JP7040959B2 - 光拡散粘着剤組成物、光拡散粘着剤シート、及び光拡散粘着剤シートの製造方法 - Google Patents

光拡散粘着剤組成物、光拡散粘着剤シート、及び光拡散粘着剤シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光拡散粘着剤を得るための光拡散粘着剤組成物、光拡散粘着剤シートの製造方法及び光拡散粘着剤シートに関する。
特に、活性エネルギー線を照射する前の段階では均一な組成物であるにもかかわらず、活性エネルギー線の照射によって硬化する際に、所定の内部構造が形成され、かつ、活性エネルギー線を照射した後の硬化物が、優れた光拡散特性及び粘着特性を共に備えた光拡散粘着剤となる光拡散粘着剤組成物、それを用いた光拡散粘着剤シートの製造方法、及び光拡散粘着剤シートに関する。
従来、例えば、液晶表示装置やプロジェクションスクリーン等が属する光学技術分野において、光拡散フィルムの使用が提案されている。
かかる光拡散フィルムは、特定の入射角度範囲(以下、「光拡散入射角度領域」と称する場合がある。)では、一定の光拡散状態を示し、光拡散入射角度領域から外れる入射角度範囲では、入射光がそのまま透過するか、あるいは光拡散入射角度領域での拡散状態とは異なる光拡散状態を示すという光拡散特性を有するものである。
このような光拡散フィルムとしては、様々な態様が知られている。例えば、フィルム内において、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に配置してなるルーバー構造を有する光拡散フィルムが知られている。
また、別のタイプの光拡散フィルムとしては、フィルム内において、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムが知られている。
このようなルーバー構造やカラム構造を有する光拡散フィルムは、屈折率が異なる2種類以上の重合性化合物を含む光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層に対して、所定の方法にて活性エネルギー線を照射することにより得られることが知られている。
具体的には、塗布層に対して進行方向を制御した所定の活性エネルギー線を照射し、塗布層における2種類以上の重合性化合物を相分離させながら硬化させ、所定の内部構造を有する光拡散フィルムが得られることが知られている。
例えば、バンドパスフィルター等の干渉フィルターを介して紫外線を照射することにより、ルーバー構造等の内部構造を湾曲させ、光拡散入射角度領域を広げてなる、異方性の光制御フィルムが開示されている(特許文献1参照)。
また、カラム構造を有する光拡散フィルムを2枚重ねてなる光制御フィルムであって、下段の光拡散フィルムにおけるカラム構造の傾斜角と、その上に積層される上段の光拡散フィルムにおけるカラム構造の傾斜角とを所定の範囲で異ならせてなる、等方性の光制御フィルムが開示されている(特許文献2参照)。
特開2006-323379号公報(特許請求の範囲等) 特開2013-19988号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示の異方性の光制御フィルムや、特許文献2に開示の等方性の光制御フィルムは、それぞれ優れた光拡散特性を有するものの、単独では被着体に対して固定することができないため、デバイスに適用する際には、粘着剤層や接着剤層を介在させる必要があった。
その結果、デバイスが厚くなったり、光拡散フィルムと粘着剤層や接着剤層との間における屈折率差に起因して、積層界面において光学特性の損失が生じ易くなったりするという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、以上のような事情に鑑みて鋭意努力したところ、屈折率が異なる2種類の活性エネルギー線硬化成分の混合物に対し、極性ビニルモノマーをさらに配合してなる組成物に対して、活性エネルギー線(紫外線等を含む。以下、同様である。)を照射することによって、所定の粘着性等を維持したまま、光拡散特性を発揮する内部構造が形成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、活性エネルギー線の照射前の段階では均一な組成物であるにもかかわらず、活性エネルギー線の照射によって硬化させた場合には、所定の内部構造が形成され、優れた光拡散特性及び粘着特性を発揮する光拡散粘着剤組成物、それを用いた光拡散粘着剤シートの製造方法、及び光拡散粘着剤シートを提供することにある。
本発明によれば、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤を形成するための光拡散粘着剤組成物であって、
(A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
(B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
(C)成分としての極性ビニルモノマーと、を含むとともに、
(A)成分は、複数の芳香環を有することを特徴とする光拡散粘着剤組成物が提供され、上述した問題を解決することができる。
本発明の光拡散粘着剤組成物は、屈折率が異なる2種類の活性エネルギー線硬化成分(紫外線硬化成分等を含む。以下、同様である。)として、(A)及び(B)成分を含むことから、それぞれの重合速度に所定差を生じさせ、両成分の均一な共重合を抑制することにより、それらを相分離させながら硬化させることができる。
これにより、硬化前の段階では均一、透明な組成物であるにもかかわらず、硬化の際に所定の内部構造が形成されることから、入射光を効率よく光拡散する特性を発揮することができる。
また、(C)成分として極性ビニルモノマーを含むことから、得られる硬化物の粘弾性及び極性が所定の範囲に調節され、その結果、得られる硬化物に対し、優れた粘着特性を付与することもできる。
したがって、本発明の光拡散粘着剤組成物であれば、優れた光拡散特性及び粘着特性を共に備えた光拡散粘着剤を得ることができる。
なお、本発明において、(C)成分のように、(A)成分又は(B)成分以外の成分に該当する化合物は、文言上(A)成分又は(B)成分に含まれる場合であっても、(A)成分又は(B)成分に含まれないものとする。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分としての極性ビニルモノマーが、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一種の極性官能基を有する極性ビニルモノマーであることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる硬化物の粘弾性及び極性を、より安定的に所定の範囲に調節することができ、より優れた粘着特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分の含有量を、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.1~100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、所定の粘着性等を維持したまま、光拡散特性を発揮する内部構造を効率的に形成することができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(D)成分としての炭素数4~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1~50重量部の範囲内の値となるように含むことが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる硬化物の粘弾性及び極性を、さらに安定的に所定の範囲に調節することができ、さらに優れた粘着特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(C)成分としての極性ビニルモノマーと、前記(D)成分としての炭素数4~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、の配合比((C)成分:(D)成分(重量比))を90:10~20:80の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる硬化物の粘弾性及び極性を、さらに安定的に所定の範囲に調節することができ、さらに優れた粘着特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分が、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
このように構成することにより、活性エネルギー線照射によって、(A)成分及び(B)成分をより効率的に相分離させながら硬化させることができ、より優れた光拡散特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分が、ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
このように構成することにより、活性エネルギー線照射によって、(A)成分及び(B)成分をさらに効率的に相分離させながら硬化させることができ、さらに優れた光拡散特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(E)成分としての光重合開始剤を含み、当該光重合開始剤の配合量を、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.2~20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分及び(B)成分をさらに効率的に相分離させながら硬化させることができ、より優れた光拡散特性を得ることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤組成物を構成するにあたり、(F)成分としてのシランカップリング剤を含み、当該シランカップリング剤の配合量を、前記(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01~5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、得られる光拡散粘着剤における被着体への密着力を向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの光拡散粘着剤組成物を用いた光拡散粘着剤シートの製造方法であって、下記工程(a)~(c)を含むことを特徴とする光拡散粘着剤シートの製造方法である。
(a)光拡散粘着剤組成物を準備する工程
(b)光拡散粘着剤組成物を基材に対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して活性エネルギー線を照射し、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤シートを得る工程
すなわち、本発明の光拡散粘着剤シートの製造方法によれば、所定の光拡散粘着剤組成物を用いていることから、優れた光拡散特性及び粘着特性を共に備えた光拡散粘着剤シートを、効率的に製造することができる。
また、本発明のさらに別の態様は、上述したいずれかの光拡散粘着剤組成物に由来した硬化物であって、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤シートである。
すなわち、本発明の光拡散粘着剤シートによれば、所定の光拡散粘着剤組成物を活性エネルギー線照射によって硬化してなることから、優れた光拡散特性及び粘着特性を発揮することができる。
図1(a)~(b)は、シート内にルーバー構造を有する光拡散粘着剤シートの概略を説明するために供する図である。 図2(a)~(b)は、シート内にルーバー構造を有する光拡散粘着剤シートにおける入射角度依存性及び異方性光拡散を説明するために供する図である。 図3(a)~(d)は、本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化してなる光拡散粘着剤シートにおける内部構造の態様を説明するために供する図である。 図4は、(C)成分及び(D)成分の合計量に対する(D)成分の配合割合と、得られた光拡散粘着剤の粘着力と、の関係を説明するために供する図である。 図5(a)~(c)は、本発明における所定の内部構造を有する光拡散粘着剤シートの製造方法を説明するために供する図である。 図6は、活性エネルギー線の照射角を説明するために供する図である。 図7(a)~(b)は、実施例1の光拡散粘着剤シートにおける断面の模式図と写真を説明するために供する図である。 図8(a)~(b)は、実施例1の光拡散粘着剤シートにおける光拡散特性を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を形成するための光拡散粘着剤組成物であって、
(A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
(B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
(C)成分としての極性ビニルモノマーと、を含むとともに、
(A)成分は、複数の芳香環を有することを特徴とする光拡散粘着剤組成物である。
以下、本発明の第1の実施形態の光拡散粘着剤組成物を、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.光拡散粘着剤における光拡散の基本原理
本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化してなる光拡散粘着剤シートは、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有するものであって、
上記内部構造は、シート面に沿って任意の方向に、高屈折率領域と、低屈折率領域が、交互に複数配置してなる構造を有することが好ましい。
より具体的には、単一の層(但し、複数の層を貼り合わせて単一の状態としたものは含まない)からなるシート(以降、「単一シート」と称する)内にルーバー構造又はカラム構造を有することが好ましい。
最初に、本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化してなる光拡散粘着剤の一例として、図1~2を用いて、単一シート内にルーバー構造を有する異方性光拡散特性を有する光拡散粘着剤シートについて説明する。
まず、図1(a)には、異方性光拡散粘着剤からなる、単一シート内にルーバー構造を有する異方性光拡散粘着剤シート10の平面図が示してある。
また、図1(b)には、図1(a)に示す異方性光拡散粘着剤シート10を、点線A-Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印に沿った方向から眺めた場合の異方性光拡散粘着剤シート10の断面図が示してある。
また、図2(a)には、シート内にルーバー構造を有する異方性光拡散粘着剤シート10の全体図を示しある。
また、図2(b)には、図2(a)の異方性光拡散粘着剤シート10により拡散された光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)を示している。
このように、図1(a)の平面図に示すように、異方性光拡散粘着剤シート10は、シート面に沿った任意の一方向に、屈折率が相対的に高い板状領域12と、屈折率が相対的に低い領域14と、が交互に平行配置されたルーバー構造20を備えている。
また、図1(b)の断面図に示すように、屈折率が相対的に高い板状領域12と、屈折率が相対的に低い領域14は、それぞれ所定の厚さを有しており、異方性光拡散粘着剤シート10に対する法線方向(膜厚方向)においても、交互に平行配置された状態を保持している。
なお、ルーバー構造20は、屈折率が相対的に低い領域14の中に、屈折率が相対的に高い複数の板状領域12を平行配置してなる内部構造と解釈することもできる。
これにより、図2(a)に示すように、入射角θ1が光拡散入射角度領域内である入射光は、異方性光拡散粘着剤シート10によって拡散されると推定される。
すなわち、図1(b)に示すように、異方性光拡散粘着剤シート10に対する入射光の入射角が、ルーバー構造20の境界面20aに対し、平行から所定の角度範囲内の値、つまり、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(52、54)は、ルーバー構造内の屈折率が相対的に高い板状領域12の内部を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射光が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が異方性光拡散粘着剤シート10によって拡散され、拡散光(52´、54´)になると推定される。
一方、異方性光拡散粘着剤シート10に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合には、図1(b)に示すように、入射光56は、異方性光拡散粘着剤シート10によって拡散されることなく、そのまま透過し、透過光56´になるものと推定される。
以上の基本原理により、ルーバー構造20を備えた異方性光拡散粘着剤シート10は、例えば、図2(a)に示すように、光の透過と拡散において入射角度依存性を発揮することが可能となる。
そして、図2(b)に示すように、ルーバー構造20を有する異方性光拡散粘着剤シート10は、その光拡散特性として、通常、「異方性」を有することになる。
ここで、本発明において「異方性」とは、図2(b)に示すように、入射光がシートによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるシートと平行な面内での、その光の拡散具合が、同面内での方向によって異なる性質を意味する。
より具体的には、図2(a)に示すように、入射光に含まれる成分のうち、シート面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の向きに平行な成分については、光の拡散が生じにくいため、異方性光拡散が実現するものと推定される。
したがって、異方性を有する光拡散粘着剤シートにおける拡散光の広がりの形状は、図2(b)に示すように、棒状となる。
また、図2(a)に示すように、異方性光拡散粘着剤シートは、入射光の入射角θ1が光拡散入射角度領域に含まれる場合には、その入射角θ1が異なる場合であっても、出光面側においてほぼ同様の光拡散をさせることができる。
したがって、異方性光拡散粘着剤シートは、光を所定箇所に集中させる集光作用を有すると言うことができる。
なお、ルーバー構造内の屈折率が相対的に高い板状領域12の内部における入射光の方向変化は、図1(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合の他、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
但し、本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化してなる光拡散粘着剤が有する内部構造は、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含むものであれば、上述したルーバー構造に制限されるものではない。
すなわち、従来の光拡散フィルムの技術分野において知られている相分離により形成可能な内部構造ができるのであれば、本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化してなる光拡散粘着剤シートとすることが可能である。
例えば、図3(a)に示すような、屈折率が相対的に低い領域14の中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物15をシート膜厚方向に林立させてなるカラム構造20´を備えた光拡散粘着剤シートであってもよい。
また、図3(b)に示すような、複数の板状領域(12、14)が、シートの膜厚方向に沿った中間点において屈曲部16を有した屈曲ルーバー構造20´´を備えた光拡散粘着剤シートであってもよい。
さらに、図3(c)に示すような、屈折率が相対的に低い領域14の中に屈折率が相対的に高い複数の薄片状物17を、シート面に沿った任意の一方向に沿って複数列配列させてなる所定の内部構造20´´´を備えた光拡散粘着剤シートであってもよい。
その他、図3(d)に示すような、ルーバー構造20及びカラム構造20´の組み合わせからなる光拡散粘着剤シートであってもよい。
すなわち、光拡散フィルムの内部構造の種類は多岐に亘るが、本発明の光拡散粘着剤組成物を硬化させて、所定の内部構造を形成する光拡散粘着剤シートとなる態様であれば、いずれであっても良い。
また、光拡散粘着剤シートにおけるいずれの内部構造であっても、光拡散の基本原理は、ルーバー構造20の場合と同様である。
但し、それぞれの内部構造の形態に起因して、光拡散粘着剤シートにおける拡散光の広がりの形状に違いが生じることとなる。
例えば、図3(a)に示すカラム構造20´の光拡散粘着剤シートの場合、円形の等方性光拡散が生じ、図3(b)に示す屈曲ルーバー構造20´´の場合、通常のルーバー構造20の場合よりも拡散範囲の広い異方性光拡散が生じる。
また、図3(c)に示す所定の内部構造20´´´の光拡散粘着剤シートの場合、ルーバー構造20とカラム構造20´のハイブリッド型となる。そのため、光拡散粘着剤シートによって、楕円形状光拡散が生じることになる。
その上、図3(d)に示すルーバー構造20及びカラム構造20´の組み合わせてなる光拡散粘着剤シートの場合、カラム構造20´で拡散された光の一部がさらにルーバー構造20で拡散されることから、弾丸状の光拡散が生じることになる。
2.(A)成分:高屈折率活性エネルギー線硬化成分
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(A)成分として、高屈折率活性エネルギー線硬化成分を含むことを特徴とする。
この理由は、(A)成分を含むことにより、活性エネルギー線照射による硬化の際、後述する(B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分との間において重合速度に所定の差を生じさせるためである。
したがって、両成分同士が均一に共重合することが抑制されることで、(A)成分及び(B)成分を効率的に相分離させながら硬化させることができる。
これにより、硬化前の段階では均一な組成物であるにもかかわらず、硬化の際にルーバー構造やカラム構造といった所定の内部構造が形成することができる。そのため、得られる光拡散粘着剤に対して光を入射した際に、入射光を効率よく拡散可能な優れた光拡散特性を発揮することができる。
一方、(A)成分は、複数の芳香環を有することを特徴とする。
したがって、複数の芳香環を含む高屈折率活性エネルギー線硬化成分は、単独の芳香環を含む成分と比べ屈折率が高い傾向があって、(B)成分との屈折率差をより大きくすることができる。
そのため、活性エネルギー線照射によって硬化する際に、所定の内部構造をより安定的に形成し易く、得られる光拡散粘着剤は優れた光拡散特性を有するものとなる。
その上、光拡散粘着剤は嵩高い構造である芳香環を多く含むことから、光拡散粘着剤中の架橋構造体の相互間の距離を広げ、適度な凝集性と柔軟性を発揮するものとなり、優れた粘着特性についても発揮することができる。
(1)屈折率
(A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分の屈折率は、1.5~1.65の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎるためである。したがって、活性エネルギー線照射による硬化の際、(A)成分との間における重合速度差が生じ難くなり、(A)成分及び(B)成分が均一に共重合し易くなる傾向があるためである。
これにより、両成分同士は相分離によって硬化し難くなり、得られる硬化物は、所定の内部構造を形成することが困難となって、光拡散粘着剤シートにおいて、所望の光拡散特性を得ることが困難になる場合がある。
したがって、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との相溶性が悪化し易くなり、所定の内部構造の形成が困難になる場合がある。
すなわち、(A)成分の屈折率の下限値を、1.55以上の値とすることがより好ましく、1.56以上の値とすることがさらに好ましい。
一方、(A)成分の屈折率の上限値に関しては、1.6の値とすることがより好ましく、1.59以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、活性エネルギー線の照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062:1992に準じて、測定することができる。
(2)種類
(A)成分は、複数の芳香環を含有する成分であることを特徴とする。したがって、その種類としては、特に制限されないが、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
この理由は、このような化合物であれば、活性エネルギー線照射によって硬化する際、(A)成分及び(B)成分をより効率的に相分離させながら硬化させることができ、ひいては、より優れた光拡散特性が得られるためである。
また、嵩高い構造である芳香環を多く含むことから、硬化物中の架橋構造体の相互間の距離を広げ、得られる光拡散粘着剤は、適度な凝集性と柔軟性を示すものとなり、優れた粘着特性を発揮するためである。
このような化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラシル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ナフチルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸アントラシルオキシアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジルフェニルオキシアルキル、o-フェニルフェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、m-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート、p-フェノキシベンジル(メタ)アクリレート等、もしくは、これらの一部がハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロゲン化アルキル等によって置換された、一種単独又は二種以上の組み合わせを挙げることができる。
なお、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、上述した(A)成分として、具体的に、ビフェニル構造を含有する化合物を含むことがより好ましく、特に、下記一般式(1)で表されるビフェニル構造を含むことがさらに好ましい。
Figure 0007040959000001
(一般式(1)中、R1~R10は、それぞれ独立しており、R1~R10の少なくとも1つは、より好ましくはR~Rの少なくとも1つは、特に好ましくはR、R、R、Rの少なくとも1つは、下記一般式(2)で表される置換基であり、残りは、水素原子、水酸基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基及びハロゲン原子のいずれかの置換基である。)
Figure 0007040959000002
(一般式(2)中、R11は、水素原子又はメチル基であり、炭素数nは1~4の整数であり、繰り返し数mは1~10の整数である。)
この理由は、(A)成分として、上記のような構造を有するビフェニル化合物を含むことにより、(A)成分及び(B)成分との相溶性が良好でありながら、活性エネルギー線照射による硬化の際、両成分同士の共重合性が低くなる傾向があるためである。
これにより、両成分の重合速度に所定の差が生じ易くなり、両成分が効率的に相分離しながら、硬化が進行しやすくなる。
その結果、所定の内部構造をより安定的に形成し易くなり、得られる光拡散粘着剤シートは、優れた光拡散特性を有するものとなる。
また、得られる光拡散粘着剤シートにおける、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域の屈折率と、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差が、所定の範囲内の値をより満たし易くなる。
したがって、得られる光拡散粘着剤シートは、優れた光拡散特性を有するものとなる。
上記の一般式(1)で表されるビフェニル構造を含有する化合物の具体例としては、下記式(3)~(4)で表される化合物を使用することが特に好ましく挙げることができる。
Figure 0007040959000003
Figure 0007040959000004
3.(B)成分:低屈折率活性エネルギー線硬化成分
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(B)成分として、低屈折率活性エネルギー線硬化成分を含むことを特徴とする。
この理由は、(B)成分を含むことにより、活性エネルギー線照射による硬化の際、上述した(A)成分との間において重合速度に所定の差が生じ、両成分同士が均一に共重合することが抑制されるためである。したがって、(A)成分及び(B)成分を効率的に相分離させながら硬化できる。
これにより、硬化前の段階では均一な組成物であるにもかかわらず、硬化の際にルーバー構造やカラム構造といった所定の内部構造が形成することができる。
したがって、得られる光拡散粘着剤シートに対して光を入射する際、入射光を効率よく拡散可能な優れた光拡散特性を付与することができる。
(1)屈折率
(B)成分の屈折率は、1.4~1.5の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が悪化し易くなり、所定の内部構造の形成が困難になる傾向があるためである。
一方、(B)成分の屈折率が1.5を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、活性エネルギー線照射による硬化の際、(A)成分との間における重合速度差が生じ難くなり、(A)成分及び(B)成分等が、均一に共重合し易くなる傾向がある。
これにより、両成分同士は相分離によって硬化し難くなり、得られる光拡散粘着剤シートは、所定の内部構造を形成することが困難となって所望の光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率の下限値は、1.45以上の値とすることがより好ましく、1.46以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(B)成分の屈折率の上限値は、1.49以下であることがより好ましく、1.48以下であることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、活性エネルギー線の照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
また、上述した(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率の差を0.01~0.8の範囲以内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01未満であると、活性エネルギー線照射による硬化の際、(A)成分との間における重合速度差が生じ難くなり、(A)成分及び(B)成分が均一に共重合し易くなる場合があるためである。
したがって、両成分同士は、相分離状態を硬化し難くなり、得られる光拡散粘着剤は、所定の内部構造を形成することが困難となって、所望の光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる屈折率の差が0.8よりも大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化する傾向があり、所定の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差の下限値は、0.05以上の値であることがより好ましく、0.1以上であることがさらに好ましい。
また、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差の上限値は、0.5以下であることがより好ましく、0.2以下であることがさらに好ましい。
(2)種類
(B)成分の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリロイル基含有シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、ウレタン(メタ)アクリレートとすることが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、活性エネルギー線照射による硬化の際、(A)成分及び(B)成分をさらに効率的に相分離させながら硬化させることができ、得られる光拡散粘着剤がさらに優れた光拡散特性を発揮できるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味する。
上述したウレタン(メタ)アクリレートは、(B1)イソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物、(B2)ポリオール化合物、好ましくはジオール化合物、特に好ましくはポリアルキレングリコール、及び(B3)ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから形成される。
なお、(B)成分には、ウレタン結合の繰り返し単位を有するオリゴマーも含むものとする。
このうち、(B1)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、1,3-キシリレンジイソシアナート、1,4-キシリレンジイソシアナート、4,4’-ジイソシアン酸メチレンジフェニル(MDI)等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、及びこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等の少なくとも一種を挙げることができる。上記の中でも、脂肪族ポリイソシアナート、脂環式ポリイソシアナート、及びこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらには低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等の少なくとも一種をより好ましいものとして挙げることができる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(B2)成分であるポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリへキシレングリコール等が挙げられ、中でも、ポリプロピレングリコールであることが、特に好ましい。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、(B)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、得られる光拡散粘着剤のハンドリング性や実装性を、効果的に向上させられるためである。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、(A)成分との相溶性の観点から、通常、3,000~30,000の範囲内の値とすることが好ましく、4,000~14,000の範囲内の値とすることが好ましい。そして、(B)成分の重量平均分子量は、主に、(B2)成分の重量平均分子量により調節することができる。
したがって、(B2)成分の重量平均分子量を、通常、2,000~19,500の範囲内の値とすることが好ましく、2,500~14,300の範囲内の値とすることが好ましく、3,500~12,300の範囲内の値とすることが特に好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレートを形成する成分のうち、(B3)成分であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の少なくとも一種が挙げられる。
そしてまた、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、所定の内部構造をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2-ヒドロキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましい。
(3)配合量
(A)成分及び(B)成分の合計量を100重量部とした場合に、(B)成分の配合割合を20~80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、(A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分と、(B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分と、の配合比((A)成分:(B)成分(重量比))を20:80~80:20の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の配合割合が20重量部未満の値となると、得られる光拡散粘着剤における(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域の幅が、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域の幅と比較して過度に大きくなる傾向があるためである。したがって、(B)成分の配合割合が過度に少なくなると、良好な光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、(B)成分の配合割合が80重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域の幅が、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域の幅と比較して過度に小さくなる場合があるためである。したがって、(B)成分の配合割合が過度に多くなっても、良好な光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
よって、(A)成分及び(B)成分の合計量を100重量部とした場合に、(B)成分の配合割合の下限値を、35重量部以上の値とすることがより好ましく、40重量部以上の値とすることがさらに好ましく、45重量部以上の値とすることが特に好ましい。
また、(A)成分及び(B)成分の合計量を100重量部とした場合に、(B)成分の配合割合の上限値を、70重量部以下の値とすることがより好ましく、65重量部以下の値とすることがさらに好ましく、60重量部以下の値とすることが特に好ましい。
4.(C)成分:極性ビニルモノマー
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(C)成分として、極性ビニルモノマーを含むことを特徴とする。
この理由は、(C)成分を含むことにより、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性が所定の範囲に調節され、その結果、優れた粘着特性を発揮することができるためである。
さらに、得られる光拡散粘着剤は、外部環境由来の水分によって白化してしまうことがあるが、(C)成分を含むことによって、光拡散粘着剤に水分が侵入した場合であっても、(C)成分が有する極性官能基により水分を効果的に分散させることができる。そのため、得られる光拡散粘着剤に対して白化抑制機能を付与することができる。
(1)種類
(C)成分の種類は、特に制限されるものではないが、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一種の官能基を有する極性ビニルモノマーを用いることが好ましい。
この理由は、このような官能基を有する極性ビニルモノマーであれば、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性を、より安定的に所定の範囲に調節することができ、ひいては、より優れた粘着特性が得られるためである。
したがって、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルエステル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類;N-N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-(メタ)アクリロイルモルフォリン、N-N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸等の1種単独、又は2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。
上述の中でも、得られる光拡散粘着剤に特に優れた粘着特性を付与できる観点から、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸を用いることが好ましく、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、4-ヒドロキシブチルアクリレート又はアクリル酸を用いることが好ましく、さらに白化を制御できる観点から、アクリル酸2-ヒドロキシエチル又は4-ヒドロキシブチルアクリレートを用いることが特に好ましい。
(2)配合量
(C)成分の配合量を、(A)成分及び(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.1~100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、(C)成分の配合量が0.1重量部未満の値となると、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性を所定の範囲に調節する効果が不十分になる場合があるためである。
したがって、所望の粘着特性を得ることが困難になったり、外部環境に由来した水分により白化が生じ易くなったりする場合がある。
一方、(C)成分の配合量が100重量部を超えた値となると、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造形成が阻害されやすくなって、所望の光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(C)成分の配合量の下限値を、1重量部以上の値とすることがより好ましく、5重量部以上の値とすることがさらに好ましく、10重量部以上の値とすることが特に好ましい。
また、(C)成分の配合量の上限値を、70重量部以下の値とすることがより好ましく、50重量部以下の値とすることがさらに好ましく、30重量部以下の値とすることが特に好ましい。
なお、(C)成分は、(A)成分及び(B)成分の両方に対する相溶性が良好であることから、得られる光拡散粘着剤の全体に、一様に分布していると推測される。
5.(D)成分:(メタ)アクリル酸エステルモノマー
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(D)成分として、炭素数4~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むことが好ましい。
この理由は、(D)成分を含むことにより、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性をより安定的に所定の範囲に調節することができ、さらに優れた粘着特性を得ることができるためである。
したがって、(D)成分は、(C)成分により得られる粘着特性を、さらに安定的に制御する機能を発揮することができる。
(1)種類
かかる(D)成分の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の1種単独、又は2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。
中でも、ホモポリマーのガラス転移点が低く、粘着特性の向上に効果的に寄与することから、アルキル基の炭素数が4~14の範囲内の値であることがより好ましく、4~10の範囲内の値であることがさらに好ましい。
より具体的には、ブチル(メタ)アクリレート又は2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましく、ブチルアクリレート又は2-エチルヘキシルアクリレートを用いることが特に好ましい。
(2)配合量
(D)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1~50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(D)成分の配合量が1質量部以上であると、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性をより安定的に所定の範囲に調節することができ、さらに優れた粘着特性を得ることができる。
一方、(D)成分の配合量が50重量部を超えた値となると、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造形成が阻害されやすくなる傾向があるためである。したがって、優れた光拡散特性を得ることが困難になったり、(C)成分の配合割合が相対的に低下することにより、優れた粘着特性及び白化抑制機能を得ることが困難になる場合がある。
したがって、(D)成分の配合量の下限値は、5重量部以上の値とすることがより好ましく、10重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(D)成分の配合量の上限値は、40重量部以下の値とすることがより好ましく、30重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
また、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(C)成分と、(D)成分と、の配合比((C)成分:(D)成分(重量比))を90:10~20:80の範囲内の値とすることが好ましい。
つまり、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(D)成分の配合割合は、10~80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(D)成分の配合割合が10重量部以上の値であれば、(A)成分及び(B)成分の相分離による所定の内部構造の形成を阻害することなく、得られる光拡散粘着剤の粘弾性及び極性をより安定的に所定の範囲に調節することができ、さらに優れた粘着特性を得ることができる。
一方、(D)成分の配合割合が80重量部を超えた値となると、(D)成分の相対的な配合割合が過度に多くなり、得られる光拡散粘着剤に必要な凝集力や極性が得られなかったりして、所望の粘着特性を得ることが困難になる場合があるためである。
逆に言うと、(C)成分の配合割合が相対的に低下することにより、優れた粘着特性及び白化抑制機能を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(D)成分の配合割合の下限値は、20重量部以上の値とすることがより好ましく、30重量部以上の値とすることがさらに好ましく、40重量部以上の値とすることが特に好ましい。
また、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(D)成分の配合割合の上限値は、70重量部以下の値とすることがより好ましく、60重量部以下の値とすることがさらに好ましく、55重量部以下の値とすることが特に好ましい。
ここで、図4を用いて、(C)成分及び(D)成分の合計量に対する(D)成分の配合割合と、得られた光拡散粘着剤の粘着力と、の関係を説明する。
すなわち、図4には、横軸に、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、かかる合計量100重量部に対する(D)成分の配合割合(重量部)をとり、縦軸に、得られた光拡散粘着剤の粘着力(N/25mm)をとった特性曲線が示してある。
なお、特性曲線の基礎となった5つのプロットは、実施例2、5~7及び比較例3の評価結果をデータとしている。
また、粘着力の測定条件等の詳細は、実施例に記載する。
かかる特性曲線からは、(D)成分の配合割合が増加するのに伴って、粘着力は一度上昇し、その後低下することが理解される。
より具体的には、(D)成分の配合割合が0~10重量部未満の範囲、及び、80重量部を超えた範囲では、粘着力が3.5N/25mm未満の値であるが、(D)成分の配合量が10~80重量部の範囲では、粘着力を安定的に3.5N/25mm以上の値に保持できることが分かる。
したがって、得られる光拡散粘着剤の粘着特性を向上させる観点からは、(C)成分及び(D)成分の合計量を100重量部とした場合に、(D)成分の配合割合を10~80重量部の範囲内の値とすべきことが理解される。
なお、(D)成分は、(A)成分及び(B)成分の両方に対する相溶性が良好であることから、得られる光拡散粘着剤の全体に、一様に分布していると推測される。
6.(E)成分:光重合開始剤
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(E)成分として、光重合開始剤を含むことが好ましい。
この理由は、(E)成分を含有させることにより、光拡散粘着剤組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に硬化反応を進めることができ、好適な凝集力及び粘弾性を有する光拡散粘着剤が得られるためである。
ここで、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-ターシャリーブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン]等が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(E)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.2~20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(E)成分の配合量が0.2重量部未満の値となると、重合開始点が乏しくなることから、十分に硬化することが困難となり、光拡散粘着剤の凝集力が不足する場合があるためである。一方、(E)成分の配合量が20重量部を超えた値となると、硬化反応が進行し易くなりすぎてしまい、所望の凝集力及び粘弾性を有する光拡散粘着剤を得ることが困難になったり、光拡散粘着剤に黄変が生じてしまったりする場合があるためである。
したがって、(E)成分の配合量の下限値は、0.5重量部以上の値とすることがより好ましく、1重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(E)成分の配合量の上限値は、15重量部以下の値とすることがより好ましく、10重量部以下の値とすることがさらに好ましく、5重量部以下の値とすることが特に好ましい。
7.(F)成分:シランカップリング剤
本発明の光拡散粘着剤組成物は、(F)成分として、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
この理由は、(F)成分を含むことで、得られる光拡散粘着剤における被着体への密着力が向上するためである。
かかる(F)成分の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等の1種単独、又は2種以上の組み合わせを用いることが好ましい。
また、(F)成分の配合量は、(A)成分及び(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01~5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(F)成分の配合量が0.01重量部未満の値となると、被着体への密着力を向上させる効果が十分に得られない場合があるためである。一方、(F)成分の配合量が5重量部を超えた値となると、被着体由来のガスによる気泡を抑え込む特性、所謂耐ブリスター性が低下しやすくなる場合があるためである。
したがって、(F)成分の配合量の下限値を、0.1重量部以上の値とすることがより好ましく、0.2重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、(F)成分の配合量の上限値を、1.5重量部以下の値とすることがより好ましく、0.8重量部以下の値とすることがさらに好ましく、0.4重量部以下の値とすることが特に好ましい。
8.他の添加剤
(1)本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、他の添加剤を配合することができる。
他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
なお、他の添加剤の含有量は、一般に、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01~5重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(2)紫外線吸収剤
上述した他の添加剤として、紫外線吸収剤を所定量配合することが好ましい。
この理由は、紫外線吸収剤を配合することにより、活性エネルギー線を照射した際に、所定波長の活性エネルギー線を、所定の範囲で選択的に吸収できるためである。
その結果、光拡散粘着剤組成物の硬化を阻害することなく、例えば図3(b)に示すように、得られる光拡散粘着剤の内部に形成される所定の内部構造に屈曲を形成できるためである。
また、紫外線吸収剤は、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及びヒドロキシベンゾエート系紫外線吸収剤からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらの紫外線吸収剤であれば、所定の内部構造に、より明確に屈曲を形成できるためである。
したがって、得られる光拡散粘着剤における光拡散特性の範囲を、より効果的に拡大できる。
すなわち、高圧水銀ランプの主波長である365nmの波長に、より近い箇所にピークを持つこれらの紫外線吸収剤であれば、少ない配合量で屈曲が形成できることが確認されているためである。
また、光拡散粘着剤組成物における紫外線吸収剤の配合量を、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、2重量部未満の値(但し、0重量部を除く。)とすることが好ましい。
この理由は、紫外線吸収剤の配合量が2重量部以上の値となると、光拡散粘着剤組成物の硬化が阻害されて、粘着剤の表面に収縮シワが生じたり、硬化しにくくなったりする場合があるためである。
一方、紫外線吸収剤の配合量が過度に少なくなると、光拡散粘着剤の内部に形成される内部構造に対し、十分な屈曲を生じさせることが困難になる場合があるためである。
したがって、紫外線吸収剤の配合量の下限値を、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01重量部以上の値とすることがより好ましく、0.02重量部以上の値とすることがさらに好ましい。
また、紫外線吸収剤の配合量の上限値を、(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1.5重量部以下の値とすることがより好ましく、1重量部以下の値とすることがさらに好ましい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態としての光拡散粘着剤組成物を用いた光拡散粘着剤シートの製造方法であって、下記工程(a)~(c)を含むことを特徴とする光拡散粘着剤シートの製造方法である。
(a)光拡散粘着剤組成物を準備する工程
(b)光拡散粘着剤組成物を基材に対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して活性エネルギー線を照射し、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤シートを得る工程
以下、本発明の第2の実施形態を、第1の実施形態と異なる点を中心に、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.工程(a):光拡散粘着剤組成物を準備する工程
工程(a)は、所定の光拡散粘着剤組成物を準備する工程である。
より具体的には、(A)~(C)成分及び所望によりその他の成分を混合する工程である。
また、混合に際しては、室温下でそのまま撹拌してもよいが、均一性を向上させる観点からは、例えば、40~80℃の加温条件下にて撹拌し、均一な混合液とすることが好ましい。
また、塗工に適した所望の粘度となるように、希釈溶剤をさらに加えることも好ましい。
なお、光拡散粘着剤組成物については、第1の実施形態において説明したため、ここでの説明は省略する。
2.工程(b):塗布工程
工程(b)は、図5(a)に示すように、光拡散粘着剤組成物を基材2に対して塗布し、塗布層1を形成する工程である。
かかる基材としては、通常の剥離フィルムを使用することができる。したがって、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムや、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルムに対し、シリコーン樹脂等の剥離剤を塗布して剥離層を設けたものが挙げられる。
なお、かかる基材の膜厚は、通常、20~250μmの範囲内の値とすることが好ましいが、安定的な生産性の観点から、35~200μmの範囲内の値とすることが特に好ましい。
また、基材上に光拡散粘着剤組成物を塗布する方法としては、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を用いることができる。
また、このときの塗布層の厚さは、50~700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
3.工程(c):活性エネルギー線照射工程
工程(c)は、図5(b)に示すように、塗布層1に対して活性エネルギー線照射を行い、シート内にルーバー構造やカラム構造等の所定の内部構造を形成し、光拡散粘着剤シートとする工程である。
以下、一例として、ルーバー構造を形成する場合について説明する。
(1)平行光の照射
まず、図5(b)に示すように、基材2の上に形成された塗布層1に対し、一方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見える活性エネルギー線としての光(紫外線)70´を照射する。
このような光70´は、例えば、線状光源125を用いることにより照射することができ、この場合、線状光源125の軸方向から見た場合には実質的に平行光に見え、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見えることになる。
また、照射光の照射角としては、図6に示すように、塗布層1の表面に対する法線の角度を0°とした場合の照射角θxを、通常、-80~80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照射角が-80~80°の範囲外の値となると、塗布層1の表面での反射等の影響が大きくなって、十分にルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
なお、図6における矢印MDは、塗布層の移動方向を示す。
(2)照射光の種類
また、照射光としては、例えば、活性エネルギー線として電子線や紫外線等が挙げられるが、中でも、紫外線を用いることが好ましい。
この理由は、例えば、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、ルーバー構造の形成が困難になる場合があるためである。
一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、(A)成分及び(B)成分の選択の幅が広げられるためである。
(3)照射光の照射条件
また、照射光としての活性エネルギー線、例えば、紫外線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.1~20mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるピーク照度が0.1mW/cm2未満の値となると、ルーバー構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
一方、かかるピーク照度が20mW/cm2を超えた値となると、硬化速度が速くなり過ぎるものと推定され、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、ルーバー構造を有効に形成できない場合があるためである。
したがって、活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度の下限値を、0.3mW/cm2以上の値とすることがより好ましく、0.5mW/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
一方、活性エネルギー線照射における塗布層表面のピーク照度の上限値を、10mW/cm2以下の値とすることがより好ましく、5mW/cm2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量を5~1000mJ/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる積算光量が5mJ/cm2未満の値となると、ルーバー構造を上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる積算光量が1000mJ/cm2を超えた値となると、得られる光拡散粘着剤シートに黄変等の着色が生じてしまう場合があるためである。
したがって、活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量の下限値を、200mJ/cm2以上の値とすることがより好ましく、300mJ/cm2以上の値とすることがさらに好ましい。
また、活性エネルギー線照射における塗布層表面における積算光量の上限値を、800mJ/cm2以下の値とすることがより好ましく、600mJ/cm2以下の値とすることがさらに好ましい。
また、量産性を維持しつつ、安定的にルーバー構造を形成する観点から、活性エネルギー線照射をする際に、基材上に形成された塗布層を、0.1~10m/分の範囲内の速度にて移動させることが好ましい。
特に、好適な光拡散特性を備える光拡散粘着剤を生産できる観点から、0.2m/分以上の速度にて移動させることがより好ましく、また、3m/分以下の速度にて移動させることがより好ましい。
また、活性エネルギー線照射は、非酸素雰囲気下において実施することが好ましい。
この理由は、非酸素雰囲気下において活性エネルギー線照射を行うことにより、酸素阻害の影響を抑制して効率的にルーバー構造を形成できるためである。
すなわち、仮に活性エネルギー線照射を、酸素雰囲気下にて行った場合、酸素阻害の影響を受け、得られる光拡散粘着剤シートの表面側に内部構造非形成領域が形成される場合があるためである。すなわち、光拡散粘着剤シートの膜厚方向における全域にルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
なお、「非酸素雰囲気下」とは、塗布層の上面が酸素雰囲気、又は酸素が含まれる雰囲気と直接接していない条件下を意味する。
したがって、例えば、図5(a)に示すように、塗布層1の上面に別の基材2´をラミネートしたリ、あるいは、活性エネルギー線の照射を行う雰囲気中の空気を窒素ガスで置換(窒素パージ)した状態で活性エネルギー線照射を行うことが、「非酸素雰囲気下」での活性エネルギー線照射に該当する。
(4)その他
その他、本発明において、光拡散粘着剤組成物を活性エネルギー線照射により硬化してなる光拡散粘着剤シート内に形成される内部構造は、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含むものであれば、上述したルーバー構造に制限されるものではない。
例えば、図3(a)に示すカラム構造を形成する場合は、図5(c)に示すように、基材2の上に形成された塗布層1に対し、照射光として、光線の平行度が高い平行光60を照射すればよい。
また、図3(c)に示す所定の内部構造を形成する場合は、基材の上に形成された塗布層に対し、一方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には、全くのランダム光ではなく、ある程度の平行度に調節された光を照射すればよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態としての光拡散粘着剤組成物に活性エネルギー線を照射することによって得られる光拡散粘着剤であって、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤シートである。
以下、本発明の第3の実施形態を、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点を中心に、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.内部構造
本発明の光拡散粘着剤シートにおける内部構造は、光拡散特性が得られるものであれば特に制限されるものではなく、ルーバー構造やカラム構造等、種々の態様とすることができる。
以下、一例として、ルーバー構造について説明するが、カラム構造等のその他の内部構造についても、ルーバー構造についての内容に準ずることができる。
図1(a)~(b)に示すように、ルーバー構造20は、入射光を異方性拡散させるための内部構造であり、具体的には、屈折率が異なる複数の板状領域(12、14)をシート面に沿った任意の一方向に交互に配置してなる内部構造である。
(1)屈折率
ルーバー構造における屈折率が相対的に高い板状領域の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差は、0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差が0.01以上の値となると、入射光がルーバー構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、かかる屈折率の差の下限値は、0.03以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、かかる屈折率の差は大きい程好ましいが、ルーバー構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
(2)幅
図1(a)~(b)に示すようなルーバー構造20において、屈折率が相対的に高い板状領域12及び屈折率が相対的に低い領域14の幅は、それぞれ0.1~15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる幅が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散特性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる幅が15μmを超えた値となると、ルーバー構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が低下する場合があるためである。
したがって、ルーバー構造において、かかる幅の下限値は、0.5μm以上の値とすることがより好ましく、1μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ルーバー構造において、かかる幅の上限値は、10μm以下の値とすることがより好ましく、5μm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、屈折率が相対的に高い板状領域及び屈折率が相対的に低い領域の幅は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより算出することができる。
(3)厚さ
図1(b)に示すようなルーバー構造20の厚さ(膜厚方向における長さ)については、30~700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる長さが30μm未満の値となると、ルーバー構造内を直進してしまう入射光が増加し、十分な光拡散特性の範囲を得るのが困難となる場合があるためである。
一方、かかる長さが700μmを超えた値となると、光拡散粘着剤組成物に対して活性エネルギー線を照射してルーバー構造を形成する際に、初期に形成されたルーバー構造によって光重合の進行方向が拡散する場合があるためである。したがって、所望のルーバー構造を形成することが困難になる場合があるためである。
よって、ルーバー構造の長さの下限値を50μm以上の値とすることが好ましく、70μm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、ルーバー構造の長さの上限値を325μm以下の値とすることがより好ましく、200μm以下の値とすることがさらに好ましい。
(4)傾斜角
ルーバー構造において、屈折率が異なる板状領域が、膜厚方向に対して一定の傾斜角にて平行配置してなることが好ましい。
この理由は、屈折率が異なる板状領域の傾斜角を一定とすることにより、ルーバー構造内において入射光をより安定的に反射させて、ルーバー構造に由来した入射角度依存性をさらに向上させることができるためである。
より具体的には、ルーバー構造において、屈折率が異なる板状領域のシート面の法線に対する傾斜角を0~80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる傾斜角が80°を超えた値となると、それに伴い活性エネルギー線の入射角度の絶対値も大きくなることから、空気と塗布層との界面における活性エネルギー線の反射の割合が増加するためである。
したがって、ルーバー構造を形成するにあたり、より高照度の活性エネルギー線を照射する必要が生じるためである。
したがって、かかる傾斜角の上限値を、60°以下の値とすることがより好ましく、40°以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、傾斜角は、シート面に垂直であって、かつ、シート面に沿った任意の一方向に延在する板状領域をかかる延在方向と直交する面によってシートを切断した場合の断面において測定される、シート表面に対する法線と、板状領域の最上部とがなす角度のうち、狭い側の角度を意味する。
2.膜厚
本発明の光拡散粘着剤シートの膜厚は、50~700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光拡散粘着剤シートの膜厚が50μm未満の値となると、所定の内部構造内を直進する入射光が増加しすぎてしまい、所望の光拡散特性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、光拡散粘着剤シートの膜厚が700μmを超えた値となると、光拡散粘着剤組成物に対して活性エネルギー線を照射して所定の内部構造を形成する際に、初期に形成された内部構造によって活性エネルギー線が拡散してしまい、所望の内部構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、光拡散粘着剤シートの膜厚は、90~450μmの範囲内の値とすることがより好ましく、120~250μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.粘着力
本発明の光拡散粘着剤シートの粘着力は、2.0N/25mm以上であることが好ましい。
この理由は、光拡散粘着剤シートの粘着力が2.0N/25mm未満の値となると、所望の粘着特性を発揮することが困難となり、光拡散粘着剤シート単独では被着体に対して固定することができない場合があるためである。
すなわち、光拡散粘着剤シートの粘着力が2.0N/25mm以上であることにより、光拡散粘着剤シート単独で被着体に対して十分に固定することができるため、被着体と本発明の光拡散粘着剤シートとの間に、粘着剤層や接着剤層を介在させることを不要とすることができる。
また、本発明の光拡散粘着剤シート同士は、粘着剤層や接着剤層を介在させずに複数層積層することができ、例えば、ルーバー構造を有する光拡散粘着剤シートとカラム構造を有する光拡散粘着剤シートとを直接積層させた積層体を容易に製造することができる。
これにより、目的に応じた光拡散特性を発現できる光拡散粘着剤シート積層体の製造も可能となり、光拡散特性に関する設計の自由度が大きく向上する。
したがって、光拡散粘着剤シートの粘着力は、3.5N/25mm以上の値とすることがより好ましく、6.0N/25mm以上の値とすることが特に好ましい。
また、光拡散粘着剤シートの粘着力の上限値は、特に限定されないが、通常、100N/25mm以下の値とすることがより好ましく、50N/25mm以下の値とすることが特に好ましく、30N/25mm以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、上記粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じて測定した180°方向の引き剥がしによる粘着力を意味し、より具体的な試験方法は、後述する実施例1に示す通りである。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.低屈折率活性エネルギー線硬化成分の合成
容器内に、(B2)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(B1)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、及び(B3)成分としての2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法にしたがって反応させ、(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
なお、ポリプロピレングリコール及びポリエーテルウレタンメタクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記条件に沿って測定したポリスチレン換算値である。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC-8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL-H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
2.光拡散粘着剤組成物の調製
次いで、(A)成分としての上述した式(3)で表される分子量268のo-フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート62.5重量部、及び、合成した(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート37.5重量部((A)成分及び(B)成分の合計量=100重量部)に対して、(C)成分としてのアクリル酸12.5重量部と、(E)成分としての2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン1.25重量部と、(F)成分としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25重量部と、を添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散粘着剤組成物を得た。
なお、(A)成分及び(B)成分の屈折率は、アッベ屈折計(アタゴ(株)製、アッベ屈折計DR-M2、Na光源、波長589nm)を用いてJIS K0062:1992に準じて測定したところ、それぞれ1.58及び1.46であった。
3.塗布工程
次いで、得られた光拡散粘着剤組成物を基材としての剥離フィルムの剥離処理面上に塗布して、膜厚200μmの塗布層を形成した後、剥離力の異なる剥離フィルムの剥離処理面を塗布層の露出面に対して貼り合わせた。
4.活性エネルギー線照射
次いで、図5(b)に示すように、線状光源を用いて、線状光源の軸方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見える光を、図6に示す照射角θxがほぼ0°となるように塗布層に対して照射した。
このとき、塗布層表面から線状光源までの高さは500mmとし、ピーク照度は4.0mW/cm2、積算光量は500mJ/cm2となるように設定した。
次いで、固定された状態の塗布層に対して、剥離フィルム越しに紫外線を約2分間照射し、膜厚200μmの光拡散粘着剤シートを得た。
なお、上述したピーク照度及び積算光量は、受光器を取り付けたUV METER(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外線積算照度計UVPF-A1)を塗布層の位置に設置して測定した。
また、得られた光拡散粘着剤シートの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG-02J)を用いて測定した。
また、得られた光拡散粘着剤シートを、線状光源の軸線方向と直交し、かつ、シート面と直交する面で切断した断面の模式図を図7(a)に示し、その断面写真を図7(b)に示す。また、図7(a)及び後述する図8(a)では、ルーバー構造における屈折率が相対的に高い板状領域を実線で示す。
なお、光拡散粘着剤シートの切断は剃刀を用いて行い、断面の写真の撮影はデジタルマイクロスコープ(キーエンス(株)製、VHX-2000)を用いて反射観察により行った。
5.評価
(1)粘着力の評価
得られた光拡散粘着剤シートの粘着力(N/25mm)を測定した。
すなわち、剥離フィルムに挟持された状態の光拡散粘着剤シートから一方の剥離フィルムを剥離し、露出した光拡散粘着剤シートの面を膜厚100μmのポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、A4300)に貼合し、剥離フィルム/光拡散粘着剤シート/ポリエステルフィルムの積層体を得た。
次いで、裁断装置(荻野製作所(株)製、スーパーカッター)を用いて、得られた積層体を幅25mm×長さ100mmの大きさに裁断して、測定用サンプルとした。
次いで、得られた測定用サンプルから剥離フィルムを剥離した後、厚さ1.1mmのソーダライムガラス(日本板硝子(株)製)に貼合した。
次いで、測定用サンプルが貼合されたソーダライムガラスを、オートクレイブ(栗原製作所(株)製)に投入し、0.5MPa、50℃の条件で20分間加圧した後、23℃、50%RHの環境下に24時間、放置した。
次いで、基本的に、JIS Z 0237:2009に準拠し、測定用サンプルにつき、引っ張り試験機(オリエンテック(株)製、テンシロン)を用いて、下記条件にて、180°剥離力(N/25mm)を粘着力として、測定した。得られた結果を表1に示す。
剥離速度:300mm/分
剥離角度:180°
(2)光拡散特性の評価
得られた光拡散粘着剤シートの光拡散特性を評価した。
すなわち、剥離フィルムに挟持された状態の光拡散粘着剤シートから一方の剥離フィルムを剥離し、露出した光拡散粘着剤シートの面を厚さ1.1mmのソーダライムガラス(日本板硝子(株)製)に貼合し、試験片とした。
次いで、コノスコープ(autronic-MELCHERS GmbH社製)を用いて、図8(a)に示すように、試験片のソーダライムガラス側より、ガラス面と直交する方向から光を入射し、そのときの拡散光の拡散具合を撮影した。得られたコノスコープ画像を図8(b)に示す。
また、得られたコノスコープ画像を観察し、下記基準に沿って光拡散特性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:拡散光の形状が棒状であり、良好な異方性光拡散特性が確認できる
○:拡散光の形状が楕円に近い線状であり、十分な異方性光拡散特性が確認できる
△:拡散光の形状が円形に近く、異方性光拡散特性が不十分である
×:入射光がそのまま透過している
[実施例2]
実施例2では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを12.5重量部さらに加えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えるとともに、(D)成分としてブチルアクリレートを12.5重量部さらに加えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えるとともに、その配合量を6.3重量部に変え、さらに、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを18.8重量部さらに加えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えるとともに、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを12.5重量部さらに加えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を57.1重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を42.9重量部に変えた。
また、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えるとともに、その配合量を14.3重量部に変え、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを28.6重量部さらに加えた。
さらに、(E)成分の配合量を1.43重量部、(F)成分の配合量を0.29重量部に変えた。
それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を50重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を50重量部に変えた。
また、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変えるとともに、その配合量を25重量部に変え、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを25重量部さらに加えた。
さらに、(E)成分の配合量を1.67重量部に変え、(F)成分の配合量を0.33重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を60重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を40重量部に変え、さらに、(C)成分を配合しなかった。
さらに、(E)成分の配合量を1重量部に変え、(F)成分の配合量を0.2重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を55.6重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を44.4重量部に変えた。
また、(C)成分を配合せず、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを11.1重量部加えた。
さらに、(E)成分の配合量を1.11重量部に変え、(F)成分の配合量を0.22重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を55.6重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を44.4重量部に変えた。
また、(C)成分を配合せず、(D)成分としてブチルアクリレートを11.1重量部加えた。
さらに、(E)成分の配合量を1.11重量部に変え、(F)成分の配合量を0.22重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を55.6重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を44.4重量部に変えた。
また、(C)成分を配合せず、(D)成分としてシクロヘキシルアクリレートを11.1重量部加えた。
さらに、(E)成分の配合量を1.11重量部に変え、(F)成分の配合量を0.22重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を55.6重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を44.4重量部に変えた。
また、(C)成分を配合せず、(D)成分としてイソボルニルアクリレートを11.1重量部配合した。
さらに、(E)成分の配合量を1.11重量部に変え、(F)成分の配合量を0.22重量部に変えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例6]
比較例6では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の配合量を50重量部に変えるとともに、(B)成分の配合量を50重量部に変えた。
また、(C)成分を配合せず、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを25重量部加えた。それ以外は、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[参考例1]
参考例1では、光拡散粘着剤組成物を調製する際に、(A)成分の種類をフェノキシエチルアクリレート(屈折率:1.52)に変えるとともに、(C)成分の種類をヒドロキシエチルアクリレートに変え、(D)成分として2-エチルヘキシルアクリレートを12.5重量部さらに加えたほかは、実施例1と同様に光拡散粘着剤シートを製造し、評価した。得られた結果としては、粘着力が1.2N/25mmであり、光拡散特性は「〇」であった。
Figure 0007040959000005
*PhPhEEA:o-フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート
*PhEA:フェノキシエチルアクリレート
*PEUMA:ポリエーテルウレタンメタクリレート
*AA:アクリル酸
*HEA:ヒドロキシエチルアクリレート
*2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
*BA:ブチルアクリレート
*CHA:シクロヘキシルアクリレート
*IBXA:イソボルニルアクリレート
以上、詳述したように、本発明によれば、屈折率が異なる2種類の活性エネルギー線硬化成分の混合物に対し、所定量の極性ビニルモノマーをさらに配合することにより、活性エネルギー線照射により硬化させた場合に、所定の内部構造を備えるとともに所定の粘弾性及び極性を備えた光拡散粘着剤となる光拡散粘着剤組成物が得られるようになった。
その結果、優れた光拡散特性及び粘着特性を共に備えた光拡散粘着剤シートが得られるようになった。
したがって、本発明の光拡散粘着剤組成物を用いて得られる光拡散粘着剤シートは、液晶表示装置やプロジェクションスクリーン等の薄型化及び高品質化に著しく寄与することが期待される。
1:塗布層、2:基材、2´:別の基材、10:異方性光拡散粘着剤シート、12:屈折率が相対的に高い板状領域、14:屈折率が相対的に低い領域、15:柱状物、16:屈曲部、17:薄片状物、20:ルーバー構造、20a:ルーバー構造の境界面、20´:カラム構造、20´´:屈曲ルーバー構造、20´´´:所定の内部構造、60:平行光、70:点光源からの放射光、70´:一方向から見た場合には実質的に平行光であり、他の方向から見た場合には非平行なランダム光に見える光、102:点光源、104:レンズ、120:紫外線照射装置、122:コールドミラー、123:遮光板、125:線状光源

Claims (9)

  1. 高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤を形成するための光拡散粘着剤組成物であって、
    (A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
    (B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
    (C)成分としての極性ビニルモノマーと、
    を含むとともに、
    前記(A)成分は、屈折率が1.5~1.65の範囲内の値である、複数の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
    前記(B)成分は、屈折率が前記(A)成分より低く1.4~1.5の範囲内の値である、ウレタン(メタ)アクリレートであり、
    前記(C)成分は、カルボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一種の極性官能基を有する極性ビニルモノマー又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする光拡散粘着剤組成物。
  2. 高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤を形成するための光拡散粘着剤組成物であって、
    (A)成分としての高屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
    (B)成分としての低屈折率活性エネルギー線硬化成分と、
    (C)成分としての、水酸基、カルボキシル基、アミノ基及びアミド基からなる群から選択される少なくとも一種の極性官能基を有する極性ビニルモノマーと、
    (D)成分としての、炭素数4~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、
    を含むとともに、
    前記(A)成分は、屈折率が1.5~1.65の範囲内の値である、複数の芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、
    前記(B)成分は、屈折率が前記(A)成分より低く1.4~1.5の範囲内の値である、ウレタン(メタ)アクリレートであることを特徴とする光拡散粘着剤組成物。
  3. 前記(D)成分の配合量を、前記(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、1~50重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項2に記載の光拡散粘着剤組成物。
  4. 前記(C)成分としての極性ビニルモノマーと、前記(D)成分としての炭素数4~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、の配合比((C)成分:(D)成分(重量比))を90:10~20:80の範囲内の値とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の光拡散粘着剤組成物。
  5. 前記(C)成分の含有量を、前記(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.1~100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の光拡散粘着剤組成物。
  6. (E)成分としての光重合開始剤を含み、当該光重合開始剤の配合量を、前記(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.2~20重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光拡散粘着剤組成物。
  7. (F)成分としてのシランカップリング剤を含み、当該シランカップリング剤の配合量を、前記(A)成分及び(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01~5重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の光拡散粘着剤組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の光拡散粘着剤組成物を用いてなる、光拡散粘着剤シートの製造方法であって、下記工程(a)~(c)を含むことを特徴とする光拡散粘着剤シートの製造方法。
    (a)前記光拡散粘着剤組成物を準備する工程
    (b)前記光拡散粘着剤組成物を基材に対して塗布し、塗布層を形成する工程
    (c)前記塗布層に対して、活性エネルギー線を照射し、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有する光拡散粘着剤シートを得る工程
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載の光拡散粘着剤組成物に由来してなる硬化物であって、高屈折率領域と、低屈折率領域と、を含む内部構造を有することを特徴とする光拡散粘着剤シート。
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