JP7146048B2 - 発破音低減方法及び発破音低減装置 - Google Patents

発破音低減方法及び発破音低減装置 Download PDF

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Description

本発明は、トンネルの坑内での発破音を低減するための発破音低減方法及び発破音低減装置に関する。
発破工法によるトンネルの掘削工事においては、発破音の低減が課題になっている。発破音は、聞く者に衝撃を与える非日常的な音であり、大きな音でもあることから、周辺の環境に与える影響が大きいからである。このような発破音については、トンネルを掘りはじめる段階での処理が重要である。掘りはじめの段階では、発破音の坑内距離減衰が見込めないため、大音圧かつ広帯域の周波数成分がトンネル外に漏れ出し、近隣に伝わりやすいからである。
特許文献1には、トンネル内において、防音設備と空調設備とを設けた設備台車を掘削直後の領域に移動させ、設備台車の前方領域で発生する騒音、つまり発破による爆音を低減するようにした発明が記載されている(文献1の段落[0002][0012][0020][0025][0030][0031]参照)。
文献1で紹介されている防音設備は、設備台車の前部に設けた防音壁である(文献1の段落[0019][0020]参照)。この防音壁は、外周縁をシール材でシールしてトンネル断面のほぼ全域を被覆するロックウール吸音材であり、防音性に優れている。重機や車両を通行させる目的で、防音壁には開閉扉部が設けられている。
文献1で紹介されている空調設備は、設備台車の上部に設けられた給気ダクト及び排気ダクトである(文献1の段落[0014][0031]参照)。給気ダクトは、防音壁によって密封された設備台車前方の掘削領域に、新鮮な空気を供給するのに用いられる。排気ダクトからは、掘削領域で発生した粉塵を集塵する。
特開2004-204539号公報
トンネルの坑内で発生する騒音を低減するには、例えば特許文献1に記載されているような防音壁の設置が不可欠である。防音壁には、その大きさや防音性能が異なる複数の種類があり、どの種類の防音壁を設置するかは、個々の現場に合わせて決定される。つまりトンネル工事の坑外騒音レベルについては、一般的に、管理基準が定められている。そこで個々の現場ごとに、定められている管理基準に適合する種類の防音壁が選択され、設置されることになる。
ところが実際の現場においては、既存の防音壁のどれ一つとっても、定められている管理基準にぴったり適合することは稀であり、通常は、余裕をもって管理基準をクリアする防音性能を備える防音壁が選択される。その分厚く重量のある防音壁となるため、経済上及び取り扱い上の不利益を甘受せざるを得ないのが現実である。
発破音低減方法の一態様は、発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車を導入する工程と、前記シート張り台車に吸音材を取り付ける工程と、シート張り作業を開始するとき、前記シート張り台車から前記吸音材を取り外す工程と、を備える。
発破音低減方法の別の一態様は、発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車を導入する工程と、前記シート張り台車に吸音材を取り付ける工程と、を備える。
発破音低減装置の一意態様は、発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に導入される、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車と、前記シート張り台車に取り付けられた吸音材とを備える。
トンネル内の切羽側で発破音が発生したとき、吸音材によって発破音が低減されるので、防音壁以外の部分によって、発破音の低減作用を増大させることができる。
本実施の形態の発破音低減方法及び発破音低減装置を説明するために、トンネル坑内に導入したシート張り台車(構造物)に吸音材を取り付けた状態を示す模式図。 トンネルに導入したシート張り台車(構造物)を坑口側から切羽側に向けて見た正面図。 シート張り台車の透視図。 その斜視図。 トンネルの長手方向に沿って吸音材を取り付けたシート張り台車を示す透視図。 その斜視図。 図5に示す状態から、トンネルの長手方向に沿ってさらに吸音材を追加したシート張り台車を示す透視図。 その斜視図。 図5に示す状態から、トンネルの長手方向と直交する方向に沿って吸音材を追加したシート張り台車を示す透視図。 その斜視図。 トンネルに模したパイプ状部材を用いた実験設備を説明するための模式図。 図11に示す設備を用いた実験として、(a)は単一の吸音材を用いた場合、(b)は空間を隔てて対面させた一対の吸音材を用いた場合をそれぞれ斜めの方向から示す模式図。 図11に示す設備を用いた実験として、(a)は単一の吸音材を用いた場合、(b)は空間を隔てて対面させた一対の吸音材を用いた場合をそれぞれ正面方向から示す模式図。 実験結果として、吸音材なし、単一の吸音材を設置、空間を隔てて一対の吸音材を対面させて設置という三態様における受音点での音圧レベルをプロットしたグラフ。 実験結果として、吸音材なしの場合に対する、単一の吸音材を設置した場合と空間を隔てて一対の吸音材を対面させて設置した場合の音圧レベルの低減量をそれぞれ示すグラフ。 吸音材を取り付けていないシート張り台車の前後の位置での音響の減衰量に対して、図9及び図10に例示したように吸音材を取り付けたシート張り台車の前後の位置で増大した減衰量を周波数ごとに示す実験結果のグラフ。
実施の一形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、構造物としてシート張り台車を用いた発破音低減方法及び発破音低減装置の一例である。
図1に模式的に示すのは、100メートルほど掘り進められたトンネル11である。このトンネル11は、発破によって掘り進められている。つまり削孔した穴に装薬したダイナマイトを爆発させて岩盤を砕き、これによって生じたズリをトンネル11の外に運び出す。その後鋼鉄製の支保工を必要に応じて設置し、壁面にコンクリートを吹き付け、ロックボルトを設置する(符号がないものはすべて図示せず)。この際、発破音を低減するために、トンネル11の坑口12に防音壁31が設置される。
その後トンネル11の坑内13にシート張り台車51を導入し、コンクリートを吹きつけたトンネル11の壁面に、図示しないシートを張って防水処理を施す。図1は、シートを張る前段階の状態を示している。
本実施の形態の発破音低減方法は、三つの工程によって実行される。
一つ目は、発破をして切羽を掘削するトンネル11の坑内13に、このトンネル11の施工のために使用する構造物として、シート張り台車51を導入する工程である。
二つ目は、シート張り台車51に吸音材71を取り付ける工程である。
三つ目は、吸音材71を取り外す工程である。
(構造物の導入工程)
図2に示すように、シート張り台車51は、トンネル11内の地面Gに敷設されたレール14に乗せられ、このレール14に沿って移動する構造物である。トンネル11が数十メートル、例えば五十メートル程度ほど掘り進められた段階でレール14は敷設され、トンネル11の坑内13にシート張り台車51が導入される。
図2~図4に示すように、シート張り台車51は、土台52の上に垂直に立てられた一対の脚部53の上部を梁54で連結し、角の部分を筋交55で補強した構造要素56を複数個設け、これらの構造要素56を一定の間隔を開けて並べて固定したフレーム構造体57を備えている。構造要素56が並べられている方向は、坑口12から切羽15に至るトンネル11の長手方向である。フレーム構造体57は、土台52の部分に車輪58を回転自在に備え(図3~図10は車輪58を省略)、車輪58がレール14に嵌り込むことによって走行可能となっている。
フレーム構造体57には、左右両側と上面とに足場59a,59b,59cが設けられている。これらの足場59a,59b,59cは、鋼鉄製の角材を組んで製作したフレーム状の構造体であり、その一部は、フレーム構造体57をなす個々の構造要素56を連結固定する役割も担っている。
符号59aで示すものは、左右両側の下段に設けられた下段足場である。下段足場59aは、L字状に屈曲した補強鋼管59aLによって補強されている。
符号59bで示すものは、左右両側の上段に設けられた足場59である。
符号59cで示すものは、フレーム構造体57の上面に設けられた上面足場である。これらの足場59a,59b,59cには足場板60が嵌め込まれており、人が歩行できるようになっている。
下段足場59aに上る部分には、左右一対の下段梯子61aが設けられ、下段足場59aから上段足場59bに上る部分には、左右一対の上段梯子61bが設けられている。下段梯子61aの設置位置は、シート張り台車51の進行方向後方側であり、上段梯子61bの設置位置は、シート張り台車51の進行方向前方側である。上面足場59cから上面足場59cに上る部分には、二段のステップ62が設けられている。ステップ62は、上面足場59cに至っても三段設けられ、トンネル11のアーチ形状に沿った形状をシート張り台車51に与えている。
シート張り台車51は、複数種類の手摺63を備えている。
一対の下段足場59aに設けられた一対の下部手摺63aは、それぞれ下段足場59aを取り囲むように設けられている。これらの下部手摺63aは、人間の腰高程度の高さを有している。
一対の上段足場59b及び上面足場59cには、シート張り台車51の進行方向前方部分と後方部分とに、複数個の上部手摺63bが設けられている。これらの上部手摺63bは、一対の垂直鋼管の上部と中央部分とを二本の水平鋼管で連結した構造のもので、一対の垂直鋼管をトンネル11の長手方向と直交する方向に並べて取り付けられている。上部手摺63bは、人間の腰高程度の高さを有し、上段足場59b及び上面足場59cのみならず、ステップ62の各段にも配置されている。
手摺63とは別に、一対の上段足場59bには、それぞれ柵64が設けられている。これらの柵64は、上段足場59bの側端部分に配置されている。
フレーム構造体57はさらに、上面足場59cの上部に、排気ダクト(図示せず)を設置するためのダクトフレーム65を設けている。ステップ62は、ダクトフレーム65の上方部分にまで設けられている。
(吸音材の取り付け工程)
この工程では、上述のように構成されたシート張り台車51に、吸音材71を取り付ける。吸音材71としては、一例として、グラスウールを固めた多孔質構造を有するボード状のものが複数枚用意されている。
図5及び図6に示すように、吸音材71は一例として、トンネル11の長手方向に沿ってシート張り台車51に取り付けられている。より詳しくは、フレーム構造体57の両側部、下段足場59aにおける補強鋼管59aLと下部手摺63aの部分、上段足場59bにおける柵64の部分、筋交55の部分、そしてステップ62の部分が、吸音材71の取り付け箇所となっている。
こうして吸音材71が各部に取り付けられたことにより、本例では、空間Sを隔て、ボード面同士を対面させて一の吸音材71と他の吸音材71とが対面している。つまりフレーム構造体57の両側部と補強鋼管59aLとに取り付けられた吸音材71、フレーム構造体57と下部手摺63aとに取り付けられた吸音材71、フレーム構造体57と筋交55とに取り付けられた吸音材71、柵64とステップ62とに取り付けられた吸音材71、そしてステップ62に取り付けられた吸音材71同士が、それぞれ空間Sを介して対面している。
図7及び図8に示すように、別の一例として、吸音材71は図5及び図6に例示した箇所に加えて、上部手摺63b及びダクトフレーム65に配置されたステップ62にも取り付けられている。また上段足場59bの柵64に取り付けられる吸音材71には、図5及び図6に例示した吸音材71と比較して、より高さの高いものが用いられている。追加された吸音材71は、図5及び図6に例示した吸音材71の取り付け方向、つまりトンネル11の長手方向に沿った方向に取り付けられている。
図9及び図10は、さらに別の吸音材71の取り付け方法を示している。図9及び図10に示す一例も図7及び図8に示す一例と同様に、図5及び図6に例示した箇所に加えて、上部手摺63b及びダクトフレーム65に配置されたステップ62にも、追加の吸音材71を取り付けている。図7及び図8に示す一例と相違するのは、追加の吸音材71の取り付け方向である。
図7及び図8に示す一例では、トンネル11の長手方向に沿って追加の吸音材71を取り付けたのに対して、図9及び図10に示す一例では、トンネル11の長手方向と直交する方向に沿って吸音材71を取り付けている。
(吸音材の取り外し工程)
吸音材71は、予め決められたタイミングで、シート張り台車51から取り外される。この場合のタイミングを二種類紹介する。
一つ目は、トンネル11の坑口12から予め決められた距離以上に切羽15が掘削されたタイミングである。ここでいう予め決められた距離は、一例として、吸音材71がなくても坑外騒音レベルが管理基準以下となる掘削距離である。このときには、シート張り台車51から吸音材71を取り外す工程が実行される。
このタイミングでシート張り台車51から吸音材71が取り外された場合には、原則的に、再度吸音材71を取り付ける工程は実行されない。
二つ目は、シート張り作業を開始するタイミングである。吸音材71がシート張り作業の邪魔になるからである。その後、シート張り台車51をさらに切羽15の方向に向けて進めるに際しては、発破をかける前に、吸音材71をシート張り台車51に再度取り付ける。
(作用・効果)
本実施の形態によれば、トンネル11内の切羽15側で発破音が発生すると、トンネル11の坑口12に設置されている防音壁31によって発破音は減衰し、トンネル11の外の空間への騒音の伝達が抑制される。この時、シート張り台車51に取り付けられている吸音材71も発破音を低減し、発破音の減衰作用を補完する。
前述したとおり、防音壁31には、その大きさや防音性能が異なる複数の種類があり、どの種類の防音壁31を設置するかは、個々の現場に合わせて決定される。つまり個々の現場ごとに、トンネル工事の坑外騒音レベルの管理基準に適合する種類の防音壁31が選択され、設置されることになる。
ところが実際の現場においては、既存の防音壁31のどれ一つとっても、定められている管理基準にぴったり適合することは稀である。このため通常は、余裕をもって管理基準をクリアする防音性能を備える防音壁31が選択され、これが坑口12に設置されることになる。
これに対して本実施の形態によれば、管理基準を満たさない防音性能を備える防音壁31を選択し、坑口12に設置したとしても、シート張り台車51に取り付けた吸音材71が発破音を減衰し、その低減作用を増大させる。このためトンネル11の外の空間において、管理基準を満たすように発破音を低減することが可能になる。したがって通常よりも薄く軽量な防音壁31を坑口12に設置することができ、経済上及び取り扱い上の利益を生じさせることができる。
本実施の形態では、ボード状の吸音材71を複数枚用意し、空間Sを隔ててボード面同士を対面させ、一の吸音材71と他の吸音材71とをシート張り台車51に取り付けている。トンネル11の坑内13では、切羽15において発生した発破音の音波は、坑口12に向かって真っすぐに進行するのみならず、コンクリートが吹き付けられた壁面を反射しながら、あらゆる方向に向きを変える。このため互いに対面する一の吸音材71と他の吸音材71との間の空間Sを通る際、吸音材71に対して非平行方向から進入してきた音波は吸音材71に衝突して吸音されたり、吸音材71を反射してこれに対面する吸音材71に衝突して吸音されたりする。このような吸音作用が繰り返されることで、発破音の低減作用が高められる。
こうした発破音の低減作用の向上は、ボード状の吸音材71をトンネル11の長手方向に沿って配置した場合に顕著であるが、トンネル11の長手方向と直交する方向に沿って配置した場合であっても生じ得る。またトンネル11の長手方向と直交する方向に沿ってボード状の吸音材71を配置した場合には、切羽15から坑口12に向けて真っ直ぐに進行する発破音の音波についても、これを吸音材71に衝突させて減衰効果を生じさせることが可能である。
いずれにしても、吸音材71としては、グラスウールを固めた多孔質構造を有するボード状のものが用いられるため、軽量で取り扱い性に優れ、しかも安価な材料を用いて発破音を減衰させることができる。
本実施の形態によれば、トンネル11の施工のために使用するシート張り台車51に吸音材71を取り付けるようにしたので、吸音材71を取り付けるためにトンネル11の施工と無関係な構造物をトンネル11に導入する必要がない。このため作業効率を低下させることなく、発破音を低減することができる。
本実施の形態によれば、トンネル11の坑口12から予め決められた距離以上に切羽15が掘削されたとき、シート張り台車51から吸音材71を取り外すようにしている。このときの予め決められた距離は、例えば吸音材71がなくても坑外騒音レベルが管理基準以下となる掘削距離である。したがって防音壁31による発破音の低減作用を吸音材71によって補完する必要がなくなったときには、速やかに吸音材71を撤去する。この際、吸音材71は軽量で取り扱い性に優れるため、撤去作業の容易化を図ることができる。
また本実施の形態では、シート張り作業を開始するときにもシート張り台車51から吸音材71を取り外し、シート張り作業の邪魔にならないようにする。切羽15で発破をかけるときには再度吸音材71を取り付けることになるが、このような吸音材71の取り付けと取り外しとの繰り返しに際しても、吸音材71は軽量で取り扱い性に優れるため、それらの作業の容易化を図ることができる。
実施に際しては、各種の変更や変形が許容される。例えばトンネルの施工のために使用する構造物は、シート張り台車51に限らず、例えばセントル、仮設足場、工事車両などであってもよい。その他、あらゆる変形や変更が許容される。
前述したとおり、本実施の形態では、トンネル11内に導入したシート張り台車51に吸音材71を取り付けている。しかもボード状の吸音材71を複数枚用意し、空間Sを隔ててトンネル11の長手方向に沿って配置したボード面同士を対面させ、一の吸音材71と他の吸音材71とをシート張り台車51に取り付けている。そこで吸音材71による発破音の低減効果を検証した。
検証は、二種類の実験(実験1と実験2)によって行った。実験1は、疑似的なトンネルを用意して行った模擬的な実験である。実験2は、実際のトンネル内で行った実地検証である。
(実験1)
図11は、検証に使用した実験設備の模式図である。塩化ビニールによる塩ビ管101を5本用意してつなぎ合わせて疑似トンネル102とし、トンネル11を模した環境を作り上げている。塩ビ管101は直径550mm、長さ1000mmのものを用い、5本つなぎ合わせることによって全長5000mmの疑似トンネル102としている。
疑似トンネル102は、一方の端面側を開放面とし、反対側の端面側を閉鎖面としている。開放面は疑似坑口103、閉鎖面は疑似切羽104となる。疑似切羽104側の内部にはスピーカ105を配置し、発破音に相当する音響を発生させるようにした。
図12及び図13に示すように、個々の塩ビ管101の内部には平板状のボード106を配置し、トンネル11の地面Gを模した構造としている。個々の塩ビ管101をつなぎ合わせるに際しては、個々のボード106が同一面内に位置づけられ、地面Gを模した構造物となるように調整している。
実験は、疑似トンネル102の内部にグラスウールによる吸音材111を配置し、スピーカ105から音響を発生させ、受音点131にて受音するというものである。受音点131にはマイクロフォンを配置し、音圧レベルを検出できるようにしている。
図11は、疑似トンネル102の長さ寸法や塩ビ管101をつなぎ合わせた構造を明示する目的から、また実験内容を説明する目的から疑似トンネル102を2本示しているが、実際の実験で用意した疑似トンネル102は1本である。二種類の吸音材111を用意した上で、時間を変えてそれぞれ吸音材111をセットし、吸音材111ごとに異なるデータを取得した。いずれの吸音材111も、疑似トンネル102の内部において、地面Gを模したボード106に載せている。
二種類の吸音材111の一方は、厚さ50mm×幅200mm×高さ225mmに定められた単一の吸音材111aである。図12(a)及び図13(a)に示すように、この吸音材111aは、疑似坑口103から疑似切羽104の方向を望んだとき、右側に寄せて配置した。
二種類の吸音材111のもう一方は、厚さ25mm×幅200mm×高さ225mmに定められた一対の吸音材111bである。したがって二枚合わせると、図12(a)及び図13(a)に示すような単一の吸音材111aと同一の厚さ、幅、及び高さを有することになる。図12(b)及び図13(b)に示すように、この吸音材111bは、疑似坑口103から疑似切羽104の方向を望んだとき、左右対称になるように配置した。
図14は、疑似トンネル102内に吸音材111を配置しない状態、単一の吸音材111aのみを配置した状態、そして一対の吸音材111bを対面配置した状態という三態様について、スピーカ105から発破音に相当する音響を発生させたときの周波数(Hz)ごとの受音点131における音圧レベル(dB)を比較して示している。周波数については、125Hz、250Hz、500Hz、1KHz、2KHz、4KHz、8KHz、16KHzの八通りについてデータを取得した。図14に示すグラフは、これらの周波数ごとの音圧レベルをプロットし、個々のプロット点を結んでいる。実線は吸音材111を配置しないとき、破線単一の吸音材111aのみを配置したとき、そして一点鎖線は一対の吸音材111bを対面配置したときにおけるデータをそれぞれ示している。
図14に示すように、125Hz~500Hzの間は、三つの態様のいずれについても音圧レベルに大きな差は生じない。これに対して500Hzを超え、1KHz以上の周波数帯になると、音圧レベルは、吸音材111を配置しないときよりも吸音材111を配置したときの方が下がることがわかる。
図15は、疑似トンネル102内に吸音材111を配置しないときの音圧レベルに対する低減量(dB)を、単一の吸音材111aのみを配置したときと、一対の吸音材111bを対面配置したときとで比較して示している。図14のグラフと同様に、破線は単一の吸音材111aのみを配置したとき、一点鎖線は一対の吸音材111bを対面配置したときにおけるデータをそれぞれ示している。
単一の吸音材111aのみを配置したときの低減量は、250Hzで0.4dB、500Hzで0.2dB、1KHzで1.1dB、2KHzで1.2dB、4KHzで1.8dB、8KHzで3.7dB、16KHzで1.9dBである。一対の吸音材111bを対面配置したときの低減量は、125Hzで0.8dB、250Hzで0.5dB、500Hzで0.2dB、1KHzで1.0dB、2KHzで1.7dB、4KHzで1.8dB、8KHzで4.7dB、16KHzで2.5dBである。したがって全般的に、音圧レベルは、単一の吸音材111aのみを配置したときよりも、一対の吸音材111bを対面配置したときの方が低下することがわかる。この傾向が顕著なのは、高域周波数帯である。
以上の実験結果より、吸音材111を設けた場合には設けない場合よりも高い音響の減衰効果が得られ、単一の吸音材111aを設けたときよりも一対の吸音材111bを対面させたときの方が音響の低減効果が高くなることが検証された。
(実験2)
実験2は、図1に例示するような実際のトンネル11の内部で行った。この実験では、図9及び図10に例示したように吸音材111を取り付けたシート張り台車51を坑口12の近くに配置し、切羽15の近傍に配置したスピーカ105から発破音に相当する音響を発生させる。そしてシート張り台車51の前後10メートルの地点P1,P2(図1参照)を受音点として、それぞれ受音点にて周波数(Hz)ごとの音圧レベル(dB)を取得した。
吸音材111としては、グラスウールを材料とする厚さ50mmのボード状のものを用い、これを320mの領域に配置した。1mあたり2.4Kgの密度である。
図16に示すグラフは、シート張り台車51に吸音材111を取り付けていない状態で取得したP1地点からP2地点に至る間の音響の減衰量に対して、シート張り台車51に吸音材111を取り付けたことで増大したP1地点からP2地点に至る間の減衰量を周波数ごとに示している。このグラフからは、中音域(250Hz前後)で6dB程度、高音域(500Hz以上)で3dB程度の低減効果があることが見て取れる。
したがって実施実験の結果でも、吸音材111を設けた場合には設けない場合よりも高い音響の減衰効果が得られることが検証された。
11 トンネル
12 坑口
13 坑内
14 レール
15 切羽
31 防音壁
51 シート張り台車
52 土台
53 脚部
54 梁
55 筋交
56 構造要素
57 フレーム構造体
58 車輪
59 足場
59a 下段足場
59aL 補強鋼管
59b 上段足場
59c 上面足場
60 足場板
61a 下段梯子
61b 上段梯子
62 ステップ
63 手摺
63a 下部手摺
63b 上部手摺
64 柵
65 ダクトフレーム
71 吸音材
101 塩ビ管
102 疑似トンネル
103 疑似坑口
104 疑似切羽
105 スピーカ
106 ボード
111 吸音材
111a 吸音材
111b 吸音材
131 受音点
S 空間

Claims (15)

  1. 発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車を導入する工程と、
    前記シート張り台車に吸音材を取り付ける工程と、
    シート張り作業を開始するとき、前記シート張り台車から前記吸音材を取り外す工程と、
    を備えることを特徴とする発破音低減方法。
  2. 発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車を導入する工程と、
    前記シート張り台車に吸音材を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする発破音低減方法。
  3. 前記トンネルの坑口から予め決められた距離以上に前記切羽が掘削されたとき、前記シート張り台車から前記吸音材を取り外す工程をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項2に記載の発破音低減方法。
  4. 前記予め決められた距離は、前記吸音材がなくても坑外騒音レベルが管理基準以下となる掘削距離である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の発破音低減方法。
  5. ボード状の前記吸音材を複数枚用意し、空間を隔ててボード面同士を対面させて一の前記吸音材と他の前記吸音材とを前記シート張り台車に取り付ける、
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一に記載の発破音低減方法。
  6. ボード状の前記吸音材を前記トンネルの長手方向に沿って前記シート張り台車に取り付ける、
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一に記載の発破音低減方法。
  7. ボード状の前記吸音材を前記トンネルの長手方向と直交する方向に沿って前記シート張り台車に取り付ける、
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一に記載の発破音低減方法。
  8. 前記吸音材は、多孔質構造を有している、
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一に記載の発破音低減方法。
  9. 前記多孔質構造を有する吸音材は、グラスウールである、
    ことを特徴とする請求項8に記載の発破音低減方法。
  10. 発破をして切羽を掘削するトンネルの坑内に導入される、このトンネルの施工のために使用するシート張り台車と、
    前記シート張り台車に取り付けられた吸音材と、
    を備えることを特徴とする発破音低減装置。
  11. ボード状の前記吸音材を複数枚設け、空間を隔ててボード面同士を対面させて一の前記吸音材と別の前記吸音材とが前記シート張り台車に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項10に記載の発破音低減装置。
  12. ボード状の前記吸音材が前記トンネルの長手方向に沿って前記シート張り台車に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項10又は11に記載の発破音低減装置。
  13. ボード状の前記吸音材が前記トンネルの長手方向と直交する方向に沿って前記シート張り台車に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項10ないし12のいずれか一に記載の発破音低減装置。
  14. 前記吸音材は、多孔質構造を有している、
    ことを特徴とする請求項10ないし13のいずれか一に記載の発破音低減装置。
  15. 前記多孔質構造を有する吸音材は、グラスウールである、
    ことを特徴とする請求項14に記載の発破音低減装置。
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