JP7137198B2 - 断熱材 - Google Patents

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Description

本発明は流体等を移送する配管の外面に巻いて該流体を保温する断熱材に関する。
特許文献1の0027段落、図9以降及びその説明個所には、伸縮自在の被覆本体の一面に発熱体を固定し、かつ被覆本体の背面の一端の側端部と他端の側端部に面ファスナー等を設けて、管外面を被覆できるようにした装置が記載されている。この装置は被覆本体の材料が不明であり、かつ被覆本体が伸縮自在であっても、殆どの部分に発熱体が固定されているために事実上伸縮可能な部位は発熱体が固定されていない部分に限定される。
特許文献2には、帯状の耐熱性繊維の平編み布の両端縁部に、面ファスナーのソフト部をそれぞれ連続的に設けてなる排気筒カバーが記載されている。
特許文献3には、面ファスナー等を有し、アルミニウム層が形成された外層シートと、断熱シートからなる尿素水配管用遮熱材が記載されている。
特許文献4にはアラミド繊維やセラミックウール繊維を編成してなる織物製のカバー表面にアルミ層が形成され、該カバー層本体には、ホック又はスナップボタンが設けられているケーブル類の保護カバーが記載されている。
特許文献5には、セラミックファイバからなり可撓性を有する耐火・断熱シートからなる帯状本体と、この帯状本体の幅方向の一端近傍の表面及び幅方向他端近傍の裏面に面ファスナーを設けてなるプラスチックパイプの耐火・保温用被覆材が記載されている。
これら特許文献2~5に記載の発明は、管を被覆する材料として可撓性は有するものの、伸縮自在な材料により形成されていないので、直管を被覆することができても、曲管やエルボ管、途中で管の外径や外形が変化する管に対して円滑に被覆することが困難であった。
特許文献6には、内部にバネを有する絡み合い繊維構造を有するストリップであり、該バネは安定平衡位置において該ストリップの長手方向縁部どうしを重ね合わせるものであるパイプの保護スリーブが記載されている。この保護スリーブはバネの形状と長さに応じて対象とするパイプの外径及び形状が決定される。そのため、1種の保護スリーブを多様な外径や形状のパイプに対して適用することができない。
特許文献7には、配管に沿って延びる長さと該配管に巻き付けて余りある幅とをもった、矩形で平ら且つ柔軟な断熱部の両側縁部の同じ面に、面ファスナーを設けてなる保温カバーを有する配管用ヒータが記載されている。しかし、この配管用ヒータを管に巻き付けたときには、管外面と巻いた保温カバー内面との間で面ファスナー同士が結合された部分付近に、管の長さ方向に沿った空間が発生する。この空間の存在により効率よい加熱が困難になる可能性がある。
特開2008-234939号公報 実用新案登録3041040号公報 特開2014-62515号公報 特開2010-273488号公報 特開平7-217791号公報 特表2005-509826号公報 実用新案登録3179959号公報
本発明は、上記の背景技術における支障を解消するものであり、直管だけではなく曲管や途中で外径が変化する管等の多様な形状の管の外面に密着して被覆でき、かつ管外面と断熱性層内面との間に空間を生じることなく、作業性に優れ、安定的に配管に固定できる断熱材を得ることが課題である。
本発明は上記の課題を解消するためのものであり、具体的には以下の通りである。
1.メリヤス編みによりシート化されてなり伸縮性を有する断熱部、及び該断熱部の1辺に、片面がフック部のみである面ファスナーを接続してなる断熱材。
2.該断熱部の対向する他辺側の、該フック部に対する反対面には、シート化されたメリヤス編みが露出する1に記載の断熱材。
3.該面ファスナーの背面に耐熱クロスを設けてなる1又は2に記載の断熱材。
4.配管に巻回した際に、断熱部と配管との間に位置するように発熱体を設けてなる1~3のいずれかに記載の断熱材。
本発明の断熱材によれば、上記の背景技術における支障を解消するものであり、直管だけではなく曲管や途中で外径が変化する管、分岐管、金属ベローズ管等の多様な管の外面に密着して、より確実に簡単に管を被覆でき、かつ管外面と断熱性層内面との間に空間を生じることなく、被覆時の作業性に優れ、安定的に配管に固定できる断熱シートを得ることができる。また管の外径が1インチ以下、0.5インチ以下、1/4インチ以下の細管であっても均一に被覆することが可能である。
さらに、また温度保持のために広い空間を使用することなく、保温できるという効果を有する。
なお、ヒータを設けた断熱材であっても、断熱材の存在が断熱部の伸縮性を悪化させることがない。
本発明の断熱材の使用態様を示す図 本発明の断熱材の使用態様を示す図 本発明の断熱材の使用態様を示す図 本発明の断熱材の使用態様を示す図 本発明の断熱材の使用態様を示す図 本発明の断熱材を配管に固定する際の模式図 本発明の断熱材が発熱体を有するときの図
本発明の断熱材は、各種の管に適用できるものであり、メリヤス編みによりシート化された断熱部の一辺に面ファスナーのフック部のみを固定したものである。このような構成により本発明の断熱部が伸縮自在となり、面ファスナーのループ部を必要としないので、比較的硬い性質を有する面ファスナーのループ部を設けることがなく、さらに作業性と断熱性の向上効果を両立させることができる。
(断熱部)
本発明にて使用される断熱部は、メリヤス編みによりシート化されてなり、かつ、伸縮性を有するシートである。さらに下記面ファスナー部を合わせて断熱材という。
メリヤス編みにより形成されたシート表面には、メリヤス編み特有の糸や繊維によるループが無数に存在する。メリヤス編みの中でも編み方の違いによって、シート両面のループの形成状況が異なる場合には、ループの数が多い面や、ループがより大である面を、管に巻いたときに外面側に位置し、露出するようにする。このループが面ファスナーのループ側の代わりとして機能する。
メリヤス編みとして採用できる編み方としては、リブ編み、天竺編み、ガーター編み等であり、特にリブ編みが一方の方向に対してより伸縮するため好ましく、かつ両方向へも伸縮性に優れるので、より多様な管の形状や構造に対応できるので好ましい。
リブ編みによるシートは縦横の2方向で伸び率が異なる。そのため、より伸びる方向を対象となる管の外周方向となるようにし、伸びが小さい方向を管の長さ方向となるようにすることが好ましい。
なお、織物は縦糸及び横糸の2方向の糸を織って形成されるので、原理上ループを形成しない。そのため織物の場合には、たとえ伸縮性があっても本発明中の断熱部とすることは不向きである。
使用する繊維としてはアラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、フッ素樹脂繊維等の耐熱性に優れるとされる繊維が好ましい。断熱部としての耐熱性はこれらの繊維の材料の特性による。また糸自体に伸縮性を有する糸を併用して、断熱部の伸縮性を調整することもできる。なお、断熱により保温する温度に応じて、他の任意の樹脂の繊維を使用することもできる。
このようなメリヤス編みを構成する糸としては、♯10、♯20、♯30、♯40が好ましく、特に好ましくは♯20である。この範囲であると、編み機により織物とすることができ、かつ、形成されたループには面ファスナーのフックが確実に係ることになり、かつ断熱部として適切な体積の空気層を形成することができる。
またメリヤス編みの断熱部の密度は、200~500kg/mが好ましく、さらに好ましくは350~450kg/mである。この密度が200kg/cm以下であると、空気の体積が大きすぎて、対流による熱の移動が生じて十分に断熱できない場合があり、500kg/m以上であると、断熱層が重すぎる又は伸縮率が低下する可能性がある。
そして本発明における断熱部は1.0~3.0mmの厚みのメリヤス編みシートの1層又は多層から形成されていても良く、これらのメリヤス編みシートから管の長さ方向に伸びる折り目で折って、筒状に形成されて結果的に2層以上から形成されたものでも良い。さらに2回折り曲げて実質的に3層のメリヤス編みシートから形成されることもできる。
断熱部の形状は長方形や正方形のシート状でも良い。また、例えば特に曲管や分岐管、直角に曲がった管への対応をより良好にするために、四角形の一辺(例えば長辺)を円弧状に膨出させることや、台形等にすることもできる。
(面ファスナー)
面ファスナーは、通常、フック部を有する部材とループ部を有する部材が対になって機能するものである。しかしながら、本発明における面ファスナーはフック部のみを使用し、ループ部は使用しない。そのため、いわゆる面ファスナーのループ部に代えて、上記断熱部を構成するメリヤス編みが有する糸からなる表面のループが、フック部と係合して断熱材を管に被覆・固定することになる。
フック部からなる面ファスナーとしては、ポリエステルやポリプロピレン系樹脂からなるものでよく、メリヤス編みが有するループに係合できるフックを有することが必要である。そのフックの形状としてはメリヤス編みのループを係合して、特に係合面に平行な方向に剪断力を向上できるマッシュルーム型のものが好ましい。
該面ファスナーは断熱部の1つの辺に縫い合わせたり、接着や溶着等の手段により一体化させたりすることができる。面ファスナー自体は柔軟性を有し、断熱部を管に巻いた状態で断熱部のループに係合するように巻かれることになる。
面ファスナーは上記断熱部の1つの辺の全長にわたり設けられることが基本であるが1つの辺の一方の端付近を除いて設けても良い。この場合、複数の断熱材を管の長さ方向に隣接して巻くときに、その隣接する部位を円滑に重ねて巻くことができる。
また面ファスナー全長にわたり1つの面ファスナーで形成することができるが、面ファスナーの長さ方向に面ファスナーを分割しても良い。分割した場合には、作業時において1つ1つの面ファスナーを順に曲げて、断熱材のフックに固定することができる。
例えばエルボ管であれば、その曲がった管の部分の中心部に対して1つの面ファスナーにより断熱材を固定し、その後、その両側の面ファスナーを順に固定する等をして、より円滑に断熱材により被覆することができる。
面ファスナーのフックがある側の面の反対側の面を、耐熱クロス等の耐熱層により任意の手段で被覆することができる。この結果、管に巻いた状態で、その外面の全面を耐熱性に優れた表面にすることができる。それにより外部環境が高温であるときに、面ファスナーを構成するポリエステルやポリプロピレン系樹脂に対して、外部からの熱の影響を低減させることができる。
(発熱体)
本発明の断熱部には、発熱体を設けることができる。又は設けなくてもよい。発熱体は、断熱部の表面であり被覆する管の表面に接するように設けてもよく、断熱部自体が複数層、または袋状物からなるときには、その層間または袋状物内に設けることもできる。また任意の手段により、外部の電源と接続することになる。
発熱体は下記のような発熱層を有するために、通常伸縮性を有しないので、断熱部に発熱体を設ける際には断熱部自体の伸縮性を阻害しないことが必要である。
そのため、発熱体はその一部の点又は線にて断熱部と結合することになる。
その結合の態様としては、例えば発熱体をシート状とし、そのシート状発熱体の一辺、又はその一辺と平行な線、又はその線を構成する複数の点からなる部分を、断熱部における管の長さ方向に沿うようにして、その1辺又は線からなる部分で固定することが挙げられる。この態様においては、断熱部が管の周方向に伸ばされる際において、その伸びの方向と固定された1辺、線又は複数の点からなる部分とが直交することになり、その固定されたシート状の発熱体は断熱部の伸縮を阻害しない。
またシート状発熱体自体を予め管の長さ方向に平行な複数の線により折り曲げておき、蛇腹状としておくこともできる。この状態にてシート状発熱体の管の長さ方向に平行な2辺にて断熱部と固定すると断熱部の伸びにつれて、蛇腹が開くように変形して、結果的に断熱部の伸縮を阻害しない。
さらにシート状発熱体の2点であって、その2点を結ぶ線が管の長さ方向に平行になるように、その2点で断熱部にシート状発熱体を固定してもよい。
使用できる発熱体は、銅、ステンレス、ニッケルとクロムの合金等の金属、炭化ケイ素等のセラミック、カーボン等の、公知の電気抵抗により発熱する材料からなるシートや薄膜のパターンあるいは細線を含んで構成する発熱層を有することができる。発熱層が薄膜のパターンを有する場合には、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等の耐熱性を有する樹脂フィルムの片面又は両面にパターンを設けたものとすることができる。
発熱体は、発熱層が、耐熱性及び絶縁性を備えたフッ素樹脂、シリコン樹脂、ポリアミド樹脂等により被覆されることにより絶縁された状態で構成されることが好ましい。また、ガラス繊維、シリカスリーブ、シリコーンゴム及び耐熱ビニルから選ばれた1種以上により被覆されていても良い。
発熱体の全体の形状、パターンや、電熱線のように発熱する導線の太さ、若しくはパターンの幅等は、目的とする加熱温度や、配管の太さ等に基づいて適宜調整できる。配線の密度が高い程加熱能力が高いといえる。
このパターン等に隣接して、配管に巻回した際に発熱体と配管の間に位置するように、好ましくはさらにフッ素樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等の耐熱性を有する樹脂層を介して、熱拡散材料層を設けることができる。その熱拡散材料層は、発熱体から発熱した熱を速やかに熱拡散材料層全面に伝導・拡散させると共に、加熱対象である配管に対してより均一に加熱を行う上で有用である。
そのような熱拡散材料層としては、熱伝導率が高い材料、つまり、金、銀、銅、鉄、ステンレス、アルミニウム等の金属、グラファイトやセラミックの粉体、繊維状、シート状、箔状の材料、加えて、例えば酸化チタン、シリカ、アルミナ等の金属化合物や金属粉等の無機物質を多量に含有した樹脂からなるシートを採用することができる。これらは、加熱される配管の用途、加熱能力等に合わせて採用することができる。そしてこれらの中でも、金属やグラファイトからなるものが好ましい。
熱拡散材料層は、導電性発熱体から発生した熱を十分に吸収し、かつ、外部に放熱させるために必要な大きさであることが求められる。
<使用方法>
本発明の断熱材の使用方法として、断熱対象の管の外面を被覆する場合を説明する。
図1において、配管Pの側部に本発明の断熱材を配置する。
このとき、フック部のみからなる面ファスナー2のフック側の面が、断熱材を巻いたときに配管P側に向くようにする。
次いで、図2に示すように、断熱部1を矢印方向に引っ張りながら、配管Pの外周に、断熱材を巻き付けるようにして、配管外面を断熱材にて被覆する。
このときに矢印方向に引っ張ることにより、断熱部を伸ばしながら断熱材を配管Pの外周に這わすことができ、本発明の断熱部を配管全周に被覆する。
その被覆した結果として図3を示す。
図3は面ファスナー2によって、面ファスナー2表面のフックが断熱部1表面に存在するループに係合して、断熱材が配管Pの外面に密着して固定された状態である。
被覆時において、もちろん過度に伸ばして被覆することは、断熱性を低下させる可能性があるため好ましくない。適度に伸ばして被覆することにより、面ファスナー2のフックが断熱部1に適度な張力により固定される。
被覆対象の配管の外周に対して、断熱部の幅(配管の外周方向の長さ)は80~110%程度が好ましい。この範囲であると、被覆後においても断熱部1に収縮する力が働き、この力の向きは面ファスナー2と断熱部1が密着する面と平行である。その結果として面ファスナーの個々のフックに対しても横方向へと力が働くので、決して面ファスナーが剥離する方向には力が働かない。この範囲を超えると、被覆に際して過度に伸ばす必要があり断熱性を毀損する可能性がある、又は必要以上に断熱部を配管に被覆することになる。
図4には垂直に曲がる配管Pに対する被覆の状態を示す。
まず図4(a)に示すように配管Pに対して断熱材を配置する。このとき、断熱材の面ファスナー2は2つに分かれていても良く、3つ以上に分かれていてもよい。また分かれた面ファスナー2の間には図4(a)に示すように間隙が形成されていてもよく、分かれた面ファスナーの間には、間隙がなく、まるで1つの面ファスナーのように見える状態でも良い。
図4(a)は曲がっている配管の一方側(Pl)に沿って断熱材が配置され、他方の側(Pr)には配置されていない。
次いで、Pl側のみを上記図1~3に示すようにして断熱材で被覆し、次いで、被覆していない断熱材の残りの部分全体を、Pr側に沿わせるように、断熱材の残り部分全体を折り曲げる。この折り曲げた状態において、断熱部1を伸ばしながらPr部分を被覆する。
図4(b)は、この結果として被覆されてなる配管を示す。
図4(b)においては、配管Pが曲がっている部分にも十分に断熱部1を巻回することができた。
同様に図5(a)及び(b)のような形状の配管に対しても本発明の断熱材は十分に被覆することができる。
その他の形状、例えば、途中で外径が変化する配管、ベローズ管、直方体状の管継ぎ手により直角に曲がる配管等、上記の図以外の形状の配管に対しても、本発明の断熱材により断熱被覆することができる。
上記のようにして使用できる本発明の断熱材の断面の例を図6に示す。
断熱部は図6の上の例のように袋状の編み物であっても良く、下の例のように厚い編み物シートであっても良い。そしてこれらの編み物の端部には任意の手段により、フックのみからなる面ファスナー2が接続されている。
本発明の断熱材を管に巻くときの模式図を図6に示す。図6によれば、断熱部1の外面側には、編み物に由来してループ4が多数形成されている。管を被覆してその外周を略一周以上した断熱材はその端部の面ファスナー2が、該ループ4の表面を覆うように位置される。このときに面ファスナー2が有するフック3が上記ループ4に係合する。この状態は、通常の面ファスナーが有するメス部に代えて、該ループ4があるため実現できる。
このような作用の結果として管の外周を本発明の断熱材が被覆する。
本発明の断熱材に発熱体を設けた場合の例を図7に示す。
図7において、断熱部1の片面であって、管に断熱材を巻回したときに管側に向く面に発熱体Hを設けている。発熱体Hは断熱部1に対して例えば線部5に沿って接着剤や縫いつけ等の任意の固定手段により固定することができる。この場合、線部5以外の個所において発熱体Hは断熱部1に対して固定されない。
この固定部である線部5は管の長さ方向に対して平行になるように設けられることが必要であり、この結果として、管の外周に本発明の断熱材を巻回する際に、断熱部1に対して管の周方向に指先等により伸ばすことになる。このときに図7の通りの固定によれば、線部5自体には殆ど伸びる力がかからないので、断熱部1に対する発熱体の固定部を破損しない。
仮に、図7において線部5に対して垂直方向に伸びた固定部を有する場合には、指先等により伸ばす際に、この固定部を破損する可能性がある。
なお図7においては線部5としたが、発熱体をドット形状等により間隔を空けて設けた接着剤により固定してもよい。
また図7における線部5の位置において、必ずしも固定する必要はなく、被覆される管の長さ方向に平行な方向に固定する場所が並ぶようにしてもよい。そのため例えば線部5の位置を面ファスナー2の近傍かつ平行に設けることもできる。
[実施例]
金属製配管(外径1/4インチ)の外面にリボンヒーターを巻回した。
この巻回されたリボンヒーターの外面に、さらに本発明の断熱材を、その1辺に設けた面ファスナーのフック部を該リボンヒーター側に向くように巻回した。該フック部に対して、対向する断熱材の他の辺であり該フック部とは反対側の面のメリヤス編みにより形成されたループに、該フック部のフックを係合させた。その結果、断熱材をリボンヒーターの外面に均一に、かつ密着させて巻くことができた。そしてリボンヒーターと断熱材との間には空間は形成されなかった。
[比較例]
金属製配管(外径1/4インチ)の外面にリボンヒーターを巻回した。
断熱材の対向する両辺の1方の辺に面ファスナーのフック部を接続し、他方の辺に、該フック部のフックが向いた方向とループが向いた方向が同じになるようにして面ファスナーのループ部を接続してなる断熱材を用意した。
上記の巻回されたリボンヒーターの外面に、該断熱材を巻いて、該フック部と該ループ部が対向するようにした。その結果、上記特許文献7の図4に示すように、金属製配管を包むようにして断熱材が設けられ、断熱材の両辺に接続したループ部とフック部が対向することになる。そして該ループ部のループに該フック部のフックが係合するように面ファスナーを互いに押圧して、リボンヒーターが巻回された金属製配管の外周をさらに断熱材で被覆した。
その状態において、リボンヒーターの外面、断熱材とフック部の接続個所及び断熱材とループ部の接続個所により包囲された部分は空間を形成した。この空間は金属製配管の長さ方向に沿って延びていた。
<実験方法>
実施例及び比較例ともに、リボンヒーターの温度が150度となるように2時間維持した。電圧、電流、リボンヒーター温度、室温のそれぞれ2時間の平均値、及び2時間の消費電力は以下表1の通りであった。
Figure 0007137198000001
上記の表によれば、リボンヒーターの温度を一定にした状態では、本発明の断熱材である実施例を使用した場合、そうではない比較例を使用した場合に対して、約6.5%の消費電力の低下効果を得た。
実施例によれば、巻回されたリボンヒーターの表面にさらに巻回されてなる断熱材の外面の温度がせいぜい70~80℃に留まるので、長時間の使用によっても、断熱材表面のループに係合したフックの耐熱温度以下の状態である。そのため、継続した使用によっても、該フックが熱により破損することはない。
一方比較例によれば、フックとループが係合した状態での面ファスナーの温度がより高温になった。このため、面ファスナー自体の耐熱温度(通常80~100℃)と近い温度になり、配管の加熱温度が面ファスナーのフックやループの耐熱温度より高温である場合には、面ファスナーによる断熱材の固定を継続できず、配管から断熱材が剥離・落下する恐れがある。
1・・・断熱部
2・・・面ファスナー
3・・・フック
4・・・ループ
5・・・線部
P・・・配管
H・・・発熱体

Claims (4)

  1. メリヤス編みによりシート化されてなり伸縮性を有する断熱部、及び該断熱部の1辺に、片面がフック部のみである面ファスナーを接続してなり、該メリヤス編みが有する糸からなるループがフック部と係合する断熱材。
  2. 該断熱部の対向する他辺側の、該フック部に対する反対面には、シート化されたメリヤス編みが露出する請求項1に記載の断熱材。
  3. 該面ファスナーの背面に耐熱クロスを設けてなる請求項1又は2に記載の断熱材。
  4. 配管に巻回した際に、断熱部と配管との間に位置するように発熱体を設けてなる請求項1~3のいずれかに記載の断熱材。
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