以下に添付図面を参照して、本発明に係る電線用外装体及び外装体付きワイヤーハーネスの好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である電線用外装体を用いた外装体付きワイヤーハーネス、すなわち本発明の実施の形態1である外装体付きワイヤーハーネスを示す斜視図である。電線用外装体の構成は、以下に詳述するが、シートにより構成され、かつ折り曲げられることにより形成される筒状の収容部に、電線が収容されて該電線の外周に装着されるものである。
ここで例示する外装体付きワイヤーハーネス11は、ワイヤーハーネス1と外装体(電線用外装体)20とを備えて構成されている。ワイヤーハーネス1は、従来公知のものであり、複数の電線を束ねて構成されている。
外装体20は、1枚のシートにより構成され、このシートが折り曲げられることで四角筒状の収容部20aを形成する長尺状の部材である。ここで外装体20の長手方向をX方向とし、この長手方向に直交する方向をY方向として説明する。
収容部20aを構成する壁部は、図1に示すように、突部26が形成された第1壁部である第1側壁部22と、孔部27が形成された第2壁部である上壁部24とを備える。収容部20aは、突部26及び孔部27の少なくとも一方が変形して突部26が孔部27に挿入することにより第1側壁部22と上壁部24とが係合して形成される。具体的には、収容部20aは、底壁部21、第1側壁部(第1壁部)22、第2側壁部23及び上壁部(第2壁部)24の複数の壁部により囲繞されて構成されている。
底壁部21は、収容部20aの底面を構成しており、外装体20の下面を成すものである。第1側壁部22は、図2にも示すように、第1折曲部25aを介して底壁部21に連続している。第2側壁部23は、第2折曲部25bを介して底壁部21に連続している。この第2側壁部23の図2中のY方向の寸法は、第1側壁部22のY方向の寸法と同等である。上壁部24は、第3折曲部25cを介して第2側壁部23に連続している。この上壁部24の図2中のY方向の寸法は、底壁部21のY方向の寸法よりも大きい。
これら壁部において、第1側壁部22がシートのY方向の一端部を構成し、上壁部24がシートのY方向の他端部を構成している。そして、第1側壁部22の端部には、外方(図2中ではY方向)に向けて突出する複数(図2に示す例では3つ)の突部26がX方向に沿って所定間隔毎に形成され、上壁部24の端部には、複数(図2に示す例では3つ)の孔部27が上記突部26に対応する態様でX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
突部26は、胴部261と頭部262とを有している。胴部261は、第1側壁部22より外方に向けて延在する部分であり、突部26の基端部分を構成している。頭部262は、胴部261の延在端部に連続する部分であり、突部26の先端部分を構成している。
この突部26では、頭部262が胴部261よりも幅広となる形態を成している。より詳細には、胴部261の幅寸法(X方向の寸法)よりも頭部262の幅寸法(X方向の寸法)が大きく形成されている。
図3は、図1及び図2に示した孔部27を拡大して示す拡大図である。この図3にも示すように、孔部27は、挿入孔271、嵌合孔272、係止片273及び規制片274を備えて構成された異形孔である。
挿入孔271は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成された長孔である。この挿入孔271は、X方向の寸法が頭部262の幅寸法よりも僅かに大きく形成されており、頭部262及び胴部261が通過する。
嵌合孔272は、上壁部24の端部、すなわち、シートの他端部に近接する態様で挿入孔271に連続して形成されており、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成された長孔である。この嵌合孔272は、X方向の寸法が頭部262の幅寸法よりも小さくて胴部261の幅寸法より僅かに大きく形成されており、頭部262の通過を規制する。
係止片273は、挿入孔271と嵌合孔272との境界部分におけるX方向の対向縁部に形成されている。これら係止片273は、境界部分の対向縁部よりX方向に沿って互いに近接する態様で突出して形成され、互いの係止片273間の寸法(X方向の寸法)αが胴部261の幅寸法よりも僅かに小さく形成されている。
規制片274は、挿入孔271における嵌合孔272に対向する縁部より該嵌合孔272に近接する態様で形成されている。この規制片274は、嵌合孔272に向かうに連れてX方向の寸法が漸次小さくなる態様で湾曲して形成されており、その先端部分が係止片273間に延在している。この規制片274は、常態においては、挿入孔271の開口面積を低減させている。
ここで、ワイヤーハーネス1が収容部20aに収容される様子について説明する。底壁部21に対して第1側壁部22及び第2側壁部23が略垂直となるように、第1折曲部25a及び第2折曲部25bで折り曲げる。また第2側壁部23に対して上壁部24が略垂直となるように、第3折曲部25cを折り曲げる。これにより、底壁部21と上壁部24とが互いに対向するとともに、第1側壁部22と第2側壁部23とが互いに対向する。そして、底壁部21と上壁部24との相互間に、ワイヤーハーネス1をX方向に延在する態様で配置させる。
その後、突部26を対応する孔部27に挿入させる。より詳細に説明すると、挿入孔271に対して頭部262、胴部261の順に突部26を挿入させる。このとき規制片274は、頭部262に押圧されて弾性変形する。挿入孔271に胴部261まで挿入された突部26を嵌合孔272まで移動させる。挿入孔271と嵌合孔272との境界部分には係止片273が形成されているので、該係止片273を弾性変形させながら突部26を嵌合孔272に移動させる。これにより、規制片274は、挿入孔271の開口面積を低減させる常態に戻る。また、係止片273は、互いの係止片273間の寸法を胴部261の幅寸法よりも僅かに小さくする元の状態に復帰する。この結果、嵌合孔272では胴部261が貫通した状態で突部26が孔部27に挿入され、係止片273により突部26が挿入孔271に移動することが規制されるとともに、規制片274によっても突部26が挿入孔271に移動することが規制される。このようにして各突部26が各孔部27に挿入されることで、第1側壁部22と上壁部24とを係合させることができ、ワイヤーハーネス1が収容部20aに収容され、外装体20がワイヤーハーネス1の外周に装着される。
このように外装体20においては、突部26は、先端部分となる頭部262が基端部分となる胴部261よりも幅広となる形態を成し、孔部27は、頭部262が通過する挿入孔271と、挿入孔271に連続し、かつ頭部262の通過を規制する嵌合孔272と、挿入孔271と嵌合孔272との境界部分に突出する態様で形成され、かつ該境界部分の幅を胴部261よりも狭くする係止片273とを備えている。この係止片272は、弾性変形することにより挿入孔271と嵌合孔271との間で突部26が相対的に移動させるものである。また孔部27は、挿入孔271の縁部より嵌合孔272に近接する態様で形成され、かつ常態においては該挿入孔271の開口面積を低減させる一方、弾性変形する場合には、該挿入孔271に突部26を挿入させる規制片274を備えている。更に嵌合孔272は、挿入孔271よりもシートの端部に近接する態様で形成されている。
ところで、上記外装体20を構成するシートは、種々のものが適用できるが、熱可塑性樹脂発泡シートであることが好ましい。熱可塑性樹脂発泡シートの樹脂種については、熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、アクリル樹脂等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂発泡シートの密度は、特に限定されないが、機械的特性の異方性が防止されて外装体20の設計の自由度が向上する点から、例えば200kg/m3以上1000kg/m3以下であることが好ましく、軽量性と機械的強度とのバランスをより向上させる点から、300kg/m3以上600kg/m3以下であることがより好ましく、350kg/m3以上550kg/m3以下であることが特に好ましい。
熱可塑性樹脂発泡シートには、両面又は片面に非発泡層を有していてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂発泡シートは、発泡層と該発泡層上に形成された非発泡層とを有する構成としてもよい。熱可塑性樹脂発泡シートの表面に非発泡層が形成されていることにより、外装体20の曲げ弾性が向上して、収容部20aに収容されるワイヤーハーネス1の保護性能がより向上する。外装体20の曲げ弾性をより向上させる点から、熱可塑性樹脂発泡シートの両面に非発泡層を有する3層構造の構成が好ましい。熱可塑性樹脂発泡シートに形成される非発泡層の厚さは、特に限定されないが、例えば10μm以上100μm以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂発泡シートの発泡層の気泡数密度は、特に限定されないが、その下限値は、機械的特性の異方性をより確実に防止する点から、例えば800個/mm3以上であることが好ましく、1000個/mm3以上であることが特に好ましい。一方で、上記気泡数密度の上限値は、優れた機械的強度を得る点から、例えば1010個/mm3以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂発泡シートであるシートの厚さは、特に限定されないが、折り曲げの容易さと機械的強度とのバランスをより向上させる点から、例えば0.80mm以上5.0mm以下であることが好ましく、1.0mm以上2.5mm以下であることが特に好ましい。
以上説明したように、本発明の実施の形態1である外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11において、突部26は、胴部261よりも頭部262が幅広となる形態を成している。孔部27は、頭部262が通過する挿入孔271と、頭部262の通過を規制する嵌合孔272と、挿入孔271と嵌合孔272との境界部分に該境界部分の幅寸法を胴部261より狭くする係止片273とを備えている。挿入孔271に突部26を頭部262、胴部261の順に挿入させた後、係止片273を弾性変形させて嵌合孔272に移動させることで、嵌合孔272に挿入された突部26が挿入孔271に移動することが規制され、孔部27の構成要素(係止片273及び規制片274)を弾性変形させるだけでよい。よって、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11は、孔部27に対する突部26の挿入を容易なものとしながら第1側壁部22と上壁部24とを十分な強度で係合させて収容部20aを形成することができ、強度を向上させている。また、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11では、突部26及び孔部27は、第1側壁部22及び上壁部24に形成されているので、従来のように他の部品(係合部品)を用いることもなく、部品点数を低減させることができる。よって、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11によれば、製造コストの低減化を図りながら、強度の向上を図ることができる。
しかも、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11は、第1側壁部22と上壁部24との係合状態を十分に強固なものとすることができるので、車両等に搭載された場合、振動等により収容部20aが変形等して破損等する虞れがない。特に、シート自体が軽量で強度も低下する熱可塑性樹脂発泡シートでも収容部20aを良好に形成することができ、有用である。
上記外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11においては、挿入孔271の縁部より嵌合孔272に近接する態様で形成された規制片274が、常態においては挿入孔271の開口面積を低減させる一方、弾性変形する場合には、挿入孔271に突部26を挿入させる。また、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11は、挿入孔271に対する突部26の挿入を可能にしつつ、一旦嵌合孔272に挿入した突部26が挿入孔271に移動することを規制することができる。よって、外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11によれば、第1側壁部22と上壁部24との係合状態をより強固なものとすることができ、収容部20aの強度の向上を図ることができる。
上記外装体20及び外装体付きワイヤーハーネス11によれば、嵌合孔272が挿入孔271よりもシートの端部に近接する態様で形成されていたので、シート自体の弾性復元力により第1側壁部22が上壁部24から離隔する方向に力が作用しても、突部26を嵌合孔272に配置させることができ、第1側壁部22と上壁部24との係合状態を良好なものとすることができる。
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2である電線用外装体を用いた外装体付きワイヤーハーネス、すなわち本発明の実施の形態2である外装体付きワイヤーハーネスを示す斜視図である。
ここで例示する外装体付きワイヤーハーネス12は、ワイヤーハーネス2と外装体(電線用外装体)30とを備えて構成されている。ワイヤーハーネス2は、従来公知のものであり、複数の電線を束ねて構成されている。
外装体30は、1枚のシートにより構成され、このシートが折り曲げられることで四角筒状の収容部30aを形成する長尺状の部材である。ここで外装体30の長手方向をX方向とし、この長手方向に直交する方向をY方向として説明する。なお、シートは、種々のものが適用できるが、上述した実施の形態1であるシートと同様に、熱可塑性樹脂発泡シートであることが好ましい。
収容部30aは、底壁部31、第1側壁部(第1壁部)32、第2側壁部33及び上壁部(第2壁部)34の複数の壁部により囲繞されて構成されている。
底壁部31は、収容部30aの底面を構成しており、外装体30の下面を成すものである。第1側壁部32は、図5にも示すように、第1折曲部35aを介して底壁部31に連続している。第2側壁部33は、第2折曲部35bを介して底壁部31に連続している。この第2側壁部33の図5中のY方向の寸法は、第1側壁部32のY方向の寸法と同等である。上壁部34は、第3折曲部35cを介して第2側壁部33に連続している。この上壁部34の図5中のY方向の寸法は、底壁部31のY方向の寸法よりも大きい。
これら壁部において、第1側壁部32がシートのY方向の一端部を構成し、上壁部34がシートのY方向の他端部を構成している。そして、第1側壁部32の端部には、外方(図5中ではY方向)に向けて突出する複数(図5に示す例では3つ)の突部36がX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。上壁部34の端部には、複数(図5に示す例では3つ)の孔部37が上記突部36に対応する態様でX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
突部36は、胴部361と頭部362とを有している。胴部361は、第1側壁部32より外方に向けて延在する部分であり、突部36の基端部分を構成している。頭部362は、胴部361の延在端部に連続する部分であり、突部36の先端部分を構成している。
この突部36では、頭部362が胴部361よりも幅広となる形態を成している。より詳細には、胴部361の幅寸法(X方向の寸法)よりも頭部362の幅寸法(X方向の寸法)が大きく形成されている。
孔部37は、挿入孔371、嵌合孔372及び係止片373を備えて構成された異形孔である。挿入孔371は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成された長孔である。この挿入孔371は、X方向の寸法が頭部362の幅寸法よりも僅かに大きく形成されており、頭部362及び胴部361が通過する。
嵌合孔372は、挿入孔371に連続して形成されており、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成された長孔である。この嵌合孔372は、X方向の寸法が頭部362の幅寸法よりも小さくて胴部361の幅寸法より僅かに大きく形成されており、頭部362の通過を規制する。
係止片373は、挿入孔371と嵌合孔372との境界部分におけるX方向の対向縁部に形成されている。これら係止片373は、境界部分の対向縁部よりX方向に沿って互いに近接する態様で突出して形成され、互いの係止片373間の寸法(X方向の寸法)が胴部361の幅寸法よりも僅かに小さく形成されている。
ここで、ワイヤーハーネス2が収容部30aに収容される様子について説明する。底壁部31に対して第1側壁部32及び第2側壁部33が略垂直となるように、第1折曲部35a及び第2折曲部35bで折り曲げる。また第2側壁部33に対して上壁部34が略垂直となるように、第3折曲部35cを折り曲げる。これにより、底壁部31と上壁部34とが互いに対向するとともに、第1側壁部32と第2側壁部33とが互いに対向する。そして、底壁部31と上壁部34との相互間に、ワイヤーハーネス2をX方向に延在する態様で配置させる。
その後、突部36を対応する孔部37に挿入させる。より詳細に説明すると、挿入孔371に対して頭部362、胴部361の順に突部36を挿入させる。挿入孔371に胴部361まで挿入された突部36を嵌合孔372まで移動させる。挿入孔371と嵌合孔372との境界部分には係止片373が形成されているので、該係止片373を弾性変形させながら突部36を嵌合孔372に移動させる。これにより、係止片373は、互いの係止片373間の寸法を胴部361の幅寸法よりも僅かに小さくする元の状態に復帰する。この結果、嵌合孔372では胴部361が貫通した状態で突部36が孔部37に挿入され、係止片373により突部36が挿入孔371に移動することが規制される。このようにして各突部36が各孔部37に挿入されることで、第1側壁部32と上壁部34とを係合させることができ、ワイヤーハーネス2が収容部30aに収容され、外装体30がワイヤーハーネス2の外周に装着される。
このように、外装体30においては、突部36は、先端部分となる頭部362が基端部分となる胴部361よりも幅広となる形態を成し、孔部37は、頭部362が通過する挿入孔371と、挿入孔に連続し、かつ頭部362の通過を規制する嵌合孔372と、挿入孔371と嵌合孔372との境界部分に突出する態様で形成され、かつ該境界部分の幅を胴部361よりも狭くする係止片373とを備えている。この係止片373は、弾性変形することにより挿入孔371と嵌合孔372との間で突部36が相対的に移動させるものである。
以上説明したように、本発明の実施の形態2である外装体30及び外装体付きワイヤーハーネス12において、突部36は、胴部361よりも頭部362が幅広となる形態を成している。孔部37は、頭部362が通過する挿入孔371と、頭部362の通過を規制する嵌合孔372と、挿入孔371と嵌合孔372との境界部分に該境界部分の幅寸法を胴部361より狭くする係止片373とを備えている。挿入孔371に突部36を頭部362、胴部361の順に挿入させた後、係止片373を弾性変形させて嵌合孔372に移動させることで、嵌合孔372に挿入された突部36が挿入孔371に移動することが規制され、孔部37の構成要素(係止片373)を弾性変形させるだけでよい。よって、外装体30及び外装体付きワイヤーハーネス12は、孔部37に対する突部36の挿入を容易なものとしながら第1側壁部32と上壁部34とを十分な強度で係合させて収容部30aを形成することができ、強度を向上させている。また、外装体30及び外装体付きワイヤーハーネス12では、突部36及び孔部37は、第1側壁部32及び上壁部34に形成されているので、従来のように他の部品(係合部品)を用いることもなく、部品点数を低減させることができる。よって、外装体30及び外装体付きワイヤーハーネス12によれば、製造コストの低減化を図りながら、強度の向上を図ることができる。
しかも、外装体30及び外装体付きワイヤーハーネス12は、第1側壁部32と上壁部34との係合状態を十分に強固なものとすることができるので、車両等に搭載された場合、振動等により収容部30aが変形等して破損等する虞れがない。特に、シート自体が軽量で強度も低下する熱可塑性樹脂発泡シートでも収容部30aを良好に形成することができ、有用である。
<実施の形態3>
図6は、本発明の実施の形態3である電線用外装体を用いた外装体付きワイヤーハーネス、すなわち本発明の実施の形態3である外装体付きワイヤーハーネスを示す斜視図である。
ここで例示する外装体付きワイヤーハーネス13は、ワイヤーハーネス3と外装体(電線用外装体)40とを備えて構成されている。ワイヤーハーネス3は、従来公知のものであり、複数の電線を束ねて構成されている。
外装体40は、1枚のシートにより構成され、このシートが折り曲げられることで四角筒状の収容部40aを形成する長尺状の部材である。ここで外装体40の長手方向をX方向とし、この長手方向に直交する方向をY方向として説明する。なお、シートは、種々のものが適用できるが、上述した実施の形態1であるシートと同様に、熱可塑性樹脂発泡シートであることが好ましい。
収容部40aは、底壁部41、第1側壁部(第1壁部)42、第2側壁部43及び上壁部(第2壁部)44の複数の壁部により囲繞されて構成されている。
底壁部41は、収容部40aの底面を構成しており、外装体40の下面を成すものである。第1側壁部42は、図7にも示すように、第1折曲部45aを介して底壁部41に連続している。第2側壁部43は、第2折曲部45bを介して底壁部41に連続している。この第2側壁部43の図7中のY方向の寸法は、第1側壁部42のY方向の寸法と同等である。上壁部44は、第3折曲部45cを介して第2側壁部43に連続している。この上壁部44の図7中のY方向の寸法は、底壁部41のY方向の寸法よりも大きい。
これら壁部において、第1側壁部42がシートのY方向の一端部を構成し、上壁部44がシートのY方向の他端部を構成している。そして、第1側壁部42の端部には、外方(図7中ではY方向)に向けて突出する複数(図示の例では3つ)の突部46がX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。上壁部44の端部には、複数(図示の例では3つ)の孔部47が上記突部46に対応する態様でX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
突部46は、胴部461と頭部462とを有している。胴部461は、第1側壁部42より外方に向けて延在する部分であり、突部46の基端部分を構成している。頭部462は、胴部461の延在端部に連続する部分であり、突部46の先端部分を構成している。
この突部46では、頭部462が胴部461よりも幅広となる形態を成している。より詳細には、胴部461の幅寸法(X方向の寸法)よりも頭部462の幅寸法(X方向の寸法)が大きく形成されている。
孔部47は、貫通孔471及び規制片472を備えて構成された異形孔である。貫通孔471は、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きく形成された長孔である。この貫通孔471は、X方向の寸法が頭部462の幅寸法よりも小さく形成されており、頭部462のX方向の両端部462aが180°折り曲げられた場合に該頭部462が通過する。規制片472は、貫通孔471の縁部より該貫通孔471の開口面積を低減させる態様で突出して形成されている。
ここで、ワイヤーハーネス3が収容部40aに収容される様子について説明する。底壁部41に対して第1側壁部42及び第2側壁部43が略垂直となるように、第1折曲部45a及び第2折曲部45bで折り曲げる。また第2側壁部43に対して上壁部44が略垂直となるように、第3折曲部45cを折り曲げる。これにより、底壁部41と上壁部44とが互いに対向するとともに、第1側壁部42と第2側壁部43とが互いに対向する。そして、底壁部41と上壁部44との相互間に、ワイヤーハーネス3をX方向に延在する態様で配置させる。
その後、突部46を対応する孔部47に挿入させる。より詳細に説明すると、図8に示すように、頭部462の両端部462aを180°折り曲げた状態で貫通孔471に対して頭部462、胴部461の順に突部46を挿入させる。そして、図6に示したように両端部462aを折り曲げ前の状態に復帰させる。この結果、貫通孔471では胴部461が貫通した状態で突部46が孔部47に挿入され、規制片472により突部46が貫通孔471でY方向に移動することが規制される。このようにして各突部46が各孔部47に挿入されることで、第1側壁部42と上壁部44とを係合させることができ、ワイヤーハーネス3が収容部40aに収容され、外装体40がワイヤーハーネス3の外周に装着される。
このように外装体40においては、突部46は、先端部分となる頭部462が基端部分となる胴部461よりも幅広となる形態を成し、孔部47は、頭部462よりも幅が狭い貫通孔471を備えている。この貫通孔471は、頭部462の一部が折り曲げられた場合に、該頭部462が通過するもので、より詳細には、頭部462の両端部462aが180°折り曲げられた場合に、該頭部462が通過するものである。
以上説明したように、本発明の実施の形態3である外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13において、突部46は、胴部461よりも頭部462が幅広となる形態を成している。孔部47は、頭部462よりもX方向の寸法(幅寸法)が狭い貫通孔471が、頭部462の両端部462aが180°折り曲げられた場合に該頭部462が通過する。よって、外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13は、貫通孔471を通過した頭部462を元の状態に変形させることで、突部46が孔部47から離脱することが規制され、突部46の構成要素(頭部462の両端部462a)を変形させるだけでよい。よって、外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13は、孔部47に対する突部46の挿入を容易なものとしながら第1側壁部42と上壁部44とを十分な強度で係合させて収容部40aを形成することができ、強度を向上させている。また外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13では、突部46及び孔部47は、第1側壁部42及び上壁部44に形成されているので、従来のように他の部品(係合部品)を用いることもなく、部品点数を低減させることができる。よって、外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13によれば、製造コストの低減化を図りながら、強度の向上を図ることができる。
しかも、外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13は、第1側壁部42と上壁部44との係合状態を十分に強固なものとすることができるので、車両等に搭載された場合、振動等により収容部40aが変形等して破損等する虞れがない。特に、シート自体が軽量で強度も低下する熱可塑性樹脂発泡シートでも収容部40aを良好に形成することができ、有用である。
上記外装体40及び外装体付きワイヤーハーネス13によれば、貫通孔471は、突部46の頭部462の両端部462aが180°折り曲げられた場合に、該頭部462が通過するので、貫通孔471の開口面積を十分に小さくすることができ、強度の向上を図ることができる。
<実施の形態4>
図9は、本発明の実施の形態4である電線用外装体を用いた外装体付きワイヤーハーネス、すなわち本発明の実施の形態4である外装体付きワイヤーハーネスを示す斜視図である。
ここで例示する外装体付きワイヤーハーネス14は、ワイヤーハーネス4と外装体(電線用外装体)50とを備えて構成されている。ワイヤーハーネス4は、従来公知のものであり、複数の電線を束ねて構成されている。
外装体50は、1枚のシートにより構成され、このシートが折り曲げられることで四角筒状の収容部50aを形成する長尺状の部材である。ここで外装体50の長手方向をX方向とし、この長手方向に直交する方向をY方向として説明する。なお、シートは、種々のものが適用できるが、上述した実施の形態1であるシートと同様に、熱可塑性樹脂発泡シートであることが好ましい。
収容部50aは、底壁部51、第1側壁部(第1壁部)52、第2側壁部53及び上壁部(第2壁部)54の複数の壁部により囲繞されて構成されている。
底壁部51は、収容部50aの底面を構成しており、外装体50の下面を成すものである。第1側壁部52は、図10にも示すように、第1折曲部55aを介して底壁部51に連続している。第2側壁部53は、第2折曲部55bを介して底壁部51に連続している。この第2側壁部53の図10中のY方向の寸法は、第1側壁部52のY方向の寸法と同等である。上壁部54は、第3折曲部55cを介して第2側壁部53に連続している。この上壁部54の図10中のY方向の寸法は、底壁部51のY方向の寸法よりも大きい。
これら壁部において、第1側壁部52がシートのY方向の一端部を構成し、上壁部54がシートのY方向の他端部を構成している。そして、第1側壁部52の端部には、外方(図10中ではY方向)に向けて突出する複数(図示の例では3つ)の突部56がX方向に沿って所定間隔毎に形成され、上壁部54の端部には、複数(図示の例では3つ)の孔部57が上記突部56に対応する態様でX方向に沿って所定間隔毎に形成されている。
突部56は、胴部561と頭部562とを有している。胴部561は、第1側壁部52より外方に向けて延在する部分であり、突部56の基端部分を構成している。頭部562は、胴部561の延在端部に連続する部分であり、突部56の先端部分を構成している。
この突部56では、頭部562が胴部561よりも幅広となる形態を成しており、より詳細には、胴部561の幅寸法(X方向の寸法)よりも頭部562の幅寸法(X方向の寸法)が大きく形成されている。
孔部57は、U字型を成す異形孔である貫通孔571を備えている。貫通孔571は、X方向の寸法が頭部562の幅寸法よりも小さく形成されており、頭部562のX方向の両端部562aが90°折り曲げられた場合に該頭部562が通過する。
ここで、ワイヤーハーネス4が収容部50aに収容される様子について説明する。底壁部51に対して第1側壁部52及び第2側壁部53が略垂直となるように、第1折曲部55a及び第2折曲部55bで折り曲げる。また第2側壁部53に対して上壁部54が略垂直となるように、第3折曲部55cを折り曲げる。これにより、底壁部51と上壁部54とが互いに対向するとともに、第1側壁部52と第2側壁部53とが互いに対向する。そして、底壁部51と上壁部54との相互間に、ワイヤーハーネス4をX方向に延在する態様で配置させる。
その後、突部56を対応する孔部57に挿入させる。より詳細に説明すると、図11に示すように、頭部562の両端部562aを90°折り曲げた状態で貫通孔571に対して頭部562、胴部561の順に突部56を挿入させる。そして、図9に示したように両端部562aを折り曲げ前の状態に復帰させる。この結果、貫通孔571では胴部561が貫通した状態で突部56が孔部57に挿入される。このようにして各突部56が各孔部57に挿入されることで、第1側壁部52と上壁部54とを係合させることができ、ワイヤーハーネス4が収容部50aに収容され、外装体50がワイヤーハーネス4の外周に装着される。
このように外装体50においては、突部56は、先端部分となる頭部562が基端部分となる胴部561よりも幅広となる形態を成し、孔部57は、頭部562よりも幅が狭い貫通孔571を備えている。この貫通孔571は、頭部562の一部が折り曲げられた場合に、該頭部562が通過するもので、より詳細には、頭部562の両端部562aが90°折り曲げられた場合に、該頭部562が通過するものである。
以上説明したように、本発明の実施の形態4である外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14において、突部56は、胴部561よりも頭部562が幅広となる形態を成している。孔部57は、頭部562よりもX方向の寸法(幅寸法)が狭いU字型を成す異形孔の貫通孔571が、頭部562の両端部562aが90°折り曲げられた場合に該頭部562が通過する。よって、外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14は、貫通孔571を通過した頭部562を元の状態に変形させることで、突部56が孔部57から離脱することが規制され、突部56の構成要素(頭部562の両端部562a)を変形させるだけでよい。よって、外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14は、孔部57に対する突部56の挿入を容易なものとしながら第1側壁部52と上壁部54とを十分な強度で係合させて収容部50aを形成することができ、強度を向上させている。また、外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14は、突部56及び孔部57は、第1側壁部52及び上壁部54に形成されているので、従来のように他の部品(係合部品)を用いることもなく、部品点数を低減させることができる。よって、外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14によれば、製造コストの低減化を図りながら、強度の向上を図ることができる。
しかも、外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14は、第1側壁部52と上壁部54との係合状態を十分に強固なものとすることができるので、車両等に搭載された場合、振動等により収容部50aが変形等して破損等する虞れがない。特に、シート自体が軽量で強度も低下する熱可塑性樹脂発泡シートでも収容部50aを良好に形成することができ、有用である。
上記外装体50及び外装体付きワイヤーハーネス14によれば、貫通孔571は、突部56の頭部562の両端部562aが90°折り曲げられた場合に、該頭部562が通過するので、貫通孔571の開口面積を十分に小さくすることができ、強度の向上を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態1~4について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態1及び2では孔部27,37の構成要素を変形させ、実施の形態3及び4では突部46,56の構成要素を変形させていたが、本発明は、突部及び孔部の少なくとも一方が変形して突部が孔部に挿入して第1壁部と第2壁部とを係合させればよいので、突部及び孔部が変形してもよい。
上述した実施の形態1及び2においては、突部26,36を孔部27,37の挿入孔271,371から嵌合孔272,372に移動させるようにし、孔部27,37の構成要素である係止片273,373を弾性変形させていたが、本発明においては、挿入孔から嵌合孔に突部を相対的に移動させる際に突部を変形させるようにしてもよいし、突部と孔部とを変形させるようにしてもよい。
上述した実施の形態3及び4においては、孔部47,57の貫通孔471,571が、突部46,56の頭部462,562の両端部462a,562aが180°又は90°に折り曲げられた場合に、頭部462,562が通過するものであったが、本発明においては、貫通孔は、頭部の一部が180°や90°以外の角度に折り曲げられた場合に、該頭部が通過してもよい。
上述した実施の形態1~4では、底壁部21,31,41,51が底部を構成し、上壁部24,34,44,54が上部を構成していたが、本発明においては、第2側壁部23,33,43,53が底部を構成し、第1側壁部22,32,42,52が上部を構成してもよい。
上述した実施の形態3では、孔部37において、挿入孔371が嵌合孔372よりもシートの端部に近接する態様で形成されていたが、本発明においては、孔部において、嵌合孔が挿入孔よりもシートの端部に近接する態様で形成されていてもよい。すなわち、本発明においては、図5に示す孔部37を180°回転させたものであってもよい。