用貼り合せシートを作製し、各例で得られた成形用貼り合せを用いて、折れ割れ性の評価を行った。
<実施例1>
基材シートとして、富士ゼロックス社の「Ncolor209」209g/mを準備し、表面シートとして、王子マテリアルの晒クラフト紙「アカシア」60g/mを準備した。次に、基材シートであるNcolor209の表面に、ホットメルト接着剤(森部商店社製「918A」)を50μmとなるように塗布して接着層を形成し、ホットメルト接着剤を塗布した面の上に、表面シートである上記の晒クラフト紙を重ねて貼り合せ、室温(25℃)になるまで冷却した。次に、基材シートおよび表面シートに、接着層を介して対向して配置するように、第1の切取線及び第2の切取線を形成した。第1の切取線及び第2の切取線は、それぞれ連続した線状の形状となるように、切り込みにより形成した。また、基材シートに形成した第1の切取線とは異なる位置に、連続した線状となるように、切り込みにより折込線を形成した。このようにして、実施例1の成形用貼り合せシートを得た。
<実施例2~実施例9、比較例1、2>
表1にしたがって、表面シートとして、表1に示す各表面シートおよび基材シートに変更した以外は、実施例1と同様にして、各例の成形用貼り合せシートを得た。
-折れ割れ性の評価-
各例で得られた成形用貼り合せシートの切取線から、成形体を作製するためのシートを分離した。成形体を作製するためのシートは、基材シートに折込線のみ設けられたものとなる。このシートの折込線に沿って、基材シートが内側となるように、および表面シートが外側となるように、90°となる角度で、手で折り曲げた。また、別途、成形用貼り合せシートの切取線から、成形体を作製するためのシートを分離して、折込線が設けられた他のシートを用意し、折込線に沿って、基材シートが内側となるように、180°となる角度で、手で折り曲げた。そして、90°および180°に折り曲げた部分を光学顕微鏡により200倍で撮影し、撮影した画像を下記の評価基準にしたがって、目視および光学顕微鏡にて折れ割れ性の評価を行った。
・評価基準
A(◎) :目視でも、光学顕微鏡でも、折り割れが全く見られない。
B(○+):目視では折り割れが全くなく、光学顕微鏡ではほとんど折り割れが見られない。
C(○) :目視でも、光学顕微鏡でも、折り割れがほとんどない
D(○-):目視では折り割れがほとんどないが、光学顕微鏡では折り割れがやや見受けられる。
E(△+):目視でも、光学顕微鏡でも、折り割れがやや見受けられる。
F(△-):目視では折り割れがやや見受けられ、光学顕微鏡では、折り割れが見受けられる。
G(×) :目視では折り割れが見受けられ、光学顕微鏡では、折り割れが著しく見受けられる。
Figure 0007151297000001
表1中の素材欄の略号は、以下に示すとおりである。
クラフト紙:王子マテリアルの晒クラフト紙「アカシア」60g/m
厚紙1 :富士ゼロックス社の「Ncolor209」209g/m
厚紙2 :王子エフテックス社の「フワットライト」40g/m
不織布1:中川製作所社の「IJ不織布」89g/m
不織布2:王子エフテックス社の「HG42」135g/m
合成紙1:ユポ・コーポレーション社の「FGS 60」
合成紙2:東洋紡社の「クリスパーK7911」50μm
普通紙 :富士ゼロックス社の「V-Paper」64g/m
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、折れ割れ性の評価結果が良好であることが分かる。
<実施例10、実施例11>
表面シートとして、図4に示すような、紙(Ncolor104(富士ゼロックス社)からなる基層の両面に、樹脂層(厚さ20μm)が設けられ、樹脂層上に画像を形成するためのコート層(トナー受容層)が設けられているシートを準備した。そして、このシートを表面シートおよび基材シートの両方に適用し、接着層(厚さ50μm)を介して、コート層面どうしを貼り合わせた。切込み線は、樹脂層の厚さ方向の全体に設けられるが、切り込み線を設けても、1枚のシートとして画像形成装置内を走行できるように、接着層の厚さ方向の全体には切り込み線を設けないようにした。このようにして、実施例10の成形用貼り合せシートを得た。
実施例10の成形用貼り合せシートについて、折り割れに関しては、コート層の下に樹脂層があるシートは、樹脂層で割れを比較的吸収してくれる。そのため、折れ割れの評価結果は良好であった。また、樹脂層で割れを比較的吸収してくれるので、コート層の画像が保たれやすい。
表面シートとして、図6に示すような、紙(Ncolor104(富士ゼロックス社)からなる基層の片面に、樹脂層(厚さ20μm)が設けられ、樹脂層上に画像を形成するためのコート層(トナー受容層)が設けられているシートを準備した。そして、このシートを表面シートおよび基材シートの両方に適用し、接着層(厚さ50μm)を介して、基層面どうしを貼り合わせた。その後。実施例10と同様の切込み線及び折込線を設けて、実施例11の成形用貼り合せシートを得た。
実施例11の成形用貼り合せシートについて、折り割れに関しては、樹脂層が基層の片面にのみ設けられている場合であっても、樹脂層があるシートは、樹脂層で割れを比較的吸収してくれる。そのため、折れ割れの評価結果は良好であった。また、樹脂層で割れを比較的吸収してくれるので、コート層の画像が保たれやすい。
11 基材シート、13 表面シート、15 接着層、17A 19A 基層、17B 19B 樹脂層、21A、21B 切取線、23 折込線、100 110 120 成形用貼り合せシート

Claims (14)

  1. 折込線および第1の切取線を有する基材シートと、
    前記基材シート上に設けられた接着層と、
    前記接着層上に設けられ、前記接着層を介して前記第1の切取線と対向して設けられた第2の切取線とを有する表面シートであって、表面シートが、紙を含み、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる表面シートと、
    を有し、
    前記紙の密度が前記基材シートの密度よりも低く、
    前記伸びる表面シートは、成形用貼り合せシートを、前記基材シートが内側となるように、及び前記表面シートが外側となるように、90°となる角度で、手で折り曲げたとき、前記表面シートの折り曲げた部分に折れ割れが発生しない表面シートである、成形用貼り合せシート。
  2. 前記表面シートにおける前記紙の密度が、0.20g/cm以上0.80g/cm以下である請求項1に記載の成形用貼り合せシート。
  3. 前記表面シートにおける前記紙の厚みが、40μm以上400μm以下である請求項1に記載の成形用貼り合せシート。
  4. 前記表面シートが紙である場合、)紙の厚さが基材シートよりも薄い、及び、)紙の繊維長が基材シートの繊維長よりも長い、からなる条件の少なくとも一つを満足する表面シートを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成形用貼り合わせシート。
  5. 折込線および第1の切取線を有する基材シートと、
    前記基材シート上に設けられた接着層と、
    前記接着層上に設けられ、前記接着層を介して前記第1の切取線と対向して設けられた第2の切取線とを有する表面シートであって、表面シートが、不織布、および合成紙よりなる群から選ばれるいずれか一つを含み、表面シートを外側になるように折り曲げた際の負荷に対して追従して伸びる表面シートと、
    を有し、
    前記伸びる表面シートは、成形用貼り合せシートを、前記基材シートが内側となるように、及び前記表面シートが外側となるように、90°となる角度で、手で折り曲げたとき、前記表面シートの折り曲げた部分に折れ割れが発生しない表面シートである、成形用貼り合せシート。
  6. 前記表面シートにおける前記不織布の密度が、0.20g/cm以上0.50g/cm以下である請求項に記載の成形用貼り合せシート。
  7. 前記表面シートにおける前記不織布の繊維長が、5mm以上である請求項に記載の成形用貼り合せシート。
  8. 前記表面シートにおける前記合成紙の密度が、0.70g/cm以上1.30g/cm以下である請求項に記載の成形用貼り合せシート。
  9. 前記表面シートにおける前記合成紙が、ポリプロピレンおよびポリエステルのいずれか一方の樹脂を有する請求項に記載の成形用貼り合せシート。
  10. 前記基材シートが、紙、不織布、および合成紙からなる群のいずれか一つである請求項1又は請求項5に記載の成形用貼り合せシート。
  11. 前記基材シートが、紙であり、表面のシートが合成紙および不織布のいずれか一つである請求項10に記載の成形用貼り合せシート。
  12. 前記基材シート及び前記表面シートが、それぞれ基層と、前記基層の少なくとも一方の面上に設けられた樹脂層とを有する請求項1又は請求項5に記載の成形用貼り合せシート。
  13. 前記接着層の厚さが、前記基材シート及び前記表面シートのそれぞれに設けられた樹脂層の2倍以上である請求項12に記載の成形用貼り合せシート。
  14. 前記接着層の厚さが、35μm以上60μm以下であり、前記樹脂層の厚さが、5μm以上30μm以下である請求項12又は請求項13に記載の成形用貼り合せシート。
JP2018170865A 2017-09-26 2018-09-12 成形用貼り合せシート Active JP7151297B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017185245 2017-09-26
JP2017185245 2017-09-26

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019059233A JP2019059233A (ja) 2019-04-18
JP7151297B2 true JP7151297B2 (ja) 2022-10-12

Family

ID=66178346

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018170865A Active JP7151297B2 (ja) 2017-09-26 2018-09-12 成形用貼り合せシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7151297B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200726A (ja) 2000-10-23 2002-07-16 Oji Paper Co Ltd 成形加工原紙
JP2013151116A (ja) 2012-01-25 2013-08-08 Washi No Ishikawa:Kk 単位片印刷用シート
JP2014070318A (ja) 2012-09-28 2014-04-21 Daio Paper Corp 板紙

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4039537B2 (ja) * 1997-12-26 2008-01-30 日本テトラパック株式会社 紙容器用原紙、紙容器用原紙の製造法、紙容器用包材及び紙容器
JP2007016380A (ja) * 2000-05-31 2007-01-25 Oji Paper Co Ltd 成形加工原紙及びそれを用いた紙製成形容器もしくはその製造方法
JP5294373B2 (ja) * 2007-07-19 2013-09-18 瑞光明有限会社 食品容器

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002200726A (ja) 2000-10-23 2002-07-16 Oji Paper Co Ltd 成形加工原紙
JP2013151116A (ja) 2012-01-25 2013-08-08 Washi No Ishikawa:Kk 単位片印刷用シート
JP2014070318A (ja) 2012-09-28 2014-04-21 Daio Paper Corp 板紙

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019059233A (ja) 2019-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6977111B2 (en) Multi-layer paper peelable into at least two thin sheets
CA2342227C (en) Paper or paperboard laminate and method to produce such a laminate
JP2008087765A (ja) 断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート
JP2009243015A (ja) 断熱性紙製容器に用いる原材料シート、及び断熱性紙製容器
JP5848476B1 (ja) ファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法、ファイブラスケーシング及びその製造方法
SE510407C2 (sv) Kartong med hög styvhet samt förpackning därav
JP7172819B2 (ja) 液体容器用基材、液体用容器およびその製造方法
JP2002201598A (ja) 成形加工原紙及びそれを用いた紙製成形容器
JP7151297B2 (ja) 成形用貼り合せシート
JP2021134463A (ja) ラミネート用包装紙、これを用いた積層体及び包装体
JP7205385B2 (ja) 紙基材、紙製シート、カップ状包装容器およびその製造方法
JP2001098496A (ja) 嵩高板紙
JP7120085B2 (ja) 発泡断熱紙容器用基材、発泡断熱紙容器用シート、発泡断熱紙容器およびその製造方法
JP2002266294A (ja) 成形容器用原紙及びそれを用いた成形容器
JP7172818B2 (ja) カップ用基材、液体用カップ容器およびその製造方法
WO2021132429A1 (ja) 加工用原紙、紙器用シートおよび紙器
JP2019131922A (ja) 片艶クラフト紙及びその製造方法
JP2008246978A (ja) 断熱性紙製容器および断熱性紙製容器に用いる原材料シート
WO2016006493A1 (ja) ファイブラスケーシング用紙素材、その製造方法、及びファイブラスケーシング
JP7193029B1 (ja) ヒートシール紙および包装袋
JP6193076B2 (ja) 水離解性繊維シート及び容器
JP7392768B1 (ja) ヒートシール紙および包装袋
JP7281003B1 (ja) ラミネート紙および液体容器
JP4698442B2 (ja) Icチップカード用紙及びそれを用いたicチップカード
JP6596923B2 (ja) 記録用紙、及び記録用紙の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210831

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220531

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220727

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220912

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7151297

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150