JP7137602B2 - 被膜付き正極活物質粒子の製造方法 - Google Patents

被膜付き正極活物質粒子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7137602B2
JP7137602B2 JP2020157612A JP2020157612A JP7137602B2 JP 7137602 B2 JP7137602 B2 JP 7137602B2 JP 2020157612 A JP2020157612 A JP 2020157612A JP 2020157612 A JP2020157612 A JP 2020157612A JP 7137602 B2 JP7137602 B2 JP 7137602B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
active material
positive electrode
electrode active
coating
lpo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020157612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022051239A (ja
Inventor
将史 上田
有基 石垣
英一 高木
雅則 北吉
Original Assignee
プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社 filed Critical プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
Priority to JP2020157612A priority Critical patent/JP7137602B2/ja
Publication of JP2022051239A publication Critical patent/JP2022051239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7137602B2 publication Critical patent/JP7137602B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子の粒子表面に、Li、P及びOを含むLPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ともいう)の正極板に用いられる正極活物質粒子として、正極活物質粒子の粒子表面に、Li、P及びOを含むLPO被膜を形成した被膜付き正極活物質粒子が知られている。
この被膜付き正極活物質粒子の製造方法として、以下の2つの手法が考えられる。即ち、第1は、正極活物質粒子と、リン酸粒子或いはリン酸塩粒子とを乾式で混合し、その後、この混合物を例えば400~700℃程度の温度に加熱する高温加熱処理を行って、正極活物質粒子の粒子表面にLPO被膜を形成する手法である。なお、この第1の手法に関連する従来技術として、特許文献1が挙げられる。
また、第2は、リン酸或いはリン酸塩を水やN-メチルピロリドン(NMP)などの溶媒に溶解させておき、この溶液と正極活物質粒子とを混合し、その後、この混合物を乾燥させて、正極活物質粒子の粒子表面にLPO被膜を形成する手法である。なお、この第2の手法に関連する従来技術として、特許文献2が挙げられる。
特開2018-098161号公報 特開2019-153462号公報
前述の第1の手法では、高温加熱処理を行っているため、高温加熱処理によりLPO被膜が結晶化している。一方、前述の第2の手法では、LPO被膜が、結晶化しておらず、非晶質である。
本発明者が鋭意検討した結果、(1)結晶性LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池に比べて、非晶質LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池では、電池抵抗が低くなることが判ってきた。結晶性LPO被膜に比して非晶質LPO被膜は、リチウムイオン(Li+)の伝導性が高いため、非晶質LPO被膜が正極活物質粒子の粒子表面に存在していると、この粒子表面においてリチウムイオンの挿入・脱離がスムーズに行われるようになるため、電池抵抗が低くなると考えられる。
一方、(2)結晶性LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池に比べて、非晶質LPO被膜を有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池では、充放電サイクル試験後の電池容量の容量維持率が低くなることが判ってきた。結晶性LPO被膜に対して非晶質LPO被膜は、正極が高電位となったときに損傷し易く、非晶質LPO被膜が損傷すると正極活物質粒子が損傷して、電池容量が低下すると考えられる。
このように、電池抵抗の観点で見れば、非晶質LPO被膜が有利であるが、耐久性能(容量維持率)の観点で見れば、結晶性LPO被膜が有利であることが判ってきた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、電池抵抗を低くすることと、電池の耐久性能(容量維持率)を高くすることとを、両立できる被膜付き正極活物質粒子の製造方法を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の一態様は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なリチウム遷移金属酸化物からなる正極活物質粒子と、上記正極活物質粒子の粒子表面の一部に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、上記正極活物質粒子の上記粒子表面上及び上記非晶質LPO被膜上の少なくともいずれかに形成され、Li、P及びOを含む結晶性の結晶性LPO被膜と、を備える被膜付き正極活物質粒子の製造方法であって、上記粒子表面の一部にLiOH及びLi2Oの少なくともいずれかを有する上記正極活物質粒子と、Pを含む処理液とを混合して、LiOH及びLi2Oから上記非晶質LPO被膜を形成し、上記正極活物質粒子上に上記非晶質LPO被膜を有する中間被膜付き正極活物質粒子を得る非晶質被膜形成工程と、上記中間被膜付き正極活物質粒子と、Li、P及びOを含む結晶性の結晶性LPO粒子とを乾式で混合して、上記結晶性LPO被膜を形成する結晶性被膜形成工程と、を備える被膜付き正極活物質粒子の製造方法である。
上述の被膜付き正極活物質粒子では、非晶質被膜形成工程において、正極活物質粒子の粒子表面の一部に非晶質LPO被膜を形成し、更に結晶性被膜形成工程において、結晶性LPO被膜を形成する。
このようにして得た被膜付き正極活物質粒子は、結晶性LPO被膜に比べてリチウムイオン伝導性の高い非晶質LPO被膜を有している。このため、この被膜付き正極活物質粒子を用いた電池では、結晶性LPO被膜も非晶質LPO被膜も有しない被膜無し正極活物質粒子を用いた電池や、結晶性LPO被膜のみを有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池に比べて、電池抵抗を低くできる。
加えて、上述の被膜付き正極活物質粒子は、非晶質LPO被膜に比べて、高電位においても損傷し難い結晶性LPO被膜を有している。このため、この被膜付き正極活物質粒子を用いた電池では、結晶性LPO被膜も非晶質LPO被膜も有しない被膜無し正極活物質粒子を用いた電池や、非晶質LPO被膜のみを有する中間被膜付き正極活物質粒子を用いた電池に比べて、高電位に対する耐性が高く、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。このように、上述の製造方法によれば、電池抵抗を低くすることと、電池の耐久性能(容量維持率)を高くすることとを、両立できる被膜付き正極活物質粒子を製造できる。
なお、「正極活物質粒子」をなすリチウム遷移金属酸化物粒子としては、例えば、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMn24)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/32)のような三元系のリチウム遷移金属酸化物などの粒子が挙げられる。更に、リチウム遷移金属酸化物粒子として、リン酸マンガンリチウム(例えばLiMnPO4)、リン酸鉄リチウム(例えばLiFePO4)等の、リチウム及び遷移金属元素を含むリン酸塩などの粒子も挙げられる。
「非晶質LPO被膜」としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸水素二リチウム(Li2HPO4)、リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)からなる非晶質の被膜が挙げられる。
「結晶性LPO被膜」としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸水素二リチウム(Li2HPO4)、リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)からなる結晶性の被膜が挙げられる。
「Pを含む処理液」としては、例えば、五酸化二リン(P25)(十酸化四リン (P410))、ピロリン酸(H427)、ポリリン酸(HO(HPO3nH)等のリン化合物を、イソプロピルアルコール(IPA)、N-メチルピロリドン(NMP)等の溶媒に溶解させた処理液などが挙げられる。
「結晶性LPO粒子」としては、例えば、リン酸リチウム(Li3PO4)や、リン酸水素二リチウム(Li2HPO4)、リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)の粒子などが挙げられる。
実施形態に係る被膜付き正極活物質粒子の模式的な断面図である。 実施形態に係る被膜付き正極活物質粒子の製造方法のフローチャートである。 正極活物質粒子の粒子表面にLPO被膜が形成される様子を模式的に示す説明図であり、(a)は被膜無しの正極活物質粒子を示す説明図であり、(b)は正極活物質粒子の粒子表面に非晶質LPO被膜が形成される様子を示す説明図であり、(c)は更に結晶性LPO被膜が形成される様子を示す説明図である。 実施例の被膜付き正極活物質粒子、比較例1の被膜無し正極活物質粒子、及び比較例2の中間被膜付き正極活物質粒子を用いた各電池の電池抵抗比を示すグラフである。 実施例の被膜付き正極活物質粒子、比較例1の被膜無し正極活物質粒子、及び比較例2の中間被膜付き正極活物質粒子を用いた各電池について、充放電サイクル試験におけるサイクル数と電池容量の容量維持率との関係を示すグラフである。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る被膜付き正極活物質粒子1の断面図を模式的に示す。この被膜付き正極活物質粒子1は、リチウムイオン二次電池を構成する正極板の正極活物質層に用いられる。被膜付き正極活物質粒子1は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子10と、この正極活物質粒子10上に形成された非晶質LPO被膜20及び結晶性LPO被膜30とを備える。
本実施形態では、正極活物質粒子10として、リチウム遷移金属酸化物粒子、具体的には、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(詳細にはLiNi0.2Co0.5Mn0.32)の粒子を用いている。正極活物質粒子10のメディアン径D50は、5μm程度である。なお、このメディアン径D50は、マイクロトラック・ベル株式会社の粒度分布測定装置MT3000IIを用いて測定した。
非晶質LPO被膜20は、リチウム(Li)、リン(P)及び酸素(O)を含む非晶質のLPO被膜、具体的には、主としてリン酸リチウム(Li3PO4)からなる非晶質の被膜であると考えられる。この非晶質LPO被膜20は、正極活物質粒子10の粒子表面10mの一部に、詳細には、粒子表面10mのうちエッジ面10maの一部に、海島状に形成されている。各非晶質LPO被膜20の厚みは、0.2nm程度である。
正極活物質粒子10の粒子表面10mにおける非晶質LPO被膜20の被覆率は、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy,X線光電子分光)により調査したところ、約30%であった。具体的には、後述するように、被膜無しの正極活物質粒子10を用意し、非晶質被膜形成工程S1のみを行って、正極活物質粒子10の粒子表面10mに非晶質LPO被膜20のみを有する(結晶性LPO被膜30は有しない)中間被膜付き正極活物質粒子1Z(図3(b)参照)を得る。そして、XPSにより、この中間被膜付き正極活物質粒子1Zの粒子表面に存在するNi、Co、Mn、Pの各元素量を測定し、被覆率(%)=P量/(Ni量+Co量+Mn量+P量)×100(%)により、非晶質LPO被膜20の被覆率を求めた。
一方、結晶性LPO被膜30は、Li、P及びOを含み結晶性のLPO被膜、具体的には、主としてリン酸リチウム(Li3PO4)からなる結晶性の被膜であると考えられる。この結晶性LPO被膜30は、正極活物質粒子10の粒子表面10m上及び非晶質LPO被膜20上に形成されている。また、結晶性LPO被膜30の厚みは、1nm程度である。
また、被膜付き正極活物質粒子1の粒子表面1mにおける結晶性LPO被膜30の被覆率は、XPSにより調査したところ、約100%であった。つまり、本実施形態では、被膜付き正極活物質粒子1の粒子表面1mには、全面にわたって結晶性LPO被膜30が形成されている。具体的には、XPSにより被膜付き正極活物質粒子1の粒子表面1mに存在するNi、Co、Mn、Pの各元素量を測定し、被覆率(%)=P量/(Ni量+Co量+Mn量+P量)×100(%)により、結晶性LPO被膜30の被覆率を求めた。
次いで、上記被膜付き正極活物質粒子1の製造方法について説明する(図2及び図3参照)。まず「非晶質被膜形成工程S1」において、粒子表面10mの一部に余剰Li層10iを有する正極活物質粒子10と、Pを含む処理液100とを混合して、LiOH及びLi2Oから非晶質LPO被膜20を形成し、正極活物質粒子10上に非晶質LPO被膜20を有する中間被膜付き正極活物質粒子1Zを得る。なお、余剰Li層10iは、LiOH及びLi2Oの少なくともいずれかからなる。
具体的には、正極活物質粒子10として、メディアン径D50が5μm程度のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(本実施形態ではLiNi0.2Co0.5Mn0.32)粒子を用意する(図3(a)参照)。この正極活物質粒子10の粒子表面10mには、詳細には、粒子表面10mのうちエッジ面10maには、余剰のLiを起源とするLiOHやLi2Oからなる余剰Li層10iが海島状に存在している。
また、Pを含む処理液100として、五酸化二リン(P25)をイソプロピルアルコール(IPA)に0.7mg/mlの割合で溶解させた処理液を用意する。
そして、この処理液100に正極活物質粒子10を加えて混合し、正極活物質粒子10の粒子表面の10mに存在するLiOH及びLi2Oと、処理液100中のリン酸イオンとを反応させて、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜20を形成する(図3(b)参照)。この非晶質LPO被膜20は、前述のように、主としてリン酸リチウム(Li3PO4)からなると考えられる。非晶質LPO被膜20は、リチウムイオン伝導性が高く、後述するように、被膜付き正極活物質粒子1を用いた電池の電池抵抗Rを低くできる。
次に、「結晶性被膜形成工程S2」において、上述の中間被膜付き正極活物質粒子1Zと、Li、P及びOを含み結晶性の結晶性LPO粒子150とを乾式で混合して、固相反応により、結晶性LPO被膜30を形成する(図3(c)参照)。
具体的には、結晶性LPO粒子150として、メディアン径D50が1μm程度のリン酸リチウム(Li3PO4)の粒子を用意する。なお、このメディアン径D50も、前述の測定機器を用いて測定した。そして、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所,型番:NHS-0)に、中間被膜付き正極活物質粒子1Z及び結晶性LPO粒子150を、99.9:0.1の重量割合で投入し、10,000rpmで3分間にわたり、これらを乾式で混合する。これにより、活物質粒子10の粒子表面10m上及び非晶質LPO被膜20上に結晶性LPO被膜30が形成され、粒子表面1mの全面に結晶性LPO被膜30が形成された被膜付き正極活物質粒子1を得た。
この結晶性被膜形成工程S2で形成した結晶性LPO被膜30は、後述するように、電池において正極が高電位となったときに損傷し難く、電池の高電位に対する耐性を高くし、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。
なお、上述のハイブリダイゼーションシステムに代えて、日本コークス工業株式会社製のMPミキサや、ホソカワミクロン株式会社製のノビルタ(登録商標)等を用いて、中間被膜付き正極活物質粒子1Zと結晶性LPO粒子150との乾式混合を行ってもよい。
なお、LPO被膜が非晶質であるか結晶化しているかは、CuKα線を使用したX線回折(XRD)測定により調べることができる。即ち、詳細な調査結果の説明は省略するが、非晶質のLPO被膜と結晶化したLPO被膜とでは、X線回折測定の結果が大きく異なる(結晶化したLPO被膜では特有のピークが現れる)ため、X線回折測定を行うことにより、LPO被膜が非晶質であるか結晶化しているかを判別できる。
(試験結果)
次いで、本発明の効果を検証するために行った試験結果について説明する(図4及び図5参照)。まず実施例として、前述の被膜付き正極活物質粒子1を用意した。また、比較例1として、非晶質LPO被膜20も結晶性LPO被膜30も有しない被膜無し正極活物質粒子10(前述の被膜付き正極活物質粒子1の製造に用いた正極活物質粒子10)を用意した。また、比較例2として、非晶質LPO被膜20を有するが結晶性LPO被膜30は有しない前述の中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用意した。
次に、これら実施例1の被膜付き正極活物質粒子1、比較例1の被膜無し正極活物質粒子10、比較例2の中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いて、それぞれラミネートセル型の電池(不図示)を作製して電池抵抗Rの大きさを調査した。
即ち、被膜付き正極活物質粒子1、被膜無し正極活物質粒子10または中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いて、それぞれ正極板を作製する。具体的には、被膜付き正極活物質粒子1等と、導電粒子(アセチレンブラック粒子)と、結着剤(ポリフッ化ビニリデン)と、分散媒(N-メチルピロリドン)とを混合して、正極活物質ペーストを作製する。そして、この正極活物質ペーストをアルミニウム箔からなる正極集電箔上に塗布し、乾燥させて、正極集電箔上に正極活物質層を形成する。その後、これをプレスして正極活物質層の密度を高めて、正極板を形成した。
また別途、負極板を作製する。具体的には、負極活物質粒子(黒鉛粒子)と、結着剤(スチレンブタジエンゴム)と、増粘剤(カルボキシメチルセルロース)と、分散媒(水)とを混合して、負極活物質ペーストを作製する。そして、この負極活物質ペーストを銅箔からなる負極集電箔上に塗布し、乾燥させて、負極集電箔上に負極活物質層を形成する。その後、これをプレスして負極活物質層の密度を高めて、負極板を形成した。
次に、実施例及び比較例1,2の各正極板と、負極板とをセパレータを介して対向させて、電解液と共にラミネートフィルムからなる外装体内に収容し、リチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。
次に、実施例及び比較例1,2の各電池について、それぞれ電池抵抗Rを測定した。具体的には、環境温度-10℃下において、SOCを56%(電池電圧3.70V)に調整する。その後、1Cの定電流Iで10秒間放電を行い、放電前後の電池電圧Vを測定し、電池電圧Vの変化量ΔVを求める。更に、R=ΔV/Iにより各電池の電池抵抗(IV抵抗)Rをそれぞれ求める。そして、比較例1の電池抵抗Rを基準(=1.00)として、比較例2及び実施例の電池の「電池抵抗比」をそれぞれ算出した。その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、比較例1の電池に比べて、実施例及び比較例2の各電池では、電池抵抗比(電池抵抗R)が小さい。非晶質LPO被膜20はリチウムイオン伝導性が高いため、非晶質LPO被膜20が正極活物質粒子10の粒子表面10mに存在していると、非晶質LPO被膜20が存在しない場合よりも、放電の際に電解液中のリチウムイオンが非晶質LPO被膜20を通じて粒子表面10mから正極活物質粒子10内に挿入され易くなる。このため、非晶質LPO被膜20を有しない被膜無し正極活物質粒子10を用いた比較例1の電池よりも、非晶質LPO被膜20を有する、被膜付き正極活物質粒子1を用いた実施例及び中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いた比較例2の各電池では、電池抵抗比(電池抵抗R)が小さくなったと考えられる。
なお、比較例2の電池と実施例の電池とを比較すると、実施例の電池の方が電池抵抗比(電池抵抗R)が大きい。結晶性LPO被膜30は、リチウムイオン伝導性が低く、むしろ抵抗成分になる。このため、結晶性LPO被膜30を有しない中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いた比較例2の電池よりも、結晶性LPO被膜30をも有する被膜付き正極活物質粒子1を用いた実施例の電池では、電池抵抗比(電池抵抗R)が大きくなったと考えられる。
また、詳細な調査結果の説明は省略するが、正極活物質粒子10に非晶質被膜形成工程S1を行うことなく、結晶性被膜形成工程S2のみを行って、結晶性LPO被膜30のみを形成した被膜付き正極活物質粒子を製造し、これを用いた電池も検討した。この電池の電池抵抗Rは、被膜無し正極活物質粒子10を用いた比較例1の電池の電池抵抗Rよりも更に大きかった。上述のように、結晶性LPO被膜30は、リチウムイオン伝導性が低く、抵抗成分になるためと考えられる。
また別途、前述した実施例及び比較例1,2の各電池について、それぞれ充放電サイクル試験を行って、電池容量の容量維持率を算出した。具体的には、まず25℃の環境温度下で、各電池を1Cの定電流でSOC100%(電池電圧4.10V)まで充電し、更にこの電池電圧を維持して電流値が0.01CとなるまでCVCC充電した。その後、各電池を1Cの定電流でSOC0%(電池電圧3.00V)まで放電させた。そのときの放電電気量に基づいて初期(サイクル試験前)の電池容量C0を求めた。
その後、各電池を2Cの定電流でSOC0%(電池電圧3.00V)からSOC100%(電池電圧4.10V)まで充電した後、2Cの定電流でSOC100%(電池電圧4.10V)からSOC0%(電池電圧3.00V)まで放電する充放電を1サイクルとして、この充放電を繰り返し行う。そして、初期の電池容量C0の測定と同様にして、50サイクル後の電池容量C50と、100サイクル後の電池容量C100をそれぞれ測定した。更に、初期の電池容量C0に対する電池容量C50,C100の割合を計算して、容量維持率(%)をそれぞれ求めた。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、比較例1,2の各電池に比べて、実施例の電池では、容量維持率が高く、電池の耐久性能が高い。結晶性LPO被膜30は、正極が高電位となっても損傷し難いため、この結晶性LPO被膜30に覆われた正極活物質粒子10も損傷し難い。このため、結晶性被膜30を有しない、被膜無し正極活物質粒子10または中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いた比較例1,2の各電池に比べて、結晶性被膜30を有する被膜付き正極活物質粒子1を用いた実施例の電池では、電池容量が低下するのを抑制でき、容量維持率が高くなったと考えられる。
以上で説明したように、被膜付き正極活物質粒子1では、非晶質被膜形成工程S1において、正極活物質粒子10の粒子表面10mの一部に非晶質LPO被膜20を形成し、更に結晶性被膜形成工程S2において、活物質粒子10の粒子表面10m上及び非晶質LPO被膜20上に結晶性LPO被膜30を形成している。
このような被膜付き正極活物質粒子1は、結晶性LPO被膜30に比べてリチウムイオン伝導性の高い非晶質LPO被膜20を有している。このため、この被膜付き正極活物質粒子1を用いた電池では、被膜無し正極活物質粒子10を用いた電池や、結晶性LPO被膜30のみを有する被膜付き正極活物質粒子を用いた電池に比べて、電池抵抗Rを低くできる。
加えて、被膜付き正極活物質粒子1は、非晶質LPO被膜20に比べて、正極が高電位となったときに損傷し難い結晶性LPO被膜30を有している。このため、この被膜付き正極活物質粒子1を用いた電池では、被膜無し正極活物質粒子10を用いた電池や、非晶質LPO被膜20のみを有する中間被膜付き正極活物質粒子1Zを用いた電池に比べて、高電位に対する耐性が高く、電池の耐久性能(容量維持率)を高くできる。このように、被膜付き正極活物質粒子1の製造方法によれば、電池抵抗Rを低くすることと、電池の耐久性能(容量維持率)を高くすることとを、両立できる被膜付き正極活物質粒子1を製造できる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
1 被膜付き正極活物質粒子
1Z 中間被膜付き正極活物質粒子
10 正極活物質粒子
10m (正極活物質粒子の)粒子表面
10i 余剰Li層
20 非晶質LPO被膜
30 結晶性LPO被膜
100 処理液
150 結晶性LPO粒子
S1 非晶質被膜形成工程
S2 結晶性被膜形成工程

Claims (1)

  1. リチウムイオンを吸蔵及び放出可能なリチウム遷移金属酸化物からなる正極活物質粒子と、
    上記正極活物質粒子の粒子表面の一部に形成され、Li、P及びOを含む非晶質の非晶質LPO被膜と、
    上記正極活物質粒子の上記粒子表面上及び上記非晶質LPO被膜上の少なくともいずれかに形成され、Li、P及びOを含む結晶性の結晶性LPO被膜と、を備える
    被膜付き正極活物質粒子の製造方法であって、
    上記粒子表面の一部にLiOH及びLi2Oの少なくともいずれかを有する上記正極活物質粒子と、Pを含む処理液とを混合して、LiOH及びLi2Oから上記非晶質LPO被膜を形成し、上記正極活物質粒子上に上記非晶質LPO被膜を有する中間被膜付き正極活物質粒子を得る非晶質被膜形成工程と、
    上記中間被膜付き正極活物質粒子と、Li、P及びOを含む結晶性の結晶性LPO粒子とを乾式で混合して、上記結晶性LPO被膜を形成する結晶性被膜形成工程と、を備える
    被膜付き正極活物質粒子の製造方法。
JP2020157612A 2020-09-18 2020-09-18 被膜付き正極活物質粒子の製造方法 Active JP7137602B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020157612A JP7137602B2 (ja) 2020-09-18 2020-09-18 被膜付き正極活物質粒子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020157612A JP7137602B2 (ja) 2020-09-18 2020-09-18 被膜付き正極活物質粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022051239A JP2022051239A (ja) 2022-03-31
JP7137602B2 true JP7137602B2 (ja) 2022-09-14

Family

ID=80854865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020157612A Active JP7137602B2 (ja) 2020-09-18 2020-09-18 被膜付き正極活物質粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7137602B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012182071A (ja) 2011-03-02 2012-09-20 Sony Corp リチウムイオン二次電池、電子機器、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム
JP2018098161A (ja) 2016-12-07 2018-06-21 新日鐵住金株式会社 正極活物質の製造方法
WO2019078688A2 (ko) 2017-10-20 2019-04-25 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 활물질, 이의 제조방법, 이를 포함하는 리튬 이차전지용 양극 및 리튬 이차전지
JP2019153462A (ja) 2018-03-02 2019-09-12 トヨタ自動車株式会社 正極活物質粒子の製造方法、正極ペーストの製造方法、正極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP2020113377A (ja) 2019-01-09 2020-07-27 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合材料の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012182071A (ja) 2011-03-02 2012-09-20 Sony Corp リチウムイオン二次電池、電子機器、電動工具、電動車両および電力貯蔵システム
JP2018098161A (ja) 2016-12-07 2018-06-21 新日鐵住金株式会社 正極活物質の製造方法
WO2019078688A2 (ko) 2017-10-20 2019-04-25 주식회사 엘지화학 리튬 이차전지용 양극 활물질, 이의 제조방법, 이를 포함하는 리튬 이차전지용 양극 및 리튬 이차전지
JP2019153462A (ja) 2018-03-02 2019-09-12 トヨタ自動車株式会社 正極活物質粒子の製造方法、正極ペーストの製造方法、正極板の製造方法及びリチウムイオン二次電池の製造方法
JP2020113377A (ja) 2019-01-09 2020-07-27 トヨタ自動車株式会社 リチウムイオン二次電池用正極活物質複合材料の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022051239A (ja) 2022-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5491460B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
JP5491459B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
US8586182B2 (en) Composite particle for electrode and electrochemical device
JP4317239B2 (ja) 電極用複合粒子の製造方法
JP5491461B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
US20150044556A1 (en) Cathode active material-coated discrete graphene sheets for lithium batteries and process for producing same
CN112310359B (zh) 负极活性材料及二次电池
US10424780B2 (en) Negative electrode active material for nonaqueous electrolyte secondary batteries and nonaqueous electrolyte secondary battery containing negative electrode active material
JP5131246B2 (ja) 電極用複合粒子及び電気化学デバイス
JP5449265B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
WO2018051667A1 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5373858B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
JP5491462B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
CN111668470A (zh) 一种正极补锂材料及其制备方法与应用
CN112310360A (zh) 负极活性材料及电池
JP5373857B2 (ja) 電極用複合材料及びその製造方法、それを採用したリチウムイオン電池
TWI786024B (zh) 非水電解質二次電池用負極活性物質、非水電解質二次電池、及非水電解質二次電池用負極材料的製造方法
JP2011070802A (ja) 非水電解質二次電池
JP7137602B2 (ja) 被膜付き正極活物質粒子の製造方法
JP7341975B2 (ja) 中間体である高被覆率正極活物質粒子の製造方法及びlpo層付き正極活物質粒子の製造方法
JP2021150226A (ja) 被膜付き正極活物質粒子の製造方法
JP7132304B2 (ja) 活物質粉体の製造方法及び活物質粉体
US11728475B2 (en) Lithium-ion secondary battery positive electrode active material complex, lithium-ion secondary battery positive electrode, and lithium-ion secondary battery
JP7146359B2 (ja) 被膜付き正極活物質粒子の製造方法
JP7209449B2 (ja) Lpo付き活物質粉体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210920

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220719

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220902

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7137602

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150