JP7126801B2 - 潤滑油排出構造 - Google Patents
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Description
変速機構部は、プライマリプーリと、セカンダリプーリと、これらプライマリプーリとセカンダリプーリとに巻き掛けられたベルトと、から構成されており、変速機構部は、収容室を囲む周壁部の内側に設けられている。
自動変速機が車両に搭載された状態での鉛直線方向を基準として、周壁部では、鉛直線方向における下側の領域に、潤滑油の戻し孔が開口している。
この戻し孔は、オイルパン側の空間に連通しており、変速機構部の潤滑、冷却に用いられた潤滑油が、戻し孔を通って、収容室からオイルパン側に戻されるようになっている。
その際に、プライマリプーリやセカンダリプーリの潤滑、冷却に用いられた潤滑油が、収容室の内部に飛散する。そして、収容室の内部に飛散した潤滑油は、周壁部の内周面などを伝って戻し孔が設けられた領域まで自重により到達したのち、戻し孔からオイルパン側に排出される。
しかし、寒冷地での自動変速機の駆動直後のように、潤滑油の温度が低く、潤滑油の流動性が低いときには、潤滑油の戻し孔への到達が遅くなる。そうすると、オイルパン側に戻る潤滑油が不足する場合がある。
そのため、潤滑油の温度が低く、潤滑油の流動性が低いときに、潤滑油をオイルパン側に適切に戻せるようにすることが求められている。
ベルト式の無段変速機の変速機ケースに、変速機構部の収容室を囲む周壁部が、前記収容室を側方に開口させる向きで設けられており、
前記変速機ケースの前記収容室内にはボス部が設けられており、
前記周壁部に、鉛直線方向で前記収容室の下側に位置するオイルパン側の空間と、前記収容室とを連通して、潤滑油の戻し孔が設けられた潤滑油排出構造であって、
前記周壁部では、前記鉛直線方向で前記戻し孔よりも上側に位置する領域に連通孔が設けられており、
前記収容室から前記オイルパン側の空間へ前記連通孔を介して潤滑油が流れ、
前記周壁部では、前記戻し孔と前記連通孔との間に、前記周壁部の内周に沿って前記戻し孔に向かう前記潤滑油の流れを横切る向きで突出壁が設けられ、
前記突出壁は、前記周壁部の内周面から前記収容室の内部に突出し、
前記連通孔側から見て前記ボス部は前記戻し孔よりも手前に配置され、
前記突出壁の先端は前記ボス部よりも高い位置に配置されている構成とした。
これにより、潤滑油の収容室内での滞留時間を短くすることができるので、潤滑油の温度が低く、潤滑油の流動性が低いときであっても、潤滑油を、より短時間でオイルパン側の空間に戻すことができる。
図1は、実施の形態にかかる潤滑油排出構造1を採用した変速機ケース10を説明する図である。図1の(a)は、変速機ケース10を変速機構部15の収容室20側から見た平面図である。図1の(b)は、図1の(a)におけるA-A矢視図であって、変速機ケース10をオイルパン17側から見た平面図である。
変速機構部15では、図示しないエンジンの回転駆動力が、プライマリプーリPaに入力されると、プライマリプーリPaに入力された回転駆動力が、ベルトVを介して、セカンダリプーリPbに伝達されるようになっている。
実施の形態では、自動変速機が車両に搭載された状態での鉛直線VL方向を基準として、プライマリプーリPaとセカンダリプーリPbは、収容室20内の下側と上側にそれぞれ位置している。
この接合面11aには、サイドカバー16(図1の(b)、仮想線参照)の外周縁が、ボルトで固定されるようになっており、周壁部11にサイドカバー16を固定することで、密閉された収容室20が形成される。
各取付部32のオイルパン17側の端面32aには、ボルト孔や油孔が開口している。コントロールバルブ50を貫通させたボルト(図示せず)をボルト孔に螺入して、コントロールバルブ50を取付部32に取り付けると、変速機ケース10側の油路とコントロールバルブ50内の油路とが、油孔を介して連通するようになっている。
この接合面31aには、オイルパン17の外周縁が、ボルトで固定されるようになっている。周壁部31にオイルパン17を固定することで、このオイルパン17の内側に、自動変速機の駆動や潤滑に用いられる潤滑油OLの貯留空間(オイルパン側の空間)が形成されている。
なお、周壁部31の内側のバルブボディ収容室30は、「オイルパン側の空間」の一部を形成している。
さらに、図2の(c)では、収容室20の開口を塞ぐサイドカバー16と、周壁部31の接合面31aと、の合わせ面の位置を、符号Fで示す仮想線で示している。
なお、説明の便宜上、図3の(b)では、周壁部31の紙面手前側の接合面31aに、ハッチングを付して示している。また、戻し孔12と連通孔13の開口を示す領域にもハッチングを付して示している。さらに、コントロールバルブ50とオイルストレーナ51の外形を仮想線で示している。
そのため、プライマリプーリPaとセカンダリプーリPbとが回転軸X1、X2回りに回転しているときに排出される潤滑油OLは、回転による遠心力で回転軸X1、X2の径方向に放出されて、収容室20の内周面に付着する。具体的には、収容室20の底面201(図2の(c)参照)や、周壁部11の内周面11b(図2の(b)参照)に付着する。
そして、収容室20の内周面に付着した潤滑油OLは、収容室20の内周面を伝って、自重により収容室20の下部に向けて移動する。
回転軸X1方向から見てボス部33は、プライマリプーリPaの円弧状の外周を通る接線TLよりも外側で、周壁部11の近傍に位置している。
ここで、接線TLは、プライマリプーリPaからベルトVが離れる位置P1を通る直径線Rと、プライマリプーリPaの外周との交点P2を通る接線である。
図3の(a)に示すように、延出壁40は、ボス部33と、周壁部11のボルト孔111の囲むボルト座部112とに跨がって設けられている。
延出壁40のボルト座部112側には、延出壁40のプライマリプーリPa側(内周側)と周壁部11側(外周側)とを連通する切欠部41が、延出壁40を厚み方向に貫通して設けられている。
突出壁42は、切欠部41を超えて戻し孔12側(図3の(a)における左側)に移動する潤滑油OLの移動を阻害するために、仮想線Lmに直交する向きで、潤滑油OLの移動進路を横切って設けられている。
なお、延出壁40における切欠部41よりもボルト座部112側は、周壁部11の内周を戻し孔12側の下方に向けて移動する潤滑油OLの移動方向を、突出壁42に衝突する方向に変更する誘導壁40aとして機能するようになっている。
この場合には、突出壁42の付近に潤滑油OLが滞留し、滞留した潤滑油OLの量が多くなると、切欠部41から周壁部11側の下方に排出される。
この場合にも、潤滑油OLが切欠部41から周壁部11側の下方に排出される。
前記した戻し孔12は、コントロールバルブ50の上側となる位置に開口しており、コントロールバルブ50は、オイルストレーナ51によりも肉厚、かつ広い面積で形成されている。
そのため、連通孔13からバルブボディ収容室30に排出された潤滑油OLのほうが、戻し孔12からバルブボディ収容室30に排出された潤滑油OLよりも、オイルストレーナ51の吸込口51aに到達するまでの移動距離が短いので、潤滑油OLが、オイルストレーナ51の吸込口51aに、より短時間で到達できるようになっている。
変速機構部15のプライマリプーリPaとセカンダリプーリPbから、収容室20内に放出された潤滑油OLは、収容室20の底面201(図2の(c)参照)や、周壁部11の内周面11b(図2の(b)参照)に付着する。
図3の(a)に示すように、自重により移動する潤滑油OLが、延出壁40が設けられた領域に到達すると、潤滑油OLの移動方向が、誘導壁40aにより突出壁42に衝突する方向に変更される。
そして、誘導壁40aに沿って移動した潤滑油OLが突出壁42に衝突すると、潤滑油OLの移動方向が、突出壁42により反転されて、周壁部11の内周に開口する連通孔13に向かう方向に変更される。
図3の(b)に示すように、オイルパン17側から見て連通孔13は、オイルストレーナ51と重なる位置に設けられている。そのため、連通孔13を通ってバルブボディ収容室30内に排出された潤滑油OLは、オイルストレーナ51の吸込口51aの近傍に速やかに移動できることになる。
そのため、延出壁40が設けられた領域から戻し孔12までの距離と、戻し孔12からオイルストレーナ51の吸込口51aまでの距離の分だけ、移動距離が長くなる。
よって、潤滑油OLの温度が低く、潤滑油OLの流動性が低いときに、潤滑油OLのオイルパン17側への戻り、特にオイルストレーナ51の吸込口51aまでの戻りが悪くなる。
これにより、潤滑油OLの温度が低く、潤滑油OLの流動性が低いときに、潤滑油OLのオイルパン17側への戻り、特にオイルストレーナ51の吸込口51aまでの戻りが悪くなる程度を抑制できる。
(1)ベルト式の無段変速機の変速機ケース10に、変速機構部15の収容室20を囲む周壁部11が、収容室20を側方(プライマリプーリPa、セカンダリプーリPbの回転軸X1、X2に沿う方向)に開口させる向きで設けられており、
周壁部11に、鉛直線VL方向で収容室20の下側に位置するオイルパン17側の空間(バルブボディ収容室30)と、収容室20とを連通して、潤滑油OLの戻し孔12が設けられた潤滑油排出構造1であって、
周壁部11では、鉛直線VL方向で戻し孔12よりも上側に位置する領域に、収容室20とオイルパン17側の空間(バルブボディ収容室30)とを連通する連通孔13が設けられている構成とした。
これにより、潤滑油OLの収容室20内での滞留時間を短くすることができるので、潤滑油OLの温度が低く、潤滑油OLの流動性が低いときであっても、潤滑油OLを、より短時間でバルブボディ収容室30に戻すことができる。
これにより、より多くの潤滑油OLを、連通孔13からバルブボディ収容室30側に戻すことができる。
連通孔13は、延出壁40の周壁部11側で、切欠部41に対向している構成とした。
そして、ある程度の質量のダマになった潤滑油OLは、鉛直線VL方向における下方に移動し易い傾向がある。
そのため、延出壁40の途中に切欠部41を設けて、この切欠部41の下方で連通孔13を開口させることで、ある程度の質量のダマになった潤滑油OLを積極的にバルブボディ収容室30側に排出させることができる。
そうすると、突出壁42で移動が阻害された潤滑油OLに、新たに到達した潤滑油OLのダマが合流すると、大きくなった潤滑油OLのダマが、切欠部41から連通孔13に向けて落下することになる。
よって、流動性が低い潤滑油OLのダマを連通孔13に誘導して、より多くの潤滑油OLを、連通孔13からバルブボディ収容室30側に排出させることができる。
よって、この場合にも、潤滑油OLを、切欠部41から周壁部11側の下方に排出させて、連通孔13からバルブボディ収容室30側に排出させることができる。
これにより、潤滑油OLの温度が低く、潤滑油OLの流動性が低いときに、潤滑油OLのオイルパン17側への戻り、特にオイルストレーナ51の吸込口51aまでの戻りが悪くなる程度を抑制できる。
前記した実施の形態では、ボス部33のプライマリプーリPa側(回転軸X1側)を迂回させて、潤滑油OLを戻し孔12側に誘導するための延出壁40を利用して、潤滑油排出構造1を設けた場合を例示した。
潤滑油排出構造1は、この態様に限定されるものではなく、図4の(a)に示すように、延出壁40が設けられていない場合には、弧状の突出壁43をボス部33に設けた構成の潤滑油排出構造1Aとしても良い。
この場合には、突出壁43を、ボス部33からボルト座部112側に突出させて設けると共に、この突出壁43の曲率半径の大きい面をボルト座部112側に向けることが好ましい。これにより、この突出壁43の先端43a側で潤滑油OLの移動を阻止しつつ、移動を阻止した潤滑油ОLを、連通孔13側に誘導することができる。
この突出壁43と連通孔13とを有する潤滑油排出構造1Aとすることによっても、前記した実施の形態と同様の作用効果が奏されることになる。
この突出壁44と連通孔13とを有する潤滑油排出構造1Bとすることによっても、前記した実施の形態と同様の作用効果が奏されることになる。
10 変速機ケース
11 周壁部
11a 接合面
11b 内周面
12 戻し孔
13 連通孔
15 変速機構部
16 サイドカバー
17 オイルパン
20 収容室
21 周壁部
21a 接合面
30 バルブボディ収容室
31 周壁部
31a 接合面
32 取付部
32a 端面
33 ボス部
40 延出壁
40a 誘導壁
41 切欠部
42、43、44 突出壁
50 コントロールバルブ
51 オイルストレーナ
51a 吸込口
111 ボルト孔
112 ボルト座部
201 底面
Lm 仮想線
OL 潤滑油
Pb セカンダリプーリ
Pa プライマリプーリ
R 直径線
TL 接線
V ベルト
VL 鉛直線
X1 回転軸
X2 回転軸
Claims (3)
- ベルト式の無段変速機の変速機ケースに、変速機構部の収容室を囲む周壁部が、前記収容室を側方に開口させる向きで設けられており、
前記変速機ケースの前記収容室内にはボス部が設けられており、
前記周壁部に、鉛直線方向で前記収容室の下側に位置するオイルパン側の空間と、前記収容室とを連通して、潤滑油の戻し孔が設けられた潤滑油排出構造であって、
前記周壁部では、前記鉛直線方向で前記戻し孔よりも上側に位置する領域に連通孔が設けられており、
前記収容室から前記オイルパン側の空間へ前記連通孔を介して潤滑油が流れ、
前記周壁部では、前記戻し孔と前記連通孔との間に、前記周壁部の内周に沿って前記戻し孔に向かう前記潤滑油の流れを横切る向きで突出壁が設けられ、
前記突出壁は、前記周壁部の内周面から前記収容室の内部に突出し、
前記連通孔側から見て前記ボス部は前記戻し孔よりも手前に配置され、
前記突出壁の先端は前記ボス部よりも高い位置に配置されている、潤滑油排出構造。 - 前記オイルパン側の空間において前記連通孔は、前記戻し孔よりもオイルストレーナの吸込口の近傍で開口している、請求項1に記載の潤滑油排出構造。
- 請求項1において、
前記ボス部は油路を囲っている、潤滑油排出構造。
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