JP7129310B2 - 蒸着装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸着装置に関するものである。本発明は、例えば有機EL(ElectroLuminesence)装置の機能層を構成する有機層の製膜に用いる蒸着装置として好適である。
近年、蛍光灯やLEDに変わる照明装置として有機EL装置が注目され、多くの研究がなされている。また、ディスプレイ部材においても液晶方式やプラズマ方式に変わる方式として有機EL方式が注目され、製品化されている。ここで有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また、有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物を含む発光層を積層したものである。有機EL素子は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。有機EL装置は、自発光デバイスであるため、ディスプレイ材料として使用すると高コントラストの画像を得ることができる。また、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。また蛍光灯に比べて厚さが極めて薄いため、設置場所の制約が少なく、かつ、面状で発光するため、指向性が強いLEDに比べ、影ができにくい。
有機EL装置の代表的な層構成は、図3の通りである。図3に示される有機EL装置100は、ボトムエミッション型と称される構成であり、ガラス基板110に、透明電極層120と、機能層130と、裏面電極層140が積層され、これらが封止部150によって封止されたものである。また、機能層130は、複数の有機化合物の薄膜が積層されたものである。代表的な機能層130は、正孔注入層131、正孔輸送層132、発光層133、及び電子輸送層134を有している。有機EL装置100は、ガラス基板110上に、前記した層を順次製膜することによって製造される。
ここで上記した各層の内、透明電極層120は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜であり、主にスパッタ法あるいはCVD法によって製膜される。機能層130は、前記した様に複数の有機化合物の薄膜が積層されたものであり、各薄膜を真空蒸着法によって製膜することができる。裏面電極層140は、一般に、アルミニウム、銀等の金属薄膜であり、真空蒸着法によって製膜することができる。
このように、有機EL装置を製造する際には、その各層を構成する薄膜を製膜する工程に真空蒸着法が多用される。ここで真空蒸着法は、例えば特許文献1に開示された様な蒸着装置を使用して製膜する技術である。即ち蒸着装置は、一般に真空に保持された製膜室と、薄膜形成用材料を蒸発させる蒸発装置によって構成されるものである。製膜室は、例えばガラス基板等の基材を設置することができるものである。一般的な蒸発装置は、電気抵抗や電子ビームを利用した加熱装置と、薄膜形成用材料を入れる坩堝とによって構成されている。
特許文献1は、具体的には、薄膜材料の成膜中の材料劣化を抑え、所望の蒸着速度で安定した膜厚が得られる蒸着装置に関し、真空室内に基材を設置し、材料ガス供給機構から供給された材料ガスに含まれる薄膜材料を基材に着膜させる蒸着装置であって、材料ガス供給機構は、エアロゾル供給機構が接続された気化部を含み、材料ガスは、気化部においてエアロゾル供給機構から供給されたエアロゾルに含まれる粉体が気化されてなる薄膜材料の蒸気を含み、エアロゾル供給機構が、エアロゾルから粉体を分離する粉体分離部、分離され回収された粉体を貯蔵する粉体貯蔵部、及び粉体貯蔵部から供給された粉体からエアロゾルを形成するエアロゾル形成部を含み、かつ、エアロゾル供給機構全体が、大気の流入から遮断可能に構成されてなる蒸着装置を開示する。即ち、特許文献1は、気化部である蒸発装置に薄膜形成用材料を定量供給し、蒸発装置において、その加熱装置または加熱されたキャリアガスによって薄膜形成用材料の一部または全部を蒸発させ、蒸発した材料を真空室である製膜室に移送し製膜する方法を開示する。ここで、供給された材料の全部を一気に蒸発させ、蒸発装置内に未蒸発の材料を滞留させない方法が、いわゆるフラッシュ蒸着、又は、フラッシュ蒸発と呼ばれる方法である。
特開2015-101770号公報
本発明の発明者らは、このような蒸発装置から移送された材料蒸気を製膜室で基材上に着膜する蒸着方法につき鋭意検討した。その結果、このような蒸着方法においては、同条件で製膜した場合であっても、蒸着装置の状態によって膜質や製膜速度が異なり、その原因の一つとして着膜する蒸気ガスに含まれる不純物、所謂コンタミの問題があることに気付いた。
例えば、有機EL装置はコンタミに非常に弱く、コンタミにより膜質が予期せず変動することは、安定して高収率に生産しようとした際の弊害となる。そして、このような変動の原因について更に詳細に検討した結果、停電や予期せぬトラブルの際、ガス供給ラインが汚染されてしまった場合に、そのことをきっかけに変動することを見出した。このようなトラブルはその復旧に非常に時間が掛かる場合が多く、抜本的な対策を蒸着装置そのものに施して、ガスラインからの不純物の混入に起因する着膜材料による汚染を防ぐことは、量産する上で非常に重要である。
特に、薄膜形成用材料蒸気を含む蒸気含有ガスを流送する蒸気含有ガス流送系を下流に有する、特許文献1の加熱されたキャリアガスのような、常温常圧で気体である常温常圧ガスのみの流送を目的とする常温常圧ガス流送系であって、着膜に供する薄膜形成用材料蒸気の供給量を安定的に精密に制御する為に、当該蒸気含有ガス流送系の上流に、マスフローコントローラー(MFC)を含む常温常圧ガス流送系において、薄膜形成用材料そのものの混入から、MCFを完全に清浄に維持することは極めて重要である。
そこで本発明は、このような蒸気含有ガス流送系を下流に有する、このような常温常圧ガス流送系であって、薄膜形成用材料の製膜室への定量供給の安定性、正確性を確保する為に、当該蒸気含有ガス流送系の上流に、マスフローコントローラー(MFC)を含む常温常圧ガス流送系において、当該常温常圧ガス流送系内の当該MFCの下流であって、かつ、蒸気含有ガス流送系の上流に、逆流防止バルブを含む特定の常温常圧ガス流送系を含む蒸着装置とすることで、薄膜形成用材料そのものの混入から、MCFを完全に清浄に維持可能な蒸着装置を提供することを目的とする。
一方で、上記特許文献1は、その[図3]に関して、[0055]の記載「粉体分離部451に供給されたエアロゾルは、粉体材料とキャリアガスに分離され、粉体材料は粉体貯蔵部421に還流され、分離後ガスはマスフローコントローラー434を介して排出される。」に記載されている「マスフローコをントローラー434」について、その[0058]の記載「マスフローコントローラー434の下流側に逆流防止弁481が設置されていると、材料ガス供給機構に異物が逆流して混入することを防止できるので好ましい。」に記載されているように、その「下流側に逆流防止弁481が設置されている」ものの、この「逆流防止弁481」は、分離後のキャリアガスを下流側の装置外、基本的には大気中に、排出する部分に設置されており、装置外、基本的には大気中から、異物が装置内に逆流することを防止する機能を有するのみであり、装置内において、製膜室に蒸発室から蒸気含有ガスを供給するに際し、薄膜形成用材料の当該蒸発室への定量供給の安定性、正確性を確保する為のMFCに逆流することを防止する機能を有する本発明に係る逆流防止バルブとは、その設置箇所もその機能も全く異なるものである。
従って、特許文献1の蒸着装置は、本発明の蒸着装置と同様に、製膜室に蒸発室から蒸気含有ガスを供給して製膜装置であるものの、特許文献1記載の「逆流防止弁」は、本発明に係る逆流防止バルブとは全く異なる構成要素であり、薄膜形成用材料蒸気の供給量の安定的精密制御性において、改善の余地があった。
上記した課題を解決するための方策を種々検討し本発明を完成させた。
即ち本発明は、基材を保持可能な基材保持部を備える製膜室、薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスを発生させる蒸発室を含み、かつ、該蒸気含有ガスを該製膜室に供給する蒸発装置、ガス供給系、及び排気系を有し、該蒸気含有ガスを基材上に吹き付けることで、該薄膜形成用材料を該基材上に着膜させる蒸着装置であって、
該ガス供給系が、常温常圧で気体である常温常圧ガスのみの流送を目的とする常温常圧ガス流送系、及びその下流の該蒸発室を含む蒸気含有ガス流送系であって、該蒸気含有ガスを流送する蒸気含有ガス流送系を含み、
該常温常圧ガス流送系が、マスフローコントローラー(MFC)を含み、さらに
該MFCの下流に、そのさらに下流の圧力に基づき自動的に閉じる逆流防止バルブを備える、蒸着装置に関する。
このような蒸着装置によれば、
下流に薄膜形成用材料を蒸発させた蒸気を含む蒸気含有ガスを流送する蒸気含有ガス流送系を有する、常温常圧で気体である常温常圧ガスのみの流送を目的とする常温常圧ガス流送系であって、マスフローコントローラー(MFC)を含む常温常圧ガス流送系において、MFCの下流に、そのさらに下流の圧力に基づき自動的に閉じる逆流防止バルブを備えるガスキャリア蒸着装置なので、停電や予期せぬトラブル、薄膜形成用材料の急激な大量の蒸発が発生等が生じた際に、ガス供給ラインが汚染され難くなるので、安定的に高品質の膜質の薄膜を製膜可能な蒸着装置となる。
また、前記常温常圧ガス流送系は、さらに、前記MFCの下流に、前記薄膜形成用材料を捕集する材料捕集機構を備えることが好ましく、前記MFCの制御を含めて装置全体をより安定的に制御可能となる。
また、前記材料捕集機構は、冷却可能な冷却部材により前記捕集し、かつ該冷却部材が加熱により前記薄膜形成用材料を放散することが好ましく、本発明に係るMFCの清浄製を維持しつつ簡便にメンテナンス可能となる。
また、前記常温常圧ガス流送系は、さらに、前記MFCの下流に、前記常温常圧ガスを加熱するためのガス加熱機構を備えることが好ましく、正常運転時に本発明に係るMFCを含む上流側は、この加熱機構による加熱による温度上昇の影響を受けず、ほぼ常温で維持されることとなるので、安定的に高品質の薄膜を製膜できる。
また、前記常温常圧ガス流送系は、さらに、前記MFCからの下流側に順に、前記薄膜形成用材料を捕集する材料捕集機構、前記常温常圧ガスを加熱するためのガス加熱機構、及び前記逆流防止バルブを備えることが好ましく、設置位置による全体的な相乗効果により、本発明に係るMFCの清浄性がより確実になると共に、装置全体をより安定的に制御可能となる。
また、前記常温常圧ガス流送系は、その前記逆流防止バルブの下流側から、即ち、前記常温常圧ガス流送系内であって、少なくとも前記蒸発室の上流側から、前記蒸気含有ガス流送系を介さず、前記排気系により排気可能であることが好ましく、薄膜形成用材料が付着している虞がある蒸気含有ガス流送系と無関係に常温常圧ガス流送系の清浄化が可能なので、本発明に係るMFCの清浄性がより確実になると共に、装置全体のメンテナンス性が向上し、前記蒸気含有ガス流送系は、その前記蒸発室の下流側から、前記製膜室を介さず、前記排気系により排気可能であることが好ましく、より好ましくは、当該蒸気含有ガス流送系の圧力に応じて自動的に当該排気を可能とすることであり、薄膜形成用材料が付着している虞がある蒸気含有ガス流送系を、非製膜時には滞留材料が極力少ないことが望ましく、かつ、ガス滞留時間が長いことに起因し真空引きに時間を要する製膜室を迂回して、好ましくは例えば別材料の蒸気に流送する材料蒸気を切り替える際迅速に、清浄化することが可能になると共に、装置全体のメンテナンス性が向上する。
また、前記蒸発装置は、さらに、前記蒸発室に前記薄膜形成用材料を供給する材料供給系を含むことが好ましく、材料を蒸発する為に高温となる蒸発室に、薄膜形成用材料を長時間保持しつつ、そのごく一部を製膜室に供給することで生じる材料の高温劣化を防止して、各瞬間に製膜室に供給する必要がある材料を、その分量だけ当該材料供給系から蒸発室に供給することで、このような材料の高温劣化を防止でき、高品質の薄膜を形成できる蒸着装置となり、当該材料供給系は、材料保管容器、及び該材料保管容器から前記薄膜形成用材料を受入れ、かつ、吐出により前記蒸発室に前記薄膜形成用材料を該供給する材料吐出部を含むことが好ましく、このような吐出により蒸発室に薄膜形成用材料を供給するので、高温となる蒸発室から材料保管容器への伝熱が防止され前述の高温劣化や、例えば好ましい態様である粉体で保管・供給される薄膜形成用材料の融着が防止され、さらに、蒸発室の圧力に影響されず、安定的に一定量の材料の供給が可能となる。
また、前記蒸発室は、前記ガス供給系より加熱されたキャリアガスを導入可能で有り、かつ、粉体として前記吐出により供給された前記薄膜形成用材料が、該加熱キャリアガスによりフラッシュ蒸発され、該粉体として前記蒸発室の底に滞留しない状態で、前記蒸気化することが好ましく、前述の高温劣化が防止された状態で安定的に製膜可能な蒸着装置となる。
本発明の蒸着装置は、特定のガス供給系を含むので、ガス供給ラインが汚染され難く、即ち、本発明に係るMFCへの薄膜形成用材用の混入や蒸気含有ガスからの材料付着が防止可能であり、流量の不正確性や不安定性が抑制され、トラブルが少なく安定的な高度に制御された高品質の薄膜の製膜が可能な蒸着装置となる。
本発明の蒸着装置1の構成図の一例である。 本発明の蒸着装置1の製膜室201を含む部分的構成詳細図の一例である 有機EL装置の一般的なデバイス構成を示す断面図である。
以下本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、当業者の技術常識内で種々の変更が可能である。また、以下の記載において本発明に関し図1~図3における符号を付し説明するが、この符号の記載により本発明が何らの制限を受けるものではない。
(蒸着装置1)
本発明の蒸着装置1は、蒸気含有ガスを基材上に吹き付けることで、薄膜形成用材料を基材上に着膜させる装置であって、製膜室201、蒸発装置3、ガス供給系6、及び排気系7を含み、一つまたは複数の蒸発装置3を含んでいても良く、図1では一つのみの蒸発装置3を含む例について示しているが、それぞれの蒸発装置の構造や系列数を限定するものではなく、製膜形成する薄膜製品や製膜する薄膜の種類、数に応じて、これらの要素を様々に組み合わせて構成することができ、その好適な適用例としては、例えば、有機EL装置のような、コンタミに弱いデバイス薄膜製品の製膜が挙げられる。
本発明の蒸着装置1は、複数の高品質な薄膜を短いタクトタイムで製膜可能とする観点から、好ましくは複数の蒸発装置3を備え、より好ましくは、各々の材料供給系の内部を、排気系7により個別に直接排気可能であり、材料供給系を個別にクリーニング可能なため、高い膜品質安定性を確保できる。
また、本発明の蒸着装置1は、後述する特定のガス供給系6を含むので、ガス供給ラインが汚染され難く、高品質の薄膜を安定的に製膜可能である。
(ガス供給系6)
本発明に係るガス供給系6は、アルゴンや窒素等の好ましくは不活性ガスであるキャリアガスや、本発明に係る蒸気含有ガス、クリーニング用のガス、あるいは、これらを任意の比率で混合した混合ガスを、複数の装置に供給可能な設備であり、本発明に係る後述する、特定の常温常圧ガス流送系、及び、蒸気含有ガス流送系を含み、少なくとも本発明に係る、マスフローコントローラー(MFC)373、及び、逆流防止バルブ395を含み、これら以外にも、仕切りバルブ501、502,503、504、505、506、507、508、509、511、512、513・・・や、その他のマスフローコントローラー371、372、374、375・・・、熱交換器361、362、363・・・を含むことができ、例えば熱交換器を介すことで、加熱されたキャリアガスを供給可能であり、他にも、冷却ガスや脱気用ガス、押出し用ガスとして、各種ガスを供給可能とすることができる。
(常温常圧ガス流送系61)
本発明に係るガス供給系6は、特定の常温常圧ガス流送系61を含むことを特徴とする。即ち、本発明に係る常温常圧ガス流送系61は、前述したようなアルゴンや窒素等に代表される不活性ガスの如き常温常圧で気体である常温常圧ガスのみの流送を目的とし、又は少なくとも正常運転時において当該常温常圧ガスのみを流送し、その下流に蒸気含有ガスを流送する蒸気含有ガス流送系62を有し、また、マスフローコントローラー(MFC)373を含み、即ち、当該常温常圧ガス流送系61内である、前記蒸気含有ガス流送系62の上流に、MFC373を含み、さらに、当該MFC373の下流に逆流防止バルブ395を含み、即ち、当該常温常圧ガス流送系61内である、当該MFC373の下流、かつ、前記蒸気含有ガス流送系62の上流に、逆流防止バルブ395を含み、さらに、前記加熱されたキャリアガスを流送可能である。
本発明に係る常温常圧ガス流送系61は、上述したようにMFC373、及び当該MFC373の下流に逆流防止バルブ395を含み、これら以外にも好ましくは、ガス加熱機構362、及び材料捕集機構390からなる群から選ばれる1つ以上の機構を含むことができ、好ましくは、その前記逆流防止バルブ395の下流側から排気系7により排気可能であり、より好ましくは、後述する蒸気含有ガス流送系62を介さず排気可能である。
前記ガス加熱機構362は、前記常温常圧ガスを加熱するための機構であり、好ましくは、本発明に係るMFC373の下流に設置され、正常運転時には、当該MFC373を含む上流側は、この加熱機構362による加熱による温度上昇の影響を受けず、ほぼ常温で維持されることとなるので、当該MFC373の制御を含めて装置全体をより安定的に制御可能となり、より好ましくは、発明に係る逆流防止バルブ395の上流に設置され、加熱機構362の加熱が中止され加熱機構362の温度が低下する際においても、当該逆流防止バルブ395により、蒸気含有ガスの加熱機構362を含む上流側への逆流が防止されるので、発明に係るMFC373の清浄性が維持されると共に、加熱機構362に付着した薄膜形成用材料に起因する製膜初期における材料供給過多を防止できる。
前記材料捕集機構390は、本発明に係る薄膜形成用材料を捕集するための機構であり、好ましくは、冷却可能な冷却部材により薄膜形成用材料を常温常圧ガス流送系61の経路内壁面に付着させることで捕集する機構であり、当該冷却部材の加熱により薄膜形成用材料を放散可能であり、また、好ましくは、本発明に係るMFC373の下流に設置され、この材料捕集機構390による捕集により、当該MFC373を含む上流側には、膜形成用材料が流入し難くなるので、当該MFC373の清浄性がより維持され易くなり、より好ましくは、発明に係る逆流防止バルブ395の上流に設置され、当該バルブ395による逆流防止が不完全であった場合でも、当該MFC373を含む上流側の清浄性が確実に維持されることとなると共に、当該バルブ395により正常運転時にも当該材料捕集機構に薄膜形成用材料が蓄積せず、製膜中における予期せぬ材料供給量変動の発生を防でき、さらに好ましくは、前記ガス加熱機構362の下流に設置され、当該ガス加熱機構362を含む上流側には、膜形成用材料が流入し難くなるので、本発明に係るMFC373の清浄性がより維持され易くなる。
(逆流防止バルブ395)
逆流防止バルブは、逆止弁、チェックバルブ、逆止め弁、チャッキ等とも呼称され、一般に、気体や液体等の流体を流送する配管に取り付けられ、当該流体のその上流及び下流の圧力差である背圧によって、上流側の圧力が下流側の圧力より低い場合に下流側から上流側に流体が逆流することを防止するよう作動する弁である。
本発明に係る逆流防止バルブ395は、このようにそのさらに下流の圧力に基づき自動的に流路を閉じる機能を有する。
(蒸気含有ガス流送系62)
本発明に係るガス供給系6は、前記常温常圧ガス流送系61の下流に、本発明に係る蒸気含有ガスを流送し、かつ、後述する蒸発室351を含む、蒸気含有ガス流送系62を含むことを特徴とする。即ち、本発明に係る蒸気含有ガス流送系62は、少なくとも製膜室201に蒸気含有ガスを供給する際、蒸発室351で発生せしめた蒸気含有ガスを製膜室201に流送する。
本発明に係る蒸気含有ガス流送系62は、好ましくは、その前記蒸発室351の下流側から排気系7により排気可能であり、より好ましくは、後述する製膜室201を介さず排気可能である。
(加熱キャリアガス)
本発明に係る加熱キャリアガスは、特に、蒸発室351にて薄膜形成用材料を蒸気化する前記加熱されたキャリアガスであり、具体的には例えば、100℃~700℃程度に、加熱された窒素ガス、アルゴンガス等であり、不活性ガスであることが好ましく、より好ましくは窒素ガスである。
図1においては、熱交換器362と下部材料移送管411を通じて、加熱キャリアガスと薄膜形成用材料が蒸発室351に供給され、ここで蒸気含有ガスが生成される。
前記熱交換器としては、スタティックミキサー型のガス配管を用いることが好ましく、配管内部のエレメントとキャリアガスが接触して加熱されるので、熱交換効率が向上できる。
なお、加熱キャリアガスと接触する各機器、配管、バルブ等は、その温度を維持する為、適宜必要なリボンヒーターやジャケットヒーター等によって加熱し、適切な制御方法で調温することが重要であり、特に、蒸気含有ガスを流送したり、これが逆流してくる部位については、蒸発した材料の固着、及び材料劣化を抑制するため、このような温調が重要である。
(製膜室201)
本発明に係る製膜室201は、基材を保持可能な基材保持部221、及び保持された当該基材に対して蒸気含有ガスを吹き付ける蒸着ヘッド231を有し、好ましくは、気密性を有し、排気系7に直接的、又は間接的に接続されており、より好ましくは、当該製膜室201内に、基材9の搬入、搬出の為のゲートバルブ241を有し、排気系7に直接的、に接続されており、さらに好ましくは、ガス供給系6に直接的、又は間接的に接続されており、特に好ましくは、ガス供給系6に直接的に接続されており、即ち、製膜室201単独でのガス導入、及び排気が可能であることが好ましい。
本実施形態では、基材9がゲートバルブ241を介して製膜室201内に導入され、基材保持部221に載置される。次に、蒸気含有ガスが蒸着ヘッド231を介して基材9に向かって吹き出されることで、製膜が実施される。蒸着ヘッド231の吹き出し部は適度な開孔パターンを有し、基材9の製膜面側に均一に蒸気含有ガスを吹き出す機構であることが好ましい。
(基材保持部221)
前記基材保持部221は、上述の如く製膜室201内において基材を保持する機能を有する。
(基材9)
本発明に係る基材9は、例えばガラス等の透明な材料からなる。基材上の透明電極層120は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明な導電性材料からなることが好ましい。なお、透明電極層120は、例えばスパッタリング法により形成される。
(薄膜形成用材料)
本発明に係る薄膜形成用材料は、加熱により蒸気化し、該蒸気が冷却により基材9上に着膜可能であれば各種材料を使用できるが、常温で固体であり、かつ、粉体として本発明の蒸着装置に導入できる材料であることが、本発明の効果を十分に発揮せしめる観点から好ましく、例えば、有機EL素子を構成する有機EL材料等を挙げることができる。
このような本発明に係る薄膜形成用材料は、本発明において好ましくは、例えば、図1に示すように、材料保管容器311より仕切りバルブ508、上部材料移送管401を通じて材料保持部471に補給され、材料保持部471内の薄膜形成用材料は、駆動部491を駆動させることにより、駆動動力が動力伝達機構481を通じて、材料移送部461に伝わり、該動力で材料移送部461が駆動することにより、材料移送部461、材料払出し部451、真空室301の内部雰囲気である材料受送経路441、材料下部受け部431、下部材料移送管411を通じて蒸発室351に移送され、蒸気化され、その後、薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスとして製膜室201に供給され、基材9上に着膜する。
(蒸発装置3)
本発明に係る蒸発装置3は、薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスを発生させ、発生させた蒸気含有ガスを製膜室に供給する装置であり、少なくとも固体、又は液体の薄膜形成用材料を蒸発させて薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスを発生させる、即ち、薄膜形成用材料を蒸気化する場所である蒸発室351を含み、蒸発室351に薄膜形成用材料を、好ましくは粉体として、供給する材料供給系4を、好ましくは含む。
(蒸発室351)
本発明に係る蒸発室351は、薄膜形成用材料を蒸気化することで生成した蒸気含有ガスを、蒸気含有ガス移送部を介して、製膜室201に供給する。
前記蒸発室351は、ガス供給系6から、前述の加熱されたキャリアガスを導入可能であることが好ましく、好ましくは粉体として供給された薄膜形成用材料は、より好ましくは粉体として蒸発室351の底に滞留しない状態で、当該加熱キャリアガスからの伝熱により、フラッシュ蒸発される。
ここで、蒸発室351は、前記加熱キャリアガスと薄膜形成用材料との熱交換を効率よく行う観点から、らせん状の配管で構成されてることが好ましく、当該らせん状の配管は、その内周および外周から均一に加熱されるようシステム構成されていることがより好ましい。
さらに、蒸発室351は、これと配管やバルブを介して直結された排気系7により、単独で排気可能であることが好ましく、このようにすることで、例えば蒸発室351内部を加熱キャリアガスで個別にクリーニングすることが可能となるため、製膜された膜の中の不純物量が低く維持され、膜品質が高レベルで安定維持される。例えば、図1において、蒸発室351は、排気バルブ215を介し、排気系7に直結している。
またさらに、蒸発室351内の圧力は、材料蒸発効率を十分なものに維持せしめる観点から、制御可能であることが好ましく、この制御を可能とする為に、蒸気含有ガス移送部の経路に配された仕切りバルブは、図1おいては仕切りバルブ514は、開度調整が可能なものであることが好ましい。
(材料供給系4)
前記材料供給系4は、薄膜形成用材料を保管する保管空間を備える材料保管容器311、及び、当該材料保管容器311から薄膜形成用材料を受入れ、かつ、吐出により蒸発室に薄膜形成用材料を供給する材料吐出部5を含む。
(材料保管容器311)
前記材料保管容器311は、薄膜形成用材料を一時的に保管する容器であり、薄膜形成用材料を保管する保管空間を備え、好ましくは薄膜形成用材料を導入可能な材料導入機構381を有し、配管やバルブを介して直結された排気系7により、単独で排気可能である。
(材料吐出部5)
前記材料吐出部5は、前記材料保管容器311から薄膜形成用材料を受入れる材料供給装置331、及び、吐出により蒸発室351に薄膜形成用材料を供給する吐出口を少なくとも含み、高温となる蒸発室351からの熱を遮断する観点から、好ましくは内部を減圧保持可能な真空室301である。
即ち、前記材料供給装置331は、材料吐出部5である真空室301の内部に格納されていることが好ましく、前記吐出口は、蒸発室351の内部と連通し、当該蒸発室351に薄膜形成用材料を。好ましくは、粉体として、吐出する、好ましくは真空室301の内面の、より好ましくはその底面の孔であり、その場合、当該吐出口は、真空室301が有する材料下部受け部431に含まれ、このような、材料吐出部5を用いることで、いずれも後述する、材料保持部471に保持された薄膜形成用材料を、材料移送部461により、材料保持部471と材料払出し部451を等圧の状態で、移送することができるので、蒸発室351に供給される薄膜形成用材料の供給速度を安定させることができる。
(材料供給装置331)
前記材料供給装置331は、蒸発室351に定量的に薄膜形成用材料を供給する目的で本発明の蒸着装置に好ましく組み込まれる装置であり、前述したように好ましくは、真空室301内部に収容され、その場合より好ましくは、真空室301内で材料供給装置支持部341により支持される。
材料供給装置331が材料供給装置支持部341により支持される場合、当該材料供給装置支持部341が秤量機構を有することが好ましく、材料供給装置331が材料供給装置支持部341を介してのみ真空室301内で保持される機構であればより好ましく、材料供給装置331に保持されている薄膜形成用材料の重量を計測できるので、より正確に薄膜形成用材料の移送量を制御することが可能となり、基材9上に得られる膜厚の制御が容易となる。
このような材料供給装置331は、少なくとも、材料保管容器311より上部材料移送管401を介し、好ましくはさらに真空室301の内部雰囲気を介し、薄膜形成用材料を受入れ可能な材料上部受け部421、及び薄膜形成用材料を吐出口に払出し可能な材料払出し部451を有し、好ましくは、当該受け入れた薄膜形成用材料を一時的に保持する材料保持部471、及び材料保持部471に保持された薄膜形成用材料を、材料払出し部451に定量的に移送する材料移送部461を含む。
材料吐出部5が真空室301である場合に、材料上部受け部421は、当該真空室301の機密性を維持した状態で、材料保管容器311から順に、上部材料移送管401、真空室301の内部雰囲気を介して、薄膜形成用材料を受け入れることが好ましく、材料下部受け部431は、当該真空室301の機密性を維持した状態で、材料払出し部451から、真空室301の内部雰囲気を介して、薄膜形成用材料を受け入れることが好ましい。
材料供給装置331は、好ましくはさらに、材料移送部461を駆動するための駆動部491、及び駆動部491より材料移送部461に動力を伝達する動力伝達機構481を有する。
この場合、前記材料払出し部、及び前記吐出口との間の薄膜形成用材料が流通する当該真空室内301の空間を材料送受経路441としたとき、材料受送経路441の経路断面積は、真空室301内面の当該断面の面積の1/10以下であれば、材料保持部471と材料払出し部451とを均圧に維持することが容易であり好ましい。
前記吐出口は、好ましくは、下部材料移送管411を通じて蒸発室351の内部と連通し、蒸発室351に薄膜形成用材料を、好ましくは、粉体として、吐出する。
前記材料下部受け部431は、材料供給装置331より払い出された薄膜形成用材料を効率よく受け入れる観点から、好ましくは、真空室301の内側に大開口し、吐出口を小開口とする漏斗状であり、当該吐出口は前記下部材料移送管411の材料吐出部5側の入り口であり、この場合、真空室301の内部雰囲気を介して薄膜形成用材料は材料下部受け部431に向かって吐出される。
さらに好ましくは、ガス供給系6よりキャリアガスの一部を真空室301に供給することができる構造であれば、材料移送配管411内で薄膜形成用材料が付着することを抑えられ、また、蒸発室351で発生する蒸気含有ガスが、真空室301に逆流することを防ぐことができ、真空室301の汚染が防止できることを通じ、製膜された薄膜の品質が高いレベルで維持され易くなる。
さらに好ましくは、排気系7により、真空室301を個別に排気可能とする構造であれば、内部に保管された薄膜形成用材料から脱離した水分等の不純物ガスを排気することが容易となる。
(排気系7)
本発明に係る排気系7は、ドライポンプ等の真空排気ポンプや、これと製膜室201や蒸発装置3、ガス供給系6等とを接続する配管やバルブ等から構成され、接続される設備の用途に応じて、適切な真空排気ポンプを選択する必要があり、それぞのれの設備が個別の排気系7を備えることが好ましい。
このような排気系7に係るバルブとして、図1には、排気バルブ213、214、215が例示されており、これらの各々を通じて材料保管容器311、材料吐出部5、及び蒸発室351を個別に排気可能な好ましい例となっており、排気バルブ211、212も例示されており、これらの各々を通じて製膜室201、及び蒸気含有ガス供給系を個別に排気可能な好ましい例となっており、このような排気系7は、1つのポンプにより切り替えて複数を排気しても良く、個別のポンプにより排気してもよく、このような排気バルブは、ポンプ性能を十分に発揮せしめ、到達真空度を高め高品質の薄膜を製膜する観点から、仕切りバルブよりコンダクタンスが大きいものであることが好ましい。
またさらに、製膜室201、蒸発装置3にそれぞれ単独の排気系7を接続する方が、製膜室201と蒸発装置3を個別に排気することができるため好ましい。このような装置構成とすることで、例えば、薄膜形成用材料の蒸発が不安定な間は仕切りバルブ212を通じて排気系7に流送し、前記蒸発が安定した後に、仕切りバルブ514を通じて蒸着ヘッド231へ流送することができる。
またさらに、製膜室201と排気系7を繋ぐ排気バルブ211は、開度コントロールが可能なバルブである方が、製膜室内部の圧力調整により製膜速度等をコントロールできるため好ましい。
製膜室201は、ドライポンプ、TMP(ターボ分子ポンプ)やCP(クライオポンプ)を用いて、製膜室201内を高真空排気できることが好ましく、例えば製膜室内部の残留水分等を除去可能となり、薄膜の品質向上の観点から好ましい。
(製膜方法)
以下本発明の蒸着装置を用いた製膜方法の具体例を説明する。
まず、材料導入機構381を介して材料保管容器311に薄膜形成用材料を適量充填し密閉する。なお共蒸着を実施する場合、事前に使用する薄膜形成用材料同士の重量比率を調整する方が好ましい。次に、排気バルブ213を開け、排気系7を用いて材料保管用器311を真空排気し、材料脱気を実施する。なお、排気バルブ213は、排気時に材料保管容器311内の急激な圧力変動によって内部の薄膜形成用材料が舞上ることを抑制するため、開度調整が可能であり、減圧速度をコントロールできる方が好まし。
真空排気は、ドライポンプ、ターボ分子ポンプ、もしくはクライオポンプを用いて高真空排気を実施し、有機ELデバイス等の特性低下に繋がる残留水分等を極力除去することが好ましい。材料脱気は、加熱機構を用いて、材料保管容器311を薄膜形成用材料の分解劣化に影響しない範囲で加熱することで、脱気に要する時間を短縮することができる。
次に、各部に設置したヒーターで各部を所定温度に昇温する。設定温度は、装置の運用方法や特徴に合わせて適宜設定すればよい。
次に、仕切りバルブ508、及び上部材料移送管401を通じて、材料保管容器311から材料供給装置331に薄膜形成用材料を移送する。なお、事前に、排気バルブ214を介して排気系7により真空室301の圧力を材料保管容器311と同等程度にすることで、薄膜形成用材料を移送する際、材料保管容器311と真空室301の圧力差によって薄膜形成用材料が舞上り、真空室301内を汚染することを抑制できるため好ましい。
この場合に、上部材料移送管401内で材料詰まりが発生する場合には、仕切りバルブ503、511を通じてガス供給系6より押出し用ガスを供給し、圧送することができ、また、この場合に、材料供給装置支持部341が秤量機構であれば、材料供給装置331に供給される薄膜形成用材料の供給量を制御できる。
次に、ゲートバルブ241を介して、製膜室201に基材9を投入し、基材支持機構221に載置する。また、基材保持部221内に冷媒を流通させ(251)基材9の冷却を実施する。冷媒には例えばエチレングリコール等が用いられる。
次にMFC373及び熱交換器362等で、キャリアガスを所定流量および温度に制御して蒸発室351等に供給し、この熱交換器362で加熱されたキャリアガスにより、蒸発室351内において、薄膜形成用材料が加熱されて蒸気化することとなる。また、MFC372でキャリアガスを所定流量に制御して、仕切りバルブ505、509を通じて蒸発室351に供給することで、このキャリアガスに随伴して材料吐出部5から蒸発室351に薄膜形成用材料が供給されることとなる。この場合、MFC372で制御されるキャリアガス流量は、蒸発室351で蒸発した薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスの逆流を抑える程度の少量でよい。
この際、本発明においては、薄膜系形成用材料が、脈動により一時的に多量に供給されたり、予定外に在留しそれが突沸したり、材料吐出部5からのキャリアガス供給量が予期せず過剰となったりして、、蒸発室351を含む下流側の蒸気含有ガス流送系62の圧力が、上流側の常温常圧ガス流送系6の圧力より高くなっても、逆流防止バルブ395の存在により、MFC373の薄膜形成用材料による汚染は防止される。
また、上述のMFC373及び熱交換器362等による加熱キャリアガスの蒸発室351等への供給においては、MFC373と熱交換器362との間に、材料捕集機構として熱交換器390を設け、キャリアガスを一旦室温以下に冷却してから、熱交換器362で加熱することが好ましい。このようにすることで、キャリアガス中の水分等の不純物の下流側の蒸発室351への流入が防止されると共に、上流側のMFC373が、下流側からの薄膜形成材料等の逆流が防止される。このような材料捕集機構390でトラップされた材料はメンテナンス時に材料捕集機構390を加熱しながら排気系7ではいきすることで系外に放出することができる。
次に、材料供給装置331より、所定の供給速度で薄膜形成用材料を、材料送受経路441、下部材料移送管411を通じて蒸発室351に供給する。この場合、仕切りバルブ509を、例えばボールバルブとすることで、下部材料移送管411を通る薄膜形成用材料が移送管内で詰まることなく、全量を蒸発室351に供給可能であるため好ましい。
この場合、例えば、蒸発装置351に供給された薄膜形成用材料を全量蒸発させることが可能なキャリアガスの流量、温度、等の諸条件とすることで、薄膜形成用材料の供給速度で、製膜速度を制御することができる。薄膜形成用材料の供給速度は、材料供給装置331の機構により制御することもできるが、好ましくは、秤量機構を有する材料供給装置支持部341を用いることで、より正確に、所定の供給速度に制御できる。
また、蒸発室351等の内部の圧力は、例えば仕切りバルブ514等の開度を調整し、10000Pa程度に調整することで、能率的に材料蒸発を実施することができる。
このようにして、蒸発装置3で発生した薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスは、キャリアガスと共に、蒸着ヘッド231より吐出され、基材9上で冷却され析出することで着膜する。
この場合、蒸着ヘッド231から吐出されるキャリアガスの流量および温度により、基材9への着膜効率及び着膜分布が変化する。
蒸発装置3のプロセス条件によらず、蒸着ヘッド231から吐出されるキャリアガスの流量及び温度を一定とする場合には、バイパスキャリアガス流送部8より、マスフローコントローラー374及び熱交換器363で、キャリアガスの流量及び温度を適宜制御して製膜室201に流送することで実施できる。
また、基材9への着膜量を精密にコントロールする場合には、最初は、薄膜形成用材料の蒸気含有ガスを排気バルブ212を通して排気系7に流送し、薄膜形成用材料の蒸発速度安定後に蒸着ヘッド231へ流送する方法が好ましい。
製膜終了後は、材料供給装置331を停止し、適宜バルブを閉めるとよい。
本発明の蒸着装置1及び、前述した蒸着方法をを用いれば、一つの蒸発装置3で複数種類の薄膜形成用材料を用いた共蒸着膜を製膜可能である。また、例えば図3に示した機能層130のような多層積層膜であっても、機能層130を形成する層の種類に応じた数の蒸発装置3を設置すれば、本発明の蒸着装置1台で全ての層を製膜可能である。
このような本発明の蒸着装置として、図1に示す装置を用いて、加熱キャリアガスの温度が450℃、加熱キャリアガス中に含有される薄膜形成材料の濃度が約200μg/sccm、製膜室201内部の圧力が200Pa、基材9の表面温度が70℃、の条件で薄膜を製膜したところ、絶対的な着膜効率が0.6と算出できる蒸着において、ほぼ一定の製膜速度で、繰り返し製膜が可能であり、蒸着装置のメンテナンス前後でも、同一条件なら同一の製膜速度で製膜可能であり、本発明に係るMFCが、蒸気含有ガス流送系を含む蒸着装置であっても、清浄に維持可能であるあることが確認できた。
1.蒸着装置
3.蒸発装置
4.材料供給系
5.材料吐出部
6.ガス供給系
61.常温常圧ガス流送系
62.蒸気含有ガス流送系
7.排気系
9.基材
101.有機EL装置
111.ガラス基板
121.透明電極層
131.機能層
141.裏面電極層
151.封止部
201.製膜室
211.排気バルブ
221.基材保持部
231.蒸着ヘッド
241.ゲートバルブ
301.真空室
311.材料保管容器
331.材料協供給装置
341.(材料供給装置)支持部
351.蒸発室
361.熱交換器
372.ガス加熱機構
371.MFC
373.本発明に係るマスフローコントローラー(MFC)
381.材料導入機構
390.材料捕集機構
395.本発明に係る逆流防止バルブ
401.上部材料移送管
411.下部材料移送管
421.材料上部受け部
431.材料下部受け部
441.材料送受経路
451.材料吐出部
461.材料移送部
471.材料保持部
481.動力伝達機構
491.駆動部
501.仕切りバルブ
511.仕切りバルブ
521.仕切りバルブ
601.駆動側シャフト
611.被駆動側シャフト
701.排気バルブ
711.マスフローコントローラー
721.熱交換器

Claims (7)

  1. 基材を保持可能な基材保持部を備える製膜室、薄膜形成用材料の蒸気を含む蒸気含有ガスを発生させる蒸発室を含み、かつ、該蒸気含有ガスを該製膜室に供給する蒸発装置、ガス供給系、及び排気系を有し、該蒸気含有ガスを基材上に吹き付けることで、該薄膜形成用材料を該基材上に着膜させる蒸着装置であって、
    該ガス供給系が、常温常圧で気体である常温常圧ガスのみの流送を目的とする常温常圧ガス流送系、及びその下流の該蒸発室を含む蒸気含有ガス流送系であって、該蒸気含有ガスを流送する蒸気含有ガス流送系を含み、
    該常温常圧ガス流送系が、マスフローコントローラー(MFC)を含み、さらに
    該MFCの下流に、そのさらに下流の圧力に基づき自動的に閉じる逆流防止バルブを備え、さらに、
    前記常温常圧ガス流送系が、その前記逆流防止バルブの下流側から、前記蒸気含有ガス流送系を介さず、前記排気系により排気可能であり、かつ、
    前記蒸気含有ガス流送系が、その前記蒸発室の下流側から、前記製膜室を介さず、前記排気系により排気可能である、蒸着装置。
  2. 前記常温常圧ガス流送系が、さらに、前記MFCの下流に、前記薄膜形成用材料を捕集する材料捕集機構を備える、請求項1に記載の蒸着装置。
  3. 前記材料捕集機構が、冷却可能な冷却部材により前記捕集し、かつ
    該冷却部材が加熱により前記薄膜形成用材料を放散する、請求項2に記載の蒸着装置。
  4. 前記常温常圧ガス流送系が、さらに、前記MFCの下流に、前記常温常圧ガスを加熱するためのガス加熱機構を備える、請求項3に記載の蒸着装置。
  5. 前記常温常圧ガス流送系が、さらに、前記MFからの下流側に順に、前記薄膜形成用材料を捕集する材料捕集機、前記常温常圧ガスを加熱するためのガス加熱機、及び前記逆流防止バルを備える、請求項4に記載の蒸着装置。
  6. 前記蒸発装置が、さらに、前記蒸発室に前記薄膜形成用材料を供給する材料供給系を含み、
    該材料供給系が、材料保管容器、及び該材料保管容器から前記薄膜形成用材料を受入れ、かつ、吐出により前記蒸発室に前記薄膜形成用材料を該供給する材料吐出部を含む、請求項1~のいずれかに記載の蒸着装置。
  7. 前記蒸発室が、前記ガス供給系より加熱されたキャリアガスを導入可能で有り、かつ、粉体として前記吐出により供給された前記薄膜形成用材料が、該加熱キャリアガスによりフラッシュ蒸発され、該粉体として前記蒸発室の底に滞留しない状態で、前記蒸気化する、請求項に記載の蒸着装置。
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