JP7135353B2 - ベースユニット、ディスク駆動装置、ベースユニットの製造方法、およびディスク駆動装置の製造方法 - Google Patents

ベースユニット、ディスク駆動装置、ベースユニットの製造方法、およびディスク駆動装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ベースユニット、ディスク駆動装置、ベースユニットの製造方法、およびディスク駆動装置の製造方法に関する。
従来、ディスクと、モータと、ヘッドと、アクチュエータアッセンブリと、筐体とを備えるディスク駆動装置が知られている。特許第5049017号公報には、この種のディスク駆動装置が開示されている。
この特許第5049017号公報に記載のディスク駆動装置が備えるスピンドルモータは、ディスクを回転駆動する。ヘッドは、ディスク上で情報を記録再生する。アクチュエータアッセンブリは、ヘッドをディスクの半径方向に移動するために設けられる。筐体は、側壁を有し、塵埃発生防止のために全表面に電着塗装が施された鋳物のベースと、当該ベースの側壁と接合される第1のカバーとを有する。
この特許第5049017号公報では、ディスク駆動装置の技術分野において、従来、ベースの側壁と第1のカバーとの接合部付近に電着塗装等があることに起因して、接合時にこの電着塗装等の塗装が燃えることにより、燃焼生成物が溶接部に巻き込まれてしまい、その結果、溶接不良が生じてしまう、という課題があったことが開示されている。
特許第5049017号公報に記載のディスク駆動装置では、この課題を解決するために、ベースの側壁の上部の外周面に、機械加工を施して、当該外周面を、電着塗装および鋳肌の部分が除去された面としている。そして、上記の第1のカバーは、上記のベースの側壁の外形と略同じ大きさで、レーザスポット中心を制御しながら、この第1のカバーの外周部全周にレーザ光照射を行うことにより、ベースの側壁の上面に第1のカバーがレーザ溶接により接合される、としている。特許文献5049017号公報に記載のディスク駆動装置においては、斯かる構成により、溶接部(厳密には、ベースの側壁の上部の外周面)の電着塗装が除去されるので、電着塗装が原因となる溶接不良を無くすことができると考えられる。
特許5049017号公報
しかしながら、上記の特許第5049017号公報に記載のディスク駆動装置では、ベースの側壁の上部の内周面の電着塗装については、何ら触れられていなかった。第1のカバーとベースの側壁とを接合するために、上述のように第1のカバーの外周部全周にレーザ光照射を行った場合、ベースの側壁の上部の内周面の電着塗装にも熱が伝導する虞がある。ベースの側壁の上部の内周面に熱が伝導した場合、当該部分の電着塗装が燃えることにより、燃焼生成物が生じ、当該燃焼生成物が筐体内を飛散する。その結果、筐体内を清浄度が低下することが懸念される。
本発明の目的は、接合時の熱による影響で、ハウジングの壁部の内側壁面の電着塗装膜から燃焼生成物が生じてハウジング内に飛散してしまうことを防止し、ひいてはハウジング内を清浄に保てるようにすることにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
本発明の観点によれば、以下の構成のベースユニットが提供される。すなわち、このベースユニットは、上下方向に延びる中心軸を中心として回転するディスクと、前記ディスクを回転させるモータと、を内部に収容し、別体の蓋部が溶接されることにより、ディスク駆動装置のハウジングを構成する。当該ベースユニットは、モータを支持する支持部と、底板部と、壁部とを有する。前記底板部は、前記支持部から径方向外側へ広がる。前記壁部は、前記底板部の外周部から上方へ延び、平面視で矩形状の開口を形成する。また、前記底板部および前記壁部の表面は、電着塗装膜で覆われた被覆面と、前記電着塗装膜からこのベースユニットの素材が露出した露出面と、を含む。そして、少なくとも前記壁部の上端面、および、当該上端面と連続する前記壁部の内側壁面の一部領域と、前記上端面よりも内側において当該上端面よりも下方に配置され、かつ、 軸方向に対して垂直または斜めに広がる段差面は、前記露出面である。さらに前記壁部は、軸方向に対して垂直な方向に広がる支持面を有する。前記壁部の内側壁面のうち、前記被覆面の上端の位置は、軸方向において、前記支持面よりも上方に配置されるベースユニット。
本発明の観点によれば、接合時の熱による影響で、ハウジングの壁部の内側壁面の電着塗装膜から燃焼生成物が生じてハウジング内に飛散してしまうことを防止し、ひいてはハウジング内を清浄に保つことができる。
図1は、ディスク駆動装置の概略的な構成を示した縦断面図である。 図2は、ベースユニットの上面図である。 図3は、第1実施形態に係るベースユニットの壁部の上端面近傍の様子を示した断面図である。 図4は、第1実施形態に係るディスク駆動装置の製造方法を示したフローチャートである。 図5は、第2実施形態に係るベースユニットの壁部の上端面近傍の様子を示した断面図である。 図6は、第3実施形態に係るベースユニットの壁部の上端面近傍の様子を示した断面図である。 図7は、第4実施形態に係るベースユニットの壁部の上端面近傍の様子を示した断面図である。 図8は、変形例に係るベースユニットの壁部の上端面近傍の様子を示した断面図である。
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、ディスクの回転軸と平行な方向を「軸方向」、ディスクの回転軸に直交する方向を「径方向」、ディスクの回転軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する場合がある。また、本願では、軸方向を上下方向とし、ベース部材に対してカバーが取り付けられる側を上として、各部の形状および位置関係を説明する場合がある。ただし、この上下方向の定義により、本発明に係るベースユニットおよびディスク駆動装置の使用時の向きを限定する意図はない。
<1.ディスク駆動装置の構成>
図1は、ディスク駆動装置100の概略的な構成を示した断面図である。このディスク駆動装置100はハードディスクドライブである。ディスク駆動装置100は、ハウジング101と、モータ102と、ディスク103と、アクセス部104と、支持部21とを備える。モータ102と、ディスク103と、アクセス部104とは、ハウジング101に収容される。
モータ102は、ハウジング101が有するベースユニット20に支持される。モータ102は、ディスク103を保持し、中心軸Cを中心にしてディスク103を回転駆動させる。モータ102は、ハウジング101の後述する底板部22に設けられた支持部21に支持される。ディスク103は、情報が記録される媒体である。アクセス部104は、ディスク103の表面に対して近接・離間してディスク103に記録された情報の読み出し、およびディスク103への情報の書き込み、の少なくともいずれか一方を磁気的に行う。
図1に示すように、ハウジング101は、ベースユニット20と、第1蓋部26と、第2蓋部27と、シール部材28とを備える。ハウジング101は、全体として、モータ102、ディスク103、およびアクセス部104を収容する筐体をなす。
ベースユニット20は、モータ102と、ディスク103と、アクセス部104とを支持する構造体である。図2に、ベースユニット102の平面図を示している。図1および図2に示すように、ベースユニット20は、支持部21と、底板部22と、壁部23と、支持面24とを有する。
支持部21は、上下方向に延びる筒状または柱状の部位であり、モータ102を支持する。底板部22は、支持部21から径方向外側へ平面状に広がる。図2に示すように、底板部22は、平面視で矩形状である。壁部23は、底板部22の外周部から上方へ延び、平面視で矩形状の開口を形成する。
壁部23は、上述した開口の矩形の長辺に相当する1対の長辺壁部231と、上述した開口の矩形の長辺よりも短い短辺に相当する1対の短辺壁部232と、を有する。図2に示すように、ベースユニット20は、底板部22と壁部23とで取り囲まれた第1空間19を有する。第1空間19は、モータ用収容部191と、アクセス部用収容部192とを含む。モータ用収容部191には、支持部21が設けられ、モータ102およびディスク103が収容される。アクセス部用収容部192には、アクセス部104が収容される。
図3に示すように、底板部22および壁部23の表面は、電着塗装膜29で覆われた被覆面(塗装面)と、電着塗装膜29からベースユニット20をなす素材(金属材料)が露出した露出面と、を有する。被覆面は、ベースユニット20をなす素材からパーティクル等の塵埃が発生するのを防止するために設けられる。被覆面が設けられることにより、ハウジング101内に塵埃が飛散することが防止され、当該ハウジング101内が清浄に保たれる。露出面は、様々な事情により被覆面で覆われていることが好ましくない箇所に限り、例えば切削加工により設けられる。
本実施形態のベースユニット20は、アルミニウム合金材料を1対の金型を用いて成型(鋳造)することにより製造される。したがって、本実施形態の露出面は、電着塗装膜29で覆われずに、アルミニウム合金材料が露出した状態の面である。ただし、露出面の表面が、気密性を向上させるための含侵剤等に覆われていてもよい。
図2および図3に示すように、ベースユニット20は、平面視における底板部22の外周部に、支持面24を有する。支持面24は、底板部22の外周部以外の部分の上面よりも上方、かつ壁部23の上端面よりも下方の位置で、軸方向に対して垂直な方向に広がる。支持面24は、壁部23の内側の面に沿って、環状に設けられる。
第1蓋部26は、平面視で壁部23の外形と略同じ大きさ・形状を有する、平板状の部材である。第1蓋部26は、ベースユニット20とは別体で設けられる。第1蓋部26は、壁部23の上端面に、外形同士が一致するように重ね合わされる。そして、壁部23の上端面の外側縁部と第1蓋部26との間にレーザ光が照射されることにより、壁部23に対して第1蓋部26が溶接(接合)される。
第2蓋部27は、平面視で壁部23の外形を若干縮小した大きさ・形状を有する、平板状の部材である。第2蓋部27は、ベースユニット20および第1蓋部26とは別体で設けられる。第2蓋部27は、第1蓋部26の下方かつ壁部23の内側に配置される。第2蓋部27は、ベースユニット20の支持面24に対して、締結部材(図示省略)を用いて固定される。より詳細には、第2蓋部27は、シール部材28を間に介在させた状態で、支持面24に対してネジ止めされる。シール部材28としては、例えば、気密性の高い樹脂からなる環状のガスケットを用いることができる。
第1蓋部26と第2蓋部27とを合わせたものが、本実施形態における蓋部をなしている。ハウジング101の内部空間は、第2蓋部27によって、上述の第1空間19と、第1蓋部26および第2蓋部27の間に位置する第2空間16と、に仕切られる。ハウジング101の壁部23の矩形状の開口が、第1蓋部26と第2蓋部27とで二重に閉塞されることにより、ハウジング101内の気密性が保たれている。また、上述したシール部材28を備えることにより、とりわけ第1空間19の気密性が高く保たれている。ハウジング101の内部空間には、例えば空気よりも低密度の気体であるヘリウムガスが充填されるものとしてもよい。ただし、これに限るものではなく、ハウジング101の内部空間に水素ガス、あるいは空気等が充填されていてもよい。
ここで、上述のように、第1蓋部26は、壁部23の上端面23bに重ね合わされて、壁部23の上端面23bの外側縁部と当該第1蓋部26との間に、全周にわたってレーザ光が照射されることにより、壁部23に対して溶接される。溶接される箇所については、図3中に破線で模式的に示している。なお、図5以降の図面についても同様に、溶接される箇所を破線で示している。このように、ベースユニット20の壁部23の上端面23bに対して第1蓋部26を溶接する際には、壁部23の上端面23bの外側縁部のアルミニウム合金が溶融されるため、当該外側縁部が非常に高温となる。その場合、壁部23の上部の内側壁面にも、高温の熱が伝導する虞がある。壁部23の上部の内側壁面に、溶接に起因する高温の熱が伝導した場合、当該内側壁面の電着塗装膜から燃焼生成物が生じ、当該燃焼生成物がハウジング101内を飛散してしまうという問題が生じ得る。この点、本実施形態に係るディスク駆動装置100は、斯かる問題を解決するために、壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の一部領域を露出面としている。
<2.第1実施形態に係る壁部の上端部周辺の構成>
以下では、第1実施形態に係る壁部23の表面の構成について、図3を参照してより具体的に説明する。図3は、第1実施形態に係るディスク駆動装置100における、ベースユニット20の壁部23の上端面23b近傍の様子を示した縦断面図である。
図3のように、壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の一部領域が、露出面である。別の言い方をすれば、壁部23の表面のうちの、上端面23bと、当該壁部23の内側壁面の矩形状の開口と隣接する一部領域とが、露出面とされている。以下では、壁部23の内側壁面の上述した一部領域を、「露出領域23c」と称する。
露出領域23cは、上述の開口から下方へと延び、シール部材28の高さ位置にまで到っている。別の言い方をすれば、電着塗装膜(被覆面)29は、壁部23の内側壁面の下端からシール部材28の高さまで広がっている。ただし、露出領域23cおよび電着塗装膜29の分布は、これに限るものではない。例えば、電着塗装膜29の上端がシール部材28の高さ位置よりも上方に位置していてもよい。
本実施形態の露出領域23cには、段差面23dが含まれる。段差面23dは、壁部23の上端面23bよりも径方向内側において、当該上端面23bよりも下方に配置され、かつ、軸方向に対して斜めに広がる。この段差面23d、上端面23b、および、段差面23dと上端面23bとを繋ぐ周面23eは、例えば旋盤を用いた公知の切削加工によって、壁部23の内側壁面に形成される。
このように、本実施形態では、壁部23の上部の内側壁面に、電着塗装膜29で覆われていない露出領域23cを形成している。この構成によれば、壁部23と第1蓋部26との溶接時に、壁部23の上部の内側壁面に高温の熱が伝わっても、当該部分には電着塗装膜29が存在しないため、燃焼生成物が生じることはない。よって、溶接時の熱の影響で、電着塗装膜29から燃焼生成物が生じ、これがハウジング101内を汚染してしまう、という問題を抑制できる。
<3.第1実施形態に係るディスク駆動装置の製造工程>
以下では、本実施形態に係るベースユニット20、およびそれを備えるディスク駆動装置100の製造工程について、図4を参照して簡単に説明する。図4は、ディスク駆動装置100の製造工程を示すフローチャートである。
初めに、1対の金型の間に、溶融状態のアルミニウム合金を供給(注入)した後、冷却して硬化させることにより、鋳造物であるベースユニット本体を成型する(ステップS1)。なお、ベースユニット本体は、後工程で電着塗装や切削加工等が施されることにより、完成品としてのベースユニット20となるものである。
次に、ベースユニット本体の表面全体に、電着塗装が施される(ステップS2)。具体的には、例えば、エポキシ系樹脂の塗装材料中にベースユニット本体を浸漬させ、塗装材料とベースユニット本体との間に電流を流すことにより、ベースユニット本体の表面全体に塗装材料を付着させる。これにより、ベースユニット本体の表面が、電着塗装膜29でコーティングされる。
続いて、ベースユニット本体の一部領域が切削加工される(ステップS3)。具体的には、ベースユニット本体の壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する内側壁面の一部領域が切削されることにより、壁部23の上端面23bおよび露出領域23cから、電着塗装膜29およびアルミニウム合金の鋳肌の一部が除去される。なお、より詳細には、上記のベースユニット本体(ベースユニット20)の上端面23bおよび露出領域(一部領域)23cの他に、壁部23の上端部の外側側面も、切削加工される。これにより、図3に示すように、壁部23の外側縁部(溶接部)近傍の外側側面にも、電着塗装膜が存在しない状態とされる。このようにして、ベースユニット20が仕上げられる。
ステップS3でベースユニット20が仕上げられた後、当該ベースユニット20に、モータ102、ディスク103、アクセス部104、シール部材28、および第2蓋部27が組み付けられる(ステップS4)。すなわち、ハウジング101に収容される各部材が、ベースユニット20側に組み付けられる。
続いて、ベースユニット20の壁部23の上端面23bに、第1蓋部26が、外形同士が一致するように重ね合わされる(ステップS5)。
そして、壁部23の上端面23bの外側縁部と第1蓋部26との間にレーザ光が照射される(ステップS6)。このレーザ光照射は、壁部23の全周にわたって行われる。これにより、壁部23に対して第1蓋部26が溶接(接合)される。
ここで、ステップS6においては、ベースユニット20の壁部23の外側縁部近傍が、アルミニウム合金が溶融する程度の温度にまで昇温される。上述したように、このときの熱が、ベースユニット20の壁部23の内側壁面にも伝わってしまう可能性がある。そこで、本実施形態に係るディスク駆動装置100の製造方法においては、図3に示すように、溶接部に比較的近い位置に配置される電着塗装膜29は、ステップS3の過程において予め取り除く。よって、仮にベースユニット20の壁部23の内側壁面に、溶接時の高温の熱が伝わったとしても、電着塗装から燃焼生成物が生じてしまうという問題が生じにくい。
以上に示したように、本実施形態のベースユニット20においては、少なくとも壁部23の上端面23b、および、当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の露出領域(一部領域)23cを、露出面としている。斯かる構成は、以下の点で有利である。すなわち、ベースユニット20をディスク駆動装置100として完成させる場合、第1蓋部26を壁部23の上端面23bに重ね合わせて(ステップS5)、当該壁部23の上端面23bと第1蓋部26との間の外側縁部を溶接する(ステップS6)。この溶接の際、壁部23の上端面23bと連続する、当該壁部23の内側壁面の一部領域にも、熱が伝導する虞があるが、当該一部領域は電着塗装膜29で覆われていない。よって、溶接時の熱による影響で、壁部23の内側壁面の電着塗装膜29から燃焼生成物が生じてハウジング101内に飛散してしまうことを、防止できる。その結果、ハウジング101内を清浄に保つことができる。
また、本実施形態のベースユニット20では、壁部23は、上端面23bよりも内側において当該上端面23bよりも下方に配置され、かつ、軸方向に対して斜めに広がる段差面23dを有する。この段差面23dは、露出面である。これによれば、例えばハウジング101の表面全体に電着塗装膜29を形成した後(ステップS2)、簡単な切削加工によって(ステップS3)、ハウジング101の壁部23の内側壁面に、露出面としての段差面23dを形成することができる。
また、本実施形態のベースユニット20では、ハウジング101の内部空間は、第2蓋部27によって、第1空間19と第2空間16とに仕切られる。第1空間19には、ディスク103、モータ102、およびアクセス部104が配置される。第2蓋部27と壁部23との間であって、第2蓋部27の下側にはシール部材28が介在する。そして、壁部23の内側壁面のうち、電着塗装膜(被覆面)29の上端の位置は、軸方向において、シール部材28の位置と同じかそれよりも上方に配置される。これにより、仮にハウジング101の壁部23の内側壁面の露出面からアルミニウム合金のパーティクルが生じたとしても、当該パーティクルは、シール部材28に遮られることにより、ディスク103等が配置される第1空間19には入り込み難い。よって、第1空間19内の清浄度を保つことができる。
<4.第2実施形態に係る壁部の上端部周辺の構成>
以下では、第2実施形態に係る壁部23の表面の構成について、図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係るディスク駆動装置200における、ベースユニット20の壁部23の上端面近傍の様子を示した縦断面図である。なお、以降の説明においては、上述した実施形態と同様の構成・機能の部材については、上述したのと同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。
図5のように、本実施形態においても、壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の露出領域(一部領域)23fが、露出面である。すなわち、本実施形態のベースユニット20は、第1実施形態に係る露出領域23cに代えて、露出領域23fを有している。
露出領域23fは、矩形状の開口から下方へと延び、第2蓋部27の高さ位置にまで到っている。別の言い方をすれば、電着塗装膜(被覆面)29の上端が第2蓋部27の高さ位置に配置されている。ただし、露出領域23cおよび電着塗装膜29の分布は、これに限るものではない。例えば、電着塗装膜29の上端が第2蓋部27の高さ位置よりも上方に位置していてもよい。
本実施形態の露出領域23fには、第1傾斜面23gと第2傾斜面23hとが含まれる。第1傾斜面23gは、上端面23bから下方に向かうにつれて徐々にこの壁部23の外側壁面23jに近づくテーパ面である。第2傾斜面23hは、第1傾斜面23gの下端からさらに下方に向かうにつれて徐々にこの壁部23の外側壁面23jから遠ざかるテーパ面である。第1傾斜面23gおよび第2傾斜面23hは、切削加工によって、壁部23の内側壁面に形成される。ベースユニット本体の壁部23の内側壁面が切削されることによって、第1傾斜面23gおよび第2傾斜面23hは露出面とされる。
本実施形態の構成によれば、例えばベースユニット本体の表面全体に電着塗装膜29を形成した後、公知の方法の切削加工によって、断面視においてくさび状の形状に切削することで、露出面としての傾斜面23g,23hを形成することができる。この場合、切削加工によって壁部23の一部の肉厚が薄くなっても、壁部23の上端面23bの厚みLは比較的大きく確保することができる。よって、第1蓋部26との溶接時における熱による影響が、ハウジング101の壁部23の内側壁面の被覆面に及んでしまう虞を、より一層低減することができる。
また、本実施形態のベースユニット20では、壁部23の内側壁面のうち、電着塗装膜(被覆面)29の上端の位置は、軸方向において第2蓋部27の位置と同じかそれよりも上方に配置される。これにより、仮にハウジング101の壁部23の内側壁面の露出領域23fからアルミニウム合金のパーティクルが生じたとしても、当該パーティクルは、第2蓋部27およびシール部材28の両方に遮られることにより、ディスク103等が配置される第1空間19内には侵入しない。よって、第1空間19内の清浄度をより高く保つことができる。
<5.第3実施形態に係る壁部の上端部周辺の構成>
以下では、第3実施形態に係る壁部23の表面の構成について、図6を参照して説明する。図6は、第3実施形態に係るディスク駆動装置300における、ベースユニット20の壁部23の上端面23b近傍の様子を示した縦断面図である。
図6のように、本実施形態においても、壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の露出領域(一部領域)23kが、露出面である。すなわち、本実施形態のベースユニット20は、第1実施形態に係る露出領域23cに代えて、露出領域23kを有している。
露出領域23kは、壁部23の上端面23bの内側縁部から内側かつ下側へ広がり、下方に向かうにつれてこの壁部23の外側壁面23jから徐々に遠ざかる凸状の曲面23mを有する。上端面23bおよび曲面23mは、一連の切削加工によって、壁部23の上端部に形成される。ベースユニット本体の壁部23の上端部が切削されることによって、上端面23bおよび曲面23mは露出面とされる。
本実施形態の構成によれば、例えばベースユニット本体の表面全体に電着塗装膜29を形成した後、壁部23の上端面23bと曲面23mとが露出面となるように、切削刃の角度を変化させながら当てる一続きの切削加工によって、効率よく加工することができる。よって、一部領域(露出領域)を形成するために行う加工の工数を低減することができる。
<6.第4実施形態に係る壁部の上端部周辺の構成>
以下では、第4実施形態に係る壁部23の表面の構成について、図7を参照して説明する。図7は、第4実施形態に係るディスク駆動装置400における、ベースユニット20の壁部23の上端面23b近傍の様子を示した縦断面図である。
図7のように、本実施形態においても、壁部23の上端面23b、および当該上端面23bと連続する壁部23の内側壁面の露出領域(一部領域)23nが、露出面である。すなわち、本実施形態のベースユニット20は、第1実施形態に係る露出領域23cに代えて、露出領域23nを有している。
露出領域23nは、段差面23pを有する。段差面23pは、壁部23の上端面23bよりも内側において当該上端面23bよりも下方に配置され、かつ、軸方向に対して垂直に広がる。本実施形態では、ベースユニット本体の壁部23が切削加工されることにより、段差面23p、および、段差面23pと上端面23bとを繋ぐ周面23qが、露出面とされる。また、図7に示すように、段差面23pと第2蓋部27とが、軸方向に見たときに所定量Wだけ重なっている。別の言い方をすれば、軸方向に見たときに、段差面23pと第2蓋部27とが一部オーバーラップしている。
本実施形態の構成によれば、ベースユニット本体の壁部23の内側壁面を切削加工することによりできた溝状のスペースに、第2蓋部27の外周部を配置することができ、上記溝状のスペースを有効活用した合理的なレイアウトが実現する。また、ハウジング101の、ディスク103等が配置される領域内の清浄度を、より一層高く保つことができる。より具体的には、第2蓋部27の周面と、周面23qと、の隙間が小さいので、仮に周面23qからパーティクルが生じたとしても、当該パーティクルがこの隙間を通って第1空間19側に入り込んでしまう可能性を低く抑えることができる。
<7.変形例に係る壁部の上端部周辺の構成>
続いて、変形例に係る壁部23の表面の構成について、図8を参照して簡単に説明する。図8は、変形例に係るディスク駆動装置700における、ベースユニット20の壁部23の上端面23b近傍の様子を示した縦断面図である。
変形例に係る露出領域23wは、径方向に垂直な曲面である周面23xを有する。変形例に係る周面23xは、切削加工以外の方法で露出面とされる点で、上記の実施形態のいずれとも異なっている。具体的には、変形例に係るベースユニット20を製造するに際しては、上述したステップS2において、周面23xに対応する領域がマスキングされた状態で、ベースユニット本体の表面に電着塗装が施される。そして、このステップS2に続いて行われるステップS3では、この周面23xに対応する領域は切削加工されない。こうして、変形例では、壁部23の内側壁面の、電着塗装膜29で覆われる被覆面と、周面23xとが、略面一とされる。
本変形例の構成によれば、壁部23の上端部における厚みLをなるべく大きく確保できる。よって、溶接時の熱の影響が、壁部23の内側壁面の電着塗装膜29に及んでしまう虞を、大幅に低減できる。
<8.その他の変形例に係る壁部の上端部周辺の構成>
以上、本発明のいくつかの実施形態および変形例について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したものに種々の変更を加えることが可能である。
上記の実施形態では、露出領域に、軸方向に対して垂直または斜めに広がる段差面が1つ含まれる例を示したが、これに限るものではない。すなわち、露出領域に、上記のような段差面が2つ以上含まれていてもよい。
上記の第3実施形態では、露出領域に含まれる曲面23mは、凸状の曲面であるものとしたが、これに限るものではなく、例えば上記に代えて、凹状の曲面としてもよい。
第2蓋部27とシール部材28とは、省略してもよい。
上記の第1実施形態において、段差面23dを、軸方向に対して垂直に広がる面としてもよい。また、上記の第4実施形態において、段差面23pを、軸方向に対して斜めに広がる傾斜面としてもよい。
上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
本発明は、ベースユニット、ディスク駆動装置、ベースユニットの製造方法、およびディスク駆動装置の製造方法に、利用できる。
16 第2空間
19 第1空間
20 ベースユニット
21 支持部
22 底板部
23 壁部
23b 上端面
23c 露出領域(一部領域)
23d 段差面
23e 周面
26 第1蓋部(蓋部)
27 第2蓋部(蓋部)
28 シール部材
29 電着塗装膜
100 ディスク駆動装置
101 ハウジング
102 モータ
103 ディスク
104 アクセス部
231 長辺壁部
232 短辺壁部
C 中心軸

Claims (4)

  1. 上下方向に延びる中心軸を中心として回転するディスクと、前記ディスクを回転させるモータと、を内部に収容し、別体の蓋部が溶接されることにより、ディスク駆動装置のハウジングを構成するベースユニットであって、
    前記モータを支持する支持部と、
    前記支持部から径方向外側へ広がる底板部と、
    前記底板部の外周部から上方へ延び、平面視で矩形状の開口を形成する、壁部と、
    を有し、
    前記底板部および前記壁部の表面は、
    電着塗装膜で覆われた被覆面と、
    前記電着塗装膜からこのベースユニットの素材が露出した露出面と、
    を含み、
    少なくとも前記壁部の上端面、および、当該上端面と連続する前記壁部の内側壁面の一部領域と、前記上端面よりも内側において当該上端面よりも下方に配置され、かつ、 軸方向に対して垂直または斜めに広がる段差面は、前記露出面であり、
    さらに前記壁部は、軸方向に対して垂直な方向に広がる支持面を有し、
    前記壁部の内側壁面のうち、前記被覆面の上端の位置は、軸方向において、前記支持面よりも上方に配置されるベースユニット。
  2. 請求項1に記載のベースユニットを備えるディスク駆動装置であって、
    前記蓋部は、
    前記壁部に重ね合わされて、前記壁部の前記上端面の外側縁部に溶接される第1蓋部と、
    前記第1蓋部の下方かつ前記壁部の内側に配置される第2蓋部と、
    を有し、
    前記ハウジングの内部空間は、前記第2蓋部によって、
    前記ハウジングと前記第2蓋部とにより取り囲まれて形成され、前記ディスク、前記モータ、並びに前記ディスクに対して情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行うアクセス部、が配置される第1空間と、
    前記第1蓋部と前記第2蓋部との間に位置する第2空間と、
    に仕切られ、
    前記第2蓋部と前記壁部との間に介在するとともに、前記第2蓋部の下方に配置されるシール部材をさらに備え、
    前記壁部の内側壁面のうち、前記被覆面の上端の位置は、軸方向において、前記シール部材の位置と同じかそれよりも上方に配置される、ディスク駆動装置。
  3. 請求項2に記載のディスク駆動装置であって、
    前記壁部の内側壁面のうち、前記被覆面の上端の位置は、軸方向において前記第2蓋部の位置と同じかそれよりも上方に配置される、ディスク駆動装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のディスク駆動装置であって、
    前記段差面は、軸方向にみたとき、前記段差面と、前記第2蓋部とが、一部重なっている、ディスク駆動装置。
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