JP2004356596A - 電子部品の取付構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる電子部品の取付構造を提供する。
【解決手段】電子部品の放熱板2の取付け孔2aに絶縁ブッシュ4が挿入されるとともに、放熱板2と放熱フィン1との間に絶縁性薄板3が介在された状態において、放熱板2の取付け孔2aからネジ5が放熱フィン1のネジ穴1aに螺入される。ネジ穴1aの開口部に座繰り部6を設けて、絶縁ブッシュ4を、放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して座繰り部6の内部に突出させるとともに、絶縁性薄板3における絶縁ブッシュ4が通る透孔3aを、座繰り部6の開口部よりも小さくしている。
【選択図】 図1
【解決手段】電子部品の放熱板2の取付け孔2aに絶縁ブッシュ4が挿入されるとともに、放熱板2と放熱フィン1との間に絶縁性薄板3が介在された状態において、放熱板2の取付け孔2aからネジ5が放熱フィン1のネジ穴1aに螺入される。ネジ穴1aの開口部に座繰り部6を設けて、絶縁ブッシュ4を、放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して座繰り部6の内部に突出させるとともに、絶縁性薄板3における絶縁ブッシュ4が通る透孔3aを、座繰り部6の開口部よりも小さくしている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パワートランジスタ等の電子部品で、かつ、電子部品の放熱板がコレクタ端子やドレイン端子と導通するとともに、部品表面に露出している構造の電子部品において、電子部品の放熱板と放熱部材の間にマイカ板等の絶縁性薄板を挿入して電子部品と放熱部材間の絶縁性を確保する技術がある。これを、図9,10,11,12,13を用いて説明する。
【0003】
図9,10には、プリント基板100に放熱部材101を用いて電子部品102を実装する場合の構成例を示す。図9は正面図であり、図10は側面図(図9のA矢視図)である。プリント基板100の上に放熱部材101が固定されている。また、電子部品102の端子104はプリント基板100を貫通した状態でハンダ付けされている。電子部品102の放熱板103はコレクタ端子と導通している。放熱板103と放熱部材101との間には絶縁性薄板105が介在され、ネジ106にて放熱板103が放熱部材101に固定されている。
【0004】
より具体的な説明を加えるならば、誘導性電気負荷の通電をスイッチング制御する技術がある。例えば、点火コイルの1次コイルに通電制御用の電子部品を接続し、2次コイル側に点火プラグを接続する。1次コイルへの通電遮断時にコイルに誘電された高電圧が発生し、点火プラグに火花が発生するとともに、1次コイル側すなわち通電制御用の電子部品にもフライバック電圧による高電圧が発生することが知られている。この場合の通電制御用電子部品の実装構造として、図9,10に示す構造が用いられる。
【0005】
図9,10での電子部品102の構成例を、図11に示す。図11において、金属フレーム110にチップ111が搭載されている。チップ111はリードフレーム112,113,114と電気的に接続されている。また、樹脂115にてチップ111と金属フレーム110の一部とリードフレーム112,113,114の一部がモールドされている。金属フレーム110においてモールドされていない箇所が放熱板として機能し、当該部位には取付け孔(貫通孔)116が設けられている。
【0006】
図12には、電子部品の放熱板103における放熱部材101への取付部分を示す。図12に示すように、電子部品の放熱板103の取付け孔103aに絶縁ブッシュ107を挿入するとともに、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に絶縁性薄板105を介在させている。この状態において、電子部品の放熱板103の取付け孔103aからネジ106を放熱部材101のネジ穴101aに螺入することにより、電子部品を放熱板103に取付けている。このとき、図13に示すように、電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成される。この空間S10により、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に空間ギャップ(放電経路)L100が形成されるとともに放熱板103とネジ106との間に空間ギャップ(放電経路)L101が形成される。
【0007】
しかし、電子部品102のフライバック電圧が例えば最大500ボルトと高くなった場合、空間ギャップの狭さに起因する放電による絶縁性破壊が発生する問題がある。
【0008】
この対策として、図14に示すように、絶縁性薄板105の板厚t100と絶縁ブッシュ107の肉厚t101を厚くし、空間ギャップを拡大させて放電による絶縁性破壊を回避することができる。しかしながら、こうすると、放熱経路の熱抵抗が上昇するため、電子部品の放熱性が悪化し、電子部品の耐熱性限界を超過する問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる電子部品の取付構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放熱部材側でのネジ穴の開口部に座繰り部を設けるとともに、絶縁ブッシュを、電子部品の放熱板と絶縁性薄板を貫通して座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板における絶縁ブッシュが通る透孔を、座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0011】
この場合、絶縁ブッシュが突出した座繰り部の内部、および、座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0012】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、電子部品の放熱板での取付け孔の開口部に座繰り部を設けるとともに、絶縁ブッシュを、電子部品の放熱板を貫通して座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板におけるネジが通る透孔を、座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0014】
この場合、絶縁ブッシュが突出した座繰り部の内部、および、座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0015】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、放熱部材側でのネジ穴の開口部に第1の座繰り部を設けるとともに、電子部品の放熱板での取付け孔の開口部に第2の座繰り部を設け、また、絶縁ブッシュを、少なくとも電子部品の放熱板を貫通して少なくとも第2の座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板におけるネジが通る透孔を、第1および第2の座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0017】
この場合、少なくとも第2の座繰り部に絶縁ブッシュが突出し、座繰り部(第1、第2の座繰り部)の内部、および、第1及び第2の座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
【0018】
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0019】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0020】
請求項4に記載のように、請求項1または2に記載の電子部品の取付構造における座繰り部は板状の放熱部材を貫通する貫通孔であっても、請求項5に記載のように、請求項3に記載の電子部品の取付構造における第1の座繰り部は板状の放熱部材を貫通する貫通孔であってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図2は、図1におけるY部の拡大図である。
本実施形態においては、図9,10に示したように、プリント基板100に放熱部材(101)を用いて電子部品を実装する場合を想定しており、プリント基板100の上に放熱部材(101)が固定されている。また、電子部品の端子はプリント基板100を貫通した状態でハンダ付けされている。電子部品としては図11に示したものを使用している。
【0023】
図1において、放熱部材として放熱フィン1を用いている。電子部品の放熱板2は電子部品のコレクタ端子と接続されている。また、電子部品の放熱板2には取付け孔2aが形成されている。放熱板2の取付け孔2aには厚さt2の絶縁ブッシュ(絶縁性円筒材)4が挿入されている。電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間には絶縁性薄板(絶縁性板材)3が介在されている。絶縁性薄板3として、例えば、厚さt1が0.1mmのマイカ板を用いる。この状態において、電子部品の放熱板2の取付け孔2aからネジ5が放熱フィン1に設けたネジ穴(放熱部材側のネジ穴)1aに螺入され、放熱板2と放熱フィン1が絶縁性薄板3を挟んでネジ5により締結されている。これにより、電子部品が放熱フィン1に取付けられている。ネジ5と放熱フィン1は導体である。絶縁ブッシュ4により電子部品の放熱板2とネジ5とが電気的に絶縁されている。また、絶縁性薄板3により電子部品の放熱板2と放熱フィン1とが電気的に絶縁されている。
【0024】
電子部品の放熱板2、即ち、電子部品のコレクタ端子には、例えば最大500ボルトの電圧が発生する。ネジ5と放熱フィン1は、グランド(GND)に接続されている。このため、電子部品の放熱板2とネジ5との間、及び、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間において高い絶縁性を確保する必要がある。また、電子部品で発生した熱は放熱板2へ伝熱し、主に絶縁性薄板3を介して放熱フィン1へ放熱されるがその際、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間は高い放熱性を確保する必要がある。
【0025】
放熱フィン1でのネジ穴1aの開口部には、深さがd1の座繰り部6が設けられている。座繰り部6は、絶縁ブッシュ4を挿入することができるサイズである。絶縁ブッシュ4は、電子部品の放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して座繰り部6の内部に距離d2だけ突出している(d2<d1)。即ち、絶縁ブッシュ4は、放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して放熱フィン1の座繰り部6へ挿入される長さとしている。
【0026】
さらに、絶縁性薄板3における絶縁ブッシュ4が通る透孔3aは、座繰り部6の開口部よりも幅W1だけ小さくなっている。即ち、絶縁性薄板3の透孔3aはその穴径が絶縁ブッシュ4が挿入可能な直径で、かつ、放熱フィン1の座繰り部6の穴径より小さい。
【0027】
絶縁ブッシュ4が突出した座繰り部6の内部、および、座繰り部6の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S1が形成される。この空間S1により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL1,L2が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL3が形成される。空間ギャップ(距離)L1は、t1+W1であり、空間ギャップ(距離)L2は、t1+d1であり、空間ギャップ(距離)L3は、t1+d2+t2である。
【0028】
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。この空間S10により電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に空間ギャップL100が形成されるとともに、電子部品の放熱板103とネジ106との間に空間ギャップL101が形成されていた。空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、空間ギャップL101は絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0029】
このようにして、本実施形態においては、図2に示すごとく電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L1,L2を、W1やd1分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L3を、(t1+d2)分だけ大きくすることができる。即ち、図12,13の構造に比べ、放熱板2〜ネジ5間、及び、放熱板2〜放熱フィン1間において、空間ギャップが拡大される。よって、空間絶縁性を向上させることができる。
【0030】
また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。即ち、放熱性も絶縁性薄板3の厚さt1(図1参照)を変更する必要がないため、図12の構造と同等性能に維持することができる。
【0031】
その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる(放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる)。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
図3には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図4は、図3におけるY部の拡大図である。
本実施形態においては、電子部品放熱板2に座繰りを入れて座繰り部10を形成することにより空間ギャップL11,L12,L13を確保している。詳しくは、電子部品の放熱板2における放熱フィン1と対向する面での取付け孔2aの開口部に深さd11の座繰り部10を設けている。また、絶縁ブッシュ4を、電子部品の放熱板2を貫通して座繰り部10の内部に距離d12だけ突出させている。換言すれば、穴深さを絶縁ブッシュ4が突出する深さとした座繰り部10を設けている。また、絶縁性薄板3におけるネジ5が通る透孔3aを、座繰り部10の開口部よりも幅W11だけ小さくしている。即ち、絶縁性薄板3の透孔(電子部品取付け穴)3aの穴径を、放熱板2の座繰り部10の直径より小さく、かつ、取付けネジ径より大きくしている。
【0033】
絶縁ブッシュ4が突出した座繰り部10の内部、および、座繰り部10の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S2が形成される。この空間S2により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL11,L12が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL13が形成される。空間ギャップ(距離)L11は、t1+W11であり、空間ギャップ(距離)L12は、t1+d11であり、空間ギャップ(距離)L13は、d12+t2である。
【0034】
このようにして、図13に示した従来構造に比べ本実施形態においては電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L11,L12を、W11やd11分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L13を、d12分だけ大きくすることができる。よって、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる(放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる)。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1,2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
図5には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図6は、図5におけるY部の拡大図である。
図5に示すように、放熱フィン1および電子部品放熱板2における対向する面の双方に座繰り部20,21を設け、図1,3よりも更に空間ギャップを広げ、絶縁性を高めている。つまり、図6において、放熱フィン1に設けたネジ穴1aの開口部に深さd31の第1の座繰り部20を設けるとともに、電子部品の放熱板2での取付け孔2aの開口部に深さd32の第2の座繰り部21を設けている。そして、絶縁ブッシュ4を、電子部品の放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して第1の座繰り部20の内部に距離d33だけ突出させている(広義には、絶縁ブッシュ4を少なくとも電子部品の放熱板2を貫通して少なくとも第2の座繰り部21の内部に突出させる)。また、絶縁性薄板3におけるネジ5(絶縁ブッシュ4)が通る透孔3aを、第1および第2の座繰り部20,21の開口部よりも小さくしている。詳しくは、図6において透孔3aは、座繰り部20の開口部よりも幅W31だけ小さく、座繰り部21の開口部よりも幅W32だけ小さくなっている。
【0036】
この場合、絶縁ブッシュ4が第2の座繰り部21を貫通して第1の座繰り部20に突出し、座繰り部(第1、第2の座繰り部)20,21の内部、および、第1及び第2の座繰り部20,21の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S3が形成される。この空間S3により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL21,L22が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL23が形成される。空間ギャップ(距離)L21は、t1+W31+W32であり、空間ギャップ(距離)L22は、t1+d31+d32であり、空間ギャップ(距離)L23は、t1+t2+d32+d33である。
【0037】
このように、図13に示した従来構造に比べ本実施形態においては電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L21,L22を、(W31+W32)や(d31+d32)分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L23を、(d32+t1+d33)分だけ大きくすることができる。よって、絶縁性が向上する。特に本実施形態においては放熱板〜放熱フィン間の空間ギャップ(L21,L22)および放熱板〜ネジ間の空間ギャップ(L23)を第1,第2の実施形態よりも更に大きくすることができ、更に絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0038】
以上のように、放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップおよび放熱板2とネジ5との間の空間ギャップを、相互に座繰り部20,21を設けて拡大することにより、放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
図7には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。
放熱フィン30が板材で構成されており、放熱部材側のナット31のネジ穴31aにネジ5を螺入している。このように放熱フィン30に凹状の座繰りを設けられない場合は、図7に示すように、板状の放熱フィン30に貫通孔よりなる座繰り部32を設ける。つまり、図1においては座繰り部は凹部であったが、座繰り部32は板状の放熱フィン(放熱部材)30を貫通する貫通孔である。そして、座繰り部32の内部および絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S4が形成される。
【0040】
これは、第2の実施形態(図3,4)や第3の実施形態(図5,6)においても同じである。図5に対応する構成を図8に示す。図8において、第1の座繰り部40として板状の放熱フィン(放熱部材)30を貫通する貫通孔を設けるとともに、第2の座繰り部41を放熱板2に設ける。そして、座繰り部(第1、第2の座繰り部)40,41の内部および絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S5が形成される。
【0041】
これまでの各実施形態においては、放熱フィンへの取付について説明したが、ケースに直接、取り付ける構造においても同様である。即ち、ケースを放熱部材として、同ケースに組み付ける場合に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図2】図1におけるY部の拡大図。
【図3】第2の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図4】図3におけるY部の拡大図。
【図5】第3の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図6】図5におけるY部の拡大図。
【図7】第4の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図8】電子部品の取付構造を示す断面図。
【図9】電子部品の実装構造を示す正面図。
【図10】図9のA矢視図。
【図11】電子部品を示す図。
【図12】従来技術を説明するための電子部品の取付構造を示す断面図。
【図13】図12におけるY部の拡大図。
【図14】従来技術を説明するための電子部品の取付構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…放熱フィン、1a…ネジ穴、2…放熱板、2a…取付け孔、3…絶縁性薄板、3a…透孔、4…絶縁ブッシュ、5…ネジ、6…座繰り部、10…座繰り部、20…第1の座繰り部、21…第2の座繰り部、30…放熱フィン、31a…ネジ穴、32…座繰り部、40…第1の座繰り部、41…第2の座繰り部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パワートランジスタ等の電子部品で、かつ、電子部品の放熱板がコレクタ端子やドレイン端子と導通するとともに、部品表面に露出している構造の電子部品において、電子部品の放熱板と放熱部材の間にマイカ板等の絶縁性薄板を挿入して電子部品と放熱部材間の絶縁性を確保する技術がある。これを、図9,10,11,12,13を用いて説明する。
【0003】
図9,10には、プリント基板100に放熱部材101を用いて電子部品102を実装する場合の構成例を示す。図9は正面図であり、図10は側面図(図9のA矢視図)である。プリント基板100の上に放熱部材101が固定されている。また、電子部品102の端子104はプリント基板100を貫通した状態でハンダ付けされている。電子部品102の放熱板103はコレクタ端子と導通している。放熱板103と放熱部材101との間には絶縁性薄板105が介在され、ネジ106にて放熱板103が放熱部材101に固定されている。
【0004】
より具体的な説明を加えるならば、誘導性電気負荷の通電をスイッチング制御する技術がある。例えば、点火コイルの1次コイルに通電制御用の電子部品を接続し、2次コイル側に点火プラグを接続する。1次コイルへの通電遮断時にコイルに誘電された高電圧が発生し、点火プラグに火花が発生するとともに、1次コイル側すなわち通電制御用の電子部品にもフライバック電圧による高電圧が発生することが知られている。この場合の通電制御用電子部品の実装構造として、図9,10に示す構造が用いられる。
【0005】
図9,10での電子部品102の構成例を、図11に示す。図11において、金属フレーム110にチップ111が搭載されている。チップ111はリードフレーム112,113,114と電気的に接続されている。また、樹脂115にてチップ111と金属フレーム110の一部とリードフレーム112,113,114の一部がモールドされている。金属フレーム110においてモールドされていない箇所が放熱板として機能し、当該部位には取付け孔(貫通孔)116が設けられている。
【0006】
図12には、電子部品の放熱板103における放熱部材101への取付部分を示す。図12に示すように、電子部品の放熱板103の取付け孔103aに絶縁ブッシュ107を挿入するとともに、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に絶縁性薄板105を介在させている。この状態において、電子部品の放熱板103の取付け孔103aからネジ106を放熱部材101のネジ穴101aに螺入することにより、電子部品を放熱板103に取付けている。このとき、図13に示すように、電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成される。この空間S10により、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に空間ギャップ(放電経路)L100が形成されるとともに放熱板103とネジ106との間に空間ギャップ(放電経路)L101が形成される。
【0007】
しかし、電子部品102のフライバック電圧が例えば最大500ボルトと高くなった場合、空間ギャップの狭さに起因する放電による絶縁性破壊が発生する問題がある。
【0008】
この対策として、図14に示すように、絶縁性薄板105の板厚t100と絶縁ブッシュ107の肉厚t101を厚くし、空間ギャップを拡大させて放電による絶縁性破壊を回避することができる。しかしながら、こうすると、放熱経路の熱抵抗が上昇するため、電子部品の放熱性が悪化し、電子部品の耐熱性限界を超過する問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる電子部品の取付構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放熱部材側でのネジ穴の開口部に座繰り部を設けるとともに、絶縁ブッシュを、電子部品の放熱板と絶縁性薄板を貫通して座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板における絶縁ブッシュが通る透孔を、座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0011】
この場合、絶縁ブッシュが突出した座繰り部の内部、および、座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0012】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、電子部品の放熱板での取付け孔の開口部に座繰り部を設けるとともに、絶縁ブッシュを、電子部品の放熱板を貫通して座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板におけるネジが通る透孔を、座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0014】
この場合、絶縁ブッシュが突出した座繰り部の内部、および、座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0015】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、放熱部材側でのネジ穴の開口部に第1の座繰り部を設けるとともに、電子部品の放熱板での取付け孔の開口部に第2の座繰り部を設け、また、絶縁ブッシュを、少なくとも電子部品の放熱板を貫通して少なくとも第2の座繰り部の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板におけるネジが通る透孔を、第1および第2の座繰り部の開口部よりも小さくしたことを特徴としている。
【0017】
この場合、少なくとも第2の座繰り部に絶縁ブッシュが突出し、座繰り部(第1、第2の座繰り部)の内部、および、第1及び第2の座繰り部の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔の内部に空間が形成される。
【0018】
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。そして、電子部品の放熱板103と放熱部材101との間の空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、電子部品の放熱板103と取付けネジ106との間の空間ギャップL101は、絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0019】
これに対し、本発明においては電子部品の放熱板と放熱部材との間の空間ギャップを大きくすることができるとともに電子部品の放熱板と取付けネジとの間の空間ギャップを大きくすることができ、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板から放熱部材への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0020】
請求項4に記載のように、請求項1または2に記載の電子部品の取付構造における座繰り部は板状の放熱部材を貫通する貫通孔であっても、請求項5に記載のように、請求項3に記載の電子部品の取付構造における第1の座繰り部は板状の放熱部材を貫通する貫通孔であってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
【0022】
図1には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図2は、図1におけるY部の拡大図である。
本実施形態においては、図9,10に示したように、プリント基板100に放熱部材(101)を用いて電子部品を実装する場合を想定しており、プリント基板100の上に放熱部材(101)が固定されている。また、電子部品の端子はプリント基板100を貫通した状態でハンダ付けされている。電子部品としては図11に示したものを使用している。
【0023】
図1において、放熱部材として放熱フィン1を用いている。電子部品の放熱板2は電子部品のコレクタ端子と接続されている。また、電子部品の放熱板2には取付け孔2aが形成されている。放熱板2の取付け孔2aには厚さt2の絶縁ブッシュ(絶縁性円筒材)4が挿入されている。電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間には絶縁性薄板(絶縁性板材)3が介在されている。絶縁性薄板3として、例えば、厚さt1が0.1mmのマイカ板を用いる。この状態において、電子部品の放熱板2の取付け孔2aからネジ5が放熱フィン1に設けたネジ穴(放熱部材側のネジ穴)1aに螺入され、放熱板2と放熱フィン1が絶縁性薄板3を挟んでネジ5により締結されている。これにより、電子部品が放熱フィン1に取付けられている。ネジ5と放熱フィン1は導体である。絶縁ブッシュ4により電子部品の放熱板2とネジ5とが電気的に絶縁されている。また、絶縁性薄板3により電子部品の放熱板2と放熱フィン1とが電気的に絶縁されている。
【0024】
電子部品の放熱板2、即ち、電子部品のコレクタ端子には、例えば最大500ボルトの電圧が発生する。ネジ5と放熱フィン1は、グランド(GND)に接続されている。このため、電子部品の放熱板2とネジ5との間、及び、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間において高い絶縁性を確保する必要がある。また、電子部品で発生した熱は放熱板2へ伝熱し、主に絶縁性薄板3を介して放熱フィン1へ放熱されるがその際、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間は高い放熱性を確保する必要がある。
【0025】
放熱フィン1でのネジ穴1aの開口部には、深さがd1の座繰り部6が設けられている。座繰り部6は、絶縁ブッシュ4を挿入することができるサイズである。絶縁ブッシュ4は、電子部品の放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して座繰り部6の内部に距離d2だけ突出している(d2<d1)。即ち、絶縁ブッシュ4は、放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して放熱フィン1の座繰り部6へ挿入される長さとしている。
【0026】
さらに、絶縁性薄板3における絶縁ブッシュ4が通る透孔3aは、座繰り部6の開口部よりも幅W1だけ小さくなっている。即ち、絶縁性薄板3の透孔3aはその穴径が絶縁ブッシュ4が挿入可能な直径で、かつ、放熱フィン1の座繰り部6の穴径より小さい。
【0027】
絶縁ブッシュ4が突出した座繰り部6の内部、および、座繰り部6の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S1が形成される。この空間S1により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL1,L2が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL3が形成される。空間ギャップ(距離)L1は、t1+W1であり、空間ギャップ(距離)L2は、t1+d1であり、空間ギャップ(距離)L3は、t1+d2+t2である。
【0028】
一方、図13に示した従来構造においては電子部品の放熱板の取付け孔103aの先端部分および絶縁性薄板の透孔105aの内部にて空間S10が形成されていた。この空間S10により電子部品の放熱板103と放熱部材101との間に空間ギャップL100が形成されるとともに、電子部品の放熱板103とネジ106との間に空間ギャップL101が形成されていた。空間ギャップL100は、ほぼ絶縁性薄板105の板厚t100であり、空間ギャップL101は絶縁ブッシュ107の肉厚t101であった。
【0029】
このようにして、本実施形態においては、図2に示すごとく電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L1,L2を、W1やd1分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L3を、(t1+d2)分だけ大きくすることができる。即ち、図12,13の構造に比べ、放熱板2〜ネジ5間、及び、放熱板2〜放熱フィン1間において、空間ギャップが拡大される。よって、空間絶縁性を向上させることができる。
【0030】
また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。即ち、放熱性も絶縁性薄板3の厚さt1(図1参照)を変更する必要がないため、図12の構造と同等性能に維持することができる。
【0031】
その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる(放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる)。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
図3には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図4は、図3におけるY部の拡大図である。
本実施形態においては、電子部品放熱板2に座繰りを入れて座繰り部10を形成することにより空間ギャップL11,L12,L13を確保している。詳しくは、電子部品の放熱板2における放熱フィン1と対向する面での取付け孔2aの開口部に深さd11の座繰り部10を設けている。また、絶縁ブッシュ4を、電子部品の放熱板2を貫通して座繰り部10の内部に距離d12だけ突出させている。換言すれば、穴深さを絶縁ブッシュ4が突出する深さとした座繰り部10を設けている。また、絶縁性薄板3におけるネジ5が通る透孔3aを、座繰り部10の開口部よりも幅W11だけ小さくしている。即ち、絶縁性薄板3の透孔(電子部品取付け穴)3aの穴径を、放熱板2の座繰り部10の直径より小さく、かつ、取付けネジ径より大きくしている。
【0033】
絶縁ブッシュ4が突出した座繰り部10の内部、および、座繰り部10の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S2が形成される。この空間S2により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL11,L12が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL13が形成される。空間ギャップ(距離)L11は、t1+W11であり、空間ギャップ(距離)L12は、t1+d11であり、空間ギャップ(距離)L13は、d12+t2である。
【0034】
このようにして、図13に示した従来構造に比べ本実施形態においては電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L11,L12を、W11やd11分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L13を、d12分だけ大きくすることができる。よって、絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる(放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる)。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態を、第1,2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0035】
図5には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。図6は、図5におけるY部の拡大図である。
図5に示すように、放熱フィン1および電子部品放熱板2における対向する面の双方に座繰り部20,21を設け、図1,3よりも更に空間ギャップを広げ、絶縁性を高めている。つまり、図6において、放熱フィン1に設けたネジ穴1aの開口部に深さd31の第1の座繰り部20を設けるとともに、電子部品の放熱板2での取付け孔2aの開口部に深さd32の第2の座繰り部21を設けている。そして、絶縁ブッシュ4を、電子部品の放熱板2と絶縁性薄板3を貫通して第1の座繰り部20の内部に距離d33だけ突出させている(広義には、絶縁ブッシュ4を少なくとも電子部品の放熱板2を貫通して少なくとも第2の座繰り部21の内部に突出させる)。また、絶縁性薄板3におけるネジ5(絶縁ブッシュ4)が通る透孔3aを、第1および第2の座繰り部20,21の開口部よりも小さくしている。詳しくは、図6において透孔3aは、座繰り部20の開口部よりも幅W31だけ小さく、座繰り部21の開口部よりも幅W32だけ小さくなっている。
【0036】
この場合、絶縁ブッシュ4が第2の座繰り部21を貫通して第1の座繰り部20に突出し、座繰り部(第1、第2の座繰り部)20,21の内部、および、第1及び第2の座繰り部20,21の開口部よりも小さい絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S3が形成される。この空間S3により、電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間に空間ギャップL21,L22が形成されるとともに、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間に空間ギャップL23が形成される。空間ギャップ(距離)L21は、t1+W31+W32であり、空間ギャップ(距離)L22は、t1+d31+d32であり、空間ギャップ(距離)L23は、t1+t2+d32+d33である。
【0037】
このように、図13に示した従来構造に比べ本実施形態においては電子部品の放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップ(距離)L21,L22を、(W31+W32)や(d31+d32)分だけ大きくすることができる。また、電子部品の放熱板2と取付けネジ5との間の空間ギャップ(距離)L23を、(d32+t1+d33)分だけ大きくすることができる。よって、絶縁性が向上する。特に本実施形態においては放熱板〜放熱フィン間の空間ギャップ(L21,L22)および放熱板〜ネジ間の空間ギャップ(L23)を第1,第2の実施形態よりも更に大きくすることができ、更に絶縁性が向上する。また、図14に示したように絶縁性薄板105の厚さを変更する必要がなく、そのため、放熱性を図12に示した構造と同等に維持することが可能となる。その結果、電子部品の放熱板2から放熱フィン1への放熱性を確保するとともに、放電による絶縁性破壊を回避することができる。
【0038】
以上のように、放熱板2と放熱フィン1との間の空間ギャップおよび放熱板2とネジ5との間の空間ギャップを、相互に座繰り部20,21を設けて拡大することにより、放熱性を維持したまま絶縁性を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態を、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
図7には、本実施の形態における電子部品の取付構造を示す。
放熱フィン30が板材で構成されており、放熱部材側のナット31のネジ穴31aにネジ5を螺入している。このように放熱フィン30に凹状の座繰りを設けられない場合は、図7に示すように、板状の放熱フィン30に貫通孔よりなる座繰り部32を設ける。つまり、図1においては座繰り部は凹部であったが、座繰り部32は板状の放熱フィン(放熱部材)30を貫通する貫通孔である。そして、座繰り部32の内部および絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S4が形成される。
【0040】
これは、第2の実施形態(図3,4)や第3の実施形態(図5,6)においても同じである。図5に対応する構成を図8に示す。図8において、第1の座繰り部40として板状の放熱フィン(放熱部材)30を貫通する貫通孔を設けるとともに、第2の座繰り部41を放熱板2に設ける。そして、座繰り部(第1、第2の座繰り部)40,41の内部および絶縁性薄板の透孔3aの内部に空間S5が形成される。
【0041】
これまでの各実施形態においては、放熱フィンへの取付について説明したが、ケースに直接、取り付ける構造においても同様である。即ち、ケースを放熱部材として、同ケースに組み付ける場合に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図2】図1におけるY部の拡大図。
【図3】第2の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図4】図3におけるY部の拡大図。
【図5】第3の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図6】図5におけるY部の拡大図。
【図7】第4の実施の形態における電子部品の取付構造を示す断面図。
【図8】電子部品の取付構造を示す断面図。
【図9】電子部品の実装構造を示す正面図。
【図10】図9のA矢視図。
【図11】電子部品を示す図。
【図12】従来技術を説明するための電子部品の取付構造を示す断面図。
【図13】図12におけるY部の拡大図。
【図14】従来技術を説明するための電子部品の取付構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…放熱フィン、1a…ネジ穴、2…放熱板、2a…取付け孔、3…絶縁性薄板、3a…透孔、4…絶縁ブッシュ、5…ネジ、6…座繰り部、10…座繰り部、20…第1の座繰り部、21…第2の座繰り部、30…放熱フィン、31a…ネジ穴、32…座繰り部、40…第1の座繰り部、41…第2の座繰り部。
Claims (5)
- 電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)に絶縁ブッシュ(4)が挿入されるとともに、電子部品の放熱板(2)と放熱部材(1,30)との間に絶縁性薄板(3)が介在された状態において、電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)からネジ(5)が放熱部材側のネジ穴(1a,31a)に螺入されることにより、電子部品が放熱部材(1,30)に取付けられた構造であって、
放熱部材側でのネジ穴(1a,31a)の開口部に座繰り部(6,32)を設けるとともに、絶縁ブッシュ(4)を、電子部品の放熱板(2)と絶縁性薄板(3)を貫通して座繰り部(6,32)の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板(3)における絶縁ブッシュ(4)が通る透孔(3a)を、座繰り部(6,32)の開口部よりも小さくしたことを特徴とする電子部品の取付構造。 - 電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)に絶縁ブッシュ(4)が挿入されるとともに、電子部品の放熱板(2)と放熱部材(1)との間に絶縁性薄板(3)が介在された状態において、電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)からネジ(5)が放熱部材側のネジ穴(1a)に螺入されることにより、電子部品が放熱部材(1)に取付けられた構造であって、
電子部品の放熱板(2)での取付け孔(2a)の開口部に座繰り部(10)を設けるとともに、絶縁ブッシュ(4)を、電子部品の放熱板(2)を貫通して座繰り部(10)の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板(3)におけるネジ(5)が通る透孔(3a)を、座繰り部(10)の開口部よりも小さくしたことを特徴とする電子部品の取付構造。 - 電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)に絶縁ブッシュ(4)が挿入されるとともに、電子部品の放熱板(2)と放熱部材(1,30)との間に絶縁性薄板(3)が介在された状態において、電子部品の放熱板(2)の取付け孔(2a)からネジ(5)が放熱部材側のネジ穴(1a,31a)に螺入されることにより、電子部品が放熱部材(1,30)に取付けられた構造であって、
放熱部材側でのネジ穴(1a,31a)の開口部に第1の座繰り部(20,40)を設けるとともに、電子部品の放熱板(2)での取付け孔(2a)の開口部に第2の座繰り部(21,41)を設け、また、絶縁ブッシュ(4)を、少なくとも電子部品の放熱板(2)を貫通して少なくとも第2の座繰り部(21,41)の内部に突出させ、さらに、絶縁性薄板(3)におけるネジ(5)が通る透孔(3a)を、第1および第2の座繰り部(20,21,40,41)の開口部よりも小さくしたことを特徴とする電子部品の取付構造。 - 座繰り部(32)は、板状の放熱部材(30)を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の取付構造。
- 第1の座繰り部(40)は、板状の放熱部材(30)を貫通する貫通孔であることを特徴とする請求項3に記載の電子部品の取付構造。
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