JP7139150B2 - 防湿皮膜付プリント回路板の製造方法 - Google Patents
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Description
電子機器に対する小型化の要求を満足させるべく前記プリント回路板には、高密度実装が求められている。
そのため、プリント配線板は、配線ピッチが狭ピッチなものとなっている。
このような狭ピッチのプリント配線板を用いたプリント回路板では、はんだブリッジなどによるショートが生じるおそれがある。
このようなショートは、はんだブリッジを原因とする場合だけでなく水分によっても生じ得る。
例えば、電子機器内に入り込んだ水蒸気によってプリント回路板の表面に結露が生じたりすると、水滴が極めて小さなものであっても回路ショートの原因となる。
また、プリント回路板の内部に水分が侵入するとマイグレーションなどの原因ともなりうる。
従来の防湿処理は、プリント回路板の表面に防湿皮膜を形成するような方法で実施されている。
防湿皮膜の形成には、下記特許文献1、2に記載されているように液状の防湿コーティング剤が用いられており、防湿皮膜は、プリント回路板の被処理面に前記防湿コーティング剤を塗布してウェット塗膜を形成させた後に、該ウェット塗膜を乾燥させて防湿皮膜を形成させるような方法によって作製されている。
ところで、上記のようにして形成される防湿皮膜は、ある程度厚い方が防湿性能に対する信頼性が確保され易い。
このことを考えると防湿コーティング剤は、一定以上の粘度を有している方が有利である。
しかしながら粘度の高い防湿コーティング剤で防湿皮膜を形成させようとするとウェット塗膜に気泡が巻き込まれて最終的に得られる防湿皮膜に気泡を存在させるおそれがあり、十分な防湿性能が発揮されないおそれがある。
しかしながら、塗工時の周辺空気の巻き込み以外での気泡の発生原因については十分に究明されてはいない。
従って、当然ながらその対策についても十分に施されてはいない。
即ち、防湿コーティング剤で防湿皮膜を形成させる際に気泡が発生することについては、いまだ十分な対策が施されていないという問題を有する。
そこで、本発明は、このような問題を解決することを課題としている。
また、本発明者は、このように空気が溶存してしまった防湿コーティング剤からの脱気方法について鋭意検討を行った結果、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明者は、空気が溶存してしまった防湿コーティング剤に一般的な真空脱気や加熱脱気を行うよりも防湿コーティング剤を撹拌したり防湿コーティング剤に振動を与えたりするような物理的な操作を行った方が効率よく空気を除去することができ、しかも、真空脱気や加熱脱気では溶剤の揮発によって防湿コーティング剤の溶質濃度を変化させるおそれがあるところ前記のような物理的な操作ではそのようなおそれを抑制することも可能になることを見出して本発明を完成させるに至った。
プリント回路板に防湿皮膜を形成するための防湿コーティング剤が収容される収容タンクと、
前記収容タンクに空気を供給する給気装置と、を備え、
前記給気装置から前記収容タンクに前記空気が供給されることによって前記防湿コーティング剤の供給先に向けて前記収容タンクから前記防湿コーティング剤が圧送されるコーティング剤供給装置であって、
前記空気によって内部が加圧された加圧状態と、該加圧が解除された加圧解除状態とに切り替え可能な前記収容タンクを備えており、
前記加圧解除状態において前記収容タンクに収容されている前記防湿コーティング剤に振動を与える加振装置、及び、前記収容タンクに収容されている前記防湿コーティング剤を前記加圧解除状態において撹拌する撹拌装置の内の少なくとも一方をさらに備えているコーティング剤供給装置、を提供する。
防湿コーティング剤によってプリント回路板の表面に防湿皮膜を形成させて防湿皮膜付プリント回路板を製造する防湿皮膜付プリント回路板の製造方法であって、
塗工装置でプリント回路板の表面に前記防湿コーティング剤を塗布する塗布工程と、
コーティング剤供給装置で前記塗工装置に前記防湿コーティング剤を供給する供給工程とが実施され、
該供給工程では、前記防湿コーティング剤が収容される収容タンクと、該収容タンクに空気を供給する給気装置とを備えた前記コーティング剤供給装置が用いられ、
該給気装置によって前記空気が前記収容タンクに供給され、前記空気によって前記収容タンクの内部が加圧されて該収容タンクから前記塗工装置に前記防湿コーティング剤が圧送され、
該圧送は、第1圧送と、該第1圧送の後に実施される第2圧送とを含む複数回実施され、
前記第1圧送と前記第2圧送との間には前記収容タンクの加圧を解除して該収容タンクの内部に収容されている前記防湿コーティング剤から溶存している空気を除去する脱気処理が実施され、
該脱気処理では、前記防湿コーティング剤への加振、及び、前記防湿コーティング剤の撹拌の内の少なくとも一方が行われる防湿皮膜付プリント回路板の製造方法、を提供する。
まず、プリント回路板に防湿皮膜を形成させて防湿皮膜付プリント回路板を作製するための防湿処理設備について説明する。
図1は、本実施形態における防湿処理設備100の設備構成の概要を示したものである。
図にも示されているように防湿処理設備100は、プリント回路板に防湿皮膜を形成させるための塗工装置1と、該塗工装置1に防湿コーティング剤を供給するためのコーティング剤供給装置2とを備えている。
該塗工部12は、防湿コーティング剤Wを下方に向けて帯状にスプレーするノズル121を備えている。
前記塗工装置1は、前記コーティング剤供給装置2から供給された防湿コーティング剤Wを直接前記ノズル121へと供給して前記ノズル121から定量吐出させ得るように構成されている。
前記ノズル121は、前記の2つのリニアアクチュエータ122,123が組み合わされて前記プリント回路板Aに対して水平方向への相対移動が可能となったホルダ124に装着されている。
即ち、前記塗工部12は、プリント回路板Aに対してX方向に延在する帯状のウェット塗膜が形成可能であるとともにY方向に延在する帯状のウェット塗膜も形成可能となっている。
本実施形態においては、該ウェット塗膜が硬化乾燥されてなる防湿皮膜がプリント回路板Aに形成されて防湿皮膜付プリント回路板が作製される。
前記コーティング剤供給装置2は、図3にも示すように、防湿コーティング剤Wを収容する収容タンク21と、前記収容タンク21に空気を供給する給気装置と、を備えている。
本実施形態のコーティング剤供給装置2には、前記給気装置として、加圧空気を蓄積可能なアキュムレータを備えたエアコンプレッサー22が備えられている。
本実施形態のコーティング剤供給装置2には、前記エアコンプレッサー22から前記収容タンク21へと空気を搬送するための給気配管22aを備えており、該給気配管22aには3方弁V1が備えられている。
即ち、前記3方弁V1は、前記エアコンプレッサー22によって給気されて加圧状態となった前記収容タンク21の加圧を解除するための逃し弁として機能するものである。
言い換えると、本実施形態のコーティング剤供給装置2は、前記空気によって内部が加圧された加圧状態と、該加圧が解除された加圧解除状態とに切り替え可能な前記収容タンク21を備えている。
具体的には、本実施形態のコーティング剤供給装置2は、前記撹拌装置23を備えている。
前記タンク本体211は、底壁部2111と、該底壁部2111の外周縁より筒状に立ち上がる本体胴部2112とによって有底筒状に構成されている。
前記蓋体212は、天井部2121と、該天井部2121の外周縁より筒状となって下方に延びる蓋胴部2122とを備えている。
該収容タンク21は、前記本体胴部2112の上端部と、前記蓋胴部2122の下端部とを当接させることで密封状態となるように構成されている。
本実施形態においては、前記天井部2121に前記排出口212aが設けられている。
尚、該排出口212aには、前記ノズル121に向けて防湿コーティング剤Wを搬送するための前記コーティング剤供給配管24が接続されている。
本実施形態においては、前記天井部2121に前記給気口212bが設けられている。
尚、該給気口212bには、前記給気配管22aが接続されている。
該コーティング剤排出管213は、上端が前記蓋体212に固定された固定端となっており、下端が前記底壁部2111の近くに位置した自由端となっている。
前記コーティング剤排出管213の上端は、前記排出口212aに接続されている。
本実施形態のコーティング剤供給装置2は、前記エアコンプレッサー22から空気が供給されて前記収容タンク21の内部が加圧された際に、前記コーティング剤排出管213、前記排出口212a、及び、前記コーティング剤供給配管24を経由して前記ノズル121に前記防湿コーティング剤Wを圧送し得るよう構成されている。
本実施形態のコーティング剤供給装置2は、前記3方弁V1によって前記収容タンク21の圧力を解除できるように構成されている。
従って、前記コーティング剤供給配管24に設けられた前記開閉弁V2は、前記収容タンク21の圧力が解除された際に防湿コーティング剤Wが逆流することを阻止すべく機能する。
但し、過度に高い圧力を発生させても、防湿コーティング剤Wの搬送性が圧力に見合うほど良好にならない可能性があるため、前記圧力は0.4MPa未満であることが好ましく、0.25MPa未満であることがより好ましい。
従って、前記エアコンプレッサー22は、前記収容タンク21の内部に上記のような圧力を発生させ得る能力を備えていることが望ましい。
前記防湿コーティング剤は、ウレタン系、アクリル系、オレフィン系、及び、ゴム系の中から選択されることが好ましい。
前記防湿コーティング剤は有機溶媒を含む溶剤系のものであっても、水系溶媒を含む水エマルジョンタイプのものであってもよい。
前記防湿コーティング剤としては、例えば、熱硬化タイプのもの、紫外線硬化タイプのもの、湿気硬化タイプのものを採用することができる。
防湿コーティング剤が均一分散状態にあるかどうかは、例えば、200ml容積のトールビーカーに防湿コーティング剤を200ml収容し、プラスチックパラフィンフィルムで封をして所定時間静置した後に液面付近とビーカーの底付近とからそれぞれ採取したサンプルを比較し、防湿コーティング剤に含まれる固形分濃度をサンプル間で比較して確かめることができる。
より詳しくは、上記のようにして採取した2つのサンプルの固形分濃度を比較したときに、例えば、濃度の高い側の値が低い側の値の1.1倍以下程度であれば均一分散状態が維持されていると判断することができる。
即ち、前記防湿コーティング剤Wの液面Waでは、加圧状態の空気から酸素、窒素、二酸化炭素などの成分が液中に取り込まれ、大気圧下での状態に対して過飽和な状態でこれらの気体が取り込まれる。
液面Waで取り込まれた気体は、溶解した状態で防湿コーティング剤中に拡散される。
このようにして防湿コーティング剤Wの内部に溶存している空気は、前記収容タンク21の内部の加圧を解除したからといって防湿コーティング剤Wから速やかに放出されることにはならない。
そのため、本実施形態のコーティング剤供給装置2は、溶存空気を防湿コーティング剤Wから脱気するための脱気装置として前記撹拌装置23を備えている。
該撹拌装置23は、回転軸231を軸周りに回転させるためのモーター(図示せず)をさらに備えている。
本実施形態の前記撹拌装置23は、前記撹拌翼232が前記底壁部2111の近くで防湿コーティング剤Wを撹拌し得るように構成されている。
一般的な脱気方法としては、減圧脱気や加熱脱気が知られているが、本実施形態のコーティング剤供給装置2は、撹拌装置23によって防湿コーティング剤Wに物理的な刺激を与えることで脱気を行うべく構成されている。
具体的に説明すると防湿コーティング剤Wの内部で撹拌翼232を回転軸231の回転によって周回運動させると、撹拌翼232の周回方向前方では防湿コーティング剤Wに正圧が加わり、周回方向後方では防湿コーティング剤Wに負圧が加わることになる。
このとき負圧によって液中に防湿コーティング剤Wの溶媒と溶存空気とを含む微細な気泡が形成され、この微細気泡に含まれる溶媒は負圧が解除されたところで再び防湿コーティング剤Wに吸収されることになるが過飽和状態になっていた空気は、そのまま微細気泡となって液面Waに向けて浮上し、その際に周囲の溶存空気を取り込みながら気泡が浮上することで防湿コーティング剤Wからの脱気が効率よく行われるものと推察される。
尚、収容タンク21での防湿コーティング剤Wの液面Waよりも上方に形成されている空間を真空引きするなどして減圧脱気を行った場合、液面Waの近くでは撹拌翼232の後方と同じように負圧が加わることになる。
しかしながら、このような減圧脱気では、防湿コーティング剤Wの溶媒が盛んに収容タンク外に排出される結果となって溶存空気の除去が効率よく行われ難い。
しかも、減圧脱気では溶媒が失われ易い結果、防湿コーティング剤Wの溶質濃度を変化させてしまう可能性があるが撹拌による脱気では、このような濃度変化が生じることを抑制させることができるという利点が発揮され得る。
また、撹拌による脱気では発生した微細気泡が液面Waに到達するまでに移動距離が長い方が有利であると考えられる。
また、撹拌による脱気では、液面Waでの空気の巻き込みを防止するという意味では、液面Waを過度に攪乱しないことが好ましい。
そのようなことから前記撹拌翼232は、液面Waから底壁部2111までの距離h(以下「液深さ」ともいう)の半分よりも深くに位置することが好ましい。
即ち、前記撹拌翼232の上端は、液面Waからh/2の距離よりも深くに位置することが好ましく、2h/3よりも深くに位置することがより好ましい。
また、前記撹拌翼232は、収容タンク21の内部に旋回流が形成されるタイプのものであることが好ましい。
前記加振装置23xとしては、例えば、圧電素子(電歪素子)や偏心モーターなどを有する振動子を備えたタイプのものが挙げられる。
前記加振装置23xは、例えば、収容タンク21の底部に配して前記振動子を配して該振動子で防湿コーティング剤Wに直接的に振動を与えてもよく、前記タンク本体211の底壁部2111や本体胴部2112の外側に前記振動子を取り付けて該タンク本体211を介して防湿コーティング剤Wに間接的に振動を与えてもよい。
前記振動子としては、例えば、超音波振動子のようなものが挙げられる。
従って、圧力波の負圧となる部分においては、前記撹拌翼232を用いる場合と同様に過飽和状態で溶存している空気を含む微細気泡が発生し、防湿コーティング剤Wからの脱気が行われることになる。
尚、防湿コーティング剤Wの圧送を中断して以上のような脱気を行わった後は、収容タンク21に空気を再び供給して防湿コーティング剤Wの圧送(以下「第2圧送」ともいう)を実施することができる。
このとき第2圧送を開始した時点で撹拌装置23(撹拌翼232)や加振装置23x(振動子)が十分に停止していないとこれらによって防湿コーティング剤中に発生した気泡が防湿コーティング剤Wに同伴されて塗工装置1に供給されてしまうおそれがある。
従って、前記第2圧送は、撹拌翼や振動子が十分停止してから開始することが好ましい。
そして、第2圧送によって前記塗工装置1に改めて供給される防湿コーティング剤Wは、空気の溶存量が低減化されているためプリント回路板Aの表面に形成されるウェット塗膜や該ウェット塗膜が硬化乾燥されて防湿皮膜となる過程において気泡が発生することを抑制し得る。
従って、本実施形態の防湿処理設備100は、品質に優れた防湿皮膜付プリント回路板を作製するのに有利となる。
該防湿皮膜付プリント回路板の製造方法では、前記塗工装置1でプリント回路板Aの表面に前記防湿コーティング剤Wを塗布する塗布工程と、前記コーティング剤供給装置2で前記塗工装置1に前記防湿コーティング剤Wを供給する供給工程とが実施され、該供給工程では、前記防湿コーティング剤Wが収容される収容タンク21と、該収容タンク21に空気を供給する給気装置22とを備えた前記コーティング剤供給装置2が用いられ、該給気装置22によって前記空気が前記収容タンク21に供給され、前記空気によって前記収容タンク21の内部が加圧されて該収容タンク21から前記塗工装置1に前記防湿コーティング剤Wが圧送され、該圧送は、第1圧送と、該第1圧送の後に実施される第2圧送とを含む複数回実施され、前記第1圧送と前記第2圧送との間には前記収容タンク21の加圧を解除して該収容タンク21の内部に収容されている前記防湿コーティング剤Wから溶存している空気を除去する脱気処理が実施され、該脱気処理では、前記防湿コーティング剤Wへの加振、及び、前記防湿コーティング剤Wの撹拌の内の少なくとも一方が行われる。
前記第1圧送は、前記収容タンク21の内部に0.13MPa以上の圧力を発生させて行われることがより好ましく、0.15MPa以上の圧力を発生させて行われることが特に好ましい。
前記第2圧送は、前記収容タンク21の内部に0.13MPa以上の圧力を発生させて行われることがより好ましく、0.15MPa以上の圧力を発生させて行われることが特に好ましい。
尚、要すれば、前記脱気処理は、前記収容タンク21の内部を大気圧よりも僅かに減圧した状態(例えば、-0.01MPa以上0MPa未満)で実施してもよい。
また、前記脱気処理は、第1圧送における圧力よりも気圧を低減させていれば、前記収容タンク21の内部を大気圧よりも僅かに加圧した状態(例えば、0MPaを超え0.01MPa以下)で実施してもよい。
前記脱気処理は、例えば、蓋体212をタンク本体211から取り外して収容タンク21を開放状態とし、この状態で別途用意した撹拌装置を用いてタンク本体211に収容されている防湿コーティング剤を撹拌するような方法で実施してもよい。
また、脱気処理後第2圧送前には、新たな防湿コーティング剤(空気が溶存されていない新液)を収容タンク21に補充するようにしてもよい。
即ち、本実施形態においては、前記脱気処理後、且つ、防湿コーティング剤の圧送前に、前記脱気処理が行われた防湿コーティング剤よりも溶存空気濃度の低い新たな防湿コーティング剤を収容タンク21に加える工程(コーティング剤補充工程)を実施してもよい。
該コーティング剤補充工程では、溶存空気量がさらに少ない新たな防湿コーティング剤が脱気処理の行われた防湿コーティング剤に加えられるため、収容タンク21の内部に収容されている防湿コーティング剤の溶存空気濃度は脱気処理直後よりもさらに低下されることになる。
従って、このようなコーティング剤補充工程を実施することで防湿皮膜への気泡の混入をより一層防止することができる。
これとともに、防湿コーティング剤(日東シンコー社製、品名「LSS-520MHF-K」)を用意した。
防湿コーティング剤を容器(解放容器:近畿容器社製、品名「ハイパック容器 No.150」)に入れて0.25MPaの加圧条件下でトータル24時間保管し、保管直後に
ノズル高さ8mm、塗布幅8mm、塗布速度400mm/秒の条件で塗工を行い、ウェット塗膜を形成させた後に、これを常温で乾燥させて防湿皮膜とした。
また、24時間保管した直後の防湿コーティング剤の溶存酸素濃度を測定した。
このときの防湿皮膜には多数の気泡が観測された(図5a 参照)。
また、このとき測定された溶存酸素濃度(DO)は、11.2mg/lであった。
その結果、溶存酸素濃度は10.0mg/lに低下し、防湿皮膜への気泡の混入は軽減されたもののその効果は十分とはいえないものであった(図5b 参照)。
防湿コーティング剤を容器(解放容器:近畿容器社製、品名「ハイパック容器 No.150」)に入れて常温(23℃)、0.25MPaの加圧条件下でトータル24時間保管し、保管直後にノズル高さ8mm、塗布幅8mm、塗布速度400mm/秒の条件で塗工を行い、ウェット塗膜を形成させた後に、これを常温で乾燥させて防湿皮膜とした。
また、24時間保管した直後の防湿コーティング剤の溶存酸素濃度を測定した。
このときの防湿皮膜には、「評価A」の場合と同じく多数の気泡が観測された(図6a 参照)。
また、このとき測定された溶存酸素濃度(DO)は、10.5mg/lであった。
このとき、防湿コーティング剤の温度は、オーブンで保管を開始した30分後には40℃に到達していた。
この加熱による脱気処理後、1時間冷却すると防湿コーティング剤の温度は27℃となっていた。
この脱気処理後の防湿コーティング剤を使って再び防湿皮膜の形成と溶存酸素濃度の測定とを行った。
その結果、溶存酸素濃度は9.7mg/lに低下し、防湿皮膜への気泡の混入は軽減されたもののその効果は十分とはいえないものであった(図6b 参照)。
防湿コーティング剤を容器(解放容器:近畿容器社製、品名「ハイパック容器 No.150」)に入れて常温(23℃)、0.25MPaの加圧条件下でトータル24時間保管し、保管直後にノズル高さ8mm、塗布幅8mm、塗布速度400mm/秒の条件で塗工を行い、ウェット塗膜を形成させた後に、これを常温で乾燥させて防湿皮膜とした。
また、24時間保管した直後の防湿コーティング剤の溶存酸素濃度を測定した。
このときの防湿皮膜には、「評価A」、「評価B」と同じく多数の気泡が観測された(図7a 参照)。
また、このとき測定された溶存酸素濃度(DO)は、10.9mg/lであった。
この脱気処理後の防湿コーティング剤を使って再び防湿皮膜の形成と溶存酸素濃度の測定とを行った。
その結果、僅か5分の撹拌でも「評価B」での1時間の加熱脱気を上回る効果を確認することができ、溶存酸素濃度は9.6mg/lに低下した。
また、防湿皮膜への気泡の混入は大きく軽減された(図7b 参照:気泡は殆ど確認できない)。
2:コーティング剤供給装置
11:ステージ部
12:塗工部
21:収容タンク
22:エアコンプレッサー
23:撹拌装置
100:防湿処理設備
211:タンク本体
212:蓋体
212a:排出口
2111:底壁部
2112:本体胴部
2121:天井部
2122:蓋胴部
A:プリント回路板
W:防湿コーティング剤
Claims (2)
- 防湿コーティング剤によってプリント回路板の表面に防湿皮膜を形成させて防湿皮膜付プリント回路板を製造する防湿皮膜付プリント回路板の製造方法であって、
塗工装置でプリント回路板の表面に前記防湿コーティング剤を塗布する塗布工程と、
コーティング剤供給装置で前記塗工装置に前記防湿コーティング剤を供給する供給工程とが実施され、
該供給工程では、前記防湿コーティング剤が収容される収容タンクと、該収容タンクに空気を供給する給気装置とを備えた前記コーティング剤供給装置が用いられ、
該給気装置によって前記空気が前記収容タンクに供給され、前記空気によって前記収容タンクの内部が加圧されて該収容タンクから前記塗工装置に前記防湿コーティング剤が圧送され、
該圧送は、第1圧送と、該第1圧送の後に実施される第2圧送とを含む複数回実施され、
前記第1圧送と前記第2圧送との間に、前記収容タンクの加圧を解除して該収容タンクの内部に収容されている前記防湿コーティング剤から溶存している空気を除去する脱気処理が実施され、
該脱気処理では、前記収容タンクの内部の前記加圧を解除して大気圧まで減圧した状態で、前記防湿コーティング剤への加振、及び、前記防湿コーティング剤の撹拌の内の少なくとも一方が行われる、防湿皮膜付プリント回路板の製造方法。 - 前記第1圧送を、前記収容タンクの内部に0.1MPa以上の圧力を発生させることによって行う、請求項1に記載の防湿皮膜付プリント回路板の製造方法。
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