以下に、本開示に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本開示の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態、または変形例などが含まれる場合、複数の実施形態または変形例における各構成要素の特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。また、以下では同様の要素には同一の符号を付して説明する。
以下では、2枚の太陽電池モジュールを軒棟方向に並べて設置し、それを軒棟方向に対し直交または交差する方向に複数列設ける場合について説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、3枚以上の太陽電池モジュールが軒棟方向に並んで設置される場合に適用されても良い。
図1は、実施形態の太陽光発電装置において、固定構造10を用いて設置された太陽電池モジュール1a,1bを受光面に対し直交する方向に見た図である。図2は、太陽電池モジュール1a,1bの周縁部に設けられるモジュールフレーム2の横断面図である。図1では、屋根100の軒棟方向が矢印Xで示され、これと直交する方向が矢印Yで示されている。図2では、軒棟方向Xと直交する方向であって、太陽電池パネルの受光面に対し垂直方向が矢印Zで示されている。実施形態の説明では、矢印Xの方向を「軒棟方向X」と呼び、矢印Yの方向を「水平方向Y」と呼び、矢印Zの方向を「垂直方向Z」と呼ぶ。屋根100は棟側から軒側に向かって下り傾斜している。
図1に示すように、各列の太陽電池モジュール1a,1bにおいて、2枚の太陽電池モジュール1a,1bが屋根100の上に軒棟方向Xに並んで設置されている。太陽電池モジュール1a,1bは、それぞれ、複数の太陽電池素子がガラス板等の保護部材で挟持された太陽電池パネルSPと、太陽電池パネルSPの周縁に設置されたモジュールフレーム2とを有する。
実施形態では、太陽電池モジュール1a,1bは、平面視で長方形状をなしている。ここで、「平面視」とは、太陽電池パネルSPの受光面に対し垂直方向Zに見た方向をいう。太陽電池モジュール1a,1bは、短辺方向が軒棟方向Xと平行に設置されている。ただし、太陽電池モジュールは、長方形以外の平面視形状を有してもよく、例えば正方形等の他の形状であってもよい。
太陽電池モジュール1a,1bのモジュールフレーム2は、太陽電池パネルSPの周縁を保護すると共に、太陽電池モジュール1a,1bを後述する架台フレーム12に取り付けるための部材として機能する。モジュールフレーム2は、例えば、アルミニウム等の金属材料を押出成形して形成される長尺状の部材である。モジュールフレーム2は、図2に示すように、垂直方向Zに長い略矩形状をなす断面形状を有し、上部に太陽電池パネルSPの周縁部を収納する内側溝部3が形成されている。この内側溝部3内に太陽電池パネルSPの周縁部が挿入されて接着剤などで固定される。
また、モジュールフレーム2は、内側溝部3に隣接して管状部分4を有する。この管状部分4によって、モジュールフレーム2の剛性が高められるとともに、中空状とすることで軽量化が図られている。そして、モジュールフレーム2の管状部分4において、太陽電池パネルSPと反対側の側面下部には、外側溝部5が形成されている。
外側溝部5は、モジュールフレーム2の長手方向となる水平方向Yに沿って伸びるように形成されている。外側溝部5は、太陽電池モジュール1a,1bが組み立てられたときに、太陽電池パネルSPとは反対側、すなわち太陽電池モジュール1a,1bの外側を向いて開口している。さらに、外側溝部5は、後述の図3を参照して軒側金具30または第2棟側金具50の挿入部が挿入される空間である。外側溝部5の奥行深さdは上記の金具30,50の挿入部を完全に収容できる程度に形成されている。
また、モジュールフレーム2のうち、太陽電池パネルSPの軒棟方向Xの一端である軒側周縁に設けられる軒側のモジュールフレーム2の下端部には、図2に示す内側鍔部8が形成される。モジュールフレーム2のうち、太陽電池パネルSPの軒棟方向Xの他端である棟側周縁に設けられる棟側のモジュールフレーム2の下端部にも、同様に内側鍔部8が形成される。内側鍔部8は、対応するモジュールフレーム2において、外側溝部5とは反対側の側面より軒棟方向Xにおいて太陽電池パネルSP側に延びる。実施形態では、外側溝部5と内側鍔部8との受光面側と反対の垂直方向Zの底面が一体となって形成される。
内側鍔部8の軒棟方向Xの先端には、後述の図3を参照して軒側金具30または第1棟側金具40の一部が軒棟方向に面する。軒側金具30または第1棟側金具40の一部は、内側鍔部8の軒棟方向Xの先端と垂直方向Zに重なって配置される。これによって、太陽電池モジュール1a,1bが架台フレーム12への固定作業時に誤って移動して軒側金具30または第1棟側金具40から外れることが防止される。モジュールフレーム2のうち、太陽電池パネルSPの水平方向Yの両端の周縁に設けられるモジュールフレーム2にも共通化のために内側鍔部8が形成されるが、内側鍔部8は省略してもよい。以下では軒側に設けられるモジュールフレーム2を軒側モジュールフレーム2aといい、棟側に設けられるモジュールフレーム2を棟側モジュールフレーム2bという。軒側モジュールフレーム2aは、太陽電池パネルSPの軒側周縁部を保持し、棟側モジュールフレーム2bは、太陽電池パネルSPの棟側周縁部を保持する。
図1を再び参照すると、太陽電池モジュール1a,1bは、固定構造10の一部を構成する複数本、例えば2本の架台フレーム12によって屋根100上に設置されている。架台フレーム12は、屋根100の軒棟方向Xに沿って設置される長尺状の部材である。太陽電池モジュール1a,1bは、水平方向Yに所定間隔を開けて屋根100上に固定された架台フレーム12に載せられて固定されている。実施形態の太陽光発電装置は、軒側及び棟側に設置される2つ以上の太陽電池モジュール1a,1bと、2本以上の架台フレーム12と、後述の取付具(図示せず)と、後述の軒側カバー部材(図示せず)と、固定部材である軒側金具30(図7、図8)、第1棟側金具40(図9〜11)、第2棟側金具50(図12〜14)、及び棟側カバー部材60(図17〜19)とを含む。なお、太陽光発電装置は、太陽電池モジュールとして、1つの太陽電池モジュールのみを含む構成としてもよい。また、太陽電池モジュール1a,1bが設置される屋根100は、例えば、瓦屋根、スレート屋根、金属板屋根等の種々のタイプであってもよい。
図3は、図1のA−A断面図である。屋根上に架台フレーム12が固定され、その架台フレーム12の受光面側に2枚の太陽電池モジュール1a,1bが置かれている。なお、架台フレーム12の軒側端部には、実際には軒側カバー部材(図示せず)が固定される。
架台フレーム12は、屋根の表面に対し取付具(図示せず)によって固定される。例えば取付具は、金属板を曲げ加工して形成されたものが用いられ、ドリルネジを用いて取付具に架台フレーム12を固定する。取付具は、木ネジなどによって屋根の表面を構成する屋根材に固定する。
図4に示すように、架台フレーム12は長尺状の部材であり、上面側に後述のガイドレール部13が形成される。太陽電池モジュール1a、1bのモジュールフレーム2は、このガイドレール部13の上面に載せられて支持される。
架台フレーム12は、例えば、アルミニウムを押出成形することで好適に形成される。架台フレーム12は、ロールフォーミング等によって金属板を連続的に曲げ加工して長尺状の部材としてもよい。
架台フレーム12は、例えば略長方形状の横断面及び端面形状をなす管状部分16を有する。このように管状をなすことで、架台フレーム12を軽量化するとともに高剛性化を図れる。また、架台フレーム12の受光面側には、ガイドレール部13が形成される。ガイドレール部13は、架台フレーム12の水平方向Yの両側から水平方向Yに沿って張り出した張り出し部14a,14bと、管状部分16の上壁に相当するレール底面15とによって構成される。そして、ガイドレール部13は、張り出し部14a,14bの間で開口するとともに、架台フレーム12の長手方向となる軒棟方向Xの両端において開口している。これにより、図4に示すように複数の金具30,40,50のベース部31,41,51の両側縁部がガイドレール部13に係合した状態で架台フレーム12の軒棟方向Xにスライド移動可能になっている。各金具30,40,50は、太陽電池モジュール1aを架台フレーム12に固定するために用いられる。各金具30,40,50の詳細については後で説明する。
図3に戻って、架台フレーム12の棟側端部には後述の棟側カバー部材60が固定されて管状部分16の棟側端開口を覆っている。棟側カバー部材60は、棟側の太陽電池モジュール1bの棟側モジュールフレーム2bを架台フレーム12に固定する機能も有する。架台フレーム12の軒側端部にも軒側カバー部材(図示せず)が固定される。軒側カバー部材も棟側カバー部材60と同様に管状部分16の軒側端開口を覆っている。軒側カバー部材は架台フレーム12に例えばドリルネジで固定される。
次に軒棟方向Xに並んで設置される2枚の太陽電池モジュール1a,1bのうち、軒側の太陽電池モジュール1aを架台フレーム12に固定する構造を説明する。図5は図3のB部拡大図である。図6は図3のC部拡大図である。図3、図5に示すように、太陽電池モジュール1aの軒側モジュールフレーム2aは、軒側固定部材である軒側金具30によって架台フレーム12に固定される。図3、図6に示すように、太陽電池モジュール1aの棟側モジュールフレーム2bは、棟側対面部材である第1棟側金具40と、棟側固定部材である第2棟側金具50とによって架台フレーム12に固定される。
図7は、軒側金具30の斜視図である。図8は、軒側金具30の側面図である。軒側金具30は、架台フレーム12において対応する太陽電池モジュール1aの軒側端部に位置するように、ガイドレール部13に沿って架台フレーム12の軒棟方向Xにスライド移動して設けられ、ガイドレール部13に固定される。また、軒側金具30は、固定ピンとしての後述するボルト70(図5参照)が挿入されて位置決めされる。
軒側金具30は、架台フレーム12のガイドレール部13にスライド可能に係合するベース部31と、ベース部31の軒棟方向両端部に略垂直に立設された第1軒側立壁部34及び第2軒側立壁部36とを有する。第1軒側立壁部34は、ベース部31の軒側端部を曲げ起こすことにより、ベース部31に対し略垂直に立設される。第1軒側立壁部34の受光面側の端部には、第1軒側立壁部34に対し略直角に折れ曲がって棟側に延びる上端板部35が形成される。これによって、上端板部35はベース部31の上側に形成され、第1軒側立壁部34はベース部31と上端板部35を接続する。上端板部35は、軒側金具30において、軒側モジュールフレーム2aの外側溝部5(図5)に挿入される挿入部である。
第2軒側立壁部36は、ベース部31の棟側端部を曲げ起こすことにより、ベース部31に対し略垂直に立設される。第2軒側立壁部36は、軒側モジュールフレーム2aの内側鍔部8(図5)の高さ位置より高くし、かつ内側鍔部8の先端である棟側端(図5の右端)と軒棟方向Xにおいて対向して、太陽電池モジュール1aの外れを阻止する部分である。第2軒側立壁部36は、軒側金具30の移動抑制壁部に相当する。図8では、第1軒側立壁部34及び第2軒側立壁部36の高さを略同じとしているが、第1軒側立壁部34及び第2軒側立壁部36の高さを異ならせてもよい。
各軒側立壁部の幅w1、w2は、ガイドレール部13の上方開口部の幅w3(図4)よりも小さくなるように、ベース部31の幅より小さくなっている。これにより、各立壁部34,36は、ガイドレール部13の各張り出し部14a,14bと干渉しないように構成される。上端板部35の幅は第1軒側立壁部の幅w1と同じである。上端板部35の軒棟方向長さはベース部31の軒棟方向長さより小さい。
軒側金具30のベース部31にはベース側貫通孔32が形成される。ベース側貫通孔32は、上端板部35と重ならないベース部31の棟側の端部近傍に形成される。ベース側貫通孔32には後述するように位置決め用の固定ピンとして、ボルト70(図5)が挿入される。このような軒側金具30は、例えばステンレス合金またはアルミニウム合金などの金属材料により一体に形成される。
図9から図11は、棟側対面部材である第1棟側金具40を示している。第1棟側金具40は、太陽電池モジュール1aの棟側端部を架台フレーム12に固定するために用いられる。図9は、第1棟側金具40の斜視図である。図10は、第1棟側金具40の図9とは異なる方向から見た斜視図である。図11は、第1棟側金具40の側面図である。
第1棟側金具40は、架台フレーム12において太陽電池モジュール1aの棟側端部に位置するように、ガイドレール部13に沿って架台フレーム12の軒棟方向Xにスライド移動して設けられ、ガイドレール部13の上に配置される。第1棟側金具40は、固定ピンとしてのボルト70(図6)が挿入されて架台フレーム12の上に位置決めされる。そして、第1棟側金具40は、棟側モジュールフレーム2bの軒側に面する。第1棟側金具40は、架台フレーム12のガイドレール部13の上にスライドして挿入されるベース部41と、ベース部41から略垂直に立設された立壁部45と、上側対面部である上側対面板部46とを有する。ベース部41は、軒棟方向Xに沿う一対の脚部42と、各脚部42の棟側端部を連結する連結部43とを有し、平面視で略U字形に形成される。連結部43は、水平方向Yに沿って延びる。連結部43の中央部には棟側に突出する半円部44が形成される。半円部44にはボルト70(図6)を挿入するためのベース側貫通孔44aが形成される。一対の脚部42は、軒側への第1棟側金具40の倒れを防止するとともに、ガイドレール部13の張り出し部14a,14bとの接触面積を大きくして棟側モジュールフレーム2bと架台フレーム12との固定部の剛性を高くする。
立壁部45は、ベース部41を構成する連結部43の軒側端部から立設される。立壁部45は、軒棟方向に見た形状が略U字形である。
上側対面板部46は、立壁部45の垂直方向Zの受光面側の端部から、棟側に延びるように立壁部45に対し略直角に曲げて形成される。これにより上側対面板部46は、立壁部45の受光面側の端部から棟側モジュールフレーム2bの内側鍔部8(図6)沿って太陽電池パネルSPの棟側に延びて、太陽電池モジュール1aの垂直方向Zの受光面側への浮き上がりを阻止する部分である。
立壁部45の幅w4(図10)は、ガイドレール部13の上方開口部の幅w3(図4)よりも小さい。これにより、立壁部45は、ガイドレール部13の各張り出し部14a,14bと干渉しないように構成される。水平方向Yの両端部に置ける立壁部45の垂直方向Zの高さは、棟側モジュールフレーム2bの内側鍔部8(図6)の受光面側の上面より高い。立壁部45は、内側鍔部8の先端である軒側端(図6の左端)と軒棟方向において対向して、太陽電池モジュール1aの外れを阻止する第1棟側金具40の移動抑制壁部である。
このような第1棟側金具40は、棟側モジュールフレーム2bの軒側に配置される。第1棟側金具40も、軒側金具30と同様にステンレス合金などの金属材料により一体に形成される。
図12から図14は、棟側固定部材である第2棟側金具50を示している。第2棟側金具50は、太陽電池モジュール1aの棟側端部を架台フレーム12に固定するために用いられる。図12は、第2棟側金具50の斜視図である。図13は、第2棟側金具50の図12とは異なる方向から見た斜視図である。図14は、第2棟側金具50の側面図である。
第2棟側金具50は、架台フレーム12において太陽電池モジュール1aの棟側端部に位置するように、ガイドレール部13に沿って架台フレーム12の軒棟方向Xにスライド移動して設けられ、ガイドレール部13の上に配置される。第2棟側金具50には位置決め用のボルトを挿入するための孔は形成されない。第2棟側金具50は、棟側モジュールフレーム2bの棟側に配置されて、棟側モジュールフレーム2bを架台フレーム12に固定する。第2棟側金具50は、架台フレーム12のガイドレール部13の上にスライドして挿入されるベース部51と、ベース部51から略垂直に立設された立壁部56とを有する。ベース部51は、軒棟方向Xに沿う一対の脚部52と、各脚部52の軒側端部を連結する連結部53とを有し、平面視で略U字形に形成される。連結部53は、水平方向Yに延びる。連結部53のうち、第1棟側金具40(図10)の半円部44と対向する位置には、半円形に窪む凹部54が形成される。これにより、第2棟側金具50の連結部53の軒側端縁は、第1棟側金具40の連結部43の棟側端縁と合致する形状となる。一対の脚部52は、棟側への第2棟側金具50の倒れを防止するとともに、ガイドレール部13の張り出し部14a,14bとの接触面積を大きくして棟側モジュールフレーム2bと架台フレーム12との固定部の剛性を高くする。
立壁部56は、ベース部51を構成する連結部53の棟側端部から立設される。立壁部56は、軒棟方向Xから見た形状が矩形であり、垂直方向Zの受光面側の端部において立壁部56に対し略直角に曲げ形成されて軒側に延びる上端板部57を有する。上端板部57は、第2棟側金具50の挿入部に相当する。立壁部56の幅w5は、ガイドレール部13の上方開口部の幅w3(図4)よりも小さい。これにより、立壁部56は、ガイドレール部13の各張り出し部14a,14bと干渉しないように構成される。第2棟側金具50も、軒側金具30及び第1棟側金具40と同様にステンレス合金などの金属材料により一体に形成される。
また、ベース部51の水平方向Yの両端部には、上側に突出する第1突出部55が形成される。第1突出部55は、ベース部51の端部を、上側にかしめることによって形成される。第1突出部55は、ガイドレール部13の一対の張り出し部14a,14bの下面に接触して、ガイドレール部13に対しベース部51を確実に固定する。また、第1突出部55は、第2棟側金具50とガイドレール部13とを接触させて、太陽電池モジュール1aの金属製の棟側モジュールフレーム2bから金属製の架台フレーム12へのアース用経路を形成するための電気接触部を構成する。
また、上端板部57の水平方向Yの両端部には、下側に突出する第2突出部58が形成される。第2突出部58は、上端板部57の端部を下側にかしめることによって形成される。これによって、図6に示す棟側モジュールフレーム2bの外側溝部5に上端板部57が挿入される際に、第2突出部58は外側溝部5の内面を構成する下面に接触して、外側溝部5の上面と上端板部57の上面とが接触し、外側溝部5に対し上端板部57を確実に固定する。また、第2突出部58は、第2棟側金具50と棟側モジュールフレーム2bとを接触させて、上記のアース用経路を形成するための電気接触部を構成する。なお、第2突出部58は、上側に突出させた構成としてもよい。
上記の図7、図8に示した軒側金具30のベース部31及び上端板部35には、第2棟側金具50のような第1突出部及び第2突出部は形成されていないが、第1突出部及び第2突出部が形成されてもよい。なお、軒側金具30に第1突出部及び第2突出部を形成しない場合において、軒側金具30の板厚を、第1棟側金具40及び第2棟側金具50の板厚より大きくしてもよい。この構成によれば、第2軒側立壁部36を含む軒側金具30の剛性を高くできる。これによって、第2軒側立壁部36に軒側モジュールフレーム2aの内側鍔部8が突き当たる場合でも第2軒側立壁部36の変形を抑制することにより、軒側モジュールフレーム2aが軒側金具30から外れることをより効果的に抑制できる。
図4を参照して、架台フレーム12のレール底面15において、軒棟方向Xに離れた4個所位置にはフレーム側貫通孔18が形成される。各フレーム側貫通孔18は、内側にネジ部を有しない下穴と呼ばれるもので、例えば単なる円形の孔である。各フレーム側貫通孔18は、架台フレーム12を屋根上に載せる前に予め工場などで架台フレーム12に形成される。
4つのフレーム側貫通孔18のうち、軒側の2つの貫通孔18に挿入されたボルト70(図3)によって、軒側金具30と第1棟側金具40とが位置決めされる。4つのフレーム側貫通孔18の残りの2つの貫通孔18は、図3を参照して棟側に設置される太陽電池モジュール1b側の軒側金具30及び第1棟側金具40をボルト70によって位置決めするために用いられる。
太陽電池モジュール1a,1bを架台フレーム12に固定する場合には、架台フレーム12を屋根上に載せる前に、図15に示すように予め架台フレーム12のガイドレール部13に軒側金具30、第1棟側金具40及び第2棟側金具50を係合させている。図15では分かりやすくするためにガイドレール部13のレール底面15を砂地で示している。そして、軒側金具30及び第1棟側金具40のベース側貫通孔32,44a(図7、図10)と、架台フレーム12のフレーム側貫通孔18とを一致させて、ベース側貫通孔32,44aにボルト70を挿入している。これにより、軒側金具30及び第1棟側金具40が架台フレーム12の所定位置に位置決めされる。図15では軒側の太陽電池モジュール1a(図3)に対応して軒側金具30及び第1棟側金具40が架台フレーム12に位置決めされている。この状態で、ガイドレール部13の張り出し部14a,14bは、軒側金具30、第1棟側金具40及び第2棟側金具50のベース部31,41,51の受光面側において軒棟方向Xに伸びて設けられている。
また、図15に示す状態において、棟側の太陽電池モジュール1b(図3)に対応する軒側金具30及び第1棟側金具40も架台フレーム12のガイドレール部13に配置される。太陽電池モジュール1aの固定が完了していない状態では、太陽電池モジュール1bに対応する軒側金具30及び第1棟側金具40は、ボルトによる位置決めは行われない。この理由は、軒側の太陽電池モジュール1aの架台フレーム12への配置の作業性を低下させないように、太陽電池モジュール1bに対応する軒側金具30及び第1棟側金具40を棟側に退避させておくためである。
図6に示すように、軒側金具30、第1棟側金具40が架台フレーム12にボルト70によって位置決めされた状態で、後述のように軒側の太陽電池モジュール1aが架台フレーム12に、直接にまたは軒側金具30、第2棟側金具50を介して載っている。そして、軒側モジュールフレーム2a、棟側モジュールフレーム2bが、軒側金具30、第1棟側金具40に挿入されたボルト70の頭部を覆う。これによってボルト70が架台フレーム12から外れることが阻止される。
そして、第2棟側金具50が第1棟側金具40の棟側に配置される。このとき、第2棟側金具50のベース部51の軒側端縁が第1棟側金具40のベース部41の棟側端縁に突き当たる、または隙間をあけて対向する。そして、太陽電池モジュール1aの棟側モジュールフレーム2bが架台フレーム12に、直接にまたは第2棟側金具50を介して載っている。太陽電池モジュール1aの棟側モジュールフレーム2bに形成された外側溝部5には、第2棟側金具50の上端板部57が挿入されて位置決めされる。この上端板部57の上面に外側溝部5の上面が接触して、上端板部57に棟側モジュールフレーム2bが載っている。このように架台フレーム12上に直接には太陽電池モジュール1aが載らないことが好適である。この理由は後述する。
図16を参照して、軒側の太陽電池モジュール1aを架台フレーム12に固定する際の作業手順を説明する。図16では、左側を軒側、右側を棟側とする。
まず、軒側金具30、第1棟側金具40をボルト70によって位置決めする。次に、図16(a)に示すように、架台フレーム12に位置決めされた軒側金具30に、軒側に設置される太陽電池モジュール1aの軒側モジュールフレーム2aの外側溝部5を係合させる。具体的には、軒側モジュールフレーム2aと軒側金具30の第2軒側立壁部36との干渉を避けるように、棟側から軒側に向かって太陽電池モジュール1aの軒側端部を下げるように太陽電池モジュール1aを架台フレーム12に対し傾斜させる。そして、軒側モジュールフレーム2aの外側溝部5に軒側金具30の上端板部35を挿入するように、架台フレーム12上に太陽電池モジュール1aを配置する。
そして、図16(b)に示すように架台フレーム12に対し平行に太陽電池モジュール1aを配置して、太陽電池モジュール1aを図16(c)の正規の固定位置に比べて棟側に配置した状態から軒棟方向Xの軒側に太陽電池モジュールを移動させる。これによって、太陽電池モジュール1aの棟側モジュールフレーム2bの内側鍔部8が第1棟側金具40の上側対面板部46の下側に挿入される。次に、図16(c)に示すように第2棟側金具50を、架台フレーム12のガイドレール部13に軒側にスライド移動させて、棟側モジュールフレーム2bの外側溝部5に第2棟側金具50の上端板部57を挿入する。これによって、図16(d)に示すように、太陽電池モジュール1aが架台フレーム12に固定される。
上記では軒側に設置される太陽電池モジュール1aの固定構造を説明した。一方、図3を参照して、棟側に設置される太陽電池モジュール1bは、第2棟側金具50の代わりに棟側カバー部材60を用いる。そして、軒側金具30と第1棟側金具40と棟側カバー部材60とによって太陽電池モジュール1bが架台フレーム12に固定される。
図17は、棟側カバー部材60を示す斜視図である。図18は、棟側カバー部材60を受光面側から垂直方向Zに見た図である。図19は、棟側カバー部材60の側面図である。棟側カバー部材60は、図3に示す架台フレーム12の管状部分16の棟側端開口を覆う部材であり、架台フレーム12の棟側端部にドリルネジ72で固定される。
棟側カバー部材60は、架台フレーム12の棟側端開口を全体的に覆う平板部61と、平板部61の上端から2段の階段状に連結される段付き板部62とを有する。段付き板部62は、下側板部63と、下側板部63の軒側端部に連結される立壁部64と、立壁部64の上端部に軒側に延びるように連結される上端板部65とを有する。下側板部63の幅方向両端部は、架台フレーム12のガイドレール部13に係合される。立壁部64及び上端板部65の幅は、ガイドレール部13の上端開口の幅w3(図4)より小さい。棟側カバー部材60は金属材料により形成される。
そして、下側板部63の幅方向両端部には、上側に突出する第1突出部63aが形成される。第1突出部63aの機能は、第1突出部55と同様である。また、下側板部63の2個所位置にはドリルネジ72(図3)を挿通するための貫通孔63bが形成される。各貫通孔63bからドリルネジ72を架台フレーム12のレール底面15に開口を形成しながら挿入することで、棟側カバー部材60が架台フレーム12に固定される。さらに、上端板部65は、棟側に設置される太陽電池モジュール1bの棟側モジュールフレーム2bの外側溝部5に挿入される。これによって、棟側カバー部材60は、上記の第2棟側金具50の一部の機能を有する。太陽電池モジュール1bは、軒側金具30及び第1棟側金具40と棟側カバー部材60とによって架台フレーム12に固定される。また、上端板部65の幅方向両端部には、下側に突出する第2突出部65aが形成される。第2突出部65aの機能は、第2突出部58と同様である。
実施形態の太陽光発電装置の固定構造10では、屋根上で架台フレーム12を固定する場合に、軒側の太陽電池モジュール1aを棟側から軒側金具30及び第1棟側金具40に差し込んだ後、第2棟側金具50をスライドさせて棟側モジュールフレーム2bに係合させればよい。また、その後、棟側の太陽電池モジュール1bを固定する場合には、対応する軒側金具30及び第1棟側金具40と架台フレーム12との貫通孔にボルト70を挿入して位置決めする。それから軒側の場合と同様に太陽電池モジュール1bを棟側から軒側金具30及び第1棟側金具40に差し込めばよい。実施形態の太陽光発電装置の固定構造10を採用することにより、太陽電池モジュール1a,1bの固定作業の作業性の向上を図れる。
第1棟側金具40の上側対面板部46が棟側モジュールフレーム2bの内側鍔部8と重なるように配置される。これによって、太陽電池モジュール1aを架台フレーム12上に仮に配置した後、第2棟側金具50を外側溝部5に挿入する前に作業者が太陽電池モジュール1aを持ち上げようとしても、その浮き上がりを防止できる。このため、この浮き上がりによって軒側金具30の上端板部35と軒側モジュールフレーム2aに応力が加わることを防止でき、軒側金具30と軒側モジュールフレーム2aとの変形を防ぐことができる。
実施形態によれば、軒側金具30及び第2棟側金具50の上端板部35,57が、太陽電池モジュール1aの外側溝部5に挿入される。また、軒側金具30及び第1棟側金具40は、対応するモジュールフレーム2a,2bの内側鍔部8の先端と軒棟方向において対向する第2軒側立壁部36または立壁部45を有する。これによって、太陽電池パネルSPに負荷がかかりモジュールフレーム2a,2bが軒棟方向Xに移動しようとしても、第2軒側立壁部36または立壁部45がモジュールフレーム2a,2bの移動を抑制して、太陽電池モジュール1a,1bが架台フレーム12から脱落することを防止できる。例えば、屋根に設置した後の太陽電池モジュール1a,1bに、風の影響によって太陽電池パネルSPに垂直方向Zの受光面側の向きに応力が加わる場合がある。この応力は、太陽電池パネルSPを介してモジュールフレーム2a,2bにも伝わる。このとき、モジュールフレーム2a,2bは、水平方向Yの中央部分が軒棟方向Xに曲がろうとする。軒側金具30に第2軒側立壁部36を設け、そして、第1棟側金具40に立壁部45を設けることで、モジュールフレーム2a,2bは、軒棟方向Xに曲がることを抑制できる。また、太陽電池モジュール1aの使用時に風の進入などで太陽電池パネルSPに垂直方向Zの力が加わって各モジュールフレーム2a,2bが水平方向Yを軸として倒れるように曲げモーメントが発生する場合がある。この場合に、上記の上側対面板部46によって、太陽電池モジュール1aが対応する金具30,40,50から外れることを防止できる。これについて、図20A,図20Bを用いて説明する。
図20Aは、比較例において、太陽電池パネルSPに垂直方向Zの受光面側に向く力が加わる場合における太陽電池パネルSPの傾斜状態を示す模式図である。比較例では、図20Aに示すように、棟側モジュールフレーム2bの外側に金具80が配置され、さらにガイドレール部13に金具80のベース部82が係合する。また、金具80の板部81が棟側モジュールフレーム2bの外側溝部5に挿入される。このとき、棟側モジュールフレーム2bには矢印P1方向に曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントの支点は、架台フレーム12と棟側モジュールフレーム2bとの接触部であって、金具80と重なる領域である。この支点は、棟側モジュールフレーム2bにおける力点よりも、軒棟方向Xの外側(すなわち太陽電池パネルSPとは反対側)に位置する。そして、上記の曲げモーメントにより軒棟方向X(矢印Q1方向)に棟側モジュールフレーム2bの下端が移動しようとする。このため、金具80の板部81から棟側モジュールフレーム2bが外れる方向に移動する。
一方、図20Bは、実施形態において、太陽電池パネルSPに上方に向く力が加わる場合における太陽電池パネルSPの傾斜状態を示す模式図である。図20Bでは、第2棟側金具50を省略して記載している。実施形態では、棟側モジュールフレーム2bの内側(すなわち太陽電池パネルSP側)に第1棟側金具40が配置される。また、棟側モジュールフレーム2bの内側鍔部8が上側対面板部46と架台フレーム12との間に挿入される。このとき、図20Aに示す比較例と同様に、太陽電池モジュール1aに垂直方向Zの受光面側への力が加わる場合には、棟側モジュールフレーム2bに矢印P2方向に曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントの支点は、架台フレーム12と棟側モジュールフレーム2bとの接触部であって、第1棟側金具40と重なる領域となり、力点よりも軒棟方向Xの内側に位置する。そして上記の曲げモーメントにより水平方向において軒棟方向X(矢印Q2方向)に棟側モジュールフレーム2bの下端が移動しようとする。棟側モジュールフレーム2bの外側溝部5には第2棟側金具50が挿入されているため、第2棟側金具50が棟側モジュールフレーム2bの移動を抑制する。このため、太陽電池モジュール1aの対応する金具30,40,50からの外れを防止でき、耐荷重性能の向上を図れる。
図21は、第2棟側金具50を用いて棟側モジュールフレーム2bを支持する状態を示している図6のD−D断面図である。実施形態の好適な構成では、第2棟側金具50の上端板部57の垂直方向Zの受光面側に棟側モジュールフレーム2bを載せている。そして、棟側モジュールフレーム2bの下面Uと架台フレーム12の上面との間には隙間Gを形成し、棟側モジュールフレーム2bが直接には架台フレーム12に載っていない。この構成によれば、太陽電池モジュール1aに垂直方向Zの架台フレーム12側への力が加わる場合でも、第2棟側金具50が弾性変形してその力を緩和して、架台フレーム12に垂直方向Zの架台フレーム12側への力が加わることを防止できる。これによって、太陽電池モジュール1aの変形が抑制される。詳述すると、太陽電池モジュール1aと架台フレーム12とが接触して配置された状態で太陽電池モジュール1aに垂直方向Zの架台フレーム12側への力が加わった場合、棟側モジュールフレーム2bが優先的に変形する恐れがある。これは、架台フレーム12の剛性が棟側モジュールフレーム2bより高いためである。第2棟側金具50が弾性変形を用いて、垂直方向Zの力を緩和することで、棟側モジュールフレーム2bの変形が抑制される。
なお、上記の実施形態では第1棟側金具40に上側対面板部46を形成しているが、この上側対面板部46は省略してもよい。また、金具の位置決め用のボルト70は、固定ピンとして用いられるので、ボルト70の代わりに単なる棒状のピン、または頭部付きのピンを用いてもよい。
また、上記においては2枚の太陽電池モジュール1a,1bを固定する場合について説明した。一方、3枚以上の太陽電池モジュールを軒棟方向に並べて設置する場合には、図6に示す軒側金具30、第1棟側金具40、第2棟側金具50の配置構成を繰り返して、実施形態と同様に構成すればよい。
また、棟側カバー部材60において、棟側モジュールフレーム2bに挿入するための板部を形成せず、棟側端の太陽電池モジュールは、軒側の固定構造と同様の固定構造で架台フレーム12に固定されてもよい。また、図3等では、軒側及び棟側の太陽電池モジュール1a,1bを固定する第2棟側金具50と軒側金具30とが離れた図としているが、互いに接触させてもよい。また、上記では軒側固定部材、棟側固定部材及び棟側対面部材として金具を用いているが、必要な強度を確保できるのであれば樹脂など金属材料以外の材料により形成されてもよい。