JP7122935B2 - 二酸化炭素検出装置 - Google Patents
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Description
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31,31A,31B)と、
前記イオン伝導体に隣接して形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスにおける空燃比を検出するための空燃比検出電極(311A)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための二酸化炭素検出電極(311B)と、
前記イオン伝導体における、前記空燃比検出電極及び前記二酸化炭素検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312,312A)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に第1電圧(V1)を印加する第1電圧印加部(51A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧よりも高い第2電圧(V2)を印加する第2電圧印加部(51B)と、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出する第1電流検出部(52A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出する第2電流検出部(52B)と、
前記第2電流を前記第1電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置にある。
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31,31A,31B)と、
前記イオン伝導体に隣接して形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられた検出電極(311)と、
前記イオン伝導体における、前記検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312,312A)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記検出電極と前記対向電極との間に、前記排ガスにおける空燃比を検出するための第1電圧(V1)と、前記第1電圧よりも高く前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための第2電圧(V2)とを異なるタイミングで印加する電圧印加部(51)と、
前記検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出するとともに、前記検出電極と前記対向電極との間に前記第2電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出する電流検出部(52)と、
前記第2電流を前記第1電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置にある。
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31)と、
水素プロトンを伝導させるプロトン伝導体(41)と、
前記イオン伝導体と前記プロトン伝導体との間に形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスにおける空燃比を検出するための空燃比検出電極(311A)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための二酸化炭素検出電極(311B)と、
前記イオン伝導体における、前記空燃比検出電極及び前記二酸化炭素検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312)と、を有し、
前記ガス室内に配置された状態で前記プロトン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる水を検出するための水検出電極(411)と、
前記プロトン伝導体における、前記水検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた参照電極(412)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に第1電圧(V1)を印加する第1電圧印加部(51A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧よりも高い第2電圧(V2)を印加する第2電圧印加部(51B)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に前記第1電圧よりも高い第3電圧(V3)を印加する第3電圧印加部(51C)と、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出する第1電流検出部(52A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出する第2電流検出部(52B)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に生じる第3電流(A3)を検出する第3電流検出部(52C)と、
前記第2電流を前記第1電流及び前記第3電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置にある。
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31)と、
水素プロトンを伝導させるプロトン伝導体(41)と、
前記イオン伝導体と前記プロトン伝導体との間に形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられた検出電極(311)と、
前記イオン伝導体における、前記検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312)と、を有し、
前記ガス室内に配置された状態で前記プロトン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる水を検出するための水検出電極(411)と、
前記プロトン伝導体における、前記水検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた参照電極(412)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記検出電極と前記対向電極との間に、前記排ガスにおける空燃比を検出するための第1電圧(V1)と、前記第1電圧よりも高く前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための第2電圧(V2)とを異なるタイミングで印加するイオン電圧印加部(51D)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に前記第1電圧よりも高い第3電圧(V3)を印加するプロトン電圧印加部(51E)と、
前記検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出するとともに、前記検出電極と前記対向電極との間に前記第2電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出するイオン電流検出部(52D)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に生じる第3電流(A3)を検出するプロトン電流検出部(52E)と、
前記第2電流を前記第1電流及び前記第3電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置にある。
第1態様の二酸化炭素検出装置においては、電極間に印加する電圧の値に工夫をし、被毒しやすい性質を有する金属炭酸塩を電極に用いることなく、二酸化炭素濃度の検出を可能にしている。そして、発明者の研究により、排ガスにおける空燃比(A/F)を検出する場合に電極間に印加する電圧に比べて高い電圧を電極間に印加することにより、排ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)が検出されることが見出された。また、二酸化炭素濃度と空燃比との間には相関関係があること、及び電極間に流れる電流は、排ガスにおける二酸化炭素の濃度を受けて変化するだけではなく、排ガスにおける空燃比の影響も受けて変化することが見出された。
第1参考態様の二酸化炭素検出装置においては、空燃比を検出するための空燃比検出電極、対向電極、第1電圧印加部及び第1電流検出部を用いるとともに、二酸化炭素を検出するための二酸化炭素電極、対向電極、第2電圧印加部及び第2電流検出部を用いる。第2電圧印加部によって二酸化炭素検出電極と対向電極との間に印加される第2電圧は、第1電圧印加部によって空燃比検出電極と対向電極との間に印加される第1電圧に比べて高い。
第2参考態様の二酸化炭素検出装置においては、空燃比及び二酸化炭素濃度を検出するために共通の検出電極及び対向電極を用いる。また、検出電極と対向電極との間に異なるタイミングで第1電圧及び第2電圧を印加することができる電圧印加部と、第1電流及び第2電流のいずれも検出することができる電流検出部とを用いる。その他の構成は、第1参考態様の二酸化炭素検出装置と同様である。
第3及び第4態様の二酸化炭素検出装置においては、発明者の研究により、二酸化炭素検出電極と対向電極との間に流れる電流は、排ガスにおける二酸化炭素の濃度を受けて変化するだけではなく、排ガスにおける空燃比の影響及び排ガスに含まれる水(H2O)の影響も受けて変化することが見出された。
第4態様の二酸化炭素検出装置においても、空燃比及び二酸化炭素濃度を検出するために共通の検出電極及び対向電極を用いる。また、検出電極と対向電極との間に異なるタイミングで第1電圧及び第2電圧を印加することができる電圧印加部と、第1電流及び第2電流のいずれも検出することができる電流検出部とを用いる。その他の構成は、第3態様の二酸化炭素検出装置と同様である。
<参考実施形態1>
本形態の二酸化炭素検出装置1は、図1~図3に示すように、内燃機関から排気される排ガスGに晒されるセンサ素子2と、センサ素子2に電気的に接続された制御ユニット5とを備える。センサ素子2は、イオン伝導体31、ガス室35、基準ガスダクト36、空燃比検出電極311A、二酸化炭素検出電極311B、対向電極としての基準電極312及び発熱体34を有する。
二酸化炭素検出装置1は、車両の内燃機関(エンジン)の排気管等に配置され、排気管を流れる排ガスGにおける二酸化炭素を検出するために用いられる。二酸化炭素は、内燃機関において燃焼が行われた後に排ガスGに排気される。二酸化炭素検出装置1によって検出される、排ガスにおける二酸化炭素濃度は、種々の用途に利用することができる。例えば、内燃機関において、温暖化規制(温室効果ガス規制)がどれだけなされているかを知るために二酸化炭素検出装置1を使用することができる。
図1~図3に示すように、センサ素子2は、長尺形状に形成されており、空燃比検出電極311A、二酸化炭素検出電極311B、基準電極312、ガス室35、拡散抵抗部32及び発熱体34の発熱部341は、センサ素子2の長尺方向Lの先端側L1の部位に配置されている。センサ素子2の長尺方向Lの先端側L1の部位には、空燃比検出電極311A、二酸化炭素検出電極311B及び基準電極312と、これらの電極311A,311B,312の間に挟まれたイオン伝導体31の部分とによる検知部21が形成されている。
図1~図3に示すように、センサ素子2は、各電極311A,311B,312及びイオン伝導体31における、各電極311A,311B,312に挟まれた部分を加熱するための発熱体34を有する。発熱体34は、通電によって発熱する発熱部341と、発熱部341の、長尺方向Lの後端側L1に繋がる一対の発熱体リード部342とを有する。発熱部341は、直線部分及び曲線部分によって蛇行する線状の導体部によって形成されている。本形態の発熱部341の直線部分は、長尺方向Lに平行に形成されている。発熱体リード部342は、直線状の導体部によって形成されている。発熱部341の単位長さ当たりの抵抗値は、発熱体リード部342の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きい。発熱体リード部342は、長尺方向Lの後端側L2の部位まで引き出されている。発熱体34は、導電性を有する金属材料を含有している。
図1及び図2に示すように、絶縁体33A,33Bには、イオン伝導体31の第1主面301の側に積層された第1絶縁体33Aと、イオン伝導体31の第2主面302の側に積層された第2絶縁体33Bとがある。第1絶縁体33Aは、ガス室35を形成するものであり、第2絶縁体33Bは、基準ガスダクト36を形成するとともに発熱体34を埋設するものである。第1絶縁体33A及び第2絶縁体33Bは、アルミナ(酸化アルミニウム)等の金属酸化物によって形成されている。各絶縁体33A,33Bは、排ガスG又は基準ガスAが透過することができない緻密体として形成されており、各絶縁体33A,33Bには、気体が通過することができる気孔がほとんど形成されていない。
図1、図2及び図4に示すように、制御ユニット5は、センサ素子2を含むセンサ本体部に電気的に接続されるセンサコントロールユニット(SCU)50と、内燃機関(エンジン)の動作を制御するとともにセンサコントロールユニット50と通信を行うエンジンコントロールユニット(ECU)55とによって構成されている。センサ素子2には、センサコントロールユニット50が接続されている。
図1、図2及び図4に示すように、第1電圧印加部51Aは、基準電極312の電位が空燃比検出電極311Aの電位よりも高くなる状態で、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間に第1電圧V1を印加する。第1電圧V1は、拡散抵抗部32によってガス室35に導入される排ガスGの流量が制限されることによって、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間に印加される電圧が変化しても、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間に流れる電流が変化しない限界電流特性を示す電圧の範囲内の電圧値として設定されている。限界電流特性を示す電圧の範囲内においては、排ガスGにおける酸素濃度の変化に伴う酸素イオンの移動量に応じた第1電流A1が出力される。第1電圧V1は、例えば、0.2~0.6Vの範囲内に設定することができる。
以下に示す電圧-電流曲線の説明においては、イオン伝導体31における、排ガスGに晒される電極311と、イオン伝導体31における、基準ガスAに晒される電極との間に印加する電圧を変化させたときに、これらの電極間に生じる電流の変化を示す。また、排ガスGにおける二酸化炭素(CO2)濃度が、0体積%である場合、3.3体積%である場合、及び6.6体積%である場合について、電圧と電流の関係を示す。
図5には、排ガスGにおける酸素(O2)濃度が0(ゼロ)体積%である場合に、一対の電極間に印加される電圧と、一対の電極間から検出される電流との関係について、電圧-電流曲線によって示す。この場合に、印加される電圧が0.15V程度~0.7V程度であるときには、限界電流特性が得られ、検出される電流は、ほぼ0mAとして一定になる。また、この場合に、二酸化炭素濃度が0体積%であるときには、検出される電流はほぼ0mAである一方、印加される電圧が0.75V程度以上であるときには、二酸化炭素濃度が高くなるにつれて、検出される電流が多くなる。
また、図6には、排ガスGにおける酸素濃度が1.5体積%である場合に、一対の電極間に印加される電圧と、一対の電極間から検出される電流との関係について、電圧-電流曲線によって示す。この場合に、印加される電圧が0.2V程度~0.8V程度であるときには、限界電流特性が得られ、検出される電流は、ほぼ0.125mAとして一定になる。また、この場合に、二酸化炭素濃度が0体積%であるときには、検出される電流はほぼ0.125mAである一方、印加される電圧が0.85V程度以上であるときには、二酸化炭素濃度が高くなるにつれて、検出される電流が多くなる。
また、図7には、排ガスGにおける未燃ガスとしてのプロパン(C3H8)の濃度が1体積%である場合に、一対の電極間に印加される電圧と、一対の電極間から検出される電流との関係について、電圧-電流曲線によって示す。この場合に、印加される電圧が0.1V程度~0.6V程度であるときには、限界電流特性が得られ、検出される電流は、-0.3mA付近としてほぼ一定になる。また、この場合に、印加される電圧が0.7V程度以上であるときには、二酸化炭素濃度が高くなるにつれて、検出される電流が多くなる。
図8には、空燃比を決定するための酸素濃度又は未燃ガス濃度が変化したときの、二酸化炭素濃度と、第2電流検出部52Bによって検出される第2電流A2との関係について示す。排ガスGにおける二酸化炭素濃度は、0体積%、3.3体積%又は6.6体積%に変化させた。また、第2電圧印加部51Bによって二酸化炭素検出セル3Bに印加する第2電圧V2は0.9Vとした。同図においては、酸素濃度が0体積%、換言すれば排ガスGの空燃比が理論空燃比である場合、酸素濃度が1.5体積%、換言すれば排ガスGの空燃比が燃料リーンの状態にある場合、又は未燃ガスとしてのプロパン濃度が1体積%、換言すれば排ガスGの空燃比が燃料リッチの状態である場合をパラメータ(媒介変数)として、二酸化炭素濃度と第2電流A2との関係を求めている。
図9には、空燃比を決定するための酸素濃度又は未燃ガス濃度が変化したときの、二酸化炭素濃度と、第1電流検出部52Aによって検出される第1電流A1との関係について示す。排ガスGにおける二酸化炭素濃度は、0体積%、3.3体積%又は6.6体積%に変化させた。また、第1電圧印加部51Aによって二酸化炭素検出セル3Bに印加する第1電圧V1は0.4Vとした。同図においては、酸素濃度が0体積%、酸素濃度が1.5体積%である場合をパラメータとして、二酸化炭素濃度と第1電流A1との関係を求めている。
図10には、濃度算出部53によって補正後の二酸化炭素濃度を算出する場合、換言すれば、濃度算出部53によって第2電流A2から第1電流A1を差し引く補正を行う場合を示す。図10は、二酸化炭素濃度と、図8に示す二酸化炭素検出セル3Bにおける第2電流A2から、図9に示す空燃比検出セル3Aにおける第1電流A1を差し引いた補正後電流A0との関係を示す。補正後の二酸化炭素濃度は、補正後電流A0によって示される。
濃度算出部53は、第1電流A1をパラメータとする、第2電流A2と排ガスGにおける二酸化炭素濃度との関係が記憶された関係マップを利用することもできる。関係マップは、第1電流A1の大きさに応じて、第2電流A2と二酸化炭素濃度との関係グラフ、関係式等が変化するように予め求められたものとすることができる。関係マップは、第1電流A1を変化させたときの、第2電流A2と二酸化炭素濃度との関係として測定を行って求めることができる。この場合には、濃度算出部53は、第1電流検出部52Aによる第1電流A1及び第2電流検出部52Bによる第2電流A2を関係マップに照合し、関係マップに基づいて排ガスGにおける二酸化炭素の濃度を算出する。
図12に示すように、排ガスGにおける二酸化炭素濃度の検出を行う際には、センサコントロールユニット50は、発熱体34に通電を行って、各電極311A,311B,312及びイオン伝導体31が活性温度に維持されるように、これらを加熱する(ステップS1)。次いで、センサコントロールユニット50は、第1電圧印加部51Aによって、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間(空燃比検出セル3A)に第1電圧V1を印加するとともに、第2電圧印加部51Bによって、二酸化炭素検出電極311Bと基準電極312との間(二酸化炭素検出セル3B)に第2電圧V2を印加する(ステップS2)。このとき、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間には、排ガスGにおける空燃比に応じた電流が生じる。また、このとき、二酸化炭素検出電極311Bと基準電極312との間には、排ガスGにおける空燃比及び二酸化炭素濃度に応じた電流が生じる。また、センサコントロールユニット50は、第1電圧印加部51Aによる第1電圧V1の印加、及び第2電圧印加部51Bによる第2電圧V2の印加を継続する。
本形態の二酸化炭素検出装置1においては、電極311A,311B,312間に印加する電圧の値に工夫をし、被毒しやすい性質を有する金属炭酸塩を電極311Bに用いることなく、二酸化炭素濃度の検出を可能にしている。具体的には、排ガスGにおける空燃比を検出する場合に空燃比検出電極311Aと基準電極312との間に印加する限界電流特性を示す電圧の範囲内よりも高い第2電圧V2を二酸化炭素検出電極311Bと基準電極312との間に印加し、この電極311B,312間に流れる第2電流A2に基づいて排ガスGに含まれる二酸化炭素を検出する。また、二酸化炭素検出電極311Bと基準電極312との間に流れる第2電流A2には、排ガスGにおける空燃比に応じて変化する電流も含まれる。そこで、濃度算出部53によって、二酸化炭素濃度及び空燃比を示す第2電流A2から、空燃比を示す第1電流A1を差し引いて、排ガスGにおける二酸化炭素濃度を算出する。第2電流A2から第1電流A1を差し引くことにより、空燃比の変化が二酸化炭素濃度の検出に与える影響を緩和することができる。
本形態の二酸化炭素検出装置1は、図13~図15に示すように、センサ素子2及び制御ユニット5の構成が参考実施形態1の場合と異なるものである。本形態のセンサ素子2は、ガス室35内に配置された状態でイオン伝導体31の第1主面301に設けられた検出電極311と、イオン伝導体31の第2主面302に設けられた基準電極312とを有する。検出電極311及び基準電極312は、異なるタイミングで空燃比又は二酸化炭素濃度を検出するために用いる。検出電極311、基準電極312、及びこれらの電極311,312の間に挟まれたイオン伝導体31の部分によって、検出セル3が形成されている。本形態のセンサ素子2のイオン伝導体31、ガス室35、基準ガスダクト36、発熱体34、絶縁体33A,33Bの構成は、参考実施形態1の場合と同様である。
図16に示すように、排ガスGにおける二酸化炭素濃度の検出を行う際には、センサコントロールユニット50は、発熱体34に通電を行って、各電極311,312及びイオン伝導体31が活性温度に維持されるように、これらを加熱する(ステップS11)。次いで、センサコントロールユニット50は、電圧印加部51によって、検出電極311と基準電極312との間(検出セル3)に第1電圧V1を印加し、電流検出部52によって、検出電極311と基準電極312との間(検出セル3)に生じる第1電流A1を検出する(ステップS12)。第1電流A1は、排ガスGにおける空燃比に応じた値として検出される。
本形態の二酸化炭素検出装置1においては、使用する電極311,312、電圧印加部51及び電流検出部52の数を減らすことができる。そして、二酸化炭素検出装置1のセンサ素子2及び制御ユニット5の構成を簡単にすることができる。本形態の二酸化炭素検出装置1によっても、参考実施形態1の二酸化炭素検出装置1と同様にして、二酸化炭素の検出精度を高く維持することができる。
本形態の二酸化炭素検出装置1は、図17~図19に示すように、二酸化炭素濃度の検出において、空燃比の変化を加味した補正を行うだけでなく、排ガスGに含まれる水(H2O)濃度の変化も加味した補正も行う。センサ素子2及び制御ユニット5の主な構成は、参考実施形態1における構成に対して、水濃度を検出するための構成が追加されたものである。
本形態の電圧-電流曲線の説明においても、イオン伝導体31における、排ガスGに晒される電極と、イオン伝導体31における、基準ガスAに晒される電極との間に印加する電圧を変化させたときに、これらの電極間に生じる電流の変化を示す。また、排ガスGにおける二酸化炭素濃度が、0体積%である場合、3.3体積%である場合、及び6.6体積%である場合について、電圧と電流の関係を示す。
図20には、排ガスGにおける水濃度が10体積%である場合に、一対の電極間に印加される電圧と、一対の電極間から検出される電流との関係について、電圧-電流曲線によって示す。この場合に、印加される電圧が0.15V程度~0.65V程度であるときには、限界電流特性が得られ、検出される電流は、ほぼ0mAとして一定になる。また、この場合に、印加される電圧が0.7V程度以上であるときには、二酸化炭素濃度が高くなるにつれて、検出される電流が多くなる。なお、排ガスGにおける酸素濃度は0体積%としている。
図21には、排ガスGにおける水濃度が変化したときの、二酸化炭素濃度と、第2電流検出部52Bによって検出される第2電流A2との関係について示す。排ガスGにおける二酸化炭素濃度は、0体積%、3.3体積%又は6.6体積%に変化させた。また、第2電圧印加部51Bによって二酸化炭素検出セル3Bに印加する第2電圧V2は0.9Vとした。同図においては、水濃度が0体積%、又は水濃度が10体積%である場合をパラメータ(媒介変数)として、二酸化炭素濃度と第2電流A2との関係を求めている。なお、排ガスGにおける酸素濃度は0体積%としている。
図22には、排ガスGにおける水濃度が変化したときの、二酸化炭素濃度と、第3電流検出部52Cによって検出される第3電流A3との関係について示す。排ガスGにおける二酸化炭素濃度は、0体積%、3.3体積%又は6.6体積%に変化させた。また、第3電圧印加部51Cによって水検出セル4に印加する第3電圧V3は0.9Vとした。同図においては、水濃度が0体積%又は10体積%である場合をパラメータとして、二酸化炭素濃度と第3電流A3との関係を求めている。なお、排ガスGにおける酸素濃度は0体積%としている。
図23には、濃度算出部53によって補正後の二酸化炭素濃度を算出する場合、換言すれば、濃度算出部53によって第2電流A2から第1電流A1及び第3電流A3を差し引く補正を行う場合を示す。図23は、排ガスGにおける酸素濃度が0体積%である場合において、二酸化炭素濃度と、図21に示す二酸化炭素検出セル3Bにおける第2電流A2から、図22に示す水検出セル4における第3電流A3を差し引いた補正後電流A0との関係を示す。補正後の二酸化炭素濃度は、補正後電流A0によって示される。
濃度算出部53は、第1電流A1及び第3電流A3をパラメータとする、第2電流A2と排ガスGにおける二酸化炭素濃度との関係が記憶された関係マップを利用することもできる。関係マップは、第1電流A1及び第3電流A3の大きさに応じて、第2電流A2と二酸化炭素濃度との関係グラフ、関係式等が変化するように予め求められたものである。関係マップは、第1電流A1を変化させたときの第2電流A2と二酸化炭素濃度との関係の測定、及び第3電流A3を変化させたときの第2電流A2と二酸化炭素濃度との関係の測定を行い、これらの測定結果を複合して求めることができる。この場合には、濃度算出部53は、第1電流検出部52Aによる第1電流A1、第2電流検出部52Bによる第2電流A2及び第3電流検出部52Cによる第3電流A3を関係マップに照合し、関係マップに基づいて排ガスGにおける二酸化炭素の濃度を算出する。
図25に示すように、排ガスGにおける二酸化炭素濃度の検出を行う際には、センサコントロールユニット50は、発熱体34に通電を行って、各電極311A,311B,312,411,412、イオン伝導体31及びプロトン伝導体41が活性温度に維持されるように、これらを加熱する(ステップS21)。次いで、センサコントロールユニット50は、第1電圧印加部51Aによって、空燃比検出電極311Aと基準電極312との間(空燃比検出セル3A)に第1電圧V1を印加するとともに、第2電圧印加部51Bによって、二酸化炭素検出電極311Bと基準電極312との間(二酸化炭素検出セル3B)に第2電圧V2を印加し、かつ第3電圧印加部51Cによって、水検出電極411と参照電極412との間(水検出セル4)に第3電圧V3を印加する(ステップS22)。このとき、水検出電極411と参照電極412との間には、排ガスGにおける水濃度に応じた電流が生じる。また、センサコントロールユニット50は、第1電圧印加部51Aによる第1電圧V1の印加、第2電圧印加部51Bによる第2電圧V2の印加、及び第3電圧印加部51Cによる第3電圧V3の印加を継続する。
本形態の二酸化炭素検出装置1においても、電極311A,311B,312,411,412間に印加する電圧の値に工夫をし、被毒しやすい性質を有する金属炭酸塩を電極311Bに用いることなく、二酸化炭素濃度の検出を可能にしている。
本形態の二酸化炭素検出装置1は、図26~図28に示すように、センサ素子2及び制御ユニット5の構成が実施形態3の場合と異なるものである。本形態のセンサ素子2は、参考実施形態2の場合と同様に、ガス室35内に配置された状態でイオン伝導体31の第1主面301に設けられた検出電極311と、イオン伝導体31の第2主面302に設けられた基準電極312とを有する。検出電極311及び基準電極312は、異なるタイミングで空燃比又は二酸化炭素濃度を検出するために用いる。本形態のセンサ素子2のイオン伝導体31、ガス室35、基準ガスダクト36、発熱体34、絶縁体33A,33B、33Cの構成は、参考実施形態1及び実施形態3の場合と同様であり、プロトン伝導体41、水検出電極411及び参照電極412の構成は、実施形態3の場合と同様である。
図29に示すように、排ガスGにおける二酸化炭素濃度の検出を行う際には、センサコントロールユニット50は、発熱体34に通電を行って、各電極311A,311B,312,411,412、イオン伝導体31及びプロトン伝導体41が活性温度に維持されるように、これらを加熱する(ステップS31)。次いで、センサコントロールユニット50は、イオン電圧印加部51Dによって、検出電極311と基準電極312との間(検出セル3)に第1電圧V1を印加し、イオン電流検出部52Dによって、検出電極311と基準電極312との間に生じる第1電流A1を検出する(ステップS32)。第1電流A1は、排ガスGにおける空燃比に応じた値として検出される。
本形態の二酸化炭素検出装置1においては、使用する電極311,312,411,412、電圧印加部51D,51E及び電流検出部52D,52Eの数を減らすことができる。そして、実施形態3の場合と比べて、二酸化炭素検出装置1のセンサ素子2及び制御ユニット5の構成を簡単にすることができる。本形態の二酸化炭素検出装置1によっても、実施形態3の二酸化炭素検出装置1と同様にして、二酸化炭素の検出精度をさらに高く維持することができる。
本形態は、図30及び図31に示すように、2つのイオン伝導体31A,31Bを有するとともに基準ガスダクト36を有しないセンサ素子2を用いて、二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素検出装置1を構成する場合について示す。本形態のセンサ素子2は、空燃比検出電極311A及び二酸化炭素検出電極311Bが設けられた第1イオン伝導体31Aと、起電力検出電極311Cが設けられた第2イオン伝導体31Bとを有する。第1イオン伝導体31Aと第2イオン伝導体31Bとの間には、拡散抵抗部32を介して排ガスGが導入されるガス室35が形成されている。空燃比検出電極311A及び二酸化炭素検出電極311Bと起電力検出電極311Cとは、ガス室35内に配置されている。
2 センサ素子
31 イオン伝導体
311A 空燃比検出電極
311B 二酸化炭素検出電極
312,312A 基準電極(対向電極)
41 プロトン伝導体
411 水検出電極
412 参照電極
5 制御ユニット
Claims (7)
- 内燃機関から排気される排ガス(G)に晒されるセンサ素子(2)と、前記センサ素子に電気的に接続された制御ユニット(5)と、を備える二酸化炭素検出装置(1)において、
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31)と、
水素プロトンを伝導させるプロトン伝導体(41)と、
前記イオン伝導体と前記プロトン伝導体との間に形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスにおける空燃比を検出するための空燃比検出電極(311A)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための二酸化炭素検出電極(311B)と、
前記イオン伝導体における、前記空燃比検出電極及び前記二酸化炭素検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312)と、を有し、
前記ガス室内に配置された状態で前記プロトン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる水を検出するための水検出電極(411)と、
前記プロトン伝導体における、前記水検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた参照電極(412)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に第1電圧(V1)を印加する第1電圧印加部(51A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧よりも高い第2電圧(V2)を印加する第2電圧印加部(51B)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に前記第1電圧よりも高い第3電圧(V3)を印加する第3電圧印加部(51C)と、
前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出する第1電流検出部(52A)と、
前記二酸化炭素検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出する第2電流検出部(52B)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に生じる第3電流(A3)を検出する第3電流検出部(52C)と、
前記第2電流を前記第1電流及び前記第3電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置。 - 前記第1電圧は、前記拡散抵抗部によって前記ガス室に導入される前記排ガスの流量が制限されることによって、前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に印加される電圧が変化しても、前記空燃比検出電極と前記対向電極との間に流れる電流が変化しない限界電流特性を示す電圧の範囲内の電圧値として設定されており、
前記第2電圧及び第3電圧は、前記限界電流特性を示す電圧の範囲内よりも高い電圧値として設定されている、請求項1に記載の二酸化炭素検出装置。 - 内燃機関から排気される排ガス(G)に晒されるセンサ素子(2)と、前記センサ素子に電気的に接続された制御ユニット(5)と、を備える二酸化炭素検出装置(1)において、
前記センサ素子は、
酸素イオンを伝導させる1つ又は複数のイオン伝導体(31)と、
水素プロトンを伝導させるプロトン伝導体(41)と、
前記イオン伝導体と前記プロトン伝導体との間に形成され、拡散抵抗部(32)を介して排ガスが導入されるガス室(35)と、
前記ガス室内に配置された状態で前記イオン伝導体に設けられた検出電極(311)と、
前記イオン伝導体における、前記検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた対向電極(312)と、を有し、
前記ガス室内に配置された状態で前記プロトン伝導体に設けられ、前記排ガスに含まれる水を検出するための水検出電極(411)と、
前記プロトン伝導体における、前記水検出電極が設けられた表面と反対側の表面に設けられた参照電極(412)と、を有し、
前記制御ユニットは、
前記検出電極と前記対向電極との間に、前記排ガスにおける空燃比を検出するための第1電圧(V1)と、前記第1電圧よりも高く前記排ガスに含まれる二酸化炭素を検出するための第2電圧(V2)とを異なるタイミングで印加するイオン電圧印加部(51D)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に前記第1電圧よりも高い第3電圧(V3)を印加するプロトン電圧印加部(51E)と、
前記検出電極と前記対向電極との間に前記第1電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第1電流(A1)を検出するとともに、前記検出電極と前記対向電極との間に前記第2電圧が印加されたときに、前記検出電極と前記対向電極との間に生じる第2電流(A2)を検出するイオン電流検出部(52D)と、
前記水検出電極と前記参照電極との間に生じる第3電流(A3)を検出するプロトン電流検出部(52E)と、
前記第2電流を前記第1電流及び前記第3電流によって補正することを利用して、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出する濃度算出部(53)と、を有する、二酸化炭素検出装置。 - 前記第1電圧は、前記拡散抵抗部によって前記ガス室に導入される前記排ガスの流量が制限されることによって、前記検出電極と前記対向電極との間に印加される電圧が変化しても、前記検出電極と前記対向電極との間に流れる電流が変化しない限界電流特性を示す電圧の範囲内の電圧値として設定されており、
前記第2電圧及び前記第3電圧は、前記限界電流特性を示す電圧の範囲内よりも高い電圧値として設定されている、請求項3に記載の二酸化炭素検出装置。 - 前記センサ素子は、
1つの前記イオン伝導体と、
前記イオン伝導体における、前記ガス室が形成された側と反対側に隣接して形成され、基準ガス(A)が導入される基準ガスダクト(36)と、を有しており、
前記対向電極は、前記基準ガスダクト内に配置された基準電極(312)である、請求項1~4のいずれか1項に記載の二酸化炭素検出装置。 - 前記濃度算出部は、前記第2電流から前記第1電流及び前記第3電流を差し引いた値に基づいて、前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出するよう構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の二酸化炭素検出装置。
- 前記濃度算出部は、前記第1電流及び前記第3電流をパラメータとする、前記第2電流と前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度との関係が記憶された関係マップ(M2)を有し、かつ、前記第1電流、前記第2電流及び前記第3電流を前記関係マップに照合し、前記関係マップに基づいて前記排ガスにおける二酸化炭素の濃度を算出するよう構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の二酸化炭素検出装置。
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