JP7142863B2 - 導電性樹脂組成物、導電性樹脂溶液、導電性樹脂組成物の製造方法及び導電性物体 - Google Patents

導電性樹脂組成物、導電性樹脂溶液、導電性樹脂組成物の製造方法及び導電性物体 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 (1)平成30年8月29日 第67回高分子討論会予稿集に発表番号3Pa079として掲載
本発明は、新規な導電性樹脂組成物並びにその組成物を含む導電性樹脂溶液、導電性樹脂組成物の製造方法及び導電性樹脂溶液を乾燥することで得られる導電性物体に関するものである。
近年、高付加価値の少量多品種のものづくりが増加しており、新しい生産技術として三次元プリンタが注目されている。三次元プリンタは、設計データをもとに、液状又は溶融状態の熱可塑性樹脂をマトリックスとする樹脂組成物を押出ヘッドのノズル先端から線状に押し出しながら、立体モデルのスライスされた二次元の層として積み重ねることにより、立体モデルを作製する装置であり、製造業での活用が急速に拡大している。これらに用いられる樹脂はフィラメントと呼ばれ、所望とする造形物の特性に応じて、様々な種類のものが使い分けられている。さらに、熱可塑性樹脂をマトリックスに、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等の機能性ナノフィラーを樹脂組成物に添加して導電性を高めるなど高機能化する試みが行われている(特許文献1)。
特開2016-28887号公報
カーボンナノチューブやカーボンナノフィラーのような溶媒に不溶な無機系の導電性フィラーを添加して高導電化する方法では、フィラー自体の導電性は高くても樹脂に均一に微分散させることが難しいため、それらフィラー同士の接点を確保するためにマトリックス樹脂への添加量を増加させる必要がある。その場合、樹脂特性(可撓性など)の低下を引き起こしたり、一般に機能性ナノフィラーは非常に高価であるためコスト面でも不利となったりする場合がある。
このような理由から、マトリックス樹脂に均一に微分散できる有機系の導電性フィラーからなる導電性樹脂組成物が求められている。
本発明者らは、下記[1]に示す導電性樹脂組成物が、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]に存する。
[1] 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)と、熱可塑性樹脂(B)を含むことを特徴とする導電性樹脂組成物。
Figure 0007142863000001
上記一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。上記一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。
[2] 前記導電性樹脂組成物中の前記ポリチオフェン(A)の含有量が0.01質量%~99.9質量%であることを特徴とする[1]に記載の導電性樹脂組成物。
[3] 熱可塑性樹脂(B)が、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル/スチレン/アクリレート共重合体)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ゴム、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート共重合体樹脂(PETG)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶性ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ノルボルネン系ポリマー、トランス-ポリイソプレン系ポリマー、及びスチレン-ブタジエン系コポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の導電性樹脂組成物。
[4] 前記導電性樹脂組成物中の前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が0.1質量%~99.9質量%であることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物。
[5] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物を0.01~50質量%含むことを特徴とする導電性樹脂溶液。
[6] [5]に記載の導電性樹脂溶液を乾燥させることを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
[7] [1]乃至[4]のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物を含むことを特徴とする導電性物体。
[8] 前記導電性物体は、導電膜、導電性繊維、導電性被覆物品、三次元プリンタ用フィラメント、アクチュエータ、センサー又は導電性樹脂成型体であることを特徴とする[7]に記載の導電性物体。
本発明によれば、有機系導電性フィラーとしてのポリチオフェン(A)を用いることにより、このポリチオフェン(A)をマトリックス樹脂としての熱可塑性樹脂(B)に均一に分散した導電性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の導電性樹脂組成物は、有機系導電性フィラーであるポリチオフェン(A)の含有量が少なくても、導電性に優れるという効果を奏する。
本発明の導電性樹脂組成物は、高い導電性を有しているため、例えば、導電膜、導電性繊維、導電性被覆物品、三次元プリンタ用フィラメント、アクチュエータ、センサー、導電性樹脂成型体といった導電性物体への使用が期待できる。
実施例1~8及び参考例1の測定結果(ポリチオフェン(A-1)の組成(質量%)と電気伝導度(S/cm)との関係)をプロットした図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを含む導電性樹脂組成物である。
Figure 0007142863000002
上記一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。上記一般式(1),(2)において、Rは水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表す。また、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。
アルカリ金属イオンとしては、例えば、Liイオン、Naイオン、Kイオンが好ましい。
アミン化合物の共役酸としては、アミン化合物にヒドロン(H)が付加してカチオン種になったものを示す。
第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルプロピルアンモニウムカチオン、テトラノルマルブチルアンモニウムカチオン、テトラノルマルヘキシルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。入手の観点から、第4級アンモニウムカチオンとしては、テトラメチルアンモニウムカチオン又はテトラエチルアンモニウムカチオンであることが好ましい。
炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
としては、導電性樹脂組成物の成膜性の点で、水素原子、メチル基、エチル基、又はフッ素原子であることが好ましい。
mは、1~10の整数であるが、好ましくは1~4の整数であり、より好ましくは2である。
nは、0又は1であるが、好ましくは0である。
上記一般式(2)で表される構造単位は、上記一般式(1)で表される構造単位のドーピング状態を表す。
ドーピングにより絶縁体-金属転移を引き起こすドーパントは、アクセプタとドナーに分けられる。アクセプタは、ドーピングにより導電性ポリマーの高分子鎖の近くに入り主鎖の共役系からπ電子を奪う。結果として、主鎖上に正電荷(正孔、ホール)が注入されるため、p型ドーパントとも呼ばれる。また、ドナーは、アクセプタとは逆に主鎖の共役系に電子を与えることにより、この電子が主鎖の共役系を動くことになるため、n型ドーパントとも呼ばれる。
本発明におけるドーパントは、ポリマー分子内に共有結合で結びついたスルホ基又はスルホナート基であり、p型ドーパントである。このように外部からドーパントを添加することなく導電性を発現するポリマーは、自己ドープ型ポリマーと呼ばれている。
本発明のポリチオフェン(A)は、下記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーを、水又はアルコール溶媒中、酸化剤の存在下で重合させることにより製造することができる。
Figure 0007142863000003
上記一般式(3)において、R、m、nは、上記一般式(1),(2)と同じ定義である。Mは、アルカリ金属イオンを表わす。
上記一般式(3)におけるアルカリ金属イオンMとしては、特に限定するものではないが、Liイオン、Naイオン、及びKイオン等が挙げられる。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーはアルカリ金属イオンMを含むため、このチオフェンモノマーを重合した後のポリマー(ポリチオフェン)は、金属塩となる。必要に応じて、金属塩のポリマーを酸処理することで、アルカリ金属イオンMを水素イオンへ変換可能である。さらに、水素イオンに変換されたポリマーをアミン化合物又は第4級アンモニウムと反応させることで、水素イオンをアミン化合物の共役酸又は第4級アンモニウムカチオンへ変換可能である。
上記一般式(3)で表されるチオフェンモノマーとしては、具体的には、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-エチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-プロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ヘキシル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソプロピル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソブチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-イソペンチル-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸カリウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸アンモニウム、3-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-プロパンスルホン酸トリエチルアンモニウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-メチル-1-ブタンスルホン酸カリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸ナトリウム、4-[(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b]-[1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ]-1-フルオロ-1-ブタンスルホン酸カリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸ナトリウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸リチウム、6-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)ヘキサン-1-スルホン酸カリウム、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸、8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸ナトリウム、及び8-(2,3-ジヒドロ-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)オクタン-1-スルホン酸カリウム等が例示される。
上記一般式(1)において、Mであるアミン化合物の共役酸を得るためには、スルホン酸基と反応して共役酸を形成するアミン化合物を用いればよい。このアミン化合物としては、sp3混成軌道を有するN(Rで表されるアミン化合物(共役酸としては[NH(Rで表される。)、又はsp2混成軌道を有するピリジン類化合物、イミダゾール類化合物等がある。
3つの置換基Rは、各々独立して、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は置換基を有する炭素数1~6のアルキル基を表す。
炭素数1~6のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有する炭素数1~6のアルキル基において、この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、アミノ基、又はヒドロキシ基が挙げられる。置換基を有する炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、2-ヒドロキシエチル基等が例示される。
3つの置換基Rとしては、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、2-ヒドロキシエチル基が好ましい。
N(Rで表されるアミン化合物としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ノルマルブチルアミン、tert-ブチルアミン、ヘキシルアミン、エタノールアミン化合物(例えば、アミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン)、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-メチルアミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジアミン等がある。また、N(Rで表されるアミン化合物以外の化合物としては、イミダゾール類化合物(例えば、イミダゾール、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール)や、ピリジン類としてのピリジンピコリン、ルチジン等が例示される。これらのうち、好ましくは、エタノールアミン化合物、イミダゾール類化合物が挙げられる。
本発明において、ポリチオフェン(A)の導電率は、特に限定するものではないが、ポリチオフェン(A)を含む溶液を膜状態に成膜したときの導電率(電気伝導度)としては、10S/cm以上であることがより好ましい。
本発明において、導電性樹脂組成物中におけるポリチオフェン(A)の含有量は特に限定されず当業者が適宜設定することができるが、例えば0.01~99.9質量%とすることができる。導電性樹脂組成物に優れた導電性を持たせる観点では、ポリチオフェン(A)の含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、導電性樹脂組成物に優れた操作性を持たせる観点では、ポリチオフェン(A)の含有量が90質量%以下であることが好ましい。すなわち、導電性及び操作性の観点では、ポリチオフェン(A)の含有量が0.1~90質量%であることが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂(B)は、市販品でも一般公知の方法で製造されたものであってもよい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)は、例えば、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体)、ASA樹脂(アクリロニトリル/スチレン/アクリレート共重合体)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリ乳酸樹脂(PLA)、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、熱可塑性ゴム、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリビニルアルコール樹脂(PVA)、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート共重合体樹脂(PETG)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、液晶性ポリマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ノルボルネン系ポリマー、トランス-ポリイソプレン系ポリマー、及びスチレン-ブタジエン系コポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種とすることができる。
本発明の導電性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(B)は、形状記憶性を有していてもよい(形状記憶ポリマー)。形状記憶性ポリマーとは、成形加工後に力を加え変形しても、ある温度以上に加熱すると元の形状に回復するポリマーであり、特に限定されないが、上記と同様の樹脂を挙げることができる。
本発明の導電性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂(B)の含有量は特に限定されず当業者が適宜設定することができるが、例えば0.1質量%~99.99質量%とすることができる。
本発明の導電性樹脂溶液は、本発明の導電性樹脂組成物を含む溶液であり、導電性樹脂組成物の含有量は、特に限定するものではないが、導電性樹脂組成物の含有量を0.01~50質量%とすることができる。ここで、導電性樹脂組成物の操作性に優れる点で、導電性樹脂組成物の含有量が0.1~20質量%であることが好ましい。
本発明の導電性樹脂溶液に用いられる溶媒としては、例えば、プロトン性又は非プロトン性の極性溶媒、ハロゲン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒がある。
プロトン性の極性溶媒としては、水、アルコール、グリコールエーテル、有機酸の群から選ばれる少なくとも一つである。
アルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、1価のアルコール、2価のアルコール、3価のアルコールからなる群より選択される少なくとも一種のアルコールが挙げられる。
1価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、又はブタノール等が挙げられる。操作性の点から、エタノール、又はイソプロパノールが好ましい。2価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、入手の観点から、エチレングリコールが好ましい。3価のアルコールとしては、特に限定するものではないが、例えば、グリセロールが好ましい。
グリコールエーテルとしては、特に限定するものではないが、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ノルマルブチルセロソルブ、ターシャリーブチルセロソルブ等が挙げられる。
有機酸としては、特に限定するものではないが、ギ酸、酢酸、酪酸などが挙げられる。
非プロトン性の極性溶媒としては、特に限定するものではないが、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチルなどが挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、特に限定するものではないが、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、特に限定するものではないが、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
本発明の導電性樹脂溶液を調製する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明のポリチオフェン(A)の固体と、熱可塑性樹脂(B)とを任意の順で溶媒に加えて混合することにより、本発明の導電性樹脂溶液を調製することができる。ポリチオフェン(A)の固体を溶媒に溶かした溶液と、熱可塑性樹脂(B)を溶媒に溶かした溶液を混合することにより、本発明の導電性樹脂溶液を調製してもよい。
ここで、ポリチオフェン(A)の固体及び熱可塑性樹脂(B)を混合する際の温度(混合温度という)は、特に限定するものではないが、例えば、室温又は、加温後の温度とすることができる。混合温度は、好ましくは0℃以上100℃以下である。
ポリチオフェン(A)の固体及び熱可塑性樹脂(B)を混合する際の雰囲気は、特に限定するものではないが、大気中でも、不活性ガス中でもよい。
本発明の導電性樹脂溶液では、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤などの他の添加剤を加えてもよい。
本発明の導電性樹脂溶液を調製する際には、スターラーチップ、攪拌羽根等による一般的な混合溶解操作に加えて、超音波照射、ホモジナイズ処理(例えば、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等の使用)を行ってもよい。ホモジナイズ処理を行う場合には、ポリマーの熱劣化を防ぐために、導電性樹脂溶液を冷却しながら行うことが好ましい。
本発明の導電性樹脂溶液の濃度調整は、配合比で調整してもよいし、配合後に濃縮により調整してもよい。濃縮の方法は、減圧下に溶媒を留去する方法であっても、限外ろ過膜を利用する方法であってもよい。
本発明の導電性樹脂組成物を用いることにより、導電性物体を製造することができる。この導電性物体は、導電性樹脂組成物だけで形成されていたり、導電性樹脂組成物に加えて他の部材を含んでいたりしてもよい。導電性物体としては、例えば、導電膜、導電性繊維、導電性被覆物品、三次元プリンタ用フィラメント、アクチュエータ、センサー、又は導電性樹脂成型体が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物を含む導電膜を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の導電性樹脂溶液をガラス等の基材に塗布した後、塗膜の乾燥によって、塗膜中の溶媒を蒸発させる方法がある。
本発明の導電性樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ディスペンサ法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、又はインクジェット法等が挙げられる。
塗膜の乾燥温度は、均一な厚さの導電膜が得られる温度であって、基材の耐熱温度以下であれば特に限定するものではない。塗膜の乾燥温度は、室温~300℃の範囲であることが好ましく、好ましくは室温~250℃の範囲であり、さらに好ましくは室温~200℃の範囲である。
塗膜の乾燥雰囲気は、大気中、不活性ガス中、真空中、又は減圧雰囲気のいずれであってもよい。導電膜の劣化抑制の観点からは、乾燥雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中が好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物を含む導電性繊維を形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の導電性樹脂溶液を貧溶媒中に湿式紡糸する方法が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物を含む導電性被覆物品を形成する方法としては、特に限定するものではない。例えば、本発明の導電性樹脂溶液を物品に塗布して乾燥することにより、物品上に導電性樹脂組成物の導電膜が形成される。以下、物品の少なくとも一部が導電膜によって被覆された物品を「導電性被覆物品」と称する。
物品としては、本発明の導電性樹脂溶液が塗布可能なものであれば特に限定するものではないが、例えば、高分子基材又は無機基材が挙げられる。高分子基材としては、例えば、熱可塑性樹脂の基材、不織布、紙、レジスト膜が形成された基板等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリウレタン又はポリカーボネート等が挙げられる。不織布の繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、又はガラス繊維のいずれでもよい。紙としては、一般的なセルロースを主成分とするものでよい。無機基材の材質としては、ガラス、セラミックス、酸化アルミニウム、又は酸化タンタル等が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物を含む三次元プリンタ用フィラメントを形成する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、本発明の導電性樹脂組成物からなるマスターバッチを押出し機にかける方法が挙げられる。
本発明の導電性樹脂組成物を含む導電性樹脂成型体は、特に限定されるものではないが、上記三次元プリンタ用フィラメントを用いて三次元プリンタで製造することができる。導電性樹脂成型体は、例えば、三次元プリンタの押出しヘッドに三次元プリンタ用フィラメントを供給し、加熱して溶融・半溶融状態としたものをノズルから吐出させて、所望の成型体になるように線状に積層しながら、冷却固化させることで得られる。
以下に本発明に関する実施例を示す。尚、ここでは導電率と電気伝導度を同義とする。
調製例1 ポリチオフェン(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)を含む導電性樹脂溶液の調製
下記一般式(6)と下記一般式(7)で表されるポリチオフェン(A-1)の1質量%の水溶液をテフロン(登録商標)シャーレに取り、定温恒温乾燥機(NDO-700,EYELA)を用いて50℃で一晩乾燥させた。その後得られたポリチオフェン(A-1)のフィルムを細かく粉砕し、0.5g量り取り、この粉砕物(0.5g)にジメチルスルホキシド(DMSO,純正化学)を49.5g加え、2日撹拌することでポリチオフェン(A-1)を1質量%含有するDMSO溶液を得た。
さらに、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)(TPU,パンデックスT-9280N,ディーアイシーバイエルポリマー)を5g量り取り、このポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)にDMSOを45g加え、一晩撹拌することでポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)を10質量%含有するDMSO溶液を得た。
このようにして得られたポリチオフェン(A-1)を1質量%含有するDMSO溶液3gと、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)を10質量%含有するDMSO溶液9.7gとを混合し、ポリチオフェン(A-1)/ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)=3/97(質量/質量)の混合物のDMSO溶液(本発明の導電性樹脂溶液)を調製した。このような組成をΦ(ポリチオフェン(A)の組成濃度)=3質量%と表す。なおΦは、[ポリチオフェン(A-1)含量]÷([ポリチオフェン(A-1)含量]+[ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)含量])の式で導かれる。
同様の操作を行って、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が4、5、10、30、50、70、又は90質量%である混合物のDMSO溶液(本発明の導電性樹脂溶液)を調製した。一方、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(B-1)を用いずに、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が100質量%であるDMSO溶液を調製した。
Figure 0007142863000004
調製例2 ポリチオフェン(A-1)と熱可塑性樹脂(B-2)を含む導電性樹脂溶液の調製
調整例1においてポリカーボネート系ポリウレタン(B-1)を、形状記憶ポリウレタン(B-2)(株式会社SMP社製,SMP MM-5520、ガラス転移温度55℃)に変更した以外は、調整例1に従い、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が、3、4、5、10、30、50、70、又は90質量%である混合物のDMSO溶液(本発明の導電性樹脂溶液D)を調製した。
実施例1(電気伝導度の測定) ポリチオフェン(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)からなる導電性樹脂組成物の評価
スライドガラス(26mm×70mm)の表面に、26mm×35mmの領域を空けてアルミテープを貼り、このアルミテープで囲まれたスライドガラスの表面に、調整例1で得られたポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を1g滴下した。当該スライドガラスを、ホットプレート上で空気中、120℃で2時間加熱し、DMSO溶液を乾燥させた後、真空低温乾燥機(DRV220DA,ADVANTEC)を用いて真空中200℃、1時間熱処理することでポリチオフェン(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)からなる導電性樹脂組成物の膜を作製した。
作製した膜の電気伝導度を次のような方法で測定した。まずは膜厚を測定するため、スライドガラスに貼ったアルミテープを剥がし、スライドガラス上の膜を1cm角に切り出した後、スライドガラスと前記膜の段差を触針式段差計(D-100,KLA Tencor)を用いて測定し、スライドガラスでベースライン補正した後、段差測定結果から前記膜の膜厚を算出した。引き続き、導電性樹脂組成物の膜の電気伝導度を測定した。まず、1cm角に切り出した導電性樹脂組成物の膜の四隅に銀ペースト(D-550,藤倉化成)を塗り、ホール効果測定装置(HEM-2000、EGK)を用いてvan der pauw法により、電気伝導度を測定した。具体的には、一対の銀ペーストに流す電流値を100μAに固定し、測定した膜厚に基づいて電気伝導度を算出した。
実施例2
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が4質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例3
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が5質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例4
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が10質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例5
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が30質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例6
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が50質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例7
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が70質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例8
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が90質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例9
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例10
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が4質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例11
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が5質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例12
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が10質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例13
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が30質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例14
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が50質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例15
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が70質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
実施例16
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が90質量%である(A-1)(B-2)混合物のDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
参考例1
実施例1において、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が3質量%である(A-1)(B-1)混合物のDMSO溶液を、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が100質量%であるDMSO溶液に代え、ホール効果測定装置での測定電流値を1mAに変更した以外は、実施例1と同様にして、電気伝導度を測定した。
上述した実施例1~実施例16及び参考例1について、導電性樹脂組成物におけるポリチオフェン(A-1)及び熱可塑性樹脂(B-1)又は(B-2)の質量%を下記表1にまとめた。
また、上述した実施例1~実施例8及び参考例1について、電気電導度の測定結果を図1に示した。図1において、横軸はポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)(質量%)を示し、縦軸は電気伝導度(S/cm)を示す。また、図1では、組成(Φ)が0~10質量%の範囲内における電気伝導度を拡大して示している。
Figure 0007142863000005
図1に示す測定結果より、得られた電気伝導度は、ポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が増えるにつれて直線的に増加していることが分かる。この結果は、導電性樹脂組成物においてパーコレーション閾値が著しく低いことを示し、導電性樹脂組成物中において、ポリチオフェン(A-1)と熱可塑性樹脂(B-1)、(B-2)が均一に混合していることを示す。
実施例17(応力‐歪測定)
実施例4で作製したポリチオフェン(A-1)の組成(Φ)が10質量%の(A-1)(B-1)導電性樹脂組成物の膜をカバーガラスから剥がし取り、引張試験機(EZ-TEST,島津製作所)に取り付け、歪み応力を測定した。さらに解析ソフト(TrapeziumX)を使用し、切断伸度を算出した。引張試験の膜サンプルは幅2mmとし、チャック間距離を10mmとし、歪速度10mm/minで測定を行った。また測定は、膜サンプルが延伸により破断するまで行った。破断時のチャック間距離は43.1mmまで伸び、切断伸度は331%を示した。
本発明の導電性樹脂組成物は、溶媒に均一溶解する導電性ポリマーであるポリチオフェン(A)と、マトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂(B)が均一に混合可能であることから、ポリチオフェン(A)の少量添加でも導電性の発現が可能となる。その結果、マトリックス樹脂の特性を損なわずに、さらには高価な導電性フィラーの使用量を抑えることができることから大変有用であると考えられる。これらの新規な導電性樹脂組成物は、導電膜、導電性繊維、導電性被覆物品のみにとどまらず、近年ますます需要が拡大している三次元プリンタ用のフィラメント、アクチュエータ、センサーならびにそれらを活用して得られる導電性樹脂成型体への応用が期待される。さらには、フレキシブル電子デバイスに使用される電極用途において求められる可撓性、伸縮性を有する導電性材料としても有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を含む自己ドープ型のポリチオフェン(A)と、ポリカーボネート系ポリウレタンまたは形状記憶性ポリウレタンである熱可塑性樹脂(B)とからなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
    Figure 0007142863000006

    [一般式(1)において、Mは、水素イオン、アルカリ金属イオン、アミン化合物の共役酸、又は第4級アンモニウムカチオンを表す。一般式(1)及び(2)において、Rは、水素原子、炭素数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はフッ素原子を表し、mは1~10の整数を表し、nは0又は1を表す。]
  2. 前記導電性樹脂組成物中の前記ポリチオフェン(A)の含有量が0.01質量%~99.9質量%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記導電性樹脂組成物中の前記熱可塑性樹脂(B)の含有量が0.1質量%~99.9質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の導電性樹脂組成物を含むことを特徴とする導電性物体。
  5. 前記導電性物体は、導電膜、導電性繊維、導電性被覆物品、三次元プリンタ用フィラメント、アクチュエータ、センサー又は導電性樹脂成型体であることを特徴とする請求項に記載の導電性物体。
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