以下、実施形態の一例について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本明細書において「略**」との記載は、略同一を例に説明すると、完全に同一はもとより実質的に同一と認められる場合を含む意図である。
本明細書では、取り付け器具が屋根に固定された状態で、屋根の野地板に垂直な方向を「上下方向」という。実施形態の説明で用いる図面には、屋根の棟軒方向を矢印α、桁方向を矢印β、上下方向を矢印γで示す。太陽電池モジュールにおいて、モジュールフレームの「上下方向」とは太陽電池パネルの厚み方向に沿った方向を意味し、太陽電池パネルの受光面側が「上」である。また、平面視とは、太陽電池パネルの受光面に垂直な方向から当該パネル等を見た様子を意味する。ここで、太陽電池パネルの受光面とは太陽光が主に入射する面であり、パネルに入射する太陽光の50%超過〜100%が受光面から入射する。
図1は、実施形態の一例である太陽光発電装置10を示す図である。
図1に例示するように、太陽光発電装置10は、複数の太陽電池モジュール11と、太陽電池モジュールの取り付け器具20(以下、単に「取り付け器具20」という)とを備える。各太陽電池モジュール11は、取り付け器具20によって屋根材2が段葺きされた屋根1に取り付けられている。屋根材2は、太陽光発電装置10の周囲に配置され、太陽光発電装置10の下には配置されていない。即ち、太陽光発電装置10は屋根材2を介することなく屋根1の野地板3に固定される。屋根材2は、例えば平板陶器瓦であるが、屋根材2はこれに限定されない。図1に示す例では、寄棟屋根である屋根1の台形部分に太陽光発電装置10が設置されている。なお、太陽光発電装置10は屋根1の三角形部分に設置されてもよく、方形屋根、切妻屋根等に設置されてもよい。
太陽光発電装置10は、屋根1の桁方向に沿った太陽電池モジュール11の列を複数備える。太陽電池モジュール11は、平面視略矩形形状を呈することが好適である。本実施形態では、各太陽電池モジュール11の短辺が棟軒方向に略平行であり、各列を構成する複数の太陽電池モジュール11の短辺同士が略接触した状態で各モジュールが屋根1に配置されている。桁方向に延びる列を構成する太陽電池モジュール11の数は、例えば屋根1の軒側に位置する列で多くなり、また一部の隣り合う列で同数である。なお、太陽光発電装置10を構成する太陽電池モジュール11の数、配列等は特に限定されない。
太陽光発電装置10は、屋根材2の段葺き形状に合わせて太陽電池モジュール11が配置された構造を有する。即ち、複数の太陽電池モジュール11は、屋根材2と同様に段葺き状(階段状)に取り付けられている。複数の太陽電池モジュール11には、太陽電池モジュール11A(第1太陽電池モジュール)と、当該モジュールよりも棟側に配置される太陽電池モジュール11B(第2太陽電池モジュール)が含まれる。ここで、太陽電池モジュール11A,11Bの用語は、2つの太陽電池モジュールについての相対的な位置関係を示すものである。即ち、太陽光発電装置10に設けられる複数の太陽電池モジュール11のうち、棟軒方向に隣り合う任意の2枚の太陽電池モジュール11において、軒側に配置される方が太陽電池モジュール11A、棟側に配置される方が太陽電池モジュール11Bである。
太陽光発電装置10では、太陽電池モジュール11A,11Bの間(以下、「中間部」という場合がある)に、屋根材2の段葺き形状に対応する段差が設けられている。詳しくは後述するが、取り付け器具20は太陽電池モジュール11Bの軒側端部に取り付けられるカバー70を備える。カバー70は、屋根材2の軒側垂れ4を模擬した外観形状を呈することが好ましく、例えば太陽電池モジュール11Bと桁方向に隣接配置される屋根材2の軒側垂れ4の位置に合わせて取り付けられる。
太陽電池モジュール11は、屋根材2の棟軒方向ピッチP2に対応する寸法を有し、当該ピッチP2に合せて取り付けられることが好適である。本実施形態では、太陽電池モジュール11の棟軒方向長さ、即ち短辺方向長さが、屋根材2の棟軒方向ピッチP2よりもやや短く設定されている。そして、各太陽電池モジュール11の棟軒方向長さ(短辺方向長さ)とカバー70の棟軒方向長さ(幅)とを足した長さが、屋根材2の棟軒方向ピッチP2の整数倍と略同一である。ここで、屋根材2の棟軒方向ピッチP2とは、屋根材2(軒側屋根材)の軒側垂れ4から当該屋根材2の棟側に隣接配置される屋根材2(棟側屋根材)の軒側垂れ4までの棟軒方向に沿った長さを意味する。
太陽電池モジュール11及びカバー70の棟軒方向長さを屋根材2の棟軒方向ピッチP2に適合させることで、太陽光発電装置10と屋根材2の一体感が高まり、太陽光発電装置10が取り付けられた屋根1の意匠性が向上する。太陽電池モジュール11の棟軒方向長さとカバー70の棟軒方向長さとを足した長さは、好ましくは屋根材2の棟軒方向ピッチP2の約2倍又は3倍であり、より好ましくは約2倍である。この場合、屋根1の意匠性が向上することに加えて、例えば屋根1の端まで太陽電池モジュール11を設置し易くなる。即ち、太陽電池モジュール11の設置面積を増やすことが可能である。
図2は、太陽電池モジュール11の断面図である。
図2に例示するように、太陽電池モジュール11は、太陽電池パネル12と、当該パネルの端縁部に設置されたモジュールフレーム13とを有する。太陽電池パネル12は、例えば複数の太陽電池セルがガラス板等の保護部材で挟持された構造を有する。太陽電池パネル12は、平面視略矩形形状を呈することが好適である。当該パネルにモジュールフレーム13が設置された太陽電池モジュール11も、上述の通り平面視略矩形形状を呈することが好ましい。
モジュールフレーム13は、太陽電池パネル12の端縁部を保護し、太陽電池モジュール11の屋根1への固定に利用される。モジュールフレーム13は、太陽電池パネル12の各長辺及び各短辺に沿って設置される複数のフレームからなり、コーナーピース等により互いに接続されて太陽電池パネル12の四方を囲むことが好適である。モジュールフレーム13を構成する各フレームは、例えばアルミニウム等の金属材料を押出成形して得られる長尺状の部材である。本実施形態では、太陽電池モジュール11の棟側端部に設置されるフレーム13a(第1フレーム)と、軒側端部に設置されるフレーム13b(第2フレーム)とで、フレーム下部の形状が異なっている。
フレーム13aは、例えば太陽電池パネル12の裏側に配置される断面略C字状の本体部14aと、本体部14aの上部から外側に張り出した断面略U字状の鉤部15aと、本体部14aの下部から下方に延出した断面略L字状の鉤部17aとを有する。即ち、フレーム13aは上部が下部よりもモジュールの外側に張り出した形状を有し、太陽電池パネル12の端は本体部14aよりも外側に位置している。断面略U字状の鉤部15aは、本体部14aの上部から開口部をモジュールの内側に向けた状態で外側に張り出し、太陽電池パネル12の端縁部を挿入可能な内溝16aを形成している。なお、フレーム13aの形状はこれに限定されない。例えば、本体部14aは略角柱形状であってもよい。
フレーム13bは、本体部14b、及び鉤部15b,17bを有し、フレーム13bの上部が下部よりもモジュールの外側に張り出している点で、フレーム13aと共通する。一方、フレーム13a,13bでは、本体部14a,14bに対する鉤部17a,17bの向きが互いに異なっている。鉤部17aは、本体部14bの外側から下方に延び、途中でモジュールの内側に折れ曲がって断面略L字状に形成されている。他方、鉤部17bは、本体部14bの内側から下方に延び、途中でモジュールの外側に折れ曲がって断面略L字状に形成されている。このため、フレーム13aの下部には内側に向かって開口した内溝18aが形成され、フレーム13bの下部には外側に向かって開口した外溝18bが形成される。
本実施形態では、フレーム13bの外溝18bが太陽電池モジュール11のベース金具30への固定に利用される。他方、フレーム13aの内溝18aは当該固定に利用されない。ゆえに、フレーム13aは、例えば本体部14aの上下方向長さを本体部14bよりも長くしてフレーム13a,13bの上下方向長さを揃え、鉤部17aを有さない構造としてもよい。
以下、図3〜図11を参照しながら、実施形態の一例である取り付け器具20について詳細に説明する。図3は、取り付け器具20の全体構成を示す図である。図3では、説明の便宜上、太陽電池モジュール11A,11Bが3種類のベース金具(ベース金具30、棟端ベース金具100、軒端ベース金具200)で支持された状態を図示している。
図3に例示するように、取り付け器具20は、太陽電池モジュール11A,11Bを含む複数の太陽電池モジュール11を屋根1に取り付ける器具であって、屋根1の野地板3上に敷設されるベースプレート21を備える。図3に示す例では、1枚の太陽電池モジュール11に対して1枚のベースプレート21が設けられている。ベースプレート21は、例えば金属製の板状部材であって、野地板3との間に屋根材2を介在させることなく野地板3に直接固定される。なお、ベースプレート21と野地板3との間には防水シート等が設けられていてもよい。ベースプレート21は略矩形形状を有し、長辺方向が屋根1の桁方向に沿うように野地板3上に敷設される。
取り付け器具20は、ベースプレート21上において太陽電池モジュール11A,11Bに跨って設置され、当該各モジュールを支持するベース金具30を備える。また、取り付け器具20は、太陽電池モジュール11A,11Bをベース金具30に固定する押え金具50を備える。ベース金具30は、例えば太陽電池モジュール11Aの下に配置されるベースプレート21の棟側端部又はその近傍において、屋根1の桁方向に間隔をあけて2つ設置される。
ベース金具30は、太陽電池モジュール11Aの棟側端部を支持する第1支持部34と、第1支持部34よりも高く形成され、太陽電池モジュール11Bの軒側端部を支持する第2支持部35とを有する。詳しくは後述するが、第1支持部34及び第2支持部35によってベース金具30の棟軒方向に段差を設けることで、太陽電池モジュール11A,11Bを段葺き状に配置することが可能となる。
押え金具50は、太陽電池モジュール11A,11Bの長辺方向に延びた長尺状の部材であって、2つのベース金具30に跨って設置されることが好適である。本実施形態では、押え金具50が第1押え金具51及び第2押え金具52(後述の図5等参照)により構成されている。第1押え金具51は、第2押え金具52よりも長く、2つのベース金具30に跨って設置される。第2押え金具52は1つの第1押え金具51に対して2つ設けられ、各ベース金具30にそれぞれ固定される。
取り付け器具20は、上述の通り太陽電池モジュール11Bの軒側端部に取り付けられるカバー70を備える。カバー70は、押え金具50(第2押え金具52)に固定されることが好適であり、押え金具50を介してベース金具30に固定される。図3に示す例では、押え金具50の長さが太陽電池モジュール11A,11Bの長辺方向長さと略同一であり、各々の長手方向端部の位置が互いに一致している。また、カバー70の長さは押え金具50の長さと略同一であり、各々の長手方向端部の位置は互いに一致している。
取り付け器具20は、太陽電池モジュール11Bの棟側端部を支持する棟端ベース金具100と、当該モジュールの棟側端部を棟端ベース金具100に固定する棟端押え金具120とを備えることが好適である。棟端ベース金具100は、太陽光発電装置10を構成する太陽電池モジュール11の棟側端部のうち、その棟側にモジュールが配置されない部分を支持する。
棟端ベース金具100は、例えば太陽電池モジュール11Bの下に配置されるベースプレート21の棟側端部又はその近傍において、屋根1の桁方向に間隔をあけて2つ設置される。棟端押え金具120は、太陽電池モジュール11Bの長辺方向に延びた長尺状の部材であって、2つの棟端ベース金具100に跨って設置されることが好適である。図3に示す例では、棟端押え金具120の長さが太陽電池モジュール11Bの長辺方向長さと略同一であり、各々の長手方向端部の位置が互いに一致している。
取り付け器具20は、太陽電池モジュール11Aの軒側端部を支持する軒端ベース金具200と、当該モジュールの軒側端部を軒端ベース金具200に固定する第2押え金具52とを備えることが好適である。軒端ベース金具200は、太陽光発電装置10を構成する太陽電池モジュール11の軒側端部のうち、その軒側にモジュールが配置されない部分を支持する。軒端ベース金具200には専用の押え金具を用いてもよいが、第2押え金具52を用いることで、例えば部品の共通化を図り製造コストを削減することができる。
軒端ベース金具200は、例えば太陽電池モジュール11Aの下に配置されるベースプレート21の軒側端部又はその近傍において、屋根1の桁方向に間隔をあけて2つ設置される。第2押え金具52は、2つの軒端ベース金具200に跨って設置される。本実施形態では、1枚の太陽電池モジュール11Aが2つのベース金具30と2つの軒端ベース金具200によって支持され、また1枚の太陽電池モジュール11Bが2つのベース金具30と2つの棟端ベース金具100によって支持されている。
取り付け器具20は、太陽電池モジュール11Aの軒側端部に取り付けられるカバー70を備えることが好適である。カバー70は、太陽電池モジュール11A,11Bの間である中間部の場合と同様に、第2押え金具52を介して軒端ベース金具200に固定される。さらに、取り付け器具20は、カバー70の下に設けられる軒カバー220を備えることが好適である。軒カバー220は、カバー70と略同一の長さを有する長尺状の部材であって、カバー70の下から野地板3までの隙間を覆い、太陽光発電装置10及び屋根1の意匠性を向上させる。
図4は、ベースプレート21を野地板3上に敷設した様子を示す図である。
図4に例示するように、太陽電池モジュール11の下には複数のベースプレート21が配置され、各ベースプレート21上に上述のベース金具がそれぞれ設けられる。ベースプレート21上には、例えば各ベース金具の取り付け位置を示す目印(図示せず)が形成されている。各ベース金具は野地板3上に直接固定することも可能であるが、ベースプレート21を用いることで各ベース金具の位置合わせが容易になり施工性が向上する。
ベースプレート21は、屋根1の軒側の桁方向一方側(以下、「左側」とする)から野地板3上に配置される。左側に配置されるベースプレート21a上には、桁方向他方側(以下、「右側」とする)に隣接配置されるベースプレート21cの一部が重ねられる。また、ベースプレート21a上には、棟側に隣接配置されるベースプレート21bの一部が重ねられる。このようにして、ベースプレート21は軒側の左から棟側の右に向かって順に設置される。ベースプレート21の設置は、簡便で精度良く行うことができる。なお、ベースプレート21a,21b,21cは、太陽電池モジュール11の場合と同様に相対的な位置関係を示すものであり、いずれも同じプレートを使用することができる。
ベースプレート21には、例えば浮き止め22,23が設けられている。浮き止め22,23はいずれもベースプレート21の棟側端部において、浮き止め22がベースプレート21の長辺方向中央部に、浮き止め23が長辺方向端部(右側)にそれぞれ配置される。図4に示す例では、最も軒側に敷設されるベースプレート21のみに3つ目の浮き止め24が設けられている。浮き止め24は、ベースプレート21の軒側端部において長辺方向端部(右側)に配置される。
浮き止め22,23,24は、ベースプレート21との間に、当該プレートの上に重ねられるベースプレート21を挿し込み可能な隙間を有する。例えば、ベースプレート21a上に重ねられるベースプレート21cの端部は浮き止め23,24によって、またベースプレート21bの端部は浮き止め22,23によって、それぞれ上方に浮き上がらないように押えられる。なお、ベースプレート21上には図示しない防水テープ、防水パッキン等が設けられていてもよい。
図5〜図7は、太陽電池モジュール11Aの棟側端部及び太陽電池モジュール11Bの軒側端部の取り付け構造(中間部の取り付け構造)を示す図である。図5は、図3中のAA線断面図であって、太陽電池モジュール11A,11Bに跨って設置されるベース金具30、及び当該金具に固定される押え金具50等の断面形状を示す。図6は各金具を太陽電池モジュール11A,11Bから取り外して分離した状態を示す断面図、図7は各金具の分解斜視図である。
図5〜図7に例示するように、ベース金具30は、ベースプレート21に当接し、野地板3に固定される一対の脚部31と、各脚部31上に立設した第1支持部34及び第2支持部35をそれぞれ含む一対の立壁部32とを有することが好適である。第1支持部34は立壁部32の軒側部分に形成された壁部であり、第2支持部35は立壁部32の棟側部分に形成された第1支持部34よりも高い壁部である。さらに、ベース金具30は、各立壁部32を連結する連結部33を有することが好適である。
脚部31は、例えば棟軒方向に長い平坦な板状の部分であって、ベースプレート21上に密接した状態で配置される。一対の脚部31は互いに異なる形状、寸法であってもよいが、好ましくは互いに略同一の形状、寸法を有する。本実施形態では、ネジ42が挿通される貫通孔41が各脚部31に形成されている。貫通孔41は、各脚部31の棟軒方向に間隔をあけて2つずつ形成される。ネジ42には、例えばタッピンネジが用いられる。ネジ42は、ベースプレート21を貫通して野地板3に固定される。これにより、脚部31(ベース金具30)は、野地板3との間にベースプレート21を介在させた状態で野地板3に直接固定される。
立壁部32は、脚部31に対して略垂直に形成されることが好適である。この場合、立壁部32が野地板3に対して略垂直に配置されるため、立壁部32にかかる太陽電池モジュール11A,11Bの荷重が野地板3に対して略垂直に伝わり、ベース金具30の耐荷重性が向上する。立壁部32は、上述の通り高さが異なる2つの壁部(第1支持部34及び第2支持部35)を含む。各支持部は、いずれも脚部31に対して略垂直に形成されることが好ましい。立壁部32の棟軒方向長さは、例えば脚部31の棟軒方向長さと略同一である。
第1支持部34には、太陽電池モジュール11Aの棟側端部に設置されたフレーム13aが載せられることが好ましく、第1支持部34はフレーム13aを支持する。第2支持部35には太陽電池モジュール11Bの軒側端部に設置されたフレーム13bが載せられることが好ましく、第2支持部35はフレーム13bを支持する。なお、一対の立壁部32の形状、寸法は互いに略同一である。
第1支持部34と第2支持部35の高さの差は、第1支持部34に載せられるフレーム13aの高さ以上であることが好ましい。この場合、太陽電池モジュール11A,11Bの段差が明確に形成され、段葺きされた屋根材2との一体感が高まる。より詳しくは、第2支持部35のフレーム13bが載せられる部分の高さ(h35)が、第1支持部34のフレーム13aが載せられる部分の高さ(h34)より、少なくともフレーム13aの高さ(h13a)の分だけ高いことが好ましい。例えば、高さ(h34)と高さ(h35)の差は屋根材2の軒側垂れ4の高さと略同一である。ここで、高さ(h34)とは、ベース金具30の下端から第1支持部34のフレーム13aが載せられる部分の最も高い位置までの長さを意味する。高さ(h35)とは、ベース金具30の下端から第2支持部35のフレーム13bが載せられる部分の最も高い位置までの長さを意味する。
第1支持部34は、フレーム13aが嵌る凹部36を有することが好適である。凹部36は、第1支持部34の上端部に形成された窪みであって、例えばフレーム13aの棟軒方向の移動を防止し、フレーム13aの位置決めを容易にする。本実施形態では、凹部36の底にあたる部分に複数の突起37が形成されている。そして、フレーム13aは凹部36に嵌め込まれ、突起37上に載せられる。突起37は、例えばフレーム13aの底に当接し、太陽電池モジュール11Aからベースプレート21につながる導通経路を形成する。即ち、突起37はアース端子として機能する。また、第2支持部35のフレーム13bが載せられる部分にも複数の突起38が形成されている。
連結部33は、各第2支持部35の上端部同士を連結することが好適である。連結部33は、一対の脚部31及び一対の立壁部32を有するベース金具30を一体化し、ベース金具30の耐荷重性、施工性を向上させる。また、連結部33は、後述するように押え金具50が締結される部分として機能する。連結部33は、例えば各第2支持部35の上端部において、各第2支持部35の軒側端部からフレーム13bが載せられる部分、即ち突起38が形成された部分に亘る範囲に形成される。連結部33は、棟側端部に形成された壁部40を有することが好ましい。壁部40は、連結部33の軒側端部を下方に折り曲げて形成され、連結部33の耐荷重性を向上させる。
本実施形態では、連結部33により連結される各第2支持部35の軒側部分の高さが、軒側端部に近づくほど次第に低くなっている。そして、連結部33は棟側から軒側に向かって下方に傾斜している。連結部33を傾斜させることで、例えば太陽電池モジュール11を取り外す必要が生じた場合に後述するボルト43の取り外しが容易になる。本実施形態では、上述の通りフレーム13bの上部が下部よりも外側に張り出している。このため、連結部33を野地板3と略平行に設けると、ボルト43の取り外しに使用される工具がフレーム13bと干渉する場合がある。なお、かかる干渉を防止するために、ボルト43とフレーム13bの距離を大きくすることも考えられるが、その場合、太陽電池モジュール11の設置面積が減少する可能性がある。
取り付け器具20は、押え金具50をベース金具30に固定するボルト43を備えることが好適である。そして、押え金具50の第1押え金具51及び第2押え金具52に、ボルト43が挿通される貫通孔55,60(図6,7参照)がそれぞれ形成されている。また、ベース金具30の連結部33にもボルト43が挿通される貫通孔が形成されている。連結部33の貫通孔は、バーリング加工により形成されることが好ましく、また施工性向上等の観点からボルト43を固定可能なネジ孔39(図6,7参照)であることが好ましい。
押え金具50は、上述の通りベース金具30に太陽電池モジュール11A,11Bを固定するための金具であって、太陽電池モジュール11Aのフレーム13a及び太陽電池モジュール11Bのフレーム13bをそれぞれ押える。押え金具50は、太陽電池モジュール11A,11Bに跨って設置されている。押え金具50は、カバー70と共に、太陽電池モジュール11A,11Bの間からベース金具30等が見えることを防止し、太陽光発電装置10の意匠性を高める役割も果たす。
押え金具50は、フレーム13aの上端部を押える押え部54(第1押え部)と、フレーム13bの下部を押える押え部58(第2押え部)とを有することが好適である。本実施形態では、押え部54を有する第1押え金具51、及び押え部58を有する第2押え金具52により押え金具50が構成されている。上述の通り、第1押え金具51は2つのベース金具30に跨って配置される長尺状の部材である。他方、第2押え金具52は長さが第1押え金具51よりも短く、例えば1つの第1押え金具51に対して2つ設けられ、各ベース金具30にそれぞれ固定される。
第1押え金具51は、連結部33上に設置されるベース部53と、ベース部53の軒側端部から軒側に延出した押え部54とを有することが好適である。ここで、押え部54とはフレーム13aの上端部に当接する部分を意味する。ボルト43が挿通される貫通孔55は、ベース部53に形成されている。ベース部53は、例えば連結部33の軒側端部に対応する部分で上方に小さく折れ曲がり、その軒側端部が太陽電池モジュール11Aの受光面と略平行に延びている。押え部54は、ベース部53の軒側端部と同様に、太陽電池モジュール11Aの受光面と略平行に延びる。押え部54は、フレーム13aの上端部に密接可能な形状を有することが好ましい。押え部54は、ベース部53が連結部33に固定された状態でフレーム13aをベース金具30の第1支持部34に押え付ける。
第1押え金具51は、ベース部53の棟側端部から下方に延出した断面略L字状の鉤部61を有することが好ましい。鉤部61は、フレーム13aの外側に張り出した鉤部15aに引っ掛かり、フレーム13a及び連結部33に対する第1押え金具51の取り付け性を向上させる。また、第1押え金具51のベース部53には、連結部33の軒側端部に対応する部分に上方に突出した凸部56(図6,7参照)が形成されていることが好ましい。凸部56を設けることで、例えば第2押え金具52を連結部33に固定する際、第2押え金具52の軒側端部が凸部56に当接して第2押え金具52が第1押え金具51に支持されるため、第2押え金具52の取り付けが容易になる。
第2押え金具52は、連結部33との間に第1押え金具51を介在させた状態で連結部33上に配置されるベース部57と、ベース部57の棟側端部から棟側に延出した押え部58とを有することが好適である。ここで、押え部58とはフレーム13bの下部に当接する部分を意味する。ボルト43が挿通される貫通孔60は、ベース部57に形成されている。第2押え金具52は、例えば連結部33の棟側端部に対応する部分で下方に小さく折れ曲がり、当該折れ曲がり部から棟側に延出した押え部58を有する。押え部58は、フレーム13bの外溝18bに挿し込まれ、ベース部57が連結部33に固定された状態でフレーム13bの底板をベース金具30の第2支持部35に押え付ける。また、押え部58は先端部分が上方に折り曲げられており、外溝18bに強く嵌合する。
第2押え金具52は、例えばベース部57の棟側端部から上方に延出した断面略T字状のレール部59を有する。レール部59には、カバー70を構成するジョイント金具80の爪部82が引っ掛けられて係合し、これにより、第2押え金具52にカバー70が固定される。カバー70は、爪部82がレール部59に係合した状態で桁方向にスライド可能である。このため、第2押え金具52に対するカバー70の取り付け及び位置合わせが容易である。なお、第2押え金具52及びカバー70には、他の構造を有する係合部が設けられていてもよい。
取り付け器具20は、上述の通りフレーム13bの軒側端部に取り付けられるカバー70を備えることが好適である。カバー70は、フレーム13bの軒側端部、ボルト43、ベース金具30等を隠蔽して太陽光発電装置10の意匠性を向上させる。また、カバー70は、表側から見たときに屋根材2の軒側垂れ4に類似する形状を有し、太陽光発電装置10と屋根材2の一体感を高める機能を有する。本実施形態では、太陽光発電装置10の桁方向両側に配置される屋根材2の軒側垂れ4と桁方向に並ぶようにカバー70が取り付けられている。
カバー70は、カバー本体71と、カバー本体71の裏側に設けられたジョイント金具80とを有することが好適である。カバー本体71は、例えば屋根材2の軒側垂れ4を模擬した外観形状を呈するベース部72と、ベース部72の棟側端部から下方に延出した断面略L字状の鉤部73とを含む。カバー本体71は、第1押え金具51と略同一の長さを有する長尺状の部材であることが好ましい。他方、ジョイント金具80は、長さがカバー本体71よりも短く、1つのカバー本体71に対して2つ設けられ、各第2押え金具52にそれぞれ固定されることが好ましい。
ベース部72は、フレーム13bの上端部と略同じ高さからフレーム13aに当接する押え部54の近傍に亘って設けられることが好適である。ベース部72は、棟側端部からベース金具30の連結部33と略同じ角度で下方に向かって傾斜し、途中で折れ曲がって押え部54の近傍まで略真っ直ぐに延びた断面略L字形状を有する。ベース部72の裏面には、例えば鉤部73の先端部と略棟軒方向に並ぶ位置に凸部74(図6,7参照)が形成されている。凸部74は、ジョイント金具80に当接して当該金具の上方への移動を防止し、カバー本体71に対するジョイント金具80の組み付けを容易にする。
鉤部73は、ジョイント金具80の後述する鉤部83と係合する。鉤部73は、例えばフレーム13bの上端部から鉤部15bを超えて下方に延び、先端部の近傍で棟側に折れ曲がっている。鉤部73は、フレーム13bの鉤部15bに密接する形状を有することが好ましい。これにより、カバー70とフレーム13bの間から雨水等が太陽電池モジュール11Bの裏側に浸入することを抑制できる。
ジョイント金具80は、例えば断面略L字状のベース部81と、ベース部81の棟側端部に設けられた鉤部83とを有する。ベース部81は、棟側部分が棟軒方向に延び、軒側部分がカバー本体71のベース部72の裏面に沿って下方に延びている。ベース部72の凸部74は、ベース部81の折れ曲がり部に当接している。また、ベース部81の下端部は上方に折れ曲がり、第1押え金具51の凸部56に当接していることが好ましい。これにより、カバー70と押え金具50の間に隙間がなくなり、雨水等が太陽電池モジュール11の裏側に侵入することが抑制される。
鉤部83は、例えばベース部81の棟側端部から上方に突出している。鉤部83は、ベース部81との間にカバー本体71の鉤部73の先端部を挿入可能な隙間をあけて断面略L字状に形成されている。カバー本体71とジョイント金具80は、鉤部73,83によって互いに係合され、さらにネジ84を用いて互いに固定されることが好適である。ネジ84には、例えばドリルネジが用いられる。ネジ84は、カバー本体71の表側からベース部72,81を貫通して取り付けられる。
ジョイント金具80は、ベース部81の棟側端部に設けられた一対の爪部82を有することが好適である。爪部82は、ベース部81の棟側端部から下方に突出し、ベース部81との間にレール部59を挿通可能な隙間をあけて断面略L字状に形成されている。カバー70は、第2押え金具52の長手方向端部(桁方向端部)からレール部59をベース部81と爪部82の間に挿通させることで第2押え金具52に取り付けることができる。
図8及び図9は、太陽光発電装置10の棟側端部に配置される太陽電池モジュール11の棟側端部の取り付け構造を示す図である。図8は、図3中のBB線断面図であって、棟端ベース金具100及び当該金具に固定される棟端押え金具120等の断面形状を示す。図9は各金具の分解斜視図である。以下では、中間部の取り付け構造との相違点を主に説明する。
図8及び図9に例示するように、棟端ベース金具100は、太陽電池モジュール11の棟側端部を支持する支持部104を含む一対の立壁部102(棟端立壁部)を有し、ベースプレート21上で当該モジュールよりも棟側に位置する屋根材2の下に設置される。支持部104には太陽電池モジュール11のフレーム13aが載せられ、フレーム13aは棟端押え金具120及びボルト112を用いて棟端ベース金具100に固定される。
棟端ベース金具100は、ベース金具30と同様に、ベースプレート21に当接し、野地板3に固定される一対の脚部101と、各脚部101上に立設した一対の立壁部102と、各立壁部102同士を連結する連結部103とを有することが好適である。各脚部101には貫通孔110が形成されており、脚部101は貫通孔110に挿通されるネジ111によって野地板3との間にベースプレート21を介在させた状態で野地板3に直接固定される。
支持部104は、立壁部102の軒側部分に形成された太陽電池モジュール11を支持する壁部である。支持部104は、ベース金具30の第1支持部34と同様に、フレーム13aが嵌る凹部106を有することが好適である。また、支持部104の凹部106の底にあたる部分には複数の突起107が形成されている。そして、フレーム13aは凹部106に嵌め込まれ、突起107の上に載せられている。
立壁部102の棟側部分、即ち屋根材2の下に設置される部分には、支持部104よりも高い棟側壁部105が形成されている。例えば、棟側壁部105の軒側端部と、支持部104のフレーム13aが載せられる部分(最も高い部分)の高さの差は、フレーム13aの高さと略同一である。立壁部102は棟軒方向の全長に亘って支持部104と同じ高さとしてもよいが、立壁部102にかかる段差を設けることで、例えば太陽光発電装置10とその棟側に配置される屋根材2との一体感が向上し、また単純な構造の棟端押え金具120でフレーム13aをしっかり固定できる。棟側壁部105は、棟側から軒側に向かってやや高くなり、その上端は太陽電池モジュール11の受光面と略平行に形成されることが好ましい。
連結部103は、各棟側壁部105の上端部同士を連結し、例えば野地板3と略平行に配置される。連結部103には、連結部33の場合と同様に、ボルト112が挿通されるネジ孔108(図9参照)が形成されている。また、連結部103の棟側端部には、連結部103を補強する壁部109が形成されている。
棟端押え金具120は、上述のようにフレーム13aを棟端ベース金具100に固定するための金具であって、ボルト112を用いて連結部103に固定される。棟端押え金具120は、連結部103上に設置されるベース部121と、ベース部121の軒側端部から軒側に延出した押え部122とを有することが好適である。ベース部121には、ボルト112が挿通される貫通孔123(図9参照)が形成されている。棟端押え金具120は、フレーム13aと略同一の長さを有する長尺状の部材であることが好ましい。棟端押え金具120は、第1押え金具51の場合と同様に、ベース部121の棟側端部から下方に延出した断面略L字状の鉤部124を有する。
図8に示す例では、棟側壁部105の上端が太陽電池モジュール11の受光面と略平行に形成されており、棟端押え金具120のベース部121は、棟側壁部105の上端に沿って略平坦に形成されている。押え部122は、ベース部121と同様に、太陽電池モジュール11の受光面と略平行に延び、フレーム13aの上端部に密接可能な形状を有する。押え部122は、ベース部121が連結部103に固定された状態でフレーム13aを支持部104に押え付ける。なお、棟端押え金具120の上には屋根材2が配置される。当該屋根材2は、軒側垂れ4の下端がベース部121の軒側端部近傍に位置するように配置される。当該屋根材2は、例えば図示しない瓦桟により支持されるが、軒側垂れ4は棟端押え金具120に当接していてもよい。
図10及び図11は、太陽光発電装置10の軒側端部に配置される太陽電池モジュール11の軒側端部の取り付け構造を示す図である。図10は、図3中のCC線断面図であって、軒端ベース金具200及び当該金具に固定される軒カバー220等の断面形状を示す。図11は各金具の分解斜視図である。
図10及び図11に例示するように、軒端ベース金具200は、ベース金具30と同様に、一対の脚部201と、脚部201上に立設した一対の立壁部202と、各立壁部202の上端部同士を連結する連結部203とを有することが好適である。各脚部201には貫通孔208(図11参照)が形成されており、脚部201は貫通孔208に挿通されるネジ209によって野地板3との間にベースプレート21を介在させた状態で野地板3に直接固定される。立壁部202には太陽電池モジュール11のフレーム13bが載せられ、フレーム13bは第2押え金具52及びボルト210を用いて軒端ベース金具200に固定される。立壁部202のフレーム13bが載せられる部分には複数の突起204が形成されている。
軒端ベース金具200は、立壁部202が脚部201よりも軒側に大きく延びている点で、脚部31と立壁部32の棟軒方向長さが同じであるベース金具30と異なる。そして、立壁部202の軒側端部に第2押え金具52等が固定される連結部203が設けられている。第2押え金具52は、連結部203との間に後述する軒カバー220のベース部221を介在させた状態で連結部203に固定される。屋根1の軒先には図示しない鼻隠し板等が設けられるため、軒端ベース金具200ではネジ209が取り付けられる脚部201を金具の棟側部分のみに設け、ネジ209により鼻隠し板等が損傷することを防止している。
図10に示す例では、屋根1の軒先に軒先唐草5が設けられている。軒先唐草5は、ベースプレート21と野地板3の間に挿し込まれ、図示しないネジを用いて野地板3に固定される。なお、ベースプレート21は軒先唐草5が挿し込まれた部分が盛り上がっている。軒端ベース金具200は、脚部201よりも軒側にベースプレート21に当接する脚部207を有する。脚部207にはネジ209が取り付けられず、脚部207はベースプレート21の盛り上がった部分に当接している。
連結部203には、ベース金具30の連結部33と同様に、ボルト210が取り付けられるネジ孔205(図11参照)が形成されている。また、連結部203は、ボルト210の取り外しを考慮して棟側から軒側に向かって下方に傾斜しており、連結部203の棟側端部には壁部206が形成されている。フレーム13bの外溝18bに挿し込まれる第2押え金具52は、ボルト210により連結部203に固定される。本実施形態では、中間部の取り付け構造の場合と同様に、太陽電池モジュール11の軒側端部にカバー70が取り付けられ、カバー70は第2押え金具52を介して連結部203に固定されている。
カバー70の下には、軒カバー220を取り付けることが好適である。軒カバー220は、上述の通りカバー70と略同一の長さを有する長尺状の部材であって、カバー70の下から野地板3までの隙間を覆い、太陽光発電装置10及び屋根1の意匠性を向上させる。軒カバー220は、連結部203上に設置されるベース部221を有し、ベース部221には、棟側端部にボルト210が挿通される貫通孔222(図11参照)が形成されている。ベース部221は、途中で下方に折れ曲がり、ベース部221の表面がカバー70の表面と略面一となるように断面略L字状に形成されている。図10に示す例では、軒カバー220の下部にジョイント金具225が収容されるジョイント収容部224が設けられている。ジョイント金具225は、桁方向に隣接配置される軒カバー220同士を接続するための金具である。ジョイント金具225は、断面略U字形状を有し、同様に断面略U字形状を有するジョイント収容部224に収容され、ネジ226を用いてジョイント収容部224に固定されている。
以上のように、太陽光発電装置10によれば、上記構成を備えた取り付け器具20を用いることで屋根材2の段葺き形状に合わせて太陽電池モジュール11を簡単に取り付けることができる。つまり、太陽光発電装置10は施工が容易であり、太陽光発電装置10が取り付けられた屋根1は太陽電池モジュール11と屋根材2の一体感が高く、意匠性に優れている。また、太陽電池モジュール11及びカバー70の棟軒方向長さを屋根材2の棟軒方向ピッチP2に適合させることで、太陽光発電装置10と屋根材2の一体感がさらに向上する。