JP7143899B2 - 銅基焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の一実施形態は、銅基焼結体の製造方法に関する。
原料粉末を金型内で圧縮成形して得られた圧粉体を焼結する、いわゆる粉末冶金法は、ニアネットシェイプに造形できるので、後の機械加工による削り代が少なく材料損失が小さいこと、また一度金型を作製すれば同じ形状の製品が多量に生産できること等の理由から経済性に優れている。また、粉末冶金法は、通常の溶解によって製造される合金で得ることができない特殊な合金を製造できること等の理由から合金設計の幅が広い。このため自動車部品を始めとする機械部品に広く適用されている。
自動車用エンジン等に用いられるバルブガイドは、バルブの軸部を支持し、バルブの往復運動を支えるための部品であり、高速で往復運動するバルブと摺動するため優れた耐摩耗性が要求される。バルブガイド用材料としては、従来、鋳鉄や高力黄銅が用いられてきたが、近年では、耐摩耗性に優れる鉄基焼結体が広く用いられてきている。
さらに、特許文献1には、鉄基焼結合金より高い熱伝導性と、高力黄銅より高い耐摩耗性を兼ね備えたバルブガイド用の焼結合金を提供するために、気孔と、銅もしくは銅-ニッケル合金からなる基地と、基地中に分散する粒状のニッケル珪化物とからなる金属組織を呈する耐摩耗性銅基焼結合金が提案されている。
特開2015-160960号公報
年々強まる環境意識の中、より一層のエンジンの燃費向上が求められており、エンジンの燃費向上手法の一つとして、エンジンの高圧縮比化が検討されている。すなわち、圧縮比が高ければ高いほど、排気量と投入燃料量が同じでもピストンを押し下げる圧力が大きくなるため燃費は向上する。また、一般的に、同じ系列のエンジンでも高い圧縮比のエンジンは低い圧縮比のエンジンより高出力・高トルクとなる。
しかしながら、従来のバルブガイド用鉄基焼結合金は、熱伝導率が約25W/(m・K)と低く、摺動相手となるバルブの熱をバルブガイドを介して放散する能力が低い。このため、燃焼室に露出するバルブの傘部の熱が放散しにくく、燃焼室内の熱がこもりやすくなり、燃費向上のため圧縮比を高めると、ノッキングが発生しやすくなる。
また、鋳造で製造した銅基合金(高力黄銅)は、高い熱伝導性を有するが、耐摩耗性が低いため、負荷の小さいエンジンに適用可能であるが、負荷が大きいエンジンでは耐摩耗性の問題が生じることがある。
このため、熱伝導性を高めて摺動相手であるバルブから熱を放散する能力が高く、しかも圧縮比を高めてもノッキングが発生しないようにするとともに、バルブとの摺動環境において充分な耐摩耗性を有する銅基合金のバルブガイド用焼結体への要望が強まってきている。
特許文献1には、銅基焼結合金において、基地中のニッケル珪化物の大きさを2μm以上と大きくすることで、微細なニッケル珪化物を含む基地に比べて、バルブとの摺動において基地ごと塑性流動することを防止でき、耐摩耗性を改善することが開示されている。また、引用文献1には、1段階の熱処理において焼結のために加熱し、その後に通常の冷却速度で冷却することで、ニッケル珪化物が基地中に析出して粒状かつ2μm以上の大きさとなることが開示されている。
従来の銅基焼結合金は、鉄基焼結合金より高い熱伝導性と、高力黄銅より高い耐摩耗性とを備えているが、基地の銅にNi及びSiが固溶した状態であるため、銅本来の熱伝導率よりも熱伝導率は低い値となる。そのため、より高温での環境に適するように、より高熱伝導率の銅基焼結体が望まれる。
本発明の一目的としては、熱伝導率及び耐摩耗性に優れる銅基焼結体を提供することである。
本発明の一実施形態は、以下の通りである。
[1]全体組成が、質量%で、Ni:2.0~16.0%、Si:0.2~4.0%、及び残部がCuおよび不可避不純物からなる原料粉末を成形し成形体を作製すること、前記成形体を1次熱処理し焼結体を作製すること、及び前記焼結体を、基地中の銅が高濃度化する温度以上で2次熱処理することを含む、銅基焼結体の製造方法。
[2]前記2次熱処理は、450℃以上で行う、[1]に記載の銅基焼結体の製造方法。
[3]バルブガイド部材用銅基焼結体を製造する、[1]又は[2]に記載の銅基焼結体の製造方法。
一実施形態によれば、熱伝導率及び耐摩耗性に優れる銅基焼結体を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、以下の例示によって本発明は限定されない。
一実施形態による銅基焼結体の製造方法は、全体組成が、質量%で、Ni:2.0~16.0%、Si:0.2~4.0%、及び残部がCuおよび不可避不純物からなる原料粉末を成形し成形体を作製すること、成形体を1次熱処理し焼結体を作製すること、及び焼結体を、基地中の銅が高濃度化する温度以上で2次熱処理することを含むことを特徴とする。
これによれば、熱伝導率及び耐摩耗性に優れる銅基焼結体を提供することができる。
一実施形態によって製造される銅基焼結体は、基地が銅又は銅合金の焼結体であるため、熱伝導性を高めることができる。また、この銅基焼結体は、Ni及びSiが含まれることで、基地中にNi及びSiが固溶し、さらに、Ni及びSiの一部はニッケル珪化物として基地中に析出するようになる。このニッケル珪化物は、基地中に分散して析出するため、基地の硬さを全体的に高めることができ、銅基焼結体の耐摩耗性を向上させるように作用する。
1次熱処理では、成形体が焼結して焼結体となる過程で、基地にNi及びSiが固溶し、さらに固溶したNi及びSiの一部がニッケル珪化物として銅基地又は銅合金基地から析出する。1次熱処理後の焼結体は、添加したNi及びSiが銅基地又は銅合金基地にある程度固溶した状態であり、その一部がニッケル珪化物として析出していたとしても、銅本来の熱伝導率よりも低くなる。
この1次熱処理をした焼結体に対して2次熱処理を行うことで、2次熱処理後の焼結体の熱伝導率を高めることができる。2次熱処理は、基地中の銅が高濃度化する温度以上で行われる。成形体を1段階の熱処理で焼結させた焼結体は、基地にNi及びSiが固溶しているため、基地の銅濃度が比較的に低下した状態である。これに対し、1次熱処理後の焼結体に2次熱処理を行うことで、基地の銅濃度が高まり、銅基焼結体の熱伝導率をより高めることができる。2次熱処理において温度調整をすることで、銅基地又は銅合金基地に固溶しているNi及びSiが基地から析出し、基地の銅濃度が高まると考えられる。
この銅基焼結体をバルブガイド部材として用いる場合では、摺動相手となるバルブと良好な摺動を維持できるとともに、摺動相手となるバルブの熱をバルブガイドを介して放散することができる。これによって、エンジンの圧縮比を高めてもノッキングの発生を防止でき、エンジンの燃費向上に寄与することができる。
一実施形態によれば、全体組成が、質量%で、Ni:2.0~16.0%、Si:0.2~4.0%、及び残部がCuおよび不可避不純物からなる銅基焼結体を製造することができる。この銅基焼結体は、銅、銅-ニッケル合金、又は銅-ケイ素合金からなる基地と、焼結体の製造工程において不回避に混入する気孔とを含む。基地には、Ni及びSiが固溶しており、さらにニッケル珪化物が析出していてもよい。
Cuは熱伝導率が398W/(m・K)であり、Feの84W/(m・K)に比して4.7倍の高い熱伝導率を示す。また、銅合金は、Cuに比して熱伝導率が低下するものの、Fe及び従来の鉄系焼結体(約25W/(m・K))に比して高い熱伝導率を示す。このため、焼結体の熱伝導率を高めるため、基地を銅又は銅合金として構成することが好ましい。
一方、銅及び銅合金は、Fe及び従来の鉄系焼結体に比して耐摩耗性が低いことから、銅基地又は銅合金基地のみでは耐摩耗性が十分に得にくい問題がある。このため、基地中に硬質粒子を分散させることで耐摩耗性を向上させることができる。硬質粒子は、基地中に均一に分散することが好ましく、基地中より析出分散するものが好ましい。
このような観点から、Cuと合金化する元素としてNiが好適である。さらに、Siを添加して、基地中に析出分散させる硬質粒子をニッケル珪化物とすると、高い熱伝導率と耐摩耗性を得ることができる。
以下、一実施形態による銅基焼結体の組成について説明する。
Niは、Cuに固溶して基地を強化する作用がある。また、Niは、後述するSiとニッケル珪化物を形成して基地中に析出分散することで、銅基焼結体の耐摩耗性を向上させる作用がある。Ni量が2.0質量%以上であることで、上記効果を十分に得て、銅基焼結体の耐摩耗性をより高めることができる。Ni量は、好ましくは4.0質量%以上であり、より好ましくは6.0質量%以上である。一方、Ni量が16.0質量%を超えると、Cuに固溶するNi量が過多となったり、析出するニッケル珪化物量が過多となったりして、銅基焼結体の熱伝導率が著しく低下することがある。このため、全体組成におけるNi量は、2.0~16.0質量%が好ましい。
Siは、Niとニッケル珪化物を形成して基地中に析出分散し、銅基焼結体の耐摩耗性を向上させる作用がある。また、SiはCuの液相発生温度を低くする作用があるため、焼結を促進して銅基焼結体を緻密化し、銅基焼結体の強度の向上に寄与することができる。Si量は、0.2質量%以上であることで、析出分散するニッケル珪化物の量を確保して、銅基焼結体の耐摩耗性をより高めることができる。Si量は、好ましくは1.0質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上である。一方、Si量が4.0質量%を超えると、銅基焼結体の基地中に析出分散するニッケル珪化物の量が過多となり、銅基焼結体の熱伝導率が著しく低下することがある。このため、全体組成におけるSi量は、0.2~4.0質量%が好ましい。
上記のNiとSiの質量比は、Niに対してSiが乏しい場合、もしくはSiに対してNiが乏しい場合、析出分散するニッケル珪化物の量が乏しくなり耐摩耗性が低くなるとともに、銅基焼結体の基地に固溶されるNiもしくはSiの量が多くなって、銅基焼結体の熱伝導率が低下することがある。この観点から、全体組成におけるNiとSiの質量比は、Ni:1に対してSi:0.05~0.35とすることが好ましい。
残部はCu及び不可避不純物を含む。不可避不純物としては、例えば、As、Sb、Bi、Pb、Sn、Zn、Mn、Co、P、Fe、S等が挙げられる。
また、銅基焼結体には、後述する通り硬質相及び黒鉛粉末に由来してその他の元素が配合されてもよい。
銅基焼結体には、銅又は銅合金からなる基地と、粉末冶金法に由来して混入する気孔とが含まれる。銅基焼結体において気孔は、焼結体の強度や熱伝導率を低下させるものであるから、なるべく少ないことが好ましい。銅基焼結体の密度は、気孔をより少なくするために7.2g/cm以上が好ましく、8.0g/cm以上がより好ましい。
一実施形態による銅基焼結体の製造方法について説明する。
まず、Ni及びSiを含み、残部Cu及び不可避不純物からなる粉末を成形し成形体を作製する工程について説明する。
原料粉末は、上記した全体組成となる銅基焼結体となるように、各金属粉末又は合金粉末を配合して、用意することができる。
例えば、(1)銅粉末とニッケル粉末、(2)銅-ニッケル合金粉末、(3)銅粉末と銅-ニッケル合金粉末のうちのいずれかに、シリコン(Si)粉末を添加し、混合して、原料粉末を用意することができる。
2次熱処理後の銅基焼結体の全体組成は、原料粉末の組成とほぼ等しくなるため、原料粉末の組成は、質量%で、Ni:2.0~16.0%、Si:0.2~4.0%を含み、残部がCu及び不可避不純物であることが好ましい。
上記した原料粉末を成形し成形体を作製することができる。成形圧力は、300~700MPaが好ましく、500~600MPaがより好ましい。また、成形体の密度は、銅粉末や銅-ニッケル合金粉末は比較的軟質であるため、6.5g/cm以上とすることができ、好ましくは7.0g/cm以上である。
バルブガイド部材用銅基焼結体を作製するためには、例えば、成形体をほぼ円筒のバルブガイド形状とすることができる。
次に、成形体を1次熱処理し焼結体を作製する工程について説明する。
1次熱処理は、900~1050℃で行うことが好ましい。これによって、成形体の焼結を促進させて、焼結体を得ることができる。
1次熱処理の時間は特に制限されずに、熱処理温度等の熱処理条件に応じて、10~120分間が好ましい。
1次熱処理は、焼結を促進するために、非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気、水素雰囲気等の還元性雰囲気、真空雰囲気等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
1次熱処理後は、通常の冷却速度として、例えば3~40℃/分で冷却することができ、5~20℃/分であってもよく、また、炉冷してもよい。
次に、焼結体を、基地中の銅が高濃度化する温度以上で2次熱処理する工程について説明する。
2次熱処理において、1次熱処理後の焼結体を、基地中の銅が高濃度化する温度以上で熱処理することで、2次熱処理後の基地の銅濃度が高まり、熱伝導率を高めることができる。例えば、2次熱処理は、400℃以上で行うことが好ましく、より好ましくは450℃以上である。
1次熱処理後の焼結体は、銅又は銅合金基地に、Ni、Si、又はこれらの組み合わせが固溶していて、基地の銅濃度が低い状態である。また、基地に固溶しているNiとSiの一部が結合してニッケル珪化物が析出することもある。ニッケル珪化物粒子が析出する場合でも、基地にNi、Si、又はこれらの組み合わせはある程度固溶して存在している状態である。
1次熱処理後に2次熱処理をさらに行うことで、基地に固溶しているNi、Si、又はこれらの組み合わせを析出させて、基地の銅濃度を高めることができる。2次熱処理を行うことで、銅基焼結体の熱伝導率をより高めることができる。
2次熱処理は、例えば、600℃以下で行うことが好ましく、より好ましくは550℃以下である。また、2次熱処理温度は、1次熱処理温度よりも低いことが好ましく、1次熱処理温度から300℃以上低い温度が好ましく、1次熱処理温度から400℃以上低い温度がより好ましい。これによって、2次熱処理において基地の銅にNi及びSiが再固溶することを防ぎながら、1次熱処理後に基地の銅に固溶したNi及びSiの析出をより促進することができる。
2次熱処理の時間は特に制限されずに、熱処理温度等の熱処理条件に応じて、10~90分間が好ましい。
2次熱処理は、上記した1次熱処理と同様に非酸化性雰囲気中で行うことが好ましい。
2次熱処理後は、通常の冷却速度として、例えば3~40℃/分で冷却することができ、5~20℃/分であってもよく、また、炉冷してもよい。
1次熱処理と2次熱処理は、独立的に行うことが好ましい。
例えば、1次熱処理後に、焼結体を100℃以下に冷却してから、再度加熱して、2次熱処理を行うことが好ましい。これによって、基地に固溶しているNi及びSiを析出させる効果をより高めることができる。
また、1次熱処理後に、焼結体を100℃以下まで冷却しないが、100℃超過から2次熱処理温度以下の温度範囲内まで冷却し、その後に再度加熱して、2次熱処理を行ってもよい。
また、1次熱処理と2次熱処理を連続的に行ってもよい。例えば、同じ炉内で、1次熱処理温度まで加熱し、保持し、そのまま2次熱処理温度に調節し、保持し、冷却することができる。
1次熱処理と2次熱処理との間にはその他の熱処理を施さないことが好ましい。また、2次熱処理後にも、その他の熱処理を施さない状態で、最終製品として銅基焼結体を提供することができる。なお、1次熱処理と2次熱処理との間に、さらに溶体化処理等の熱処理を行うことを制限するものではない。
一実施形態によれば、1次熱処理後の焼結体の基地の銅濃度(C1)に対して、2次熱処理後の銅基焼結体の基地の銅濃度(C2)を高くすることができる。
2次熱処理の前後での基地の銅濃度の上昇率は、(C2-C1)/C1×100で表され、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましい。一方、この上昇率の上限値は特に制限されないが、例えば30%以下とすることができる。
一実施形態によって製造される銅基焼結体には、鉄基硬質相、コバルト基硬質相、及び合金鉄から選択される1種以上を基地中に分散させて配合させることができる。これによって、耐摩耗性をより向上させることができる。これらの硬質相は、合計量で、基地全量に対して、5質量%以下で配合されることが好ましい。これによって、銅基焼結体の熱伝導率の低下を防止しながら、耐摩耗性をより向上させることができる。
上記硬質相のうち鉄基硬質相としては、鉄基合金基地中に炭化物粒子が析出分散する硬質相が好ましい。具体的には、(A)質量比で、Cr:4~25%、C:0.25~2.4%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、鉄基合金中にCrの炭化物粒子が分散する硬質相、(B)質量比で、Cr:4~25%、C:0.25~2.4%と、Mo:0.3~3.0%、V:0.2~2.2%の少なくとも1種以上、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、鉄基合金中にCr、Mo、Vの炭化物粒子および/またはこれらの元素の複合炭化物粒子が分散する硬質相、(C)質量比で、Mo:4~8%、V:0.5~3%、W:4~8%、Cr:2~6%、C:0.6~1.2%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、鉄基合金中にMo、V、W、Crの炭化物粒子および/またはこれらの元素の複合炭化物粒子が分散する硬質相等がある。
また、鉄基合金基地中にモリブデン珪化物粒子が分散する硬質相が好ましく、具体的には、(D)質量比で、Si:0.5~10%、Mo:10~50%、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、鉄基合金中にモリブデン珪化物粒子が分散する硬質相、(E)質量比で、Si:0.5~10%、Mo:10~50%と、Cr:0.5~10%、Ni:0.5~10%、Mn:0.5~5%の少なくとも1種以上、および残部がFeおよび不可避不純物からなり、鉄基合金中にモリブデン珪化物粒子が分散する硬質相等がある。
コバルト基硬質相としては、コバルト基合金基地中にモリブデン珪化物粒子が分散する硬質相が好ましく、具体的には、(F)質量比で、Si:1.5~3.5%、Cr:7~11%、Mo:26~30%と、および残部がCoおよび不可避不純物からなり、コバルト基合金中にモリブデン珪化物粒子が分散する硬質相等がある。
合金鉄としては、フェロモリブデン、フェロクロム、フェロタングステンが好ましく、具体的には、(G)質量比で、Mo:55~65%、C:4%以下、Si:2%以下、および残部がFeおよび不可避不純物からなるフェロモリブデン硬質相、(H)質量比で、Cr:50~75%、C:1%以下、Si:8%以下、および残部がFeおよび不可避不純物からなるフェロクロム硬質相、(I)質量比で、W:75~85%、C:0.5%以下、Si:0.5%以下、および残部がFeおよび不可避不純物からなるフェロタングステン硬質相等がある。
上記した硬質相は、単独で、又は2種以上を組み合わせて配合されてもよい。
また、上記した硬質相は、硬質相の組成の粉末を原料粉末に添加し混合し、その他は上記した方法にしたがって銅基焼結体を製造することで、銅基焼結体の基地中に分散させることができる。
一実施形態によって製造される銅基焼結体には、原料粉末に3.0質量%以下の黒鉛粉末を添加することで、気孔中に全体組成中のC量として3.0質量%以下の黒鉛相をさらに分散させることができる。黒鉛は劈開性に優れ固体潤滑剤として作用する。このような黒鉛を気孔中に黒鉛相として分散させることにより、相手材となるバルブとの摺動特性をより向上させることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
銅(Cu)粉末、ニッケル(Ni)粉末、シリコン(Si)粉末を、表1に示す割合で混合し原料粉末を得た。この原料粉末を、500MPaの成形圧力で、外径20mm、高さ20mmの円筒形状に成形し成形体を作製した。この成形体を、非酸化性雰囲気(75%H+25%Nガス)中、焼結温度1000℃、60分で1次熱処理し、冷却速度10℃/分で冷却し、焼結体(1)を作製した。この焼結体を、非酸化性雰囲気(75%H+25%Nガス)中、500℃、30分で2次熱処理し、冷却速度10℃/分で冷却し、焼結体(2)を得た。2次熱処理後の焼結体(2)の全体組成は、表1に示す通り原料粉末の各元素粉末の配合割合と等しくなった。
1次熱処理後の焼結体(1)、及び2次熱処理後の焼結体(2)について、熱伝導率を測定した。結果を表1に併せて示す。
熱伝導率は、25℃において、レーザーフラッシュ法を用いて熱拡散率と比熱を測定し、液中ひょう量法を用いて密度を測定し、それらの計算にしたがって求めた。また、2次熱処理後の焼結体(2)の密度を表中に示す。
Figure 0007143899000001
表1に示す通り、各例では、1次熱処理後の焼結体(1)の熱伝導率に比べ、2次熱処理後の焼結体(2)の熱伝導率が高くなり、2次熱処理を行うことで、最終的な焼結体の熱伝導性が向上することがわかる。
例1、2、6では、Si:2.0質量%と一定であり、Ni量が異なる例であり、Ni量が少なくなると、基地に占める銅の割合が大きくなるため、熱伝導率が上昇すると推測される。
例2~例5は、NiとSiの質量比がほぼ一定であり、NiとSiの合計質量割合が異なる例であり、NiとSiの合計質量割合が小さくなると、基地に占める銅の割合が大きくなるため、熱伝導率が上昇すると推測される。
例1~6のいずれの組成においても、1次熱処理後に比べて2次熱処理後に熱伝導率が向上することがわかる。
一実施形態による製造方法によって製造される銅基焼結体は、熱伝導率及び耐摩耗性に優れるものであり、自動車エンジン用等のバルブガイド部材に好ましく用いることができる。この銅基焼結体を用いたバルブガイド部材は、エンジンの圧縮比を高めてもノッキングの発生を防止することができ、エンジンの燃費向上に寄与することができるため、高燃費エンジン用のバルブガイド部材に好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 全体組成が、質量%で、Ni:6.0~16.0%、Si:0.2~4.0%、及び残部がCuおよび不可避不純物からなる原料粉末を成形し成形体を作製すること、前記成形体を1次熱処理し焼結体を作製すること前記焼結体を、基地中の銅が高濃度化する温度以上であり、かつ前記1次熱処理温度から300℃以上低い温度の範囲で2次熱処理すること、及び前記2次熱処理の後に3~40℃/分の冷却速度で冷却することを含み、
    前記2次熱処理後の熱伝導率が116~153W/(m/K)であり、前記2次熱処理後の密度が8.30g/cm 以上である銅基焼結体を製造する、銅基焼結体の製造方法。
  2. 前記2次熱処理は、450℃以上で行う、請求項1に記載の銅基焼結体の製造方法。
  3. バルブガイド部材用銅基焼結体を製造する、請求項1又は2に記載の銅基焼結体の製造方法。
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