JP7138413B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
ボディ部材にフェース部材が取り付けられたゴルフクラブヘッドにおいて、以下の特許が開示されている。特許第5416737号公報及び特許第4958625号公報は、フェース部材が、ソール側の端部において、後方に向けて屈曲する屈曲部を備えたヘッドを開示する。米国特許第7371188号明細書は、環状壁(annular wall)を有する打撃プレート部を開示する。米国特許第6506129号明細書は、延長部(extension portion)を有する前方部材を開示する。
特許第5416737号公報 特許第4958625号公報 米国特許第7371188号明細書 米国特許第6506129号明細書
本発明者は、フェース部材がボディ部材に取り付けられたヘッドにおいて、改良の余地があることを見いだした。
本発明の目的は、反発性能に優れ且つ生産性が高いゴルフクラブヘッドの提供にある。
ある態様において、ゴルフクラブヘッドは、鋳造で成形されたフェース部材と、打撃面側に開口を有するボディ部材とを有していてもよい。前記ボディ部材の前記開口が、前記フェース部材によって塞がれていてもよい。前記フェース部材が、前記打撃面を形成する平板部と、前記平板部の周縁から後方へ延びるフランジとを有していてもよい。前記フランジが、トップ側領域に位置する第1フランジと、ソール側領域に位置する第2フランジとを有していてもよい。前記フランジが、トウ側領域及びヒール側領域には設けられていなくてもよい。前記フランジが前記ボディ部に接合されていてもよい。
他の態様において、前記第2フランジの高さH2が、前記第1フランジの高さH1よりも大きくてもよい。
他の態様において、前記第2フランジの厚みT2が、前記第1フランジの厚みT1よりも大きくてもよい。
他の態様において、前記第2フランジの厚みT2が、前記第1フランジの厚みT1よりも小さくてもよい。
フェース部材がボディ部材に取り付けられたヘッドにおいて、反発性能が高まり、且つ、生産性が向上する。
図1は、第1実施形態に係るゴルフクラブヘッドの斜視図である。 図2は、図1のヘッドの正面図である。 図3は、図1のヘッドをトップ側から見た平面図である。 図4は、図1のヘッドをソール側から見た底面図である。 図5は、図1のヘッドの背面図である。 図6は、図1のヘッドの分解斜視図である。 図7は、図6とは異なる視点から見た、図1のヘッドの分解斜視図である。 図8は、図2のA-A線に沿った断面図である。 図9は、図1のヘッドに用いられているフェース部材の正面図である。 図10は、図9のフェース部材の背面図である。 図11は、図9のフェース部材の斜視図である。図11は、斜め前方から見た図である。 図12は、図9のフェース部材の斜視図である。図12は、斜め後方から見た図である。 図13は、図9のA-A線に沿った断面図である。 図14は、第2実施形態に係るゴルフクラブヘッドの断面図である。 図15は、基準状態について説明するための図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
本願において、以下の用語が定義される。
[基準状態]
基準状態とは、所定のライ角及びリアルロフト角でヘッドが水平面HP上に置かれた状態である。この基準状態では、ヘッドのシャフト孔の中心軸線Z(シャフト軸線Z)が、垂直面VP内に配されている(図15参照)。垂直面VPは、水平面HPに対して垂直な平面である。この基準状態では、フェース面(打撃面)が前記垂直面VPに対してリアルロフト角で傾いている。所定のライ角及びリアルロフト角は、例えば、製品カタログ等に記載されている。
[トウ-ヒール方向]
前記基準状態のヘッドにおいて、前記垂直面VPと前記水平面HPとの交線NLの方向が、トウ-ヒール方向である(図15参照)。本願において、トウ側及びヒール側というときは、このトウ-ヒール方向が基準とされる。
[フェース-バック方向]
前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記水平面HPに平行な方向が、フェース-バック方向である(図15参照)。本願において、フェース側及びバック側というときは、このフェース-バック方向が基準とされる。
[上下方向]
前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ打撃面に平行な方向が、上下方向である。本願において、上方及び下方というときは、この上下方向が基準とされる。
[フェース垂直方向]
打撃面(フェース)に対して垂直な方向が、フェース垂直方向と定義される。換言すれば、打撃面の法線方向が、フェース垂直方向と定義される。
[フェースセンターFc]
最長スコアラインgv1のトウ-ヒール方向における中心位置が、スコアラインのトウ-ヒール方向中央位置Pcである(図2参照)。この中央位置Pcにおいて、フェース面の上下方向中心点が決定される。この上下方向中心点が、フェースセンターFcである(図2参照)。
図1は、一実施形態に係るゴルフクラブヘッド2の斜視図である。図2は、ヘッド2の正面図である。図2は、打撃面の正面から見た図である。図3は、ヘッド2をトップ側から見た平面図である。図4は、ヘッド2をソール側から見た底面図である。図5は、ヘッド2の背面図である。
ヘッド2は、打撃面4、ホーゼル6及びソール8を有する。ホーゼル6は、ホーゼル孔10を有する。打撃面4は、フェースとも称される。図2が示すように、打撃面4の表面には、複数のスコアラインgvが設けられている。これらのスコアラインgvは、最長スコアラインgv1を含む。最長スコアラインgv1とは、スコアラインgvのうちの最長のスコアラインである。なお、図2以外の他の図面では、スコアラインの記載が省略されている。ヘッド2は、アイアン型ゴルフクラブヘッドである。
スコアラインgvを無視すれば、フェース4は平面である。打撃面4は、輪郭線CLを有する。輪郭線CLは、平面と非平面との境界である。
図5が示すように、ヘッド2において、打撃面4の反対側には、バックキャビティ(凹部)12が設けられている。ヘッド2は、キャビティバックアイアンである。
図6は、ヘッド2の分解斜視図である。図7は、別の角度から見た、ヘッド2の分解斜視図である。図8は、図2のA-A線に沿った断面図である。
ヘッド2は、ボディ部材bd1とフェース部材fc1とを有する。フェース部材fc1は、ボディ部材bd1に固定されている。フェース部材fc1は、ボディ部材bd1に溶接されている。ボディ部材bd1の材質は、金属である。本実施形態では、ボディ部材bd1の材質は、ステンレス鋼である。フェース部材fc1の材質は、金属である。本実施形態では、フェース部材fc1の材質は、ステンレス鋼である。ボディ部材bd1及びフェース部材fc1の材質は限定されない。
フェース部材fc1の比重は、ボディ部材bd1の比重よりも小さくされてもよい。比重の小さいフェース部材fc1は、ヘッド2における重量を周辺に配分するのに寄与する。溶接強度の観点からは、フェース部材fc1の材質は、ボディ部材bd1の材質と同じであるのが好ましい。
ボディ部材bd1は、打撃面側に開口している。この開口は、フェース部材fc1によって塞がれている。ボディ部材bd1は、バック側にも開口している。ボディ部材bd1は、フェース側からバック側まで貫通する貫通孔20を有する(図6及び図7参照)。この貫通孔20は、フェース部材fc1によって塞がれている。
ボディ部材bd1は、ヒール境界面22と、トップ部24と、トウ部26と、ソール部28とを有する(図6及び図7参照)。ヒール境界面22は、上下方向に延びている。ヒール境界面22は、平面である。ヒール境界面22は、フェース-バック方向に平行な平面である。ヒール境界面22は、フェース部材fc1とボディ部材bd1との境界k1を構成している(図1参照)。境界k1は、外部に露出しているので、外側境界とも称される。
ボディ部材bd1において、ヒール境界面22よりもヒール側の部分が、ヒール主部hm1とも称される。ヒール主部hm1には、ホーゼル6が含まれている。ヒール主部hm1の前方には、フェース部材fc1は存在しない。ボディ部材bd1において、ヒール境界面22よりもトウ側の部分は、その前方がフェース部材fc1で覆われている。
トップ部24は、ヒール主部hm1の上部からトウ側に向かって延びている。トップ部24は、ヒール主部hm1とトウ部26とを繋いでいる。トウ部26は、トップ部24とソール部28とを繋いでいる。ソール部28は、トウ部26とヒール主部hm1とを繋いでいる。ヒール主部hm1と、トップ部24と、トウ部26と、ソール部28とで、全体として環状部が形成されている。この環状部の内側が、前述の貫通孔20である。
トップ部24は、トップ受け面34を有する。トップ受け面34は、トップ部24の前面を構成している。トップ受け面34は、平面である。トップ受け面34は、打撃面4に平行な平面である。
トウ部26は、トウ基部36と、このトウ基部36から前方に突出するトウ壁部38とを有する。トウ壁部38は、トウ基部36の外縁に沿って設けられている。トウ壁部38は、トウ受け面40を有する。トウ受け面40は、トウ壁部38の前面を構成している。トウ受け面40は、平面である。トウ受け面40は、打撃面4に平行な平面である。
トウ壁部38の前面であるトウ受け面40は、フェース部材fc1の後面60に接触している。後述の図12が示すように、フェース部材fc1のトウ側領域にはフランジFLが設けられていないが、このフェース部材fc1のトウ側領域における周縁部を、トウ受け面40が支持している。後方に突出するトウ壁部38により、フランジFLがないトウ側領域においても、平板部PTはボディ部材bd1から浮いた状態とされている。このため、当該トウ側領域においても、平板部PTはインパクト時に変形しやすい。トウ壁部38は、反発性能の向上に寄与している。
トウ壁部38は、全体として、ヘッド2の外側に向かって凸となるように曲がっている。トウ壁部38は、少なくとも、トウ側領域に位置する。本実施形態では、トウ壁部38は、トップ側領域にも存在している。本実施形態では、トウ壁部38は、ソール側領域にも存在している。トウ壁部38は、トップ側領域から、トウ側領域を経て、ソール側領域に至っている。
図6がよく示すように、トウ壁部38は、トップ側の端面42を有する。トップ側の端面42は、トウ壁部38の一方の端面である。トップ側の端面42は、トップ側領域に位置する。
図6がよく示すように、トウ壁部38は、ソール側の端面44を有する。ソール側の端面44は、トウ壁部38の他方の端面である。ソール側の端面44は、ソール側領域に位置する。トウ壁部38は、トップ側の端面42からソール側の端面44まで曲がって延在している。
ソール部28は、ソール基部46と、このソール基部46から後方に凹むソール段差部48とを有する。ソール段差部48は、ソール基部46の外縁に沿って設けられている。ソール段差部48は、ソール受け面50を有する。ソール受け面50は、ソール段差部48の前面(底面)を構成している。ソール受け面50は、平面である。ソール受け面50は、打撃面4に平行な平面である。
図9は、フェース部材fc1の正面図である。図10は、フェース部材fc1の背面図である。図11は、斜め前方から見たフェース部材fc1の斜視図である。図12は、斜め後方から見たフェース部材fc1の斜視図である。更に、前述の図6及び図7には、別の角度から見たフェース部材fc1の斜視図が示されている。
フェース部材fc1は、鋳造で成形されている。鋳造の方法として、砂型鋳造法、石膏鋳造法、精密鋳造法、金型鋳造法、遠心鋳造法などが挙げられる。鋳造の方法は限定されない。成形精度の観点から、好ましくは、ロストワックス精密鋳造法が用いられる。
図9が示すように、前述した複数のスコアラインgvは、フェース部材fc1の前面に設けられている。フェース部材fc1の前面は、打撃面4である。
図12がよく示すように、フェース部材fc1は、平板部PTと、フランジFLとを有する。平板部PTの前面は、打撃面4である。平板部PTは、打撃面4を形成している。
平板部PTは、後面60を有する。後面60は、単一の平面である。スコアラインgvを無視すれば、平板部PTの厚みは一定である。後面60は、打撃面4に平行である。フェース部材fc1の後面は、フランジFLと後面60のみによって構成されている。フランジFLは、平板部PTの周縁から後方に延びている。このフランジFLが、ボディ部材bd1に接合されている。
[トップ側領域、ソール側領域、トウ側領域、ヒール側領域]
本願では、トップ側領域、ソール側領域、トウ側領域及びヒール側領域との用語が用いられる。
図2の正面図において、直線x及び直線yが定義される。直線xは、フェースセンターFcを通りトウ-ヒール方向に平行な直線である。直線yは、フェースセンターFcを通り上下方向に平行な直線である。
図2が示すように、直線x及び直線yにより、打撃面4の輪郭線CLは4つに区分される。これら4つの区分のそれぞれにおいて、曲率半径最小点が決定される。図2及び図9において、トウ上側の区分における曲率半径最小点が符合RAで示されている。ヒール上側の区分における曲率半径最小点が符合RBで示されている。ヒール下側の区分における曲率半径最小点が符合RCで示されている。トウ下側の区分における曲率半径最小点が符合RDで示されている。なお、各区分において、尖った頂点がある場合、その点が曲率半径最小点と見なされる。本実施形態では、点RB及び点RCは、角の頂点であるが、これらの点RB及びRCが曲率半径最小点と見なされる。
図2が示すように、点RAとフェースセンターFcとを結ぶ直線が、直線Laである。点RBとフェースセンターFcとを結ぶ直線が、直線Lbである。点RCとフェースセンターFcとを結ぶ直線が、直線Lcである。点RDとフェースセンターFcとを結ぶ直線が、直線Ldである。
これらの直線LaからLdを三次元に拡張することで、フェース部材fc1が4つに区画されうる。前記直線Laを含み且つ打撃面4に対して垂直な平面Paと、前記直線Lbを含み且つ打撃面4に対して垂直な平面Pbと、前記直線Lcを含み且つ打撃面4に対して垂直な平面Pcと、前記直線Ldを含み且つ打撃面4に対して垂直な平面Pdとが定義される(図2参照)。これら4つの平面Pa、Pb、Pc及びPdにより、フェース部材fc1は、トウ側領域、ヒール側領域、トップ側領域及びソール側領域に区画される。
このような4領域のうち、フランジFLは、トップ側領域及びソール側領域に設けられている。トップ側領域に位置するフランジFLは、第1フランジとも称される。ソール側領域に位置するフランジFLは、第2フランジとも称される。フランジFLは、トップ側領域に位置する第1フランジFL1と、ソール側領域に位置する第2フランジFL2とを有している。フランジFLは、第1フランジFL1及び第2フランジFL2のみによって構成されている。第1フランジFL1及び第2フランジFL2以外に、フランジFLは存在しない。
トウ側領域には、フランジFLは設けられていない。ヒール側領域には、フランジFLは設けられていない。フランジFLが設けられていない部分では、後面60が、フェース部材fc1の外縁に到達している(図12参照)。
図13がよく示すように、第1フランジFL1は、後端面70と、インナー面72と、アウター面74とを有する。後端面70は、打撃面4に平行である。後端面70は、後面60に平行である。インナー面72は、後面60に繋がっている。インナー面72と後面60との境界には、丸みR1が設けられている。アウター面74は、打撃面4に繋がっている。アウター面74と打撃面4との境界には、丸みR2が設けられている。アウター面74は、ヘッド2のトップ面の一部を構成している。
丸みR1は、フェース部材fc1を鋳造する際における湯流れをよくし、鋳造での不良率を低減しうる。丸みR2は、フェース部材fc1を鋳造する際における湯流れをよくし、鋳造での不良率を低減しうる。
図13がよく示すように、第2フランジFL2は、後端面80と、インナー面82と、アウター面84とを有する。後端面80は、打撃面4に平行である。後端面80は、後面60に平行である。インナー面82は、後面60に繋がっている。インナー面82と後面60との境界には、丸みR3が設けられている。アウター面84は、打撃面4に繋がっている。アウター面84と打撃面4との境界には、丸みR4が設けられている。アウター面84は、ヘッド2のソール面の一部を構成している。
丸みR3は、フェース部材fc1を鋳造する際における湯流れをよくし、鋳造での不良率を低減しうる。丸みR4は、フェース部材fc1を鋳造する際における湯流れをよくし、鋳造での不良率を低減しうる。
図10がよく示すように、第1フランジFL1は、トウ側の端面T1と、ヒール側の端面H1とを有している。トウ側の端面T1は、点RA(図2参照)よりもヒール側に位置する。ヒール側の端面H1のトウ-ヒール方向位置は、点RBと同じである。図11が示すように、フェース部材fc1のヒール側の端面EH1は、ヒール側の端面H1を含む。フェース部材fc1のヒール側の端面EH1は、全体として単一の平面である。端面EH1は、ボディ部材bd1のヒール境界面22に接触している(図7参照)。端面EH1は、ヒール境界面22に溶接されている。
第1フランジFL1のトウ側の端面T1は、トウ壁部38のトップ側の端面42に接触している(図6参照)。第1フランジFL1のヒール側の端面H1は、ヒール境界面22に接触している。
第1フランジFL1のトウ側の端面T1は、トウ壁部38のトップ側の端面42に溶接されている。第1フランジFL1のヒール側の端面H1は、ヒール境界面22に溶接されている。
図10がよく示すように、第2フランジFL2は、トウ側の端面T2と、ヒール側の端面H2とを有している。トウ側の端面T2は、点RD(図2参照)よりもヒール側に位置する。ヒール側の端面H2のトウ-ヒール方向位置は、点RCと同じである。図11が示すように、フェース部材fc1のヒール側の端面EH1は、ヒール側の端面H2を含む。
第2フランジFL2のトウ側の端面T2は、ボディ部材bd1のトウ壁部38におけるソール側の端面44(図6参照)に接触している。第2フランジFL2のヒール側の端面H2は、ヒール境界面22に接触している。
第2フランジFL2のトウ側の端面T2は、ボディ部材bd1のトウ壁部38におけるソール側の端面44に溶接されている。第2フランジFL2のヒール側の端面H2は、ヒール境界面22に溶接されている。
図8が示すように、第1フランジFL1の後端面70は、トップ部24のトップ受け面34に接触している。この接触は、面接触である。後端面70が、トップ受け面34に溶接されている。
図8が示すように、第2フランジFL2の後端面80は、ソール部28のソール受け面50に接触している。この接触は、面接触である。後端面80が、ソール受け面50に溶接されている。
図8が示すように、ヘッド2は、アンダーカット部UCを有している。本願においてアンダーカット部UCとは、フェース部材fc1とボディ部材bd1との間に、フェース垂直方向の隙間が存在する部分を意味する。アンダーカット部UCは、平板部PTの可動域を拡張する。アンダーカット部UCは、インパクトにおける平板部PTの変形を促進する。アンダーカット部UCは、ヘッド2の反発性能を高める。
アンダーカット部UCは、トップ部24と平板部PTとの間に位置するトップ側アンダーカットUC1を有する。トップ側アンダーカットUC1は、打撃面4のトップ側における反発性能を高める。
アンダーカット部UCは、ソール部28と平板部PTとの間に位置するソール側アンダーカットUC2を有する。ソール側アンダーカットUC2は、打撃面4のソール側における反発性能を高める。
図8が示すように、第1フランジFL1のインナー面72は、ボディ部材bd1に接触していない。インナー面72は、空間(トップ側アンダーカットUC1内の空間)に面している。また、第1フランジFL1のアウター面74も、ボディ部材bd1に接触していない。アウター面74は、空間(外部空間)に面している。このため、ボディ部材bd1による第1フランジFL1への拘束は抑制されている。第1フランジFL1は、変形しやすい。この第1フランジFL1は、インパクトにおける打撃面4の変形を促進する。この第1フランジFL1は、反発性能の向上に寄与する。
図8が示すように、第2フランジFL2のインナー面82は、ボディ部材bd1に接触していない。インナー面82は、空間(ソール側アンダーカットUC2内の空間)に面している。また、第2フランジFL2のアウター面84も、ボディ部材bd1に接触していない。アウター面84は、空間(外部空間)に面している。このため、ボディ部材bd1による第2フランジFL2への拘束は抑制されている。第2フランジFL2は、変形しやすい。この第2フランジFL2は、インパクトにおける打撃面4の変形を促進する。この第2フランジFL2は、反発性能の向上に寄与する。
トウ受け面40に接触している部分を除き、打撃面4の平板部PTはバックアップされていない。後面60のほとんどが、ボディ部材bd1に接触していない。この構成は、インパクトにおける打撃面4の変形を促進する。この後面60を有する平板部PTは、反発係数の向上に寄与する。
[鋳造変形抑制効果]
上述の通り、フェース部材fc1は、鋳造で成形されている。鍛造等と比較して、鋳造によれば、第1フランジFL1及び第2フランジFL2を有する複雑な形状であっても、比較的容易に製造することができる。
しかし、トップ側領域、トウ側領域及びソール側領域に亘って連続するフランジを有するフェース部材の場合、鋳造時の変形(鋳造変形)が大きいことが分かった。この鋳造変形により、フェースの平面度が低下することが判明した。平面度が低い場合、平面度を高めるための後処理の手間が増加する。また、平面度が低い場合、不良率が高まる。
これに対して、本実施形態のフェース部材fc1では、鋳造変形が抑制されることが分かった。フェース部材fc1では、鋳造後における打撃面4の平面度が高い。本願では、この効果が、鋳造変形抑制効果とも称される。
鋳造変形抑制効果が得られる理由は、次のように推測される。プレート状のフェース部材では、鋳造したとしても、収縮等の鋳造変形は限定的である。これに比較して、フランジを有するフェース部材では、当該フランジの存在に起因して、収縮等の鋳造変形が大きい。プレートの一方面(後面)のみにフランジが設けられているため、収縮が不均一となり、鋳造変形が起こると考えられる。
トップ側領域からトウ側領域を経由してソール側領域に至るフランジの場合、フランジが長く、且つ、大きな曲率で曲がっている。曲率が大きい場合、フランジの内側と外側との間で、周長の差異が大きくなる。曲率が大きい場合、当該フランジの収縮による影響が増加し、前記鋳造変形が増加すると考えられる。
これに対して、本実施形態のフェース部材fc1では、フランジFLが2つに分断されている。すなわち、フランジFLは、トップ側領域とソール側領域とに分散され、それぞれのフランジFL1、FL2は短い。このため、フランジFLの収縮による影響が低減され、前記鋳造変形が抑制される。
更に、トウ側領域と比較して、トップ側領域における輪郭線CLは、比較的直線に近い。よって、このトップ側領域の輪郭線CLに沿って設けられた第1フランジFL1では、曲がりが少ない(図9参照)。曲がりが少ない第1フランジFL1により、鋳造変形が抑制される。
第2フランジFL2についても同様である。トウ側領域と比較して、ソール側領域における輪郭線CLは、比較的直線に近い(図9参照)。よって、このソール側領域の輪郭線CLに沿って設けられた第2フランジFL2では、曲がりが少ない。曲がりが少ない第2フランジFL2により、鋳造変形が抑制される。
加えて、第1フランジFL1及び第2フランジFL2により、トップ側からソール側までの広い範囲で、反発性能が高まる。打点がソール寄りであっても高い反発性能が得られる。打点がトップ寄りであっても高い反発性能が得られる。
鋳造変形を抑制する観点から、フランジFLの延在方向における曲率半径は大きいのが好ましい。この観点から、第1フランジFL1の後端面70における内側エッジライン70a(図10参照)の曲率半径は、100mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましく、300mm以上がより好ましい。この曲率半径は無限大であってもよい。すなわち、内側エッジライン70aは直線であってもよい。この曲率半径は、後方から見たフェース部材fc1の平面図(図10の背面図)において測定される。
鋳造変形を抑制する観点から、フランジFLの延在方向における曲率半径は大きいのが好ましい。この観点から、第2フランジFL2の後端面80における内側エッジライン80a(図10参照)の曲率半径は、100mm以上が好ましく、200mm以上がより好ましく、300mm以上がより好ましい。この曲率半径は無限大であってもよい。すなわち、内側エッジライン80aは直線であってもよい。この曲率半径は、後方から見たフェース部材fc1の平面図(図10の背面図)において測定される。
図13において両矢印H1で示されるのは、第1フランジFL1の高さである。高さH1は、フェース垂直方向に沿って測定される。高さH1は、後面60からの高さである。図13において両矢印H2で示されるのは、第2フランジFL2の高さである。高さH2は、フェース垂直方向に沿って測定される。高さH2は、後面60からの高さである。
第2フランジFL2の高さH2は、第1フランジFL1の高さH1よりも大きい。高さが大きいフランジは、インパクト時に変形しやすい。この構成により、打点がソール寄りである場合の反発性能が更に高まる。換言すれば、下打ちにおける反発性能が高まる。
アイアン型ゴルフクラブでは、ティーアップされていないボールを打撃する機会が多い。すなわち、アイアン型ゴルフクラブでは、芝生の上に直接置かれたボールを打撃する機会が多い。このため、アイアン型ゴルフクラブでは、下打ちとなることが多い。高さH2を高さH1よりも大きくされた構成は、下打ちでの反発性能に優れるため、アイアン型ゴルフクラブヘッドに特に適している。
本実施形態では、高さH1は一定である。高さH1は、トウ-ヒール方向位置によって変化していてもよい。本実施形態では、高さH2は一定である。高さH2は、トウ-ヒール方向位置によって変化していてもよい。あらゆるトウ-ヒール方向位置において、高さH2が高さH1よりも大きいのが好ましい。
反発性能の観点から、高さH1は、1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、1.75mm以上がより好ましい。トップブレードの寸法を考慮すると、高さH1は、5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましい。
反発性能の観点から、高さH2は、2.0mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましく、3.0mm以上がより好ましい。強度の観点から、高さH2は、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましい。
図13において両矢印T1で示されるのは、第1フランジFL1の厚みである。厚みT1は、上下方向に沿って測定される。図13において両矢印T2で示されるのは、第2フランジFL2の厚みである。厚みT2は、上下方向に沿って測定される。
本実施形態では、第2フランジFL2の厚みT2は、第1フランジFL1の厚みT1よりも小さい。厚みが小さいフランジは、インパクト時に変形しやすい。この構成により、下打ちにおける反発性能が更に高まる。この構成は、下打ちでの反発性能に優れるため、アイアン型ゴルフクラブヘッドに特に適している。
図13が示すように、厚みT2は、フェース垂直方向の位置によって相違している。図13で示される厚みT2は、第2フランジFL2の後端面における厚みT2である。このように、厚みT2は、フェース垂直方向の位置によって変化していてもよい。同様に、厚みT1は、フェース垂直方向の位置によって変化していてもよい。
厚みT1及び/又は厚みT2がフェース垂直方向の位置によって変化している場合も考慮すると、下打ちでの反発性能の観点からは、以下が好ましい。
(a)あらゆるトウ-ヒール方向位置において、厚みT2の最大値が、厚みT1の最小値よりも小さい。
第2フランジFL2の厚みT2は、第1フランジFL1の厚みT1よりも大きくてもよい。この構成により、ヘッド重心が低くなり、下打ちでの打感が向上し、且つ、高い弾道が得られる。
厚みT1及び/又は厚みT2がフェース垂直方向の位置によって変化している場合も考慮すると、ヘッド重心を下げる観点からは、以下が好ましい。
(b)あらゆるトウ-ヒール方向位置において、厚みT2の最小値が、厚みT1の最大値よりも大きい。
強度の観点から、厚みT1は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。反発性能の観点から、厚みT1は、2.0mm以下が好ましく、1.9mm以下がより好ましく、1.8mm以下がより好ましい。
強度の観点から、厚みT2は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。反発性能の観点から、厚みT2は、2.0mm以下が好ましく、1.9mm以下がより好ましく、1.8mm以下がより好ましい。
ヘッド重心を下げる観点からは、第2フランジFL2の体積が第1フランジFL1の体積よりも大きいのが好ましい。なお、第1フランジFL1の体積の決定では、後面60を延長した平面よりも後方にある部分が、第1フランジFL1とみなされる。同様に、第2フランジFL2の体積の決定では、後面60を延長した平面よりも後方にある部分が、第2フランジFL2とみなされる。
図10において両矢印L1で示されるのは、第1フランジFL1の長さである。長さL1は、トウ-ヒール方向に沿って測定される。図10において両矢印L2で示されるのは、第2フランジFL2の長さである。長さL2は、トウ-ヒール方向に沿って測定される。図9において両矢印L3で示されるのは、最長スコアラインgv1の長さである。長さL3は、トウ-ヒール方向に沿って測定される。
反発性能の観点から、比(L1/L3)は、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がより好ましい。トップ側領域の寸法を考慮すると、比(L1/L3)は、1.2以下が好ましく、1.15以下がより好ましく、1.1以下がより好ましい。
反発性能の観点から、比(L2/L3)は、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がより好ましい。トップ側領域の寸法を考慮すると、比(L1/L3)は、1.2以下が好ましく、1.15以下がより好ましく、1.1以下がより好ましい。
図14は、第2実施形態に係るゴルフクラブヘッド100の断面図である。ヘッド100は、フェース部材fc1とボディ部材bd2とを有する。ヘッド100は、フェース部材fc1とボディ部材bd2との境界であってヘッド100の外側に位置する外側境界k1を有する。ヘッド100は、フェース部材fc1とボディ部材bd2との境界であってヘッド100の内側に位置する内側境界k2を有する。ボディ部材bd2は、この内側境界k2に隣接する凹部102を有する。この凹部102の存在を除き、ヘッド100は、ヘッド2と同じである。
ヘッド100(ボディ部材bd2)は、内側境界k2から後方に延在する内側境界後方面104を有する。内側境界k2は、インナー面82と内側境界後方面104との境界である。ヘッド100(ボディ部材bd2)は、この内側境界後方面104に隣接する後方空間106を有する。本実施形態では、ソール受け面50に設けられた凹部102により、内側境界後方面104及び後方空間106が形成されている。
ソール受け面50と後端面80とが溶接されると、溶接ビードが内側境界k2付近に堆積しうる。このビードが、フランジFLの内側に堆積すると、フランジFLの剛性が高くなる。フランジFLの剛性が高くなると、反発性能が低下する。
内側境界後方面104が設けられることで、前記ビードの一部が内側境界k2の後方に流れる。このため、フランジFLの内側に堆積するビードが減少する。この結果、フランジFLの剛性の増加が抑制され、反発性能の低下が抑制される。
フェース部材fc1の材質は、鋳造が可能な金属である。この金属として、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、マレージング鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及びタングステン-ニッケル合金が例示される。鋳造しやすさ及び強度の観点から、チタン合金及びステンレス鋼が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。
フェース部材fc1との溶接性の観点から、ボディ部材bd1の材質は、フェース部材fc1と同種の材質が好ましく、フェース部材fc1と同じ材質がより好ましい。なお、同種の材質とは、主成分が同じ材質を意味する。主成分とは、重量比率が50%以上の成分を意味する。
以上に説明されたように、本実施形態では、フランジFLをトップ側領域及びソール側領域の両方に確保して反発性能を高めつつ、鋳造製法を採用することで、それらフランジFLを有するフェース部材fc1の生産性を高めることができる。更に、フランジFLの配置を最適化することで、前記鋳造変形を抑制し、打撃面4の平面度を高めることができる。
本開示は、アイアン型ヘッドに好ましく適用されうる。
2・・・ヘッド
4・・・フェース(打撃面)
6・・・ホーゼル
8・・・ソール
10・・・ホーゼル孔
12・・・バックキャビティ
60・・・平板部の後面
bd1・・・ボディ部材
fc1・・・フェース部材
PT・・・平板部
FL・・・フランジ
FL1・・・第1フランジ
FL2・・・第2フランジ
CL・・・打撃面の輪郭線
Fc・・・フェースセンター

Claims (5)

  1. 打撃面を備えたゴルフクラブヘッドであって、
    鋳造で成形されたフェース部材と、打撃面側に開口を有するボディ部材とを有しており、
    前記ボディ部材がトップ部とソール部とを有しており、
    前記ボディ部材の前記開口が、前記フェース部材によって塞がれており、
    前記フェース部材が、前記打撃面を形成する平板部と、前記平板部の周縁から後方へ延びるフランジとを有しており、
    前記フランジが、トップ側領域に位置する第1フランジと、ソール側領域に位置する第2フランジとを有しており、
    前記フランジが、トウ側領域及びヒール側領域には設けられておらず、
    前記フランジが前記ボディ部材に接合されており、
    前記打撃面が、輪郭線を有しており、
    前記フェース部材が、前記トウ側領域に位置しヘッドの外側に向かって凸となるように曲がっている前記打撃面の前記輪郭線を有しており、
    前記フェース部材と前記ボディ部材との間にフェース垂直方向の隙間を形成するアンダーカット部として、前記トップ部と前記平板部との間に位置するトップ側アンダーカットと、前記ソール部と前記平板部との間に位置するソール側アンダーカットとを更に有しており、
    前記第1フランジのインナー面が、前記トップ側アンダーカット内の空間に面しており、前記第2フランジのインナー面が、前記ソール側アンダーカット内の空間に面しているゴルフクラブヘッド。
  2. 前記第2フランジの高さH2が、前記第1フランジの高さH1よりも大きい請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記第2フランジの厚みT2が、前記第1フランジの厚みT1よりも大きい請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記第2フランジの厚みT2が、前記第1フランジの厚みT1よりも小さい請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記ボディ部材が、打撃面側に開口し且つバック側にも開口する貫通孔を有しており、前記貫通孔が前記フェース部材によって塞がれている請求項1から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
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