JP7147766B2 - 光学フィルム及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
前記位相差層は、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物の重合物による単一層で形成されており、
前記単一層の一方の面側から、
前記重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が連続して形成されており、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である光学フィルム。
(1)に記載の光学フィルム。
(1)又は(2)に記載の光学フィルム。
(1)又は(2)に記載の光学フィルム。
画像表示装置。
画像表示装置。
画像表示装置。
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層を形成する工程を含み、
前記位相差層は、
前記混合物の重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記混合物の重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が連続して形成されている単一層であり、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である光学フィルムの製造方法。
液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層と、が形成され、
前記位相差層は、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物の重合物による単一層で形成されており、
前記単一層の一方の面側から、
前記重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が連続して形成されており、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である転写フィルム。
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層を形成する工程を含み、
前記位相差層は、
前記混合物の重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記混合物の重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が連続して形成されている単一層であり、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である転写フィルムの製造方法。
〔画像表示装置〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置を示す断面図である。この画像表示装置1は、画像表示パネル2のパネル面側(視聴者側の面)に、粘着剤層等を使用して、反射防止フィルムによる光学フィルム3を貼り付けて配置する。これにより画像表示装置1は、この光学フィルム3により十分に反射防止を図るように構成される。
画像表示パネル2は、例えば有機EL素子等による自発光素子による画像表示パネルであるものの、これに代えて、液晶表示パネル等の画像表示パネルを適用してもよい。
光学フィルム3は、直線偏光板4と1/4波長板5とが形成されることにより構成される。また光学フィルム3は、直線偏光板4の透過軸に対して1/4波長板5の遅相軸が45度の角度を成すように配置される。これにより光学フィルム3は、円偏光板として機能して外来光の反射を防止する。
直線偏光板4は、偏光子を含むものであれば特に限定されるものではなく、偏光子の片側又は両側に偏光板保護フィルムを有するものであってもよい。
偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)のような親水性ポリマーからなるフィルムを二色性色素であるヨウ素を含有する水溶液に浸漬させて延伸することによりポリビニルアルコールとヨウ素との錯体を形成させた偏光子や、ポリ塩化ビニルのようなプラスチックフィルムを処理してポリエンを配向させたものからなる偏光子等を挙げることができる。
また、ヨウ素の代わり二色性色素として二色性染料を用いる場合は、二色性染料として、アゾ系染料、スチルベン系染料、メチン系染料、シアニン系染料、ピラゾロン系染料、トリフェニルメタン系染料、キノリン系染料、オキサジン系染料、チアジン系染料、アントラキノン系染料等が用いられる。
1/4波長板5は、転写法により後述する転写フィルムから、透過光に1/2波長分の面内位相差を付与する1/2波長位相差層6と、透過光に1/4波長分の面内位相差を付与する1/4波長位相差層7と、を順次、直線偏光板4に貼り付けて配置される。またこれら1/2波長位相差層6と、1/4波長位相差層7と、は、その遅相軸が直線偏光板4の透過軸に対してそれぞれ略15度、略75度の角度を成すように配置され、これにより1/4波長板5は、直線偏光板4の透過光に対して全体として逆分散の波長特性により1/4波長の位相差を付与するように構成される。これにより光学フィルム3は、可視光域の広い波長帯域で十分に反射防止機能を発揮できるように構成される。
なお実用上十分な特性を確保できる場合、1/2波長位相差層6を省略して、1/4波長位相差層7のみ転写するようにしてもよい。
なお転写法とは、例えば基材の上に所望の層を形成する場合に、この層を直接当該基材上に形成するのでは無く、一旦、離型性の支持体上に剥離可能に該層を積層形成して転写体(転写フィルム)を製造した後、工程、需要等に応じて、該支持体上に形成した層を、最終的に該層を積層すべき基材(被転写基材)上に接着、積層し、その後、該支持体を剥離除去することにより、該基材上に所望の層を形成する方法である。
1/2波長位相差層6は、重合性棒状液晶材料による1層の塗工層を硬化して作製された液晶材料による1層の位相差層であり、波長550nmにおける面内位相差Re(550)が100nm以上400nm以下であり、好ましくは220nm以上340nm以下であり、より好ましくは240nm以上300nm以下により形成される。
1/2波長位相差層6は、この種の位相差層の形成に使用する各種の重合性棒状液晶材料を広く適用することができる。具体的に、水平方向(配向層の面内方向である)の配向規制力により水平配向する液晶材料であって、分子内に重合性官能基を有する種々の棒状液晶化合物を適用することができる。またこの棒状液晶化合物は、屈折率異方性を有し、配向層の配向規制力により規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。棒状化合物として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、ネマチック相を示す棒状化合物を用いることがより好ましい。
1/4波長位相差層7は、重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物による塗工液を塗工して形成された混合物の重合物による単一層の塗工層を硬化して形成された単一層の位相差層であり、波長550nmにおける面内位相差Re(550)が50nm以上200nm以下であり、好ましくは110nm以上170nm以下であり、より好ましくは120nm以上150nm以下により形成される。
この混合物の重合物による単一層は、非積層界面である光学界面が形成されている層ではあるが、その単一層全体は、同一の組成である重合物により形成される層である。
なおこの単一層とは、層同士を別々に積層等することにより形成される層間の積層界面を有さず、層全体が同一の組成である重合物により形成される単一の層であることを意味するものである。単一層は、例えば、計測光を照射して反射光によるラマン強度分布により確認することができる。重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーのそれぞれのラマン吸収ピークが、層の厚み方向全体に検出されれば、モノマーとポリマーは分離されておらず、重合層が混合物と認定することができる。
これにより光学フィルム3は、この正Cプレート層領域9により十分な視野角特性を確保できるように構成される。
このように重合性棒状液晶モノマーと、ホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、の混合物の重合物による単一層の位相差層により1/4波長板位相差層7を形成することにより、正Cプレート層と、正Aプレート層とを別個に積層して形成した1/4波長位相差層の積層体と比べ、光学フィルム3は、構成、工程を簡略化することができる。また重合性棒状液晶モノマーと、ホメオロトピック配向性重合性棒状液晶モノマーと、の混合物の重合物による単一層と比べ、位相差層欠陥の発生を十分に防止して、光学特性を向上することができる。
光学界面の存在は、例えば、各波長における入射光に対する正反射の反射率を測定することにより認定することができる。例えば所定の波長以上において、反射率の変動(脈動の振幅)が減少していることにより光学界面の存在を認定することができる。より具体的には、各波長における入射光に対する正反射の反射率の計測結果をフーリエ解析し、2つの光学界面由来ピークを確認することにより、光学界面の存在を確認することができる(下記の実施例参照)。光学界面10は、光学特性の異なる正Cプレート層領域9と正Aプレート層領域8との界面であり、後述する図4(c)により明らかなように、反射光の発生する界面であることにより、厚みは0である。しかしながら液晶材料の組成等によっては、微小厚みを備える場合も考えられる。
図2(b)は、クロスニコル配置による直線偏光板の間に位相差層11を備えたガラス板を配置して透過光を観察した偏光顕微鏡写真であり、この図2(b)によれば、面内位相差のばらつきによる位相差層欠陥を確認することができる。
なおこの図2(b)の位相差層11は、重合性棒状液晶モノマーに下述の(11)及び(17)の棒状化合物を混合比1:1で混合した混合物を適用し、ホメオロトピック配向性重合性棒状液晶モノマーにRMM28B(メルク社製)を適用した。また重合性棒状液晶モノマーとホメオロトピック配向性重合性棒状液晶モノマーとを質量比1:3.75により混合し、DIC製メガファック(F477)を添加し、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの1:1の混合溶剤により塗工液を調製した。また光配向層によりガラス板に配向層22を形成した後、乾燥膜厚2.0μmによりこの塗工液をミヤバー#6で塗工、乾燥して塗工層を作製し、紫外線の照射によりこの塗工層を硬化して形成した。
しかしながら重合性棒状液晶モノマーとホメオロトピック配向性液晶ポリマーとの混合物による単一層で形成された位相差層(1/4波長位相差層)7では、このような位相差層欠陥の発生を十分に防止することができる。
本実施形態の1/4波長位相差層7は、図2(b)との対比により図3(b)に示すように、全面が略均一な明るさにより偏光顕微鏡写真が得られ、これにより位相差層欠陥の発生を十分に防止できることが確認された。なおこの図3(b)は、図2(b)と同一の条件によって撮影された偏光顕微鏡写真である。
この図3(b)の偏光顕微鏡写真では、正Aプレート用モノマーとして下述の(11)及び(17)の棒状化合物を混合比1:1で混合した混合物を、正Cプレート用ポリマーとして下述の(19)及び(29)の棒状化合物をモル比1:1で混合した混合物を適用した。また正Aプレート用モノマーと正Cプレート用ポリマーとを質量比100:1により混合し、メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの1:1の混合溶剤により塗工液を調製した。また光配向層によりガラス板に配向層22を形成した後、乾燥膜厚2.0μmによりこの塗工液をミヤバー#6で塗工、乾燥して塗工層を作製し、紫外線の照射によりこの塗工層を硬化して位相差層を形成した。
位相差層7が、重合性棒状液晶モノマーと、ホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物の重合物によって形成されることにより、面内方向における配向の不均一化の発生を防止することができる理由については、必ずしも明らかではない。しかしながら、本来垂直配向するホメオロトピック配向性液晶ポリマーによって、本来水平配向する重合性棒状液晶モノマーから重合される液晶分子が何らかの形で拘束されることにより、液晶分子の配向が適切に制御され、図2の(a)で示すように配向層22から遠ざかるに従って徐々に液晶分子のチルト角が増大するような構成とはならずに、図3の(a)で示すように光学特性の不連続界面である光学界面を境に水平配向から垂直配向へと急激に配向が変化するように位相差層7が形成されるためであると考えられる。
なおこの計測結果をフーリエ解析したところ、正Cプレート層領域9及び正Aプレート層領域8がそれぞれ厚み0.4μm、1.6μmにより形成されていることが分かった。
図7は、配向層22に近い側の液晶分子11Aの配向方向を確認する手法を説明する図である。
図8は、空気界面に近い側の液晶分子11Aの配向方向を確認する手法を説明する図である。
液晶分子11Aの配向状態を調べるためには、位相差層7の断面に偏光状態が整えられた赤外光(偏光IR)を微小なスポットで照射し、その反射光を検出(測定)する。これを同じ位置において様々な方向から行ない、特異的な吸収がある方向を特定することにより、液晶分子11Aの配向方向を確認することができる。ここで、位相差層7は、例えば、図7及び図8に示すように、位相差層7の表面に対して斜め方向に切断し、この斜め方向の切断面に対して、偏光IRを照射するとよい。斜め方向に切断するのは、液晶分子11Aに偏光IRが照射される確率を高くし、液晶分子11Aに偏光IRが照射されずに反射光の検出が適切に行なわれなくなることを防ぐためである。また、偏光IRを測定光として用いると、表面だけでなく数μm下(1/4波長位相差層7内)の状況も反映したデータが得られるので、この影響を排除するために、図7及び図8に示すように斜めに切断した先端側(鋭角側)において配光方向を確認することが望ましい。
図9は、図7中に示した矢印Mの方向からの測定状況を例示する図である。
例えば、矢印Mの方向から測定する場合において、矢印Mの方向から偏光IRを照射し、10度刻みで360度全周について測定を行なう。
図11は、位相差層の進相軸を基準軸に設定して、この基準軸回りに位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果の他の例を示す図である。
本実施形態では、正Cプレート層領域9及び正Aプレート層領域8の双方を備えていることから、図11のように下に凸の特性を示すが、正Aプレート層領域8が占める割合が多い場合には、図10のような上に凸の特性となる。よって、正Aプレート層領域8が占める割合によって、図10のような特定と図11のような特性との間で、特性を示す曲線は徐々に変化する。よって、理論上は、上に凸の特性と下に凸の特性との間で、略フラットな特性曲線を示す場合がある。
なお、図10の実施例1~3及び比較例1と、図11の実施例1~3及び比較例1は、正Aプレート層領域8が占める割合が異なる別のサンプルの測定データである。
また、この位相差値の測定は、例えば、王子計測機器株式会社のKOBRAシリーズ、大塚電子株式会社のRETSシリーズ等を用いて行なうことができる。
本実施形態による位相差層7は、位相差値の計測結果において、従来の構成では得られない特徴的な点がある。
具体的には、位相差層7の進相軸を基準軸に設定して、この基準軸回りに位相差層7への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角は20度以下、より好ましくは10度以下、さらに好ましく作製された場合には5度以下に収まる(図10及び図11中の実施例1~3参照)。
したがって、本実施形態の位相差層7によれば、充分に光学特性の偏りを防止することができ、良好な視野角特性を確保することができる。
これは、本実施形態の位相差層7では、液晶分子11Aの配向に偏りがないことから得られる優れた効果である。
これは、従来のハイブリッド配向液晶材料によって構成された位相差層では、液晶分子11Aの配向が徐々に変化しており、かつ、この徐々に変化する領域(液晶分子11Aが斜めに配向する領域)での液晶分子11Aの配向が同一方向に揃っていることに生じる現象である。
例えば、従来のハイブリッド配向液晶材料によって構成された位相差層では、上述した位相差値が極値を取る入射角が30度以上となり、より大きな角度となる(図10及び図11中の比較例参照)。
よって、従来のハイブリッド配向液晶材料によって構成された位相差層では、良好な視野角特性を確保することが困難である。
ここで重合性棒状液晶モノマーには、その重合物が水平配向する正Aプレートの位相差層の形成に使用するモノマーを広く適用することができる。具体的に、重合性棒状液晶モノマーとは、重合性棒状液晶モノマーが重合されることにより重合物である液晶材料を形成し、水平方向の配向規制力によりその液晶材料が水平配向することのできるモノマーを意味するものである。また、重合性棒状液晶モノマーは、分子内に重合性官能基を有する種々の棒状液晶化合物を適用することができる。またこの棒状液晶化合物は、屈折率異方性を有し、配向層22の配向規制力により規則的に配列することにより、所望の位相差性を付与する機能を有する。液晶材料として、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を示す材料が挙げられるが、他の液晶相を示す液晶化合物と比較して規則的に配列させることが容易である点で、液晶材料は、ネマチック相を示す棒状化合物であることがより好ましい。
液晶性化合物としては、特表2010-537954号公報、特表2010-537955号公報、特表2010-522892号公報、特表2010-522893号公報、及び特表2013-509458号公報等の各公開公報、並びに、特許第5892158号、特許第5979136号、特許第5994777号、及び特許第6015655号等の各特許公報に記載されている化合物が例示される。
また、前記ホメオトロピック配向性側鎖型液晶ポリマーは、例えば、ネマチック相、スメクチック相等の液晶相を発現する液晶ポリマーであり、中でも、規則的に配列させることが容易な点から、ネマチック相を発現する液晶ポリマーであることが好ましい。
液晶性構成単位は、メソゲン基にスペーサーを介して重合性基が結合した液晶性を示す化合物(以下、液晶モノマーという場合がある)から誘導される構成単位である。本明細書においてメソゲンとは、液晶性を発現するような剛直性の高い部位をいい、例えば、2個以上の環構造、好ましくは3個以上の環構造を有し、環構造同士が直接結合により連結しているか、又は、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している部分構造が挙げられる。側鎖にこのようなメソゲンを有することにより、液晶性構成単位は垂直配向しやすくなる。
環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香環であってもよく、シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状の脂肪族炭化水素であってもよい。
また、当該環構造が1原子乃至3原子を介して連結している場合、当該連結部の構造としては、例えば、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR’-C(=O)-、-C(=O)-NR’-、-O-C(=O)-NR’-、-NR’-C(=O)-O-、-NR’-C(=O)-NR’-、-O-NR’-、-NR’-O-、-CH=CH-、-C≡C-、-N=N-等が挙げられる(R’はアルキル基)。当該アルキル基としては、例えば、直鎖、分岐若しくは環状の炭素原子数1以上6以下のアルキル基等が挙げられ、中でも直鎖若しくは分岐の炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましい。なおここで、前記環構造が1原子乃至3原子を介して連結においては、-「N」R’-「C」(=O)-「O」-の「」内に入れた原子のように、連結部において直列に連なった原子数を数えている。
中でも、メソゲンとしては、前記環構造の連結が棒状になるように、ベンゼンであればパラ位、ナフタレンであれば2,6位で接続された、棒状メソゲンであることが好ましい。
側鎖型液晶ポリマーにおける液晶性構成単位は、例えば、H.J.Neumann,M.Jarek,andG.P.Hellmann Macromolecules,26,2489-2495,(1993)や、国際公開2004/113469のp.8~10に記載されているような、従来公知の液晶モノマーから誘導される液晶性構成単位を適宜選択して用いればよい。
この場合、共重合体における側鎖にメソゲンを含む液晶性構成単位の含有割合としては、液晶性構成単位の垂直配向性を向上し、十分な液晶配向性を有する点から、共重合体全体を100モル%としたとき、40モル%以上80モル%以下の範囲内で設定することが好ましく、更に、50モル%以上75モル%以下の範囲内であることが好ましい。
また、側鎖にメソゲンを含まない構成単位の含有割合としては、液晶性構成単位の垂直配向性を向上し、十分な液晶配向性を有する点から、共重合体全体を100モル%としたとき、20モル%以上60モル%以下の範囲内で設定することが好ましく、更に、25モル%以上50モル%以下の範囲内であることが好ましい。
なお、共重合体における各構成単位の含有割合は、1H NMR測定による積分値から算出することができる。
一般式(II)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、-(CH2)m-、又は-(C2H4O)m’-で表される基を表す。L1は、直接結合、又は、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-O-、-NR14-C(=O)-、-C(=O)-NR14-、-O-C(=O)-NR14-、-NR14-C(=O)-O-、-NR14-C(=O)-NR14-、-O-NR14-、若しくは-NR14-O-で表される連結基を、Ar1は、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上10以下の芳香族炭化水素基を表し、複数あるL1及びAr1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R13は、-F、-Cl、-CN、-OCF3、-OCF2H、-NCO、-NCS、-NO2、-NHC(=O)-R15、-C(=O)-OR15、-OH、-SH、-CHO、-SO3H、-NR152、-R16、又は-OR16を、R14及びR15は各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R16は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。aは2以上4以下の整数、m及びm’は各々独立に2以上10以下の整数である。)
前記芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等が挙げられ、前記アルキル基としては、炭素数1以上10以下が挙げられ、前記アルコキシ基としては、炭素数1以上10以下のアルコキシ基が挙げられる。
前記脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、メチル基、エチル基等の炭素原子数1以上6以下のアルキル基等が挙げられる。
また、前記一般式(I)中のR2において、nは2以上22以下の整数であり、中でも2以上18以下の整数であることが好ましい。また、n’は、1以上6以下の整数であり、中でも、2以上6以下であることが好ましい。
連結基の炭素原子数が異なる2種以上の構成単位を含む場合の、一般式(I)で表される構成単位のR2の組合せとしては、例えば、
(A)-(CH2)n1-R3、及び、-(CH2)n2-R3を含み、n1とn2が異なる数である組合せ。
(B)-(C2H4O)n1’-R4、及び、-(C2H4O)n2’-R4を含み、n1’とn2’が異なる数である組合せ。
(C)-(CH2)n1-R3、及び、-(C2H4O)n2’-R4を含み、n1とn2’とで炭素原子数が異なる数である組合せ。
が挙げられ、上記(A)、(B)、(C)は、更に、別の一般式(I)で表される構成単位を含んでいてもよい。
なおこの場合、複数あるR3及び複数あるR4は、nの数に依存せず独立であり、当該複数あるR3及び複数あるR4は互いに同一であっても異なっていてもよい。
具体的には例えば、長さの異なるアルキレン鎖を有する場合、2種以上のnのうち、最大のものをnM、最小のものをnmとしたときに、nMとnmとの差(nM - nm)が3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。
また、長さの異なるポリエチレンオキシド鎖を有する場合、2種以上のn’のうち、最大のものをn’M、最小のものをn’mとしたときに、n’Mとn’mとの差(n’M - n’m)が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
前記炭素原子数2以上10以下の直鎖又は分岐のアルキル基は、前記効果を向上する点から、炭素原子数2以上10以下の直鎖アルキル基であることが好ましく、炭素原子数3以上10以下の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖アルキル基であることがより更に好ましい。また、前記炭素原子数2以上10以下のアルコキシ基は、炭素原子数2以上10以下の直鎖アルコキシ基であることが好ましく、炭素原子数3以上10以下の直鎖アルコキシ基であることが更に好ましく、炭素原子数4以上10以下の直鎖アルコキシ基であることがより更に好ましい。
これらの他の構成単位は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
なお、前記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。
また、ブロック共重合体とする場合には、例えば、側鎖にメソゲンを含まない構成単位を誘導するモノマーと、側鎖にメソゲンを含む液晶性構成単位を誘導するモノマーをそれぞれ公知の重合手段により重合した後、得られた各重合体を連結してもよく、また、側鎖にメソゲンを含まない構成単位を誘導するモノマー又は側鎖にメソゲンを含む液晶性構成単位を誘導するモノマーのうち一方を公知の重合手段により重合した後、他方のモノマーを加えて更に重合する方法などが挙げられる。
前記重合手段としては、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合やリビングラジカル重合などを用いることができる。本実施形態においては、なかでも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布などを所望の範囲とすることが容易であるので、得られるホメオトロピック配向性側鎖型液晶ポリマーの特性を均一にすることができる。
図5は、光学フィルム3の製造に供する転写フィルム20の構成を示す断面図である。転写フィルム20は、透明フィルム材による基材21に配向層22、1/4波長位相差層7を積層して構成される。このように転写フィルム20に1/4波長位相差層7を形成して転写法により転写することにより光学フィルム3の厚みを低減することができる。
なお基材21に2軸延伸フィルム(例えばPETフィルム)等の水平配向規制力を発現する部材を適用する場合には、配向層22を省略してもよい。
なおこのようにして配向層22により基材21の配向規制力を抑制できることにより、配向層22の膜厚の調整により光学界面10の位置(位相差層7の厚み方向の位置)を種々に調整することができ、1/4波長位相差層7の光学特性を所望の特性に設定することができる。
光学フィルム3の製造方法は特に制限されるものではない。例えば、重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層の表面に位相差層を形成する工程を含む、光学フィルムの製造方法を挙げることができる。
また位相差層は、後述した転写フィルムの製造方法により製造された転写フィルムを用いることにより、直線偏光板4の表面に積層してもよい。転写フィルムを用いることによりフィルムの表面に積層する方法とは、直線偏光板4の表面に1/2波長位相差層6が形成された転写フィルムと、1/4波長位相差層7が形成された転写フィルム20と、を用いることにより、直線偏光板4に、1/2波長位相差層6と、1/4波長位相差層7と、を順次積層することにより製造することができる。
光学フィルム3は、例えば、1/2波長位相差層6の転写フィルムが、紫外線硬化性樹脂等による接着剤により直線偏光板4に貼り合わされた後、この転写フィルムの基材が剥離され、これにより転写法により1/2波長位相差層6が直線偏光板4に積層される。これにより直線偏光板4と1/2波長位相差層6との積層体が形成される。
転写フィルムの製造方法は、基材に配向層を形成する工程と、配向層の表面に重合性棒状液晶モノマーと、ホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層の表面に位相差層を形成する工程を含んでもよい。
図6は、転写フィルム20の製造工程の一例を示すフローチャートである。転写フィルム20においては、配向層形成工程SP2において、基材21に配向層22に係る塗工液を塗工した後、乾燥させ、その後、紫外線を照射し、これにより配向層22が形成される。なお配向層22を省略して基材21の配向規制力により1/4波長位相差層7を形成する場合、配向層形成工程SP2は、省略される。
重合性棒状液晶モノマーと、ホメオロトピック配向性液晶ポリマーと、を所定の混合比により混合した混合物により塗工液を調製し、この塗工液を配向層22の上に塗工して乾燥させる(液晶材料塗工工程SP3)。
続いて無偏光の紫外線の照射しその混合物を重合することにより、1/4波長位相差層7を形成する(硬化工程SP4)。
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
図12に示す例では、光学界面10は、厚さ方向に幅を持っていると認定することができる。光学界面10を境にして、正Cプレート層領域9では、液晶分子が垂直配向し、正Aプレート層領域8では液晶分子が水平配向している。また、光学界面10においては、液晶分子が垂直配向と水平配向との中間の斜め配向の状態にある。ただし、図2(a)に示したような従来のハイブリッド配向液晶材料によって構成された位相差層の場合とは異なり、本実施形態の位相差層7では、光学界面10内における液晶分子11Aの配向方向が一方向に揃ってはおらず、ランダムに様々な方向を向いた液晶分子11Aが混在する形態となる。また、光学界面10は、厚さ方向に幅を持つものの、その幅は、非常に僅かであり、その点において、正Cプレート層領域の光学的な特性と正Aプレート層領域の光学的な特定とが急激に変化する境界とみなせる領域である。
なお、ここでは、図12のような形態において、光学界面10を上述したような幅を持ったものと認定することとして説明を行なった。しかし、図12のような構成であっても、先に説明した反射率の測定によって光学界面が特定できる場合もあり得る。そのような場合には、例えば、図12中に一点鎖線で示した光学界面10Bを光学界面として認定してもよい。
このように、光学界面は、あくまでも正Cプレート層領域9と正Aプレート層領域8との間における光学特性の急激な変化を生じている部位を便宜上認定するものであり、認定の仕方によって、ある程度の違いが生じるものである。
図13は、正Cプレート層領域9と正Aプレート層領域8とが複数層配置されている形態を例示する図である。
さらに、上述の実施形態では、正Cプレート層領域9が空気界面側に配置されている例を挙げて説明したが、正Aプレート層領域8が空気界面側に配置される構成としてもよい。
2 画像表示パネル
3 光学フィルム
4 直線偏光板
5 1/4波長板
6 1/2波長位相差層
7 1/4波長位相差層(位相差層)
8 正Aプレート領域
9 正Cプレート領域
10 光学界面
11 位相差層
11A 液晶分子
20 転写フィルム
21 基材
22 配向層
Claims (10)
- 透過光に面内位相差を付与する位相差層を備えた光学フィルムであって、
前記位相差層は、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオトロピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物の重合物による単一層で形成されており、
前記単一層の一方の面側からその面とは反対側の他方の面側までにかけて、
前記重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が前記単一層の膜厚方向において連続して形成されており、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である光学フィルム。 - 前記正Cプレート層領域の光学的な特性と前記正Aプレート層領域の光学的な特性とが急激に変化する境界又は境界とみなせる領域として定義される光学界面が光学的測定により特定可能である
請求項1に記載の光学フィルム。 - 直線偏光板に前記位相差層が形成された
請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。 - 直線偏光板に、1/2波長位相差層と、前記位相差層と、が順次形成された
請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。 - 請求項1に記載の光学フィルムが、画像表示パネルの視聴者側の面であるパネル面側に配置された
画像表示装置。 - 請求項3に記載の光学フィルムが、画像表示パネルの視聴者側の面であるパネル面側に配置された
画像表示装置。 - 請求項4に記載の光学フィルムが、画像表示パネルの視聴者側の面であるパネル面側に配置された
画像表示装置。 - 透過光に面内位相差を付与する位相差層を形成する光学フィルムの製造方法であって、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオトロピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層を形成する工程を含み、
前記位相差層は、
前記混合物の重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記混合物の重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が前記位相差層の膜厚方向において一方の面側からその面とは反対側の他方の面側までにかけて連続して形成されている単一層であり、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である光学フィルムの製造方法。 - 光学フィルム用の転写フィルムであって、
液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層と、が形成され、
前記位相差層は、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオトロピック配向性液晶ポリマーと、を含む混合物の重合物による単一層で形成されており、
前記単一層の一方の面側からその面とは反対側の他方の面側までにかけて、
前記重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が前記単一層の膜厚方向において連続して形成されており、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である転写フィルム。 - 光学フィルム用の転写フィルムの製造方法であって、
重合性棒状液晶モノマーと、重合性を有してもよいホメオトロピック配向性液晶ポリマーと、の混合物を重合することにより、液晶材料に水平配向規制力を発現可能な配向層又は2軸延伸フィルムの表面に、透過光に面内位相差を付与する位相差層を形成する工程を含み、
前記位相差層は、
前記混合物の重合物が垂直配向することによって正Cプレートの光学的機能を備えた正Cプレート層領域と、
前記混合物の重合物が水平配向することによって正Aプレートの光学的機能を備えた正Aプレート層領域と、
が前記位相差層の膜厚方向において一方の面側からその面とは反対側の他方の面側までにかけて連続して形成されている単一層であり、
前記位相差層の進相軸を基準軸に設定して、前記基準軸回りに前記位相差層への入射角を変化させた位相差値Reの計測結果において、位相差値Reが極値となる入射角が20度以下である転写フィルムの製造方法。
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