JP7131126B2

JP7131126B2 - ゴム材料の混練方法およびシステム

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Publication number: JP7131126B2
Application number: JP2018120459A
Authority: JP
Inventors: 博子小島
Original assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Current assignee: Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date: 2018-06-26
Filing date: 2018-06-26
Publication date: 2022-09-06
Anticipated expiration: 2038-06-26
Also published as: JP2020001198A

Description

本発明は、ゴム材料の混練方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、原料ゴムに配合剤が十分に分散した目標品質の混練ゴムを安定して製造することができるゴム材料の混練方法およびシステムに関するものである。

タイヤやゴムホース等のゴム製品を製造するには未加硫の混練ゴムが使用されている。例えば、原料ゴムと、カーボンブラック、フィラー、オイル等の非加硫系の配合剤とを、密閉型混練機によって混練することで一次混練ゴムが製造される。その後、一次混練ゴムに硫黄等などの加硫系の配合剤を混練することで最終混練ゴムが製造される。

これら混練ゴムを製造する混練工程では、混練ゴムを構成するゴム材料は回転するロータによってせん断力が付与されることにより混練される。目標品質の混練ゴムを得るには、原料ゴムに配合剤を十分に分散させて混練することが重要である。そこで、ゴム材料の混練状態を把握する方法は種々提案されている（例えば、特許文献１参照）。

特許文献１で提案されている方法では、混練機の混練室から発生する音波を計測し、測定した音波の波形から高い音圧信号のみを取り出す。そして、この取り出した音圧信号に基づいて混練状態を把握する。即ち、この方法では混練室（チャンバ）で発生する音波の振幅の大きさを、混練の進行状態を判断するための指標にしている。しかしながら、混練室では様々な要因に基づいて多様な周波数の音波が発生する。そのため、このように音波波形の振幅を指標にすると、ゴム材料の混練状態を十分に把握できないことがあり、配合剤を十分に分散させた目標品質の混練ゴムを安定して製造するには改善の余地がある。

特開平７－２８５１２５号公報

本発明の目的は、原料ゴムに配合剤が十分に分散した目標品質の混練ゴムを安定して製造することができるゴム材料の混練方法およびシステムを提供することにある。

上記目的を達成するため本発明のゴム材料の混練方法は、原料ゴムと配合剤とからなるゴム材料をバッチ毎に、密閉型混練機の混練室で前記混練室に内設されたロータを回転させることにより混練する混練工程によってゴムを製造するゴム材料の混練方法において、前記混練工程に要する時間、前記混練工程での前記ゴム材料の温度、または、前記混練工程での前記ロータを回転駆動させる駆動モータの駆動に要する積算電力量の３項目のうち少なくとも１項目を前記混練工程の終了条件に設定して、その基準値を演算部に記憶し、さらに、前記混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯における前記ロータを構成するロータ軸での予め決定された特定の周波数帯での振動の振幅の大きさを前記混練工程の追加の終了条件に設定して、その基準値を前記演算部に記憶し、前記演算部に記憶されているすべての前記終了条件を満たした時に前記演算部の判断により前記混練工程を正常終了させるゴム材料の混練方法であって、前記ゴム材料を前記密閉型混練機により混練して目標品質の混練ゴムが製造された複数の良品バッチの前記ロータを構成するロータ軸での振動を、前記演算部により周波数分析することで、前記複数の良品バッチの前記所定時間帯での前記振動の振幅が一時的に過大になる周波数帯およびその最大振幅を算出して、この算出した前記周波数帯を前記特定の周波数帯とするとともに、この算出した前記最大振幅に基づいて前記追加の終了条件の前記基準値を設定しておき、新たなバッチのゴム材料を混練する際には、前記ロータ軸での振動を検知して、この検知データを周波数分析することで、この検知データの前記所定時間帯において前記演算部に記憶されている前記特定の周波数帯で前記基準値以上の振幅が生じたか否かを前記演算部により判断し、前記基準値以上の振幅が生じたと判断した場合には前記追加の終了条件を満たしたとすることを特徴とする。

本発明のゴム材料の混練システムは、原料ゴムと配合剤とからなるゴム材料がバッチ毎に投入される混練室と、この混練室に内設されたロータとを有する密閉型混練機と、前記ロータを回転駆動する駆動モータと、前記ロータの回転を制御する制御部とを備えたゴム材料の混練システムにおいて、前記ロータを構成するロータ軸での振動を検知する振動センサと、バッチ毎の前記ゴム材料の混練工程に要する時間、前記混練工程での前記ゴム材料の温度、または、前記混練工程での前記駆動モータの駆動に要する積算電力量の３項目のうち少なくとも１項目が前記混練工程の終了条件として設定されて、その基準値が記憶されている演算部とを有し、前記混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯における前記ロータ軸での予め決定された特定の周波数帯での振動の振幅の大きさが前記混練工程の追加の終了条件に設定されてその基準値が前記演算部に記憶されていて、前記振動センサによる検知データが前記演算部に入力されて、前記演算部に記憶されているすべての前記終了条件を満たした時に、前記演算部の判断により前記制御部を制御して前記混練工程を正常終了させる構成にして、前記ゴム材料を前記密閉型混練機により混練して目標品質の混練ゴムが製造された複数の良品バッチの前記ロータを構成するロータ軸での振動を、前記振動センサにより検知して前記演算部により周波数分析することで、前記複数の良品バッチの前記所定時間帯での前記振動の振幅が一時的に過大になる周波数帯およびその最大振幅が算出されて、この算出された前記周波数帯を前記特定の周波数帯とするとともに、この算出された前記最大振幅に基づいて前記追加の終了条件の前記基準値が設定されて前記演算部に記憶されていて、新たなバッチのゴム材料を混練する際には、前記ロータ軸での振動を前記振動センサにより検知して、この検知データを前記演算部により周波数分析することで、この検知データの前記所定時間帯において前記演算部に記憶されている前記特定の周波数帯で前記基準値以上の振幅が生じたか否かが前記演算部により判断されて、前記基準値以上の振幅が生じたと判断された場合には前記追加の終了条件を満たしたとすることを特徴とする。

本発明によれば、１バッチ分のゴム材料の混練工程の終了条件として、混練工程に要する時間、混練工程でのゴム材料の温度、または、混練工程でのロータを回転駆動させる駆動モータの駆動に要する積算電力量の３項目のうち少なくとも１項目に加えて、混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯におけるロータ軸での予め決定された特定の周波数帯での振動の振幅の大きさを追加の終了条件に設定する。個々の密閉型混練機は、原料ゴムにそれぞれの配合剤が十分に分散して混練された時に、振幅が過大になる特定の周波数帯を有している。そのため、ロータ軸での振動を周波数分析してこの追加の終了条件を満たしたか否かを確認することで、原料ゴムに配合剤が十分に分散した目標品質の混練ゴムを安定して製造するには非常に有利になる。

本発明の混練システムを、密閉型混練機を縦断面視にして例示する説明図である。図１の密閉型混練機を平面視で例示する説明図である。図１のＡ－Ａ断面図である。図１の混練システムを用いてゴム材料を混練している状態を例示する説明図である。混練工程でのゴム材料の温度、駆動モータの駆動に要する瞬時電力量、ロータ軸での振動（振幅）の経時変化を模式的に例示するグラフ図である。混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯での図５の振動を周波数分析したデータを模式的に例示するグラフ図である。

以下、本発明のゴム材料の混練方法およびシステムを、図に示した実施形態に基づいて説明する。

図１～図３に例示する本発明のゴム材料の混練システムの実施形態は、密閉型混練機１（以下、混練機１という）と、混練機１の動きを制御する制御部１２と、所定のデータが入力されて演算処理を行う演算部１３と、ロータ軸２ｃでの振動を検知する振動センサ１５とを備えている。演算部１３と、制御部１２および振動センサ１５とは有線または無線により通信可能に接続されている。この実施形態ではさらに、制御部１２に制御される警告機器１６が設けられている。警告機器１６としては警報機器、警告灯などを例示できる。

混練機１は未加硫のゴム材料Ｒを混練する。ゴム材料Ｒは原料ゴムＧと複数種類の非加硫系の配合剤Ｎとからなり、混練されることで原料ゴムＧに配合剤Ｎを均等に分散させるようにして目標品質（例えば目標粘度）の混練ゴムＲＦが製造される。

原料ゴムＧとしては、天然ゴム（ＮＲ）、イソプレンゴム（ＩＲ）、ブタジエンゴム（ＢＲ）、１，２－ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレン－ブタジエンゴム（ＳＢＲ）、ニトリルゴム（アクリルニトリルゴム、水素化ニトリルゴム）、エチレンプロピレンジエンゴム等を例示できる。これらを１種単独でまたは２種以上を組合せて使用する。非加硫系の配合剤Ｎとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸等の中から適宜、必要なものが使用される。

混練機１は、混練室５ａと、混練室５ａの上端開口に接続されて上方に延在するラム室５ｂと、混練室５ａに配置された一対のロータ２（２Ａ、２Ｂ）と、ラム室５ｂに配置されたラム６とを有している。混練室５ａには油投入部７が接続され、ラム室５ｂにはゴム投入部８および配合剤投入部１０が接続されている。配合剤投入部１０の上端にはホッパ９が接続されている。

それぞれのロータ２Ａ、２Ｂは、ロータ軸２ｃとロータ軸２ｃに突設された撹拌羽根２ｄとを有している。それぞれのロータ２Ａ、２Ｂ（ロータ軸２ｃ）は対向配置されて、それぞれのロータ軸２ｃは変速機４を介して駆動モータ３（３Ａ、３Ｂ）に接続されている。それぞれのロータ軸２ｃは、駆動モータ３Ａ、３Ｂによって回転駆動される。それぞれのロータ軸２ｃが同じ１つの駆動モータ３によって回転駆動される構成にすることもできる。ロータ２Ａ、２Ｂ（ロータ軸２ｃ）の回転駆動および停止、回転速度等は制御部１２により制御される。

振動センサ１５はそれぞれのロータ軸２ｃに設置することもできるが、いずれか一方のロータ軸２ｃにすればよい。振動センサ１５はロータ軸２ｃの表面に設置することも、ロータ軸２ｃに埋設することもできる。この実施形態では、変速機４と混練室５ａとの間でロータ軸２ｃの駆動モータ３（変速機４）に接続されていない側の端部（非回転駆動側端部）に振動センサ１５が設置されている。振動センサ１５は、混練工程の開始から終了までロータ軸２ｃでの振動ｖを逐次検知し、検知された振動ｖのデータは逐次、演算部１３に入力される。

この実施形態では制御部１２と演算部１３が別々に設けられているが、制御部１２を演算部１３として用いることもできる。即ち、１台のコンピュータを制御部１２および演算部１３として機能させる構成にすることもできる。

混練室５ａの底面には開閉する排出扉１１が設けられている。また、排出扉１１には温度センサ１４がその先端部を混練室５ａに露出して設けられている。温度センサ１４は混練室５ａで混練されているゴム材料Ｒの温度を逐次検知する。温度センサ１４により検知されたゴム材料Ｒの温度Ｔのデータは制御部１２、演算部１３に逐次入力される。

制御部１２には電力計１２ａおよび回転計１２ｂが付設されている。ロータ２を回転駆動させるために要した瞬時電力量Ｐ１が電力計１２ａにより逐次検知される。この瞬時電力量Ｐ１のデータは制御部１２、演算部１３に逐次入力される。制御部１２では瞬時電力量Ｐ１を積算した積算電力量Ｐが算出されて、任意の混練期間おけるロータ２を回転駆動させるために要した積算電力量Ｐを把握することができる。この積算電力量Ｐのデータも演算部１３に逐次入力される。尚、演算部１３により積算電力量Ｐを算出する構成にすることもできる。ロータ２の回転数は回転計１２ｂにより逐次検知されて制御部１２に入力される。

ラム室５ｂの内部を上下移動するラム６は、所定位置まで下方移動すると混練室５ａの上端開口を塞ぐことができる。ラム６は、油圧シリンダ等の昇降機構によって上下移動される。ラム６の上下移動（上下位置）が制御部１２により制御されることで、混練室５ａに投入されているゴム材料Ｒに対してラム６によって付与されるラム圧力が調整される。

目標品質の混練ゴムＲＦを製造するには、図４に例示するようにそれぞれのロータ２を回転させることによってゴム材料Ｒに対してせん断力を付与して混練する。そして、所定量（１バッチ分）のゴム材料Ｒをこの混練機１によって混練して目標品質の混練ゴムＲＦを得るために必要とされる混練工程に要する時間ｔｃ（混練時間ｔｃ）、必要とされる混練工程でのゴム材料Ｒの温度Ｔｃ（混練完了時の混練ゴムＲＦの温度Ｔｃ）、必要とされる混練工程での積算電力量Ｐｃは、従来の混練実績に基づいて判明している。

そこで、１バッチのゴム材料Ｒの混練工程に要する時間、混練工程でのゴム材料Ｒの温度Ｔ、この混練工程での積算電力量Ｐの３項目のうち少なくとも１項目が、この混練工程を正常に終了させる終了条件として設定され、その設定された項目の基準値（ｔｃ、Ｔｃ、Ｐｃ）が演算部１３に記憶されている。即ち、演算部１３に記憶される基準値はｔｃ、Ｔｃ、Ｐｃのいずれか１項目でもよく、いずれか２項目でもよく、３項目すべてでもよい。

個々の混練機１は、原料ゴムＧにそれぞれの配合剤Ｎが十分に分散して混練された時に、振幅Ａが過大になる特定の周波数帯ｆを有している。そこで、１バッチのゴム材料Ｒの混練工程を正常に終了させる終了条件として、ロータ軸２ｃでの混練工程の開始から基準時間ｔ１が経過した所定時間帯ｔ２での予め決定された特定の周波数帯ｆでの振動ｖの振幅Ａの大きさが追加して設定され、その振幅Ａの基準値Ａｃが演算部１３に記憶されている。

例えば、ゴム材料Ｒを混練機１により混練して目標品質の混練ゴムＲＦが製造された複数の良品バッチのロータ軸２ｃでの振動ｖを、演算部１３によって周波数分析（ＦＦＴ処理）する。これにより、複数の良品バッチの混練工程の開始からの所定時間帯での振動ｖの振幅Ａが一時的に過大になる周波数帯ｆｘおよびその最大振幅Ａｘを算出する。この算出した周波数帯ｆｘを上述した特定の周波数帯ｆとするとともに、この算出した最大振幅Ａｘに基づいて上述した基準値Ａｃを設定する。特定の周波数帯ｆは、概ね１００（Ｈｚ）～１０００（Ｈｚ）の範囲になる。

基準値Ａｃは例えば、それぞれの良品バッチについて算出した最大振幅Ａｘうちの最小値、或いは、その最小値の９５％程度に設定する。尚、良品バッチでは混練開始から概ね同じ時間経過後の所定時間帯に、特定の周波数帯ｆ（ｆｘ）で過大な振幅Ａ（Ａｘ）が生じるので、複数の良品バッチについて上記の周波数分析を行うことで上述した基準時間ｔ１、所定時間帯ｔ２が判明し、特定することができる。

次に、本発明のゴム材料の混練方法を適用してゴム材料Ｒを混練する手順の一例を説明する。

混練工程では、図１の混練機１の混練室５ａに所定量の１バッチ分のゴム材料Ｒ（原料ゴムＧ、非加硫系の配合剤Ｎ、オイル等）が投入される。次いで、図４に例示するように、所定の混練条件で（例えば、ロータ２の回転速度、ラム圧などが制御されて）混練することで目標品質の混練ゴムＲＦが製造される。

図５に例示するように、１バッチのゴム材料Ｒの混練工程は、主に、ゴム素練り段階（Ｓ１）、配合剤取り込み段階（Ｓ２）、均一分散段階（Ｓ３）で構成され、ゴム材料Ｒの温度Ｔ、瞬時電力量Ｐ１、振動ｖ（振幅Ａ）は逐次変化する。これらのデータは逐次、演算部１３に入力される。

ゴム素練り段階（Ｓ１）においては、ラム６をラム室５ｂの上端部の待機位置に保持した状態で、予め設定された所定量の原料ゴムＧを、ゴム投入部８を通じて混練室５ａに投入する。その後、ラム６をラム室５ｂの下端まで下方移動させる。この状態で、油投入部７を通じてオイルを混練室５ａに投入しながらロータ２を回転駆動して原料ゴムＧとオイルとを混練する。

配合剤取り込み段階（Ｓ２）では、ラム６をラム室５ｂの上端部の待機位置に移動させて、予め設定された種類の所定量の配合剤Ｎ（充填剤など）をホッパ９から配合剤投入部１０を通じて混練室５ａに投入する。その後、ラム６をラム室５ｂの下端まで下方移動させる。この状態で図４に例示するようにロータ２を回転駆動してゴム材料Ｒを混練する。

均一分散段階（Ｓ３）では、配合剤Ｎを原料ゴムＧの全体に渡り均一に分散させる。この段階では、上述したように、原料ゴムＧにそれぞれの配合剤Ｎが十分に分散して混練された時に、特定の周波数帯ｆにおいて振幅Ａが過大になる。したがって、混練工程の開始から基準時間ｔ１が経過した所定時間帯ｔ２は、均一分散段階（Ｓ３）に該当することになる。

混練工程中、演算部１３は終了条件に設定されている項目が基準値を満たしているか否かを逐次判断する。例えば、基準値として混練時間ｔｃが記憶されている場合は、演算部１３は混練開始からの混練時間が基準値ｔｃ以上になったか否かを確認し、基準値ｔｃ以上であればこの終了条件を満たしていると判断する。基準値としてゴム材料Ｒの温度Ｔｃが記憶されている場合は、演算部１３は混練しているゴム材料Ｒの温度Ｔが基準値Ｔｃ以上になったか否かを確認し、基準値Ｔｃ以上であればこの終了条件を満たしていると判断する。基準値として積算電力量Ｐｃが記憶されている場合は、演算部１３は混練開始からの積算電力量Ｐが基準値Ｐｃ以上になったか否かを確認し、基準値Ｐｃ以上であればこの終了条件を満たしていると判断する。

尚、終了条件として、積算電力量Ｐｃに加えて、または、積算電力量Ｐｃに代えて瞬時電力量Ｐ１を用いることもできる。瞬時電力量Ｐ１を用いる場合は、例えば、混練工程の開始から所定時間が経過した後に、所定の大きさの瞬時電力量Ｐ１が所定時間維持されたか否かを判断基準にする。

混練工程中にはさらに、演算部１３は振動センサ１５により検知されたデータを図６に例示するように周波数分析する。この周波数分析によって、演算部１３は混練工程の開始から基準時間ｔ１経過した所定時間帯ｔ２において、特定の周波数帯ｆで基準値Ａｃ以上の大きさの振幅を有する振動ｖがロータ軸２ｃに生じているか否かを確認する。図６に例示するように、特定の周波数帯ｆで振幅が基準値Ａｃ以上であれば、演算部１３はこの追加の終了条件を満たしていると判断する。

このようにして、演算部１３に記憶されているすべての終了条件（基準値）を満たした時に、演算部１３の判断により制御部１２を制御して混練工程を正常終了させる。具体的には、ロータ２の回転を停止させて均一分散段階（Ｓ３）を終了し、排出扉１１を開いて混練室５ａの底面から混練ゴムＲＦを排出させる。その後、順次、新たな１バッチ分のゴム材料Ｒに対して同様の混練工程が行われて、複数バッチ分のゴム材料Ｒが連続的に混練される。

本発明では、１バッチ分のゴム材料Ｒの混練工程の終了条件として、混練工程に要する時間、混練工程でのゴム材料の温度Ｔ、積算電力量Ｐの３項目のうち少なくとも１項目に加えて、上記の追加の終了条件（特定の周波数帯での振動の振幅の大きさ）が設定される。そのため、混練工程の時間、ゴム材料の温度Ｔ、積算電力量Ｐなどの一般的な終了条件だけを設定する場合に比して、原料ゴムＧにそれぞれの配合剤Ｌが十分に分散した目標品質の混練ゴムＲＦを安定して製造するには非常に有利になっている。

振動センサ１５による検知データを演算部１３によって周波数分析した際に、混練工程の開始から基準時間ｔ１経過した所定時間帯ｔ２において、特定の周波数帯ｆで基準値Ａｃ以上の大きさの振幅を有する振動ｖがロータ軸２ｃに生じていないと、演算部１３が判断した場合は、正常な混練が行われなかったと推定できる。そこで、この場合は、演算部１３の判断により制御部１２によって警告機器１６を作動させて、混練異常を周囲に知らせる警告を発する。

混練異常と判断されたバッチ（非良品バッチ）は良品バッチとは別の場所に一時保管する。これにより、混練ゴムＲＦの同一生産ロットにおいて、良品バッチに非良品バッチが混在することを回避できる。それ故、ゴム材料Ｒのロスを抑えるには有利になる。

この実施形態のようにロータ軸２ｃでの振動ｖを、変速機４と混練室５ａとの間でロータ軸２ｃの非回転駆動側端部で検知すると、駆動モータ３や変速機４で生じる振動（ノイズ）の影響が小さくなる。これに伴い、より精度よく周波数分析を行うことができるので、目標品質の混練ゴムＲＦを安定して製造するには益々有利になる。

本発明を適用できるのは、原料ゴムＧを非加硫系の配合剤Ｎとともに混練する場合だけに限らない。例えば、原料ゴムＧと非加硫系の配合剤Ｎ（硫黄や加硫促進剤など）とを混練して製造された混練ゴムＲＦと加硫系の配合剤Ｎとを混練して最終混練ゴムＲＦを製造する場合にも適用できる。

１密閉型混練機
２（２Ａ、２Ｂ）ロータ
２ｃロータ軸
２ｄ撹拌羽根
３（３Ａ、３Ｂ）駆動モータ
４変速機
５ａ混練室
５ｂラム室
６ラム
７油投入部
８ゴム投入部
９ホッパ
１０配合剤投入部
１１排出扉
１２制御部
１２ａ電力計
１２ｂ回転計
１３演算部
１４温度センサ
１５振動センサ
１６警告機器
Ｇ原料ゴム
Ｎ配合剤
Ｒゴム材料
ＲＦ混練ゴム

Claims

原料ゴムと配合剤とからなるゴム材料をバッチ毎に、密閉型混練機の混練室で前記混練室に内設されたロータを回転させることにより混練する混練工程によってゴムを製造するゴム材料の混練方法において、
前記混練工程に要する時間、前記混練工程での前記ゴム材料の温度、または、前記混練工程での前記ロータを回転駆動させる駆動モータの駆動に要する積算電力量の３項目のうち少なくとも１項目を前記混練工程の終了条件に設定して、その基準値を演算部に記憶し、さらに、前記混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯における前記ロータを構成するロータ軸での予め決定された特定の周波数帯での振動の振幅の大きさを前記混練工程の追加の終了条件に設定して、その基準値を前記演算部に記憶し、前記演算部に記憶されているすべての前記終了条件を満たした時に前記演算部の判断により前記混練工程を正常終了させるゴム材料の混練方法であって、
前記ゴム材料を前記密閉型混練機により混練して目標品質の混練ゴムが製造された複数の良品バッチの前記ロータを構成するロータ軸での振動を、前記演算部により周波数分析することで、前記複数の良品バッチの前記所定時間帯での前記振動の振幅が一時的に過大になる周波数帯およびその最大振幅を算出して、この算出した前記周波数帯を前記特定の周波数帯とするとともに、この算出した前記最大振幅に基づいて前記追加の終了条件の前記基準値を設定しておき、
新たなバッチのゴム材料を混練する際には、前記ロータ軸での振動を検知して、この検知データを周波数分析することで、この検知データの前記所定時間帯において前記演算部に記憶されている前記特定の周波数帯で前記基準値以上の振幅が生じたか否かを前記演算部により判断し、前記基準値以上の振幅が生じたと判断した場合には前記追加の終了条件を満たしたとするゴム材料の混練方法。
前記検知データの前記所定時間帯において前記演算部に記憶されている前記特定の周波数帯で前記基準値以上の振幅が生じていないと前記演算部が判断した場合には混練異常を知らせる警告を発する請求項１に記載のゴム材料の混練方法。
前記ロータ軸での前記振動を、前記ロータ軸の非回転駆動側端部で検知する請求項１または２に記載のゴム材料の混練方法。
原料ゴムと配合剤とからなるゴム材料がバッチ毎に投入される混練室と、この混練室に内設されたロータとを有する密閉型混練機と、前記ロータを回転駆動する駆動モータと、前記ロータの回転を制御する制御部とを備えたゴム材料の混練システムにおいて、
前記ロータを構成するロータ軸での振動を検知する振動センサと、バッチ毎の前記ゴム材料の混練工程に要する時間、前記混練工程での前記ゴム材料の温度、または、前記混練工程での前記駆動モータの駆動に要する積算電力量の３項目のうち少なくとも１項目が前記混練工程の終了条件として設定されて、その基準値が記憶されている演算部とを有し、前記混練工程の開始から基準時間経過した所定時間帯における前記ロータ軸での予め決定された特定の周波数帯での振動の振幅の大きさが前記混練工程の追加の終了条件に設定されてその基準値が前記演算部に記憶されていて、前記振動センサによる検知データが前記演算部に入力されて、前記演算部に記憶されているすべての前記終了条件を満たした時に、前記演算部の判断により前記制御部を制御して前記混練工程を正常終了させる構成にして、
前記ゴム材料を前記密閉型混練機により混練して目標品質の混練ゴムが製造された複数の良品バッチの前記ロータを構成するロータ軸での振動を、前記振動センサにより検知して前記演算部により周波数分析することで、前記複数の良品バッチの前記所定時間帯での前記振動の振幅が一時的に過大になる周波数帯およびその最大振幅が算出されて、この算出された前記周波数帯を前記特定の周波数帯とするとともに、この算出された前記最大振幅に基づいて前記追加の終了条件の前記基準値が設定されて前記演算部に記憶されていて、
新たなバッチのゴム材料を混練する際には、前記ロータ軸での振動を前記振動センサにより検知して、この検知データを前記演算部により周波数分析することで、この検知データの前記所定時間帯において前記演算部に記憶されている前記特定の周波数帯で前記基準値以上の振幅が生じたか否かが前記演算部により判断されて、前記基準値以上の振幅が生じたと判断された場合には前記追加の終了条件を満たしたとするゴム材料の混練システム。