JP7145812B2 - 農業用樹脂フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、農業用ハウス、農業用トンネル等の農業用施設に用いられる農業用樹脂フィルムに関する。
一般に、ハウス栽培やトンネル栽培等で使用される温室やトンネル等は、金属パイプ等の骨組みに可撓性樹脂フィルム等の農業用被覆資材を被覆することによって作られている。この農業用被覆資材として、例えば特許文献1には、少なくともフッ素樹脂層(A層)と防曇剤を包含した前期A層と異なる樹脂層(B層)とを有するフィルムからなる複合農業用被覆資材が提案されている。
しかし、特許文献1に記載のフィルムは、フッ素樹脂層を有するため、防汚性に優れるものの、フッ素樹脂として融点が高いエチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体が用いられているため、フィルムの成形性が悪く、該フッ素樹脂層と、該フッ素樹脂層と異なる樹脂層とを複層化することが困難であるという問題があった。
そこで、樹脂層間に接着層を設けたり、表面加工、押し出しラミネート等の方法が提案されてきた(例えば、特許文献2~4参照)。
特開平7-1684号公報 国際公開第2017/175824号パンフレット 特開2007-145025号公報 特開平9-076428号公報
しかし、上記方法では、フィルムの性能が悪くなる場合や、フィルムの広幅化が困難である等の不都合があった。また、作業工数やコストの増加を招く要因となっていた。
そこで、本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、樹脂層間に接着層を設けたり、表面加工、押し出しラミネート等の方法を用いなくても、成形性がよく、フッ素樹脂層とフッ素を含まないポリオレフィン系樹脂層とが剥離し難く、防汚性に優れる、フッ素樹脂を用いた農業用樹脂フィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の農業用樹脂フィルムは、樹脂成分として融点が200℃以下であるテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体を含む樹脂材料からなる第1層と、前記第1層に接し、樹脂成分として酢酸ビニル含有量が10質量%以上であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂材料からなる第2層とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、樹脂層間に接着層を設けたり、表面加工、押し出しラミネート等の方法を用いなくても、成形性がよく、フッ素樹脂層とフッ素を含まないポリオレフィン系樹脂層とが剥離し難く、防汚性に優れる。
本発明の農業用樹脂フィルムの第1の実施形態を示す断面図である。 本発明の農業用樹脂フィルムの第2の実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る農業用樹脂フィルムを図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(第1の実施形態)
(農業用樹脂フィルム)
図1に示すように、本実施形態に係る農業用樹脂フィルム1は、第1層2と、第2層3とを備えた2層構造のフィルムである。
<第1層>
第1層2は、農業用施設に展設された際には、太陽光の当たる側、即ち該施設の外側に面する外面層(最外層)である。また、第1層2は、第2層3の機能を妨げることなく、第2層3を保護する層であることから、光透過性を有する層にする。また、第1層2は、長期展張時にフィルムの汚れによる光線透過量の低下を抑制する層であることから、防汚性を有する層にする。
ここで、第1層2は、上記性能(光透過性、防汚性)を発現させるために、樹脂成分として融点が200℃以下であるテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体(THV)(以下、「特定のTHV」ともいう。)を含む樹脂材料からなる層である。
なお、第1層2は、樹脂成分として特定のTHVを単独で含む(換言すると、樹脂成分が特定のTHVのみである)樹脂材料からなる層であることが好ましい。
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体は、他のフッ素樹脂(例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン系共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)と比較して、融点が低く、柔軟性が高い。
このテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体の中でも、融点が200℃以下のもの(即ち、特定のTHV)であれば、第1層2と、第2層3(第1層2とは異なり、フッ素を含まないポリオレフィン系樹脂層)とが剥離し難くなる。その結果、農業用樹脂フィルム1の成形性が向上し、該フィルム1の複層化も容易になる。また、農業用樹脂フィルム1の成形時(例えば、熱プレス、インフレーション成形等)にフッ素(F)ガスが生じ難い。これにより、該フィルム1を製造する設備等への腐食性が抑制されると共に、作業者への影響が少なく、安全に該フィルム1を成形することができる(成形性がよい)。
また、特定のTHVの中でも、融点が150℃以上のもの、即ち、融点が150℃以上200℃以下であるテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体が好ましい。融点が150℃以上であれば、農業用樹脂フィルム1のべたつきが抑制され、その結果、該フィルム1に汚れが付着し難くなると共に、該フィルム1の取り回しがよくなる。
また、特定のTHVは、メルトマスフローレート(MFR)が8~25g/10分のものが好ましく、8~15g/10分のものがより好ましい。メルトマスフローレートが上記範囲であれば、押出機内における過負荷等がなく問題なく押し出しすることが可能である。
また、特定のTHVは、密度が1.9~2.1g/cm以上のものが好ましく、1.96~2.0g/cm以上のものがより好ましい。これにより、農業用樹脂フィルム1のべたつきが抑制されて該フィルム1に汚れが付着し難くなる。
なお、第1層2を構成する樹脂材料は、第1層2に求められる上記性能を損なわない範囲で、特定のTHV以外のフッ素樹脂(例えば、特定のTHV以外のテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリオレフィン系樹脂、他の公知の添加剤等を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、ヒンダードアミン系の光安定剤や紫外線吸収剤等の耐候剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤等が挙げられ、特に、長期使用に耐え得る農業用樹脂フィルム1を得る観点から、耐候剤を添加剤として有することが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系のもの等が挙げられる。添加剤の配合量は、例えば、第1層2の樹脂成分100質量部に対して、0.05~1質量部である。
第1層2の厚さは、フィルムの重量を低減し、展張作業性を向上させる観点から、好ましくはフィルム全体の厚さの1~50%である。
<第2層>
第2層3は、農業用施設に展設された際には、該施設の内側に面する内面層であり、第1層2に接する層である。この第2層3は、第1層2を補強する層である。なお、第2層3は、非発泡の層である。
また、第2層3は、第1層2の柔軟性を補うために、柔軟性を有する層にする。また、第2層3は、農業用樹脂フィルム1の成形性をよくするために、第1層2との層間接着力に優れる層にする。
なお、本明細書において、成形性がよいとは、第1層2と第2層3との層間が剥離し難く、且つ農業用樹脂フィルム1の成形時にフッ素ガスが生じ難いものをいう。
ここで、第2層3は、上記性能(強度、柔軟性、成形性)を発現させるために、樹脂成分として酢酸ビニル含有量が10質量%以上であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)(以下、「特定のEVA」ともいう。)を含むポリオレフィン系樹脂材料からなる層にする。換言すると、第2層3は、フッ素を含まないポリオレフィン系樹脂層である。
また、第2層3は、ポリオレフィン系樹脂成分として特定のEVAを単独で含む(換言すると、樹脂成分が特定のEVAのみである)樹脂材料からなる層であることが好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量10~30質量%のものが好ましく、酢酸ビニル含有量10~25質量%のものがより好ましい。酢酸ビニル含有量が10質量%以上であれば、第1層2との層間接着力が高く、農業用樹脂フィルム1の成形性がよくなる。酢酸ビニル含有量が30質量%以下であれば、得られる農業用樹脂フィルム1に腰があり、しなやかで丈夫なため、展張時のとりまわしも良好である。
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体は、融点100℃以下のものが好ましい。融点が100℃以下であれば、成形性が良好である。
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体は、メルトマスフローレート0.4~10g/10分のものが好ましい。メルトマスフローレートが0.4g/10分以上であれば、成形速度を上げられるため、効率よく生産することができる。メルトマスフローレートが10g/10分以下であれば、農業用樹脂フィルム1の形状が維持され、製膜性が向上する。
なお、第2層3を構成する樹脂材料は、保温性を高める観点から、保温剤(遠赤外線吸収剤)を含んでいてもよい。保温剤としては、例えば、ハイドロタルサイト類化合物、無機酸化物、無機水酸化物等が挙げられる。保温剤の配合量は、農業用樹脂フィルム1の強度を保持しつつ、保温性を向上させる観点から、第2層3を構成する各層の樹脂成分100質量部に対して、好ましくは1~20質量部であり、より好ましくは3~10質量部である。
また、第2層3を構成する樹脂材料は、農業用樹脂フィルム1に防曇性を付与するために、防曇剤を含んでいてもよい。防曇剤としては、例えば、多価アルコール(ソルビタン系、グリセリン系、ジグリセリン系等)と脂肪酸との部分エステル、またはこれらとアルキレングリコールとの縮合物等が挙げられる。なお、防曇剤の配合量は、第2層3の樹脂成分100質量部に対して、1~5質量部が好ましく、1.2~3質量部がより好ましい。
また、第2層3を構成する樹脂材料は、農業用樹脂フィルム1に防霧性を付与するために、防曇剤と共に、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を含んでいてもよい。
また、第2層3を構成する樹脂材料は、第2層3に求められる上記性能を損なわない範囲で、酸化チタン顔料、カーボンブラック顔料、アルミニウム顔料等の顔料を含んでいてもよい。
また、第2層3を構成する樹脂材料は、第2層3に求められる上記性能を損なわない範囲で、特定のEVA以外のポリオレフィン系樹脂(例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等)、他の公知の添加剤等を含んでいてもよい。添加剤としては、上記と同様のものが挙げられる。添加剤の配合量は、特に限定されず、例えば、第2層3を構成する樹脂成分100質量部に対して、0.05~1質量部である。
第2層3の厚さは、農業用樹脂フィルム1に腰があり、しなやかで丈夫なため、展張時のとりまわしを向上させる観点から、好ましくはフィルム全体の厚さの50~99%である。
(製造方法)
農業用樹脂フィルム1は、例えば、予め第1層及び第2層を構成するフィルムをそれぞれ製造し、得られた2枚のフィルムを接合し、積層することによって製造することができる。接合方法としては、例えば、熱プレス法、熱エンボス接着法、ホットメルト接着剤による接着、超音波接着法、高周波接着法等が挙げられる。
また、農業用樹脂フィルム1は、インフレーション法によって製造することもできる。具体的には、第1層及び第2層を構成する溶融状態の各樹脂材料をダイからチューブ状に共押出し、空気の圧力によって内側から膨張させた後、冷却することによって、農業用樹脂フィルム1を製造できる。
各層を構成する溶融樹脂の共押出の方法としては、例えば、溶融樹脂をダイの手前で接触させるダイ前積層法、ダイの内部で接触させるダイ内積層法、ダイの同心円状の複数のリップから吐出した後に接触させるダイ外積層法等が挙げられる。
得られた農業用樹脂フィルム1の厚さ(第1層及び第2層の厚さの合計)は、強度と取扱性の点から、50~400μmが好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2は、第2の実施形態に係る農業用樹脂フィルム10を示す。なお、後述する第3層4以外の農業用樹脂フィルム10の全体構成は、上記第1の実施形態の場合と同じであるため、ここでは詳しい説明を省略する。また、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態では、第2層3の、第1層2と接する側とは反対側の表面に、樹脂成分として直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂材料からなる第3層4が積層されている点に特徴がある。
<第3層>
第3層4は、農業用施設に展設された際には、該施設の内側に面する内面層(最内層)である。従って、本実施形態では、第2層3は、第1層2と第3層4との間に設けられた中間層となる。なお、上述したように、第1層2と第2層3との層間接着力が高く、フィルムの複層化が容易になった結果、農業用樹脂フィルム10は、第3層4をさらに有することが可能になった。
この第3層4は、第2層3と同様に、第1層2を補強する層である。また、第3層4は、第2層3の機能を妨げることなく、第2層3を保護する層であることから、光透過性を有する層にする。
第3層4を構成する樹脂材料に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン等が挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
直鎖状低密度ポリエチレンとしては、例えば、メタロセン系触媒又はチグラー触媒を用いて製造された線状低密度ポリエチレン等が挙げられる。この線状低密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとのランダム共重合体やブロック共重合体等を用いることができる。α-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン-1、3-メチルブテン-1、ペンテン-1、3-メチルペンテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1等が挙げられる。なお、α-オレフィンは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この直鎖状低密度ポリエチレンは、メルトマスフローレートが0.2g/10分以上のものが好ましい。メルトマスフローレートが0.2g/10分以上であれば、押出機内における過負荷がなく問題なく押し出しすることが可能である。
また、直鎖状低密度ポリエチレンは、融点100~150℃のものが好ましい。融点が100~150℃であれば、成形性が良い。
また、直鎖状低密度ポリエチレンは、密度0.91g/cm以上のものが好ましい。これにより、農業用樹脂フィルム10のべたつきが抑制されて該フィルム10に汚れが付着し難くなる。なお、密度の上限値は、透明性を向上させる観点から、0.940g/cm以下である。
エチレン-酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量5~30質量%のものが好ましく、酢酸ビニル含有量10~25質量%のものがより好ましい。酢酸ビニル含有量が5質量%以上であれば防曇性塗膜との密着性が良好である。酢酸ビニル含有量が30質量%以下であれば、得られる農業用樹脂フィルム10に腰があり、しなやかで丈夫なため、展張時のとりまわしも良好である。
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体は、メルトマスフローレート0.4~10g/10分のものが好ましい。メルトマスフローレートが0.4g/10分以上であれば、成形速度を上げられるため、効率よく生産することができる。メルトマスフローレートが10g/10分以下であれば、農業用樹脂フィルム10の形状が維持され、製膜性が向上する。
低密度ポリエチレンとしては、例えば高圧法低密度ポリエチレン等が挙げられる。この高圧法低密度ポリエチレンは、密度0.935g/cm以下のものが好ましく、0.910~0.935g/cmのものを好適に用いることができる。
ここで、第3層4は、農業用樹脂フィルム10の強度をより一層向上させる観点から、樹脂成分として直鎖状低密度ポリエチレンを含むポリオレフィン系樹脂材料からなる層であってもよく、ポリオレフィン系樹脂成分として直鎖状低密度ポリエチレンを単独で含む(換言すると、樹脂成分が直鎖状低密度ポリエチレンのみである)樹脂材料からなる層であってもよい。
なお、第3層4を構成する樹脂材料は、農業用樹脂フィルム10に防曇性を付与するために、防曇剤を含んでいてもよい。防曇剤としては、上記と同様のものが挙げられる。なお、防曇剤の配合量は、第3層4の樹脂成分100質量部に対して、1~5質量部が好ましく、1.2~3質量部がより好ましい。
また、第3層4を構成する樹脂材料は、農業用樹脂フィルム10に防霧性を付与するために、防曇剤と共に、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を含んでいてもよい。
また、第3層4を構成する樹脂材料は、第3層4に求められる上記性能を損なわない範囲で、他の公知の添加剤等を含んでいてもよい。添加剤としては、上記と同様のものが挙げられる。添加剤の配合量は、例えば、第3層4の樹脂成分100質量部に対して、0.01~20質量部である。
本実施形態では、インフレーション成形での成形性を向上させる観点から、第1層2の厚さはフィルム全体の1~50%であり、第2層3と第3層4の厚さの合計は、好ましくはフィルム全体の50~99%である。
(製造方法)
本実施形態に係る農業用樹脂フィルム10は、インフレーション法によって製造することが好ましい。
得られた農業用樹脂フィルム10の厚さは、強度と取扱性の点から、50~400μmが好ましい。
(その他の実施形態)
本発明の農業用樹脂フィルム1,10は、図示例のものに限定されない。例えば、上記第2の実施形態では、第3層4が1層で構成されているが、2層以上でもよい。第3層が2層以上で構成されている場合、該第3層のうち少なくとも1層が、樹脂成分として直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂材料からなる層で構成されていればよい。
上記各実施形態では、第1層2及び第3層4は、光透過性を有する層であるが、光透過性を有する層でなくてもよい。
上記各実施形態では、第1層、第2層及び第3層のいずれも非発泡の層であるが、第2層3は、樹脂材料を発泡させてなる層(発泡層)でもよい。
また、本発明の農業用樹脂フィルム1,10においては、農業用施設に展設された際に、該施設の最も内側に面する最内層の表面に、熱可塑性樹脂バインダーと無機質コロイドゾルとからなる防曇性塗膜を設けてもよい。これにより、該フィルム1,10に安定した防曇性を付与できる。
(実施例1)
<フィルムの製造>
まず、表1に示す各樹脂成分を用い、実施例1の第1層及び第2層を構成するフィルムをそれぞれ製造した。より具体的には、インフレーション装置を用いて、ダイの同心円状のリップから各樹脂材料を溶融状態にて共押出し、空気の圧力によって内側から膨張させた後、冷却し、巻き取り、1層の樹脂フィルムとした。
次に、加熱プレス機〔(株)小平製作所製、品番:PY-125〕を用い、温度:250℃、圧力:50kg/cm、時間:5分間、縦:100mm、横:100mm、厚さ:80μmの条件にて、上記で得られた2枚の樹脂フィルムを重ねて熱プレスした。これにより、第1層と、第1層に接着された第2層とを有する農業用樹脂フィルムを製造した。なお、第1層の厚さ:40μm、第2層の厚さ:40μm、及び合計の厚さ:80μmの2種2層の農業用樹脂フィルムを製造した。
<フィルムの評価>
上記で得られた実施例1の農業用樹脂フィルム(以下、単にフィルムともいう)の性能を以下の方法に基づいて評価した。
(層間剥離)
実施例1で得られたフィルムから、幅:10mm、長さ:100mmの長方形状の層間剥離試験用の試験片を採取した。次に、上記試験片を精密万能試験機〔(株)島津製作所製、品番:オートグラフAG-500D〕に正確に取り付けた。試験速度は毎分200±20mmとし、該試験片の幅が5mmになるまで延伸し、延伸させた試験片の、第1層と第2層との層間における剥離の有無を目視で確認した。
(強度)
上記層間剥離試験において、層間剥離以外の上記試験片の破損(例えば、ちぎれ、裂け等)の有無を目視で確認し、破損が無いものを強度に優れる(○)とし、破損が有るものは強度が不十分(×)と評価した。その結果を表1に示す。
(成形性)
上記層間剥離試験において、第1層と第2層との層間で剥離が確認されず、且つ熱プレス時にフッ素ガスが生じるおそれがないものを成形性がよい(○)とし、それ以外は成形性に劣る(×)と評価した。その結果を表1に示す。
(防汚性)
実施例1で得られたフィルムを実曝露にて確認した。より具体的には、上記フィルムを角度20度の屋外曝露台上に12ケ月間曝露し、曝露後のフィルムの外観を目視で確認し、以下の評価基準に基づいて該フィルムの防汚性を評価した。なお、観察面は、第1層の表面とした。その結果を表1に示す。
(評価基準)
○:曝露当初の状態と大差ない(塵埃が付着していない)。
△:塵埃が少し付着している。
×:塵埃が著しく付着している。
(べたつき)
JIS K 7125に準拠して、実施例1で得られたフィルムの摩擦係数試験を行い、静摩擦力を測定し、以下の評価基準に基づいて該フィルムのべたつきを評価した。より具体的には、試験片のサイズは80×200mmとし、接触面積40cm(一辺の長さ:63mm)の正方形の滑り片とし、2つの試験片の第1層の面同士を接触させ、静摩擦力を測定した。その結果を表1に示す。なお、装置は摩擦摩耗試験機〔新東科学(株)製、品番:HEIDON TYPE40〕を用いた。
(評価基準)
べたつき無し:静摩擦力が2kgf未満である。
べたつき有り:静摩擦力が2kgf以上である。
(実施例2、3、及び比較例1~6)
各樹脂成分を、表1に示す、実施例2、3、及び比較例1~6の樹脂成分に変更したこと以外は、上述の実施例1と同様にして、農業用樹脂フィルムを製造し、該フィルムの評価を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 0007145812000001
表1に記載の各樹脂成分は、以下のとおりである。
(フッ素樹脂)
THV1:MFR20g/10min、融点120℃、密度1.95g/cm〔スリーエム ジャパン(株)製、品番:THV 221GZ〕
THV2:MFR10g/10min、融点165℃、密度1.98g/cm〔スリーエム ジャパン(株)製、品番:THV 500GZ〕
THV3:MFR12g/10min、融点225℃、密度2.06g/cm〔スリーエム ジャパン(株)製、品番:THV 815GZ〕
ETFE:MFR11g/10min、融点255℃、密度1.77g/cm〔ダイキン工業(株)製、品番:EP-526〕
(ポリオレフィン系樹脂)
EVA5:酢酸ビニル単位含有量5重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体、MFR1.4g/10分、融点105℃、密度0.93g/cm〔(株)NUC製、品番:NUC-3223〕
EVA15:酢酸ビニル単位含有量15重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体、MFR1.1g/10分、融点90℃、密度0.94g/cm〔(株)NUC製、品番:NUC-8452D〕
EVA20:酢酸ビニル単位含有量20重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体、MFR1.5g/10分、融点92℃、密度0.94g/cm〔東ソー(株)製、品番:ウルトセン631〕
LDPE:高圧法低密度ポリエチレン、MFR0.7g/10min、融点110℃、密度0.919g/cm〔(株)NUC製、品番:NUC-8323〕
LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、MFR1.0g/10min、融点122℃、密度0.923g/cm〔日本ポリエチレン(株)製、品番:UF332〕
(実施例4)
<フィルムの製造>
まず、表1に示す、実施例4の各樹脂成分からなる樹脂材料を用意した。次に、3種3層のインフレーション装置を用いて、ダイの同心円状内側から順に、第1層、第2層及び第3層となるように、ダイの同心円状の複数のリップから上記各層を構成する樹脂材料を溶融状態にて共押出し、空気の圧力によって内側から膨張させた後、冷却し、巻き取った。これにより、第1層の厚さ:30μm、第2層の厚さ:30μm、第3層の厚さ:90μm、及び合計の厚さ:150μmの3種3層の農業用樹脂フィルムを製造した。
<フィルムの評価>
上記で得られた実施例4の農業用樹脂フィルム(以下、単にフィルムともいう)の性能を、上述の実施例1と同様にして評価した。その結果を表2に示す。
なお、成形性は、上記層間剥離試験において、第1層と第2層との層間で剥離が確認されず、且つインフレーション成形時にフッ素ガスが生じるおそれがないものを成形性がよい(○)とし、それ以外は成形性に劣る(×)と評価した。
(実施例5及び比較例7)
各樹脂成分を、表2に示す、実施例5及び比較例7の樹脂成分に変更したこと以外は、上述の実施例4と同様にして、農業用樹脂フィルムを製造し、該フィルムの評価を行なった。その結果を表2に示す。
Figure 0007145812000002
なお、表2に記載の各樹脂成分は、上記と同じである。
表1及び表2に示すように、実施例1~5の農業用樹脂フィルムは、いずれも、第1層は樹脂成分として特定のTHVを含む樹脂材料からなり、且つ第1層に接する第2層は樹脂成分として特定のEVAを含むポリオレフィン系樹脂材料からなるため、比較例1~7のフィルムに比して、成形性がよく、第1層(フッ素樹脂層)と第2層(フッ素を含まないポリオレフィン系樹脂層)とが剥離し難く、防汚性に優れることが分かる。
より具体的には、表1に示すように、2層構造の農業用樹脂フィルムにおいて、実施例1~3は、比較例1~5に比して、成形性がよく、第1層と第2層とが剥離し難いことが分かる。また、実施例1~3は、第1層が高圧法低密度ポリエチレンからなる比較例6に比して、防汚性に優れることが分かる。
また、表2に示すように、3層構造の農業用樹脂フィルムにおいて、実施例4及び5は、第1層が直鎖状低密度ポリエチレンからなる比較例7に比して、防汚性に優れることが分かる。
なお、実施例2~4は、第1層が融点150℃以上200℃以下であるテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体を含む樹脂材料からなるため、フィルムのべたつきが抑制されていることが分かる。
以上説明したように、本発明は、農業用樹脂フィルムに適している。
1,10 農業用樹脂フィルム
2 第1層
3 第2層
4 第3層

Claims (2)

  1. 樹脂成分として融点が200℃以下であるテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体を含む樹脂材料からなる第1層と、
    前記第1層に接し、樹脂成分として酢酸ビニル含有量が10質量%以上であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を含むポリオレフィン系樹脂材料からなる第2層と
    を備えることを特徴とする農業用樹脂フィルム。
  2. 前記第2層の、前記第1層と接する側とは反対側の表面に積層され、樹脂成分として直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂材料からなる第3層を備えることを特徴とする請求項1に記載の農業用樹脂フィルム。
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