(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例は、実施形態の説明の後にまとめて記載する。
(車両の全体構成)
まず、主として図1~図3を参照しつつ、車両10の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、車両10における、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、および「右」の概念を、図中にて矢印で示した通りに定義する。前後方向は「車両全長方向」と称され得る。同様に、左右方向は「車幅方向」と称され得る。また、上下方向は「車高方向」と称され得る。
図1および図2を参照すると、車両10は、いわゆる四輪自動車であって、車体11を備えている。車体11は、平面視にて略矩形状の箱状に形成されている。車体11の前端部には、フロントバンパ12が装着されている。フロントバンパ12は、フロントバンパカバー13を備えている。フロントバンパカバー13は、合成樹脂製の板材により形成されている。
フロントバンパ12には、被支持部14が設けられている。被支持部14は、フロントバンパ12を車体11に装着するためにフロントバンパ12側に設けられる板状の部分である。本実施形態においては、被支持部14は、フロントバンパカバー13の上端部から、車高方向と直交する水平面に沿って、車体11側に向かって延設されている。また、被支持部14は、フロントバンパカバー13と同一の材料によって、フロントバンパカバー13と一体に形成されている。
被支持部14には、フロントバンパ12の固定に用いる締結具であるボルトBを挿通するための、バンパ側貫通孔14aが設けられている。バンパ側貫通孔14aは、被支持部14を厚さ方向に貫通する貫通孔であって、ボルトBにおける軸部BJの外径よりも充分大きな内径を有する丸孔状に形成されている。本実施形態においては、フロントバンパカバー13には、複数のバンパ側貫通孔14aが、それぞれ、車幅方向および/または車両全長方向における異なる位置に設けられている。
フロントバンパ12の上方には、車体11の外板パネルを構成するフロントフード15が設けられている。フロントフード15は、車体11の前部であるフロントコンパートメントを上方から開閉可能に覆うように設けられている。
車体11には、車体フレーム16が設けられている。車体フレーム16は、サイドメンバ16aとバンパレインフォースメント16bとを有している。サイドメンバ16aは、車両全長方向に沿って延設されている。バンパレインフォースメント16bは、サイドメンバ16aの前端部にて、車幅方向に沿って延設されている。
車体フレーム16は、車体11側にてフロントバンパ12を支持するための支持部17を備えている。本実施形態においては、支持部17は、フロントバンパカバー13を支持するように設けられている。具体的には、支持部17は、金属製の板材によって形成された車体部品であって、サイドメンバ16aに固定されている。また、車体フレーム16には、バンパ側貫通孔14aと同数の、複数の支持部17が設けられている。複数の支持部17は、それぞれ、バンパ側貫通孔14aに対応する位置に配置されている。
支持部17は、平板状のバンパ固定部18を有している。バンパ固定部18は、支持部17の末端部に設けられている。本実施形態においては、バンパ固定部18は、支持部17の上端部に設けられた舌片状の部分であって、車高方向と直交する水平面に沿って延設されている。バンパ固定部18には、ボルトBを挿通するためのフレーム側貫通孔18aが設けられている。フレーム側貫通孔18aは、図4に示されているように、車高方向と略平行な中心軸線Cを囲む丸孔状に形成されている。中心軸線Cと平行な方向を、以下「軸方向」と称する。具体的には、フレーム側貫通孔18aは、ボルトBにおける軸部BJをわずかな遊びで挿通可能な程度の、軸部BJの外径よりも若干大きめの内径を有している。
図2および図3を参照すると、車両10におけるフロントバンパ12の固定箇所19は、被支持部14と支持部17とを重ね合わせてボルトBを締結することによって形成されている。すなわち、フロントバンパカバー13は、被支持部14と支持部17とを軸方向に積層した状態でボルトBを挿通してナットNと締結することによって、固定箇所19にて車体11に固定されている。本実施形態においては、車両10には、バンパ側貫通孔14aと同数の、複数の固定箇所19が設けられている。固定箇所19の構成の詳細については後述する。
図3を参照すると、車両10には、保護システム20が搭載されている。本実施形態においては、保護システム20は、車両10と衝突した人間を保護するように構成されている。「車両10と衝突した人間」には、例えば、車両10と直接的に衝突した歩行者の他に、車両10と衝突した二輪車等の乗員が含まれる。二輪車等には、自転車、自動二輪車、車椅子、等が含まれる。典型的には、二輪車等は、例えば、自転車である。
例えば、車両10と乗員付き二輪車との衝突においては、車両10と直接的に衝突した物体は、乗員ではなく二輪車である場合がある。但し、この場合であっても、二輪車等の乗員は、車両10と「間接的」に衝突したということが可能である。
すなわち、保護システム20は、車両10と特定物体とが衝突した場合に、保護対象を車体11との衝突による衝撃から保護するように構成されている。「特定物体」には、歩行者、乗員付き二輪車、乗員付き車椅子、等が含まれる。「保護対象」には、乗員付き二輪車等における乗員の他に、歩行者が含まれる。「保護対象」は、「保護対象者」あるいは「交通弱者」とも称され得る。本実施形態においては、保護システム20は、歩行者エアバッグ装置21と、フードポップアップ装置22と、衝突検知装置23とを備えている。
歩行者エアバッグ装置21およびフードポップアップ装置22は、特定物体が車両10と衝突した場合に、保護対象を、車体11との衝突による衝撃から保護するように設けられている。具体的には、歩行者エアバッグ装置21およびフードポップアップ装置22は、二次衝突による衝撃から、保護対象を保護するように構成されている。「二次衝突」とは、一次衝突の後に、二輪車等の乗員または歩行者である保護対象が、車体11に衝突することをいう。「一次衝突」とは、特定物体が、最初に車体11と衝突することをいう。典型的には、一次衝突は、特定物体とフロントバンパカバー13との衝突である。
歩行者エアバッグ装置21は、一次衝突発生後且つ二次衝突発生前に、車体11上にて展開することで、保護対象を保護するように構成されている。フードポップアップ装置22は、一次衝突発生後且つ二次衝突発生前に、フロントフード15を上昇させるように構成されている。具体的には、フードポップアップ装置22は、作動時にフロントフード15の後端部を上方に押し上げるように構成されている。歩行者エアバッグ装置21およびフードポップアップ装置22については、本願の出願時点にて、すでに周知である。したがって、歩行者エアバッグ装置21およびフードポップアップ装置22の構成の詳細についての、これ以上の説明は、本明細書においては省略する。
(衝突検知装置)
衝突検知装置23は、車両10の外部に存在する物体とフロントバンパカバー13との衝突を検知するように構成されている。本実施形態においては、衝突検知装置23は、特定物体がフロントバンパカバー13と衝突した否かを検知するとともに、特定物体の衝突を検知した場合に歩行者エアバッグ装置21および/またはフードポップアップ装置22を起動するようになっている。具体的には、衝突検知装置23は、衝突検知ECU24と衝突センサ25とを備えている。ECUはElectronic Control Unitの略である。
保護システム20の全体の動作を制御する衝突検知ECU24は、いわゆる車載マイクロコンピュータであって、不図示のCPU、ROM、不揮発性リライタブルメモリ、RAM、入出力インタフェース、等を備えている。不揮発性リライタブルメモリは、例えば、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、等である。
衝突検知ECU24は、衝突センサ25の出力を受信可能に、衝突センサ25と電気接続されている。衝突センサ25は、固定箇所19に装着されることで、車両10の外部に存在する物体と車両10との衝突を検知するように構成されている。本実施形態においては、複数の衝突センサ25が設けられている。すなわち、複数の固定箇所19のうちの全部または一部のそれぞれに対して、1個の衝突センサ25が装着されている。
(第一実施形態)
以下、図2~図8を参照しつつ、第一実施形態に係る衝突センサ25の具体的構成について説明する。
衝突センサ25は、ボルトBに挿通された状態で、固定箇所19に取り付けられている。すなわち、衝突センサ25は、センサ本体26をブッシュ部材27と導通ワッシャ28とを用いて固定箇所19に装着することで、車両10に搭載されるように構成されている。衝突センサ25、あるいは、衝突センサ25における主要機能である衝突検知機能を奏する部分であるセンサ本体26を、固定箇所19に装着した状態を、以下「車載状態」と称する。
本実施形態においては、衝突センサ25は、被支持部14と支持部17におけるバンパ固定部18とを含む積層体Sに形成された貫通孔であるボルト挿通孔SHに雄螺子であるボルトBを挿通してボルトBを締結することで、固定箇所19に対して固定状態で装着されるように構成されている。積層体Sは、被支持部14とバンパ固定部18と衝突センサ25とを軸方向に積層することによって形成されている。ボルト挿通孔SHは、被支持部14、バンパ固定部18、および衝突センサ25のそれぞれに設けられた貫通孔を積層体Sの積層方向すなわち軸方向に繋げたものであって、積層体Sを積層方向に貫通するように設けられている。すなわち、被支持部14と衝突センサ25とバンパ固定部18とを軸方向に積層した状態で、ボルトBとナットNとを締結することによって、積層体Sを構成する各部が互いに固定的に結合した固定箇所19が形成されている。積層体Sの詳細については後述する。
センサ本体26は、車載状態にて、被支持部14と、支持部17におけるバンパ固定部18との間で挟持されている。センサ本体26は、車載状態にて軸方向と平行な厚さ方向を有する板状に形成されている。具体的には、センサ本体26は、ほぼ一定の厚さを有する平板状の外形形状を有している。また、本実施形態においては、センサ本体26は、平面視にて略正方形状に形成されている。なお、後述するように、センサ本体26の平面視における外形形状を含む、本実施形態に係る衝突センサ25における細部の構成に関する説明には、本発明は限定されない。各部に適用可能な変形例については、上記したように、一つの実施形態についての理解が妨げられないように、一連の実施形態の説明の後にまとめて記載する。
図7に示されているように、センサ本体26は、支持層261と素子保持層262とを備えている。支持層261は、一定の厚さを有する金属または合成樹脂製の薄板材によって形成されている。支持層261は、車載状態にて、バンパ固定部18と対向するようになっている。素子保持層262は、支持層261と同一の厚さ方向を有する薄膜状にあるいは薄板状に形成されている。素子保持層262は、絶縁性の合成樹脂層であって、支持層261と接合されている。すなわち、素子保持層262は、支持層261と接合されることで、支持層261により支持あるいは補強されている。素子保持層262は、車載状態にて、導通ワッシャ28を挟んで被支持部14と対向するようになっている。
センサ本体26には、貫通孔であるブッシュ挿通孔263が形成されている。ブッシュ挿通孔263は、支持層261と素子保持層262との接合体すなわちセンサ本体26を、厚さ方向に貫通するように設けられている。すなわち、センサ本体26は、ボルトBを挿通可能なワッシャ状に形成されている。ブッシュ挿通孔263は、ボルトBにおける軸部BJの外径よりも充分大きな内径、具体的には、バンパ側貫通孔14aと略同一の所定内径を有する丸孔状に形成されている。
図6及び図7を参照すると、素子保持層262における一方の主面である外表面264aと、他方の主面である接合面264bとは、軸方向を法線方向とする平面状に形成されている。「主面」とは、板状あるいは膜状の部材における、厚さ方向を法線方向とする表面であって、「端面」と略直交する面である。接合面264bは、素子保持層262と接合されている。すなわち、外表面264aは、センサ本体26における、素子保持層262側の表面を構成するように設けられている。
センサ本体26は、第一導通電極265および第二導通電極266を有している。第一導通電極265および第二導通電極266は、素子保持層262における外表面264aにてセンサ本体26の外部に向かって露出するように設けられている。第一導通電極265および第二導通電極266は、銅箔等の良導体薄膜によって形成されている。
図6に示されているように、第一導通電極265は、平面視にて、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する方向(すなわち後方)に向かって開口する、半円弧状あるいは中心角が180度未満の円弧状の電極パターンとして形成されている。すなわち、第一導通電極265は、平面視にて、ブッシュ挿通孔263の略円形状の内縁における中心軸線Cよりも前方側の部分を囲むように設けられている。具体的には、第一導通電極265は、径方向に所定幅を有するとともに当該所定幅の中心が外側仮想円VC1上となるように形成されている。外側仮想円VC1は、中心軸線Cを法線とする仮想平面上における、当該仮想平面と中心軸線Cとの交点を中心とする円である。「径方向」とは、軸方向と直交し且つ中心軸線Cから遠ざかる方向であり、外側仮想円VC1における半径方向である。
第一導通電極265は、中心軸線Cを囲む周方向における第一端265aと第二端265bとがセンサ本体26の幅方向に並ぶように配置されている。「周方向」は、中心軸線Cを法線とする仮想平面上にて、当該仮想平面と中心軸線Cとの交点を中心とする円を描いた場合の、当該円の円周方向である。すなわち、周方向は、外側仮想円VC1の円周方向である。第一導通電極265は、第一端265aから第二端265bに向かって図6にて時計回り方向に、外側仮想円VC1に沿って延設されている。
第二導通電極266は、平面視にて、第一導通電極265とは逆方向(すなわち前方)に向かって開口する、半円弧状あるいは中心角が180度未満の円弧状の電極パターンとして形成されている。すなわち、第二導通電極266は、平面視にて、ブッシュ挿通孔263の略円形状の内縁における中心軸線Cよりも後方側の部分を囲むように設けられている。具体的には、第二導通電極266は、径方向に所定幅を有するとともに当該所定幅の中心が外側仮想円VC1上となるように形成されている。本実施形態においては、第二導通電極266は、径方向における幅および周方向における長さが第一導通電極265と同一となるように形成されている。また、第一導通電極265および第二導通電極266は、平面視にて、外側仮想円VC1上に配置されている。
第二導通電極266は、中心軸線Cを囲む周方向における第一端266aと第二端266bとがセンサ本体26の幅方向に並ぶように配置されている。すなわち、第二導通電極266は、第一端266aから第二端266bに向かって図6にて時計回り方向に、外側仮想円VC1に沿って延設されている。
第二導通電極266における第一端266aは、センサ本体26の幅方向における位置が、第一導通電極265における第二端265bと略一致するように設けられている。すなわち、第二導通電極266における第一端266aは、第一導通電極265における第二端265bと、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する方向に隣接配置されている。同様に、第二導通電極266における第二端266bは、センサ本体26の幅方向における位置が、第一導通電極265における第一端265aと略一致するように設けられている。すなわち、第二導通電極266における第二端266bは、第一導通電極265における第一端265aと、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する方向に隣接配置されている。
第一導通電極265および第二導通電極266は、ブッシュ挿通孔263の周囲にて、中心軸線Cを挟んで対向するように配置されている。また、第一導通電極265と第二導通電極266とは、互いに直接的に導通しないように、前後方向に離隔して設けられている。すなわち、第一導通電極265は、車載状態にて、中心軸線Cよりも前方に配置されている。これに対し、第二導通電極266は、車載状態にて、中心軸線Cよりも後方に配置されている。
さらに、センサ本体26の単体において、第一導通電極265と第二導通電極266とは、電気的に絶縁されている。「センサ本体26の単体」とは、センサ本体26を、ブッシュ部材27等の他の部品と組み合わせたり接合したりすることなく、単独で存在させた状態をいう。具体的には、素子保持層262を構成する絶縁材料が、第一導通電極265における第二端265bと第二導通電極266における第一端266aとの間に介在するように設けられている。同様に、かかる絶縁材料が、第一導通電極265における第一端265aと第二導通電極266における第二端266bとの間に介在するように設けられている。
第一導通電極265には、第一導通配線267が接続されている。第一導通配線267は、銅箔等の良導体薄膜によって形成されている。第一導通配線267は、第一導通電極265における第一端265aから、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する後方に向かって延設されている。本実施形態においては、第一導通配線267は、センサ本体26の厚さ方向について、第一導通電極265と同一位置に配置されている。また、第一導通配線267は、第一導通電極265における第一端265aと継ぎ目なく一体に形成されている。すなわち、第一導通電極265および第一導通配線267は、連続した一層の導体パターンとして形成されている。
第二導通電極266には、第二導通配線268が接続されている。第二導通配線268は、銅箔等の良導体薄膜によって形成されている。第二導通配線268は、第二導通電極266における第一端266aと第二端266bとの間の部分から、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する後方に向かって延設されている。本実施形態においては、第二導通配線268は、センサ本体26の厚さ方向について、第二導通電極266と同一位置に配置されている。また、第二導通配線268は、第二導通電極266と継ぎ目なく一体に形成されている。すなわち、第二導通電極266および第二導通配線268は、連続した一層の導体パターンとして形成されている。
センサ本体26は、応力検知素子269を有している。応力検知素子269は、固定箇所19に設けられた車載状態にて、物体とフロントバンパカバー13との衝突の際に印加された軸方向の応力に対応する電気出力を発生するように構成されている。
応力検知素子269は、ブッシュ挿通孔263の周囲に配置されている。図4に示されているように、本実施形態においては、応力検知素子269は、固定箇所19における、第一領域R1と第二領域R2とのそれぞれに設けられている。第一領域R1は、物体とフロントバンパカバー13との衝突の際にフロントバンパカバー13が後方に向かって押圧されることで、圧縮応力が増大する領域である。第二領域R2は、固定箇所19における、第一領域R1以外の領域である。具体的には、第二領域R2は、物体とフロントバンパカバー13との衝突の際にフロントバンパカバー13が後方に向かって押圧されることで、圧縮応力が減少する領域である。図4に示されているように、第一領域R1と第二領域R2とは、中心軸線Cを挟んで対向するように設けられている。すなわち、第一素子269aと第二素子269bとは、ボルト挿通孔SHを挟んで対向配置されている。第一領域R1は、第二領域R2よりも前方となるように設けられている。
具体的には、本実施形態においては、センサ本体26には、応力検知素子269としての、第一素子269aおよび第二素子269bが設けられている。図4に示されているように、第一素子269aは、車載状態にて、固定箇所19における第一領域R1に設けられるようになっている。これに対し、第二素子269bは、車載状態にて、固定箇所19における第二領域R2に設けられるようになっている。
図6に示されているように、第一素子269aは、平面視にて、第一導通電極265と同一方向(すなわち後方)に向かって開口する、半円弧状あるいは中心角が180度未満の円弧状に形成されている。第一素子269aは、径方向に所定幅を有するとともに当該所定幅の中心が内側仮想円VC2上となるように形成されている。内側仮想円VC2は、外側仮想円VC1の同心円であって、外側仮想円VC1よりも小さな半径を有している。また、図4に示されているように、第一素子269aは、第一領域R1と第二領域R2とに跨らないように、第一領域R1のみに設けられている。
同様に、図6に示されているように、第二素子269bは、平面視にて、第二導通電極266と同一方向(すなわち前方)に向かって開口する、半円弧状あるいは中心角が180度未満の円弧状に形成されている。第二素子269bは、径方向に所定幅を有するとともに当該所定幅の中心が内側仮想円VC2上となるように形成されている。本実施形態においては、第二素子269bは、径方向における幅および周方向における長さが第一素子269aと同一となるように形成されている。また、第一素子269aおよび第二素子269bは、平面視にて、内側仮想円VC2に配置されている。
図4に示されているように、第二素子269bは、第一領域R1と第二領域R2とに跨らないように、第二領域R2のみに設けられている。具体的には、本実施形態においては、第一素子269aおよび第二素子269bは、第一領域R1と第二領域R2との仮想的な境界面について対称に設けられている。かかる境界面は、図4において、中心軸線Cと重なる平面である。すなわち、第一領域R1は、上記の境界面よりも前方に設けられている。一方、第二領域R2は、上記の境界面よりも後方に設けられている。
第一素子269aと第二素子269bとは、別体に構成されている。すなわち、第一素子269aと第二素子269bとは、それぞれにおける応力印加状態に応じた電気出力を別個に発生する、個別のセンサとして構成されている。また、第一素子269aと第二素子269bとは、平面視にて同一形状を有している。すなわち、第一素子269aと第二素子269bとは、第一領域R1と第二領域R2とが配列する面内にて、同一面積に形成されている。さらに、第一素子269aと第二素子269bとは、同一厚さに形成されている。第一素子269aおよび第二素子269bは、ともに、軸方向と平行な厚さ方向を有するように設けられている。
応力検知素子269は、周知の圧電素子であって、圧電体層269cと、基準電極269dと、検出電極269eとを備えている。圧電体層269cは、PZT等の圧電材料によって薄膜状に形成されている。圧電体層269cは、軸方向と平行な膜厚方向を有している。応力検知素子269は、圧電体層269cに作用する軸方向の応力に対応する電圧を基準電極269dと検出電極269eとの間に発生させるように構成されている。
圧電体層269cの膜厚方向における一面には、基準電極269dが接合されている。基準電極269dは、銀等の金属薄膜によって形成されている。基準電極269dは、応力検知素子269における接地側の電極であって、衝突検知動作時に接地されるようになっている。
圧電体層269cの膜厚方向における他の一面には、検出電極269eが接合されている。検出電極269eは、応力検知素子269における非接地側の電極であって、銀等の金属薄膜によって形成されている。
本実施形態においては、基準電極269dは、外表面264aと圧電体層269cとの間に配置されている。また、検出電極269eは、接合面264bと圧電体層269cとの間に配置されている。すなわち、応力検知素子269は、素子保持層262における一対の主面から露出しないように、素子保持層262の厚さの範囲内において内部に埋設されている。
図4および図5を参照すると、ブッシュ部材27は、衝突センサ25を固定箇所19に装着するために用いられる部品であって、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。ブッシュ部材27は、挿通部271と、フランジ部272と、ブッシュ貫通孔273とを有している。
挿通部271は、ボルトBにおける軸部BJを挿通可能に、中心軸線Cを囲む筒状に形成されている。また、挿通部271は、ブッシュ挿通孔263に挿通可能に構成されている。具体的には、挿通部271は、バンパ側貫通孔14aおよびブッシュ挿通孔263の内径との間で、装着状態にてガタつきなく且つ容易に着脱可能な程度の所定の嵌め合い交差(例えばH7-f7)の関係となるような、所定の外径を有する中空円筒状に形成されている。
挿通部271の軸方向における一端である基端には、フランジ部272が設けられている。一方、挿通部271の軸方向における他端である先端には、被支持部14におけるバンパ側貫通孔14aに挿通しやすいように、不図示の面取り加工が施されている。
フランジ部272は、軸方向における挿通部271の一端から、径方向に延設されている。フランジ部272は、ボルトBの締結時に、ボルトBにおける頭部BHによりセンサ本体26に向かって軸方向に付勢されるように、平板状に形成されている。具体的には、本実施形態においては、フランジ部272は、中心軸線Cを囲むリング状に形成されている。すなわち、ブッシュ部材27は、フランジ部272が挿通部271の基端から外側に突出する、段付き円柱状の外形形状を有している。フランジ部272は、車載状態にて、被支持部14とセンサ本体26とバンパ固定部18とを、ナットNとの間で挟持するように設けられている。
ブッシュ貫通孔273は、ブッシュ部材27を軸方向に貫通するように設けられている。ブッシュ貫通孔273は、ボルトBにおける軸部BJの外径よりも若干大きめの内径を有する丸孔であって、軸部BJをわずかな遊びで挿通可能に形成されている。具体的には、ブッシュ貫通孔273は、バンパ固定部18におけるフレーム側貫通孔18aとほぼ同一の内径を有している。
導通ワッシャ28は、軸方向と平行な厚さ方向を有する板状且つリング状の部材であって、ステンレス鋼等の金属によって形成されている。導通ワッシャ28は、車載状態にて、被支持部14とセンサ本体26との間で挟持されている。すなわち、導通ワッシャ28は、センサ本体26における、第一導通電極265および第二導通電極266を有する外表面264aと対向するようになっている。導通ワッシャ28における、少なくともセンサ本体26すなわち第一導通電極265および第二導通電極266と対向する表面は、導電性の金属表面として形成されている。導通ワッシャ28には、ワッシャ貫通孔281が設けられている。ワッシャ貫通孔281は、挿通部271を容易に挿通可能な程度の内径、具体的には、バンパ側貫通孔14aおよびブッシュ挿通孔263の内径とほぼ同一あるいはこれらよりも若干大きい内径を有している。
衝突センサ25は、積層体Sに形成されたボルト挿通孔SHにボルトBを挿通して締結することで、固定箇所19に装着されるように構成されている。積層体Sは、支持部17におけるバンパ固定部18と被支持部14とセンサ本体26とを、センサ本体26におけるブッシュ挿通孔263にブッシュ部材27における挿通部271が挿通された状態で、軸方向に積層することで形成されたものである。具体的には、本実施形態においては、積層体Sは、被支持部14と導通ワッシャ28とセンサ本体26とバンパ固定部18とをこの順に軸方向に沿って上から下に向かって配列しつつ積層した状態で、挿通部271を上側からバンパ側貫通孔14aとワッシャ貫通孔281とブッシュ挿通孔263とに挿通することで形成されている。
そして、衝突センサ25は、ボルトBをボルト挿通孔SHに挿通してボルトBとナットNとを締結することで、固定箇所19に装着されるように構成されている。また、衝突センサ25は、固定箇所19にてブッシュ挿通孔263に挿通部271を挿通した状態でボルトBを締結する際にフランジ部272がボルトBにおける頭部BHにより軸方向に付勢されることで、センサ本体26に設けられた応力検知素子269が軸方向に押圧されるように構成されている。
図8を参照すると、検出回路290は、応力検知素子269の出力に基づいて衝突を検知するための電気回路であって、図3に示された衝突検知ECU24に設けられている。具体的には、検出回路290は、反転器291と、加算器292と、判定部293とを有している。
反転器291は、第二素子269bの出力を反転するように設けられている。加算器292は、第一素子269aの出力と、反転器291の出力とを加算するように設けられている。判定部293は、加算器292の出力に基づいて、衝突発生の有無を判定するように設けられている。
(動作概要)
以下、本実施形態の構成による動作の概要について、同構成により奏される効果とともに説明する。
図4を参照すると、物体がフロントバンパカバー13の前面と衝突した場合、フロントバンパカバー13の前面は、後方に向かって押圧される。これにより、フロントバンパカバー13が変形する。かかる変形に伴い、フロントバンパカバー13と一体的に連結された被支持部14の、中心軸線Cよりも前方側の部分は、下方に向けて付勢される。
すると、固定箇所19における前方側の領域である第一領域R1においては、被支持部14がバンパ固定部18に向かって押し付けられるような荷重が作用する。これにより、衝突センサ25における、第一領域R1内の部分には、ボルトBおよびナットNを用いた締結力に起因する圧縮性の予応力に加えて、衝突に起因する圧縮応力が作用する。すなわち、第一領域R1に配置された第一素子269aに印加される、軸方向の圧縮応力は、衝突により予応力よりも増大する。
一方、被支持部14の、中心軸線Cよりも後方側の部分は、上方に向けて付勢される。すると、固定箇所19における後方側の領域である第二領域R2においては、被支持部14がバンパ固定部18から離隔するような荷重が作用する。これにより、衝突センサ25における、第二領域R2内の部分においては、衝突に起因する圧縮応力の増大は生じない。すなわち、第二領域R2に配置された第二素子269bに印加される、軸方向の圧縮応力は、衝突により、予応力よりも増大せず、むしろ予応力よりも低下する。
衝突発生前においては、第一素子269aの出力電圧V1、および、第二素子269bの出力電圧V2は、予応力に対応した、ほぼ一定値となる。一方、衝突発生により、第一素子269aの出力電圧V1には、圧縮応力の増大に対応する、正側に凸のピークが発生する。これに対し、衝突発生により、第二素子269bの出力電圧V2には、圧縮応力の低下に対応する、負側に凸のピークが発生する。
仮に、応力検知素子269の平面視形状が、第一素子269aと第二素子269bとを結合した閉リング状であった場合、出力電圧V1における正側の凸のピークが、出力電圧V2における負側に凸のピークにより打ち消される。すなわち、第一領域R1に作用する圧電効果と、第二領域R2に作用する圧電効果とが相殺される。よって、この場合、応力検知素子269の出力電圧においては、衝突発生時に顕著なピークは得られ難い。
これに対し、本実施形態の構成においては、応力検知素子269は、第一領域R1に設けられた第一素子269aと、第二領域R2に設けられた第二素子269bとに、電気回路構成上、分割されている。すなわち、第一素子269aと第二素子269bとは、印加された応力に応じた出力を別個に発生する。そして、衝突検知ECU24は、第一素子269aの出力電圧V1と、第二素子269bの出力電圧V2とをそれぞれ独立に取得しつつ、これらを適宜信号処理することによって、衝突を検知することができる。
具体的には、図8を参照すると、第一素子269aの出力電圧V1は、反転されずに加算器292に入力される。一方、第二素子269bの出力電圧V2は、反転器291により反転された後、加算器292に入力される。すると、加算器292の出力電圧V0は、出力電圧V1における正側に凸のピークに、出力電圧V2における負側に凸のピークを反転したものが加算されたものとなる。すなわち、出力電圧V2の反転出力により、出力電圧V1が強調される。このため、出力電圧V0は、出力電圧V1よりも大きなピークを有することになる。したがって、本実施形態によれば、衝突発生時に出力電圧V0に顕著なピークが得られ、衝突判定の感度が向上する。
一方、フロントバンパカバー13と物体との衝突ではない状況で、車両10の走行時に車体11に大きな振動が発生する場合がある。例えば、車両10が大きな段差を乗り越えたような場合である。かかる走行振動により、フロントバンパカバー13は、全体として上下動する。
すると、固定箇所19における前方側の領域である第一領域R1においては、被支持部14がバンパ固定部18に向かって押し付けられるような荷重が作用する。これにより、衝突センサ25における、第一領域R1内の部分には、締結力に起因する圧縮性の予応力に加えて、走行振動に起因する圧縮応力が作用する。すなわち、第一領域R1に配置された第一素子269aに印加される、厚さ方向に沿った圧縮応力は、走行振動により予応力よりも増大する。
また、固定箇所19における後方側の領域である第二領域R2においても、被支持部14がバンパ固定部18に向かって押し付けられるような荷重が作用する。これにより、衝突センサ25における、第二領域R2内の部分にも、圧縮性の予応力に加えて、走行振動に起因する圧縮応力が作用する。すなわち、第二領域R2に配置された第二素子269bに印加される、厚さ方向に沿った圧縮応力も、走行振動により予応力よりも増大する。
このため、走行振動の発生により、第一素子269aの出力電圧V1には、正側に凸のピークが発生する。同様に、第二素子269bの出力電圧V2にも、正側に凸のピークが発生する。すると、加算器292の出力電圧V0は、出力電圧V1における正側に凸のピークに、出力電圧V2における正側に凸のピークを反転したものが加算されたものとなる。このため、出力電圧V0においては、走行振動の発生に起因するピークがほぼ打ち消される。
上記の通り、本実施形態によれば、衝突発生時に出力電圧V0には顕著なピークが発生する反面、走行振動の発生時には出力電圧V0には顕著なピークが発生し難い。このため、歩行者等の物体と車両10との衝突と、車両10の走行振動とを、良好に区別することができる。したがって、歩行者等の物体と車両10との衝突を、より確実に検知することが可能となる。
本実施形態においては、衝突センサ25すなわち応力検知素子269は、フロントバンパカバー13と車体フレーム16との結合部である固定箇所19に設けられている。計算機シミュレーションおよび実験によれば、固定箇所19は、フロントバンパカバー13と物体とが衝突した際に、もっとも歪が集中する箇所である。このような箇所に、応力検知素子269を、ボルトBに挿通した状態で取り付けることで、衝突検知の感度が向上する。また、フロントバンパカバー13の様々な場所に物体が衝突した場合に、衝突センサ25は、その衝突に応じた電圧信号を出力することが可能となる。すなわち、必要最小限の個数の衝突センサ25すなわち応力検知素子269を用いて、車幅方向における任意の位置における衝突を良好に検知することが可能となる。
上記のように、衝突検知を良好に行うためには、衝突センサ25の固定箇所19への装着の際に、ボルトBの締結力が予応力として第一領域R1と第二領域R2とで均等に作用する必要がある。ボルトBの締結力が弱すぎると、予応力が全く作用しなかったり、予応力が第一領域R1と第二領域R2とで不均等になったりすることがある。一方、ボルトBの締結力を強くしても、予応力が第一領域R1と第二領域R2とで不均等になったり、センサ本体26における電極部分等が損傷したりするおそれがある。
そこで、本実施形態においては、ブッシュ部材27を用いて、衝突センサ25すなわちセンサ本体26が固定箇所19に装着される。このブッシュ部材27は、ボルトBにおける軸部BJを挿通可能に中心軸線Cを囲む筒状に形成された挿通部271と、挿通部271の基端から径方向に延設されることでボルトBの締結時に頭部BHにより軸方向に付勢される平板状のフランジ部272とを有する。また、センサ本体26は、軸方向と平行な厚さ方向を有する板状に形成されている。さらに、センサ本体26は、挿通部271を挿通可能に設けられた貫通孔であるブッシュ挿通孔263と、軸方向の応力に対応する電気出力を発生するようにブッシュ挿通孔263の周囲に配置された応力検知素子269とを有している。そして、衝突センサ25は、固定箇所19にてブッシュ挿通孔263に挿通部271を挿通した状態でボルトBを締結する際にフランジ部272が頭部BHにより軸方向に付勢されることで、センサ本体26に設けられた応力検知素子269が軸方向に押圧されるように構成されている。
かかる構成においては、センサ本体26におけるブッシュ挿通孔263に、ブッシュ部材27における挿通部271が挿通される。また、ボルトBにおける軸部BJが、挿通部271に挿通される。そして、ボルトBの締結により、フロントバンパ12は、固定箇所19にて、ボルトBを用いて車両10に固定される。また、衝突センサ25は、車両10における、フロントバンパ12の固定箇所19に装着される。すなわち、衝突センサ25は、ボルトBにおける軸部BJに挿通された状態で、固定箇所19に取り付けられる。
ここで、ブッシュ部材27におけるフランジ部272は、ボルトBの締結時に、ボルトBにおける頭部BHにより、軸方向に付勢される。すると、ブッシュ挿通孔263の周囲に応力検知素子269を有するセンサ本体26は、ボルトBの締結力の作用で、フランジ部272により軸方向に押圧される。このとき、センサ本体26に作用する軸方向の予応力は、ブッシュ部材27により、中心軸線Cを囲む周方向について均等化され得る。
かかる構成によれば、衝突センサ25の固定箇所19への装着の際に、ボルトBの締結力が第一領域R1と第二領域R2とで均等に作用する。特に、衝突センサ25の固定箇所19からの脱落を確実に防止するために、ボルトBの締結力を強めに設定しても、予応力が良好に均等化されるとともに、センサ本体26における電極部分等の損傷発生が良好に抑制され得る。これにより、固定箇所19における衝突センサ25の装着状態が、可及的に安定化され得る。このため、車両10と物体との衝突が発生した場合、かかる衝突に起因する軸方向の応力が、センサ本体26に確実に作用し得る。すると、応力検知素子269から、衝突発生に対応した電気出力が、確実に出力され得る。したがって、かかる構成によれば、衝突時の衝突センサ25の出力を確実に取得するための、固定箇所19に対する所定の装着状態が、良好に実現される。
本実施形態においては、センサ本体26は、軸方向を法線方向とする外表面264aにて露出するように設けられた一対の電極である、第一導通電極265および第二導通電極266を有している。そして、第一導通電極265および第二導通電極266は、ブッシュ挿通孔263の周囲にて、中心軸線Cを挟んで対向するように配置されている。
かかる構成によれば、ボルトBの締結力が第一領域R1と第二領域R2とで均等に作用した、良好な装着状態においては、第一導通電極265および第二導通電極266は、ともに導通ワッシャ28と良好に密着する。また、第一導通電極265と導通ワッシャ28との密着状態と、第二導通電極266と導通ワッシャ28との密着状態とは、ほぼ同様となる。このため、第一導通配線267と第二導通配線268との間の電気抵抗は、0Ωに近い所定の低抵抗となる。
これに対し、装着状態が不良な場合、第一導通電極265または第二導通電極266と導通ワッシャ28との密着状態が不良となる。すると、第一導通配線267と第二導通配線268との間の電気抵抗は、上記の所定の低抵抗よりも高くなる。
このように、本実施形態の構成によれば、第一導通配線267と第二導通配線268との間の電気抵抗をモニタすることで、衝突センサ25の固定箇所19への装着状態を確認することが可能となる。したがって、かかる構成によれば、衝突時の衝突センサ25の出力を確実に取得するための、固定箇所19に対する所定の装着状態が、良好に実現される。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態に係る構成、および、同構成により奏される効果について説明する。
第二実施形態に係る構成および効果については、主として、上記の第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、第二実施形態における、先行する第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述する第三実施形態以降についても同様である。
図9を参照すると、本実施形態においては、ブッシュ部材27は、挿通部271のフランジ部272からの軸方向における突出量が、被支持部14とセンサ本体26と導通ワッシャ28との厚さの合計よりも大きくなるように形成されている。また、ブッシュ部材27は、車載状態にて、挿通部271の先端が、支持部17におけるバンパ固定部18に設けられた凹部801に収容されるように構成されている。
凹部801は、積層体Sにおいて、センサ本体26に向かって開口するように設けられている。凹部801は、フレーム側貫通孔18aの内径よりも大きな内径、具体的には、ブッシュ挿通孔263の内径とほぼ同一の内径を有している。すなわち、凹部801は、バンパ固定部18の厚さ寸法よりも小さな深さ寸法を有する、フレーム側貫通孔18aと同心の座繰り孔として形成されている。
かかる構成においては、被支持部14とセンサ本体26とバンパ固定部18とを軸方向に積層した状態でブッシュ部材27を組み付ける際に、ブッシュ部材27における挿通部271の先端は、まず、被支持部14に設けられたバンパ側貫通孔14aに挿通される。次に、挿通部271の先端は、センサ本体26におけるブッシュ挿通孔263に挿通される。最後に、挿通部271の先端は、バンパ固定部18に設けられた凹部801に収容される。
かかる構成によれば、ブッシュ部材27の組み付け作業が容易化される。また、ボルトBの締結前にて、被支持部14とセンサ本体26とバンパ固定部18とブッシュ部材27との間の所定の位置関係が、容易且つ良好に実現され得る。すなわち、ボルトBの締結前における、固定箇所19を構成する各部間の位置決めが、容易に行われ得る。したがって、衝突センサ25の装着作業が良好に効率化且つ高精度化され得る。
(第三実施形態)
図10および図11を参照すると、本実施形態においては、応力検知素子269は、素子保持層262における外表面264a上に形成されている。また、第一導通電極265は、第一素子269aにおける接地側の電極を構成するように設けられている。同様に、第二導通電極266は、第二素子269bにおける接地側の電極を構成するように設けられている。すなわち、第一導通電極265および第二導通電極266は、第一実施形態または第二実施形態における基準電極269dを構成するように設けられている。
かかる構成においては、第一導通電極265および第二導通電極266が、応力検知素子269の一部として設けられる。すなわち、装着状態を確認するための第一導通電極265および第二導通電極266を、応力検知素子269とは別個に設ける必要がなくなる。したがって、センサ本体26の構成を可及的に簡略化しつつ、装着状態を良好に確認することが可能となる。
(第四実施形態)
本実施形態は、第一実施形態における導通ワッシャ28に代えて、導電性を有するバンパ固定部18を用いて、車載状態における第一導通電極265と第二導通電極266との導通を形成する例である。
図12および図13を参照すると、本実施形態においては、センサ本体26は、車載状態にて、外表面264aが支持部17すなわちバンパ固定部18と対向するように、被支持部14とバンパ固定部18との間で挟持されている。具体的には、支持層261は、車載状態にて、被支持部14と対向するようになっている。一方、素子保持層262は、車載状態にて、バンパ固定部18と対向するようになっている。また、バンパ固定部18における、センサ本体26と対向する表面は、導電性の金属表面として形成されている。
かかる構成によれば、ボルトBの締結力が周方向について均等に作用した、良好な装着状態において、第一導通電極265および第二導通電極266は、バンパ固定部18における導電性の金属表面と良好に密着する。したがって、可及的に簡略化された構成により、装着状態を良好に確認することが可能となる。
(第五実施形態)
本実施形態は、上記第三実施形態と同第四実施形態とを組み合わせた構成に相当する。すなわち、図14および図15を参照すると、本実施形態においては、上記の第四実施形態における第一導通電極265および第二導通電極266が、応力検知素子269の一部として設けられている。
すなわち、本実施形態においては、第一導通電極265は、第一素子269aにおける接地側の電極を構成するように設けられている。同様に、第二導通電極266は、第二素子269bにおける接地側の電極を構成するように設けられている。したがって、よりいっそう簡略化された構成により、装着状態を良好に確認することが可能となる。
(第六実施形態)
上記の第一~第五実施形態においては、センサ本体26は、車載状態にて、被支持部14と、支持部17におけるバンパ固定部18との間で挟持されている。すなわち、センサ本体26と、ブッシュ部材27におけるフランジ部272との間には、被支持部14が介在している。
これに対し、本実施形態においては、図16および図17に示されているように、センサ本体26は、車載状態にて、被支持部14と支持部17におけるバンパ固定部18とを重ね合わせたものと、ブッシュ部材27におけるフランジ部272との間で挟持されている。具体的には、積層体Sは、センサ本体26と被支持部14とバンパ固定部18とをこの順に軸方向に沿って上から下に向かって配列しつつ積層した状態で、挿通部271を上側からブッシュ挿通孔263とバンパ側貫通孔14aとに挿通することで形成されている。
本実施形態に係る積層体Sにおいては、センサ本体26は、支持層261が被支持部14と対向するとともに素子保持層262における外表面264aがブッシュ部材27におけるフランジ部272と対向するように設けられている。すなわち、センサ本体26は、車載状態にて、外表面264aがフランジ部272と対向するように、被支持部14とフランジ部272との間で挟持されている。そして、センサ本体26における外表面264aに設けられた、第一導通電極265および第二導通電極266は、車載状態にて、ブッシュ部材27におけるフランジ部272と密着するようになっている。
このように、本実施形態は、図12および図13に示された第四実施形態と同様に、上記第一実施形態における導通ワッシャ28を省略するために、積層体Sにおける積層状態を変更したものである。かかる構成によれば、ボルトBの締結力が周方向について均等に作用した、良好な装着状態において、第一導通電極265および第二導通電極266は、フランジ部272における導電性の金属表面と良好に密着する。したがって、よりいっそう簡略化された構成により、装着状態を良好に確認することが可能となる。
(第七実施形態)
本実施形態は、上記第六実施形態と同第二実施形態とを組み合わせた構成に相当する。すなわち、図18に示された第七実施形態は、上記第六実施形態の構成において、同第二実施形態と同様に、支持部17におけるバンパ固定部18に凹部801を設けるとともに、ブッシュ部材27における挿通部271の先端が凹部801に収容されるようにしたものである。
かかる構成によれば、ブッシュ部材27の組み付け作業が容易化される。また、ボルトBの締結前にて、被支持部14とセンサ本体26とバンパ固定部18とブッシュ部材27との間の所定の位置関係が、容易且つ良好に実現され得る。したがって、衝突センサ25の装着作業が良好に効率化且つ高精度化され得る。
(第八実施形態)
本実施形態は、上記第六実施形態と同第三実施形態とを組み合わせた構成に相当する。すなわち、図19に示された第八実施形態は、上記第六実施形態の構成において、同第三実施形態と同様に、第一導通電極265および第二導通電極266を、応力検知素子269の一部として設けたものである。
かかる構成においては、ボルトBの締結力が周方向について均等に作用した、良好な装着状態においては、第一導通電極265および第二導通電極266は、フランジ部272における導電性の金属表面と良好に密着する。一方、装着状態が不良な場合、第一導通電極265または第二導通電極266とフランジ部272との密着状態が不良となる。
かかる構成によれば、装着状態を確認するための第一導通電極265および第二導通電極266を、応力検知素子269とは別個に設ける必要がなくなる。また、導通ワッシャ28を用いなくても、ブッシュ部材27におけるフランジ部272を用いて、車載状態における第一導通電極265と第二導通電極266との導通を形成することができる。したがって、構成を可及的に簡略化しつつ、装着状態を良好に確認することが可能となる。
(第九実施形態)
図20~図22を参照すると、本実施形態においては、センサ本体26は、センサ本体26は、平面視にて、長辺方向と、当該長辺方向と直交する短辺方向とを有する略長方形状に形成されている。具体的には、図21および図22に示されているように、センサ本体26は、ワッシャ部901と、延設部902と、コネクタ部903とを有している。
ワッシャ部901は、ブッシュ挿通孔263、第一導通電極265、第二導通電極266、および応力検知素子269を有する部分であって、車載状態にてブッシュ部材27におけるフランジ部272とバンパ固定部18等の車体部品との間で挟持されるようになっている。
延設部902は、ワッシャ部901から、センサ本体26の幅方向および厚さ方向と直交する長手方向に延設されている。延設部902は、車載状態にて、バンパ固定部18と密着することでバンパ固定部18により下側から支持されるようになっている。
コネクタ部903は、延設部902の長手方向におけるワッシャ部901とは反対側の端部に設けられている。コネクタ部903は、第一導通電極265と、第一導通配線267を介して電気接続されている。また、コネクタ部903は、第二導通電極266と、第二導通配線268を介して電気接続されている。さらに、コネクタ部903は、応力検知素子269と、不図示の配線を介して電気接続されている。
かかる構成においては、センサ本体26に延設部902を設けることで、センサ本体26がバンパ固定部18により下側から良好に支持される。これにより、組み付けやすさが向上する。また、応力検知素子269等とコネクタ部903との間の配線を有する延設部902が、バンパ固定部18により保護される。これにより、衝突時の断線発生が良好に抑制され得る。
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、主として、上記実施形態と異なる部分について説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、相互に同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。具体的には、本発明の適用対象は、四輪自動車に限定されない。例えば、車両10は、三輪自動車であってもよいし、六輪あるいは八輪自動車であってもよい。車体11の形状および構造についても、特段の限定はない。すなわち、本発明は、車体11にバンパを有する構成の車両10に対して、広く適用可能である。
例えば、フロントバンパカバー13と被支持部14とは、別部材として構成されていてもよい。すなわち、フロントバンパカバー13と被支持部14とを連結するための連結部材が、フロントバンパカバー13と被支持部14との間に設けられていてもよい。
第一実施形態(例えば図7)等において、被支持部14における、センサ本体26と対向する表面は、金属等の導電性表面であってもよい。具体的には、例えば、被支持部14における、センサ本体26と対向する表面に、金属膜が、接着、塗布、蒸着、等の任意の形成法により形成され得る。あるいは、被支持部14は、金属製の板材により形成され得る。これにより、第一実施形態(例えば図7)等において、導通ワッシャ28は省略可能となる。
フレーム側貫通孔18aには、ボルトBを締結するための雌螺子部が形成されていてもよい。すなわち、ナットNは、省略され得る。
固定箇所19における、被支持部14とバンパ固定部18との位置関係は、変更され得る。すなわち、例えば、図4において、被支持部14とバンパ固定部18との位置関係を逆転させてもよい。この場合、バンパ固定部18には、ブッシュ部材27における挿通部271を挿通可能な貫通孔が形成される。また、積層体Sは、バンパ固定部18と導通ワッシャ28とセンサ本体26と被支持部14とをこの順に軸方向に沿って上から下に向かって配列しつつ積層した状態で、挿通部271を上側からワッシャ貫通孔281とブッシュ挿通孔263とに挿通することで形成される。さらに、ボルトBを締結するための雌螺子部を被支持部14に形成することで、ナットNが省略され得る。
上記のように、被支持部14とバンパ固定部18との位置関係を逆転させた場合、図9等に示された凹部801は、被支持部14に設けられ得る。この場合、ブッシュ部材27は、挿通部271のフランジ部272からの軸方向における突出量が、バンパ固定部18とセンサ本体26との厚さの合計よりも大きくなるように形成されている。
上記実施形態においては、固定箇所19における積層体Sは、上下方向に積層されていた。しかしながら、本発明は、かかる態様に限定されない。すなわち、例えば、固定箇所19における積層体Sは、前後方向あるいは左右方向に積層されていてもよい。
本発明は、歩行者等の特定物体との衝突検知に限定されない。例えば、本発明は、固定障害物および他車両との衝突検知にも応用され得る。すなわち、保護システム20は、車両10の乗員を保護するように構成され得る。
歩行者エアバッグ装置21は、複数個のエアバッグを備えていてもよい。この場合、複数個のエアバッグの各々は、平面視にて互いに異なる保護領域に対応して展開するように設けられる。複数の保護領域の各々は、平面視にて互いに異なる位置に設定される。かかる態様においては、特定物体が車両10の前面に一次衝突した場合、車幅方向における一次衝突位置に応じて、複数個のエアバッグの展開態様を制御する必要がある。
そこで、この場合、衝突センサ25は、平面視にて異なる位置に設けられた複数の固定箇所19のそれぞれに設けられる。かかる構成によれば、複数の衝突センサ25のうちのいずれが衝突を検知したかに基づいて、車幅方向における一次衝突位置が推定あるいは検知され得る。したがって、かかる構成によれば、特定物体が車両10の前面に一次衝突した場合、車幅方向における一次衝突位置に応じて、複数個のエアバッグの展開態様を制御することが可能となる。
保護システム20は、歩行者エアバッグ装置21と、フードポップアップ装置22との双方を備えた構成に限定されない。すなわち、歩行者エアバッグ装置21と、フードポップアップ装置22とのうちの、いずれか一方のみが設けられていてもよい。
衝突検知ECU24は、ASICあるいはFPGAを含んだ構成を有していてもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはfield-programmable gate arrayの略である。
衝突センサ25の適用対象は、フロントバンパ12に限定されない。すなわち、例えば、衝突センサ25は、リアバンパにも適用され得る。
衝突センサ25の具体的構成も、上記実施形態から適宜変更され得る。すなわち、例えば、支持層261は、合成樹脂材料により形成され得る。あるいは、支持層261は、省略され得る。
あるいは、後述するように第一導通電極265および第二導通電極266を省略する場合、支持層261は、素子保持層262の両面に設けられ得る。すなわち、素子保持層262は、一対の支持層261の間に挟持され得る。
上記の通り、センサ本体26に第一導通電極265および第二導通電極266を設けることで、衝突センサ25の固定箇所19への装着状態を良好に確認することが可能となる。一方、ブッシュ部材27を用いて衝突センサ25を固定箇所19に装着することで、固定箇所19における衝突センサ25の装着状態が、可及的に安定化され得る。
このため、ブッシュ部材27を用いて衝突センサ25を固定箇所19に装着する場合、第一導通電極265および第二導通電極266を用いた装着状態の確認は、フェールセーフあるいはダイアグ用途となる。よって、この場合、センサ本体26に第一導通電極265および第二導通電極266を設けることは、必須ではない。したがって、この場合、第一導通電極265、第二導通電極266、および導通ワッシャ28は、省略され得る。
具体的には、例えば、第一実施形態および第二実施形態において、第一導通電極265、第二導通電極266、および導通ワッシャ28は、省略され得る。この場合、図9において、ブッシュ部材27は、挿通部271のフランジ部272からの軸方向における突出量が、被支持部14とセンサ本体26との厚さの合計よりも大きくなるように形成されている。
逆に、センサ本体26に第一導通電極265および第二導通電極266を設けることによる装着状態の確認は、ブッシュ部材27を用いずに衝突センサ25を固定箇所19に装着する場合に対しても、良好に適用可能である。
すなわち、本明細書には、ブッシュ部材27の存在を前提としない、下記の観点が開示されているということが可能である。
車両(10)におけるバンパ(12)の固定箇所(19)に装着されることで、当該車両の外部に存在する物体と当該車両との衝突を検知するように構成された、衝突センサ(25)であって、
作用した応力に対応する電気出力を発生するように構成された応力検知素子(269)と、
前記応力検知素子を支持する素子保持層(262)を有するセンサ本体(26)と、
頭部(BH)と軸部(BJ)とを有し前記固定箇所にて前記バンパの固定に用いる締結具である雄螺子(B)における前記軸部を挿通可能に、中心軸線(C)を囲むように前記センサ本体に設けられた貫通孔(263)と、
前記センサ本体における、前記中心軸線と平行な軸方向を法線方向とする表面(264)にて露出するように設けられた、一対の電極(265,266)とを備え、
前記応力検知素子は、前記軸方向の応力に対応する電気出力を発生するように、前記貫通孔の周囲に配置され、
前記一対の電極は、前記貫通孔の周囲にて、前記中心軸線を挟んで対向するように配置された、
衝突センサ。
第一導通配線267は、センサ本体26の厚さ方向について、第一導通電極265とは異なる位置に配置されていてもよい。すなわち、第一導通配線267は、外表面264aにて露出しないように、素子保持層262の内部に設けられていてもよい。この場合、第一導通配線267は、第一導通電極265における第一端265aと、いわゆるスルーホール導体を介して電気接続され得る。第二導通電極266についても同様である。
衝突センサ25は、3個以上の応力検知素子269を備えていてもよい。応力検知素子269の個数が増えるほど、衝突方向の推定精度が向上する。
応力検知素子269は、車載状態にて、第一領域R1と第二領域R2とで不均衡に設けられてもよい。すなわち、例えば、第一素子269aと第二素子269bとは、第一領域R1と第二領域R2とが配列する面内にて、互いに異なる面積に形成されていてもよい。あるいは、応力検知素子269は、第一領域R1と第二領域R2とのうちの一方のみに設けられていてもよい。
第一素子269aと第二素子269bとは、一体的に形成されつつ個別に出力を発生するように構成されていてもよい。具体的には、第一素子269aにおける圧電体層269cと、第二素子269bにおける圧電体層269cとは、一体化されてもよい。この場合、衝突センサ25には、第一素子269aにおける圧電体層269cおよび第二素子269bにおける圧電体層269cを構成する、リング状の圧電体が設けられる。
図11において、圧電体層269cおよび検出電極269eは、素子保持層262内に埋設されていてもよい。すなわち、接地側の電極である第一導通電極265および第二導通電極266のみが、外表面264aにて露出していればよい。
図23を参照すると、センサ本体26は、第一追加配線部904を有していてもよい。第一追加配線部904は、第一導通電極265における第一端265aと第一導通配線267との接続部分と第二端265bとを接続するように設けられた配線部であって、径方向について第一導通電極265よりも外側に配置されている。かかる構成によれば、配線構造が冗長化され、有効な断線対策が提供され得る。
図23を参照すると、センサ本体26は、第二追加配線部905を有していてもよい。第二追加配線部905は、第二導通電極266における第一端266aと第二端266bとを接続するように設けられた配線部であって、平面視にて略U字状あるいは角括弧状に形成されている。第二追加配線部905は、第二導通配線268と接続されている。かかる構成によれば、配線構造が冗長化され、有効な断線対策が提供され得る。
図23に示された第一追加配線部904および/または第二追加配線部905は、第一実施形態等(例えば図6等)に示された構成に対しても適用可能である。
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。
同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。各部を構成する材料についても、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の材料に限定される場合等を除き、特段の限定はない。
上記説明において、互いに一体に形成されていた複数の構成要素は、継ぎ目なく一体に形成されてもよいし、互いに別体の部材を貼り合わせることによって形成されてもよい。同様に、互いに貼り合わせることによって形成されていた複数の構成要素は、互いに継ぎ目無く一体に形成されてもよい。
上記説明において、互いに同一の材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに異なる材料によって形成されてもよい。同様に、互いに異なる材料によって形成されていた複数の構成要素は、互いに同一の材料によって形成されてもよい。
変形例も、上記の例示に限定されない。例えば、複数の実施形態が、互いに組み合わされ得る。また、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。さらに、任意の実施形態の全部または一部と、任意の変形例の全部または一部とが、互いに組み合わされ得る。