JP7140624B2 - めっき部材 - Google Patents

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Description

本発明はめっき部材に関し、特に電気亜鉛めっき層が形成されためっき部材に関するものである。
鋼製の被めっき部材に電気亜鉛めっきが施されためっき部材は、電気亜鉛めっき時に発生した水素原子が被めっき部材へ侵入することによる遅れ破壊がしばしば問題になる。遅れ破壊は、静的応力下のめっき部材が、ある時間の経過後に脆性的に破壊する現象である。遅れ破壊を抑制する技術として、吸蔵した水素原子をめっき部材から放出させる目的で、例えば190~220℃の範囲の熱処理(ベーキング)が一般に行われている。特許文献1には、水素原子の侵入を防ぐニッケル製またはニッケル合金製の無電解めっき層を被めっき部材に形成し、その上に電気亜鉛めっき層を形成する技術が開示されている。
特開2014-51686号公報
しかし、この種のめっき部材の遅れ破壊をさらに抑制する技術が要求されている。
本発明はこの要求に応えるためになされたものであり、遅れ破壊を抑制できるめっき部材を提供することを目的としている。
この目的を達成するために本発明のめっき部材は、鋼製の被めっき部材と、被めっき部材の表面に形成された電気亜鉛めっき層と、を備え、電気亜鉛めっき層は、被めっき部材の表面と5~20μmの距離を隔てて電気亜鉛めっき層の厚さ方向に離隔する観察面に、外接円の直径が20~60μmの結晶粒が現出する。
請求項1記載のめっき部材によれば、被めっき部材の表面と5~20μmの距離を隔てて電気亜鉛めっき層の厚さ方向に離隔する観察面に、外接円の直径が20~60μmの結晶粒が現出する。この結晶粒は、融点が比較的低い亜鉛や亜鉛を含む合金が析出して粒成長したものであり、結晶粒の大きさは電気亜鉛めっき時の電流効率の高さを示している。電気亜鉛めっき時の電流効率を高くすることにより、金属の析出以外に使われる電気量を少なくできるので、電気亜鉛めっき時の水素原子の発生量を抑制できる。その結果、電気亜鉛めっき時に被めっき部材が吸蔵する水素原子を少なくできるので、遅れ破壊を抑制できる。
請求項2記載のめっき部材によれば、観察面において、300×400μmの大きさの視野に現出する結晶粒のうち、外接円の直径が20~60μmの結晶粒の割合は60%以上100%以下である。これにより、請求項1の効果に加え、遅れ破壊をさらに抑制できる。
請求項3記載のめっき部材によれば、被めっき部材はチェーンである。よって、請求項1又は2の効果に加え、チェーンに引張力が加えられたときの遅れ破壊を抑制できる。
請求項4記載のめっき部材によれば、電気亜鉛めっき層は、光沢部と、光沢部よりも相対的に表面の粗さが大きい曇り部と、からなる。光沢部の面積は曇り部の面積よりも広いので、請求項1から3のいずれかの効果に加え、めっき部材の光沢感を確保できる。
請求項5記載のめっき部材によれば、被めっき部材は、環状のリンクが複数つなげられたチェーンである。リンクは、互いに対向する一対の曲線部と、曲線部に隣接する直線部と、互いに突き合わされた直線部を接合する溶接部と、を備える。曇り部は溶接部と直線部との境界に存在するので、請求項4の効果に加え、曇り部による違和感を与え難くできる。
一実施の形態におけるめっき部材の正面図である。 図1のII-II線におけるめっき部材の断面図である。 (a)は電気亜鉛めっき工程初期の結晶粒の模式図であり、(b)はめっき工程中期の結晶粒の模式図であり、(c)めっき工程終了後の結晶粒の模式図である。 (a)はめっき部材の観察面の模式図であり、(b)は結晶粒の模式図である。 めっき部材の一部の正面図である。 外接円の直径が20~60μmの結晶粒の割合と限界応力/降伏応力との相関図である。 拡散性水素量の測定結果である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態におけるめっき部材10の構成を説明する。図1は一実施の形態におけるめっき部材10の正面図であり、図2は図1のII-II線におけるめっき部材10の断面図である。
本実施形態ではチェーンを例示してめっき部材10を説明する。チェーンは、チェーンブロック、チェーンレバーホイスト、電気チェーンブロック等に用いられるロードチェーン、巻上機などに用いられるチェーンスリング等が挙げられる。なお、図1ではめっき部材10の長手方向の中間部分の図示が一部省略されており、図2では断面の一部が拡大して図示されている。
図1に示すようにめっき部材10は、O形状に形成された環状の被めっき部材11(リンク)が複数つながれている。被めっき部材11は、炭素鋼、合金鋼、特殊鋼、ステンレス鋼などの鋼製の棒材により形成されている。鋼は、浸炭焼入れ焼戻し等の表面硬化処理がされた鋼、調質鋼、非調質鋼などが好適に用いられる。
被めっき部材11(リンク)は、互いに対向する一対の曲線部12と、曲線部12の一端にそれぞれ隣接し曲線部12同士を接続する第1直線部13と、曲線部12の他端に隣接し第1直線部13と離隔する一対の第2直線部14と、互いに突き合わされた第2直線部14同士を接合する溶接部15と、を備えている。溶接部15は、曲線部12を形成するための棒材の曲げ加工により互いに突き合わされた第2直線部14に、電気抵抗溶接などにより形成されている。
図2に示すようにめっき部材10は、被めっき部材11の表面16に電気亜鉛めっき層17が形成されている。電気亜鉛めっき層17は、被めっき部材11の防錆のために、被めっき部材11の表面16と電気亜鉛めっき層17の表面18との間の距離(厚さ)Tが5μm以上に設定される。電気亜鉛めっき層17の厚さTの測定は、JIS H8501:1999に規定される顕微鏡断面試験方法、磁力式試験方法、電解式試験方法および蛍光X線式試験方法のいずれかによって行う。
電気亜鉛めっき層17は、例えばZn-Niめっき、Zn-Feめっき、Zn-Alめっき等のようにZn以外の成分を含んでいても良いし、Zn以外の成分を含まなくても良い。電気亜鉛めっき層17の組成は、一般に、Feを0質量%以上20質量%以下、Alを0質量%以上1質量%以下含有し、さらにPb,Sb,Si,Sn,Mg,Mn,Ni,Cr,Co,Ca,Cu,Li,Ti,Be,Bi,希土類金属から選択する1種または2種以上を合計で0質量%以上20質量%以下含有し、残部がZn及び不可避不純物からなる。
図3を参照して、電気亜鉛めっき層17の結晶粒20について説明する。図3(a)は電気亜鉛めっき工程初期の被めっき部材11の模式図であり、図3(b)はめっき工程中期の被めっき部材11の模式図であり、図3(c)めっき工程終了後の被めっき部材11の模式図である。電気亜鉛めっき工程では、亜鉛または亜鉛合金の金属塩を含有するめっき液に被めっき部材11及び亜鉛電極(図示せず)を浸漬し、被めっき部材11を陰極、亜鉛電極を陽極として電解めっきを施す。めっき液の亜鉛濃度は20~70g/L程度とし、添加剤はめっき液に含まれないか、含まれていても最小量とする。
図3(a)に示すようにめっき工程の初期では、亜鉛を含む金属原子19が被めっき部材11に析出する。亜鉛は比較的融点が低いので、図3(b)に示すようにめっき工程の中期において、金属原子19がそれぞれ成長し結晶粒20となる。結晶粒20は成長を続け、電気亜鉛めっき層17の厚さ方向(図3(b)上下方向)へ延びる柱状に発達する。結晶粒20は、電気亜鉛めっき層17が厚くなるにつれて大きくなる。
図3(c)に示すように電気亜鉛めっき層17は、被めっき部材11の表面16と5~20μmの距離Dを隔てて電気亜鉛めっき層17の厚さ方向(図3(c)上下方向)に離隔する観察面21に結晶粒20が現出する。本実施形態では、観察面21は電気亜鉛めっき層17の表面18の研磨面である。しかし、これに限られるものではなく、電気亜鉛めっき層17の厚さT(図2参照)が20μm以下の場合には、電気亜鉛めっき層17の表面18を観察面とすることは当然可能である。
なお、被めっき部材11の表面16と観察面21との間の距離Dを5~20μmとするのは、電気亜鉛めっき層17が厚くなるにつれて結晶粒20が大きくなるので、測定条件を一定にするためである。また、距離Dを一定値にしないで5~20μmの範囲を設けているのは、被めっき部材11の用途や大きさ等に応じて電気亜鉛めっき層17の厚さTは異なるので、被めっき部材11の表面16と観察面21との間の距離Dを5~20μmの範囲で選択できるようにするためである。
図4(a)はめっき部材10の観察面21の模式図であり、図4(b)は結晶粒20の模式図である。JIS G0553:2008に規定されるように、硝酸エタノール(ナイタール)等の腐食液にめっき部材10を浸漬して観察面21を腐食した後、観察面21を金属顕微鏡やSEM等の顕微鏡で観察する。観察面21の顕微鏡画像を演算処理することにより、結晶粒20の外接円22の直径Sは測定できる。めっき部材10は、外接円22の直径Sが20~60μmの結晶粒20が、観察面21に現出する。
これに対し、めっき液の亜鉛濃度が15g/L程度であって、めっき液に添加剤が十分に含まれていると、添加剤は被めっき部材11及び金属原子19に吸着して、その後の金属の析出を一部抑制し、結晶粒を微細化する。さらに添加剤は電気亜鉛めっき層17の表面18の粗さを小さくし、電気亜鉛めっき層17の光沢を発現する。この場合、観察面21に現出する結晶粒の粒径は一般に1μm以下である。
めっき液の添加剤等が金属原子19の析出を抑制するときには電流効率が低くなり、めっき液に加えられた電気量のうち金属の析出に使われない電気量は、水素原子の発生に使われる。そうすると水素原子の発生量が多くなり、水素原子が被めっき部材11へ多く侵入する可能性が高くなる。一方、本実施形態では、めっき液の亜鉛および添加剤の濃度などを調整して、電気亜鉛めっき時の電流効率を高くする。
外接円22の直径Sが20~60μmの結晶粒20が観察面21に現出することは、電気亜鉛めっき時の電流効率の高さを示している。電気亜鉛めっき時の電流効率を高くすることにより、金属の析出以外に使われる電気亜鉛めっき時の電気量を少なくできる。これにより、電気亜鉛めっき時の水素原子の発生量を抑制できるので、電気亜鉛めっき時に被めっき部材11が吸蔵する水素原子を少なくできる。よって、めっき部材10の遅れ破壊を抑制できる。
なお、観察面21において300×400μmの大きさの矩形の視野に現出する結晶粒20のうち、外接円22の直径Sが20~60μmの結晶粒20の割合は60%以上であるのが好ましい。これにより、電気亜鉛めっき時の電流効率をより高くできたといえるので、めっき部材10の遅れ破壊をさらに抑制できる。
図5はめっき部材10の一部の正面図である。図3(c)に示すように、電気亜鉛めっき層17の表面18は凹凸があって光沢が少ないので、必要に応じて、例えばめっき部材10同士またはめっき部材10と研削材(図示せず)とを擦り合わせたりブラスト処理等を施したりして、電気亜鉛めっき層17の表面18の粗さを小さくする。
図5に示すように、表面18の粗さが小さくされためっき部材10の電気亜鉛めっき層17は、光沢部23と、光沢部23よりも相対的に表面の粗さが大きい曇り部24と、からなる。光沢部23は、電気亜鉛めっき層17の表面18が十分に擦られた部位であり、曇り部24は、光沢部23に比べて擦られ方が少なかったか擦られなかった部位である。めっき部材10は、光沢部23の面積が曇り部24の面積よりも広いので、めっき部材10の光沢感を確保できる。
また曇り部24は、めっき部材10の溶接部15と第2直線部14との境界に存在する。溶接部15と第2直線部14とは質感が異なるので、曇り部24による違和感を与え難くできる。本実施形態では溶接部15は第2直線部14よりも太いので、第2直線部14と溶接部15との間の隅に曇り部24が形成される。隅に曇り部24が形成されることにより、曇り部24による違和感をさらに与え難くできる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(サンプルの作成)
鋼製の環状のリンクを5個つないだチェーン(被めっき部材)をめっき液に浸漬して、目標厚さ20μmの電気亜鉛めっきを施した種々のサンプル(めっき部材)を作成した。各サンプルは、めっき液の亜鉛濃度、添加剤の濃度、めっき時の電流密度を異ならせて、電気亜鉛めっき層の表面に現出する結晶粒の粒径を異ならせた。各サンプルのリンク(鋼)の材質および寸法、めっき液の温度は一定にした。各サンプルは、いわゆるベーキングは行わなかった。
各サンプルの電気亜鉛めっき層の表面を研磨し、硝酸エタノール(ナイタール)で腐食して観察面(研磨面)の組織を現出させた後、金属顕微鏡を用いて300×400μmの大きさの矩形の視野に現出する結晶粒のうち、外接円の直径が20~60μmの結晶粒の割合(%)を画像処理により測定した。なお、被めっき部材の表面と観察面との間の距離は、JIS H8501:1999に規定される顕微鏡断面試験方法により、5~20μmの範囲にあることを確認した。
(耐遅れ破壊特性)
各サンプル(チェーン)の長さ方向の両端をつかんで速度10mm/分の引張力を各サンプルに加える引張試験を行った。引張力を加える負荷時間は最長168時間とした。引張力を加えた168時間の間に破断が生じなかった最大応力を限界応力とし、限界応力と降伏応力との比によって耐遅れ破壊特性を評価した。限界応力/降伏応力が1.00以上のときは耐遅れ破壊特性が優れるとし、1.00未満のときは耐遅れ破壊特性が劣るとした。
図6は、300×400μmの視野に現出する結晶粒のうち外接円の直径が20~60μmの結晶粒の割合(以下、単に「割合」と称す)と限界応力/降伏応力との相関図である。図6に示すように割合が0%のサンプルは、限界応力/降伏応力が0.86(1.00未満)であった。割合が0%のサンプルは、観察面に現出する結晶粒の粒径が1μm以下であった。
一方、視野内に外接円の直径が20~60μmの結晶粒が存在したサンプル(割合>0%)は、限界応力/降伏応力が1.00以上であった。よって、外接円の直径が20~60μmの結晶粒が視野内に現出することにより、遅れ破壊を抑制できることが明らかになった。
なお、割合が増加するにつれて限界応力/降伏応力が大きくなる傾向が見られた。特に割合が60%以上100%以下では、限界応力/降伏応力が1.20以上であった。限界応力/降伏応力が1.20以上のときは引張力が加わるとサンプルが著しく変形する(伸びる)ので、脆性的な破壊(遅れ破壊)ではなくなる。従って、割合が60%以上のときは、遅れ破壊を抑制する効果が著しく高いことが明らかになった。
(水素分析)
10%NaOH水溶液にサンプルを浸漬し、アノード溶解反応を利用して表面のめっきを完全に除去した。次いで、サンプルの長さ方向の中央を切断して、長さ20mmの棒状の試験片を採取した。試験片を採取後、直ちに昇温脱離分析装置を用いて水素分析を行った。分析開始温度は25℃、分析終了温度は400℃、昇温速度は100℃/時間とし、各温度において試験片から放出される水素量である放出水素量(wt.ppm/min)を測定した。常温から300℃未満の間に放出される水素を一般に拡散性水素と称す。この拡散性水素が遅れ破壊の原因とされている。図7は、割合が80%のサンプル(実施例)及び割合が0%のサンプル(比較例)の拡散性水素量の測定結果である。
図7に示すように、実施例は比較例に比べて、常温から300℃の間に放出される水素量を著しく少なくできることがわかった。実施例は比較例に比べて水素原子の吸蔵量が極めて少ないので、実施例は比較例に比べて遅れ破壊を抑制できることが明らかである。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
実施形態では、O形状(長円状)に形成された環状のリンク(被めっき部材11)を複数つないだチェーンについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、リンク同士のもつれを防止するため、リンク(被めっき部材11)に代えて、リンクの中間部をスタッドで連結した略θ形状に形成された環状のスタッドリンクを採用することは当然可能である。
実施形態では、チェーンを例示してめっき部材10を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば鋼製のねじ、ばね、ギヤ、PC棒鋼などに電気亜鉛めっきを施してめっき部材とすることは当然可能である。
実施形態では、めっき部材10の表面に電気亜鉛めっき層17が存在する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、めっき部材10にクロメート処理を施して、電気亜鉛めっき層17の表面にクロメート皮膜を形成することは当然可能である。
実施例では、サンプルを切断して水素分析用の長さ20mmの試験片を採取したが、これに限られるものではない。試験片の長さは、サンプルの大きさに応じて、例えば長さ7~20mmの範囲で適宜設定できる。
10 めっき部材
11 被めっき部材
12 曲線部
14 第2直線部(直線部)
15 溶接部
16 被めっき部材の表面
17 電気亜鉛めっき層
20 結晶粒
21 観察面
22 外接円
23 光沢部
24 曇り部
D 距離
S 直径

Claims (5)

  1. 鋼製の被めっき部材と、
    前記被めっき部材の表面に形成された電気亜鉛めっき層と、を備え、
    電気亜鉛めっき層は、前記被めっき部材の前記表面と5~20μmの距離を隔てて前記電気亜鉛めっき層の厚さ方向に離隔する観察面に、外接円の直径が20~60μmの結晶粒が現出するめっき部材。
  2. 前記観察面において、300×400μmの大きさの視野に現出する結晶粒のうち、外接円の直径が20~60μmの前記結晶粒の割合は60%以上100%以下である請求項1記載のめっき部材。
  3. 前記被めっき部材はチェーンである請求項1又は2に記載のめっき部材。
  4. 前記電気亜鉛めっき層は、光沢部と、前記光沢部よりも相対的に表面の粗さが大きい曇り部と、からなり、
    前記光沢部の面積は、前記曇り部の面積よりも広い請求項1から3のいずれかに記載のめっき部材。
  5. 前記被めっき部材は、環状のリンクが複数つなげられたチェーンであり、
    前記リンクは、互いに対向する一対の曲線部と、前記曲線部に隣接する直線部と、互いに突き合わされた前記直線部を接合する溶接部と、を備え、
    前記曇り部は、前記溶接部と前記直線部との境界に存在する請求項4記載のめっき部材。
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