JP6845686B2 - 突起形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ金属肉盛(以下、「LMD」という。)を用いた突起形成方法に関する。また、本発明は、その突起形成方法により得られた製品が部品として組み込まれた機械に関する。
従来から、LMDを用いて突起を形成することが行われている。このようにLMDを用いて突起を形成すれば、TIG溶接などの溶接により突起を形成する場合に比べて、熱影響部(HAZ)を小さく抑えることができる。例えば、特許文献1には、図13(a)〜(d)に示すようにして突起を形成する方法が開示されている。
具体的に、特許文献1に開示された突起形成方法では、まず、図13(a)に示すように、LMDにより、ワーク110の表面上に、互いに離間するように複数の第1ビード121を形成する。ついで、図13(b)に示すように、LMDにより、第1ビード121の間に複数の第2ビード122を形成する。これにより、初層が形成される。その後、図13(c)および(d)に示すように、第1ビード121および第2ビード122の形成と同様に、第3ビード123および第ビード124が形成され、嵩上げ層が形成される。
特開2005−152918号公報
しかしながら、特許文献1に開示された突起形成方法では、実際には、嵩上げ層を形成する際のエッジでの溶融部の流下を防止するために、図13(d)に示すように両端に位置する第3ビード123を第1ビード121の真上に形成することができず、両端に位置する第3ビード123を、図14に示すように、第1ビード121の真上から少し内側に寄った位置に形成しなければならない。これは、第3ビード123上に第5ビード125を形成する場合も同様である。その結果、断面形状が略台形または略三角形の突起しか形成することができない。従って、その突起を機械加工して柱状体などを削り出す場合には、比較的に大きな突起を形成する必要があり、無駄が多い。
そこで、本発明は、LMDを用いてほぼ一定の幅で立ち上がる突起を形成することができる突起形成方法、およびその突起形成方法により得られた製品が部品として組み込まれた機械を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の突起形成方法は、ワークの表面に突起を形成する方法であって、LMDにより、前記ワークの表面上の突起形成領域を囲うように第1堤防を形成する工程と、LMDにより、前記突起形成領域上に、前記第1堤防を覆うように初層を形成する工程と、LMDにより、前記初層上に少なくとも1つの第1嵩上げ層を積層する工程と、LMDにより、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層の周縁に沿って第2堤防を形成する工程と、LMDにより、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層上に、前記第2堤防を覆うように中間ベース層を形成する工程と、LMDにより、前記中間ベース層上に少なくとも1つの第2嵩上げ層を積層する工程と、を含む、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、第1堤防を覆うように形成された初層上に第1嵩上げ層が積層されるので、第1嵩上げ層を形成する際のエッジでの溶融部の流下が初層を介して第1堤防により抑制される。従って、第1嵩上げ層の周縁を初層の周縁に一致させることができる。さらに、第1嵩上げ層の周縁に沿って第2堤防が形成され、その第2堤防を覆うように形成された中間ベース層上に第2嵩上げ層が積層されるので、第2嵩上げ層を形成する際のエッジでの溶融部の流下が中間ベース層を介して第2堤防により抑制される。従って、第2嵩上げ層の周縁を中間ベース層の周縁に一致させることができる。これにより、ほぼ一定の幅で立ち上がる突起を形成することができる。
前記第1堤防および前記第2堤防のそれぞれは、環状であってもよい。この構成によれば、柱状の突起を形成することができる。
前記ワークは筒状であり、前記ワークの表面は前記ワークの内周面または外周面であり、前記突起形成領域は周方向に連続するリング状であり、前記第1堤防および前記第2堤防のそれぞれは、前記ワークの軸方向で互いに対向する一対のビードを含んでもよい。この構成によれば、フランジ状の突起を形成することができる。
前記ワークの表面は円錐状であり、前記第1堤防の前記一対のビードのうち大径側のビードの高さは小径側のビードの高さよりも高くてもよい。この構成によれば、円錐面に対して良好に突起を形成することができる。
前記初層を形成する際は、前記第1堤防の内側に少なくとも2列のビードを形成してもよい。この構成によれば、比較的に幅が広い突起を形成することができる。
例えば、前記第1堤防の高さは、前記少なくとも2列のビードの高さの20%以上であってもよい。
例えば、前記初層を構成するビードであって前記第1堤防を構成するビードの真上に位置するビードは、前記第1堤防を構成するビードの少なくとも頂点を覆うように形成されてもよい。
例えば、前記ワークは、チタン合金からなってもよい。
突起の完成後に、前記第1堤防および前記第2堤防を取り除くように、前記突起を機械加工してもよい。この構成によれば、突起を機械加工することによって削り出される最終凸部に高い強度を確保することができる。
また、本発明の機械は、上記の突起形成方法により得られた製品が部品として組み込まれたことを特徴とする。
本発明によれば、LMDを用いてほぼ一定の幅で立ち上がる突起を形成することができる。
(a)は本発明の第1実施形態に係る突起形成方法で使用されるワークの平面図、(b)はそのワークの側面図である。 (a)は第1実施形態において第1堤防が形成された後のワークの平面図、(b)は(a)のII−II線に沿ったワークの断面図である。 LMD装置のノズルの拡大断面図である。 第1実施形態において初層が形成された後のワークの断面図である。 第1実施形態において第1嵩上げ層が形成された後のワークの断面図である。 第1実施形態において第2堤防が形成された後のワークの断面図である。 第1実施形態において中間ベース層が形成された後のワークの断面図である。 第1実施形態において第2嵩上げ層が形成された後のワークの断面図である。 第1実施形態における突起の断面図である。 実際に形成した突起の写真である。 本発明の第2実施形態に係る突起形成方法で使用されるワークの断面図である。 第2実施形態における突起の断面図である。 (a)〜(d)は、従来のLMDを用いた突起形成方法を説明するための図である。 従来のLMDを用いた突起形成方法で実際に形成される突起の断面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る突起形成方法は、図1(a)および(b)に示すように、ワーク(加工対象品)1の表面11に柱状の突起8Aを形成する方法である。
本実施形態では、突起8Aが平面視で矩形状である。図例では、突起8Aが平面視で長方形状であるが、突起8Aは平面視で正方形状であってもよい。あるいは、突起8Aは、平面視で円形状、楕円形状などの矩形状以外の形状であってもよい。
本実施形態の突起形成方法は、第1堤防形成工程、初層形成工程、第1嵩上げ層形成工程、第2堤防形成工程、中間ベース層形成工程および第2嵩上げ層形成工程を含む。これらの形成工程により、本実施形態の突起形成方法で形成される突起8Aは、少なくとも4層の積層構造を有する。以下、これらの工程を詳細に説明する。
(1)第1堤防形成工程
本工程では、図2(a)および(b)に示すように、LMDにより、ワーク1の表面11上の突起形成領域12(図1(a)参照)を囲うように第1堤防2を形成する。本実施形態では、第1堤防2が、突起形成領域12の輪郭を内側からなぞるように形成される。ただし、第1堤防2は、突起形成領域12の輪郭を外側からなぞるように形成されてもよい。あるいは、第1堤防2は、突起形成領域12の輪郭を跨ぎながらなぞるように形成されてもよい。例えば、第1堤防2の中心線が突起形成領域12の輪郭と一致してもよい。突起8Aは平面視で矩形状の柱状であるため、突起形成領域12は矩形状であり、第1堤防2は環状である。
本実施形態では、LMDを行うために、図3に示すようなLMD装置が用いられる(他工程でも同様)。LMD装置は、ワーク1の表面11にノズル9からレーザ光91を放出して表面11を溶融しながら金属粉体92を噴射する。レーザ光91の光軸方向は、鉛直方向である。このようにして、第1堤防2を構成する4本のビード(長辺ビード21,22および短辺ビード23,24)を形成する。ただし、LMD用の供給金属は必ずしも金属粉体92である必要はなく、例えばワイヤであってもよい。
ワーク1を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、ワーク1はチタン合金からなる。供給金属は、ワーク1と同一の組成を有してもよいし、異なる組成を有してもよい。例えば、ワーク1がチタン合金からなる場合は、供給金属はワーク1と同一または異なるチタン合金であってもよいし、チタン合金以外の合金であってもよい。
第1堤防2を構成するビード21〜24は、比較的に小さいものである。例えば、第1堤防2を構成するビード21〜24は、後述する初層3を構成するビード31〜36よりも小さいことが望ましい。このような小さいビード21〜24は、例えば、レーザの出力を小さくするか、供給金属の供給量を少なくすることで形成することができる。
(2)初層形成工程
本工程では、図4に示すように、LMDにより、突起形成領域12(図1(a)参照)上に、第1堤防2を覆うように初層3を形成する。初層3は、平面状に並ぶ複数のビードで構成される。初層3を形成する際は、第1堤防2の内側に少なくとも2列のビードを形成することが望ましい。比較的に幅が広い突起8Aを形成することができるからである。本実施形態では、第1堤防2の長辺ビード21,22と平行な6つのビード31〜36を形成することで初層3を形成する。すなわち、両端に位置するビード31,36は第1堤防2の長辺ビード21,22の真上に位置する。その他の4つのビード32〜35は第1堤防2の内側に位置する。ただし、ビード31〜36は、第1堤防2の短辺ビード23,24と平行であってもよい。また、初層3を構成するビードの数は適宜変更可能である。
本実施形態では、ビードの個数と列数が一致しているが、必ずしもこれらは一致する必要はない。例えば、複数列のビードを1つのビードで形成してもよい(ジグザグ状のビードなど、個数としては1つだが、列数としては複数となるものを想定)。
初層3を構成するビードであって第1堤防2を構成するビードの真上に位置するビードは、第1堤防2を構成するビードの少なくとも頂点を覆うように形成されることが望ましい。本実施形態では、初層3の両端に位置するビード31,36が、第1堤防2の長辺ビード21,22の少なくとも頂点を覆うように形成される。また、本実施形態では、品質の面から、全てのビード31〜36がほぼ同じLMD条件で形成される。このため、両端に位置するビード31,36の頂点は、第1堤防2の内側に位置するビード32〜35の頂点よりも高い。すなわち、初層3の表面は、周縁に向かって盛り上がっている。
初層3を構成するビードであって第1堤防2を構成するビードの真上に位置するビード(本実施形態では、ビード31,36のそれぞれ)は、当該ビードの中心が第1堤防2を構成するビード(本実施形態では、長辺ビード(21または22))の中心と一致する位置から内側に位置するように形成されることが望ましい。これにより、初層3の表面を、周縁に向かって効率的に盛り上げることができる。例えば、初層3を構成するビードのうち第1堤防2を構成するビードの真上に位置するビードは、当該ビードの外側エッジが第1堤防2を構成するビードの外側エッジと一致するように形成されてもよい。
図4では、ビード31〜36が左側から右側に向かう順に形成される場合を示すが、ビード31〜36の形成順はこれに限られない。例えば、両端に位置するビード31,36が先に形成され、その後にビード32,35が形成され、最後にビード33,34が形成されてもよい。なお、ビードの形成順が図4に示す例に限定されない点は、後述する第1嵩上げ層4、中間ベース層6および第2嵩上げ層7でも同様である。
第1堤防2の高さH1は、第1堤防2の内側に位置するビード32〜35の高さH2の20%以上であることが望ましい。H1<0.2×H2であれば、初層3の表面における周縁に向かった盛り上がりが不十分となるおそれがあるからである。なお、第1堤防2は、例えば、0.1×H2の高さのビードを2つ積み上げて0.2×H2の高さとしてもよい。より望ましくは、第1堤防2の高さH1は、ビード32〜35の高さH2の40%以上である。また、第1堤防2の高さH1は、第1堤防2の内側に位置するビード32〜35の高さH2よりも低いことが望ましい(H1<H2)。
(3)第1嵩上げ層形成工程
本工程では、図5に示すように、LMDにより、初層3上に少なくとも1つの第1嵩上げ層4を積層する。各第1嵩上げ層4は、平面状に並ぶ複数のビードで構成される。本実施形態では、初層3と同様に、第1堤防2の長辺ビード21,22と平行な6つのビード41〜46を形成することで各第1嵩上げ層4を形成する。つまり、ビード41〜46は、それぞれ初層3を構成するビード31〜36の真上に位置する。本実施形態では、第1嵩上げ層4の数は1つであるが、第1嵩上げ層4の数は複数であってもよい。
第1嵩上げ層4は、当該第1嵩上げ層4の周縁が初層3の周縁に一致するように形成される。つまり、第1嵩上げ層4と初層3とは、ほぼ同じ大きさで重なり合っている。
(4)第2堤防形成工程
本工程では、図6に示すように、LMDにより、第1嵩上げ層4の周縁に沿って第2堤防5を形成する。換言すれば、第2堤防5は、第1嵩上げ層4の輪郭を内側からなぞるように形成される。上述したように突起形成領域12が矩形状であるため、第2堤防5は第1堤防2と同様に環状である。
第2堤防5を構成するビードは、比較的に小さいものである。例えば、第2堤防5を構成するビードは、第1嵩上げ層4を構成するビード41〜46および後述する中間ベース層6を構成するビード61〜66よりも小さいことが望ましい。このため、第2堤防5の長辺ビード51,52は、第1嵩上げ層4の両端に位置するビード41,46の外側部分のみを覆い、ビード41,46の内側部分が露出している。このような小さいビードは、例えば、レーザの出力を小さくするか、供給金属の供給量を少なくすることで形成することができる。
第2堤防5を構成するビードのうち少なくとも長辺ビード51,52の頂点は、第1嵩上げ層4を構成するビード41〜46のどのビードの頂点よりも高い位置にある。
(5)中間ベース層形成工程
本工程では、図7に示すように、LMDにより、第1嵩上げ層4上に、第2堤防5を覆うように中間ベース層6を形成する。中間ベース層6は、平面状に並ぶ複数のビードで構成される。より詳しくは、初層3と同様に、第1堤防2の長辺ビード21,22と平行な6つのビード61〜66を形成することで中間ベース層6を形成する。
つまり、両端に位置するビード61,66が第2堤防5の長辺ビード51,52の真上に位置し、その他の4つのビード62〜65が第2堤防5の内側に位置する。中間ベース層6を構成するビードのうち第2堤防5を構成するビードの真上に位置するビードは、第2堤防5を構成するビードの少なくとも頂点を覆うように形成されることが望ましい。本実施形態では、中間ベース層6の両端に位置するビード61,66が、第2堤防5の長辺ビード51,52の少なくとも頂点を覆うように形成される。また、本実施形態では、品質の面から、全てのビード61〜66がほぼ同じLMD条件で形成される。このため、両端に位置するビード61,66の頂点は、第2堤防5の内側に位置するビード62〜65の頂点よりも高い。すなわち、中間ベース層6の表面は、周縁に向かって盛り上がっている。
中間ベース層6を構成するビードのうち第2堤防5を構成するビードの真上に位置するビード(本実施形態では、ビード61,66のそれぞれ)は、当該ビードの中心が第2堤防5を構成するビード(本実施形態では、長辺ビード(51または52))の中心と一致する位置から内側に位置するように形成されることが望ましい。これにより、中間ベース層6の表面を、周縁に向かって効率的に盛り上げることができる。例えば、中間ベース層6を構成するビードのうち第2堤防5を構成するビードの真上に位置するビードは、当該ビードの外側エッジが第2堤防5を構成するビードの外側エッジと一致するように形成されてもよい。
(6)第2嵩上げ層形成工程
本工程では、図8に示すように、LMDにより、中間ベース層6上に少なくとも1つの第2嵩上げ層7を積層する。各第2嵩上げ層7は、平面状に並ぶ複数のビードで構成される。本実施形態では、初層3と同様に、第1堤防2の長辺ビード21,22と平行な6つのビード71〜76を形成することで各第2嵩上げ層7を形成する。つまり、ビード71〜76は、それぞれ中間ベース層6を構成するビード61〜66の真上に位置する。本実施形態では、第2嵩上げ層7の数は1つであるが、第2嵩上げ層7の数は複数であってもよい。
第2嵩上げ層7は、当該第2嵩上げ層7の周縁が中間ベース層6の周縁に一致するように形成される。つまり、第2嵩上げ層7と中間ベース層6とは、ほぼ同じ大きさで重なり合っている。
以上の工程により、突起8Aを形成することができる。また、第2堤防形成工程、中間ベース層形成工程および第2嵩上げ層形成工程を繰り返せば、高さの高い突起8Aを形成することができる。
突起8Aが付加されたワーク1はそのまま製品として使用されてもよいが、図9中に二点鎖線で示すように、突起8Aの完成後に、第1堤防2および第2堤防5を取り除くように、突起8Aを機械加工してもよい。この構成によれば、突起8Aを機械加工することによって削り出される最終凸部に高い強度を確保することができる。突起8Aまたは最終凸部を有する製品は、部品として機械に組み込まれてもよい。
以上説明したように、本実施形態の突起形成方法では、第1堤防2を覆うように形成された初層3上に第1嵩上げ層4が積層されるので、第1嵩上げ層4を形成する際のエッジでの溶融部の流下が初層3を介して第1堤防2で抑制される。従って、第1嵩上げ層4の周縁を初層3の周縁に一致させることができる。さらに、第1嵩上げ層4の周縁に沿って第2堤防5が形成され、その第2堤防5を覆うように形成された中間ベース層6上に第2嵩上げ層7が積層されるので、第2嵩上げ層7を形成する際のエッジでの溶融部の流下が中間ベース層6を介して第2堤防5で抑制される。従って、第2嵩上げ層7の周縁を中間ベース層6の周縁に一致させることができる。これにより、ほぼ一定の幅で立ち上がる突起8Aを形成することができる。
しかも、本実施形態では、各層(特に、第1嵩上げ層4および第2嵩上げ層7)の表面をほぼフラットに保つことができるため、レーザの焦点を各層の表面に維持することができる。これにより、各層表面への入熱が安定し、供給金属の溶け残りや未溶融領域が発生しない。従って、供給金属の溶け残りに起因するポロシティ等の欠陥も発生せずに、内部品質が安定する。
図10に、第2堤防形成工程、中間ベース層形成工程および第2嵩上げ層形成工程を繰り返すことによって形成した突起8Aを示す。図10に示す例では、トータルで40層とすることで、高さ約50mmの、直方体形の突起8Aを形成することができた。
<変形例>
前記実施形態では、互いに平行な直線状のビードによって各層が構成されていたが、各層を構成するビードは直線状に限られない。例えば、突起8Aが平面視で円形状である場合、各層は、同心円状の複数のビードで構成されてもよいし、連続する螺旋状のビードで構成されてもよい。例えば、初層3が連続する螺旋状のビードで構成される場合、第1堤防2の内側でビードが1周以上周回していれば、ビードは1つであるものの、第1堤防2の内側に2列以上のビードが形成されることになる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る突起形成方法は、図11に示すようにワーク1の表面11にフランジ状の突起8Bを形成する方法である。すなわち、本実施形態では、ワーク1が筒状であり、ワーク1の表面11がワーク1の内周面である。ただし、ワーク1の表面11は、ワーク1の外周面であってもよい。
本実施形態では、第1実施形態と同様にして、図12に示すように、第1堤防2、初層3、第1嵩上げ層4、第2堤防5、中間ベース層6および第2嵩上げ層7を形成する。
ただし、突起8Bがフランジ状であるため、突起形成領域12は周方向に連続するリング状である。このため、第1堤防2は、ワーク1の軸方向で互いに対向する一対のビード25,26を含む。同様に、第2堤防5も、ワーク1の軸方向で互いに対向する一対のビード55,56を含む。
さらに、本実施形態では、ワーク1の表面11が円錐状である。そして、第1堤防2の大径側のビード26の高さは、小径側のビード25の高さよりも高く設定されている。この構成によれば、円錐面に対して良好に突起を形成することができる。
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、ほぼ一定の幅で立ち上がる突起8Bを形成することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、第1堤防2を構成するビードおよび第2堤防5を構成するビードのそれぞれは、必ずしも連続している必要はなく、断続的であってもよい。
また、第1実施形態のように柱状の突起8Aを形成する場合であって、ワーク1の表面が水平面に対して傾斜している場合には、第1堤防2を形成する際に、第2実施形態と同様に、下方に位置するビードを上方に位置するビードよりも大きくすれば、傾斜面に対して良好に突起を形成することができる。
1 ワーク
11 表面
12 突起形成領域
2 第1堤防
21〜26 ビード
3 初層
31〜36 ビード
4 第1嵩上げ層
5 第2堤防
55,56 ビード
6 中間ベース層
7 第2嵩上げ層
8A,8B 突起

Claims (8)

  1. ワークの表面に突起を形成する方法であって、
    レーザ金属肉盛により、前記ワークの表面上の突起形成領域を囲うように第1堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記突起形成領域上に、前記第1堤防を覆うように初層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記初層上に少なくとも1つの第1嵩上げ層を積層する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層の周縁に沿って第2堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層上に、前記第2堤防を覆うように中間ベース層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記中間ベース層上に少なくとも1つの第2嵩上げ層を積層する工程と、を含み、
    前記初層を構成するビードであって前記第1堤防を構成するビードの真上に位置するビードは、前記第1堤防を構成するビードの少なくとも頂点を覆うように形成される、突起形成方法。
  2. 前記第1堤防および前記第2堤防のそれぞれは、環状である、請求項1に記載の突起形成方法。
  3. 前記ワークは筒状であり、前記ワークの表面は前記ワークの内周面または外周面であり、前記突起形成領域は周方向に連続するリング状であり、
    前記第1堤防および前記第2堤防のそれぞれは、前記ワークの軸方向で互いに対向する一対のビードを含む、請求項1に記載の突起形成方法。
  4. 筒状のワークの内周面または外周面である表面に突起を形成する方法であって、
    レーザ金属肉盛により、前記ワークの表面上の周方向に連続するリング状の突起形成領域を囲うように、前記ワークの軸方向で互いに対向する一対のビードを含む第1堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記突起形成領域上に、前記第1堤防を覆うように初層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記初層上に少なくとも1つの第1嵩上げ層を積層する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層の周縁に沿って、前記ワークの軸方向で互いに対向する一対のビードを含む第2堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層上に、前記第2堤防を覆うように中間ベース層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記中間ベース層上に少なくとも1つの第2嵩上げ層を積層する工程と、を含み、
    前記ワークの表面は円錐状であり、
    前記第1堤防の前記一対のビードのうち大径側のビードの高さは小径側のビードの高さよりも高い、突起形成方法。
  5. 前記初層を形成する際は、前記第1堤防の内側に少なくとも2列のビードを形成する、請求項1〜4の何れか一項に記載の突起形成方法。
  6. ワークの表面に突起を形成する方法であって、
    レーザ金属肉盛により、前記ワークの表面上の突起形成領域を囲うように第1堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記突起形成領域上に、前記第1堤防を覆うように初層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記初層上に少なくとも1つの第1嵩上げ層を積層する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層の周縁に沿って第2堤防を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記少なくとも1つの第1嵩上げ層上に、前記第2堤防を覆うように中間ベース層を形成する工程と、
    レーザ金属肉盛により、前記中間ベース層上に少なくとも1つの第2嵩上げ層を積層する工程と、を含み、
    前記初層を形成する際は、前記第1堤防の内側に少なくとも2列のビードを形成し、
    前記第1堤防の高さは、前記少なくとも2列のビードの高さの20%以上である、突起形成方法。
  7. 前記ワークは、チタン合金からなる、請求項1〜6の何れか一項に記載の突起形成方法。
  8. 突起の完成後に、前記第1堤防および前記第2堤防を取り除くように、前記突起を機械加工する、請求項1〜7の何れか一項に記載の突起形成方法。
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