JP7136641B2 - 軒樋受具および樋固定構造 - Google Patents

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この発明は、軒樋受具および樋固定構造に関するものである。
住宅などの建物の軒先には、軒樋受具を介して軒樋が取付けられている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平8-312079号公報 実開平4-98937号公報
しかしながら、上記特許文献に記載された軒樋受具は、複数の部品で構成されており、また、形状も比較的複雑なものとなっていた。
そこで、本発明は、主に、上記した問題点を解決することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、
底部と、該底部の前端から立上がる前側立上部、および、前記底部の後端から立上がる後側立上部とを有し、
軒樋の縁部を保持する樋受部と、被取付部材に取付ける取付部とを備えた軒樋受具において、
前記樋受部は、少なくとも前記前側立上部の上端側に設けられた屈曲固定部とされ、
該屈曲固定部は、屈曲によって前記軒樋の前記縁部を保持する保持片を異なる高さで複数有しており、
複数の前記保持片は、前記屈曲固定部の上端部に位置して、前記軒樋の前記縁部を上側から保持可能な上部保持片と、前記上部保持片よりも低い位置に設けられて前記軒樋の前記縁部を下側から保持可能な下部保持片とを有することを特徴とする。
本発明によれば、上記構成によって、高さの異なる複数の保持片用いて現場で簡単に軒樋の高さ設定を行うことができ、上部保持片で軒樋の縁部を上側から確実に保持でき、下部保持片で軒樋の縁部を下側から保持できるため、軒樋受具を簡単な形状の部材1つだけで構成しても、軒樋を保持することなどができる。
本実施の形態にかかる樋固定構造を示す建物の軒部分を拡大した縦断面図である。 図1の軒樋受具の斜視図である。 図2の軒樋受具の軒樋を保持する状態を示す側面図ある。 比較例にかかる樋固定構造を示す建物の軒部分を拡大した縦断面図である。 図4の軒樋受具の分解斜視図である。
以下、本実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1~図5は、この実施の形態を説明するためのものである。
<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、戸建住宅や集合住宅などの建物1は、建物本体2と、屋根3とを有している。
そして、建物本体2の最上部に対して、一部が張り出すように屋根3を取付けることによって(張出部3a)、軒天井構造を構成する庇部分5が形成される。
この実施例では、屋根3は、ほぼ水平に近い緩い勾配の陸屋根とされている。この陸屋根は、多数の山部と谷部とが交互に形成された折版3bを使用した折版屋根とされている。折版3bは、庇部分5の先端(軒先側)へ向かって下り勾配となるように建物本体2の上部に斜めに設置される。折版3bは、タイトフレームなどの取付金具6や、ドリルビスなどの固定具7を用いて建物本体2の上部に固定される。
建物本体2の上部の側面における屋根3よりも低い位置には、軒先側へ向かってほぼ水平に延びる庇アーム11が取付けられる。庇アーム11は、屋根3の水下側の端部よりも長く延ばされる。そして、庇アーム11の上に、軒樋受具12を介して軒樋13を設置することで、樋固定構造が形成される。軒樋受具12は金属製のもの(金具)などとされる。軒樋13は、樹脂製または金属製のものなどとされる。
軒樋13は、屋根3の水下側の端部の下方(ほぼ真下)の位置に設置されると共に、建物本体2に沿って紙面と垂直な方向に延設される。軒樋13は、長手方向(紙面と垂直な方向)に対し、所要の排水勾配を有して斜めに設置される。軒樋13は、底面13aと、一対の側面13b,13cとから成るほぼU字状の断面を有している。軒樋13の側面13b,13cは、同じ高さとしても良いが、異なる高さとしても良い。この実施例では、軒先側の側面13bが建物本体2の側(建物側)の側面13cよりも高くなっている。
庇アーム11の先端には、軒樋13の外側を覆うようにパラペットなどの軒樋カバー14(化粧カバー)がパラペット受材やパラペット受金具やパラペット補強材などの取付金具15を介して取付けられる。軒樋カバー14は、この実施例では、上部部材14aと、中間部材14bと、下部部材14cとの3つの部材に複数分割されたものとなっているが、1つの部材や2つの部材や3つ以上の部材で構成しても良い。軒樋カバー14の上部と折版3bの水下側の端部との間には、庇カバー16が架設される。
一方、庇アーム11の下面側には、岩綿保温板(ロックウール)などの断熱材が設置され、断熱材の下側には塩ビ鋼板などの軒天井パネル21が、断熱材を覆うように設置される。そして、この軒天井パネル21が、軒天受材22,23を介して庇アーム11に取付けられることで軒天井を構成している。
そして、上記した軒樋受具12は、図2(図3)に示すように、底部31と、底部31の前端から立上がる前側立上部32、および、底部31の後端から立上がる後側立上部33とを有している。そして、軒樋受具12は、軒樋13の縁部を保持する樋受部34と、被取付部材に取付ける取付部35とを備えている。
ここで、軒樋受具12の方向については、建物1の軒先側を前側、建物本体2の側を後側としている。軒樋受具12は、底部31と前側立上部32と後側立上部33との3つの部分で構成された、側面視ほぼU字状の部材とされている。底部31と前側立上部32と後側立上部33とは、帯状の金属板をほぼ直角に曲げることによって一体に構成された1つの部材になっている。
軒樋受具12の底部31は、軒樋13の底面13aよりも前後方向に長く形成されている。軒樋受具12の前側立上部32および後側立上部33は、軒樋13の側面13b,13cよりも高く形成されている。そして、軒樋受具12は軒樋13の外側を包囲するように設置される。または、軒樋13は、軒樋受具12の内側に設置される。前側立上部32と後側立上部33とは、上下方向に同じ高さとしても良いが、この例では、軒樋13の側面13b,13cに合わせて前側立上部32を後側立上部33よりも高くしている。
軒樋13(の側面13b,13c)の縁部(上縁部)には、横へ(軒樋13の外側へ)張り出すように耳部13d,13e(図3)が形成されている。耳部13d,13eは、フランジ状のものとしても良いし、部分的な厚肉部としても良い。この実施例では、耳部13d,13eを、中空断面のものとしている。
樋受部34は、軒樋13の耳部13d,13eまたはその周辺を保持するものとされる。
被取付部材は、軒樋受具12を取付けるようにした建物本体2側の部材のことである。この実施例では、被取付部材は、庇アーム11とされている。取付部35は、軒樋受具12の底部31に設けられた上下方向の取付穴とされる。軒樋受具12の底部31は庇アーム11の上部に直接当接され、取付穴を通してリベットやネジなどの取付具36を上下方向に装着することによって、庇アーム11に上下方向に直接固定される。取付穴は、樋受部34よりも低い位置で、樋受部34よりも軒樋13の内側の位置に設けられる。この実施例では、軒樋受具12の底部31の両端近傍に2箇所設けられているが、1箇所または3箇所以上の複数箇所設けても良い。
そして、上記のような構成に対し、この実施例は、以下のような構成を備えることができる。
(1)樋受部34は、少なくとも前側立上部32の上端側に設けられた屈曲固定部41とされても良い。屈曲固定部41は、屈曲によって軒樋13の縁部を保持する保持片42を有しても良い。
ここで、前側立上部32の上端側とは、前側立上部32の上端およびその近傍のことである。上端近傍は、軒樋13の耳部13d,13eの周辺の範囲が含まれる。
屈曲固定部41は、屈曲によって固定を行わせる構成または形状のことである。保持片42は、屈曲固定部41において、軒樋13の縁部を保持するために屈曲変形される部分のことである。屈曲固定部41は、軒樋受具12の内側へ向けて屈曲される。
保持片42は、現場で屈曲変形させ易いもの(易曲性金属片)とするのが好ましい。この実施例では、保持片42の内側に抜穴45を形成することで、保持片42を屈曲変形させ易くしている。この場合、保持片42は、一対の腕部42aと連結部42bとを有して抜穴45の周囲を取り囲むコ字状のものとなっている。但し、保持片42は、抜穴45を有するものには限らず、例えば、細幅状のものとしても良い。
なお、同様の屈曲固定部41は、前側立上部32に限らず後側立上部33の上端側にも設けることができる。
(2)屈曲固定部41は、高さの異なる複数の保持片42を有しても良い。
ここで、保持片42は、単数または複数設けることができるが、複数設けるのが軒樋13を確実に固定する上では好ましい。また、複数の保持片42は、同じ高さに設けることや、異なる高さに設けることができるが、異なる高さに設けるのが軒樋13の高さの設定を行わせる上では好ましい。
なお、複数の保持片42は、前側立上部32と後側立上部33とで、一対一に対応するように設けるのが好ましい。以下、具体的な保持片42について説明する。
(3)屈曲固定部41は、上端部に、軒樋13の縁部を上側から保持可能な上部保持片51を有しても良い。
ここで、上部保持片51は、複数の保持片42のうちの1つとして設けられるものであり、前側立上部32の上端部の位置に1箇所または複数箇所設けられる。この実施例では、上部保持片51は1箇所となっている。上部保持片51は、軒樋13の耳部13d(または耳部13e)とほぼ同じかそれよりも高い位置に形成される。なお、上部保持片51を複数箇所設ける場合には、前側立上部32の上端部を二股状や三股形状などの複数分岐形状にすれば良い。
上部保持片51は、前側立上部32の面に沿ってほぼ上方へ延びるように形成される。そして、上部保持片51は、軒樋13へ向けて下方(内側)へ曲げることで、軒樋13の耳部13d(または耳部13e)を上から包持することができるものとされる。同様の上部保持片51は、後側立上部33にも設けることができる。
この際、軒樋13の耳部13d(または耳部13e)は、曲げられた上部保持片51によって上方から押さえられる。更に、軒樋13の耳部13d(または耳部13e)は、曲げられた上部保持片51によって軒樋13の側面13b(または側面13c)の両側からほぼ肉厚方向(または面直方向)に押さえることができる。
なお、後側立上部33においては、図1に示すように、屈曲された上部保持片51と、屋根3の下面との間は、スーパーシートなどの透湿性・防水性・防風性を有する防水材52を介在させても良い。
(4)屈曲固定部41は、軒樋13の縁部を下側から保持可能な下部保持片55,56を有しても良い。
ここで、下部保持片55,56は、複数の保持片42のうちの1つとして設けられるものであり、上部保持片51の位置よりも低い位置(例えば、軒樋13の耳部13d(または耳部13e)の下部となる位置)に単数または複数設けられる。下部保持片55,56は、前側立上部32の面に沿って横へ延びるように形成される。そして、下部保持片55,56は、(少なくとも一つを)軒樋13へ向けて横に(内側に)曲げることで、軒樋13の耳13d(または耳部13e)を下から支えることができるものとされる。同様の下部保持片55,56は、後側立上部33にも設けることができる。
下部保持片55,56を複数設ける場合、下部保持片55,56は、前側立上部32の両側部に対して、高さ違いに設けることができる。この実施例では、位置の高い下部保持片55が前側立上部32および後側立上部33の図中手前側に設けられ、位置の低い下部保持片56が前側立上部32および後側立上部33の図中奥側に設けられているが、逆にしても良い。この場合、高さの異なる下部保持片55,56は、選択使用することができる。
また、下部保持片55,56は、前側立上部32の各側部に対して、高さ違いで複数段または多段に設けることができる。
(5)樋固定構造は、上記軒樋受具12を備えたものとされる。
ここで、樋固定構造では、庇アーム11の上部に(一部材で構成された)軒樋受具12の底部31を当接配置した状態で、取付部35の取付穴にリベットやネジなどの取付具36を上下方向に通すことによって、軒樋受具12が庇アーム11に上下方向に直接固定される。そして、高さの異なる複数の下部保持片55,56のうちの一つを軒樋13へ向けて横に(内側に)曲げ、その上に耳部13d(または耳部13e)を乗せて軒樋13を支持させることで、軒樋13が軒樋受具12の内側に配置される。なお、下部保持片55,56は底部31を庇アーム11に取付ける前に予め曲げ加工しておいても良い。更に、上部保持片51を軒樋13へ向けて下方へ曲げることで、軒樋13は耳部13d(または耳部13e)を上から押さえられる(包持される)。
これにより、軒樋13は、その耳部13d(または耳部13e)を下部保持片55,56と上部保持片51とによって上側と下側とから同時に保持される。この際、複数あるうちの最適な高さの下部保持片55,56を適宜用いることによって、所要の排水勾配が形成されるように軒樋13の高さが設定される。軒樋受具12は、軒樋13の底面13aを浮かせた状態にして保持することができる。
なお、上記した樋固定構造を設ける建物1は、建物全般とすることができ、どのようなものであっても良いが、ユニット建物91などとするのが好ましい。ユニット建物91は、要するに、工場で予め製造した複数の建物ユニット92などを建築現場へ搬送して現場で組み立てることによって、短期間のうちに建物1を構築できるようにしたものである。
ユニット建物91には、鉄骨系のものや木質系のものなどが存在している。鉄骨系のユニット建物91の場合、建物本体2を構成する建物ユニット92(例えば、鋼製ユニット)は、例えば、4本のユニット柱の上端部間と下端部間を4本の梁(天井梁94や床梁)でそれぞれ矩形状に連結して成るボックスラーメン構造のユニットフレームを有するものなどとされる。ユニットフレームの外面側には外壁24などが取付けられる。但し、建物1は、ユニット建物91に限るものではない。
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(作用効果1)軒樋受具12は、底部31と、前側立上部32と、後側立上部33とを有しても良い。これによって、軒樋受具12を軒樋13の外側を囲むように設置すること、または、軒樋13を軒樋受具12の内側に設置することができる。
軒樋受具12は、樋受部34と取付部35とを備えるようにしても良い。これによって、軒樋受具12を取付部35で被取付部材(例えば、庇アーム11)に取付けることができる。また、軒樋13の縁部(耳部13d(または耳部13e))を樋受部34で保持することができる。
樋受部34は、少なくとも前側立上部32の上端側に設けた屈曲固定部41としても良い。これによって、屈曲固定部41で軒樋13の縁部を前側立上部32の上端側の位置にて保持できるようになる。
この際、屈曲固定部41は、保持片42を有しても良い。これにより、保持片42を屈曲することで簡単に軒樋13の縁部を保持することができる。
そして、上記構造とすることにより、樋受部34は、底部31と前側立上部32と後側立上部33とのみで構成された1つの部材となる。そのため、軒樋受具12は、簡単な形状の1つの部材に集約されると共に、1つの部材であっても軒樋13を確実に保持できるものになる。よって、部材が1つに集約された分だけ、部品コストや施工の手間を削減することができる。
これに対し、図4、図5に示すような比較例の場合、軒樋受具12が、庇アーム11に直接固定される受具固定具121と、受具固定具121に取付けられるU字状の受具122との二部品に分けられている。そのため、部材が複数化されている分だけ、部品コストや施工の手間が掛かることになる。よって、この実施例のものの方が構造的に有利である。
(作用効果2)屈曲固定部41は、高さの異なる複数の保持片42を有しても良い。これにより、例えば、軒樋13の縁部を高さの異なる複数の保持片42で上側と下側とから同時に保持するようなことが可能になる。また、高さの異なる複数の保持片42を選択して使うことによって、軒樋13の縁部を異なる高さで保持することが可能になる。そのため、簡単な形状の部材が1つだけであっても、高さの異なる複数の保持片42を有することで、軒樋13の保持と、軒樋13の高さ設定とを同時に行わせることが可能になる。しかも、高さの異なる複数の保持片42を有することで、現場で簡単に軒樋13の高さ設定を行うことができる。
これに対し、図4、図5に示す比較例の場合には、軒樋13の高さ設定を行うために、受具固定具121とU字状の受具122との間に設けられる取付部350を横穴にすると共に、受具固定具121の側の横穴を高さの異なる複数の取付穴143~145にしている。そして、受具122を取付ける取付穴143を選択することで軒樋13の高さ設定を行わせるようにしている。しかし、この構造だと、受具固定具121に対するU字状の受具122の取付けに手間がかかると共に、使用する取付穴143~145に間違いを生じ易い。よって、この実施例のものの方が構造的に有利である。
(作用効果3)屈曲固定部41は、(保持片42として)上端部に、軒樋13の縁部を上側から保持可能な上部保持片51を有しても良い。これにより、上部保持片51で、軒樋13の縁部を上側から確実に保持することができる。
(作用効果4)屈曲固定部41は、(保持片42として)軒樋13の縁部を下側から保持可能な下部保持片55,56を有しても良い。これにより、下部保持片55,56で軒樋13の縁部を下側から保持することができる。また、高さの異なる複数の下部保持片55,56を設けるようにすれば、複数の下部保持片55,56のいずれかを使うことで、軒樋13の縁部を異なる高さで保持することができる。よって、軒樋受具12を、簡単な形状の部材1つだけで構成しても、高さの異なる複数の下部保持片55,56を有することで、軒樋13の保持と、軒樋13の高さ設定とを同時に行わせることが容易に実現できるようになる。
(作用効果5)樋固定構造によれば、上記と同様の作用効果を得ることができる。
11 庇アーム(被取付部材)
12 軒樋受具
13 軒樋
13d 耳部(軒樋の縁部)
13e 耳部(軒樋の縁部)
31 底部
32 前側立上部
33 後側立上部
34 樋受部
35 取付部
41 屈曲固定部
42 保持片
51 上部保持片
55 下部保持片
56 下部保持片

Claims (2)

  1. 底部と、該底部の前端から立上がる前側立上部、および、前記底部の後端から立上がる後側立上部とを有し、
    軒樋の縁部を保持する樋受部と、被取付部材に取付ける取付部とを備えた軒樋受具において、
    前記樋受部は、少なくとも前記前側立上部の上端側に設けられた屈曲固定部とされ、
    該屈曲固定部は、屈曲によって前記軒樋の前記縁部を保持する保持片を異なる高さで複数有しており、
    複数の前記保持片は、前記屈曲固定部の上端部に位置して、前記軒樋の前記縁部を上側から保持可能な上部保持片と、前記上部保持片よりも低い位置に設けられて前記軒樋の前記縁部を下側から保持可能な下部保持片とを有することを特徴とする軒樋受具。
  2. 請求項に記載の軒樋受具を備えたことを特徴とする樋固定構造。
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