以下、本発明にかかる遊技機1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。遊技領域902には、始動入賞口904、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。
表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認されるものである。なお、一部の図においては、遊技盤90に覆われずに露出する表示領域911の形状を簡略化して記載する(方形状に記載する)が、当該部分の大きさや形状は適宜変更可能である。
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、公知の遊技機と同様に、大当たりとなる場合には、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄80(図2参照)が所定の組み合わせ(例えば同じ図柄の三つ揃い)となることによって報知され、それ以外の組み合わせが表示された場合にははずれとなる。
本実施形態では、上記当否判定のための数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(識別図柄80(識別図柄80群)の変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果の報知が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定結果の報知が開始されていない数値(当該数値のそれぞれに対応するものが「保留(情報)」である。保留(情報)は当否判定情報の下位概念であるといえる)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。なお、本実施形態では、当否判定結果の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
本実施形態にかかる遊技機1では、記憶手段に記憶されている当否判定結果の報知が開始されていない取得された数値(当否判定情報)のそれぞれに対応するマークである保留図柄(図示せず)が表示装置91の表示領域911に表示される。本実施形態では、数値が取得されたタイミングが早いものから(いわゆる保留消化が早いものから)順に左から並ぶよう表示される。保留図柄を表示する専用の表示装置が設けられていてもよい。保留図柄の態様は常に同じであってもよいし、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(以下、(大当たり)信頼度と称することもある)が高まったことを示唆する通常の保留図柄とは異なる態様の一または複数種の特殊図柄が設定されていてもよい。
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
当否判定結果が大当たりとなった場合、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技は、所定条件が成立するまで大入賞口906(本実施形態では、特典領域10が開放されることもある)が開放される単位遊技を一または複数回繰り返すものである。所定条件としては、大入賞口906に所定数の遊技球が入賞したこと(以下、入賞条件と称することもある)や、大入賞口906が開放されてから所定の開放時間が経過したこと(以下、時間条件と称することもある)が設定される。単位遊技は一般的に「ラウンド」と称されるものである。以下の説明においては、N回目の単位遊技を、Nラウンド(遊技)と称することもある。
本実施形態では、当否判定結果が大当たりであることが報知された(大当たりであることを示す組み合わせの識別図柄80が表示されたとき)後、大当たり遊技が開始される。なお、特に明示した場合を除き、以下の説明における大当たり遊技の開始とは、1ラウンド目(最初)の単位遊技が開始されることを意味するものとするが、1ラウンド目の単位遊技が開始されるよりも前に、大当たり遊技が開始されることを示す演出等(いわゆるオープニングの演出等)が実行されるようにしてもよい。
大入賞口906は、遊技領域902の右側(いわゆる右打ちによって発射された遊技球が進入可能な領域)に設けられている(図1参照)。したがって、遊技者が右打ちを行えば開放した大入賞口906に遊技球が比較的容易に入賞することになる。
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、大当たりに当選する確率(当否判定(抽選)確率)が、通常遊技状態に比して高い状態である。つまり、少なくともかかる点において、特別遊技状態は通常遊技状態に比して有利な状態である。特別遊技状態は通常遊技状態に比して始動入賞口904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(いわゆる時短状態)であってもよい(本実施形態における特別遊技状態は高ベース状態である)。また、いわゆる「連チャン」を目指す遊技性はどのようなものであってもよい。例えば、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たりに当選することにより「連チャン」が発生する確変ループ機であってもよいし、所定回数の当否判定が実行されるまでの間に大当たりに当選することにより「連チャン」が発生するST機であってもよい。また、確変ループ機とST機を組み合わせたようなゲーム性(所定回数の当否判定が実行されるまでの間に、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たりに当選することにより「連チャン」が発生するゲーム性)であってもよい。
本実施形態では、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たり(以下、特別大当たりと称することもある)に当選したとき、当該大当たり遊技中に特典領域10(V領域)が開放される。当該特典領域10に遊技球を進入させる(厳密には、特典領域10内に設けられたセンサにより遊技球が検出される)ことにより、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる。なお、特典領域10に遊技球が進入しなかった場合には、大当たり遊技終了後の遊技状態は通常遊技状態となる。ただし、特別大当たりに当選したときの大当たり遊技中に発生する特典領域10が開放される時間は比較的長く(いわゆる「ロング開放」であり)、当該特典領域10を狙って遊技球を発射させていれば(本実施形態ではいわゆる右打ちを行っていれば)、ほぼ100%の確率で遊技球が特典領域10に進入する。このように、ほぼ100%の確率で遊技球が特典領域10に進入することになるという点で、特別大当たりは大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となる大当たりとして設定されているということである。
一方、大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となる大当たり(以下、通常大当たりと称することもある)に当選したときには、大当たり遊技中に特典領域10が開放される時間が極めて短く(いわゆる「ショート開放」)となり、特典領域10に遊技球を進入させることが実質的に不可能となるように設定されている。つまり、遊技球が特典領域10に進入することは実質的に不可能であるという点で、通常大当たりは大当たり遊技終了後の遊技状態が通常遊技状態となる大当たりとして設定されているということである。
上記の通り、特別大当たりおよび通常大当たりのいずれに当選した場合であっても、大当たり遊技中に特典領域10が開放される。当該特典領域10が開放されることも1ラウンド分の単位遊技として設定されている。例えば、10ラウンド大当たりであれば、9ラウンド分は大入賞口906が開放される単位遊技(以下、通常単位遊技と称することもある)であり、1ラウンド分は特典領域10が開放される単位遊技(以下、特定単位遊技と称することもある)となる。本実施形態では、大当たりとして、10ラウンド特別大当たりと10ラウンド通常大当たりが搭載されており、両大当たり遊技においてはいずれも大当たり遊技が開始されてから8ラウンド目の単位遊技が特定単位遊技とされ、それ以外(1~7ラウンド、9、10ラウンド)が通常単位遊技とされている(図3参照)。なお、8ラウンド以外のラウンドが特定単位遊技として設定される場合があってもよい。また、大当たりとして、10ラウンド特別大当たりと10ラウンド通常大当たり以外の大当たりが搭載されていてもよい。
なお、特典領域10は、大入賞口906の内部に設けられた構成としてもよい。各単位遊技は大入賞口906が開放されるものとし、通常単位遊技は大入賞口906内の特典領域10が極めて短い時間のみ開放され、特定単位遊技は大入賞口906内部の特典領域10が長い時間開放されるものとする。
通常遊技状態においては、遊技者は遊技領域902の左側に遊技球が進入するよう、いわゆる左打ち遊技を行う。具体的には、第一始動入賞口904a(いわゆる特図1の始動口)に遊技球が入賞することを契機とした当否抽選により大当たりに当選することを目指して遊技する。特別遊技状態においては、遊技者はいわゆる右打ち遊技を行う。具体的には、第二始動入賞口904b(いわゆる特図2の始動口)に遊技球が入賞することを契機とした当否抽選により大当たりに当選することを目指して遊技する。本実施形態における特別遊技状態は、いわゆる高ベース状態であり、普通始動領域905(いわゆるスルー)に遊技球が進入することを契機とした第二始動入賞口904bの開放抽選に高確率で当選する状態であるため、右打ちを行っていれば第二始動入賞口904bが頻繁に開放する。すなわち、第二始動入賞口904bに容易に遊技球が入賞する状態である。
以下、いわゆる「初当たり時」における大当たり遊技中に実行される演出(大当たり用演出)について説明する。初当たりは、通常遊技状態にて当選した大当たりのことをいう。したがって、通常は、第一始動入賞口904aに遊技球が入賞することを契機とした当否抽選(以下、第一抽選と称することもある)に当選したことによって得られる大当たりである(ただし、通常遊技状態においても第二始動入賞口904bに遊技球が入賞しうる設定とし、第二始動入賞口904bに遊技球が入賞することを契機とした当否抽選に当選することによって得られる大当たりを「初当たり」としてもよい)。
本実施形態では、第一抽選に当選することによって獲得できる大当たりの少なくとも一部として、10ラウンド特別大当たりと10ラウンド通常大当たりが設定されている(以下、10ラウンドの記載を省略することもある。すなわち単に「特別大当たり」「通常大当たり」とするときは、当該10ラウンド特別大当たりや10ラウンド通常大当たりを指すものとする)。少なくとも一部の初当たり時においては、大当たり遊技が開始される段階では、特別大当たりおよび通常大当たりのいずれに当選したのか遊技者には判別不可能または判別困難とされる。具体的には、遊技機1に設けられる複数のランプ(「セグ」等と称される)の点灯パターンを解読すれば当選した大当たりの種類は判別できるものの、表示領域911に表示される演出等からは大当たりの種類が判別できないようにされる。
本実施形態では、「7」の識別図柄80で大当たり当選が報知されたときは特別大当たりであることが確定するものの、それ以外の識別図柄80で大当たり当選が報知されたときには特別大当たりおよび通常大当たりのいずれの可能性もある設定とされる。以下で詳細を説明する大当たり用演出は、「7」の識別図柄80以外の識別図柄80により大当たり当選が報知されたときに実行されるものである。すなわち、以下で説明する大当たり用演出は、特別大当たりおよび通常大当たりのいずれに当選したのか遊技者には判別不可能または判別困難な状態で開始される演出である。なお、「7」の識別図柄80で大当たり当選が報知されたときに大当たり遊技中に実行される演出(特別大当たり当選が確定しているときの演出)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。また、特別大当たり当選が確定するような報知態様は設定されておらず、初当たり時には必ず以下で説明するような大当たり用演出が実行されるようにしてもよい。
大当たり用演出(図4参照)は、既進入用演出および未進入用演出のいずれか一方を含む。一の大当たり用演出において、既進入用演出および未進入用演出の両方が実行されることはない。既進入用演出(図4(b-1)参照)は遊技者にとって有利な状況であることを示唆するような演出である一方、未進入用演出(図4(b-2)参照)は遊技者にとって残念な状況であることを示唆するような演出とされる。各演出の具体的態様はどのようなものであってもよい。既進入用演出は、喜ばしい状況であることを示すようなものであればよく、表示領域911に所定の画像が表示されるものであってもよいし、可動体が動作するといったものでもよい。本実施形態では、大当たり遊技中に成立する特定条件が成立した時点において特典領域10に遊技球が進入していたときには既進入用演出が実行され、特典領域10に遊技球が進入していないときには未進入用演出が実行される。すなわち、既進入用演出が実行されるということは、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となること(遊技者に有利な事象が発生すること)が確定するということであるから、既進入用演出はそれを表すような演出態様とされる。一方、未進入用演出が実行されるということは、その段階では大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となること(遊技者に有利な事象が発生すること)が確定していないということ(後述するように、その後特典領域10に遊技球が進入することは有り得る)であるから、とりあえずは遊技者にとって残念な状況であることを示唆するような演出態様とされる。
特定条件は、特典領域10に遊技球が進入したかどうかに関係なく成立するものであればよい。本実施形態では、大当たり遊技が開始(1ラウンド目の単位遊技が開始)されてから所定時間Tが経過したとき、上記特定条件が成立したと判断する。つまり、大当たり遊技の開始時点から所定時間Tが経過した時点において、特典領域10に遊技球が進入していれば既進入用演出を、進入していなければ未進入用演出を実行する(図4(a)、(b-1)、(b-2)参照)。当該所定時間Tが経過した時点は、特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定していない時点とされる。
ここで、「特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定した時点」とは、特定単位遊技が終了する時点であるといえる。例えば、一の単位遊技が実行されるのに要する最大の時間がX時間であるとする。すなわち、大入賞口906または特典領域10が開放されてからX時間が経過したときには、時間条件が成立したとして(タイムアップであるとして)、当該大入賞口906または特典領域10が閉鎖されるものとする。また、単位遊技どうしの間に設定される大入賞口906や特典領域10が閉鎖されている時間(インターバル時間)がY時間であるとする。そうすると、本実施形態のように8ラウンド目の単位遊技が特定単位遊技とされるのであれば、「(8×X)+(7×Y)」時間(以下、最大時間Tmとする)が経過した時点においては必ず特定単位遊技が終了していることになる(図5参照)。すなわち大当たり遊技の開始(一番目の単位遊技の開始)から最大時間Tmが経過した時点は、「特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定している時点」である。換言すれば、最大時間Tmは、特定単位遊技までの全ての単位遊技がタイムアップにより終了したと仮定した場合における、大当たり遊技の開始から特定単位遊技の終了時点までの時間である。
しかし、各単位遊技は、時間条件の成立によらず終了しうる。すなわち、上述した入賞条件の成立に基づき終了することがある。大入賞口906や特典領域10に向かって遊技球を発射させておりさえすれば(右打ちを行っておりさえすれば)、時間条件が成立するよりも前に所定数の遊技球が大入賞口906や特典領域10に進入する蓋然性が極めて高い。つまり、遊技者が指示通り遊技球を発射させておりさえすれば、一の単位遊技は、X時間が経過するよりも前に終了することが通常である。換言すれば、大当たり遊技が開始されてから最大Tm時間が経過した時点に至るよりも前に、8ラウンド目の特定単位遊技が終了していることが通常である。そのため、本実施形態では、通常通り遊技を行っていれば8ラウンド目の特定単位遊技が終了している蓋然性が高いであろう時間を上記所定時間T(T<Tmである)として設定する(図6(a)参照)。なお、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過するよりも前に、大当たり遊技が終了することがないように設定される。例えば、大入賞口906や特典領域10に向かって発射された遊技球(通常は1分間に100発以下の間隔で発射される)が全て入賞すると仮定した場合であっても、所定時間Tが経過するよりも前に大当たり遊技が終了することはないように設定される。
そして、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過した時点で、特典領域10に遊技球が進入しているか否かを判断し、それに基づき既進入用演出(図4(b-1)参照)および未進入用演出(図4(b-2)参照)の一方を実行する。所定時間Tが経過するよりも前に特定単位遊技が終了し、特典領域10への遊技球の進入の有無が確定していれば、その結果通りの演出(既進入用演出or未進入用演出)が実行されることになる。すなわち、基本的には、既進入用演出および未進入用演出のいずれが実行されるかに応じて、特典領域10への遊技球の進入の有無が報知されることになる。
一方、各単位遊技が実行される時間が比較的長くなった場合等、稀に、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過した時点においても特典領域10への遊技球の進入の有無が確定していないことが起こり得る(図6(b)参照)。このような場合には、所定時間Tが経過した時点においては特典領域10に遊技球が進入していないのであるから未進入用演出(図4(b-2)参照)が実行されることになる。しかし、その後特典領域10に遊技球が進入するという事象が起こり得る。つまり、未進入用演出が実行されたにも拘わらず、大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となることが確定することがある。このように、未進入用演出が開始された後(所定時間Tが経過した時点の後)、特典領域10に遊技球が進入したときには、未進入用演出が実行された後、事後進入用演出を実行する(図4(c)参照)。当該事後進入用演出は、ある大当たり遊技において特典領域10に遊技球が進入しなかったときには当該大当たり遊技において実行されることがない演出であり、遊技者にとって有利な状況であることを示唆するような演出とされる。すなわち、所定時間Tが経過した時点において実行された未進入用演出は、遊技者にとって残念な状況を示唆する演出であるため、当該未進入用演出が開始されたにも拘わらずその後特典領域10に遊技球が進入したときには、事後進入用演出が実行されて、遊技者にとって有利な状況であること(大当たり遊技終了後の遊技状態が特別遊技状態となること)が示唆されるようにし、特典領域10へ遊技球が進入したことと、実行される演出の整合性を取るようにする。換言すれば、未進入用演出にて示された残念な状況が、事後進入用演出にて覆った(逆転した)かのような演出の流れとされる。
本実施形態では、事後進入用演出は、特典領域10に遊技球が進入したことが検出されることを契機として実行されるものではない。つまり、特典領域10に遊技球が進入するタイミングに応じ、事後進入用演出が開始されるタイミングが変化するといったものではない。特典領域10への遊技球の進入が検出されたときには、それを記憶しておき、しかるべきタイミング(予め決められたタイミング)で事後進入用演出が実行されるように構成されている。当該事後進入用演出が実行されるタイミングは、大当たり遊技の開始(一番目の単位遊技の開始)から最大時間Tmが経過した時点以降とされる。すなわち、特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定している時点以降とされる。このようにすることで、事後進入用演出の発生は、特典領域10へ遊技球が進入したことを確定的に示す演出として機能する。
本実施形態では、大当たり遊技を構成する複数の単位遊技のうち、最後の単位遊技(最終ラウンド)が終了した後に事後進入用演出が発生するようにしている(図4(c)参照)。事後進入用演出は、それよりも前に実行された未進入用演出による示唆を打消し、大当たり遊技終了後に特別遊技状態に移行することを示唆する演出であるから、大当たり遊技が終了する時点にできるだけ近いタイミングで実行されるようにすることが好ましい。
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1では、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過した時点で既に特典領域10に遊技球が進入しているかどうかに基づき既進入用演出および未進入用演出の一方を実行する(図4(a)、(b-1)、(b-2)参照)。従来の遊技機のように特典領域10に遊技球が進入したことが検出されることを契機として(検出された後即座に)それに応じた演出(いわゆるV入賞が発生したことを示す演出)を実行するものではないため、制御が容易である。つまり、既進入用演出および未進入用演出の一方を実行するタイミングが予め時間的に決められているものであるため、従来に比して制御が容易である。
所定時間Tは、特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定している時点である上記最大時間Tmよりも短く設定される(図5、図6(a)参照)。最大時間Tmは、各単位遊技が時間条件の成立(タイムアップ)により終了してしまったと仮定した場合における特定単位遊技の終了時点に相当するものである(図5参照)から、所定時間Tを最大時間Tm以上とすると、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過するよりも前に大当たり遊技が終了してしまう可能性がある。したがって、通常通り遊技を行っていれば特定単位遊技が終了している蓋然性が高いであろう時間を上記所定時間Tとして設定する(図6(a)参照)。
そして、大当たり遊技(1回目の単位遊技)が開始されてから所定時間Tが経過した時点においても特典領域10への遊技球の進入の有無が確定しておらず、その後特典領域10に遊技球が進入することが稀に起こり得るため、そのような状況に備えて事後進入用演出を搭載している。つまり、所定時間Tが経過した時点で特典領域10に遊技球が進入していなかったときには、特典領域10への遊技球の進入の有無が確定していない状態であっても、一旦未進入用演出(図4(b-2)参照)を実行した上で、その後特典領域10への遊技球の進入が検出されたときには、事後進入用演出(図4(c)参照)により特典領域10へ遊技球が進入したことを確定的に示すようにしている。
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、変形、具体化等した具体例について説明する。なお、以下の各具体例を用いて説明する事項を複数適用した構成としてもよい。
○第一具体例
上記実施形態では、大当たり遊技(1ラウンド目の単位遊技)の開始から所定時間Tが経過した時点を特定条件の成立時点とし、既進入用演出および未進入用演出の一方が実行されることを説明したが、当該特定条件は、特典領域10に遊技球が進入するか否かに拘わらず成立しうるもの(特典領域10に遊技球が進入するかどうかが確定していない段階で成立しうるもの)であればよい。
例えば、遊技者が操作可能な操作手段70(押しボタン等)(図1参照)を備え、大当たり遊技中に遊技者に対して当該操作手段70の操作が促される操作演出が実行されるものとする。遊技者に対して促される操作手段70の操作態様はどのようなものであってもよい。操作手段70を一度のみ操作することを要求する単操作、操作手段70を複数回操作することを要求する連続操作(操作手段70が押しボタンの場合におけるいわゆる「連打」)、操作手段70が操作された状態を維持する維持操作(操作手段70が押しボタンの場合におけるいわゆる「長押し」)等、を例示することができる。
このような操作演出が所定の段階まで進行したことをもって、特定条件が成立したと判断する。例えば、操作手段70の単操作を要求する操作演出である場合において、操作手段70の単操作が検出されること(または操作有効時間が経過すること)をもって特定条件が成立したと判断する。また、例えば操作手段70の連続操作を要求する操作演出である場合において、操作手段70の操作回数が所定回数に到達すること(または操作有効時間が経過すること)をもって特定条件が成立したと判断する。また、例えば操作手段70の維持操作を要求する操作演出である場合において、操作手段70の維持操作時間が所定時間Tに到達すること(または操作有効時間が経過すること)をもって特定条件が成立したと判断する。このようにすれば、操作演出が所定の段階まで進行したこと(図7(a)参照)を契機として既進入用演出(図7(b-1)参照)および未進入用演出(図7(b-2)参照)の一方が実行されることになる。すなわち、従来の遊技機のように特典領域10に遊技球が進入したことが検出されることを契機として(検出された後即座に)それに応じた演出(いわゆるV入賞が発生したことを示す演出)を実行するものではないため、制御が容易である。また、操作手段70の操作の結果として、既進入用演出および未進入用演出の一方が実行されたかのような印象を遊技者が受ける演出の流れとすることが可能である。
なお、操作手段70は、遊技者が操作可能なものであればどのようなものであってもよい。また、遊技者の身体の一部(手等)を検出することが可能なセンサを設け、当該センサに身体の一部が検出されることを「操作手段の操作」とみなした構成としてもよい。
上記実施形態と同様に、特定条件成立時には特典領域10に遊技球が進入しておらず、未進入用演出が開始されたとき(図7(b-2)参照)であっても、その後特典領域10に遊技球が進入したときには、事後進入用演出が実行される(図7(c)参照)。
○第二具体例
上記実施形態では、未進入用演出が開始された後に特典領域10に遊技球が進入したときには、未進入用演出が実行された後に事後進入用演出が実行されることを説明したが、既進入用演出が実行された(図8(b-1)参照)後に事後進入用演出が実行される(図8(c-1)参照)ようにしてもよい。上記実施形態にて説明したように、事後進入用演出は、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な事象が発生すること(特別遊技状態に移行すること)を示唆する演出であるから、未進入用演出が実行されたときに限らず、既進入用演出が実行されたとき(特定条件成立時に既に特典領域10に遊技球が進入していたとき)に実行されるようにしてもよい。換言すれば、大当たり遊技を通じて特典領域10に遊技球が進入したときには、特定条件成立時に未進入用演出および既進入用演出のいずれが実行されたかに拘わらず事後進入用演出が実行されるようにし(図8(b-1)、(b-2)、(c-1)、(c-2)参照)、大当たり遊技を通じて特典領域10に遊技球が進入しなかったときには、事後進入用演出が実行されないようにする。
このように、事後進入用演出は、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な状況となることを示唆するものであるから、未進入用演出が実行されたときに限って発生するものとする必要はない。本例のようにすれば、特別大当たりに当選した場合、通常は既進入用演出が実行された上で、その後事後進入用演出が実行されるという大当たり遊技の流れとなる。したがって、ある程度継続的に遊技を行っている遊技者は、事後進入用演出が特別遊技状態への移行を示す演出として発生することを把握するであろうから、未進入用演出が実行された後に事後進入用演出が実行されたときであってもその後特別遊技状態に移行するということを容易に把握することが可能である。
○第三具体例
大当たり遊技を通じて特典領域10に遊技球が進入しなかったときには、事後未進入用演出が実行されるものとする。つまり、大当たり遊技を通じて特典領域10に遊技球が進入しないときには、特定条件成立時に未進入用演出が実行され(図9(b-2)参照)、その後事後未進入用演出が実行される(図9(c-2)参照)ものとなる。事後未進入用演出は、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な事象が発生しないこと、すなわち遊技状態が特別遊技状態とならないことが示唆される(例えば、特別遊技状態とは異なる状態に移行することが示唆される)ものとされる。事後未進入用演出は、特典領域10に遊技球が進入したときに発生しうる事後進入用演出(図9(c-1)参照)と同じタイミングで発生するように設定されている。上記実施形態にて説明したように大当たり遊技を構成する複数の単位遊技のうち、最後の単位遊技(最終ラウンド)が終了した後に事後進入用演出が発生するような設定とするのであれば、事後未進入用演出も最後の単位遊技が終了した後に発生するようにする。このようにすることで、特典領域10に遊技球が進入しなかったことを分かりやすく示すことが可能となる。
○第四具体例
大当たり遊技開始から所定時間Tが経過し、既進入用演出および未進入用演出の一方が実行されるよりも前に、事前演出が実行されるものとする。既進入用演出および未進入用演出は、当該事前演出の「結果」を示すような演出とされる。つまり、所定時間Tの少なくとも一部を利用して事前演出(図10(a)(b)参照)が実行され、所定時間T経過時点で特典領域10に遊技球が進入しているかどうかに応じ、既進入用演出(図10(c-1)参照)および未進入用演出(図10(c-2)参照)の一方が実行されるようにする。
例えば、事前演出として「バトル演出」を実行することが考えられる。遊技者側のキャラクタとそれに対峙する敵側のキャラクタが戦う演出が事前演出(図10(a)(b)参照)として設定され、遊技者側のキャラクタが勝利する結果となることが既進入用演出(図10(c-1)参照)として、遊技者側のキャラクタが敗北する結果となること(敵側のキャラクタが勝利すること)が未進入用演出(図10(c-2)参照)として設定されているものとする。
上記実施形態のように、既進入用演出および未進入用演出の一方を発生させるタイミングを時間により制御するのであれば、本例のような事前演出の制御が容易になる。つまり、既進入用演出および未進入用演出の一方を発生させるタイミングは、特典領域10に遊技球が進入するタイミングと関係がないから、当該進入するタイミングに応じて事前演出を制御するといった必要がない。事前演出は大当たり遊技の開始から所定時間Tが経過した時点よりも前に終わるようにすればよいだけである(例えば、事前演出用の映像として、所定時間T以下の一または複数の映像を用意しておけばよい)。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
○手段1
当たり遊技中に特典領域に遊技球が進入することを条件として、当たり遊技終了後に遊技者に有利な事象が発生する遊技機であって、前記当たり遊技における前記特典領域に遊技球が進入するかどうかが確定していない段階で成立しうる特定条件の成立の有無を判断し、当該特定条件が成立した時点において既に前記特典領域に遊技球が進入していたときには既進入用演出を、当該特定条件が成立した時点において未だ前記特典領域に遊技球が進入していないときには未進入用演出を実行し、前記未進入用演出が開始された後に前記特典領域に遊技球が進入したときには、当該未進入用演出が実行された後、前記特典領域に遊技球が進入しなかったときには実行されない事後進入用演出を実行することを特徴とする遊技機。
上記遊技機は、特典領域に遊技球が進入したことが検出されることを契機として特典領域に遊技球が進入することを示す演出を実行するものではないため、当たり遊技中に実行される演出の制御が容易である。
○手段2
前記当たり遊技の開始から所定時間経過したことをもって、前記特定条件が成立したと判断することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすれば、所定時間経過した時点において、既に特典領域に遊技球が進入したかどうかに応じ、既進入用演出および未進入用演出の一方を実行すればよいため、当たり遊技中に実行される演出の制御が容易である。
○手段3
前記当たり遊技中に遊技者に対して操作手段の操作を促す操作演出が実行され、当該操作演出が所定の段階まで進行したことをもって、前記特定条件が成立したと判断することを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このようにすることで、操作手段の操作の結果として、既進入用演出および未進入用演出の一方が実行されたかのような印象を遊技者が受ける演出の流れとすることが可能である。
○手段4
前記当たり遊技は、閉鎖条件成立まで所定の入賞領域が開放される単位遊技が複数回実行されるものであり、前記当たり遊技における最後の前記単位遊技が終了した後、前記事後進入用演出が実行されることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
事後進入用演出は、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な事象が発生することを示唆するものであるから、最後の単位遊技が終了した後に実行されるようにするとよい。