JP7145588B2 - 電動送風機及びそれを備えた電気掃除機 - Google Patents
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Description
前記第1列目の羽根の後縁と第2列目の羽根の前縁を半径方向に間隔ΔR=0.05L乃至0.4Lだけ離して配設したことを特徴とする遠心又は斜流形ポンプの羽根付きディフューザ。但し、Lは第1列目の羽根の弦の長さである。」と記載されている。
電動送風機の吸込口から、流入した空気は、羽根車で昇圧及び増速され、ディフューザ翼により減速されることによって、ディフューザに流入した空気のもつ運動エネルギーが圧力エネルギーに変換され静圧が上昇する。
羽根付ディフューザは設計点風量において優れた圧力回復を行うことが出来るが、非設計点風量においては、ディフューザ羽根の入口角と空気流れのディフューザへの流入角の不一致によりディフューザ性能が低下する。そのため、電気掃除機の吸引力は設計点風量で高いが、非設計点風量では低下する課題があった。
コードレススティック型もしくは自律走行型のような電池(2次電池)で駆動する掃除機は、電動送風機の消費電力が小さく、最大風量も小さい。そのため、フィルタの目詰り時にごみ搬送能力が低下し、掃除機の吸引力が低下する課題があった。さらに、コードレススティック型もしくは電池(2次電池)で駆動する掃除機は、小型で軽量であることが求められ、掃除機に搭載される電動送風機は広い風量範囲で吸引力が強いこと、小型であることの両立が求められる。
特許文献1は、「遠心又は斜流形の液体ポンプ、気体ブロワ、圧縮機等(本明細書においてはこれらを総称して「ポンプ」と称する)の、羽根付きディフューザに関するものである。」と記載されており、特許文献1には羽根付きディフューザを搭載した遠心圧縮機が記載されている。遠心圧縮機は羽根車(インペラ)から流出される流体の運動エネルギーを効率よく、静圧に変換するために羽根車の外周部にディフューザ翼が半径方向に二列設置され、ディフューザ翼の外径より大きい位置に、羽根なしディフューザと径方向流れを軸方向流れに転向する戻り流路が設置されている。なお、特許文献1の遠心圧縮機には遠心羽根車に近いディフューザ翼が、他のディフューザ翼よりも小さいことが示されている。特許文献1の遠心圧縮機は、ディフューザ翼の外周部に羽根無しディフューザが形成され、さらに外周部に戻り流路(ケーシングにより軸方向に曲げられる流路)が存在しており、掃除機に搭載される電動送風機に特許文献1の技術を適用する際には送風機が大きくなり、製品が大きくなってしまう課題があった。また、ディフューザとケーシングからなる戻り流路を隣接させた場合は送風機効率が低下する可能性がある。
掃除機本体100は保持部102から取り外しハンディ掃除機として使用することができ、掃除機本体100には本体グリップ部110と吸口開口111が備えられている。112(図10)はハンディ掃除機として使用するときの電動送風機200の入切を行う本体スイッチ部である。なお、本体スイッチ112は掃除機本体100を保持部102に取り付けているときでも操作することができる。なお、図10、図11には吸口開口111と接続部106が取り外し可能なコードレス掃除機を示しているが、電池を搭載していない電源コード付きの掃除機でも良い。
ファンケーシング3の内面3aと仕切板2の外周端2aとの間で、円環流路25を形成している。仕切板2にはディフューザ翼23が回転軸5を中心とし周方向に複数枚設置されている。また、ディフューザ翼23の外周部に、後段のディフューザ翼24が回転軸5を中心とし周方向に複数枚設置されている。ディフューザ翼24の後縁24bは仕切板2の外周端2aから円環流路に突出している。
なお、ファンケーシング3の内面3aと仕切板2の外周端2aとの間で形成される円環流路の面積は、遠心羽根車1の出口面積よりも大きくなるように設定している。これにより、円環流路部での流速の増加、円環流路部での損失が増加するのを抑制している。また、仕切板2のディフューザ翼23は、設計点において、遠心羽根車1から流出した流れと翼入口角度を略一致させており、ディフューザ翼23により、流れの回転方向速度成分を減少させることで、ディフューザ効果を高め、送風機効率を向上している。また、ディフューザ翼23の外周に設置されたディフューザ翼24は、ディフューザ翼23から流出された流れの回転方向速度成分を更に減少させることで、円環流路や電動機内部で生じる圧力損失の抑制が可能で、更なる送風機効率の向上が可能である。
また、仕切板2を遠心羽根車1の裏面である電動機部202側に設置することで、遠心羽根車1による電動機部202内の空気流れの乱れを抑制することで電動機部202の流路損失の増加を抑え、また遠心羽根車1の円板摩擦損失を低減することができる。
ファンケーシング3の端部には突起20が設けられ、ファンケーシング3をハウジング6に固定する取付穴21が設けられている。ハウジング6の送風機部201側の端部には爪状突起22が設けられ、ファンケーシング3の取付穴21と嵌合接続される。
ここで、ディフューザ翼形状について説明する。ディフューザ翼23の翼弦長C(ディフューザ翼23の前縁23aから後縁23bを結ぶ長さ)は、ディフューザ翼24の翼弦長D(ディフューザ翼24の前縁から後縁を結ぶ長さ)に比べて長く、遠心羽根車に近いディフューザ翼23で流れの転向を大きくしている。また、ディフューザ翼23と、後段のディフューザ翼24の周方向位置は、ディフューザ翼23の後縁23bと回転軸中心5aを結ぶ線と、ディフューザ翼24の前縁24aと回転軸中心5aを結ぶ線とでなす角θがディフューザ翼の周方向取付間隔(360゜を翼枚数で除した値)の約9%となるようにし、かつ後段のディフューザ翼24の前縁24aがディフューザ翼23の後縁23bに比べて反回転方向に位置するように設置している。
また、ディフューザ翼の最大厚さtをディフューザ翼弦長Cで割った最大厚さ比は10~25%の間とし、ディフューザ翼23とディフューザ翼24で同一の値としている。すなわち、遠心羽根車に近いディフューザ翼23の最大翼厚さは、後段のディフューザ翼24に比べて厚くしている。これにより、設計点風量に比べて低風量側の運転条件で生じやすい旋回失速などの不安定現象時で運転する場合でも、繰り返し応力による翼の破損の防止が可能である。
図4~5を用いて説明したディフューザ翼23は仕切板2と、ディフューザ翼24はファンケーシングと一体で形成され、遠心羽根車に近いディフューザ翼23と後段のディフューザ翼23は異なる部位で形成されている。また、ファンケーシング3とディフューザ翼23の接触面3bに、シール材や異なる柔らかい材質(例えば、合成ゴム)を用いて接触させることで、ディフューザ翼間の漏れ流れの抑制が可能となり、高効率化が可能である。また、仕切板2とディフューザ翼24が接触する面においても、シール材や異なる柔らかい材資を用いて接触させることで、ディフューザ翼間の漏れ流れの抑制が可能となり、高効率化が可能である。
また、ディフューザ翼23および24の翼枚数と、ファンケーシング3の端部の突起20および、ファンケーシング3をハウジング6に固定する取付穴21の個数は、互いの最大公約数で構成され、ディフューザ翼23および24の周方向位置が所定の位置になるようにし、組立時の周方向位置の間違いが生じないように量産性の向上を図っている。
また、本実施例のディフューザ翼枚数は15枚を示しているが、13~19枚でもよい。なお、ディフューザ翼枚数が多い場合は、遠心羽根車に近いディフューザ翼23と後段のディフューザ翼24の羽根長さや最大厚さは略同じでもよい。
ここで、図6にディフューザ翼23とディフューザ翼24を備えた本実施例の送風機と、ディフューザ翼23のみの送風機を、個々に電動機と組み合わせて実験した電動送風機効率の比較を示す。なお、図6は横軸に設計点風量を1とした無次元風量を、縦軸に電動送風機効率の実験結果を示す。ここで、図6の電動送風機効率の定義は吸込体積流量と圧縮性係数と送風機圧力との積を,電動送風機の入力で除したものである。図6から実施例のディフューザ翼を搭載した送風機は、ディフューザ翼23のみの送風機に比べて無次元風量1(設計点風量)での効率向上と、無次元風量より大風量側において、送風機効率が向上できることがわかる。すなわち、後段に設置したディフューザ翼24を搭載することで、広い運転範囲で効率を高く維持できることがわかる。
本実施の形態例では、ディフューザ翼24の高さ方向の形状は、ファンケーシング3の吸込開口28側から仕切板2に向け形成され、ファンケーシング3と一体で成形されている。また、ディフューザ翼24の後縁24bは仕切板2の外周端2aから円環流路に突出し、ファンケーシングの内面3aと2mm以下の隙間を形成している。なお、ディフューザ翼24の後縁24bとファンケーシング3の内面3aの隙間が2mm以下であれば、ディフューザ翼24の後縁側の流れの回転方向速度成分を減少でき、戻り流路および電動機部で生じる流れの損失が可能である。
以上説明したように、ディフューザ翼とファンケーシングからなる戻り流路を隣接させた場合においても、ディフューザ翼23の翼弦長を外周に設置されたディフューザ翼24に比べて略同一以上とすることにより、ディフューザ翼23から流出された流れの回転方向速度成分を更に減少させディフューザ効果と、円環流路や電動機内部で生じる圧力損失の抑制により、送風機効率の向上に寄与でき、広い風量域において高効率な小型軽量の電動送風機を得ることができる。
本実施の形態例では、ディフューザ翼23とディフューザ翼24を仕切板と一体成型している。ディフューザ翼23とディフューザ翼24を仕切板2と一体で成型する場合は、遠心羽根車1に近いディフューザ翼23の後縁23bと、後段のディフューザ翼24の前縁24aの最短隙間を1mm以上とすることで、樹脂成型時の翼形状の欠けや型への樹脂残りを緩和することができる。なお、ディフューザ翼23および24はファンケーシングと一体で成型してもよい。
また、ディフューザ翼23および24を仕切板2と一体成型する場合は、ファンケーシング3とディフューザ翼の接触面3bに、シール材や異なる柔らかい材質(例えば、合成ゴム)を用いて接触させることで、ディフューザ翼間の漏れ流れの抑制が可能となり、高効率化が可能である。なお、ディフューザ翼をファンケーシングと一体で成型した場合は、仕切板2とディフューザ翼が接触する面に、シール材や異なる柔らかい材資を用いて接触させれば、同一の効果が得られる。
次に、図9は第1~3の実施形態例に記載したディフューザ翼(遠心羽根車側のディフューザ翼の翼弦長が、後段のディフューザ翼に比べて長い)と、従来技術のディフューザ翼(遠心羽根車側のディフューザ翼の翼弦長が、後段のディフューザ翼に比べて短い)を設置した場合の送風機効率の比較を示す。なお、図9は横軸に設計点風量を1とした無次元風量を、縦軸に流れ解析を用いて、風量を変化させた場合の送風機効率を算出した結果を示す。ここで、図9の送風機効率の定義は吸込体積流量と圧縮性係数と送風機圧力との積を,インペラ動力で除したものである。
図9から実施例に記載したディフューザ翼は、従来技術に比べて無次元風量1(設計点風量)での効率向上と、無次元風量が1以下の低風量側において、送風機効率が向上できることがわかる。すなわち、ディフューザ翼とファンケーシングからなる戻り流路を隣接させた場合においても、広い運転範囲で効率を高く維持できることから、広い風量域において高効率な小型軽量の電動送風機を提供すると共に、広い風量域において吸引力を向上した小型の電気掃除機の提供が可能である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分りやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部については、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
2 仕切板
2a 仕切板の外周端
3 ファンケーシング
3a ファンケーシングの内面
3b ファンケーシングの内面でディフューザ翼が設置する面
4 空気吸込口
5 回転軸
5a 回転軸中心
6 ハウジング
7 ロータコア
8 ステータコア
9 ステータ巻線
10 軸受
11 軸受
12 ばね
13 軸受カバー
13a 冷却フィン
14 支持部
15 ねじ穴
16 ねじ
17 開口
18 排気口
19 ステータコア固定ねじ
20 突起
21 取付穴
22 爪状突起
23 遠心羽根車側のディフューザ翼
23a 遠心羽根車側のディフューザ翼の前縁
23b 遠心羽根車側のディフューザ翼の後縁
24 後段のディフューザ翼
24a 後段のディフューザ翼の前縁
24b 後段のディフューザ翼の後縁
25 円環流路
26 ハブ板
26a 凸部
27 羽根
28 吸込開口
29 凹状溝
30 貫通穴
31 ボス
31a ボス曲面
32 爪
33 シュラウド板
100 電気掃除機本体
200 電動送風機
201 送風機部
202 電動機部
Claims (3)
- 回転子及び固定子を備えた電動機と、一端が開口し前記電動機を収容するハウジングと、前記回転子に設けられた回転軸と、該回転軸に固定された回転翼と、該回転翼の前記電動機側に配置された仕切板と、前記ハウジングの開口側に設けられ、前記回転翼の外周部に半径方向に設けられた複数列のディフューザ翼と、前記ディフューザ翼を覆うファンケーシングとを備え、前記ファンケーシングの内面と前記仕切板の外周端との間で円環流路が形成され、
前記回転翼側の前段の前記ディフューザ翼と、前段の前記ディフューザ翼の外周部には前段の前記ディフューザ翼と同一枚数の後段の前記ディフューザ翼とが設置され、
前段の前記ディフューザ翼の翼弦長が、後段の前記ディフューザ翼の翼弦長よりも長く、
後段の前記ディフューザ翼の前縁が前段の前記ディフューザ翼の後縁に比べて反回転方向に位置するように設置し、
前段の前記ディフューザ翼と後段の前記ディフューザ翼とは、前記ディフューザ翼の最大厚さを前記ディフューザ翼の弦長で割った最大厚さ比が10~25%の間であることを特徴とする電動送風機。 - 前記回転翼側の前段の前記ディフューザ翼は前記仕切板と一体で形成され、後段の前記ディフューザ翼は前記ファンケーシングと一体で形成され、
前記ファンケーシング3と前段の前記ディフューザ翼とが接触する面は、シール材または異なる柔らかい材質を用いて接触させ、
前記仕切板と後段の前記ディフューザ翼とが接触する面は、シール材または異なる柔らかい材質を用いて接触させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電動送風機。 - 請求項1または請求項2に記載の電動送風機を備えた電気掃除機。
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