JP7132304B2 - 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体 - Google Patents

活物質粉体の製造方法及び活物質粉体 Download PDF

Info

Publication number
JP7132304B2
JP7132304B2 JP2020169618A JP2020169618A JP7132304B2 JP 7132304 B2 JP7132304 B2 JP 7132304B2 JP 2020169618 A JP2020169618 A JP 2020169618A JP 2020169618 A JP2020169618 A JP 2020169618A JP 7132304 B2 JP7132304 B2 JP 7132304B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
material powder
positive electrode
electrode active
amorphous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020169618A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022061593A (ja
Inventor
将史 上田
有基 石垣
英一 高木
雅則 北吉
Original Assignee
プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 filed Critical プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
Priority to JP2020169618A priority Critical patent/JP7132304B2/ja
Publication of JP2022061593A publication Critical patent/JP2022061593A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7132304B2 publication Critical patent/JP7132304B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子の粒子表面に、リチウム(Li)、リン(P)及び酸素(O)を含む非晶質の非晶質LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体、及び、その製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)の正極板に用いられる活物質粉体として、正極活物質粒子の粒子表面に、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体が知られている。この活物質粉体は、例えば以下の手法により製造する。即ち、オルトリン酸(H3PO4)等のリン化合物を水に溶解させておき、この処理液と正極活物質粒子の粉体とを混合する。その後、この混合物を乾燥させて、非晶質LPO被膜が粒子表面に形成された被膜付き正極活物質粒子の活物質粉体を得る。なお、この手法に関連する従来技術として、特許文献1が挙げられる。
特開2019-153462号公報
しかしながら、上述の活物質粉体には、非晶質LPO被膜の形成に使われなかった、Pを含む余剰のP含有物質が含まれていることが判ってきた。更に、この余剰のP含有物質が多いと、この活物質粉体を用いた電池において、充放電サイクル試験後の電池容量の容量維持率が低くなることも判ってきた。その理由は、余剰のP含有物質がLiイオンと反応して、電池反応に利用可能なLiイオンの量が減少するためと考えられる。また、余剰のP含有物質が電解液に含まれる水分と反応してH3PO4などの酸に変化し、この酸により正極活物質粒子が損傷するためと考えられる。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、正極活物質粒子の粒子表面に非晶質LPO被膜を有しながらも、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる活物質粉体、及び、その製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子と、上記正極活物質粒子の粒子表面に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、を備える被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体の製造方法であって、上記正極活物質粒子の上記粒子表面に上記非晶質LPO被膜を形成した被膜付き正極活物質粒子、及び、Pを含む余剰のP含有物質を含む洗浄前の活物質粉体を得る被膜形成工程と、上記洗浄前の活物質粉体を、上記非晶質LPO被膜は溶解しないが上記P含有物質は溶解する選択的溶媒で洗浄して、上記活物質粉体に含まれる上記P含有物質を減らす洗浄工程と、を備える活物質粉体の製造方法である。
上述の活物質粉体の製造方法のうち、被膜形成工程で得られる洗浄前の活物質粉体には、Pを含む余剰のP含有物質が多く含まれている。しかし、その後の洗浄工程において、この洗浄前の活物質粉体を上述の選択的溶媒で洗浄して、活物質粉体に含まれるP含有物質を減らす。このため、製造される活物質粉体は、正極活物質粒子の粒子表面に非晶質LPO被膜を有しながらも、余剰のP含有物質が少ないため、余剰のP含有物質に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを抑制でき、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
なお、「正極活物質粒子」としては、例えば、リチウム遷移金属酸化物の粒子が挙げられる。このリチウム遷移金属酸化物粒子としては、例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn24)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/32)のような三元系のリチウム遷移金属酸化物などの粒子が挙げられる。更に、リチウム遷移金属酸化物粒子として、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO4)、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO4)等の、リチウム及び遷移金属元素を含むリン酸塩などの粒子も挙げられる。
Li、P及びOを含む非晶質の「非晶質LPO被膜」としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸水素二リチウム(Li2HPO4)、リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)からなる非晶質の被膜が挙げられる。
「被膜形成工程」において、上述の洗浄前の活物質粉体を得る手法としては、例えば、後述する実施形態1のように、P25、ピロリン酸(H427)、ポリリン酸(HO(HPO3nH)等のリン化合物を、イソプロピルアルコール(2-プロパノール,IPA)、N-メチルピロリドン(NMP)等の溶媒に溶解または分散させたPを含む処理液と、正極活物質粒子の粉体とを混合して、洗浄前の活物質粉体を得る手法が挙げられる。
或いは、後述する実施形態2のように、上述のリン化合物の粉体と正極活物質粒子の粉体とを乾式で混合して、固相反応により非晶質LPO被膜を形成し、洗浄前の活物質粉体を得る手法が挙げられる。
「選択的溶媒」としては、例えば、非晶質LPO被膜は溶解しないが、余剰のP含有物質は溶解するIPA等のアルコールや、NMPなどが挙げられる。
更に、上記の活物質粉体の製造方法であって、前記洗浄工程は、100mlのイソプロピルアルコール(IPA)に、40mgの上記洗浄工程終了後の前記活物質粉体を加えて攪拌混合し、これをろ過したろ液についてICP分析を行った場合のリン濃度が0.05ppm以下となるまで、上記活物質粉体に含まれる前記P含有物質を減らす活物質粉体の製造方法とすると良い。
上述の製造方法で得られる活物質粉体は、余剰のP含有物質が更に少なく、余剰のP含有物質に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを更に効果的に抑制できる。
また、他の解決手段は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子と、上記正極活物質粒子の粒子表面に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、を備える被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体であって、100mlのイソプロピルアルコール(IPA)に40mgの上記活物質粉体を加えて攪拌混合し、これをろ過したろ液についてICP分析を行った場合のリン濃度が0.15ppm以下である活物質粉体である。
上述の活物質粉体は、正極活物質粒子の粒子表面に非晶質LPO被膜を有しながらも、上述のICP(Inductively Coupled Plasma)分析を行った場合のリン濃度が0.15ppm以下であり、従来の活物質粉体よりも、活物質粉体に含まれている余剰のP含有物質が少ない。このため、この余剰のP含有物質に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを抑制でき、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
更に、上記の活物質粉体であって、前記リン濃度が0.05ppm以下である活物質粉体とすると良い。
上述の活物質粉体では、余剰のP含有物質が更に少なく、余剰のP含有物質に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを更に効果的に抑制できる。
実施形態1,2に係る被膜付き正極活物質粒子の模式的な断面図である。 実施形態1,2に係る活物質粉体の製造方法のフローチャートである。 被膜形成工程を模式的に示す説明図であり、(a)は被膜無しの正極活物質粒子を示す説明図であり、(b)はPを含む処理液によって正極活物質粒子の粒子表面に非晶質LPO被膜が形成される様子を示す説明図であり、(c)は被膜付き正極活物質粒子の粒子表面に余剰のP含有物質が付着した状態を示す説明図である。 洗浄工程において、選択的溶媒によって余剰のP含有物質が除去されていく様子を示す説明図である。 洗浄回数(洗浄工程を繰り返した回数)と、洗浄後の活物質粉体におけるリン濃度との関係を示すグラフである。 リン濃度がそれぞれ異なる活物資粉体を用いた各電池について、充放電サイクル試験におけるサイクル数と電池容量の容量維持率との関係を示すグラフである。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態1に係る被膜付き正極活物質粒子1の断面図を模式的に示す。この被膜付き正極活物質粒子1が集合した活物質粉体5は、リチウムイオン二次電池を構成する正極板の正極活物質層に用いられる。被膜付き正極活物質粒子1は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子10と、この正極活物質粒子10の粒子表面10mに形成された非晶質LPO被膜20とを備える。
本実施形態1では、正極活物質粒子10は、リチウム遷移金属酸化物粒子、具体的には、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(詳細にはLiNi0.2Co0.5Mn0.32)の粒子である。
非晶質LPO被膜20は、Li、P及びOを含む非晶質のLPO被膜、具体的には、主としてLi3PO4からなる非晶質の被膜であると考えられる。この非晶質LPO被膜20は、正極活物質粒子10の粒子表面10mの一部に、詳細には、粒子表面10mのうちエッジ面10maの一部に、海島状に形成されている。各非晶質LPO被膜20の厚みは、0.2nm程度である。また、正極活物質粒子10の粒子表面10mにおける非晶質LPO被膜20の被覆率は、本実施形態1では約30%である。
また、本実施形態1の活物質粉体5は、後に詳述するように、この活物質粉体5に含まれる余剰のP含有物質30が極めて少ないため、余剰のP含有物質30に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを抑制でき、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
次いで、上記活物質粉体5の製造方法について説明する(図2~図4参照)。まず「被膜形成工程S1」において、正極活物質粒子10の粒子表面10mに非晶質LPO被膜20を形成する。
具体的には、メディアン径D50が5μm程度の正極活物質粒子10(本実施形態1では、LiNi0.2Co0.5Mn0.32粒子)の粉体15を用意する(図3(a)参照)。正極活物質粒子10の粒子表面10mには、詳細には、粒子表面10mのうちエッジ面10maには、余剰のLiを起源とするLiOHやLi2Oからなる余剰Li層10iが海島状に存在している。
また別途、100重量部のIPAに対し、0.033重量部のP25を溶解させて、Pを含む処理液100(図3(b)参照)を得ておく。
そして、100重量部の処理液100に対し、100重量部の正極活物質粒子10の粉体15を加える。この混合物をプラネタリーミキサで3分間にわたり混合し、正極活物質粒子10の粒子表面の10mに存在する余剰Li層10iと、処理液100中のリン酸イオンとを反応させて、余剰Li層10iに代えてLi、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜20を形成する(図3(b)参照)。この非晶質LPO被膜20は、前述のように、主としてLi3PO4からなると考えられる。
その後、この被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zをろ過して回収する(図3(c)参照)。この活物質粉体5Zには、非晶質LPO被膜20の形成に使われなかった、Pを含む余剰のP含有物質30が多く含まれている。具体的には、P含有物質30は、P25であり、このP含有物質30は、被膜付き正極活物質粒子1Zの粒子表面1mに付着していたり、被膜付き正極活物質粒子1Zとは独立した粒子として、活物質粉体5Z内に混在している。
そこで、「洗浄工程S2」において、上述の洗浄前の活物質粉体5Zを、非晶質LPO被膜20は溶解しないがP含有物質30は溶解する選択的溶媒200(本実施形態1ではIPA)で洗浄して、活物質粉体5に含まれるP含有物質30を減らす(図4参照)。
本実施形態1では、予め予備実験を行って洗浄条件を定めた。即ち、100mlのIPAに、40mgの洗浄工程S2終了後の活物質粉体5を加えて攪拌混合し、これをろ過したろ液についてICP分析を行った場合のリン濃度が0.05ppm以下となるように、洗浄条件を定めた。具体的には、500mlのIPAに10gの被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zを加えて、1分間にわたり攪拌混合し、その後、これをろ過して、活物質粉体5を回収する。この洗浄工程S2を全部で3回繰り返すと、上述のリン濃度が0.05ppmとなったため、これを本実施形態1の洗浄条件とした。
図2のフローチャートに基づいて説明すると、被膜形成工程S1を終えたら、1回目の洗浄工程S2を行う。その後、ステップS3において、洗浄工程S2を3回行ったか否かを判断する。ここで、NO、即ち洗浄工程S2を3回行っていない場合には、再び洗浄工程S2を行う。一方、YES、即ち洗浄工程S2を3回行った場合には、終了する。かくして、洗浄済みの被膜付き正極活物質粒子1が集合した活物質粉体5を得る。
(実施形態2)
次いで、第2の実施形態について説明する。実施形態1では、被膜形成工程S1において、正極活物質粒子10の粉体15とPを含む処理液100とを混合して、洗浄前の被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zを得た。これに対し、本実施形態2では、被膜形成工程S11において、正極活物質粒子10の粉体15と、リン化合物の粉体とを乾式で混合して、洗浄前の被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zを得る点が異なる。
本実施形態2では、リン化合物の粉体として、P25粒子が集合した粉体(不図示)を用意する。そして、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所,型番:NHS-0)に、正極活物質粒子10の粉体15及びリン化合物の粉体を、99.9:0.1の重量割合で投入し、10,000rpmで3分間にわたり、これらを乾式で混合する。これにより、正極活物質粒子10の粒子表面の10mに存在する余剰Li層10iと、リン化合物の粒子とが固相反応を生じ、余剰Li層10iに代わって非晶質LPO被膜20が形成される。本実施形態2でも、この洗浄前の活物質粉体5Zには、非晶質LPO被膜20の形成に使われなかった、Pを含む余剰のP含有物質30(P25の粒子)が多く含まれている。
その後は、実施形態1と同様に洗浄工程S2を行い、余剰のP含有物質30を減らして、洗浄済みの被膜付き正極活物質粒子1の活物質粉体5を得る。
(試験結果1)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験結果について説明する(図5及び図6参照)。まず実験例1として、実施形態2の被膜形成工程S11のみを行った(洗浄工程S2は行わなかった)洗浄前の活物質粉体5Zを用意した。
また、実験例2として、実施形態2の被膜形成工程S11を行った後、洗浄工程S2を1回のみ行って、活物質粉体5を得た。
また、実験例3として、実施形態2の被膜形成工程S11を行った後、洗浄工程S2を2回行って、活物質粉体5を得た。
また、実験例4として、実施形態2の被膜形成工程S11を行った後、実施形態2と同様に洗浄工程S2を3回行って、実施形態2と同様の活物質粉体5を得た。
次に、これら実験例1~4の活物質粉体5,5Zについて、それぞれ活物質粉体5,5Zに含まれている余剰のP含有物質30(P25)の量を調査した。具体的には、ビーカに100mlのIPAを入れ、これに40mgの活物質粉体5,5Zを加えて、マグネチックスターラを用いて1分間にわたり攪拌混合する。その後、この混合液をろ過し、ろ液についてICP分析を行って、ろ液におけるリン濃度をそれぞれ測定した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、実験例1のリン濃度(0.20ppm)よりも、実験例2のリン濃度(0.10ppm)が低く、更に実験例3のリン濃度(0.05ppm)が低く、更に実験例4のリン濃度(0.03ppm)が低い。つまり、実験例1の洗浄前の活物質粉体5Zよりも実験例2の洗浄済みの活物質粉体5の方が余剰のP含有物質30が少なく、更に、実験例3の洗浄済みの活物質粉体5の方が余剰のP含有物質30が少なく、更に、実験例4の洗浄済みの活物質粉体5の方が余剰のP含有物質30が少ない。このことから、被膜形成工程S1後、前述の洗浄工程S2を行うことにより、更には洗浄工程S2を繰り返し行うほど、活物質粉体5に含まれる余剰のP含有物質30が少なくなることが判る。
(試験結果2)
次に、実験例1~4の活物質粉体5,5Zを用いて、それぞれラミネートセル型のリチウムイオン電池(不図示)を作製した。即ち、活物質粉体5,5Zを用いて、それぞれ正極板を作製する。具体的には、活物質粉体5,5Zと、導電粒子(アセチレンブラック粒子)と、結着剤(ポリフッ化ビニリデン)と、分散媒(NMP)とを混合して、正極活物質ペーストを作製する。そして、この正極活物質ペーストをアルミニウム箔からなる正極集電箔上に塗布し、乾燥させて、正極集電箔上に正極活物質層を形成する。その後、これをプレスして正極活物質層の密度を高めて、正極板を形成した。
また別途、負極板を作製する。具体的には、負極活物質粒子(黒鉛粒子)と、結着剤(スチレンブタジエンゴム)と、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)と、分散媒(水)とを混合して、負極活物質ペーストを作製する。そして、この負極活物質ペーストを銅箔からなる負極集電箔上に塗布し、乾燥させて、負極集電箔上に負極活物質層を形成する。その後、これをプレスして負極活物質層の密度を高めて、負極板を形成した。
次に、実験例1~4の各正極板と、負極板とをセパレータを介して対向させて、電解液と共にラミネートフィルムからなる外装体内に収容し、電池をそれぞれ作製した。
次に、実験例1~4の各電池について、それぞれ充放電サイクル試験を行って、電池容量の容量維持率を算出した。具体的には、まず25℃の環境温度下で、各電池を1Cの定電流でSOC100%(電池電圧4.10V)まで充電し、更にこの電池電圧を維持して電流値が0.01CとなるまでCVCC充電した。その後、各電池を1Cの定電流でSOC0%(電池電圧3.00V)まで放電させた。そのときの放電電気量に基づいて初期(充放電サイクル試験前)の電池容量C0を求めた。
その後、各電池を2Cの定電流でSOC0%(電池電圧3.00V)からSOC100%(電池電圧4.10V)まで充電した後、2Cの定電流でSOC100%(電池電圧4.10V)からSOC0%(電池電圧3.00V)まで放電する充放電を1サイクルとして、この充放電を繰り返し行う。そして、初期の電池容量C0の測定と同様にして、50サイクル後の電池容量C50と、100サイクル後の電池容量C100をそれぞれ測定した。更に、初期の電池容量C0に対する電池容量C50,C100の割合を計算して、容量維持率(%)をそれぞれ求めた。その結果を図6に示す。
図6から明らかなように、リン濃度が0.15ppmよりも高い洗浄前の活物質粉体5Zを用いた実験例1の電池に比べて、リン濃度が0.15ppm以下の洗浄済みの活物質粉体5を用いた実験例2~4の各電池では、容量維持率が高い。また、実験例2~4の各電池同士で比較すると、リン濃度が0.10ppmの活物質粉体5を用いた実験例2の電池に比べて、リン濃度が0.05ppm以下の活物質粉体5を用いた実験例3,4の各電池では、容量維持率が高い。一方、実験例3と実験例4の電池では、容量維持率の差が殆ど生じていない。
余剰のP含有物質30(P25)は、Liイオンと反応して、電池反応に利用可能なLiイオンの量が減少する。また、余剰のP含有物質30(P25)は、電解液に含まれる水分と反応してH3PO4などの酸に変化し、この酸により正極活物質粒子10が損傷する。このため、活物質粉体5,5Zに含まれる余剰のP含有物質30が少なくほど、容量維持率が高くなると考えられる。但し、リン濃度が0.05ppm以下では、余剰のP含有物質30が十分に少なくなっているため、これ以上、余剰のP含有物質30を減らしても、容量維持率の向上には寄与しなくなると考えられる。
以上で説明したように、実施形態1,2の活物質粉体5の製造方法のうち、被膜形成工程S1,S11で得られる洗浄前の活物質粉体5Zには、余剰のP含有物質30が多く含まれている。しかし、その後の洗浄工程S2において、この活物質粉体5Zを選択的溶媒200で洗浄して、活物質粉体5に含まれるP含有物質30を減らしている。このため、製造される活物質粉体5は、正極活物質粒子10の粒子表面10mに非晶質LPO被膜20を有しながらも、余剰のP含有物質30が少ないため、余剰のP含有物質30に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを抑制でき、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
更に、実施形態1,2では、前述のICP分析を行った場合のリン濃度が0.05ppm以下となるまで、活物質粉体5に含まれるP含有物質30を減らしている。これにより、余剰のP含有物質30に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを更に効果的に抑制できる。
また、実施形態1,2の活物質粉体5は、正極活物質粒子10の粒子表面10mに非晶質LPO被膜20を有しながらも、前述のICP分析を行った場合のリン濃度が0.15ppm以下、更には0.05ppm以下であり、活物質粉体5に含まれている余剰のP含有物質30が少ない。このため、この余剰のP含有物質に起因して電池の耐久性能(容量維持率)が低下するのを特に効果的に抑制でき、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態1の被膜形成工程S1では、正極活物質粒子10の粉体15とPを含む処理液100とを混合した後、この混合液をろ過して、被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zを得ているが、これに限られない。正極活物質粒子10の粉体15とPを含む処理液100とを混合した後、この混合液を例えば80℃で加熱乾燥させて、被膜付き正極活物質粒子1Zの活物質粉体5Zを得てもよい。
1 (洗浄済みの)被膜付き正極活物質粒子
1Z (洗浄前の)被膜付き正極活物質粒子
5 (洗浄済みの)活物質粉体
5Z (洗浄前の)活物質粉体
10 正極活物質粒子
10m (正極活物質粒子の)粒子表面
20 非晶質LPO被膜
30 P含有物質
200 選択的溶媒
S1,S11 被膜形成工程
S2 洗浄工程

Claims (4)

  1. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子と、
    上記正極活物質粒子の粒子表面に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、を備える
    被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体の製造方法であって、
    上記正極活物質粒子の上記粒子表面に上記非晶質LPO被膜を形成した被膜付き正極活物質粒子、及び、Pを含む余剰のP含有物質を含む洗浄前の活物質粉体を得る被膜形成工程と、
    上記洗浄前の活物質粉体を、上記非晶質LPO被膜は溶解しないが上記P含有物質は溶解する選択的溶媒で洗浄して、上記活物質粉体に含まれる上記P含有物質を減らす洗浄工程と、を備える
    活物質粉体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の活物質粉体の製造方法であって、
    前記洗浄工程は、
    100mlのイソプロピルアルコール(IPA)に、40mgの上記洗浄工程終了後の前記活物質粉体を加えて攪拌混合し、これをろ過したろ液についてICP分析を行った場合のリン濃度が0.05ppm以下となるまで、上記活物質粉体に含まれる前記P含有物質を減らす
    活物質粉体の製造方法。
  3. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子と、
    上記正極活物質粒子の粒子表面に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、を備える
    被膜付き正極活物質粒子が集合した活物質粉体であって、
    100mlのイソプロピルアルコール(IPA)に40mgの上記活物質粉体を加えて攪拌混合し、これをろ過したろ液についてICP分析を行った場合のリン濃度が0.15ppm以下である
    活物質粉体。
  4. 請求項3に記載の活物質粉体であって、
    前記リン濃度が0.05ppm以下である
    活物質粉体。
JP2020169618A 2020-10-07 2020-10-07 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体 Active JP7132304B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020169618A JP7132304B2 (ja) 2020-10-07 2020-10-07 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020169618A JP7132304B2 (ja) 2020-10-07 2020-10-07 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022061593A JP2022061593A (ja) 2022-04-19
JP7132304B2 true JP7132304B2 (ja) 2022-09-06

Family

ID=81210738

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020169618A Active JP7132304B2 (ja) 2020-10-07 2020-10-07 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7132304B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003173770A (ja) 2001-12-04 2003-06-20 Japan Storage Battery Co Ltd 非水電解質電池および非水電解質電池の製造法
JP2014130773A (ja) 2012-12-28 2014-07-10 Toyota Motor Corp 正極活物質粒子およびその利用
WO2017094416A1 (ja) 2015-12-02 2017-06-08 日本電気株式会社 リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池、並びにそれらの製造方法
JP2019153462A (ja) 2018-03-02 2019-09-12 トヨタ自動車株式会社 正極活物質粒子の製造方法、正極ペーストの製造方法、正極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP2020113377A (ja) 2019-01-09 2020-07-27 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合材料の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6329745B2 (ja) * 2013-10-02 2018-05-23 三星電子株式会社Samsung Electronics Co.,Ltd. リチウムイオン二次電池およびリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法
JP2020092093A (ja) * 2015-07-02 2020-06-11 ユミコア コバルト系リチウム金属酸化物カソード材料

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003173770A (ja) 2001-12-04 2003-06-20 Japan Storage Battery Co Ltd 非水電解質電池および非水電解質電池の製造法
JP2014130773A (ja) 2012-12-28 2014-07-10 Toyota Motor Corp 正極活物質粒子およびその利用
WO2017094416A1 (ja) 2015-12-02 2017-06-08 日本電気株式会社 リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池、並びにそれらの製造方法
JP2019153462A (ja) 2018-03-02 2019-09-12 トヨタ自動車株式会社 正極活物質粒子の製造方法、正極ペーストの製造方法、正極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP2020113377A (ja) 2019-01-09 2020-07-27 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合材料の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022061593A (ja) 2022-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. Effect of amorphous FePO4 coating on structure and electrochemical performance of Li1. 2Ni0. 13Co0. 13Mn0. 54O2 as cathode material for Li-ion batteries
JP5491460B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
JP5491459B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
CA2859121C (en) Composite particles, manufacturing method thereof, electrode material for secondary battery, and secondary battery
JP5491461B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
WO2012121110A1 (ja) 電極活物質およびその製造方法
CA2859113C (en) Composite particles, manufacturing method thereof, electrode material for secondary battery, and secondary battery
JP5449265B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
JP5373858B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
JP5491462B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
CN103682265A (zh) 正极活性物质、其制备方法、和具有该正极活性物质的非水电解质可充电电池
CN112310360A (zh) 负极活性材料及电池
JP5373857B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
CN114725319A (zh) 正极、正极浆料、制备方法及锂离子电池
CN113328086B (zh) 焦磷酸盐复合材料及其制备方法和应用以及钠离子电池
JP7132304B2 (ja) 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体
CN111527631A (zh) 磷酸锰涂覆的锂镍氧化物材料
CN103682333A (zh) 正极活性材料、其制造方法及含有它的非水电解质可充电电池
JP2022150409A (ja) リチウムイオン二次電池
JP7137602B2 (ja) 被膜付き正極活物質粒子の製造方法
JP7146359B2 (ja) 被膜付き正極活物質粒子の製造方法
JP7209449B2 (ja) Lpo付き活物質粉体の製造方法
JP7284774B2 (ja) Lpo付き活物質粉体の製造方法及びlpo付き活物質粉体
JP7286687B2 (ja) 活物質粉体の粒子表面のLi量測定方法及び被膜含有活物質粉体の製造方法
JP7341975B2 (ja) 中間体である高被覆率正極活物質粒子の製造方法及びlpo層付き正極活物質粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211007

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220823

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220825

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220825

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7132304

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150