本開示の一態様である太陽光発電装置は、野地板との間に屋根材を介在させることなく野地板に沿って設置された第1プレートと、第1プレートを介して野地板に固定された複数の太陽電池モジュールとを備える。本開示の一態様である太陽光発電装置によれば、例えば屋根材の上に架台フレームを設けて太陽電池モジュールを支持するような構造と比べて野地板と太陽電池モジュールとの距離を小さくすることができるため、屋根との一体感が高く良好な意匠性が得られる。
本開示の一態様である太陽光発電装置が取り付けられた屋根(太陽光発電装置付き屋根)では、太陽電池モジュールの裏側に屋根材は敷設されないが、モジュールの裏側に浸入した雨水等は第1プレート上を流れる。即ち、第1プレートによって屋根の排水性、防水性が確保されている。さらに、本開示の一態様である太陽光発電装置は、第1プレートと装置の軒側に敷設された屋根材とに跨って設置された第2プレートを備える。このため、第1プレート上を流れる雨水等は第2プレート上を通って屋根材上に流れ、太陽電池モジュールの裏側から排水される。
つまり、第2プレートを設けることによって、太陽光発電装置とその軒側に敷設される屋根材との境界部における排水性、防水性を十分に確保することができる。換言すると、第1プレートを備えた太陽光発電装置の軒側に屋根材を敷設することが可能になる。これにより、例えば太陽電池モジュールの配置の自由度が高くなり、さらなる意匠性の向上、モジュール搭載量の増加といった効果が得られる。
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであるから、図面に描画された構成要素の寸法などは、以下の説明を参酌して判断されるべきである。本明細書において、「略〜」との記載は、略同一を例に挙げて説明すると、完全に同一はもとより、実質的に同一と認められる場合を含む意図である。
以下では、屋根の桁方向(屋根の軒棟方向に垂直な方向)に沿う屋根材、金具等の方向を「横方向又は左右」、屋根の野地板に垂直な方向に沿う屋根材、金具等の方向を「上下方向」という場合がある。また、軒棟方向に沿う屋根材、金具等の方向を「縦方向」という場合がある。図面には、屋根の軒棟方向・縦方向を矢印α、桁方向・横方向を矢印β、上下方向を矢印γで示す。
以下で説明する実施形態では、各太陽電池モジュール11の軒側端部に取り付けられたカバー50,80を備える太陽光発電装置10を例示するが、太陽光発電装置はカバーを有していなくてもよい。カバーを有さない場合、太陽電池モジュールの軒棟方向長さが、屋根材の働き長さの整数倍と略同一であることが好ましい。
図1は、実施形態の一例である太陽光発電装置付き屋根1(以下、単に「屋根1」とする)の平面図である。図1に例示するように、屋根1は、太陽光発電装置10が取り付けられ、屋根材2が段葺きされた屋根である。屋根1には、太陽光発電装置10を構成する太陽電池モジュール11も屋根材2の段葺き形状に合わせて段葺き状に配置されている。図1に示す例では、屋根の平面視略平行四辺形状を有する部分に、複数の太陽電池モジュール11が千鳥状に取り付けられている。
太陽光発電装置10は、上述のように、屋根材2が敷設された屋根に取り付けられ、複数の太陽電池モジュール11を備える。詳しくは後述するが(図4等参照)、太陽光発電装置10は、屋根1の野地板3との間に屋根材2を介在させることなく野地板3に沿って設置される第1プレート21と、棟側端部が第1プレート21と重なり、軒側端部が屋根材2の上に重なった状態で設置される第2プレート24,25とを備える。複数の太陽電池モジュール11には、第2プレート24,25の上にそれぞれ配置される軒側モジュール11C,11Dが含まれる。本実施形態では、屋根材2が第1屋根材4と第1屋根材4の軒側に配置された第2屋根材90とで構成されており、第2プレート24,25の軒側端部は第1屋根材4の上に配置されている。
屋根1には、桁方向に沿った太陽電池モジュール11の列が複数形成されるように太陽光発電装置10が取り付けられている。太陽電池モジュール11は、例えば平面視略矩形形状を呈する。本実施形態では、各太陽電池モジュール11の短辺が軒棟方向に略平行であり、各列を構成する複数の太陽電池モジュール11の短辺同士が略接触した状態で各モジュールが配置されている。軒側モジュール11C,11Dを含む全ての太陽電池モジュール11は、例えば互いに同じ形状、同じ寸法を有するが、一部の太陽電池モジュールの形状、寸法が他のモジュールと異なっていてもよい。なお、太陽光発電装置10を構成する太陽電池モジュール11の数、配列等は特に限定されない。
太陽電池モジュール11A,11Bの間には、太陽電池モジュール11Bの軒側端部が太陽電池モジュール11Aの棟側端部より高くなった段差が形成されている。ここで、太陽電池モジュール11A,11B(第1及び第2太陽電池モジュール)の用語は、2枚の太陽電池モジュールの相対的な位置関係を示すものである。軒棟方向に隣り合う任意の2枚の太陽電池モジュール11において、軒側に配置される方が太陽電池モジュール11A、棟側に配置される方が太陽電池モジュール11Bである。
太陽光発電装置10では、太陽電池モジュール11A,11Bの間に、屋根材2の段葺き形状に対応する段差が形成される。カバー50,80は、屋根材の前垂れを模擬した外観形状を呈することが好ましく、例えば太陽電池モジュール11と桁方向に隣接配置される第2屋根材90の前垂れ95(後述の図2参照)の位置に合わせて取り付けられる。カバー50,80は、太陽電池モジュール11の軒側端部に設置される。
複数の太陽電池モジュール11には、上述の通り、第1屋根材4の上に重なって配置される軒側モジュール11C,11Dが含まれる。軒側モジュール11Cの軒側には、モジュールの横方向の全長にわたって第1屋根材4が敷設されており、軒側モジュール11Cの軒側端部の全体が第1屋根材4の上に重なっている。他方、軒側モジュール11Dの軒側には、モジュールの横方向一方側の略半分に太陽電池モジュール11(軒側モジュール11C又は11D)が設置され、他方側の略半分に第1屋根材4が敷設されている。軒側モジュール11Dの軒側端部は、その略半分が第1屋根材4の上に重なっている。
屋根材2は、例えば太陽光発電装置10の周りを囲むように敷設されている。一方、軒側モジュールを除く太陽電池モジュール11の裏側には屋根材2は敷設されない。屋根材2は、例えば平板陶器瓦であるが、屋根材2はこれに限定されない。屋根材2を構成する第1屋根材4及び第2屋根材90は、例えば隅棟部に隣接配置されるものを除き、平面視略矩形形状を有する。隅棟部に隣接配置される屋根材は、例えば平面視略三角形状又は五角形状を有する。
第1屋根材4は、屋根1の桁方向に一列に並んで配置される。また、第2屋根材90も屋根1の桁方向に一列に並んで配置され、第1屋根材4の列と第2屋根材90の列が軒棟方向に交互に設けられる。第1屋根材4と第2屋根材90は、例えば横方向長さが互いに略同一であり、軒棟方向に並んで配置されている。
図2は、図1中のAA線断面図である。図2に例示するように、屋根材2を構成する第1屋根材4の表面Sxと第2屋根材90の表面Syは、略同一平面上に位置している。第2屋根材90の棟側部分には第1屋根材4の軒側部分が重ねられるが、第2屋根材90には、表面Sxを表面Syと同じ高さで支持する受け部92が形成されている。受け部92の表面Srの高さは表面Syよりも低く、第2屋根材90の棟側部分には凹部93が形成される。そして、凹部93に第1屋根材4の軒側部分が収容されることで表面Sx,Syの高低差をなくすことができる。
ここで、第1屋根材4の表面Sx及び第2屋根材90のSyとは、当該各屋根材の表面のうち、屋根材2が段葺きされた状態で他の屋根材2に隠れることなく露出する部分を意味する。
一方、第1屋根材4の棟側端部には凹部93のような凹部(段差)が存在しないため、第2屋根材90の軒側部分を、その軒側に配置される第1屋根材4の棟側部分に重ねると、表面Sx,Syの間に高低差(段差)が形成される。なお、第1屋根材4の表面Sxと第2屋根材90の表面Syの境界位置には、例えば小さな溝が形成されるが、一般的な屋根材を重ねた場合のように大きな段差は形成されない。
第1屋根材4には、軒側端部に前垂れ5が、棟側端部に上突起6、下突起7がそれぞれ形成された従来公知の屋根材を用いることができる。また、第1屋根材4の裏面にはリブ9が形成されている。上突起6は、上方に突出した突起であって、雨水等が第1屋根材4の裏側に浸入することを防止する。上突起6は、一般的に水返しと呼ばれる。下突起7は、下方に突出した突起であって、桁方向に沿う桟木8に引っ掛けられる。下突起7は、一般的に引っ掛けと呼ばれる。第1屋根材4の棟側端部には、図示しない貫通孔が形成されている。第1屋根材4は、当該貫通孔に挿通される釘によって桟木8及び野地板3に固定される。
第2屋根材90には、第1屋根材4と同様に、軒側端部に前垂れ95が、棟側端部に上突起96、下突起97がそれぞれ形成されている。また、第2屋根材90の裏面にはリブ98が形成されている。上突起96は上方に突出した水返しであり、下突起97は下方に突出した引っ掛けである。受け部92には図示しない貫通孔が形成されており、第2屋根材90は、当該貫通孔に挿通される釘によって桟木8及び野地板3に固定される。
第2屋根材90は、本体部91と、本体部91の棟側端部から棟側に張り出した受け部92とを有する。受け部92は、本体部91の下部から棟側に延び、第2屋根材90の棟側端部に凹部93(段差)を形成する。受け部92の表面Srは本体部91の表面Syより低く、表面Sr,Syの間に高低差が形成される。表面Sr,Syの高低差、即ち凹部93の深さは、第1屋根材4の軒側端部の厚みに相当する。第1屋根材4と第2屋根材90は、第1屋根材4の前垂れ5が第2屋根材90の本体部91に当接し、表面Sx,Syが連続するように設けられることが好適である。
本実施形態では、太陽電池モジュール11の軒棟方向長さと、カバー50又はカバー80の軒棟方向長さとを足した長さが、屋根材2の働き長さの整数倍(図2に示す例では1倍)と略同一である。なお、屋根材2の働き長さとは、第1屋根材4の働き長さLxと、第2屋根材90の働き長さLyとを足した長さ(Lx+Ly)である。これにより、屋根材2と太陽光発電装置10の軒棟方向ピッチが略一致して段差の位置が揃うため、屋根材2と太陽光発電装置10との高い一体感が得られる。この場合、軒側モジュール11Dの下に設置される第2プレート25(後述の図4参照)の施工が容易になる。
図3は、太陽電池モジュール11の断面図である。図3に例示するように、太陽電池モジュール11は、太陽電池パネル12と、当該パネルの端縁部に設置されたモジュールフレーム13とを有する。モジュールフレーム13は、例えば平面視略矩形形状の太陽電池パネル12の各長辺及び各短辺に沿って設置される複数のフレームからなり、コーナーピース等により互いに接続されて太陽電池パネル12の四方を囲む。本実施形態では、太陽電池モジュール11の棟側端部に設置されるフレーム13Aと、軒側端部に設置されるフレーム13Bとで、フレーム下部の形状が異なっている。
フレーム13Aは、太陽電池パネル12の下に配置される断面略C字状の本体部14Aと、本体部14Aの上部から外側に張り出した断面略U字状の鉤部15Aと、本体部14Aの下部から下方に延出した断面略L字状の鉤部17Aとを有する。即ち、フレーム13Aは上部が下部よりもモジュールの外側に張り出した形状を有する。断面略U字状の鉤部15Aは、フレーム13Aの上部に太陽電池パネル12の端縁部を挿入可能な内溝16Aを形成する。
フレーム13Bは、本体部14B、鉤部15B,17B、及び内溝16Bを有し、フレーム13Bの上部が下部よりもモジュールの外側に張り出している点で、フレーム13Aと共通する。一方、フレーム13A,13Bでは、本体部14A,14Bに対する鉤部17A,17Bの向きが互いに異なっている。鉤部17Aは、本体部14Aの外側から下方に延び、途中でモジュールの内側に折れ曲がって断面略L字状に形成される。他方、鉤部17Bは、本体部14Bの内側から下方に延び、途中でモジュールの外側に折れ曲がって断面略L字状に形成される。このため、フレーム13Aの下部には内側に向かって開口した内溝18Aが形成され、フレーム13Bの下部には外側に向かって開口した外溝18Bが形成される。
図4及び図5は、太陽光発電装置10の分解斜視図である。図4は太陽電池モジュール11の裏側に位置する第1プレート、第2プレート、ベース金具等を示し、図5は太陽電池モジュール11、固定金具、カバー等を示している。
図4に例示するように、太陽光発電装置10は、複数の第1プレート21,22,23と、複数の第2プレート24,25とを備える。第1プレート21,22,23は、略平坦な金属製の板状部材であって、野地板3に沿って設置される。他方、第2プレート24,25は、軒側端部が野地板3から浮き上がり、第1屋根材4の上に重なった状態で設置される。各プレートはいずれも、平面視略長方形状を有し、長辺方向が屋根1の桁方向に沿うように配置されている。なお、各プレートと野地板3との間には、一般的に防水シート(図示せず)が設けられている。
本実施形態では、3種類の第1プレート、及び2種類の第2プレートが使用されるが、例えば太陽電池モジュール11が格子状に配置される場合は、第1プレート23と第2プレート25を使用しなくてもよい。
第1プレート21,22,23は、いずれも平面視略長方形状を有するが、大きさが互いに異なる。第1プレート21は、例えば長辺の長さが第1プレート22の長辺の長さと略同一で、短辺の長さが第1プレート22の短辺の長さの略1/2である。第1プレート21は、軒側モジュール11C,11Dの裏側に設置される。
第1プレート22は、太陽電池モジュール11と同程度の大きさを有し、軒側モジュール11C,11D以外の太陽電池モジュール11の裏側に設置される。第1プレート23は、例えば短辺の長さが第1プレート21の短辺の長さと略同一で、長辺の長さが第1プレート21の長辺の長さの略1/2である。第1プレート23は、軒側モジュール11Dの裏側に設置される。
第2プレート24,25は、いずれも平面視略長方形状を有するが、大きさが互いに異なる。第2プレート24は、例えば平面視において第1プレート21と略同じ大きさを有する。第2プレート25は、例えば短辺の長さが第2プレート24の短辺の長さと略同一で、長辺の長さが第2プレート24の長辺の長さの略1/2であり、平面視において第1プレート23と略同じ大きさを有する。第2プレート24は軒側モジュール11Cの裏側に設置され、第2プレート25は軒側モジュール11Dの裏側に設置されている。
上記各プレートは、例えば屋根1の軒側の桁方向一方側(以下、「左側」とする)から野地板3上に配置される。図4に示す例では、左側に配置される第1プレート21上に、桁方向他方側(以下、「右側」とする)に隣接配置される第1プレート21の一部が重ねられる。また、第1プレート21上には、棟側に隣接配置される第1プレート22の一部が重ねられる。このようにして、各プレートは軒側の左から棟側の右に向かって順に設置される。
第1プレート21,22,23の棟側端部には、その上に重ねられるプレートの浮き上がりを防止するための浮き止め26が設けられている。また、各プレートのうち横方向両端に位置するプレート上には、シール部材27が設けられている。シール部材27は、軒棟方向に沿って設けられ、プレート上を流れる雨水等がプレートの横方向両端から漏れることを防止する。
太陽光発電装置10は、第1プレート21,22上において太陽電池モジュール11A,11Bに跨って設置され、当該各モジュールを支持するベース金具30を備える。ベース金具30は、例えば第1プレート22の棟側端部又はその近傍において、屋根1の桁方向に間隔をあけて2つ設置される。また、第1プレート22上には、太陽光発電装置10の棟側端部に位置する太陽電池モジュール11の棟側端部を支持する棟側ベース金具100が設置されている。
本明細書において、太陽光発電装置10の棟側端部とは、特に断らない限り、棟側に向いた端部を意味し、最も棟側に位置する端部のみを意味するものではない。棟側ベース金具100は、太陽電池モジュール11の棟側端部のうち、その棟側にモジュールが配置されない部分を支持する。同様に、太陽光発電装置10の軒側端部とは、特に断らない限り、軒側に向いた端部を意味し、最も軒側に位置する端部のみを意味するものではない。
太陽光発電装置10は、さらに、軒側モジュール11C,11Dの軒側端部を支持する軒側ベース金具60を備える。詳しくは後述するが、軒側ベース金具60は、第2プレート24,25の裏側で野地板3に固定されると共に、第1屋根材4の上に延出して当該屋根材の上で軒側モジュール11C,11Dを支持する。また、太陽光発電装置10は、軒側モジュール11C,11Dを軒側ベース金具に固定する軒側固定金具70(後述の図5参照)を備える。
軒側ベース金具60は、軒側モジュール11C,11Dの裏側において太陽光発電装置10の軒側に敷設される第1屋根材4に近接配置され、上記プレートを介することなく野地板3に固定される。軒側ベース金具60は、例えば軒側モジュール11Cの裏側において屋根1の桁方向に間隔をあけて2つ設置される。即ち、軒側モジュール11Cの軒側端部は2つの軒側ベース金具60によって支持される。他方、軒側モジュール11Dの裏側には、屋根1の桁方向に間隔をあけてベース金具30と、軒側ベース金具60とが設置されている。即ち、軒側モジュール11Dの軒側端部は、ベース金具30と軒側ベース金具60とによって支持される。
太陽光発電装置10は、第2プレート24,25の裏側で野地板3に固定されたプレート固定用部材85を備えていてもよい。第2プレート24,25は、ネジ又は釘を用いてプレート固定用部材85に固定される。プレート固定用部材85は、軒側ベース金具60と屋根1の桁方向に並んで、軒側ベース金具60を挟むように設置されている。プレート固定用部材85は、例えば樹脂製のブロック状部材であって、野地板3に接着固定されている。
第2プレート24,25には、軒側ベース金具60の一部を露出させるための切欠き24d,25dがそれぞれ形成されている。切欠き24d,25dを形成することで、第2プレート24,25と軒側ベース金具60との干渉が防止され、軒側ベース金具60の一部が切欠き24d,25dから露出して第1屋根材4の上で軒側モジュール11C,11Dを支持することが可能となる。
なお、第2プレート24,25と第1屋根材4との間には、シール部材87が設けられていてもよい。シール部材87は、例えば弾力性のある樹脂発泡体、ゴム製部材等であり、第1屋根材4の表面に接着されている。また、切欠き24d,25dが形成された部分に、第2プレート24,25と軒側ベース金具60との隙間を埋めるシール部材88が設けられていてもよい。シール部材88は、例えば弾力性のある樹脂発泡体、ゴム製部材等であり、軒側ベース金具60の上面に接着されている。
図5に例示するように、太陽光発電装置10は、太陽電池モジュール11を各種ベース金具に固定する固定金具を備える。ベース金具30に対する太陽電池モジュール11A,11Bの固定には、固定金具40が用いられる。固定金具40は、第1固定金具41と、第2固定金具42とで構成される。そして、太陽電池モジュール11A,11Bの間を埋めるように、固定金具40を利用してカバー50が取り付けられる。
棟側ベース金具100に対する太陽電池モジュール11の固定には、棟側固定金具101,102が用いられる。棟側固定金具101は、例えば棟側固定金具102の略2倍の長さを有する。太陽電池モジュール11の棟側に屋根材2(第2屋根材90)が敷設される場合、当該屋根材の軒側端部は棟側固定金具101,102の上に配置される。これにより、雨水等が太陽電池モジュール11の上を通って流れ易くなり、モジュールの裏側に浸入する雨水等を減らすことができる。
軒側ベース金具60に対する軒側モジュール11C,11Dの固定には、軒側固定金具70が用いられる。軒側固定金具70は、第1屋根材4の上で軒側モジュール11C,11Dの軒側端部に設置される。軒側固定金具70は、2つのベース金具、具体的には2つの軒側ベース金具60、又は1つのベース金具30と1つの軒側ベース金具60とに跨って設置可能な長さを有する。
軒側固定金具70は、軒側モジュール11C,11Dに係合し、ボルト68を用いて軒側ベース金具60に固定される。軒側固定金具70には、軒側ベース金具60に対応する位置に開口部72が形成されている。軒側固定金具70は中空の角柱構造を有するが(詳細は後述)、軒側ベース金具60に対応する位置に開口部72を形成することで、金具の剛性を損なうことなくボルト68の取り付けが可能となる。また、軒側固定金具70の開口部72に対応する位置には、ボルト68を挿通可能な貫通孔73が形成されている。
軒側モジュール11C,11Dの軒側端部には、軒側固定金具70を利用してカバー80が取り付けられている。カバー80は、長さが軒側固定金具70の長さよりも長く、2つの開口部72を塞いで軒側モジュール11C,11Dの軒側端部の略全長にわたって設置される。カバー80は、例えばネジ84を挿通可能な貫通孔83を有し、ネジ84を用いて軒側固定金具70に固定される。
図6及び図7は、太陽電池モジュール11Aの棟側端部及び太陽電池モジュール11Bの軒側端部の取り付け構造(中間部の取り付け構造)を示す図である。図6及び図7に例示するように、ベース金具30は、太陽電池モジュール11Aの棟側端部を支持する第1支持部34と、第1支持部34よりも高く形成され、太陽電池モジュール11Bの軒側端部を支持する第2支持部35とを含む。第1支持部34と第2支持部35によってベース金具30の軒棟方向に段差を設けることで、太陽電池モジュール11A,11Bを段葺き状に配置することが可能となる。
ベース金具30は、例えば第1プレート21に当接し、当該プレートを介して野地板3に固定される一対の脚部31と、各脚部31上に立設した一対の立壁部32とを有する。また、ベース金具30は、各立壁部32を連結する連結部33を有する。脚部31は、例えば軒棟方向に長い平坦な板状の部分であって、第1プレート21上に密接した状態で配置される。各脚部31には、ネジ38が挿通される貫通孔37が形成されている。ネジ38は、貫通孔37及び第1プレート21の貫通孔(図示せず)に挿通されて野地板3に固定される。
立壁部32は、脚部31に対して略垂直に形成されることが好適である。立壁部32は、上述の通り、高さが異なる2つの壁部(第1支持部34及び第2支持部35)を含む。第1支持部34には、太陽電池モジュール11Aの棟側端部に設置されたフレーム13Aが載せられる。第2支持部35には太陽電池モジュール11Bの軒側端部に設置されたフレーム13Bが載せられる。
第1支持部34と第2支持部35の高さの差は、第1支持部34に載せられるフレーム13Aの高さ以上であることが好ましい。この場合、太陽電池モジュール11A,11Bの段差が明確に形成され、段葺きされた屋根材2との一体感が高まる。より詳しくは、第2支持部35のフレーム13Bが載せられる部分の高さ(h35)が、第1支持部34のフレーム13Aが載せられる部分の高さ(h34)より、少なくともフレーム13Aの高さの分だけ高いことが好ましい(図7参照)。
第1支持部34には、フレーム13Aが載せられる部分にフレーム13が嵌る凹部が形成されていてもよい。凹部の底にあたる部分には、例えば複数の突起が形成される。当該突起は、例えばフレーム13Aの底に当接し、太陽電池モジュール11Aから第1プレートにつながる導通経路を形成する。また、第2支持部35のフレーム13Bが載せられる部分にも複数の突起が形成されていてもよい。
連結部33は、各第2支持部35の上端部同士を連結する。連結部33は、ベース金具30を一体化し、ベース金具30の耐荷重性、施工性を向上させる。また、連結部33は、固定金具40が締結される部分として機能する。本実施形態では、各第2支持部35の軒側部分の高さが軒側端部に近づくほど次第に低くなり、連結部33が棟側から軒側に向かって下方に傾斜している。
固定金具40は、ボルト39を用いてベース金具30に固定される。固定金具40の第1固定金具41及び第2固定金具42には、ボルト39が挿通される貫通孔44,47がそれぞれ形成されている。また、連結部33にもボルト39が挿通される貫通孔が形成されている。連結部33の貫通孔は、例えば連結部33をバーリング加工及びネジ加工して形成された、ボルト39が締結可能なネジ孔36である。
固定金具40は、太陽電池モジュール11Aのフレーム13Aの上端部を押える押え部43と、太陽電池モジュール11Bのフレーム13Bの下部を押える押え部46とを有する。本実施形態では、押え部43を含む第1固定金具41と、押え部46を含む第2固定金具42とにより固定金具40が構成されている。第2固定金具42は、長さが第1固定金具41よりも短く、例えば1つの第1固定金具41に対して2つ設けられ、各ベース金具30にそれぞれ固定される。
第1固定金具41は、連結部33上に直接配置される。第1固定金具41は、連結部33と重なる部分にボルト39が挿通される貫通孔44を有し、連結部33上から軒側に延出した金具の軒側端部に押え部43を有する。押え部43は、第1固定金具41が連結部33に固定された状態でフレーム13Aをベース金具30の第1支持部34に押え付ける。また、第1固定金具41は、フレーム13Aの鉤部15Aに引っ掛かる断面略L字状の鉤部45を有する。
第2固定金具42は、第1固定金具41を介して連結部33上に配置される。第2固定金具42は、連結部33と重なる部分にボルト39が挿通される貫通孔47を有し、連結部33上から棟側に延出した金具の棟側端部に押え部46を有する。押え部46は、フレーム13Bの外溝18Bに挿し込まれ、第2固定金具42が連結部33に固定された状態でフレーム13Bの底板をベース金具30の第2支持部35に押え付ける。
第2固定金具42は、上方に延出した断面略T字状のレール部48を有する。レール部48は、押え部46と貫通孔47の間に形成されている。レール部48には、カバー50を構成するジョイント金具55の爪部57が引っ掛けられて係合する。カバー50は、爪部57がレール部48に係合した状態で桁方向にスライド可能である。
カバー50は、カバー本体51と、カバー本体51の裏側に設けられたジョイント金具55とを有する。カバー本体51は、例えば屋根材2の前垂れ95を模擬した外観形状を呈するベース部52と、ベース部52の棟側端部から下方に延出した断面略L字状の鉤部53とを含む。カバー本体51は、第1固定金具41と略同一の長さを有する長尺状の部材であることが好ましい。他方、ジョイント金具55は、長さがカバー本体51よりも短く、1つのカバー本体51に対して2つ設けられ、各第2固定金具42にそれぞれ固定されることが好ましい。
ジョイント金具55は、断面略L字状のベース部56と、ベース部56の棟側端部に設けられた鉤部58とを有する。ベース部56は、棟側部分が軒棟方向に延び、軒側部分がカバー本体51のベース部52の裏面に沿って下方に延びている。鉤部58は、ベース部56の棟側端部から上方に突出し、ベース部56との間にカバー本体51の鉤部53の先端部を挿入可能な隙間をあけて断面略L字状に形成されている。カバー本体51とジョイント金具55は、鉤部53,58によって互いに係合し、さらにネジ59を用いて互いに固定されることが好適である。
ジョイント金具55は、ベース部56の棟側端部に設けられた一対の爪部57を有する。爪部57は、ベース部56の棟側端部から下方に突出し、ベース部56との間にレール部48を挿通可能な隙間をあけて断面略L字状に形成されている。カバー50は、第2固定金具42の長手方向端部からレール部48をベース部56と爪部57の間に挿通させることで第2固定金具42に取り付けることができる。
図8及び図9は、太陽光発電装置10の軒側端部及びその近傍の断面図である。図8及び図9に例示するように、太陽光発電装置10の軒側には第1屋根材4が敷設されており、第2プレート24が当該屋根材の上に重なった状態で設置されている。軒側モジュール11Cは、軒側端部が第1屋根材4の上に重なった状態で配置される。また、軒側モジュール11Cは、第2プレート24の全体を覆って配置される。軒側モジュール11Cは、第1プレート21及び第2プレート24の上に配置されており、棟側端部が固定金具40によってベース金具30に固定され、軒側端部が軒側固定金具70によって軒側ベース金具60に固定されている。
軒側ベース金具60は、第1屋根材4に近接して当該屋根材の棟側に設置されている。軒側ベース金具60は、ベース金具30と同様に、野地板3に固定される一対の脚部61と、各脚部61上に立設した一対の立壁部62と、各立壁部62を連結する連結部63とを有する。さらに、軒側ベース金具60は、第1屋根材4の上に延出して当該屋根材の上で軒側モジュール11Cの軒側端部を支持する延出部64を有する。
脚部61は、例えば軒棟方向に長い平坦な板状の部分であって、野地板3上に密接した状態で配置される。各脚部61には、ネジ67が挿通される貫通孔66が形成されている。ネジ67は、貫通孔66に挿通されて野地板3に固定される。軒側ベース金具60は、第2プレート24の裏側に配置され、プレートを介することなく野地板3に直接ネジ止めされる。
立壁部62は、脚部61に対して略垂直に形成されることが好適である。軒側モジュール11Cは立壁部62上に載せられないため、立壁部62の高さは特に限定されないが、第1屋根材4の棟側端部の高さよりも低いことが好ましい。本実施形態では、軒側ベース金具60の棟側端部から軒側端部に近づくほど立壁部62が次第に高くなり、立壁部62の上端(連結部63)が緩やかに傾斜している。そして、立壁部62の上端は第2プレート24の裏面に当接している。
連結部63は、各立壁部62の上端部同士を連結している。連結部63は、一対の脚部61及び一対の立壁部62を有する軒側ベース金具60を一体化し、軒側ベース金具60の耐荷重性、施工性を向上させる。なお、連結部63は第2プレート24の裏面に当接している。軒側ベース金具60では、連結部63の軒側端部から延出部64が軒側に延出し、屋根材4の上に張り出している。
延出部64は、第1屋根材4の棟側端部上において、第2プレート24の切欠き24d(図4参照)から露出している。延出部64のうち第2プレート24に覆われず露出した部分、例えば延出部64の先端部又はその近傍に軒側モジュール11Cのフレーム13Bが載せられる。延出部64のフレーム13Bが載せられる部分よりも先端側には、軒側固定金具70を固定するためのボルト68が挿通される貫通孔が形成されている。当該貫通孔は、例えば延出部64をバーリング加工及びネジ加工して形成された、ボルト68が締結可能なネジ孔65である。
延出部64の先端部は、第2プレート24の切欠き24dから突出し、第2プレート24よりも軒側に延びている。また、延出部64の先端部は、上方に凸となるように折り曲げられており、当該折り曲げ部の頂部より先端側にネジ孔65が形成されている。延出部64のネジ孔65が形成された部分は、先端が第1屋根材4の表面に近づくように傾斜している。
軒側固定金具70は、上述の通り、軒側ベース金具60に軒側モジュール11Cの軒側端部を固定するための金具である。軒側固定金具70は、中空の角柱形状を有する本体部71と、延出部64に載せられたフレーム13Bの下部を押える押え部74とを有する。押え部74は、本体部71の下部から棟側に延出しており、フレーム13Bの外溝18Bに挿し込まれ、フレーム13Bの底板を上から押さえる。
本体部71は、軒側ベース金具60の延出部64上に直接配置され、ボルト68を用いて延出部64に固定される。本体部71には、延出部64のネジ孔65と重なる部分に貫通孔73が形成されている。ボルト68は、貫通孔73に挿通されネジ孔65に締結される。本体部71には、かかるボルト68の取り付けを可能とすべく、本体部71の壁の一部を切除して開口部72が形成されている。
本体部71には、軒側モジュール11Cの軒側端部の横方向全長にわたってカバー80を設置することが好ましい。本体部71の上部には、カバー80と係合する凹部75が形成されている。カバー80は、例えば軒側固定金具70の開口部72を塞ぎ、軒側固定金具70、軒側ベース金具60、第2プレート24等を隠蔽して太陽光発電装置10の意匠性を向上させる。
カバー80は、略L字形状に形成されたカバー本体81と、カバー本体81の棟側端部から下方に突出した凸部82とを有する。凸部82が軒側固定金具70の凹部75に挿し込まれることで、カバー80が軒側固定金具70に係合する。また、カバー80はネジ84(図5参照)を用いて軒側固定金具70に固定される。カバー本体81は、本体部71の表面に沿って設置され、開口部72を覆っている。
太陽光発電装置10は、第1プレート21と第1屋根材4とに跨って第2プレート24,25を設置することによって、太陽光発電装置10とその軒側に敷設される第1屋根材4との境界部における排水性、防水性を十分に確保している。屋根1では、太陽電池モジュール11の裏側を雨水等が流れるが、かかる雨水等は各第1プレート上を流れる。そして、第2プレート24,25上を通って第1屋根材4上に流れ、太陽電池モジュール11の裏側から排水される。
図8及び図9に例示するように、第2プレート24は、少なくとも棟側端部が第1プレート21と重なり、少なくとも軒側端部が太陽光発電装置10の軒側に敷設される第1屋根材4の上に重なった状態で設置されている。第2プレート24は、第1プレート21と重なる棟側重なり部24a、第1屋根材4と重なる軒側重なり部24b、及び棟側重なり部24aと軒側重なり部24bとをつなぐ傾斜部24cを有する。
棟側重なり部24aは、第2プレート24の棟側端部を含む部分であって、第2プレート24の棟側の端から所定の長さ範囲に形成される。棟側重なり部24aの軒棟方向に沿った長さ(所定の長さ)は、例えば第2プレート24の軒棟方向長さの10%〜40%である。棟側重なり部24aは、野地板3に沿って略平坦に形成されており、第1プレート21と野地板3との間に挿し込まれている。棟側重なり部24aは第1プレート21の上に重ねられてもよいが、排水性、防水性を考慮すると、第1プレート21の下に重ねられる方が好ましい。
軒側重なり部24bは、第2プレート24の軒側端部を含む部分であって、第2プレート24の軒側の端から所定の長さ範囲に形成される。軒側重なり部24bの軒棟方向に沿った長さ(所定の長さ)は、例えば第2プレート24の軒棟方向長さの5%〜30%であり、棟側重なり部24a及び傾斜部24cの軒棟方向長さよりも短い。図8に示す例では、軒側重なり部24b、棟側重なり部24a、傾斜部24cの順に軒棟方向長さが長くなっている。
軒側重なり部24bには、軒側ベース金具60の延出部64を露出させるための切欠き24d(図4参照)が形成されている。軒側重なり部24bは、途中で屋根材4の表面側に小さく折れ曲がり、先端(軒側の端)に向かって緩やかに傾斜している。軒側重なり部24bの先端は、第1屋根材4の表面に当接していてもよい。
傾斜部24cは、野地板3から浮き上がり、野地板3との距離が棟側よりも軒側で次第に大きくなるように緩やかに傾斜している。本実施形態では、傾斜部24cの軒側部分が軒側ベース金具60(連結部63)の上面に沿って傾斜しており、軒側ベース金具60の棟側端部に対応する位置で小さく折れ曲がっている。なお、雨水等のスムーズな排水を可能とすべく、傾斜部24cには大きな折れ曲がり、段差等が存在しないことが好ましい。第2プレート24は、棟側重なり部24aと傾斜部24cとの境界位置で上方に折れ曲がっているが、傾斜部24cと軒側重なり部24bとの境界位置は平坦である。
傾斜部24cの野地板3に対する傾斜角度は、屋根の勾配(野地板3の水平方向に対する傾斜角度)よりも小さい。このため、傾斜部24c上の雨水等は棟側から軒側に流れ、軒側重なり部24bを通って第1屋根材4上に排水される。なお、屋根の勾配が大きい場合は、傾斜部24cの軒棟方向長さを長くすることが好ましい。
なお、傾斜部24cの裏側には、第1屋根材4の近傍にプレート固定用部材85が設けられており、傾斜部24cはネジ86を用いてプレート固定用部材85に固定されている。また、第1屋根材4の棟側端部の表面にはシール部材87が設けられており、第2プレート24との隙間を塞いでいる。
本実施形態では、上述のように、屋根材2と太陽光発電装置10の軒棟方向ピッチが略一致している。このため、太陽光発電装置10の最も軒側に位置する部分(軒側モジュール11C)だけでなく、装置の軒棟方向の中間部に配置される太陽電池モジュール11(軒側モジュール11D)の軒側に屋根材2が敷設される場合も、第2プレート25を容易に設置できる。軒側モジュール11Dとその軒側に敷設される第1屋根材4との境界部における排水性、防水性は第2プレート25によって十分に確保される。太陽光発電装置10によれば、太陽電池モジュール11の配置の自由度を高めることができ、さらなる意匠性の向上、モジュール搭載効率の向上などを図ることが可能である。