JP7146548B2 - 水処理方法及び水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理水に凝集剤を添加する凝集プロセスにより固液分離を行なう水処理方法及び水処理装置に関する。
浄水プラントや排水処理プラントなどの水処理プラントでは、被処理水(浄水プラントであれば原水、排水処理プラントであれば処理対象の排水)に含まれる懸濁浮遊物などを除去するために、被処理水に凝集剤を投入してフロックを形成させ(凝集プロセス)、固液分離する方法が用いられる。固液分離する方法としては、沈降分離、浮上分離、砂ろ過、膜ろ過等が挙げられる。沈降分離を例に挙げると、無機凝集剤や高分子凝集剤(ポリマー)を併用し、フロックを粗大化させて沈降速度を高めている。凝集して固液分離された懸濁浮遊物は汚泥として除去され、清澄水が処理水として排出される。被処理水に対する凝集剤の最適添加量は被処理水の水質によって大きく変動することから、ジャーテストを実施して凝集剤の最適添加量を決定している。ジャーテストでは、被処理水について水質分析を行なったのち被処理水を採取して試料水とし、ビーカーに入れた試料水に凝集剤を添加して撹拌して静置し、静置後の上澄み水を採取して濁度や色度を測定し、また、ビーカーに残った試料水をろ過してろ過水の濁度や色度も測定する。しかしながらジャーテストの実施には熟練したオペレータが必要であり、またテスト時間が長い、という問題点がある。そこで特許文献1には、複数の試験用水槽(サンプリング槽)を設けてそれぞれに被処理水を導入し、異なる凝集剤注入率によって各試験用水槽においてフロックを形成し、フロックの粒径と粒子数を測定する凝集分析装置を用いて各試験用水槽での集塊化開始時間を測定し、集塊化開始時間に基づいて実際の凝集沈殿プロセスでの凝集剤注入率を決定することを開示している。凝集分析装置は、例えば試料水にレーザ光を照射する半導体レーザと、試料水からの散乱光あるいは透過光を検出する光電変換器と、光電変換器からの電気信号のパルスの数と高さからフロックの粒子数及び粒径を測定する電子回路とから構成されている。
被処理水における凝集の状態をセンサで検出し、その検出結果に応じて凝集剤の注入を制御する方法も知られている。特許文献2は、汚泥を脱水する際に予め汚泥に添加される凝集剤の量に関し、凝集剤を注入したときの汚泥を撮影し、撮影された画像を例えばMPEGやJPEGなどといった公知の画像圧縮技術によって圧縮し、圧縮後のデジタル画像ファイルのサイズを所定の閾値と比較して凝集剤の注入量を制御することを開示している。特許文献3は、同様に汚泥を脱水する際に予め汚泥に添加される凝集剤の量に関し、凝集フロックを撮影して二値画像を取得し、二値画像における凝集フロックの面積を算出し、算出された面積を基準値と比較して凝集剤の注入量を制御することを開示している。
凝集沈殿プロセスにおいて被処理水に加えられる凝集剤としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などの無機凝集剤、カチオン系やアニオン系などの高分子(ポリマー)凝集剤が広く使用されている。特許文献4は、排水処理において無機凝集剤の使用量を削減するために、被処理水に無機凝集剤と特定組成のカチオン系高分子凝集剤を同時または任意の順序で添加し、その後、アニオン系あるいはノニオン系の高分子凝集剤を添加することを開示している。特許文献5は、排水処理において被処理水に無機凝集剤とカチオン系高分子凝集剤を添加し、その後、アニオン系高分子凝集剤を添加するときに、カチオン系高分子凝集剤の濃度とカチオン基比率との積がアニオン系高分子凝集剤の濃度とアニオン基比率との積以下となるようにすることを開示している。特許文献6は、被処理水にアニオン系高分子凝集剤を添加して凝集フロックを生成させるときに、アニオン系高分子凝集剤を添加する前に、カチオン基比率が10~50モル%のカチオン系高分子凝集剤を被処理水に添加することを開示している。
特開2009-672号公報 特開2010-247151号公報 特開2011-45839号公報 特開2011-139997号公報 特開2018-79425号公報 国際公開第2014/038537号
凝集プロセスにおいて凝集剤の注入量を最適化する技術として特許文献1に記載のものは、複数の試験用水槽を必要とするほか凝集分析装置も必要とするので、凝集剤の注入量を決定するための構成の規模が大きくなりがちである。また試験用水槽では撹拌条件が実際の凝集条件と異なることがあり、それにより実際の凝集沈殿装置での凝集状態と相違が生じることがある。このため、実際の凝集状態を把握する技術が求められている。無機凝集剤の添加量をリアルタイムで制御するためには、無機凝集剤を添加している反応槽における凝集状態を知ることが望ましいが、例えば、画像センサによって凝集状態を監視するとき、無機凝集剤に由来する粒径の小さな凝集フロックを監視するためには、解像度の高い、高価な画像センサを必要とする。さらに既存の凝集沈殿装置に対してその運転の自動化などのために凝集状態を監視する凝集センサを後付けで取り付ける場合には、反応槽や凝集槽の上方や被処理水の流路の上方から非接触で監視できるものが好ましい。
特許文献2に記載の方法は、MPEGやJPEGといった画像圧縮技術を使用するが、これらの画像圧縮技術では一般に離散コサイン変換による演算を必要とするので、処理に要する演算負荷が大きいという問題点がある。特許文献3に記載の方法は、凝集フロックを撮影して二値画像を取得し、二値画像における凝集フロックの面積を算出しているが、画像においてフロック同士の重なりがあるときやフロック境界が不明確である場合には、面積の算出が難しくなることがある。さらに特許文献2,3の技術は、いずれも汚泥の脱水のときの凝集剤の添加量を制御する技術であるので、原水に対して浄水処理を行うときの凝集沈殿プロセスに適用できるかは不明である。
本発明の目的は、原水や排水などの被処理水に対する実際の凝集沈殿プロセスでの凝集状態を容易に監視でき、凝集状態に応じて凝集剤の添加量を低演算量で最適に制御できる水処理方法と、そのような水処理方法を実行する凝集沈殿システムとを提供することにある。
本発明の水処理方法は、被処理水に対して無機凝集剤と第一の高分子凝集剤とを添加することにより凝集物であるフロックの粗大化を行い、その後、凝集物と清澄水との固液分離を行う水処理方法において、被処理水に対して第一の高分子凝集剤を撹拌しつつ添加する槽の上方から、第一の高分子凝集剤添加された槽内の被処理水を撮影し、撮影された画像から画像処理によってエッジを抽出してエッジ画像を生成し、エッジ画像において画素値が閾値以上である画素の数をエッジ数として取得し、エッジ数に基づいて無機凝集剤と高分子凝集剤の少なくとも一方の添加量を制御することを特徴とする。
本発明の水処理装置は、被処理水に対して無機凝集剤と第一の高分子凝集剤とを添加することにより凝集物であるフロックの粗大化を行い、その後、凝集物と清澄水との固液分離を行う水処理装置において、固液分離を行う固液分離手段と、固液分離手段の前段側に設けられ、被処理水に対して第一の高分子凝集剤を撹拌しつつ添加する第一の槽と、第一の槽の上方から第一の槽内の凝集物を含む被処理水を撮影して画像を取得する撮影手段と、画像に対して画像処理を行うことによりエッジを抽出してエッジ画像を生成し、エッジ画像において画素値が閾値以上である画素の数をエッジ数として取得する画像処理手段と、エッジ数に基づいて無機凝集剤と高分子凝集剤の少なくとも一方の添加量を制御する添加量制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、例えば反応槽や凝集槽の上方に配置された画像センサなどによって被処理水を撮影し、撮影された画像からエッジを抽出してエッジ数を求めることによって凝集状態を監視するので、原水や排水などの被処理水に対する実際の凝集プロセスでの凝集状態を容易に監視でき、凝集状態に応じて凝集剤の添加量を低演算量で最適に制御できるようになる。
本発明の実施の一形態の凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。 別の実施の一形態の凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。 別の実施の一形態の凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。 無機凝集剤の添加量に対するフロック粒径、処理水濁度及び画像から抽出されるエッジ数の関係を示すグラフである。 実施例1での処理手順を示す図である。 実施例2で使用した凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。 実施例3で使用した凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。 実施例4の結果を示すグラフである。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では本発明を凝集沈澱システムに適応した例を説明するが、本発明は凝集を含む固液分離手段に関するものであり、凝集沈澱システムに限定されるものではない。固液分離手段としては、沈降分離、浮上分離、砂ろ過、膜ろ過等が挙げられるが、フロック状態の影響を受けやすい沈降分離に本発明を適応することがより好ましい。図1は本発明の実施の一形態の凝集沈殿システムの構成を示すフロー図である。
図1に示す凝集沈殿システムは、被処理水が供給されて被処理水に対して無機凝集剤を添加する反応槽20と、反応槽20の出口に対して流路25を介して接続し反応槽20から供給される被処理水にアニオン系高分子凝集剤を添加する凝集槽30と、凝集槽30の出口に対して流路35を介して接続する沈殿槽40とを備えている。沈殿槽40は、凝集物と清澄水を分離する固液分離手段に相当する。流路25,35は、例えば上方が開放した溝(トラフ)状の流路であってもよい。反応槽20、凝集槽30及び沈殿槽40は、それぞれ撹拌機構22,32,42を備えている。
この凝集沈殿システムでは、被処理水に無機凝集剤を添加することにより反応槽20において浮遊懸濁物から微小なフロックが形成し、この微小なフロックは、凝集槽30においてアニオン系高分子凝集剤が添加されることにより粗大化し、粗大化したフロックは沈殿槽40において凝集物として沈殿する。その結果、浮遊懸濁物を含む被処理水は、凝集物と、清澄水である上澄み水とに固液分離されたことになる。沈殿槽40の底部に堆積した凝集物は汚泥として排出され、沈殿槽40における上澄み水は処理水として排出される。流路25に別の凝集槽を設けて被処理水にカチオン系高分子凝集剤を添加し、カチオン系高分子凝集剤が添加された被処理水が凝集槽30に供給されるようにしてもよい。
さらにこの凝集沈殿システムでは、凝集状態を監視して凝集剤、特に無機凝集剤の注入量を制御するために、画像センサ50と画像処理装置51と注入量制御装置52とが設けられている。画像センサ50は、凝集槽30の上方に、凝集槽30内の被処理水を撮影できるように設けられている。あるいは、流路35はその上方が開放しているとして、流路35内を流れる被処理水を撮影するように、流路35の上方に画像センサ50を設けてもよい。画像センサ50で撮影した画像は画像処理装置51によって処理される。具体的には、画像処理装置51は、公知の画像処理技術によって、画像からエッジを抽出してエッジ画像を生成し、エッジ画像におけるエッジ数を算出する。エッジ画像とは、大まかに言えば、その各画素について、元の画像における隣接画素との画素値の差が大きいほど、より大きな画素値を有する画像である。エッジ数は、例えば、エッジ画像内でのエッジの本数であってもよいが、エッジ画像においてエッジに属する画素の数を用いることが好ましい。与えられた画像に対してエッジ抽出処理を行なってエッジ画像を生成するアルゴリズムとしては1次微分によるものなどが周知であり、アルゴリズムとそのときに用いるパラメータが同じであれば、同一画像からは同一のエッジ画像が得られる。そしてエッジ画像に対して所定の閾値を適用し、閾値以上の画素値を有する画素を数えれば、エッジに属する画素の数が得られたことになる。注入量制御装置52は、画像処理装置51で得られたエッジ数に基づいて、少なくとも1つの凝集剤の注入量、例えば図1において実線で示すように無機凝集剤の注入量を制御する。ここでは、アニオン系高分子凝集剤を添加する凝集槽30かそれより下流側の位置に画像センサ50を設けるとしているが、後述するように、無機凝集剤を添加した後、第一の高分子凝集剤であるアニオン系高分子凝集剤を添加する前の被処理水を撮影するように画像センサ50を設け、エッジ抽出と、それに基づく凝集剤注入量の制御とを行なってもよい。
図2は、本発明に基づく別の実施形態の凝集沈殿システムを示している。この凝集沈殿システムは、図1に示すものと同様のものであるが、カチオン系高分子凝集剤が凝集槽30において被処理水に添加される点で、図1に示すものとは異なっている。アニオン系高分子凝集剤は添加しなくても、あるいは沈殿槽40の入口において被処理水に添加されるようにしてもよい。この凝集沈殿システムにおいても、画像センサ50で取得した画像からエッジ画像が生成され、エッジ画像におけるエッジの数に基づいて、少なくとも1つの凝集剤、例えば図2において実線で示すように無機凝集剤の注入量が制御される。
図3は、本発明に基づくさらに別の実施形態の凝集沈殿システムを示している。この凝集沈殿システムは、図2に示すものから凝集槽30を取り除き、反応槽20から流路35を介して被処理水が沈殿槽40に直接供給されるようにしたものである。カチオン系高分子凝集剤は、反応槽20において無機凝集剤とともに被処理水に添加される。アニオン系高分子凝集剤を添加する場合には、沈殿槽40の入口において被処理水に添加する。この凝集沈殿システムにおいても、画像センサ50で取得した画像からエッジ画像が生成され、エッジ画像におけるエッジの数に基づいて、少なくとも1つの凝集剤、例えば図3において実線で示すように無機凝集剤の注入量が制御される。詳細は後述するが、図6及び図7も、本発明に基づくさらに別の実施形態の凝集沈殿システムを示している。
次に、本発明に基づく凝集沈殿システムについて、被処理水や使用する薬剤・機器などの項目ごとにさらに詳しく説明する。
〔被処理水〕
本発明に基づく凝集沈殿システムが処理対象とする被処理水については、特に制限はなく、凝集処理を行う分野で公知の被処理水を適宜使用できる。被処理水として、例えば、電子産業等でのエッチング工程で排出されるフッ素含有排水、めっき工場のめっき排水、発電所の排煙脱硫排水、工場から排出されるボイラーブロー排水や、染色工場の染色排水などの排水が挙げられる。また、浄水処理に用いられる原水も被処理水として使用することができる。
〔無機凝集剤〕
無機凝集剤としては、硫酸アルミニウムやポリ塩化アルミニウム(PAC)などのアルミニウム塩、塩化第二鉄やポリ硫酸第二鉄などの第二鉄塩の酸性溶液など、凝集処理を行う分野で公知の無機凝集剤を使用できる。
[その他の薬品]
フッ素を含む被処理水の凝集処理を行なう場合、塩化カルシウムや水酸化カルシウムなどのカルシウム化合物を併用してもよい。
〔カチオン系高分子凝集剤〕
カチオン系高分子凝集剤としては、凝集処理を行う分野で公知のものを適宜使用することができる。カチオン系高分子凝集剤を構成するカチオン性モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチルアクリレート・塩化メチル四級塩(DAA)、ジメチルアミノエチルメタアクリレート塩化メチル4級塩(DAM)が挙げられる。ノニオン性モノマーとしては、例えばアクリルアミドを挙げることができる。
処理水のSS(浮遊物質量;Suspended Solid)を低下させ、また、フロックを粗大化して画像センサによる検出を容易にするなどの観点から、カチオン系高分子凝集剤におけるカチオン基比率は低いことが好ましく、カチオン基比率が15モル%以下、特に8モル%のカチオン系高分子凝集剤を使用することが好ましい。ここでカチオン基比率とは、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの合計量に対するカチオン性モノマーの比率のことである。また、カチオン系高分子凝集剤の使用によって無機凝集剤の添加量を削減できる効果があることが見出されており(特許文献4参照)、無機凝集剤添加量を削減する観点から、カチオン基比率は3%以上であることが望ましい。
カチオン系高分子凝集剤の重量平均分子量は、例えば、700万以上あるいは1000万以上とすることができ、1500万以下とすることができる。一般的に分子量が大きいほど凝集能力に優れるが、被処理水、特に排水の種類や、発生した汚泥を脱水するための脱水機の機種によっても最適分子量が異なるため、それらに応じてその都度、カチオン系高分子凝集剤の重量平均分子量を選定することが好ましい。
カチオン系高分子凝集剤の被処理水への添加量は、例えば、0.1mg/L以上10mg/L以下とすることが好ましい。添加量が0.1mg/L以上であると、カチオン系高分子凝集剤の効果、特にカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤とを併用することの効果を得ることが容易であり、沈殿する凝集物(ペレットであってもよい)を大きくすることが容易である。カチオン系高分子凝集剤の添加量を10mg/L超としてもよいが、その場合、添加量の増加に対して凝集物(ペレット)の粒径を大きくする効果は小さくなる。添加量を10mg/L以下とすることにより、後段設備への影響、例えば膜ろ過設備の閉塞、脱水後の汚泥剥離性の低下を容易に防止することができる。
カチオン系高分子凝集剤は、予め水に溶解した溶液の状態で被処理水に添加することが好ましい。その溶液におけるカチオン系高分子凝集剤の濃度は、例えば0.05w/v%以上0.3w/v%以下である。カチオン系高分子凝集剤は、被処理水に対して無機凝集剤を添加する反応槽において被処理水に添加してもよいし、カチオン系高分子凝集剤専用の凝集槽を設けてそこで添加してもよい。処理水SSの観点では専用の凝集槽を設けるなどして無機凝集剤とカチオン系高分子凝集剤とを分けて添加する方が好ましい。カチオン系高分子凝集剤の添加により、処理水SSの向上、フロックの粗大化の他に、無機凝集剤の添加量を削減できるという効果が得られるので、本実施形態によれば、画像センサの使用による無機凝集剤の添加量の最適化に加え、無機凝集剤の添加量を削減することが可能になる。
〔アニオン系高分子凝集剤〕
アニオン系高分子凝集剤としては、凝集沈殿の分野で公知のものを適宜使用することができる。アニオン系高分子凝集剤として、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体からなるものを用いることができる。アニオン性モノマーは、例えば、アクリル酸である。ノニオン性モノマーは、例えば、アクリルアミドである。アニオン系高分子凝集剤のアニオン基比率の最適値は、被処理水の性状や凝集を開始するpHにより異なる。ここでアニオン系高分子凝集剤のアニオン基比率は、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの合計量に対するアニオン性モノマーの比率のことである。
アニオン系高分子凝集剤の重量平均分子量は、例えば、1000万以上あるいは1500万以上とすることができ、また2500万以下とすることができる。カチオン系高分子凝集剤と同様に、アニオン系高分子凝集剤も一般的に分子量が大きいほど凝集能力に優れるが、被処理水、特に排水の種類や、脱水機の機種によっても最適分子量が異なるため、それらに応じて都度、アニオン系高分子凝集剤の重量平均分子量を選定することが好ましい。
アニオン系高分子凝集剤の被処理水への添加量は、質量基準で一般的にはカチオン系高分子凝集剤の2~3倍量の添加量とすることが好ましい。カチオン系高分子凝集剤の添加量に対するアニオン系高分子凝集剤の添加量の比率を固定することとして、ジャーテストなどを行ってこの比率の最適値を予め確認しておくとよい。アニオン系高分子凝集剤の添加量は、例えば0.1mg/L以上10mg/L以下とすることが好ましい。添加量が0.2mg/L以上であると、沈殿する凝集物(ペレットであってもよい)を大きくすることが容易である。アニオン系高分子凝集剤の添加量を10mg/L超としてもよいが、その場合、添加量の増加に対して凝集物の粒径を大きくする効果は少なくなる。添加量を10mg/L以下とすることにより、後段設備への影響、例えば膜ろ過設備の閉塞、脱水後の汚泥剥離性の低下を容易に防止することができる。
アニオン系高分子凝集剤は、予め水に溶解した溶液の状態で被処理水に添加することが好ましい。その溶液のアニオン系高分子凝集剤の濃度は、例えば、0.05w/v%以上0.3w/v%以下である。アニオン系高分子凝集剤は、無機凝集剤とは別の槽において被処理水に添加されるか、あるいは、カチオン性高分子凝集剤の添加位置よりも下流側の流路あるいは槽において被処理水に添加される。
〔沈殿槽〕
固液分離手段である沈殿槽としては、凝集沈殿の分野で公知の沈殿槽を使用することができる。例えば、既に凝集反応を完了させた被処理水が流入するようにしたタイプの沈殿槽や、沈殿槽内で凝集及び沈殿を行うタイプの沈殿槽を用いることができる。後者のタイプの沈殿槽として、特に、緩速攪拌を行うための攪拌翼を備えて沈殿槽内で凝集及び造粒操作を行うようにした沈殿槽がある。槽内で凝集と造粒を行う沈殿槽では、高密度で沈降速度の高い凝集物を形成できるため、より高い流速で凝集沈殿処理を行うことができる。なお、本発明における固液分離手段としては、沈殿槽以外の構成、例えば、凝集物の比重が1よりも小さい場合に浮上分離を行う浮上分離槽、砂ろ過により凝集物を清澄水から分離する砂ろか槽、膜により凝集物を清澄水から分離する膜ろ過装置などを用いることができる。
〔画像センサ設置位置〕
1.カチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤を併用する場合:
カチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤を併用する場合には、凝集状態を判断することのできる反応槽や凝集槽、上部開放の流路(トラフ)などにおいてそれらの上方に、被処理水を見下ろすように画像センサを設けるとよい。このように画像センサを設ける場合には、実際に凝集反応を行っている場所において凝集状態を監視するため、試験用水槽は不要となる。
PACなどの無機凝集剤の添加量を制御する場合には、無機凝集剤を添加している反応槽の上方、または無機凝集剤を添加している反応槽から後段へのトラフ上方に設置することが望ましく、制御のタイムラグあるいは遅延時間をより小さくするために、無機凝集剤を添加している反応槽の上方に画像センサを設置するのがより好ましい。ただし、無機凝集剤由来のフロックは非常に小さく、画像センサで検出判断しようとすると高性能あるいは高解像度の画像センサが必要になるため、反応槽において無機凝集剤と一緒にカチオン系高分子凝集剤を被処理水に添加し、フロックを粗大化させることが好ましい。無機凝集剤とカチオン系高分子凝集剤とを一緒に被処理水に添加する反応槽の上方に画像センサを設置する場合は、無機凝集剤を添加している反応槽でフロック状態を監視することになるため、よりリアルタイムで無機凝集剤の添加量を制御することが可能となる。後述するように粗大化後のフロックの大きさとエッジ数とは相関があり、画像センサによって撮影された画像でのエッジ数に基づいて無機凝集剤の最適添加量を制御することが可能となる。上述したようにカチオン系高分子凝集剤には無機凝集剤を削減する効果もあるため、エッジ数に基づく無機凝集剤の添加量の最適化とあわせて、無機凝集剤の添加量をより削減することが可能となる。
処理水SSの観点において、より清澄な処理水を得たい場合には、無機凝集剤を添加する槽とカチオン系高分子凝集剤とを別の槽で添加することが好ましい。例えば、無機凝集剤を添加する反応槽の下流側に専用の凝集槽を設け、この凝集槽において被処理水にカチオン系高分子凝集剤を添加する。このように別々の槽で無機凝集剤とカチオン系高分子凝集剤とを添加する場合には、カチオン系高分子凝集剤を添加する槽の上方に画像センサを設置することが好ましい。ただしこの場合、無機凝集剤の制御に関してタイムラグが発生してしまうため、カチオン系高分子凝集剤を被処理水に添加して反応させる凝集槽の容量は、反応時間すなわち被処理水の滞留時間を1分以上確保できることを条件として、可能な限り小さい方がよい。
カチオン系高分子凝集剤の添加量を制御する場合には、カチオン系高分子凝集剤を添加する槽よりも下流側の位置に画像センサを設けるとよい。カチオン高分子凝集剤の添加量に対するアニオン系高分子凝集剤の添加量の比率を固定する場合には、カチオン系高分子凝集剤の添加量の制御に伴ってアニオン系高分子凝集剤の添加量も変化することになる。
以上、画像センサの好ましい設置位置について説明したが、画像センサの設置位置は上述のものに限定されるものではない。上部が開放している槽あるいは流路であって被処理水の状態を確認できる位置であれば、どこにおいても画像センサを設定することができる。例えば、カチオン系高分子凝集剤を添加する凝集槽から沈殿槽までの流路が上部開放のトラフ(溝)として設けられているのであれば、このトラフにおいて画像センサによって被処理水を撮影するようにしてもよい。また、内部に画像センサを収納した透明な容器を反応槽や凝集槽内に浸漬させてもよい。
2.カチオン系高分子凝集剤やアニオン系高分子凝集剤、両性高分子凝集剤などを単独する使用の場合:
本発明に基づく水処理方法では、無機凝集剤と高分子凝集剤を添加した後の被処理水におけるフロック形成状態を監視して、無機凝集剤及び高分子凝集剤の少なくとも1つの添加量を制御する。高分子凝集剤としてカチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤とを併用する場合だけでなく、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤及び両性高分子凝集剤のいずれか1つを単独で使用する場合であっても、その高分子凝集剤を添加した後のフロック形成状態を監視することにより、凝集剤の添加量を制御することができる。高分子凝集剤としていずれか1つを単独で使用する場合においても、その高分子凝集剤を添加する槽の上方や、その槽から下流の流路の上方に画像センサを設置することができる。
〔画像センサの種類及び画像処理〕
凝集状態を判断するために被処理水を撮影する画像センサとしては、CCDイメージセンサあるいはCMOSイメージセンサからなりデジタル画像として画像データを出力する公知の画像センサを用いることができる。画像センサから出力されたデジタル画像は、画像処理装置において画像処理され、これによりエッジ画像が生成され、エッジ画像におけるエッジ数が算出される。当然のことながら画像センサによって被処理水を撮影するときの撮影条件(照明の状態、レンズの焦点距離及び絞り、被写体距離など)は一定のものとする。また、エッジ画像を生成するために使用するアルゴリズム及びそのパラメータ、エッジ画像における画素がエッジの画素であるかを判別する閾値などの一定のものとしておく。図1に示したものでは画像センサ50と画像処理装置51とが別個に設けられているが、画像処理装置を内蔵した画像センサを使用することも可能である。画像センサに加え、色(カラー)センサや濁度計などの他の計測機器を設け、画像センサから得られたエッジ数と他の計測機器から得られた結果との両方に基づいて凝集剤の添加量を制御するようにしてもよい。また、画像センサを用いる場合、偏光フィルタを用いてもよい。これにより、水面での乱反射の影響が画像センサに及ぶことが抑制され、画像センサによる検出精度を向上することが可能となる。
本発明に基づく水処理方法では、エッジ数に基づいて凝集剤の添加量を制御するが、その場合、撮影された画像から得られたエッジ数そのものに基づいて制御を行なってもよいし、あるいは、基準(コントロール)となる画像におけるエッジ数を100%として、撮影された画像からのエッジ数を相対値によって表現し、この相対値によって制御を行なってもよい。基準(コントロール)となる画像におけるエッジ数を100%とする相対値によるエッジ数の表現をエッジ一致度と呼ぶ。画像処理装置を組み込んだ市販の画像センサにおいてはエッジ一致度としてエッジ数を出力するものもあるので、そのような画像センサを用いる場合には、エッジ一致度に基づいて凝集剤の添加量を制御することになる。
〔無機凝集剤添加量の制御〕
本発明者らの検討によれば、図4に示すように、処理水濁度及び高分子凝集剤添加後のフロック粒径は、それぞれ、無機凝集剤の添加量と相関がある。無機凝集剤添加量が増えると処理水濁度が低下し、清澄な処理水を得ることができるが、無機凝集剤を過剰に添加すると処理水濁度が徐々に上昇していく傾向にある。高分子凝集剤の添加後のフロック径については、無機凝集剤の添加量を増やしていくほどフロック径が細かくなる傾向にある。これは、無機凝集剤に由来するフロックが架橋性の少ないフロックであるためであり、無機凝集剤の添加量が増えるほど、高分子凝集剤の添加後のフロックが架橋構造を取りにくくなるためと考えられる。また、高分子凝集剤を添加した後のフロック粒径と被処理水を撮影した画像から得られるエッジ数との間にも相関がある。フロック径が大きければ、画像においてフロックの輪郭となる画素数は相対的に少なくてよいので、エッジ数も小さくなる。フロックが小さくて細かければ、その分、フロックの個数も増えることになり、フロックの輪郭位置にある画素数が多くなり、エッジ数も大きくなる。
これらのことを利用すれば、以下のようにして無機凝集剤添加量を制御することが可能である。
(1)最適処理を行っているとき、すなわち最も清澄な処理水を得ているときの画像から得たエッジ数をコントロール(基準値)として記録する。
(2)基準値のエッジ数になるように無機凝集剤の添加量を制御する。例えば、PID(比例積分微分)制御を用いて無機凝集剤添加量を制御することができる。
予め最適条件を検討することにより、最適凝集のときの無機凝集剤添加量を知ることができる。しかしながら、凝集に影響を及ぼす因子、例えば被処理水負荷、被処理水水質、反応時のpHなどによって凝集フロックの大きさが変化し、これによって処理水質も変化する。上述したように凝集フロックの大きさによってエッジ数も変化する。そこで、凝集フロックの大きさに対応するパラメータとしてエッジ数を使用し、エッジ数を用いて無機凝集剤の添加量を制御することにより、実際のフロックの凝集状態に応じて無機凝集剤の添加量を最適に制御できることになる。
〔高分子凝集剤添加量の制御〕
高分子凝集剤は、フロック間の架橋を促進してフロックの粗大化をもたらす効果を有し、ある一定の添加量までは添加量が多いほどフロックの架橋性が増大する。しかしながら、ある一定以上添加した場合には、その後の凝集物の粗大化には効果を示さない。過剰に添加した高分子凝集剤は後段に漏出し、後段にろ過設備がある場合には当該ろ過設備の閉塞などの問題を招く可能性がある。そのため、高分子凝集剤の添加量を、沈殿槽の通水線速度(通水LV)に耐えることができるフロック径になる最低限の添加量になるよう調整する必要がある。前述のようにフロック径とエッジ数には相関があるため、高分子凝集剤の添加量は以下のように制御すればよい。
(1)目的の処理水質を得ることができる最低限の高分子凝集剤添加量で凝集沈殿処理を行い、その際の凝集物を撮影した画像から得たエッジ数をコントロール(基準値)として記録する。
(2)基準値のエッジ数になるよう高分子凝集剤添加量をコントロールする。例えば、PID制御を用いて高分子凝集剤添加量を制御することができる。
次に、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。以下の各実施例では、画像センサ50として株式会社キーエンス製の画像判別センサIV-HG300CAを使用した。この画像センサ50は、画像処理機能を備え、撮影した画像からエッジ画像を生成し、エッジ画像におけるエッジに対応する画素の数を相対値として出力する機能を有する。また、被処理水の画像を撮影してエッジ一致度を求めるときは、被処理水を撹拌しながら30秒間にわたって連続して画像を撮影し、各画像から得られたエッジ一致度を平均した。撹拌と30秒間の平均をとったことにより、コントロールに対応する条件の実施例の結果において、必ずしもエッジ一致度が100%とはなっていない。
〔実施例1〕
高分子凝集剤の添加量と、高分子凝集剤を添加した後のフロック径及びエッジ数(エッジ一致度)との関係を調べた。図5に示すように、ビーカー61に撹拌機構62を取り付け、さらにビーカー61の上方に画像センサ50を設け、ビーカー61内の水(被処理水)の凝集状態を示す画像を撮影できるようにした。
試験用の被処理水(排水)としてカオリンを100mg/Lで含有する模擬排水を用意し、図5に示すようにビーカー61にこの模擬排水を注ぎ、さらに無機凝集剤としてPACを120mg/L(固定値)で添加した。その後、ビーカー61内の模擬排水にアニオン系高分子凝集剤を添加し、あるいは、カチオン系高分子凝集剤とアニオン系高分子凝集剤の両方を添加し、フロックを形成させて粗大化させた。その後、画像センサ50によってビーカー61内の被処理水を撮影し、エッジ一致度を求めた。またアニオン系高分子凝集剤の添加後のフロックの径を求めた。カチオン系高分子凝集剤のカチオン基比率は8モル%であり、アニオン系高分子凝集剤のアニオン基比率は4モル%であり、各高分子凝集剤の添加量は実施例1-1~1-5で異ならせることとし、表1に示す通りとした。
コントロールとしては、模擬排水に無機凝集剤としてPAC120mg/Lを添加し、さらに、アニオン系高分子凝集剤を0.1mg/Lで添加してフロックを形成させ、その状態を撮影した画像を使用した。コントロールではカチオン系高分子凝集剤は使用しなかった。
結果を表1に示す。高分子凝集剤の添加量によってフロック径が異なり、また、フロック径と撮影画像から得られたエッジ一致度との間には相関が見られた。特に、フロック径が大きくなるほどエッジ一致度は低下した。このことから、エッジ一致度を利用して凝集剤の添加量を制御できることが分かった。例えば、エッジ一致度を外部に出力し、それに応じて凝集剤添加量を変化させ、目的のフロック径すなわちエッジ一致度あるいはエッジ数となるようになるように制御すればよいことが分かった。この場合、沈殿槽の通水線速度に耐えうるフロック径を予め確認しておき、そのフロック径となるように制御を行なえばよい。また表1の結果から、高分子凝集剤としてアニオン系高分子凝集剤を単独で使用する場合にもフロック径粗大化の効果が得られることが分かった。
Figure 0007146548000001
〔実施例2〕
図6に示す凝集沈殿システムを組み立てた。この凝集沈殿システムは、被処理水として模擬排水を貯える原水槽10と、原水槽10からポンプ13を介して被処理水が供給される反応槽20と、反応槽20から排出された被処理水が供給される沈殿槽40とを備えている。原水槽10及び反応槽20は、それぞれ、撹拌機構12,22を備えている。反応槽20の上方に、反応槽20内の被処理水を撮影できるように画像センサ50を設けた。沈殿槽40は、沈殿及び造粒の機能を備えるものであり、モータ41により駆動される撹拌機構42を備えている。沈殿槽40の上澄み水が処理水として外部に排出され、また、沈殿槽40の底部に汚泥搬送用ポンプ45が接続しており、沈殿槽40の底部から汚泥が引き抜かれるようになっている。
カオリンを80mg/L含む模擬排水を用意して原水槽10に貯え、ポンプ13によりこの模擬排水を反応槽20に供給した。反応槽20において模擬排水に対して無機凝集剤(PAC)とカチオン系高分子凝集剤とpH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液とを添加した。そして、無機凝集剤であるPACの添加量を100,50,25,10,5mg/Lと変えながら、反応槽20で生成した凝集物を画像センサ50で撮影してエッジ一致度を得た。カチオン系高分子凝集剤は、カチオン基比率が8モル%であるものであり、その添加量は0.6mg/Lとした。反応槽20から排出された被処理水を沈殿槽40に供給した。沈殿槽40に対し、添加量が1.2mg/Lとなるようにアニオン基比率が4モル%のアニオン系高分子凝集剤を供給し、沈殿槽40の入口において被処理水とアニオン系高分子凝集剤とが混合するようにして、凝集物の沈殿及び造粒を行わせた。
この凝集沈殿システムの通水流量を14.2m3/hとした。この通水容量は沈殿槽40における15m/hの線速度に相当する。コントロールとしては、反応槽20において模擬排水にPACを100mg/Lで添加し、上記のカチオン系高分子凝集剤を0.6mg/Lで添加してフロックを形成させ、その状態を撮影した画像を使用した。
結果を表2に示す。PAC添加量が減ることで、フロック径が大きくなり、エッジ一致度(エッジ数)が大きくなる結果を得た。また、エッジ一致度が53%以上(PAC添加量が25mg/L以上)の時に清澄な処理水を得ることが可能であったため、エッジピクセルが53%以上になるようPAC添加量を制御してやれば、常に清澄な処理水を得ることができることが分かった。またこの例では、エッジ一致度74%(PAC添加量が50mg/L)及びエッジ一致度98%(PAC添加量が100mg/L)の場合に過剰にPACを添加していることになる。PID制御などを利用してエッジ一致度が53%になるように無機凝集剤の添加量を制御すればよいことも分かった。
Figure 0007146548000002
〔実施例3〕
図7に示す凝集沈殿システムを組み立てた。この凝集沈殿システムは、被処理水として模擬排水を貯える原水槽10と、原水槽10からポンプ13を介して被処理水が供給される反応槽20と、反応槽20から排出された被処理水が流路25を介して供給される凝集槽30と、凝集槽30から排出された被処理水が流路35を介して供給される沈殿槽40とを備えている。原水槽10、反応槽20及び凝集槽30は、それぞれ、撹拌機構12,22,33を備えている。凝集槽30内の被処理水を撮影できるように、凝集槽30の上方に画像センサ50を設けた。沈殿槽40は、沈殿及び造粒の機能を備えるものであり、モータ41により駆動される撹拌機構42を備えている。沈殿槽40の上澄み水が処理水として外部に排出され、また、沈殿槽40の底部に汚泥搬送用ポンプ45が接続しており、沈殿槽40の底部から汚泥が引き抜かれるようになっている。
カオリンを100mg/L含む模擬排水を用意して原水槽10に貯え、ポンプ13によりこの模擬排水を反応槽20に供給した。反応槽20において模擬排水に対して無機凝集剤(PAC)とpH調整用の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液とを添加した。無機凝集剤であるPACの添加量は100mg/Lとした。反応槽20から排出された模擬排水に対し、凝集槽30において、カチオン基比率が8モル%であるカチオン系高分子凝集剤を添加し、攪拌機構32によって攪拌しながら凝集反応を進行させた。このとき、画像センサ50により、凝集槽30内の攪拌状態の被処理水を撮影し、撮影画像からエッジ一致度を求めた。
凝集槽30から排出された模擬排水は沈殿槽40に供給されるが、沈殿槽40の入口において、カチオン系高分子凝集剤の添加量の2倍の添加量でアニオン系高分子凝集剤を模擬排水に添加し、沈殿槽40において凝集沈殿処理を行った。アニオン系高分子凝集剤のアニオン基比率は4モル%であった。沈殿槽40における上澄み水として排出される処理水のSSを測定した。
この凝集沈殿システムの通水流量を14.2m3/hとした。この通水容量は沈殿槽40における15m/hの線速度に相当する。コントロールとしては、反応槽20においてPACを100mg/Lで添加し、凝集槽30において上述のカチオン系高分子凝集剤を1.0mg/Lで添加してフロックを形成させ、フロックを形成させた状態での画像を使用した。すなわち、コントロールとなる画像を撮影する段階では、アニオン系高分子凝集剤はまだ添加されていない。
結果を表3に示す。カチオン系高分子凝集剤の添加によるフロック形成が確認され、添加量が増すほどフロック径が大きくなった、フロック径と画像から得られるエッジ数(エッジ一致度)との間には相関が見られた。フロック径が大きくなるほどエッジ一致度は低下したので、エッジ一致度に基づいて高分子凝集剤、特にカチオン系高分子凝集剤の添加量を制御できることが分かった。
Figure 0007146548000003
〔実施例4〕
カチオン系高分子凝集剤のカチオン基比率とフロック形成との関係を調べた。実施例1と同様に、カオリンを100mg/Lで含有する模擬排水を用意し、図5に示すようにビーカー61にこの模擬排水を注ぎ、さらに無機凝集剤としてPACを120mg/L(固定値)で添加した。その後、ビーカー61内の模擬排水に、実施例4-2~4-6ごとに異なるカチオン基比率のカチオン系高分子凝集剤を0.1mg/Lで添加した。実施例4-1ではカチオン系高分子凝集剤を添加せず、PACのみが添加されるようにした。そしてビーカー61の上方に配置した画像センサ50により。凝集反応中の模擬排水を撮影し、撮影した画像からエッジ一致度を求めた。コントロールとしては、模擬排水に無機凝集剤としてPAC120mg/Lを添加し、さらに、カチオン基比率が8モル%のカチオン系高分子凝集剤を0.1mg/Lで添加してフロックを形成させ、その状態を撮影した画像を使用した。
結果を表4に示す。図8は、表4に示す結果をグラフで表現したものである。使用するカチオン系高分子凝集剤におけるカチオン基比率が低いほど、特にカチオン基比率が3~8モル%であると、良好なフロックが形成した。カチオン系高分子凝集剤のカチオン基比率が高くなると徐々にエッジ一致度が低下するとともにエッジ画像におけるエッジ画素の画素値も小さくなって、画像センサから出力される画像からのエッジ抽出が困難になっていく。実施例4-1はカチオン系高分子凝集剤を添加せずに無機凝集剤のみを添加したものであるが、この場合は、形成されるフロックが細かいので、通常の画像センサで撮影した画像からはフロック輪郭に対応するエッジの抽出が難しい場合であり、そのため、エッジ一致度も小さい値となっている。したがって、使用するカチオン系高分子凝集剤のカチオン基比率は15モル%以下が好ましく、3モル%以上8モル%以下とすることがより好ましいことが分かった。
Figure 0007146548000004
10 原水槽
20 反応槽
30 凝集槽
40 沈殿槽
50 画像センサ
51 画像処理装置
52 注入量制御装置

Claims (11)

  1. 被処理水に対して無機凝集剤と第一の高分子凝集剤とを添加することにより凝集物であるフロックの粗大化を行い、その後、凝集物と清澄水との固液分離を行う水処理方法において、
    前記被処理水に対して前記第一の高分子凝集剤を撹拌しつつ添加する槽の上方から、前記第一の高分子凝集剤添加された前記槽内の前記被処理水を撮影し、
    撮影された画像から画像処理によってエッジを抽出してエッジ画像を生成し、
    前記エッジ画像において画素値が閾値以上である画素の数をエッジ数として取得し、
    前記エッジ数に基づいて前記無機凝集剤と前記高分子凝集剤の少なくとも一方の添加量を制御することを特徴とする水処理方法。
  2. 前記無機凝集剤の添加と同時かまたは前記無機凝集剤の添加より後に、前記被処理水に前記第一の高分子凝集剤を添加する、請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記エッジ数に基づいて前記無機凝集剤の添加量を制御する、請求項1または2に記載の水処理方法。
  4. 前記エッジ数に基づいて前記第一の高分子凝集剤の添加量を制御する、請求項1または2に記載の水処理方法。
  5. 前記第一の高分子凝集剤はカチオン系高分子凝集剤である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水処理方法。
  6. 前記カチオン系高分子凝集剤におけるカチオン基比率が3モル%以上15モル%以下である、請求項5に記載の水処理方法。
  7. 前記カチオン系高分子凝集剤におけるカチオン基比率が3モル%以上8モル%以下である、請求項5に記載の水処理方法。
  8. 前記第一の高分子凝集剤を添加した後に、第二の高分子凝集剤としてアニオン系高分子凝集剤を前記被処理水に添加する、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の水処理方法。
  9. 被処理水に対して無機凝集剤と第一の高分子凝集剤とを添加することにより凝集物であるフロックの粗大化を行い、その後、凝集物と清澄水との固液分離を行う水処理装置において、
    前記固液分離を行う固液分離手段と、
    前記固液分離手段の前段側に設けられ、前記被処理水に対して前記第一の高分子凝集剤を撹拌しつつ添加する第一の槽と、
    前記第一の槽の上方から前記第一の槽内の前記凝集物を含む前記被処理水を撮影して画像を取得する撮影手段と、
    前記画像に対して画像処理を行うことによりエッジを抽出してエッジ画像を生成し、前記エッジ画像において画素値が閾値以上である画素の数をエッジ数として取得する画像処理手段と、
    前記エッジ数に基づいて前記無機凝集剤と前記高分子凝集剤の少なくとも一方の添加量を制御する添加量制御手段と、
    を有することを特徴とする水処理装置。
  10. 前記第一の槽の前段に、前記被処理水に前記無機凝集剤を添加する第二の槽を備える、請求項9に記載の水処理装置。
  11. 前記第一の槽において前記被処理水に前記無機凝集剤を添加する、請求項9に記載の水処理装置。
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