JP7141984B2 - 結晶基板 - Google Patents

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Description

本発明は、結晶基板の製造方法および結晶基板に関する。
例えば窒化ガリウム等のIII族窒化物で構成された結晶基板(以下単に、結晶基板ともいう)は、発光素子やトランジスタ等の半導体デバイスを作製するための基板として用いられている。近年、大径(例えば直径4インチ以上)の結晶基板を求めるニーズが高まっている(例えば特許文献1参照)。
特開2017-100936号公報
結晶基板を構成するIII族窒化物結晶のc面が平坦でないことに起因して、結晶基板の面内でオフ角分布が発生する。結晶基板の径が大きくなるほど、オフ角分布の幅が大きくなりやすいので、面内でオフ角を均一に近づけることが難しくなる。
本発明の一目的は、III族窒化物で構成された結晶基板の面内におけるオフ角の均一性を高めることができる新規な技術を提供することである。
本発明の一態様によれば
気相法により作製されたIII族窒化物の単結晶からなり第1主面を有する基板であって、前記単結晶のc面が所定の曲率で凹の球面状に湾曲している第1結晶体を用意する工程と、
前記第1主面上に、III族窒化物の単結晶からなる第2結晶体を、アルカリ金属とIII族元素とを含む混合融液中で成長させる工程と、
を有する結晶基板の製造方法
が提供される。
本発明の他の態様によれば、
気相法により作製されたIII族窒化物の単結晶からなり第1主面を有する基板であって、前記単結晶のc面が所定の曲率で凹の球面状に湾曲している第1結晶体と、
アルカリ金属とIII族元素とを含む混合融液を用いて前記第1主面上に成長させられたIII族窒化物の単結晶からなる第2結晶体と、
を備える結晶基板
が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
III族窒化物の単結晶からなる基板であって、
前記単結晶のc面が、前記基板の両主面のうちいずれか一方の主面に対して、10m以上の大きさの曲率半径で凹の球面状に湾曲している結晶基板
が提供される。
第1結晶体を種結晶として、アルカリ金属とIII族元素とを含む混合融液中で第2結晶体成長させることで、第2結晶体におけるc面の曲率半径を、第1結晶体におけるc面の曲率半径よりも大きくすることができる。これにより、c面の湾曲が低減されてオフ角の均一性が高められた第2結晶体を得ることができる。
図1は、本発明の第1~第3実施形態による結晶基板の製造方法の全体を示すフローチャートである。 図2は、結晶基板の製造方法のステップS100の詳細を示すフローチャートである。 図3(a)~3(g)は、ステップS100における種基板21の作製工程を示す概略断面図である。 図4(a)~4(c)は、第1実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。 図5(a)~5(c)は、第2実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。 図6(a)~6(c)は、第3実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。 図7は、第1~第3実施形態の変形例による結晶基板の製造方法の全体を示すフローチャートである。 図8(a)~8(c)は、変形例のステップS300における基板41の作製工程を示す概略断面図である。 図9は、HVPE装置を例示する概略構成図である。 図10は、フラックス液相成長装置を例示する概略構成図である。 図11は、実験例の結果を示す表である。
以下、本発明の第1~第3実施形態およびそれらの変形例について説明する。第1~第3実施形態では、種結晶基板21(以下、種基板21ともいう)を種結晶として、結晶基板31(以下、基板31ともいう)を成長させる技術について説明する。また、変形例では、さらに基板31を種結晶として、結晶基板41(以下、基板41ともいう)を成長させる技術について説明する。種基板21、基板31および基板41は、それぞれ、III族窒化物の単結晶で構成される。種基板21、基板31および基板41を構成するIII族窒化物として、窒化ガリウム(GaN)が例示される。
<第1実施形態>
(1)結晶基板の製造方法
第1実施形態による基板31の製造方法について説明する。図1は、第1実施形態による基板31の製造方法の全体を示すフローチャートである。本製造方法は、ボイド形成剥離(VAS)法で成長された種基板21を用意するステップS100と、液相法、具体的にはフラックス法により基板31を作製するステップS200と、を有する。
(S100:VAS法で成長された種結晶基板用意)
ステップS100では、VAS法で成長された種基板21を用意する。図2は、ステップS100の詳細を示すフローチャートである。図3(a)~3(g)は、ステップS100における種基板21の作製工程を示す概略断面図である。
(S110:ボイド形成基板用意)
ステップS100は、ステップS110~S140を有する。ステップS110では、ボイド形成基板15を用意する。ステップS110は、より詳細には、ステップS111~S114を有する。ステップS111では、図3(a)に示すように、下地基板10を用意する。下地基板10として、サファイア基板が例示される。
ステップS112では、図3(b)に示すように、下地基板10上に下地層11を形成する。下地層11は、例えば、低温成長されたGaNで構成されたバッファ層と、GaNの単結晶層と、の積層で構成される。バッファ層および単結晶層は、例えば有機金属気相成長(MOVPE)により形成される。III族原料としては例えばトリメチルガリウム(TMG)が用いられ、V族原料としては例えばアンモニア(NH)が用いられる。バッファ層の厚さ、単結晶層の厚さは、それぞれ、例えば20nm、0.5μmである。
ステップS113では、図3(c)に示すように、下地層11上に金属層12を形成する。金属層12は、例えば、チタン(Ti)を厚さ20nm蒸着することで形成される。
ステップS114では、図3(d)に示すように、熱処理により、金属層12を窒化してナノマスク14を形成するとともに、下地層11にボイドを形成してボイド含有層13を形成する。当該熱処理は、例えば以下のように行われる。下地層11および金属層12が形成された下地基板10を、電気炉内に投入し、ヒータを有するサセプタ上に載置する。そして、下地基板10を、水素ガス(Hガス)または水素化物ガスを含む雰囲気中で加熱する。具体的には、例えば、窒化剤ガスとして20%のNHガスを含有するHガス気流中において、所定の温度、例えば850℃以上1100℃以下の温度で、20分間の熱処理を行う。
当該熱処理により、金属層12が窒化されることで、表面に高密度の微細孔を有するナノマスク14が形成される。また、ナノマスク14の微細孔を介して下地層11の一部がエッチングされることで、下地層11中にボイドが生じ、ボイド含有層13が形成される。このようにして、ステップS110では、下地基板10上に形成されたボイド含有層13およびナノマスク14を有するボイド形成基板15が用意される。
ナノマスク14の微細孔の分布、および、ボイド含有層13のボイドの分布が、面内で均一化されるように、当該熱処理が行われることが好ましい。このため、例えば、温度分布が面内で均一に近づくようヒータの加熱具合が調節されることが好ましく、また例えば、サセプタを回転させながら当該熱処理が行われることが好ましい。
(S120:HVPEによる結晶体成長)
ステップS120では、図3(e)に示すように、ボイド形成基板15のナノマスク14上に、結晶体20を成長させる。結晶体20は、気相法、具体的にはハイドライド気相成長(HVPE)法により成長させる。ここで、HVPE装置200について説明する。図9は、HVPE装置200を例示する概略構成図である。
HVPE装置200は、石英等の耐熱性材料からなり、成膜室201が内部に構成された気密容器203を備えている。成膜室201内には、処理対象の基板250を保持するサセプタ208が設けられている。サセプタ208は、回転機構216が有する回転軸215に接続されており、回転自在に構成されている。気密容器203の一端には、成膜室201内へ塩酸(HCl)ガス、NHガス、窒素ガス(Nガス)を供給するガス供給管232a~232cが接続されている。ガス供給管232cには水素(H)ガスを供給するガス供給管232dが接続されている。ガス供給管232a~232dには、上流側から順に、流量制御器241a~241d、バルブ243a~243dがそれぞれ設けられている。ガス供給管232aの下流には、原料としてのGa融液を収容するガス生成器233aが設けられている。ガス生成器233aには、HClガスとGa融液との反応により生成された塩化ガリウム(GaCl)ガスを、サセプタ208上に保持された基板250に向けて供給するノズル249aが接続されている。ガス供給管232b、232cの下流側には、これらのガス供給管から供給された各種ガスをサセプタ208上に保持された基板250に向けて供給するノズル249b、249cがそれぞれ接続されている。気密容器203の他端には、成膜室201内を排気する排気管230が設けられている。排気管230にはポンプ231が設けられている。気密容器203の外周にはガス生成器233a内やサセプタ208上に保持された基板250を所望の温度に加熱するゾーンヒータ207が、気密容器203内には成膜室201内の温度を測定する温度センサ209が、それぞれ設けられている。HVPE装置200が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ280に接続されており、コントローラ280上で実行されるプログラムによって、後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ステップS120は、HVPE装置200を用い、例えば以下の処理手順で実施することができる。まず、ガス生成器233a内に原料としてGaを収容する。また、サセプタ208上に処理対象の基板250としてボイド形成基板15を保持する。そして、成膜室201内の加熱および排気を実施しながら、成膜室201内へHガスとNガスとの混合ガスを供給する。そして、成膜室201内が所望の成膜温度、成膜圧力に到達し、また、成膜室201内の雰囲気が所望の雰囲気となった状態で、ガス供給管232a,232bからガス供給を行い、ボイド形成基板15に対し、成膜ガスとしてGaClガスとNHガスとを供給する。
ステップS120を実施する際の処理条件としては、以下が例示される。
成長温度Tg:980~1,100℃、好ましくは1,050~1,100℃
成膜室201内の圧力:90~105kPa、好ましくは90~95kPa
GaClガスの分圧:0.2~15kPa
NHガスの分圧/GaClガスの分圧:4~20
ガスの流量/Hガスの流量:1~20
当該成長処理において、ボイド含有層13を起点として成長を開始したGaN結晶が、ナノマスク14の微細孔を通って表面に現れることで、ナノマスク14上に初期核が形成される。初期核が、厚さ方向(縦方向)および面内方向(横方向)に成長し、面内で互いに結合することで、GaN単結晶からなる連続膜の結晶体20が形成される。結合した初期核間には互いに引き合う力が働くため、結晶体20には引張応力が導入される。また、初期核が形成されなかった領域では、ナノマスク14と結晶体20との間に、ボイド含有層13のボイドを起因とする空隙16が形成される。
初期核の分布、および、空隙16の分布が、面内で均一化されるように、当該成長処理が行われることが好ましい。このため、例えば、温度分布が面内で均一に近づくようゾーンヒータ207の加熱具合が調節されることが好ましく、また例えば、サセプタ208を回転させながら当該成長処理が行われることが好ましい。初期核の分布、および、空隙16の分布が、面内で均一化されるように、ナノマスク14の微細孔の分布、および、ボイド含有層13のボイドの分布は、面内で均一化されていることが好ましい。初期核が均一に分布することで、面内で転位密度が局所的に非常に高い領域(転位密度が例えば1×10/cm以上である転位集中領域)が生じないため、転位密度の分布が均一となる。また、初期核が均一に分布することで、引張応力が面内で均一となる。
連続膜の結晶体20が形成された段階では、初期核のファセットがまだ残っている。このため、結晶体20の成長側表面(ボイド形成基板15と反対側の表面)である主面20sは、滑らかな面である上面部と、ファセットで取り囲まれた凹部であるポケットとを有する。成長時間を充分に長くすることで、当該ポケットが埋まって、主面20sは、全体が滑らかな面になる。ポケットを利用した種基板21について、後述の第2実施形態(図5(a)~5(c)参照)で説明する。
結晶体20の成長時に、c軸方向の極性が反転した極性反転領域(インバージョンドメイン、ID)が発生することがある。本明細書における「単結晶」とは、IDを含有しない結晶に限らず、IDを複数含有する結晶をも含む。IDを利用した種基板21について、後述の第3実施形態(図6(a)~6(c)参照)で説明する。
成長させる結晶体20の厚さは、結晶体20から少なくとも1枚の自立した種基板21が得られる厚さ、例えば0.2mm以上の厚さであることが好ましい。成長させる結晶体20の厚さの上限は、特に制限されない。
(S130:剥離)
ステップS130では、図3(f)に示すように、結晶体20をボイド形成基板15から剥離させる。この剥離は、結晶体20の成長中において、あるいは結晶体20の成長後に成膜室201内を冷却する過程において、結晶体20がナノマスク14との間に形成された空隙16を境にボイド形成基板15から自然に剥離することで行われる。空隙16が均一に分布することで、特定領域への応力集中が生じにくい状態で、剥離が行われる。
所定厚さの結晶体20を成長させた後、成膜室201内を搬出作業が可能な温度にまで低下させ、成膜室201内からボイド形成基板15および結晶体20を搬出する。
結晶体20の成長中に導入された引張応力に起因して、剥離した結晶体20は、成長側表面が凹むように反る。結晶体20において、引張応力が面内で均一であることにより、反りが均一に発生する。これにより、剥離した結晶体20を構成するGaN単結晶のc面120は、主面20sを+c側から見たときに、結晶体20の内側に向かって凹の球面状に湾曲する。ここで「球面状」とは、球面近似される曲面状のことを意味している。また、ここでいう「球面近似」とは、真円球面(真球)または楕円球面(長球)に対して所定の誤差の範囲内で近似されることを意味している。
なお、主面20sの中心の法線方向から見た平面視において、結晶体20の最外周部では、成長する結晶の均一性が低下しやすい。このため、上述の「c面120が球面状に湾曲する」ことは、結晶体20の最外周部では成立していないこともある。上述の「c面120が球面状に湾曲する」ことは、平面視で主面20sの中心側の80%以上の面積の領域(以下、主要領域ともいう)において成立していればよい。これは、後述の、種基板21のc面121、結晶体30のc面130、基板31のc面131、結晶体40のc面140、および、基板41のc面141についても、同様である。以下、c面120、121、130、131、140および141の曲率半径等の説明は、主要領域に対するものである。
結晶体20のc面120が、「主要領域において、主面20sを+c側から見たときに、結晶体20の内側に向かって凹の球面状に湾曲する」ことを、煩雑さを避けるため単に、結晶体20のc面120が、「凹の球面状に湾曲する」とも表現する。後述の、種基板21のc面121、結晶体30のc面130、基板31のc面131、結晶体40のc面140、および、基板41のc面141についても、同様な表現を用いる。
結晶体20のオフ角は、結晶体20を構成するGaN単結晶のc軸方向と、主面20sの中心の法線方向とがなす角として定義される。後述の、種基板21、結晶体30、基板31、結晶体40および基板41のそれぞれのオフ角についても、同様に定義される。
結晶体20のオフ角は、c面120が湾曲しているため、主面20s内の位置に応じて変化する。つまり、剥離した結晶体20は、オフ角分布を有する。主面20sの中心におけるオフ角が、中心オフ角である。中心オフ角は、下地基板10のオフ角を調整することで制御でき、所定方向(例えばa軸方向、また例えばm軸方向)に傾斜するよう設定されることがある。
中心オフ角が所定方向に傾斜している場合、傾斜方向に対して平行な方向と垂直な方向とで、c面120の曲率半径が異なることがある。つまり、c面120の湾曲形状は、真円球面で近似される場合のみならず、楕円球面で近似される場合もあり得る。真円球面で近似される場合、c面120の形状は、1つの曲率半径で表される。楕円球面で近似される場合、c面120の形状は、2つの曲率半径で表される。
なお、例えばストライプマスクを用いたELO(Epitaxially Lateral Overgrowth)のような、初期核の発生密度を不均一に分布させることで転位集中領域を生じさせる方法で成長された結晶体では、c面の形状がゆがむ。つまり、このような結晶体では、c面の曲率半径が面内で変動する。c面の凹凸の向きが場所によって反転することも起こり得る。このため、このような結晶体におけるc面の形状は、一定の曲率半径によって適切に球面近似されることができない。
(S140:機械加工および研磨)
ステップS140では、図3(g)に示すように、ステップS130で剥離した結晶体20に、必要に応じ、機械加工および研磨、またはこれらの一方を施すことで、種基板21(自立した基板としての結晶体20)を得る。機械加工は、例えば、ワイヤーソーによる切断である。例えば、結晶体20の全体から1枚の種基板21を得てもよい。また例えば、結晶体20を複数枚にスライスすることで、結晶体20の全体から複数枚の種基板21を得てもよい。得られた種基板21に対し、必要に応じて、研磨を行ってもよいし、研磨を行わなくてもよい。両主面のうち一方の主面を研磨してもよい。なお、ステップS130で剥離した結晶体20を、そのまま種基板21として用いてもよい。
ステップS140における機械加工または研磨に起因して、種基板21のc面121の曲率半径が、剥離した結晶体20のc面120の曲率半径から変化することがある。
図3(g)は、平板形状に構成された種基板21を例示する。種基板21は、主面21sに対して最も近い低指数の結晶面がc面121であり、c面121が主面21sに対して(種基板21の両主面のいずれか一方の主面21sに対して)凹の球面状に湾曲するように、構成されている。c面121は、球面形状からのゆがみが抑制されているため、(主要領域において)一定の曲率半径を有する。
以上のように、ステップS100では、VAS法で成長された種基板21が用意される。種基板21のc面121の曲率半径は、例えば3m以上であり、また例えば10m以上である。なお、種基板21のc面121の曲率半径は、後述のように基板31のc面131の曲率半径よりも小さく、例えば20m以下であり、また例えば30m以下である。上述のように、種基板21のc面121が球面近似される形状であるということは、転位密度の面内分布が均一であることを意味する。転位密度の面内分布が均一である(つまり、転位密度が局所的に非常に高い領域が無い)ことは、具体的には例えば、以下のような条件で表される。種基板21の主面21s内で、カソードルミネッセンス(CL)法により、3mm角の測定領域中で、1箇所当たり直径500μmの大きさの観察領域を走査して、10箇所程度の測定を行う。このとき、最大の転位密度は、1×10/cm未満、好ましくは例えば5×10/cm以下である。平均的な転位密度は、好ましくは例えば3×10/cm以下である。最小の転位密度は、特に制限されない。最小の転位密度に対する最大の転位密度の比は、最小の転位密度が低いほど大きくなり得るが、目安としては、例えば100倍以下、また例えば10倍以下である。
(S200:液相法による結晶基板作製)
ステップS100で種基板21が用意された後、ステップS200では、液相法、具体的にはフラックス法により基板31を作製する。図4(a)~4(c)は、第1実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。図4(a)は、ステップS100で用意された種基板21を示す。第1実施形態では、平板形状に構成された種基板21、つまり、結晶成長の下地面である主面21sが全域にわたって平坦である種基板21を例示する。また、IDを含まない種基板21を例示する。
(S210:フラックス法による結晶体成長)
ステップS200は、ステップS210およびS220を有する。ステップS210では、図4(b)に示すように、種基板21上に、フラックス法により結晶体30を成長させる。フラックス法では、フラックス(溶媒)として用いられるアルカリ金属と、III族元素(本例ではGa)とを含む混合融液中で、III族窒化物(本例ではGaN)を成長させる。フラックスとなるアルカリ金属としては、ナトリウム(Na)が好ましく用いられるが、リチウム(Li)やカリウム(K)などの他のアルカリ金属元素が用いられてもよい。また、これらの元素を混合して用いてもよい。フラックスとして用いる金属は、アルカリ金属にアルカリ土類金属を加えたものであってもよい。当該アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等を、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。ここで、フラックス液相成長装置300について説明する。図10は、フラックス液相成長装置300を例示する概略構成図である。
フラックス液相成長装置300は、耐圧容器303を備える。耐圧容器303は、ステンレス(SUS)等からなり、耐圧容器303の内部には、例えば10MPa程度の高圧状態に昇圧させることが可能な加圧室301が構成されている。加圧室301内には、坩堝308と、坩堝308の蓋と、反応容器310と、坩堝308内を加熱するヒータ307と、加圧室301内の温度を測定する温度センサ309と、が設けられている。坩堝308は、例えばNaをフラックスとした、NaとGaから構成される混合融液を収容するとともに、処理対象の基板350を、その主面(結晶成長の下地面)を上向きとした状態で混合融液中に浸漬させることが可能なように構成されている。反応容器310は、反応容器本体と反応容器蓋から構成されており、反応容器310の内部に坩堝308が収容されている。反応容器310の外側に、ヒータ307が設けられている。フラックス液相成長装置300は、また、回転機構320を備え、回転機構320により、反応容器310を、つまりその内部に収容された坩堝308を、回転させることができる。耐圧容器303には、加圧室301内へNガスを供給するガス供給管332が接続されている。ガス供給管332には、上流側から順に、圧力制御装置333、流量制御器341、バルブ343が設けられている。フラックス液相成長装置300が備える各部材は、コンピュータとして構成されたコントローラ380に接続されており、コントローラ380上で実行されるプログラムによって、後述する処理手順や処理条件が制御されるように構成されている。
ステップS210は、フラックス液相成長装置300を用い、例えば以下の処理手順で実施することができる。まず、坩堝308内に、処理対象の基板350である種基板21と、混合融液の原料(NaおよびGa)とを収容し、また必要に応じ添加剤を収容して、耐圧容器303を封止する。そして、加圧室301内にNガスを供給し、所定のガス圧力にしてから加熱を開始する。ヒータ307による加熱を開始することで坩堝308内のNaおよびGaが溶融し、混合融液(Naを媒体としたGa融液、NaとGaとを含む混合融液)が形成される。結晶成長温度まで昇温後、結晶成長圧力にガス圧を調整する。混合融液中に窒素(N)を溶け込ませ、この状態を所定時間維持する。本明細書における「混合融液」とは、窒素を溶け込ませていないものに限らず、窒素を溶け込ませたものをも含む。
ステップS210を実施する際の処理条件としては、以下が例示される。
成長温度(混合融液の温度):700~1,000℃、好ましくは800~900℃、さらに好ましくは870~890℃
成長圧力(加圧室内の圧力):0.1~10MPa、好ましくは1~6MPa、さらに好ましくは2.5~4.0MPa
混合融液中のNa濃度〔Na/(Na+Ga)〕:10~90%、好ましくは40~85%、さらに好ましくは70~85%:本Na濃度はモル濃度である。
混合融液への添加剤として、例えば、カーボン(C)およびゲルマニウム(Ge)の少なくとも一方を加えても良い。この場合の添加量は、例えば、C濃度〔C/(C+Ga+Na)〕:0.1~1.0%であり、また例えば、Ge濃度〔Ge/(Ge+Ga)〕:0.5~4.0%である。
混合融液と窒素ガスの気液界面と、種基板21の主面との距離:3~70mm、好ましくは5~40mm、さらに好ましくは20~35mm
回転速度:1~30rpm、好ましくは5~20rpm、さらに好ましくは7~15rpm
当該成長処理によって、図4(b)に示すように、種基板21の主面21s上にGaN単結晶が結晶成長して、結晶体30が形成される。また、当該成長処理において、種基板21と結晶体30との界面に、混合融液に含まれるアルカリ金属(本例ではNa)がインクルージョン22として取り込まれることで、当該アルカリ金属を内包する閉空間23を複数有する中間層24が形成される。例えば上述の処理条件で成長処理を行うことにより、種基板21と結晶体30との界面にインクルージョン22を取り込ませて、中間層24を形成することができる。
図4(b)は、種基板21の主面21sより上部にインクルージョン22が形成されている態様を例示するが、インクルージョン22の形成態様はこれに限定されない。ここで、高さ位置の基準とする主面21sは、混合融液による種基板21のメルトバックが生じていない場合の主面21sを示す。インクルージョン22は、結晶体30の成長前に当該メルトバックが生じることで、主面21sより下部に、つまり主面21sに対して種基板21側に形成されることがあってもよい。中間層24は、インクルージョン22が形成されている領域を含んでおり、主面21sより上部の領域を含む場合、主面21sより下部の領域を含む場合、あるいは、それらの両方の領域を含む場合がある。インクルージョン22は、種基板21と結晶体30との間に介在するように、つまり、種基板21と結晶体30との界面に形成される。インクルージョン22が形成されている領域を含む中間層の厚さは例えば150μm程度である。
図4(b)に示されるように、種基板21と結晶体30とが構成する積層結晶基板100の厚さ方向に平行な断面内で、中間層24は、空間的に点在している複数のインクルージョン22を含んでおり、種基板21を構成するGaN単結晶から、結晶体30を構成するGaN単結晶が、フラックス法により均一に成長するための遷移領域となっている。例えば上述の処理条件で成長処理を行うことにより、インクルージョン22を、中間層24の面内において、均一に(ランダムに)、または、局在化せずに分散した状態で、分布させることができる。
種基板21の結晶性を反映して結晶体30が成長することで、結晶体30を構成するGaN単結晶のc面130は、結晶体30の主面30sに対して凹の球面状に湾曲する。本願発明者は、VAS法で成長された種基板21を種結晶として、フラックス法により結晶体30を成長させることで、種基板21のc面121の曲率半径よりも、結晶体30のc面130の曲率半径を大きくすることができる、という知見を見出した。この理由は、種基板21と結晶体30との界面に介在する中間層24によって、結晶体30が種基板21に拘束される力が弱まり、結晶体30の成長に伴って結晶体30中に発生する圧縮応力が緩和されるためではないか、と推測される。
成長させる結晶体30の厚さは、結晶体30から少なくとも1枚の自立した基板31が得られる厚さ、例えば0.2m以上の厚さであることが好ましい。成長させる結晶体30の厚さの上限は、特に制限されない。一方、結晶体30の厚さが0.2mmより薄い場合には、後述する基板31に分離せずに、種基板21と中間層24と結晶体30とが一体化したままの積層結晶基板100を、後述の変形例において結晶体40を気相成長させるための種基板として用いてもよい。このように薄い結晶体30であっても、c面の曲率半径を拡大させる効果を有する。所定厚さの結晶体30を成長させた後、耐圧容器303内を室温と大気圧に復帰させ、坩堝308内から、結晶体30が形成された種基板21を取り出す。
種基板21と、種基板21上に成長された結晶体30とを有する積層結晶基板100の特徴としては、例えば、種基板21と結晶体30との界面に中間層24を備えることが挙げられ、また例えば、結晶体30におけるc面130の曲率半径が、種基板121におけるc面121の曲率半径よりも大きいことが挙げられる。
(S220:機械加工および研磨)
ステップS220では、図4(c)に示すように、ステップS210で成長させた結晶体30を、機械加工、例えばワイヤーソーにより切断して、種基板21から分離する。種基板21と結晶体30との界面から適切に離れた位置で切断することにより、分離された結晶体30に、中間層24を含む結晶体30の根元部分が含まれないようにできる。結晶体30を分離することで残る、種基板21と、中間層24を含む結晶体30の根元部分との積層結晶基板110は、フラックス法等で結晶成長を行うための種結晶として再利用してもよい。
分離された結晶体30に、必要に応じ、機械加工および研磨、またはこれらの一方を施すことで、基板31(自立した基板としての結晶体30)を得る。例えば、結晶体30の全体から1枚の基板31を得てもよい。また例えば、結晶体30を複数枚にスライスすることで、結晶体30の全体から複数枚の基板31を得てもよい。得られた基板31に対し、必要に応じて、研磨を行ってもよいし、研磨を行わなくてもよい。両主面のうち一方の主面を研磨してもよい。なお、分離された結晶体30を、そのまま基板31として用いてもよい。
結晶体30の種基板21からの分離に起因して、結晶体30のc面130の曲率半径が、分離前の結晶体30のc面130の曲率半径から変化することがある。また、分離された結晶体30に対する機械加工または研磨に起因して、基板31のc面131の曲率半径が、分離された結晶体30のc面130の曲率半径から変化することもある。ただし、このような曲率半径の変化が生じても、種基板21のc面121の曲率半径と比べて、分離された結晶体30のc面130の曲率半径、および、基板31のc面131の曲率半径が大きい、という傾向は保たれる。
図4(c)は、平板形状に構成された基板31を例示する。基板31は、主面31sに対して最も近い低指数の結晶面がc面131であり、c面131が主面31sに対して(基板31の両主面のいずれか一方の主面31sに対して)凹の球面状に湾曲するように、構成されている。c面131は、球面形状からのゆがみが抑制されているため、(主要領域において)一定の曲率半径を有する。
以上のように、ステップS200では、VAS法で成長された種基板21を種結晶として、フラックス法により基板31が作製される。基板31のc面131の曲率半径は、種基板21のc面121の曲率半径よりも大きく、好ましくは10m以上であり、より好ましくは15m以上であり、さらに好ましくは20m以上である。基板31は、例えば、半導体デバイス製造用の基板として用いられる。基板31のサイズは、大径の基板を求める市場の要請から、例えば直径4インチ(10.16cm)以上であることが好ましい。これに対応して、種基板21のサイズも、例えば直径4インチ以上であることが好ましい。c面131が球面状であることで、主面31s内のある領域内(例えば半導体デバイス1つ分に対応する領域内)において、オフ角が不規則に変化せず、またオフ角の変化が緩やかとなる。また、c面131が球面状であることで、主面31s内の全体的なオフ角分布を容易に把握することができる。即ち、c面131の曲率半径が大きい事で、大径の基板にも拘らず面内のオフ角分布は小さくする事が出来、且つc面131が球面状であることで、オフ角の変化が規則的に変化する。従って、基板31は、当該基板を用いて製造される半導体デバイスの性能向上に資することが期待され、例えば、既存のデバイスに比べ省エネルギー効果の高いパワーデバイスを製造するための基板としての利用が期待される。なお、基板31は、また例えば、後述の変形例のように種結晶として用いられてもよい。
(2)本実施形態により得られる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
(a)VAS法で成長された種基板21を種結晶として、フラックス法により基板31を成長させることで、基板31におけるc面131の曲率半径を、種基板21におけるc面121の曲率半径よりも大きくすることができる。c面131の曲率半径が大きいほど、c面131の湾曲が低減されるので、基板31の面内におけるオフ角分布の幅を小さくできる。つまり、面内におけるオフ角の均一性が高められた基板31を得ることができる。種基板21の球面状のc面121から、曲率半径の拡大を生じさせることで、基板31の球面状のc面131が得られている。このため、基板31では、種基板21と比べて、面内で全体的に、オフ角変化が緩やかとなっている。基板31では、種基板21と比べて、面内で全体的にオフ角変化が緩やかになることにより、オフ角分布の幅を小さくすることができる。
基板31が大径になるほどオフ角分布の幅は大きくなりやすいので、オフ角分布の幅を小さくできる本方法は、大径(例えば直径4インチ以上)の基板31に適用されることが特に好ましい。
(b)フラックス法による結晶成長に伴い、種基板21と結晶体30との界面にインクルージョン22が取り込まれる現象を利用することで、中間層24を形成でき、基板31のc面131の曲率半径を大きくすることができる。インクルージョン22が、つまり閉空間23が、種基板21と結晶体30との界面の面内で均一に(ランダムに)、または、局在化せずに分散した状態で、分布することにより、曲率半径を大きくする効果を、面内で均一に得ることができる。
(c)種基板21の凹の球面状のc面121から、曲率半径の拡大を生じさせることで、基板31の凹の球面状のc面131が得られている。このため、c面131は、局所的に凸形状の曲率を有したりせず、基板31内では、局所的なひずみが抑制されている。これにより、基板31は、クラックや欠けが生じ難く、加工が容易である。このため、基板31の製造工程や、基板31を用いたデバイス製造工程での歩留まり向上が図られる。
(d)フラックス法により結晶体30が成長する際に、種基板21からの転位の伝搬が、インクルージョン22によって阻止される効果も期待される。このため、種基板21の転位密度と比べて、基板31の転位密度をさらに低減させる効果も得られる。基板31において、最大の転位密度は、好ましくは例えば3×10/cm以下であり、平均的な転位密度は、好ましくは例えば1×10/cm以下である。最小の転位密度は、特に制限されない。基板31において、最小の転位密度に対する最大の転位密度の比は、最小の転位密度が低いほど大きくなり得るが、目安としては、例えば100倍以下、また例えば10倍以下である。
基板31は、転位密度の分布が均一であるため、面内の広い領域を、半導体デバイス製造用の領域として利用しやすい。このため、基板31は、例えば、多数の半導体デバイスを効率的に製造する用途、また例えば、大面積の半導体デバイスを製造する用途に、好ましく用いることができる。
<第2実施形態>
(1)結晶基板の製造方法
第2実施形態による基板31の製造方法について説明する。以下主に、第1実施形態との違いについて説明する。第2実施形態においても、図1に示したステップS100およびS200に沿い、VAS法で成長された種基板21を種結晶として、フラックス法により基板31を作製することは同様である。ただし、種基板21の態様が、第1実施形態と異なる。
図5(a)~5(c)は、第2実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。図5(a)は、ステップS100で用意された種基板21を示す。第2実施形態の種基板21は、結晶成長の下地面である主面21sが、主領域21mとポケット21pとを有する。主領域21mは、主面21sの滑らかな上面部であり、ポケット21pは、主領域21sに対して凹んだ領域である。第2実施形態の種基板21は、ポケット21pを有する点で、第1実施形態の種基板21と異なる。
図3(e)を参照して説明したように、種基板21を構成する結晶体20を成長させる際、成長時間がある程度短い間は、初期核のファセットで取り囲まれた凹部であるポケットが、埋まらずに残っている。第2実施形態では、ポケットが残った状態の結晶体20の成長側表面が主面21sとなるように、種基板21を構成する。
図5(b)に示すステップS210、つまり、種基板21上にフラックス法により結晶体30を成長させる工程、および、図5(c)に示すステップS220、つまり、成長させた結晶体30から基板31を得る工程は、第1実施形態と同様である。ステップS210の結晶成長処理の処理条件としては、第1実施形態と同様な条件が例示される。
ポケット21pは、第2実施形態の種基板21において、フラックス法の混合融液が留まりやすいように構成された領域、つまり、インクルージョン22が形成されやすいように構成された領域(以下、インクルージョン形成領域ともいう)として設けられている。換言すると、インクルージョン形成領域は、種基板21の主面21sにおいて、インクルージョン形成領域以外の領域と比べて、インクルージョン22が形成されやすい特性を持つ領域である。フラックス法により結晶体30を成長させる際に、混合融液がポケット21pに入り込むことで、インクルージョン22が形成される。インクルージョン22は、ポケット21pの表面を塞ぐキャップ層となり、キャップ層(インクルージョン22)により、ポケット21pを下地とした結晶成長が抑制される。主領域21mを下地として成長した結晶体30によって、キャップ層(インクルージョン22)が埋め込まれ、種基板21と結晶体30との界面のうちポケット21pに対応する位置に、混合融液に含まれるアルカリ金属を内包する閉空間23が形成される。
種基板21と、種基板21上に成長された結晶体30とを有する積層結晶基板100の特徴としては、第1実施形態で挙げた特徴とともに、また例えば、種基板21が主領域21mとポケット21pとを有し、閉空間23がポケット21pに対応する位置に形成されていることが挙げられる。
(2)本実施形態により得られる効果
第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が得られる。種基板21と結晶体30との界面にインクルージョン22が取り込まれることで中間層24が形成され、種基板21のc面121の曲率半径よりも、結晶体30のc面130の曲率半径を大きくすることができる。さらに、第2実施形態では、種基板21がインクルージョン形成領域としてポケット21pを有することで、第1実施形態と比べてより確実に、中間層24を形成することができる。また、ポケット21pの個数密度、位置、大きさ等を調整することで、インクルージョン22または閉空間23の個数密度、位置、大きさ等を調整することも可能である。
<第3実施形態>
(1)結晶基板の製造方法
第3実施形態による基板31の製造方法について説明する。以下主に、第1および第2実施形態との違いについて説明する。第3実施形態においても、図1に示したステップS100およびS200に沿い、VAS法で成長された種基板21を種結晶として、フラックス法により基板31を作製することは同様である。ただし、種基板21の態様が、第1および第2実施形態と異なる。
図6(a)~6(c)は、第3実施形態のステップS200における基板31の作製工程を示す概略断面図である。図6(a)は、ステップS100で用意された種基板21を示す。第3実施形態の種基板21は、ID21iを有する点で、第1および第2実施形態の種基板21と異なる。
図3(e)を参照して説明したように、種基板21を構成する結晶体20を成長させる際、c軸方向の極性が反転したIDが発生することがある。第3実施形態では、ID21iを含有する結晶体20によって、種基板21を構成する。ID21iを含有する種基板21は、例えば、特許第4424497号公報(以下、参考文献という)に記載された技術を適用することで作製される。
参考文献には、VAS法でIII族窒化物結晶の成長を行う際に、初期核密度ρを6×10/cm以下に抑制することで、転位密度を低減する技術が提案されている。初期核密度ρを適切に抑制するために、初期核成長中に初期核のエッチングを行う方法、または、初期核成長工程と初期核のエッチング工程とを交互に行う方法が提案されている。エッチングガスとして、HClガスおよびHガスの少なくとも一方を用いることが提案されている。初期核密度ρは、初期核による基板の表面被覆率が0.8以下の期間において、「ρ=f/h」の関係式により表され、fは表面被覆率であって、0≦f≦1を満たし、hはfを測定した時点における初期核の平均高さを表す。
本願発明者は、参考文献の方法を適用することで、つまり、ステップS120におけるHVPE法による結晶成長において参考文献に提案された初期核のエッチング方法を適用することで、転位密度の低減効果が得られることを確認している。また、転位密度の低減効果に加えて、c面の曲率半径を拡大する効果があるとの知見を得ている。一方、本願発明者は、参考文献の方法を適用することで、IDが発生するという知見も得ている。このような知見を踏まえ、第3実施形態では、初期核密度を抑制することで転位密度を低減させc面の曲率半径を拡大させつつIDを発生させた結晶体20を用いて、種基板21を構成する。第3実施形態では、図9に示したHVPE装置において、成膜ガス等と独立してエッチングガスの供給を行えるように、エッチングガス用のガス供給管、流量制御器、およびバルブを追加するとよい。
第3実施形態の種基板21は、主領域21mとID21iとを有し、例えば平坦な主面21sを有する平板形状に構成されている。主領域21mは、GaN結晶が+c軸方向に成長した通常の領域である。ID21iは、GaN結晶が+c軸方向と逆の-c軸方向に成長した極性反転領域である。ID21iは、種基板21を厚さ方向に貫通して、結晶成長の下地面である主面21sに露出している。
図6(b)に示すステップS210、つまり、種基板21上にフラックス法により結晶体30を成長させる工程、および、図6(c)に示すステップS220、つまり、成長させた結晶体30から基板31を得る工程は、第1および第2実施形態と同様である。ステップS210の結晶成長処理の処理条件としては、第1および第2実施形態と同様な条件が例示される。
本願発明者は、ID21iを有する種基板21上に、フラックス法により結晶体30を成長させると、理由の詳細は不明であるが、ID21i上にインクルージョン22が形成されやすいとの知見を得ている。また、フラックス法では、ID21i上には極性反転していない+c面、および、IDである-c面の何れも成長せずに、ID21iの周辺の主領域21mからのオーバーグロースが生じるとの知見を得ている。これらの知見を踏まえ、ID21iは、第3実施形態の種基板21において、インクルージョン形成領域として設けられている。フラックス法により結晶体30を成長させる際に、混合融液に含まれるアルカリ金属がID21i上に取り込まれることで、インクルージョン22が形成される。インクルージョン22は、ID21iの表面を塞ぐキャップ層となり、キャップ層(インクルージョン22)により、ID21iを下地とした結晶成長が抑制される。主領域21mを下地として成長した結晶体30によって、キャップ層(インクルージョン22)が埋め込まれ、種基板21と結晶体30との界面のうちID21iに対応する位置に、当該アルカリ金属を内包する閉空間23が形成される。本実施形態では、種基板21がID21iを含有していても、ID21iを下地とした-c軸方向の結晶成長は生じない。種基板21上にフラックス法により成長させた結晶体30は、全体が+c軸方向に成長しており、IDを含有しない。
種基板21と、種基板21上に成長された結晶体30とを有する積層結晶基板100の特徴としては、第1実施形態で挙げた特徴とともに、また例えば、種基板21が主領域21mとID21iとを有し、閉空間23がID21iに対応する位置に形成されていることが挙げられる。
種基板21の主面21sにおけるID21iの個数密度(以下、ID個数密度という)の分布の中央値は、例えば1,000~10,000個/cm程度(例えば3,000個/cm程度)である。なお、ID個数密度の分布が均一であることの目安としては、ID個数密度の分布の中央値が例えば3,000個/cm程度のとき、ID個数密度の標準偏差が、例えば1,000個/cm以下であることが挙げられる。
(2)本実施形態により得られる効果
第3実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が得られる。種基板21と結晶体30との界面にインクルージョン22が取り込まれることで中間層24が形成され、種基板21のc面121の曲率半径よりも、結晶体30のc面130の曲率半径を大きくすることができる。さらに、第3実施形態では、種基板21がインクルージョン形成領域としてID21iを有することで、第1実施形態と比べてより確実に、中間層24を形成することができる。また、ID21iの個数密度、位置、大きさ等を調整することで、インクルージョン22または閉空間23の個数密度、位置、大きさ等を調整することも可能である。
<変形例>
上述の第1~第3実施形態の変形例について説明する。第1~第3実施形態では、種基板21を種結晶として基板31を作製する製造方法について説明した。本変形例では、さらに、基板31を種結晶として基板41を作製する製造方法について説明する。
図7は、本変形例による基板41の製造方法を示すフローチャートである。本製造方法は、VAS法で成長された種基板21を用意するステップS100と、液相法、具体的にはフラックス法により基板31を作製するステップS200と、気相法、例えばHVPE法により基板41を作製するステップS300とを有する。ステップS100およびS200は、第1~第3実施形態において図1を参照して説明したものと同様であり、基板31は、第1~第3実施形態のいずれの製造方法で得てもよい。
(S300:気相法による結晶基板作製)
ステップS200で基板31が用意された後、ステップS300では、気相法、例えばHVPE法により基板41を作製する。図8(a)~8(c)は、ステップS300における基板41の作製工程を示す概略断面図である。図8(a)は、ステップS200で用意された基板31を示す。
(S310:HVPE法による結晶体成長)
ステップS300は、ステップS310およびS320を有する。ステップS310では、図8(b)に示すように、基板31上に、HVPE法によりGaN単結晶をエピタキシャル成長させることで、結晶体40を形成する。ステップS310は、HVPE装置200により、処理対象の基板250として基板31を用い、種基板21の作製に係るステップS120と同様な処理手順で実施することができる。ステップS310の結晶成長処理の処理条件としては、ステップS120と同様な条件が例示される。なお、結晶体40の種結晶に用いる基板31として、種基板21上に積層された状態の結晶体30(図4(b)等に示す積層結晶基板100)を用いてもよい。
成長させる結晶体40の厚さは、結晶体40から少なくとも1枚の自立した基板41が得られる厚さ、例えば0.2mm以上の厚さであることが好ましい。成長させる結晶体20の厚さの上限は、特に制限されない。
(S320:機械加工および研磨)
ステップS320では、図8(c)に示すように、ステップS310で成長させた結晶体40を、機械加工、例えばワイヤーソーにより切断して、基板31から分離する。結晶体40を分離することで残る、基板31と結晶体40の根元部分との積層結晶基板130は、HVPE法等で結晶成長を行うための種結晶として再利用してもよい。
分離された結晶体40に、必要に応じ、機械加工および研磨、またはこれらの一方を施すことで、基板41(自立した基板としての結晶体40)を得る。例えば、結晶体40の全体から1枚の基板41を得てもよい。また例えば、結晶体40を複数枚にスライスすることで、結晶体40の全体から複数枚の基板41を得てもよい。得られた基板41に対し、必要に応じて、研磨を行ってもよいし、研磨を行わなくてもよい。両主面のうち一方の主面を研磨してもよい。なお、分離された結晶体40を、そのまま基板41として用いてもよい。
結晶体40の基板31からの分離に起因して、結晶体40のc面140の曲率半径が、分離前の結晶体40のc面140の曲率半径から変化することがある。また、分離された結晶体40に対する機械加工または研磨に起因して、基板41のc面141の曲率半径が、分離された結晶体40のc面140の曲率半径から変化することもある。
図8(c)は、平板形状に構成された基板41を例示する。基板41は、主面41sに対して最も近い低指数の結晶面がc面141であり、c面141が主面41sに対して(基板41の両主面のいずれか一方の主面41sに対して)凹の球面状に湾曲するように、構成されている。c面141は、球面形状からのゆがみが抑制されているため、(主要領域において)一定の曲率半径を有する。
以上のように、ステップS300では、基板31を種結晶として、気相法、例えばHVPE法により、基板41が作製される。HVPE法は、フラックス法よりも高い成長レートで結晶を成長させることができる。このため、本変形例は、フラックス法により結晶性が高められた基板31を得た後、基板31を種結晶として厚膜の結晶体40を得る技術として好ましく用いられる。
基板41のc面141の曲率半径は、基板31のc面131の曲率半径と少なくとも同程度に大きく、種基板21のc面121の曲率半径よりも大きい。基板41のc面141の曲率半径は、好ましくは10m以上であり、より好ましくは15m以上であり、さらに好ましくは20m以上である。基板41は、例えば、半導体デバイス製造用の基板として用いられてもよいし、また例えば、さらに種結晶として用いられてもよい。基板41のサイズは、基板31のサイズと同様に、例えば直径4インチ以上であることが好ましい。
基板41の結晶性は、基板31の結晶性と同程度に高い。基板41において、最大の転位密度は、好ましくは例えば3×10/cm以下であり、平均的な転位密度は、好ましくは例えば1×10/cm以下である。最小の転位密度は、特に制限されない。基板41において、最小の転位密度に対する最大の転位密度の比は、最小の転位密度が低いほど大きくなり得るが、目安としては、例えば100倍以下、また例えば10倍以下である。
以上、本発明の実施形態および変形例を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態および変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上述の第2および第3実施形態で例示したポケット21pおよびID21iの両方を、インクルージョン形成領域として有する種基板21を用いて、結晶体30を成長させてもよい。また例えば、変形例において、結晶体40を基板31から分離せずに、基板31と結晶体40との積層結晶基板120から、1枚または複数枚の基板を得るようにしてもよい。また例えば、結晶体20、30または40を成長させる際に、必要に応じて、導電型決定不純物等の不純物を添加してもよい。
<実験例>
次に、実験例について説明する。実験例では、上述の変形例と同様に、VAS法で成長された種基板21を用意し、種基板21を種結晶としてフラックス法により基板31を作製し、さらに、基板31を種結晶としてHVPE法により基板41を作製した。VAS法による種基板21として、第3実施形態と同様に、IDを含む種基板21を用いた。なお、中心オフ角がm軸方向に傾斜している種基板21を用いた。種基板21、基板31、および基板41の直径は、それぞれ4インチである。
図11は、本実験例の結果を示す表であり、各結晶体および各基板の、相互に直交するa軸方向およびm軸方向のc面の曲率半径を、m単位で示す。「VAS法」の欄に示す値が、種基板21におけるc面の曲率半径である。「フラックス法/as-grown」の欄に示す値が、種基板21上にフラックス法で成長され、種基板21上に積層された状態の結晶体30におけるc面の曲率半径である。「フラックス法/自立基板」の欄に示す値が、種基板21から分離された結晶体30により構成された基板31におけるc面の曲率半径である。「HVPE法/as-grown」の欄に示す値が、基板31上にHVPE法で成長され、基板31上に積層された状態の結晶体40におけるc面の曲率半径である。「HVPE法/自立基板」の欄に示す値が、基板31から分離された結晶体40により構成された基板41におけるc面の曲率半径である。
各曲率半径は、X線回折測定により求めた。X線回折測定とは、ある結晶にX線をθの角度で入射した時に2dsinθ=λ(ブラッグの反射条件)を満たした時に回折が起こることを利用した測定方法である。ここでdは回折を生じる結晶面の面間隔、λはX線の波長である。すなわち、面間隔dの結晶面の回折のみを受光するためには、受光装置(検出器)の見込む方向とX線の進行方向の成す角が2θになるように配置すれば良い。受光装置を2θの位置に固定して、試料へのX線の入射角度のみを任意の範囲で変化させる方法がX線ロッキングカーブ測定法である。ここで試料表面に対するX線の入射角度をωとすると、試料表面と完全に平行に面間隔dの測定対象の結晶面が存在する場合、ω=2θ/2の時に回折が生じる。一方、試料表面に対し、面間隔dの測定対象の結晶面がΔω傾いて存在する場合、ω=2θ/2-Δωの時に回折が生じることになる。測定対象の結晶面が試料内で概球面状に存在している場合、試料の任意の位置によって、試料表面と測定対象の結晶面とのなす角Δωが異なり、結果的にωが異なることになる。X線ロッキングカーブのピーク角度がこのωである。
測定にはスペクトリス社製のX線回折装置X’pert MRDを用いた。X線源は管球タイプでCuターゲットを使用したものを用いた。X線ミラーを用いて発生したX線を平行化した後、Ge(220)2回反射のモノクロメータを使ってCuKα1線のみを抽出した。この波長λは1.54056Åである。さらにモノクロメータの出射光口に開口幅100μmのスリットを配備してX線の照射幅を絞った。GaNのc面の曲率半径を調べたかったので、測定対象の結晶面は(0002)面とした。上記ブラッグの反射条件を満たす入射角は、GaNのc軸長は理想的に5.185Åであるので、d0002=c/2=2.5925Åとすると、17.285°である。したがって、この時の試料上での入射X線のフットプリントの幅は、337μmであり、約0.3mmと考えてよい。そこで最大分解能でc面形状およびその曲率半径を詳細に調べるため、試料の中心を通るm軸に平行な任意の線分上でx=-45mmから45mmまで0.3mmピッチで測定位置を変化させてX線ロッキングカーブのピーク角度を評価した。曲率が一定であれば、当該測定結果を横軸x(m)、縦軸ω(rad)でプロットした時、1次関数でフィッティングできるはずであり、その1回微分の逆数が曲率半径Rである。また、先ほどの線分に直交する方向(それはa軸に平行な方向である)においても同様の評価を行い、曲率半径を求めた。このようにして、m軸方向の曲率半径およびa軸方向の曲率半径を求めた。
図11に示すように、a軸方向およびm軸方向のそれぞれについて、VAS法で成長された種基板21におけるc面の曲率半径よりも、種基板21を種結晶としてフラックス法で成長された結晶体30(フラックス法/as-grown)および基板31(フラックス法/自立基板)におけるc面の曲率半径が、大きくなっている。したがって、これにより、種基板21と比べて、結晶体30および基板31において、面内でのオフ角の均一性が向上している。基板31を種結晶としてHVPE法で成長された結晶体40(HVPE法/as-grown)および基板41(HVPE法/自立基板)についても、同様に、種基板21と比べて、a軸方向およびm軸方向のc面の曲率半径が大きくなっており、面内でのオフ角の均一性が向上している。
本実験例で用いた種基板21では、c面の曲率半径が、a軸方向およびm軸方向のどちらについても、10m以上と大きい。種基板21上にフラックス法で結晶成長を行うことで、a軸方向およびm軸方向のどちらについても、c面の曲率半径が、15m以上、あるいは約20m以上と、より大きくなっている。HVPE法による成長後のc面の曲率半径は、a軸方向およびm軸方向のどちらについても、25m以上と、さらに大きくなっている。なお、本実験例では、中心オフ角の傾斜に起因して、種基板21におけるc面の曲率半径が、a軸方向とm軸方向とで異なっている。種基板21におけるc面の曲率半径のa軸方向とm軸方向との大小関係は、フラックス法による成長後において、またさらにHVPE法による成長後において、変わらない傾向が見られる。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
気相法により作製されたIII族窒化物の単結晶からなり第1主面を有する基板であって、前記単結晶のc面が所定の曲率で凹の球面状に湾曲している第1結晶体を用意する工程と、
前記第1主面上に、III族窒化物の単結晶からなる第2結晶体を、アルカリ金属とIII族元素とを含む混合融液中で成長させる工程と、
を有する結晶基板の製造方法。
(付記2)
前記第1結晶体の前記第1主面における最大の転位密度は、1×10/cm未満、好ましくは5×10/cm以下である、付記1に記載の結晶基板の製造方法。
(付記3)
前記第2結晶体を成長させる工程では、前記第1結晶体と前記第2結晶体との界面に、前記混合融液に含まれる前記アルカリ金属を取り込ませ、前記アルカリ金属を内包する閉空間を複数有する中間層を形成する、付記1または2に記載の結晶基板の製造方法。
(付記4)
前記第2結晶体を成長させる工程では、結晶の成長に伴って前記第2結晶体中に発生する圧縮応力を、前記中間層によって緩和させることで、前記第2結晶体におけるc面の曲率半径を、前記第1結晶体におけるc面の曲率半径よりも大きくする、付記3に記載の結晶基板の製造方法。
(付記5)
前記第1結晶体の前記第1主面には、前記混合融液が留まりやすいように構成された領域が設けられている、付記3または4に記載の結晶基板の成長方法。
(付記6)
前記第1結晶体を用意する工程では、前記第1結晶体として、主領域と、前記主領域に対して凹んだ領域であるポケットと、を有する結晶体を用意し、
前記第2結晶体を成長させる工程では、前記混合融液に含まれる前記アルカリ金属により前記ポケットの表面を塞ぐキャップ層を形成して前記ポケットを下地とした結晶成長を抑制しつつ、前記主領域を下地として成長した結晶によって前記キャップ層を埋め込み、前記第1結晶体と前記第2結晶体との界面のうち前記ポケットに対応する位置に、前記アルカリ金属を内包する前記閉空間を形成する、付記3~5のいずれか1つに記載の結晶基板の製造方法。
(付記7)
前記第1結晶体を用意する工程では、前記第1結晶体として、主領域と、前記主領域に対してc軸方向の極性が反転している極性反転領域と、を有する結晶体を用意し、
前記第2結晶体を成長させる工程では、前記混合融液に含まれる前記アルカリ金属により前記極性反転領域の表面を塞ぐキャップ層を形成して前記極性反転領域を下地とした結晶成長を抑制しつつ、前記主領域を下地として成長した結晶によって前記キャップ層を埋め込み、前記第1結晶体と前記第2結晶体との界面のうち前記極性反転領域に対応する位置に、前記アルカリ金属を内包する前記閉空間を形成する、付記3~5のいずれか1つに記載の結晶基板の製造方法。
(付記8)
前記第2結晶体を含む結晶体から結晶基板を得る工程をさらに有する、付記1~7のいずれか1つに記載の結晶基板の製造方法。
(付記9)
前記第2結晶体上に、III族窒化物の単結晶からなる第3結晶体を気相法により成長させる工程をさらに有する、付記1~8のいずれか1つに記載の結晶基板の製造方法。
(付記10)
前記第3結晶体におけるc面の曲率半径が、前記第1結晶体におけるc面の曲率半径よりも大きい、付記9に記載の結晶基板。
(付記11)
前記第3結晶体を含む結晶体から結晶基板を得る工程をさらに有する、付記9または10に記載の結晶基板の製造方法。
(付記12)
気相法により作製されたIII族窒化物の単結晶からなり第1主面を有する基板であって、前記単結晶のc面が所定の曲率で凹の球面状に湾曲している第1結晶体と、
アルカリ金属とIII族元素とを含む混合融液を用いて前記第1主面上に成長させられたIII族窒化物の単結晶からなる第2結晶体と、
を備える結晶基板。
(付記13)
前記第1結晶体と前記第2結晶体との界面に、前記アルカリ金属を内包する閉空間を複数有する中間層を備える、付記12に記載の結晶基板。
(付記14)
前記第2結晶体におけるc面の曲率半径が、前記第1結晶体におけるc面の曲率半径よりも大きい、付記12または13に記載の結晶基板。
(付記15)
前記第1結晶体が、主領域と、前記主領域に対して凹んだ領域であるポケットと、を有し、
前記閉空間が、前記ポケットに対応する位置に形成されている、付記12~14のいずれか1つに記載の結晶基板。
(付記16)
前記第1結晶体が、主領域と、前記主領域に対してc軸方向の極性が反転している極性反転領域と、を有し、
前記閉空間が、前記極性反転領域に対応する位置に形成されている、付記12~14のいずれか1つに記載の結晶基板。
(付記17)
III族窒化物の単結晶からなる基板であって、
前記単結晶のc面が、前記基板の両主面のうちいずれか一方の主面に対して、好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上、さらに好ましくは20m以上の大きさの曲率半径で凹の球面状に湾曲している結晶基板。
(付記18)
前記単結晶のc面のa軸方向の曲率半径、および、前記単結晶のc面のm軸方向の曲率半径のいずれも、好ましくは10m以上、より好ましくは15m以上、さらに好ましくは20m以上である、付記17に記載の結晶基板。
(付記19)
前記単結晶のc面は、平面視された前記一方の主面の80%以上の面積の領域において、一定の曲率半径を有する、付記17または18に記載の結晶基板。
(付記20)
前記単結晶の前記一方の主面における最大の転位密度は、3×10/cm以下である、付記17~19のいずれか1つに記載の結晶基板の製造方法。
(付記21)
4インチ以上の直径を有する、付記12~20のいずれか1つに記載の結晶基板。
10 下地基板
11 下地層
12 金属層
13 ボイド含有層
14 ナノマスク
15 ボイド形成基板
16 空隙
20、30、40 結晶体
21、31、41 基板
20s、21s、30s、31s、40s、41s 主面
120、121、130、131、140、141 c面
100、110、120、130 積層結晶基板
21m 主領域
21p ポケット
21i インバージョンドメイン
22 インクルージョン
23 閉空間
24 中間層

Claims (7)

  1. III族窒化物の単結晶からなる基板であって、
    4インチ以上の直径を有し、
    前記基板の中心を通るm軸に平行な任意の線分上でx=-45mmから45mmまで前記単結晶の結晶面であるc面の曲率半径が一定かつ25m以上であり、
    ガリウム空孔-水素複合体に帰属する赤外吸収ピークを3140~3200cm-1に有しない、
    結晶基板。
  2. 前記基板の中心を通るa軸に平行な任意の線分上でx=-45mmから45mmまで前記単結晶の結晶面であるc面の曲率半径が一定かつ25m以上である、請求項1に記載の結晶基板。
  3. 前記基板の主面における前記単結晶の最大の転位密度が3×10/cm以下である請求項1または2に記載の結晶基板。
  4. 前記基板の主面における前記単結晶の平均の転位密度が1×10/cm以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の結晶基板。
  5. 前記基板の主面における前記単結晶の最小の転位密度に対する最大の転位密度の比が100倍以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の結晶基板。
  6. 前記基板は平板形状を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の結晶基板。
  7. 前記基板の主面上に転位アレイを有しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の結晶基板。
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