JP7132746B2 - モアレ抑制フィルム、モアレ抑制フィルム積層体、モアレ抑制フィルムを備えた複合表示装置 - Google Patents
モアレ抑制フィルム、モアレ抑制フィルム積層体、モアレ抑制フィルムを備えた複合表示装置 Download PDFInfo
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Description
特に、液晶パネルなどの内部に微細なパターン構造層を含む、パターン構造層含有光学部材2つの間に使用した場合に、モアレ抑制性に優れ、さらに、入射光の後方散乱防止性に優れることによりコントラストの優れた画像を表示することのできるモアレ抑制フィルム、モアレ抑制フィルム積層体、及びモアレ抑制フィルムを備えた複合表示装置に関する。
より具体的には、2枚の液晶セルを、鉛直方向に重ねた構造の立体画像表示装置であって、各液晶セルにおける画像の輝度を調整したり、視認者の両目に対して、それぞれ異なる画像情報を送付したりすることにより、画像を立体的に表示する立体画像表示装置である。
より具体的には、光源部と、映像信号に基づく第1の映像が表示される第1の液晶パネルと、第1の映像に対応する第2の映像が表示される第2の液晶パネルと、を備えており、当該第1の液晶パネルと、第2の液晶パネルとが離間して配置されるとともに、それらのパネル間に、所定ヘーズ値を有する、粒子分散型の光拡散層を使用してなる液晶表示装置である。
その上、光拡散層として、粒子分散型光拡散層のみを使用した場合には、入射光の後方散乱が発生し、高コントラストの立体画像表示が得られにくいという問題も見られた。
すなわち、本発明の目的は、モアレ抑制性に優れ、かつ、後方散乱が少ないことにより高コントラスト化可能なモアレ抑制フィルム、そのようなモアレ抑制フィルムを含むモアレ抑制フィルム積層体、及び、そのようなモアレ抑制フィルムを備えた、良好な立体画像表示が可能な複合表示装置を提供することにある。
直進透過率=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2))
このような内部屈折率分布構造を有し、かつ、所定の直進透過率を有するモアレ抑制フィルムを2つのパターン構造層含有光学部材の間に使用することによって、モアレ抑制に優れ、その上、高コントラストの立体画像等を視認することができる。
また、このような厚さのモアレ抑制フィルムとすることによって、例えば、第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材と、の間に、配置使用した場合であっても、全体として過度に厚くなることなく、優れたモアレ抑制性を得ることができる。
そして、このようにJISに準拠して測定される通常ヘーズ値も加味したモアレ抑制フィルムとすることによって、厚さのバラツキ等によらず、より優れたモアレ抑制性を得ることができる。
更に、このようなモアレ抑制フィルムの製造時のMD方向及びTD方向を基準とし、変角ヘーズ値を加味したモアレ抑制フィルムとすることによって、どの方向から視認した場合にも優れたモアレ抑制性を得ることができる。
このような態様のモアレ抑制フィルムとすることによって、使い勝手が向上し、かつ、第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間隙等を、強固に維持することができる。
このような内部屈折率分布構造の光拡散層からなるモアレ抑制フィルムと、粒子分散型光拡散層とを併用することによって、モアレ抑制性やコントラストの調整がよりきめ細かくでき、その上、モアレ抑制フィルムの全体製造コスト等が低くなって、経済的に有利となる。
また、所定厚さの粒子分散型光拡散層を併用することにより、第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間隙に対応して、光拡散層全体を適度な厚さに容易に調節できるという利点も得られる。
このように第1のモアレ抑制フィルムのMD方向と、第2のモアレ抑制フィルムのMD方向とのなす角度を調整することによって、光拡散性の方向ばらつき等があった場合でも、変角ヘーズ値を更にきめ細かく制御でき、モアレ抑制性を更に有効に発揮できる。
このような内部屈折率分布構造等を有するモアレ抑制フィルムを、第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間に使用した複合表示装置とすることによって、良好なモアレ抑制性が得られ、その上、後方散乱が少なく、高コントラストな画像等を視認することができる。
第1の実施形態は、図1及び図2(a)~(c)に示すように、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルムであって、単一層からなる屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物を厚さ方向に延在するように有しており、かつ、下記関係式(1)で定義される、当該モアレ抑制フィルムの直進透過率を8%以下の値とすることを特徴とするモアレ抑制フィルム10である。
直進透過率(%)=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2))
以下、本発明の第1の実施形態であるモアレ抑制フィルム10を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
図1及び図2(a)~(c)に示すように、モアレ抑制フィルム10は、単一層からなる内部屈折率分布構造を基本構造として有しており、単一層中に、屈折率が相対的に低い低屈折率領域14と、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物12と、を備えた構造を有する。
すなわち、図2(a)に示すように、屈折率が比較的高い柱状物12が、その周囲に存在する屈折率が相対的に低い低屈折率領域14の内部に、それぞれ所定の間隔(t3)を有して、立設された状態となっている。
これにより、光拡散フィルムとしての効果を発揮することができ、入射光が、光拡散入射角度領域内である場合には、進行方向に沿って十分に拡散される一方、光拡散入射角度領域外である場合には、複数の柱状物を進行方向に沿ってそのまま透過するか、あるいは、光拡散入射角度領域内よりも弱い拡散を示すことになる。
より具体的には、単純カラム構造(図1等参照)、屈曲部を有するカラム構造、単一層における重複構造を有するカラム構造/カラム構造の組み合わせ構造、複数層からなる単純カラム構造の組み合わせ構造(図6等参照)等の少なくとも一つであれば、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を十分に抑制し、かつ高コントラストな画像表示装置を得ることのできるモアレ抑制フィルムとして使用可能である。
(1)高屈折率部
また、低屈折率領域中の、屈折率が相対的に高い柱状物である高屈折率部(以下、単に、高屈折率部と称する場合がある。)を構成するための材料物質の種類は、特に限定されるものではないが、通常、その主成分として、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体とすることが好ましい。
この理由は、かかる材料物質であれば、高屈折率部を効率的に形成することができるばかりか、高屈折率部に由来した入射角度依存性及び拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
すなわち、高屈折率部の主成分(以下、(A1)成分と称する場合がある。)を特定の(メタ)アクリル酸エステルの重合体とすることにより、活性エネルギー線照射による光重合により、(A1)成分となるモノマー成分(以下、モノマー(A1)成分と称する場合がある。)の重合速度を、低屈折率部の主成分(以下、(B1)成分と称する場合がある。)となるモノマー成分(以下、モノマー(B1)成分と称する場合がある。)の重合速度よりも速くできると推定されるためである。
そして、これらのモノマー成分間における重合速度に所定差を生じさせ、両モノマー成分同士が均一に共重合することを抑制し、より具体的には、両モノマー成分の相溶性を所定の範囲にまで低下させて、いわゆる相分離によって、両モノマー成分同士の共重合性を効果的に低下させることができると推定される。
また、モノマー(B1)成分との相溶性を所定の範囲にまで、より容易に低下させることができると推定され、かつ、(A1)成分に由来した領域の屈折率を高くして、結果として、(B1)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
更に、特定の構造を有するビフェニル化合物であれば、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、モノマー(B1)成分の代表例であるウレタン(メタ)アクリレートと均一に混合することができるという利点もある。
この理由は、かかる炭素数が4を超えた値となると、モノマー(A1)成分の重合速度が低下したり、(A1)成分に由来した領域の屈折率が低くなり過ぎたりして、所定の柱状物を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。
従って、一般式(1)における置換基R1~R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1~3の範囲内の値とすることがより好ましく、1~2の範囲内の値とすることが更に好ましい。
この理由は、一般式(2)で表わされる置換基の位置を、ビフェニル環におけるR1及びR10以外の位置とすることにより、光硬化させる前の段階において、モノマー(A1)成分同士が配向し、結晶化することを効果的に防止することができるためである。
これにより、光硬化の段階において、モノマー(A1)成分及びモノマー(B1)成分の微細なレベルでの凝集や相分離を可能とし、低屈折率部に、高屈折率部としての所定の柱状物をより効率的に得ることができるためである。
更に、同様の観点から、一般式(1)におけるR3、R5、R6及びR8のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基とすることが特に好ましい。
この理由は、繰り返し数mが10を超えた値となると、重合部位と、ビフェニル環とをつなぐオキシアルキレン鎖が長くなり過ぎて、重合部位におけるモノマー(A1)成分同士の重合を阻害する場合があるためである。
従って、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを1~4の整数とすることがより好ましく、1~2の整数とすることが特に好ましい。
なお、同様の観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、通常1~4の整数とすることが好ましい。
特に、重合部位である重合性炭素-炭素二重結合の位置が、ビフェニル環に対して近過ぎてビフェニル環が立体障害となり、モノマー(A1)成分の重合速度が低下するのを防止する観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、2~4の整数とすることがより好ましく、2~3の整数とすることが更に好ましい。
この理由は、モノマー(A1)成分の重量平均分子量を所定の範囲とすることにより、モノマー(A1)成分の重合速度を更に速くして、モノマー(A1)成分及びモノマー(B1)成分の共重合性をより効果的に低下させることができると推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A1)成分及び(B1)成分がフィルム面方向に沿って交互に延在した柱状物を、より効率的に形成することができる。
すなわち、モノマー(A1)成分の重量平均分子量が200未満の値となると、例えば、複数の芳香環の位置と重合性炭素-炭素二重結合の位置が近くなり過ぎて、立体障害により重合速度が低下して、モノマー(B1)成分の重合速度に近くなり、モノマー(B1)成分との共重合が生じ易くなる場合があるためである。
一方、モノマー(A1)成分の重量平均分子量が2,500を超えた値となると、モノマー(A1)成分の重合速度が低下してモノマー(B1)成分の重合速度に近くなり、モノマー(B1)成分との共重合が生じ易くなる結果、柱状物を、規則正しく形成することが困難になる場合があるためである。
従って、モノマー(A1)成分の重量平均分子量を240~1,500の範囲内の値とすることがより好ましく、260~1,000の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、モノマー(A1)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することもできるし、あるいは、構成原子の原子量をもとに、構造式から算出することもできる。
また、図2(a)に示すように、モアレ抑制フィルム10において、柱状物12の垂直断面における最大径(t2)を0.1~15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径を0.1~15μmの範囲内の値とすることにより、モアレ抑制フィルムとしてのカラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、モアレ抑制フィルムに由来した入射角度依存性及び拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
すなわち、かかる最大径が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。
一方、かかる最大径が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
従って、モアレ抑制フィルムにおいて、柱状物の断面における最大径を0.5~10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1~5μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、柱状物の水平断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、異形等とすることが好ましい。
また、柱状物の水平断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
なお、柱状物の最大径(t2)や長さ(t1)、あるいは隣接する柱状物の間隔(t3)は、光学デジタル顕微鏡にて観察し、スケールを基準として、実測することにより算出することができる。
また、図2(a)に示すように、モアレ抑制フィルム10において、柱状物の長さ(t3)を5~495μmの範囲内の値とすることが好ましい。なお、当該長さとは、柱状物が形成されている部分の厚さ方向の長さを意味する。
この理由は、かかる柱状物の長さが5μm未満の値となると、柱状物の長さが不足して、カラム構造内を直進してしまう入射光が増加し、十分な入射角度依存性及び拡散光の開き角度を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる柱状物の長さが495μmを超えた値となると、モアレ抑制フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
従って、モアレ抑制フィルムにおいて、柱状物の長さを40~310μmの範囲内の値とすることがより好ましく、95~255μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、柱状物の長さ(t3)は、通常、モアレ抑制フィルムの厚さと同一視することができるが、モアレ抑制フィルムの片面あるいは両面に、柱状物の非形成領域が形成される場合がある。
従って、柱状物の非形成領域が形成された場合には、その厚さを、モアレ抑制フィルムの厚さから差し引いた値が、柱状物の長さ(t3)となる。
また、図2(a)に示すように、モアレ抑制フィルムにおいて、隣接する柱状物における間隔(t3)、すなわち、隣接する柱状物の中心間距離を0.1~15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる間隔を0.1~15μmの範囲内の値とすることにより、モアレ抑制フィルムとしてのカラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、モアレ抑制フィルムに由来した拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
すなわち、かかる間隔が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。
一方、かかる間隔が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
従って、モアレ抑制フィルムにおいて、隣接する柱状物における間隔(t3)の下限を0.5μm以上の値とすることがより好ましく、1μm以上の値とすることが更に好ましい。
そして、隣接する柱状物における間隔(t3)の上限を10μm以下の値とすることがより好ましく、5μm以下の値とすることが更に好ましい。
また、図示しないものの、モアレ抑制フィルムにおいて、複数の柱状物が膜厚方向に対して一定の傾斜角にて、林立してなることが好ましい。
この理由は、柱状物の傾斜角を一定とすることにより、モアレ抑制フィルムとしてのカラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、モアレ抑制フィルムに由来した入射角度依存性及び拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
この理由は、柱状物が屈曲角をなして屈曲していることにより、カラム構造内を直進してしまう入射光を減少させて、光拡散の均一性を向上させることができるためである。
なお、このような屈曲した柱状物は、活性エネルギー線照射を行う際に、照射光の照射角度を変化させながら光を照射したり、微量の紫外線吸収剤を添加したり、あるいは、紫外線吸収フィルターを介して光を照射することによって得ることができる。
そして、屈曲角は、柱状物が厚さ方向において延在方向を変化させている場合における、変化前の柱状物界面の接線と変化後の柱状物界面の接線により形成される角度をいう。
(1)低屈折率部
また、屈折率が相対的に高い柱状物の周囲の、屈折率が相対的に低い領域である低屈折率部を構成するための材料物質の種類は、特に限定されないが、その主成分をウレタン(メタ)アクリレートの重合体とすることが好ましい。
この理由は、かかる材料物質であれば、低屈折率部のみならず、高屈折率の(A1)成分に由来した高屈折率部である柱状物を効率的に形成することができ、ひいては、拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
すなわち、低屈折率部の主成分である(B1)成分をウレタン(メタ)アクリレートの重合体とすることにより、(A1)成分に由来した柱状物の屈折率と、(B1)成分に由来した低屈折率部の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B1)成分に由来した柱状物の屈折率のばらつきを有効に抑制し、所定の柱状物を備えた内部屈折率分布構造をより効率的に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味する。
このうち、(a)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、1,3-キシリレンジイソシアナート、1,4-キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、及びこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、更にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等を挙げることができる。
この理由は、脂環式ポリイソシアナートであれば、立体配座等の関係により、脂肪族ポリイソシアナートと比較して、各イソシアナート基の反応速度に差を設けやすく、得られるウレタン(メタ)アクリレートの分子設計が容易になるためである。
また、特に、(a)成分が脂環式ジイソシアナートであることが好ましい。
この理由は、脂環式ジイソシアナートであれば、例えば、(a)成分が(b)成分とのみ反応したり、(a)成分が(c)成分とのみ反応したりすることを抑制して、(a)成分を、(b)成分及び(c)成分と確実に反応させることができ、余分な副生成物の発生を防止することができるためである。
その結果、内部屈折率分布構造における(B1)成分に由来した低屈折率部における屈折率のばらつきを効果的に抑制することができる。
更に、脂環式ジイソシアナートであれば、芳香族ジイソシアナートと比較して、得られるモノマー(B1)成分の屈折率を小さくすることができることから、モノマー(A1)成分の代表例である特定の構造を有するビフェニル化合物の屈折率との差を大きくし、入射角度依存性に優れた柱状物を更に効率よく形成することができる。
また、このような脂環式ジイソシアナートの中でも、2つのイソシアナート基の反応性の差が大きいことから、イソホロンジイソシアナート(IPDI)であることが、特に好ましい。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、粘度が低いことから無溶剤で取り扱うことができるためである。
また、ポリプロピレングリコールであれば、モノマー(B1)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、モアレ抑制フィルムのハンドリング性や実装性を、効果的に向上させることができるためである。
なお、モノマー(B1)成分の重量平均分子量は、(b)成分の重量平均分子量により調節することができる。ここで、(b)成分の重量平均分子量は、通常、2,000~19,500であり、好ましくは3,500~14,300であり、特に好ましくは6,300~12,300である。
また、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、所定の低屈折率部をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2-ヒドロキシエチルメタクリレートであることが更に好ましい。
このとき(a)~(c)成分の配合割合を、モル比にて(a)成分:(b)成分:(c)成分=1~5:1:1~5の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合割合とすることにより、(b)成分の有する2つの水酸基に対してそれぞれ(a)成分の有する一方のイソシアナート基が反応して結合し、更に、2つの(a)成分がそれぞれ有するもう一方のイソシアナート基に対して、(c)成分の有する水酸基が反応して結合したウレタン(メタ)アクリレートを効率的に合成することができるためである。
従って、(a)~(c)成分の配合割合を、モル比にて(a)成分:(b)成分:(c)成分=1~3:1:1~3の割合とすることがより好ましく、2:1:2の割合とすることが更に好ましい。
この理由は、モノマー(B1)成分の重量平均分子量を3,000以上とすることにより、モノマー(A1)成分及びモノマー(B1)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、低屈折率部の中に、所定間隔で林立してなる高屈折率の柱状物を効率よく形成することができる。
一方、モノマー(B1)成分の重量平均分子量が20,000を超えた値となると、モノマー(A1)成分との相溶性が過度に低下して、モアレ抑制フィルム用組成物の塗布段階で均一に分散できない場合があるためである。
従って、モノマー(B1)成分の重量平均分子量を、5,000~15,000の範囲内の値とすることがより好ましく、7,000~13,000の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、モノマー(B1)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することもできるし、あるいは、構成原子の原子量をもとに、構造式から算出することもできる。
また、高屈折率部である柱状物の屈折率と、低屈折率部である低屈折率領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、モアレ抑制フィルムのカラム構造領域内において、フィルムに由来した拡散光の開き角度をより向上させることができ、入射光を安定的に反射させて、高いヘーズ値を得ることができるとともに、低い直進透過率や低い後方散乱性とすることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、拡散光の開き角度が過度に狭くなって、モアレ抑制効果が低下する場合があるためである。
従って、モアレ抑制フィルムにおける柱状物の屈折率と、媒体物の屈折率との差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることが更に好ましい。
なお、屈折率の差は大きい程好ましいが、カラム構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
モアレ抑制フィルムの厚さを40~500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、40μm以上の値とすることにより、膜厚方向に沿った柱状物の長さを安定的に確保して、モアレ抑制フィルムとしてのカラム構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、モアレ抑制フィルムに由来した拡散光の開き角度を更に向上させることができるためである。
従って、モアレ抑制フィルムの厚さの下限を60μm以上の値とすることがより好ましく、100μm以上の値とすることが更に好ましい。
一方、モアレ抑制フィルムの厚さの下限を350μmの範囲内の値とすることがより好ましく、260μmの以下の値とすることが更に好ましい。
単一層からなるモアレ抑制フィルムを、複数枚積層し、積層タイプとすることも好ましい。
例えば、モアレ抑制フィルムの変角ヘーズ値、通常ヘーズ値、更には、モアレ抑制フィルムの全体厚さを所定範囲内の値に制御するために、2枚以上の単一層からなるモアレ抑制フィルムを、複数枚積層することが好ましい。
但し、過度に積層すると、使い勝手が低下したり、全光線透過率が低下する場合がある。
従って、単一層からなるモアレ抑制フィルムを積層する場合、2~5枚の範囲内の値とすることが好ましく、2~4枚の範囲内の値とすることがより好ましく、2又は3枚とすることが更に好ましい。
下記関係式(1)で定義される、モアレ抑制フィルムの直進透過率を8%以下の値とすることを特徴とする。
直進透過率=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2))
従って、モアレ抑制フィルムの左右方向(TD方向と一致)のみならず、上下方向(MD方向とも一致)におけるモアレ抑制性を良好とすべく、直進透過率を7%以下の値とすることがより好ましく、6%以下の値とすることが更に好ましく、4%以下の値とすることが特に好ましい。
但し、モアレ抑制フィルムの直進透過率を過度に小さくしようとすると、使用可能な樹脂材料の選択幅が過度に狭くなったり、歩留まりが著しく低下したりして、経済的に不利となる場合がある。
よって、モアレ抑制フィルムの直進透過率の下限を0.1%以上の値とすることがより好ましく、1%以上の値とすることが更に好ましく、2%以上の値とすることが更に好ましい。
モアレ抑制フィルムの変角ヘーズ値、すなわち、変角ヘーズメーターで測定される±70°における変角ヘーズ値(モアレ抑制フィルムの法線方向に対して、±70°の角度範囲で測定されるヘーズ値のうち、最低値を意味する。例えば、TD方向の変角ヘーズ値とは、入射光を当初フィルムの法線方向に固定し、MD方向に延在する軸を基準にフィルムを-70~70°まで回転させ、各角度における出射光を積分球で集光することにより、各入射角度のヘーズ値を測定し、その最低値をいう。)を70%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる変角ヘーズ値を所定値以上とすることによって、優れたモアレ抑制性が得られるためである。
但し、モアレ抑制フィルムの変角ヘーズ値が過度に高くなると、モアレ抑制フィルムを構成する樹脂等の選択の幅が過度に狭くなったり、製造上の歩留まりが著しく低下し、経済的に不利になったりする場合がある。
よって、モアレ抑制フィルムの変角ヘーズ値の上限については、それを99%以下の値とすることがより好ましく、98%以上の値とすることが更に好ましい。
しかしながら、モアレ抑制フィルムの通常ヘーズ値は、比較的簡単かつ短時間で測定できるという利点がある。
よって、上述したモアレ抑制フィルムにおける変角ヘーズ値を考慮することを前提として、通常へ-ズ値も併用して考慮することは好ましいと言える。
そこで、モアレ抑制フィルムにおいて、ヘーズメーターで測定される通常ヘーズ値の下限を85%以上の値とすることが好まく、90%以上の値とすることがより好ましく、95%以上の値とすることが更に好ましい。
一方、製造上の歩留まりの観点から、通常ヘーズ値の上限を99%以下の値とすることが好まく、98%以下の値とすることがより好ましい。
次に、モアレ抑制フィルムの典型的な形成方法(a)~(c)を説明する。
(a)モアレ抑制フィルム用組成物を準備する工程
(b)モアレ抑制フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して、ギャップラミ法にて、平行光の活性エネルギー線照射を行い、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム状構造領域を形成する工程
工程(a)は、モアレ抑制フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、モノマー(A)成分及びモノマー(B)成分を40~80℃の高温条件下にて撹拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、これと同時に、混合液に対し、所望により後述する(C)成分等その他の添加剤を添加した後、均一になるまで撹拌しつつ、所望の粘度となるように、必要に応じて希釈溶剤を更に加えることにより、モアレ抑制フィルム用組成物の溶液を得ることが好ましい。
なお、モノマー(A)成分は、重合することにより、モアレ抑制フィルムにおける高屈折率部を構成する主成分となる。モノマー(B)成分は、重合することにより、モアレ抑制フィルムにおける低屈折率部を構成する主成分となる。
また、モノマー(A)成分及びモノマー(B)成分の種類についての詳細は、第1の実施形態においてモノマー(A1)及び(A2)、並びに、(B1)及び(B2)成分として、それぞれ記載した通りであるため、省略する。
この理由は、モノマー(A)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、カラム構造における(A)成分に由来した部分と、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、より容易に調節して、所定のカラム構造を備えたモアレ抑制フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、モノマー(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、モノマー(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、モノマー(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、モノマー(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、粘度が過度に低下して、モノマー(B)成分との相溶が困難になる場合があるためである。
従って、(A)成分の屈折率を、1.55~1.6の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56~1.59の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、上述したモノマー(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前のモノマー(A)成分の屈折率を意味する。
そして、モノマー(A)成分の屈折率は、例えば、JIS K0062:2000に準じて測定することができる。
この理由は、モノマー(A)成分の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、モノマー(B)成分との混合性を維持しつつも、光照射した場合には、両成分の共重合性を効果的に低下させ、所定のカラム構造を効率的に形成することができるためである。
従って、モノマー(A)成分の含有量を、モノマー(B)成分100重量部に対して、40~300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50~200重量部の範囲内の値とすることが更に好ましい。
この理由は、モノマー(B)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、カラム構造における(A)成分に由来した部分と、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、より容易に調節して、所定のカラム構造を備えたモアレ抑制フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
従って、モノマー(B)成分の屈折率を、1.45~1.49の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46~1.48の範囲内の値とすることが更に好ましい。
なお、上述したモノマー(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前のモノマー(B)成分の屈折率を意味する。
そして、モノマー(B)成分の屈折率についても、例えば、JIS K0062:2000に準じて測定することができる。
この理由は、モノマー(B)成分の含有量が20重量%未満の値となると、モノマー(A)成分に対するモノマー(B)成分の存在割合が少なくなって、カラム構造における(B)成分に由来した部分の幅等が、(A)成分に由来した部分の幅等と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、モアレ抑制フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になる場合があるためである。
一方、モノマー(B)成分の含有量が80重量%を超えた値となると、モノマー(A)成分に対するモノマー(B)成分の存在割合が多くなって、カラム構造における(B)成分に由来した部分の幅等が、(A)成分に由来した部分の幅等と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、モアレ抑制フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になる場合があるためである。
従って、モノマー(B)成分の含有量を、モアレ抑制フィルム用組成物の全体量に対して、30~70質量%の範囲内の値とすることがより好ましく、40~60質量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、モアレ抑制フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に所定のカラム構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
なお、光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、モノマー(A)成分及びモノマー(B)成分の合計量100重量%に対し、0.2~20重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.5~15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、1~10重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
なお、その他の添加剤の含有量は、一般に、モノマー(A)成分及びモノマー(B)成分の合計量100重量%に対して、0.01~5重量%の範囲内の値とすることが好ましく、0.02~3重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05~2重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
工程(b)は、準備したモアレ抑制フィルム用組成物を、工程シートに対して塗布して塗布層を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、及びポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、及びラミネート紙等が挙げられる。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25~200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、このとき、塗布層の厚さを、100~700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
工程(c)は、塗布層に対して、透明剥離フィルムを介して、1段階の平行光の活性エネルギー線照射を行い、いわゆるギャップラミ法にて、屈折率が相対的に高い、複数の柱状物が林立してなるカラム状構造領域を形成する工程である。
すなわち、工程シートの上に形成された塗布層に対し、透明剥離フィルムを介して、光線の平行度が高い平行光を照射することが好ましい。
より具体的には、例えば、点光源からの光をレンズによって平行光とした後、塗布層に照射したり、線状光源からの光を筒状物の集合体によって平行光とした後、塗布層に照射したりすることが好ましい。
平行光照射装置の具体例としては、例えば、山下電装(株)製、紫外線スポット光源「HYPERCURE 200」にオプションの均一露光アダプタを取り付けたものが挙げられる。
この理由は、かかる平行度を10°以下の値とすることにより、複数の柱状物が膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立してなるモアレ抑制フィルムとしてのカラム構造領域を、効率的、かつ、安定的に製造することができるためである。
従って、平行光の平行度を5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることが更に好ましく、1°以下の値とすることが最も好ましい。
また、紫外線の照射条件としては、照度を0.01~30mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照度が0.01mW/cm2未満の値となると、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、照度が30mW/cm2を超えた値となると、(A)成分及び(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合あるためである。
従って、紫外線の照度を0.05~20mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1~10mW/cm2の範囲内の値とすることが更に好ましい。
また、塗布層の移動速度や照射光の照射角度については、第1の活性エネルギー線照射工程と同様とすることができる。
工程(c)を二段階に分けて、まずは、工程(c1´)として、塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の構造領域として、屈折率が相対的に低い領域に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物が、フィルム面方向に沿って交互に平行配置してなる柱状物領域を形成するとともに、塗布層の上方部分に未形成領域を残すことが好ましい。
すなわち、工程シートの上に形成された塗布層に対し、照射角度の制御された直接平行光のみからなる活性エネルギー線、例えば、紫外線を照射する。
ここで、紫外線の照射条件としては、照度を0.01~50mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照度が0.01mW/cm2未満の値となると、第1の構造領域を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、照度が50mW/cm2を超えた値となると、(A)成分及び(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、後述する工程(c2‘)において、第2の構造領域を明確に形成することが困難になる場合あるためである。
従って、紫外線の照度を0.05~20mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1~10mW/cm2の範囲内の値とすることが更に好ましい。
このように単一層において、いわゆるカラム構造/カラム構造を上下方向に積層した構造とすることによって、よりモアレ抑制性や直進透過率の低いモアレ抑制フィルムとすることが好ましい。
任意工程ではあるが、粘着剤層の形成工程を設けて、図2(b)~(c)に示すように、モアレ抑制フィルム10における少なくとも一方の表面に、粘着剤層(接着剤層を含む。以下、同様である。)16、16a、16bを設けることが好ましい。
この理由は、このような態様のモアレ抑制フィルムとすることによって、使い勝手が向上するためである。
また、例えば、第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間を、強固に固定配置することができ、ひいては、関係式(1)で表される直進透過率の調整や変角ヘーズ値の調整等が、更に容易にできるためである。
従って、全光線透過率を90%以上の値とすることが好ましい。
そして、かかる粘着剤層を形成する場合、その厚さを、通常、1~500μmの範囲内の値とすることが好ましく、10~100μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20~50μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
第2の実施形態は、第1の実施形態のモアレ抑制フィルムの変形例であるが、図4(a)~(b)に示すように、内部屈折率分布構造を有するモアレ抑制フィルム10と、粒子分散型光拡散フィルム18を積層してなるモアレ抑制フィルム積層体20、20´である。
より具体的には、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルム積層体20、20´であって、単一層からなる屈折率が相対的に低い低屈折率領域14の中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物12を有しているモアレ抑制フィルム10と、粒子18aを樹脂成分18bの中に分散してなる粒子分散型光拡散フィルム18と、を積層したモアレ抑制フィルム積層体である。
そして、関係式(1)で表される直進透過率を8%以下の値とすることを特徴とするモアレ抑制フィルム積層体20、20´(以下、第3の実施形態のモアレ抑制フィルム積層体と区別するため、第1のモアレ抑制フィルム積層体と称する場合がある。)である。
また、図4(b)は、内部屈折率分布構造を有するモアレ抑制フィルム10の両面に、粒子分散型光拡散フィルム18、18´を備えたモアレ抑制フィルム積層体20´を示している。
以下、本発明の第2の実施形態であるモアレ抑制フィルム積層体において、第1の実施形態と構成が大きく異なる粒子分散型光拡散フィルムを中心に、説明する。
内部屈折率分布構造を有するモアレ抑制フィルムについては、基本的に、第1の実施形態において説明したモアレ抑制フィルムと同様の形態とすることができるので、再度の説明を省略する。
(1)粒子
粒子分散型光拡散フィルムに配合される粒子(光拡散微粒子)としては、粒子分散型光拡散フィルムに配合された場合に、モアレ抑制フィルム積層体として、ヘーズ値を向上できるものであれば、いずれの態様であっても良い。
従って、かかる粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系微粒子;アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂等の有機系の透光性微粒子;シリコーン樹脂のような無機と有機の中間的な構造を有するケイ素含有化合物からなる微粒子(例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のトスパールシリーズ)などが挙げられる。
中でも、アクリル樹脂微粒子、及び無機と有機の中間的な構造を有するケイ素含有化合物からなる微粒子は、粘着剤層の高精細化対応の観点から好ましい。
また、無機と有機の中間的な構造を有するケイ素含有化合物からなる微粒子は、少量の添加でもその効果を発揮し、活性エネルギー線硬化性粘着成分の粘着性が良好に維持されるため、特に好ましい。以上の光拡散微粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
そして、良好な光拡散性やヘーズ値が得られることから、かかる粒子の平均粒径の下限値を1.0μm以上の値とすることが好ましく、2.0μm以上の値とすることが好ましく、更には2.5μm以上の値とすることが好ましい。
一方、粒子の平均粒径の上限値を10μm以下の値とすることが好ましく、7μm以下の値とすることが好ましく、5μm以下の値とすることが最も好ましい。
このような粒子の平均粒径を所定範囲内の値とすることによって、良好な光拡散性が得られる一方、所定のヘーズ値が得られ、モアレ抑制効果を発揮するためである。
なお、粒子の平均粒径は、例えば、ノギスやミクロメータ等を用いて直接的に平均値を測定することもできるが、JIS Z 8825:2013に準拠して、レーザー解析装置等を用いて、算術平均値として測定することができる。
この理由は、かかる粒子の含有量が0.1質量部未満の値になると、所望のヘーズ値を得ることができない場合があるためである。
一方、かかる粒子の含有量が30質量部を超えた値になると、粒子が凝集しやすくなって、取り扱いが困難となったり、透明性が過度に低下したりする場合があるためである。
従って、粒子の含有量の下限値を1質量部以上の値とすることが好ましく、3質量部以上の値とすることが更に好ましい。
また、粒子の含有量の上限値を20質量部以上の値とすることが好ましく、10質量部以上の値とすることが更に好ましい。
樹脂成分の種類としては特に制限されるものではないが、耐久性を優れたものとする観点から、樹脂成分として、活性エネルギー線硬化性粘着成分を含有することが好ましい。
すなわち、活性エネルギー線硬化性粘着成分は、活性エネルギー線の照射により硬化し、かつ粘着性を示す成分を意味する。従って、単一の硬化成分から構成してもよいし、あるいは、活性エネルギー線の照射により硬化する成分と、活性エネルギー線の照射により硬化せず、粘着性を示す成分とが含まれてもよい。
より具体的には、以下に示す(メタ)アクリル酸エステル重合体等を含む活性エネルギー線硬化性粘着成分であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体を構成するモノマーとして、アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来することで、好ましい粘着性を発現することができる。
アルキル基の炭素数が1~20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1~8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸n-ブチル又は(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが特に好ましい。
この理由は、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が200万を超えると、得られる粘着剤の被膜強度が過度に高くなったり、製造時間が過度に長くなったりする場合があるためである。
一方、かかる(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量が10万未満の値になると、得られる粘着性が著しく低下したり、未反応モノマー量が多くなって、取り扱いが困難となったりする場合があるためである。
従って、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量の下限を、20万以上の値とすることがより好ましく、30万以上の値とすることが更に好ましい。
一方、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量の上限を100万以下の値とすることが好ましく、80万以上の値とすることがより好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算値として測定することができる。
上述した樹脂成分の主成分としての(メタ)アクリル酸エステル重合体は、当該重合体を構成するモノマー単位とし、後述する架橋剤(C)と反応する反応性基を分子内に有することが好ましい。
この理由は、反応性基含有モノマー由来の反応性基を有することによって、架橋剤と反応して、架橋構造(三次元網目構造)が形成され、凝集力の高い樹脂成分が得られるためである。
これらの中でも、架橋剤との反応性に優れ、被着体への悪影響の少ない水酸基含有モノマーが特に好ましい。
より具体的には、このような水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
上述した樹脂成分が含有する活性エネルギー線硬化性化合物は、得られる樹脂成分の耐久性や凝集力が所望のレベルまで高くなるものであればよく、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよいし、それらの混合物であってもよい。
中でも、樹脂成分として好適な(メタ)アクリル酸エステル重合体等との相溶性に優れる多官能アクリレート系モノマーを好ましく挙げることができる。
従って、樹脂成分において、活性エネルギー線の照射により、活性エネルギー線硬化性化合物が互いに化学結合を形成し、三次元網目構造を生成する。そして、当該構造中に(メタ)アクリル酸エステル重合体が捕捉されることにより、凝集力が向上し、結果、耐久性に優れたものとなる。
粒子分散型光拡散フィルムを構成する樹脂成分(硬化前)は、反応性基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体を架橋するための架橋剤を含有することが好ましい。
この理由は、樹脂成分を加熱等すると、架橋剤が、反応性基を分子内に有する(メタ)アクリル酸エステル重合体と反応し、得られる樹脂成分の凝集力が向上するためである。
(メタ)アクリル酸エステル重合体が反応性官能基として水酸基を有する場合、上記の中でも、水酸基との反応性に優れたイソシアネート系架橋剤を使用することが好ましい。なお、架橋剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
このようなポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、更にはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられる。中でも水酸基との反応性の観点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。
また、架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部に対
して、0.01~10質量部であることが好ましく、特に0.05~5質量部であること
が好ましく、更には0.1~1質量部であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性粘着成分は、所望により、各種添加剤、例えば光重合開始剤、シランカップリング剤、屈折率調整剤、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤等を配合することも好ましい。
粒子分散型光拡散フィルムの厚さは、用途や各種目的に応じて適宜変更することができるが、通常、5~200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、粒子分散型光拡散フィルムの厚さが5μmとなると、取り扱いが困難となったり、積層効果(ヘーズ値上昇効果)が見られない場合があるためである。
一方、粒子分散型光拡散フィルムの厚さが200μmを超えると、直進透過率の値が急激に低下したり、後方散乱の割合が過度に大きくなる場合があるためである。
従って、粒子分散型光拡散フィルムの厚さの下限を10μm以上の値とすることがより好ましく、20μm以上の値とすることが好ましい。
一方、粒子分散型光拡散フィルムの厚さの上限を150μm以下の値とすることがより好ましく、100μm以下の値とすることが更に好ましい。
粒子分散型光拡散フィルムは、硬化前の樹脂成分中に、所定量の所定粒子を均一に混合分散した後、それから塗膜を形成し、更に紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって、製造することができる。
粒子分散型光拡散フィルム単体の通常ヘーズ値、すなわち、JIS K 7136:2000に準拠して測定されるヘーズ値を5%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、粒子分散型光拡散フィルム単体の通常ヘーズ値を所定値以上とすることによって、それを変角ヘーズ値の値に加味して考慮するため、更に、優れたモアレ抑制性が得られるためである。
従って、粒子分散型光拡散フィルム単体の通常ヘーズ値の下限を20%以上の値とすることがより好ましく、50%以上の値とすることが更に好ましい。
但し、粒子分散型光拡散フィルム単体の通常ヘーズ値の上限を過度に大きくすると、製造上の歩留まりが著しく低下する場合がある。
従って、粒子分散型光拡散フィルム単体の通常ヘーズ値の上限を95%以下の値とすることが好ましく、90%以下の値とすることがより好ましく、88%以下の値とすることが更に好ましい。
モアレ抑制フィルム積層体20によれば、図5に示すような変角ヘーズ値に対する粒子分散型光拡散フィルム単体の積層効果を得ることができる。
すなわち、図5中のラインAは、後述する実施例1(以降、参考例1と称する場合がある。)に準拠したモアレ抑制フィルム(単層)のMD方向の変角ヘーズ値を示すチャートである。
また、図5中のラインBは、後述する実施例6に準拠したモアレ抑制フィルム積層体のMD方向の変角ヘーズ値を示すチャートである。より具体的には、後述する実施例1に準拠したモアレ抑制フィルム(単層)に対して、粒子分散型光拡散フィルム単体(通常ヘーズ値:20%)を積層してなるモアレ抑制フィルム積層体の変角ヘーズ値を示すチャートである。
かかるラインBと、ラインA等の比較から、所定の粒子分散型光拡散フィルム単体(通常ヘーズ値:20%)を積層することによって、変角ヘーズ値を81.0%から84.8%に調整できることが理解される。
かかるラインC等から、所定の粒子分散型光拡散フィルム単体(通常ヘーズ値:40%)を積層することによって、変角ヘーズ値を81.0%から86.3%に調整できることが理解される。
かかるラインD等から、所定の粒子分散型光拡散フィルム単体(通常ヘーズ値:60%)を積層することによって、変角ヘーズ値を81.0%から90.2%に調整できることが理解される。
よって、モアレ抑制フィルムに対して、所定の粒子分散型光拡散フィルムを積層してなる、モアレ抑制フィルム積層体20、20´によれば、経済的に、変角ヘーズ値の値を平準化して、所定範囲内の値とすることができる。
第3の実施形態は、図6に示すように、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制する、第1のモアレ抑制フィルム10a及び第2のモアレ抑制フィルム10bを含んでなるモアレ抑制フィルム積層体30である。
また、第1のモアレ抑制フィルム10a及び第2のモアレ抑制フィルム10bは、それぞれ単一層中に、屈折率が相対的に低い低屈折率領域14と、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物12と、を有している。
そして、第1のモアレ抑制フィルム10aのMD方向と、第2のモアレ抑制フィルム10bのMD方向とのなす角度を1~179°の範囲内の値となるように積層してあることを特徴とするモアレ抑制フィルム積層体30であり、かつ、当該モアレ抑制フィルム積層体30の関係式(1)で表される直進透過率を8%以下の値とすることを特徴とするモアレ抑制フィルム積層体30(以下、上述した第2の実施形態のモアレ抑制フィルム積層体と区別するため、第2のモアレ抑制フィルム積層体と称する場合がある。)である。
このようにモアレ抑制フィルム積層体30を構成することによって、MD方向等における通常ヘーズ値等の特性バラツキを吸収して、関係式(1)で表される直進透過率や変角ヘーズ値の調整等が更にきめ細かく、容易となって、所定のモアレ抑制効果を発揮することができる。
以下、本発明の第3の実施形態であるモアレ抑制フィルム積層体を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
第1のモアレ抑制フィルム10aの製造工程の進行方向をMD方向とし、第1のモアレ抑制フィルム10aの製造工程の進行方向(MD方向)と、水平かつ垂直方向に交わる方向をTD方向とした場合において、特に、MD方向において、内部屈折率分布構造に基づく変角ヘーズの値が異なる場合がある(図7(b)、点線ラインA(MD方向)及び実線ラインB(TD方向)参照)。
これは、製造の工程の進行方向(MD方向)において、両端部分等に照射される活性エネルギー線の照射量がばらつくこと等によるものと推定される。
そこで、第1のモアレ抑制フィルムのMD方向と、第2のモアレ抑制フィルムのMD方向との交差角度を1~179°の範囲内の値となるように積層することにより、モアレ抑制フィルムの幅方向のヘーズのばらつきが小さくなるものである(図7(a)、実線ラインC参照;交差角度90°となるように積層して、第1のモアレ抑制フィルム基準のTD方向、MD方向の変角ヘーズを示す。いずれも重なる挙動を示している)。
従って、第1のモアレ抑制フィルムのMD方向と、第2のモアレ抑制フィルムのMD方向との交差角度を30~150°の範囲内の値となるように積層することがより好ましく、交差角度を60~120°の範囲内の値となるように積層することが更に好ましく、交差角度を80~100°の範囲内の値、例えば、90°となるように積層することが最も好ましい。
第1及び第2のモアレ抑制フィルムのMD方向は、モアレ抑制フィルムの製造の工程の進行方向を意味する。
すなわち、モアレ抑制フィルムのMD方向は、製造時、連続してフィルム搬送されるため、わずかな角度変化や平行度変化の影響を受け易い。よって、MD方向とTD方向で角度を変化させた際に、ヘーズ値バラツキが大きい方向をMD方向として目視で簡易的に判別することができる。
なお、モアレ抑制フィルムのMD方向が判別しやすいように、モアレ抑制フィルムを製造すべく、活性エネルギー線を照射する際に、矢印等の識別マークを同時露光しておくことも好ましい。
従って、第1のモアレ抑制フィルムのMD方向と、第2のモアレ抑制フィルムのMD方向との交差角度を考慮して、図6の矢印Aに示す方向に、両者を積層することにより、図7(a)に示すように、MD及びTD方向の変角ヘーズ等の値を平均化し、且つ高い値に調整することができる。
第4の実施形態は、図8に示す矢印Aに沿って、下方から、少なくとも第1のパターン構造層含有光学部材54と、第2のパターン構造層含有光学部材58と、を含む、複数のパターン構造層含有光学部材の間に配置し、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルム10を備えた複合表示装置100である。
そして、モアレ抑制フィルム10が、単一層からなる屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物を有しており、かつ、関係式(1)で表されるモアレ抑制フィルムの直進透過率を8%以下の値とすることを特徴とする複合表示装置100である。
以下、第4の実施形態の複合表示装置100を、適宜図面を参照して、より具体的に説明する。
少なくとも第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間に配置し、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルムを備えた複合表示装置である。
例えば、複合画像表示装置が、液晶表示装置の場合には、図8に示すように、矢印Aの下側から順に、バックライト50、第1のパターン構造層含有光学部材である第1の液晶パネル54、モアレ抑制フィルム10、第2のパターン構造層含有光学部材である第2の液晶パネル58と配置されることとなる。なお、前述のモアレ抑制フィルムは、第1のモアレ抑制フィルム積層体、あるいは、第2のモアレ抑制フィルム積層体に置換されてもよい。
第1のパターン構造層含有光学部材としては、液晶パネルが典型的である。
その他、第2のパターン構造層含有光学部材との関係で、モアレ現象が生じるような第1のパターン構造層含有光学部材の態様の場合、例えば、有機EL素子、液晶表示装置のカラーフィルター、有機EL素子のカラーフィルター、液晶表示装置の特殊電極パターン、有機EL素子の特殊電極パターン、液晶表示装置のプリズムパターン等も第1のパターン構造層含有光学部材として好ましい。
第2のパターン構造層含有光学部材としては、第2の液晶パネルが典型的である。
その他、第1のパターン構造層含有光学部材との関係で、モアレ現象が生じるような第2のパターン構造層含有光学部材の態様の場合、例えば、有機EL素子、液晶表示装置のカラーフィルター、有機EL素子のカラーフィルター、液晶表示装置の特殊電極パターン、有機EL素子の特殊電極パターン、液晶表示装置のプリズムパターン等も第2のパターン構造層含有光学部材として好ましい。
このような内部屈折率分布構造等を有するモアレ抑制フィルムを第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間に配置使用した複合表示装置とすることによって、モアレ抑制効果を有効に発揮できるとともに、直進透過率を低く維持し、かつ後方散乱も抑制できることから、高コントラストの画像を視認することができる。
1.(メタ)アクリル酸エステル共重合体の調整
撹拌装置付き重合容器内に、モノマー成分として、重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、イソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って溶液重合させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
得られたポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、下記測定条件に準じて、ポリスチレン換算値として測定したところ、50万であった。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC-8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL-H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
次いで、撹拌装置付き容器内に、得られたポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、重量平均分子量268のo-フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート100重量部と、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン10重量部とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、モアレ抑制フィルム用組成物を得た。
なお、ポリエーテルウレタンメタクリレート及びo-フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレートの屈折率を測定したところ、アッベ屈折計[アタゴ社製、品名「アッベ屈折計DR-M2」、Na光源、波長:589nm]によりJIS K0062:に準じて測定したところ、それぞれ1.58及び1.46であった。
次いで、得られたモアレ抑制フィルム用組成物を、ナイフコータを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック(株)製、製品名「SP-PET188CL」)の剥離処理面に、塗布層を形成した。
次いで、乾燥炉を用いて、90℃、1分間加熱処理して、厚さ120μmの塗布層を得た。
次いで、塗布層の露出面側に、厚さ38μmの紫外線透過性を有する軽剥離フィルム(リンテック(株)製、製品名「SP-PLZ383030」)を積層し、いわゆるギャップラミ構造とした。
次いで、ギャップラミ構造の塗布層に対して、軽剥離フィルムを介して、紫外線照射装置(山下電装(株)製、紫外線スポット光源「HYPERCURE 200」にオプションの均一露光アダプタを取り付けたもの)による、紫外線の平行光が、塗布膜に対して0°で入射するように、ピーク照度が1.0mW/cm2、積算光量が25mJ/cm2の条件で露光し、塗布層の光硬化を行った。
そして、図1に概略図を示すように、フィルム内部に渡って、低屈折率領域中に、高屈折率のカラム構造が形成されたモアレ抑制フィルムが得られた。
(1)直進透過率の測定
得られたモアレ抑制フィルムの直進透過率を、光源と、2枚の偏光板と、輝度計を用いて、測定した。
すなわち、パラレルニコル配置した状態の2枚の偏光板の間に、偏光板の吸収軸とモアレ抑制フィルムのMD方向が一致するように、得られたモアレ抑制フィルムを挟んだ状態で、透過光の輝度(Lp)を測定した。
一方、パラレルニコル配置した状態の2枚の偏光板につき、モアレ抑制フィルムを挟みこまない状態、すなわち、2枚の偏光板のみに対して、同様の条件で透過光のブランク輝度(Lo=2763cd/m2)を測定した。
次いで、得られたLp(cd/m2)、L0(cd/m2)から、下記関係式(1)に準じて、直進透過率を算出した。
直進透過率(%)=Lp/Lo×100 (1)
得られたモアレ抑制フィルムを、両面の剥離フィルムを剥がした後、厚さ1.1mmのガラス板に対して、接着剤を用いず貼付し、測定試料とした。
次いで、測定試料につき、変角ヘーズメーター((株)東洋精機製作所製、製品名「入射角可変装置付ヘイズガード」)を用い、-70°~+70°の角度範囲で、ヘーズ値を連続的に測定し、最も低いヘーズ値を、変角ヘーズ値(%)とした。
得られたモアレ抑制フィルムを、両面の剥離フィルムを剥がした後、厚さ1.1mmのガラス板に対して、粘着剤を用いずに貼付し、測定試料とした。
次いで、得られたモアレ抑制フィルムにつき、JIS K 7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、製品名「NDH5000」)を用い、通常ヘーズ値(%)及び全光線透過率(%)を測定した。
得られたモアレ抑制フィルムの軽剥離フィルムを剥離し、モアレ抑制フィルムの露出面をタブレット端末(米国アップル社製、製品名「iPad(登録商標)」、解像度:264dpi)の表示画面に対向させた状態で貼付した。
次いで、重剥離フィルムを剥離し、モアレ抑制フィルムの露出面に対して、60、120、180ppiの格子パターンを有する液晶表示装置用マスクを貼付し、評価試料とした。
次いで、上述したタブレット端末の画面を全面緑色表示(RGB値(R、G、B)=0、255、0)にして、左右方向(CD方向に対応)に目視観察し、下記判断基準に準じて、モアレの抑制性評価1を行った。
◎:表示画面に対して、法線方向である正面(0°方向)及び斜め方向(60°方向)から視覚しても、いずれの格子パターンでもモアレの発生は観察されなかった。
○:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、モアレの発生は観察されないが、斜め方向から視認すると、いずれかの格子パターンで若干のモアレの発生が観察された。
△:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、モアレの発生は観察されないが、斜め方向から視認すると、いずれかの格子パターンで明確なモアレの発生が観察された。
×:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、斜め方向から視認しても、いずれかの格子パターンで明確なモアレの発生が観察された。
得られたモアレ抑制フィルムのモアレの抑制性評価2を、上述したタブレット端末の画面を全面緑色表示(RGB値(R、G、B)=0、255、0)にして、上下方向(MD方向に対応)に目視観察し、下記判断基準に準じて行った。
◎:表示画面に対して、法線方向である正面(0°方向)及び斜め方向(60°方向)から視覚しても、いずれの格子パターンでもモアレの発生は観察されなかった。
○:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、モアレの発生は観察されないが、斜め方向から視認すると、いずれかの格子パターンで若干のモアレの発生が観察された。
△:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、モアレの発生は観察されないが、斜め方向から視認すると、いずれかの格子パターンで明確なモアレの発生が観察された。
×:表示画面に対して、法線方向である正面から視覚しても、斜め方向から視認しても、いずれかの格子パターンで明確なモアレの発生が観察された。
得られたモアレ抑制フィルムを、両面の剥離フィルムをはがした後、厚さ1.1mmのガラス板に対して、粘着剤を用いずに貼付し、測定試料とした。モアレ抑制フィルムの露出面を、アンチグレア処理されている液晶表示装置の表示画面に対向させた状態で貼付した。
次いで、液晶表示装置を黒表示とし、得られたモアレ抑制フィルムの背面から、目視観察し、図9のような写真を得た。観察環境は、種々の方向から蛍光灯照明が入射する明環境で行った。
かかる写真に示される状態から、下記基準にて、後方散乱程度を評価した。
◎:正面および斜め後方から観察しても白っぽく見えず、後方散乱が無いと推認する。
〇:正面および斜め後方から観察すると少々白っぽく見えて、後方散乱程度が少々ある。
△:正面および斜め後方から観察するとわずかに白っぽく見えて、後方散乱程度が相当大きい。
×:正面および斜め後方から観察すると白っぽく見えて、後方散乱程度が著しい。
実施例2(以降、参考例2と称する場合がある。)では、実施例1の厚さ120μmの紫外線透過性を有する軽剥離フィルムのかわりに、厚さ60μmの紫外線透過性を有する軽剥離フィルムによるギャップラミ法(以下、60μmギャップラミ法と称する場合がある。)を実施したほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制フィルムを作成し、モアレ抑制性等を評価した。
実施例3では、実施例1と同様に得られたモアレ抑制フィルム(120μmギャップラミ法)を2枚準備し、それらをモアレ抑制フィルムのMD方向と、TD方向がそれぞれ90°にて直交するように積層して、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
実施例4では、実施例2と同様に得られたモアレ抑制フィルム(60μmギャップラミ法)を2枚準備し、それらをモアレ抑制フィルムMD方向と、TD方向がそれぞれ直交するように積層して、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
実施例5では、実施例1と同様に得られたモアレ抑制フィルム(120μmギャップラミ法)を3枚準備し、それらをモアレ抑制フィルムのMD方向が全て一致するように3枚積層して、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
実施例6では、実施例1と同様に得られたモアレ抑制フィルム(120μmギャップラミ法)の片面に対して、粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:60μm、ヘーズ値:20%)を作製し、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
次いで、得られたモアレ抑制フィルム用組成物を、ナイフコータを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した重剥離型剥離シート(リンテック(株)製、製品名「SP-PET382050」)の剥離処理面に、塗布層を形成した。
次いで、乾燥炉を用いて、90℃、1分間加熱処理して、厚さ50μmの塗布層を得た。
次いで、塗布層の露出面側に、厚さ120μmの紫外線透過性を有する軽剥離フィルム(リンテック(株)製、製品名「SP-PET382120」)を積層した。
そして、軽剥離フィルムを介して、紫外線照射装置(山下電装(株)製、紫外線スポット光源「HYPERCURE 200」にオプションの均一露光アダプタを取り付けたもの)による、紫外線の平行光が、塗布膜に対して0°で入射するように、ピーク照度が1.0mW/cm2、積算光量が25mJ/cm2の条件で露光し、塗布層の光硬化を行った。
最後に、23℃、50%Rhの条件で、7日間養生し、得られた粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:50μm、通常ヘーズ値:20%)を、実施例1で得られたモアレ抑制フィルム1枚の片面に対し貼付して、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
実施例7では、実施例1と同様に得られたモアレ抑制フィルム(120μmギャップラミ法)の片面に対して、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子配合量を調整し、粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:50μm、通常ヘーズ値:40%)を作製し、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
実施例8では、実施例1と同様に得られたモアレ抑制フィルム(120μmギャップラミ法)の片面に対して、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子配合量を調整し、粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:50μm、通常ヘーズ値:60%)を作製し、モアレ抑制フィルム積層体としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
比較例1では、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子配合量を調整し、粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:50μm、通常ヘーズ値:75%)を単体として用いたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
比較例2では、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子種を、スチレン粒子フィラー(平均粒径:4.5μm、配合量:10.0質量%)とし、粒子分散型モアレ抑制フィルム(厚さ:50μm、通常ヘーズ値:87%)を単体として用いたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
比較例3では、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子種を、スチレン粒子フィラー(平均粒径:2.5μm、配合量:22.4質量%)とし、第1の粒子分散型モアレ抑制フィルム(通常ヘーズ値:85%、厚さ:12μm)を得たほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
同様に、実施例6で作成した粒子分散型モアレ抑制フィルムにおける粒子種を、スチレン粒子フィラー(平均粒径:2.5μm、配合量:7.1質量%)とし、第2の粒子分散型モアレ抑制フィルム(ヘーズ値:53%、厚さ:12μm)とした。
比較例4では、第1の粒子分散型モアレ抑制フィルムと、第2の粒子分散型モアレ抑制フィルムを積層し、モアレ抑制フィルム積層体(通常ヘーズ値:91%、厚さ:24μm)としたほかは、実施例1と同様に、モアレ抑制性等を評価した。
従って、本発明のモアレ抑制フィルム等は、各種の第1の表示装置及び第2の表示装置の間隙に配置されて、複合表示装置とすることによって、優れたモアレ抑制性が得られ、ひいては、後方拡散程度が少なく、高コントラストの立体画像等を視認することができる。
従って、液晶表示装置のみならず、有機EL素子も電極パターンを用いる場合があることから、第1の有機EL素子及び第2の有機EL素子の組み合わせや、第1の液晶パネル及び第2の有機EL素子の組み合わせ等の、同様に、モアレ発生が問題となる用途にも使用することができる。
すなわち、これらの用途においても、良好なモアレ抑制性や、少ない後方拡散程度、かつ、立体画像の高品質化に寄与することが期待される。
12:屈折率が相対的に高い柱状物(高屈折率部)
14:屈折率が相対的に低い低屈折領域(低屈折率部)
16、16a、16b:粘着剤層
18、18´:粒子分散型モアレ抑制フィルム
18a:粒子
18b:樹脂層
20:モアレ抑制フィルム積層体(第1のモアレ抑制フィルム積層体)
30:モアレ抑制フィルム積層体(第2のモアレ抑制フィルム積層体)
50:バックライト
52:第1の偏光フィルム
54:第1のパターン構造層含有光学部材
56:第2の偏光フィルム
58:第2のパターン構造層含有光学部材
60:第3の偏光フィルム
90、100、110:複合表示装置
Claims (5)
- 二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルムであって、
単一層からなる屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物を林立してなるカラム構造を有しており、
厚さを40~500μmの範囲内の値とし、
JIS K 7136:2000に準拠して測定されるヘーズ値を90%以上の値とし、
前記モアレ抑制フィルムを形成する際の進行方向をMD方向とし、当該MD方向に直交する方向をTD方向とした場合に、前記MD方向及び前記TD方向を基準としてなる±70°の変角ヘーズ値、あるいはいずれか一方の変角ヘーズ値を85%以上の値とし、
かつ、下記関係式(1)で定義される、当該モアレ抑制フィルムの直進透過率を6.4%以下の値とすることを特徴とするモアレ抑制フィルム。
直進透過率=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2)) - 少なくとも一方の表面に、粘着剤層を設けることを特徴とする請求項1に記載のモアレ抑制フィルム。
- 請求項1又は2に記載のモアレ抑制フィルムを含んでなるモアレ抑制フィルム積層体であって、前記モアレ抑制フィルムの少なくとも一方の表面に、粒子分散型光拡散層を設けることを特徴とするモアレ抑制フィルム積層体。
- 二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制する、第1のモアレ抑制フィルム及び第2のモアレ抑制フィルムを含んでなるモアレ抑制フィルム積層体であって、
前記第1のモアレ抑制フィルム及び第2のモアレ抑制フィルムが、単一層からなる屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物を林立してなるカラム構造を有しており、
前記第1のモアレ抑制フィルム及び第2のモアレ抑制フィルムの厚さを40~500μmの範囲内の値とし、
前記第1のモアレ抑制フィルム及び第2のモアレ抑制フィルムのJIS K 7136:2000に準拠して測定されるヘーズ値を90%以上の値とし、
前記モアレ抑制フィルムを形成する際の進行方向をMD方向とし、当該MD方向に直交する方向をTD方向とした場合に、前記MD方向及び前記TD方向を基準としてなる±70°の変角ヘーズ値、あるいはいずれか一方の変角ヘーズ値を85%以上の値とし、
前記第1のモアレ抑制フィルムのMD方向と、それらに対応した、前記第2のモアレ抑制フィルムのMD方向とのなす角度を1~179°の範囲内の値とし、
かつ、下記関係式(1)で定義される、当該モアレ抑制フィルム積層体の直進透過率を6.4%以下の値とすることを特徴とするモアレ抑制フィルム積層体。
直進透過率=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2)) - 少なくとも第1のパターン構造層含有光学部材と、第2のパターン構造層含有光学部材との間に配置し、二つの空間周波数の差によって生じるモアレ現象を抑制するモアレ抑制フィルムを備えた複合表示装置であって、
前記モアレ抑制フィルムが、単一層からなる屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い材料からなる複数の柱状物を林立してなるカラム構造を有しており、
前記モアレ抑制フィルムの厚さを40~500μmの範囲内の値とし、
前記モアレ抑制フィルムのJIS K 7136:2000に準拠して測定されるヘーズ値を90%以上の値とし、
前記モアレ抑制フィルムを形成する際の進行方向をMD方向とし、当該MD方向に直交する方向をTD方向とした場合に、前記MD方向及び前記TD方向を基準としてなる±70°の変角ヘーズ値、あるいはいずれか一方の変角ヘーズ値を85%以上の値とし、
かつ、下記関係式(1)で定義される、当該モアレ抑制フィルムの直進透過率を6.4%以下の値とすることを特徴とする複合表示装置。
直進透過率=Lp/Lo×100 (1)
(Lp:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板の間に、モアレ抑制フィルムを挟込んだ状態で測定される透過光の輝度(cd/m2)、Lo:パラレルニコル状態で配置した2枚の偏光板のみにおいて測定される透過光の輝度(cd/m2))
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