JP2016138894A - 被測定流体のイオン濃度を測定するためのシステム、装置及び方法 - Google Patents

被測定流体のイオン濃度を測定するためのシステム、装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】応答速度が速く、製造が容易なNOxセンサを提供する。
【解決手段】測定チャンバ1402、一次電気化学セルシステム1404及び二次電気化学セルシステム1406を備えるイオン濃度センサ1400で、イオン濃度センサの動作の間、一次ポンプ電流1412は、第1の一次ポンプ定電流と第2の一次ポンプ定電流との間で変化し、一次イオンフロー1408を変更する。二次ポンプ電流1414は、第1の出力信号1416と第2の出力信号1418との間の関係に基づいて、第1の二次ポンプ定電流と、第2の二次ポンプ定電流との間で変化する。二次ポンプ電流を制御する制御信号のデューティサイクルは、窒素酸化物(NOx)濃度を示し、第1の出力信号1416は、酸素濃度を示し、第2の出力信号1418は、NOxを酸素及び窒素に触媒的に還元した結果の酸素濃度を示す。
【選択図】図14

Description

本出願は、2003年1月30日に出願された米国仮出願番号60/443,628号、発明の名称、「System, Apparatus, And Method For Measuring An Oxygen Concentration Of A Gas」の優先権を主張する、2003年11月1日に出願され、現在米国特許番号6,978,655号が付与されている米国特許出願番号10/699,182号、発明の名称、「System, Apparatus, And Method For Measuring An Oxygen Concentration Of A Gas」の分割出願である、2005年10月5日に出願され、現在、米国特許番号7,249,489号が付与されている、米国特許出願番号11/244,210号、発明の名称、「System, Apparatus, And Method For Measuring An Oxygen Concentration Of A Gas」の一部継続(CIP)出願である、2007年6月25日に出願された米国特許出願番号11/767,629号、発明の名称、「System, Apparatus, And Method For Measuring An Ion Concentration Of A Fluid」の一部継続(CIP)出願である。これらの文献の全体は、引用によって本願に援用される。また、本出願は、全体が引用によって本願に援用される、2007年6月8日に出願された、米国仮出願番号60/942,781号、発明の名称、「Pulse Width Modulation Wideband Ion Sensor」の優先権を主張する。
本発明は、包括的には、イオンセンサに関し、詳しくは、被測定流体のイオン濃度を監視するための装置、システム及び方法に関する。
広帯域イオンセンサは、流体内で特定のイオンの濃度を測定するために使用されており、流体は、気体であっても液体であってもよい。広帯域気体イオンセンサの一般的な使用例としては、混合気体内の酸素濃度を判定(determine)するために酸素センサを使用することが含まれる。気体イオンセンサの他の具体例としては、気体の窒素酸化物を感知する窒素センサが含まれる。従来の多くの内燃機関は、酸素センサを用いて、内燃機関の排気の混合気(air to fuel mixture)を判定する。従来の内燃機関は、通常、演算デバイス、例えば、エンジン吸気流量に応じてエンジン吸気口への燃料を計量する電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)を用いる電子燃料制御(electronic fueling control)を組み込んでいる。通常、燃料の量は、排気ガスの排出が最小化され、全ての燃料が完全に燃焼するように調整される。完全燃焼のための空気対燃料の理論的な比率は、ガソリンの重量で14.7であり、これを理論空燃比(ストイキオメトリ:stoichiometric ratio)と呼ぶ。理論的には、全ての使用可能な燃料が全ての吸気と理論空燃比で結合する。理論空燃比に近い領域における実際の空燃比の値を表す単位として、ラムダ(λ)が使用されることが多い。従来の電子燃料システムは、通常、排気の酸素濃度を測定する酸素センサを排気側に備える。これらの酸素センサは、排気内の未燃炭化水素を大気酸素と結合することによって出力電圧を生成する燃料セルとして機能する。これにより、ラムダ/出力伝達曲線が得られ、ここで、1.0のλは、0.45Vの出力電圧に対応する。燃料制御システムは、酸素センサを用いて燃料を調整し、帰還ループを用いて、中負荷条件でλが1.0となるようにする。しかしながら、λが1.0の場合、典型的な酸素センサの伝達曲線は、非常に急峻であり、λの僅かな変動によって、出力電圧に重大な変動が生じる。したがって、測定された電圧は、他のλ値を測定するためには、使用することができない。高負荷条件では、典型的な内燃機関は、1より小さいラムダ値(0.75〜0.85)で最大出力を生成する。従来のECUシステムは、これらの条件下では、「開ループ」モードで動作し、この場合、注入された燃料の体積は、フィードバックなしで吸入空気質量を燃料質量に関連付ける予め保存されているマップのみから導出される。エンジンの経年変化及び製造時のばらつきによって、エンジンの実際の空燃比は変化するので、予め保存された条件は、特定のエンジンについては、常に正しいというわけではない。この結果、従来のシステムには、高負荷条件のときに深刻な非効率が発生するおそれがあるという制約がある。他の多くの広帯域イオンセンサも同様の短所を有している。
エンジン技術における近年の幾つか発展によって、1より大きい(最大1.1)ラムダ比で動作し、燃料の消費を最小化し、特別な触媒コンバータを用いて、排出を最小化する「希薄燃焼(lean-burn:リーンバーン)」システムが生み出された。通常のラムダセンサは、これらのラムダの範囲では使用できないので、「広帯域」又は汎用排気酸素(Universal Exhaust Gas Oxygen:UEGO)センサが開発された。UEGOセンサは、排気流に開かれたオリフィスを有する小さい測定チャンバと、標準の酸素センサ(ネルンストセル)と、ポンプセルとを組み合わせて構成されている。ポンプセルは、大気と測定チャンバとの間で酸素を移動させることができる多孔質セラミックの固体デバイスである。ポンプセルを流れる電流(多くの場合、ポンプ電流と呼ばれる。)の方向及び大きさは、酸素イオンの方向及び流量を決定する。従来のシステムには、デバイスの酸素センサ部分の電圧が理論空燃比電圧(stoichiometric voltage)に維持されるように、能動帰還ループが組み込まれている。そして、ポンプ電流を用いて、自由空気の比率を上限とする広範囲に亘る比率に亘って、λ値を決定することができる。
図1Aは、ポンプ電流とラムダ(λ)との間の典型的な関係のグラフ図である。図1Aに示すように、ポンプ電流対ラムダ値(λ)を表す曲線は、非線形である。曲線形状は変化しないが、センサの製造公差によって、ポンプ電流対ラムダ(λ)は、異なる大きさになる(すなわち、曲線がシフトする)。このような変動を補償する試みには、測定セルセンサへのコネクタに較正抵抗器を組み込む手法が含まれる。しかしながら、このような試みによる解決策では、全ての変動を解決できない。また、気圧と排気圧もラムダ/ポンプ電流の関係に影響を及ぼす。したがって、これらのセンサの出力は、正確ではない。したがって、上述した全ての変動について、自己較正及び自己補償を行う酸素センサのための測定方法を実現することが望ましい。
また、ポンプ電流対ラムダ曲線は、温度にも強く依存している。典型的なUEGOセンサは、センサを所望の動作温度に維持するヒータ素子を含む。ヒータ素子の温度係数は、抵抗値の変化(ΔR)を温度の変化(ΔT)で割った値である。従来の技術では、温度ヒータ素子の正の温度係数を用いて、ヒータ素子を定電圧で動作させることによって、入力を調整している。温度係数R/Tは、動作温度ではかなり小さく、この結果の温度調整は、正確ではない。ポンプセルインピーダンス、ネルンストセルインピーダンス又はこれらの両方は、センサに応じて、遙かに大きい温度係数R/Tを有し、したがって、これらによってより正確な温度制御が可能になる。ポンプセルの温度を制御することは、より有益である。しかしながら、1に近いラムダ値では、ポンプ電流は、非常に小さいか、ゼロであり、低電流では、ポンプセルインピーダンスを正確に測定できない。ネルンストセルは、通常、ポンプセルに物理的に接合され、したがって、ネルンストセルとポンプセルの温度の差は小さい。ネルンストセルインピーダンスを測定するためには、既知の固定電流又は既知の固定電圧をネルンストセルに印加し、そして、この結果の電圧又は電流を測定する必要がある。これに代えて、小さな交流(AC)電圧又は電流をネルンストセルに印加し、この結果のACインピーダンスを測定してもよい。第1の手法では、しばらくの間、ラムダ測定を停止する必要があり、また、回復を速めるために、ネルンストセルに逆の電圧を印加する必要がある。第2の手法は、測定には干渉しないが、測定信号からAC電圧又は電流を取り除くローパスフィルタが必要である。また、フィルタは、より高い信号周波数をも除去し、この結果、短い過渡応答が検出できなくなる。何れの手法も、ネルンストセルの温度を測定できるが、ポンプセルの温度は測定できない。動作の間、ポンプセルとネルンストセルとの間に温度勾配が発生し、幾らかの温度制御エラーが生じることがある。したがって、ラムダを測定している間、測定アーチファクトを除去するための複雑な回路に頼ることなく、正確なポンプセル温度制御を行うことが望まれる。
更に、従来の燃料計量技術は、酸素センサのウオーミングアップ期間の間に重大な汚染を生じる。UEGOセンサを使用する従来のシステムでは、正確な動作温度に達成するまで、UEGO出力値は信頼できない。これにより、実際の空燃比の知識なしで、燃料噴射システムが「開ループ」で動作する時間が長くなる。この結果、エンジンが制御されないウォームアップ汚染を生じる時間は、センサのウォームアップ時間に依存する。したがって、センサが信頼できる値を生成するまでの時間を最短化する、酸素濃度を測定するための装置、システム及び方法も望まれている。
現在の広帯域イオンセンサ、例えば広帯域酸素センサ(WBO2センサ)等は、ネルンストセル基準センサ及びポンプセルを単一のパッケージに結合している。ネルンストセルは、セルの電極間の被測定気体の分圧の差に非線形に比例する電圧を生成する電気化学セルである。典型的な酸素センサ用途では、電極は、測定チャンバの一方の側の電極上の大気及び他方の電極上の内燃機関の排気ガスに曝される。電圧は、セルの固体電解質材料を介して移動する酸素イオンによって生成される。ポンプセルは、ネルンストセルであり、セルを介する酸素イオンフローは、電流によって強制される。電流が一方向に流されると、酸素イオンは、外気からセンサに輸送される。電流が逆方向に反転されると、酸素イオンは、センサから外気に輸送される。電流の大きさは、毎秒に輸送される酸素イオンの数を決定する。
ネルンスト電圧は、セル内の電気化学反応の結果として生成される電圧である。セルは、基本的に、燃料セルとして機能する。ネルンスト電圧は、セルの2つの電極間の酸素分圧の差によって生成される。ネルンスト式は、以下のように表される。
Voutput = (R*)(T) / (n)(F) * ln[(Po, air)/(Po, exh)]
ここで、
Voutput = 酸素センサの出力電圧(典型的な範囲は、0〜1.0ボルトである。)
R*=普遍気体定数=8.3143[ジュール/グラムモル*K]
T=排気ガスの温度[ケルビン]
n=反応にかかわる電子の数=4:NBO2の場合
F=ファラデー定数=96,480[クーロン/グラムモル]
Po,air=大気内のOの分圧[パスカル]
Po,exh=排気ガス内のOの分圧[パスカル]
従来のシステムでは、ネルンストセル及びポンプセルの両方は、オリフィス(拡散ギャップ)によって排気ガスに開かれた非常に小さい測定チャンバ内に取り付けられる。過濃条件(rich condition)の間は、酸素が殆ど又は全くなくなり、測定チャンバ内には、比較的高いレベルの可酸化性の燃焼生成物が生じる。過濃条件においては、WBO2コントローラは、全ての可酸化性の燃焼生成物を消費するために必要十分な酸素イオンがチャンバにポンピングされるように、ポンプセル電流を調整する。この動作は、基本的に、測定チャンバ内に理論空燃比条件(stoichiometric condition)を生成する。理論空燃比条件では、ネルンスト基準セルは、0.45Vを生成する。過剰な酸素がある希薄条件(lean condition)では、コントローラは、ポンプ電流を反転させ、全ての酸素イオンが測定チャンバからポンピングされ、理論空燃比条件が戻るようにする。ポンプセルは、チャンバが自由空気によって満たされている場合であっても、測定チャンバから全ての酸素をポンピングできる十分な強さを有する。
このように、従来のシステムのWBコントローラの役割は、測定チャンバ内に酸素も可酸化性の燃焼生成物もなくなるように、ポンプ電流を調整することである。必要なポンプ電流は、空気/燃料比の測定値である。しかしながら、従来の広帯域センサは、複数のセルが小さいパッケージ内に結合されているので、生産することが困難である。また、排気ガスへの小さいオリフィスは、センサの性能を制限する排気粒子による汚染又は封鎖の影響を受け易い。更に、従来の広帯域センサでは、2つのデバイス間の物理的分離のために、ネルンスト基準セル出力と、ポンプセル電流の変更との間で遅延が生じる。したがって、改良されたイオンセンサが必要である。
更に、従来の窒素酸化物(NOx)センサは、ジルコニア(ZrO)センサを用いて実現されている。従来のZrOセンサは、白金(Pt)電極を用いて、測定される気体のO含有量を検出する。酸化窒素化合物は、白金(Pt)だけでは分離されないので、Pt電極は、NOxを測定する能力はない。一方、ロジウムと白金の合金は、酸化窒素化合物を分離するために用いることができる。イットリウム安定化ジルコニア電解質を有するセンサは、センサが適切な温度で動作していれば、電極間の酸素(O)分圧の差に比例する出力電圧を生成する。一方の電極が空気に露出され、他方の電極が排気ガスに露出されると、出力電圧は、ネルンスト関係に従う。このように構成されたセルを電流が流れると、セルは、酸素ポンプとして機能し、酸素流(モル/秒)は、電流に比例する。排気側電極がPt−Rh合金から形成されているセンサも、酸化窒素化合物を分離できる。したがって、ネルンスト電圧は、以下のように表すことができる。
Voutput = (R*)(T) / (n)(F) * ln[(Po, air)/((Po, exh) + (Pn,exh)]
ここで、
Voutput =酸素センサの出力電圧(通常の範囲は、0〜1.0ボルトである。)
R*=普遍気体定数=8.3143[ジュール/グラムモル*K]
T=排気ガスの温度[ケルビン]
n=反応にかかわる電子の数=4:NBO2の場合
F=ファラデー定数=96,480[クーロン/グラムモル]
Po,air=大気内のOの分圧[パスカル]
Po,exh=排気ガス内のOの分圧[パスカル]
Pn,exh=排気ガス内のNOx化合物の分圧[パスカル]
NOxは、Pt−Rh合金電極においてN及びOに分解され、これによって、Pt−Rh電極においてO濃度の局所的上昇が引き起こる。局所的上昇は、Pnによって表される。したがって、NOxからの分圧は、前記関係に貢献する。しかしながら、従来のNOxセンサは、ディーゼルエンジン等の希薄燃焼エンジンで用いられると、排気内の残留するOの分圧が、NOx化合物の分圧に比べて、非常に高くなるという制約がある。例えば、排気内の残留するOの分圧は、通常、一桁から複数桁のパーセンテージ範囲にあり、NOx化合物の分圧は、100万分の1(ppm)の範囲にある。したがって、排気のNOx含有量をO含有量から独立して抽出するイオンセンサも望まれている。
図1Bは、従来のNOxセンサのブロック図である。測定される気体(被測定気体)102は、第1の拡散ギャップ104を介して第1の測定チャンバ106に供給される。第1のポンプセル108は、第1の測定チャンバ106に残留する気体の酸素濃度が相対的に低くなるまで、第1の測定チャンバ106から、大気又は周囲の排気ガスに酸素イオンをポンピングする。この酸素が低減された気体の一部は、第2の拡散ギャップ110を介して第2の測定チャンバ112に拡散する。第2の測定チャンバ112内の第2のポンプセル114は、第2の測定チャンバ112の気体に露出された、白金(Pt)及びロジウム(Rh)合金からなる電極116を含む。この合金のロジウムには、第2の測定チャンバ112内の測定気体の窒素酸化物(NOx)を窒素(N)及び酸素(O)に分離する触媒特性がある。この結果、第2の測定チャンバ112の酸素(O)濃度は、僅かに上昇する。第2のポンプセル114には定電圧が印加され、このポンプセル114を流れる電流が測定される。NO含有量測定は、第2のポンプセル114を流れる電流に基づいている。酸素測定セル120は、ポンプセルに亘る電圧がZrO固体電解質を電気分解してポンプセルを破壊する点にまで濃度が低下しないようにしながら、非常に低いO濃度を維持するようにポンプ電流を調整するためのフィードバックをポンプセルに提供する。しかしながら、この従来の手法は、幾つかの点で制約がある。測定される電流は、比較的小さく(ナノアンペアの範囲)、この結果、電磁雑音に非常に影響されやすい。更に、このような従来のセンサは、少なくとも部分的な要因として、複数の拡散ギャップがあるために、製造が困難である。また、第1の測定チャンバ106と第2の測定チャンバ112との間の気体濃度差は、非常に小さい。したがって、第2の拡散ギャップ110を介する拡散フローは、かなり遅れ、センサの応答時間が非常に遅くなる。
したがって、広帯域及びNOxセンサに対する上述した要求に加えて、性能が高められ、製造が容易なNOxセンサが望まれている。
典型的な汎用排気酸素(UEGO)センサについてのポンプ電流と空燃比ラムダ(λ)との間の関係を示すグラフ図である。 従来のNOxセンサのブロック図である。 酸素監視デバイスのブロック図である。 イオン測定デバイスが、被測定気体内の酸素イオン濃度を測定するように構成された気体イオン測定デバイスであるイオン監視デバイスのブロック図である。 電流管理ユニットが、アナログ比較器回路及び反転増幅器回路を用いて実現されている酸素監視デバイスを図式的に示す図である。 気体の酸素濃度を測定する方法のフローチャートである。 測定セル内の酸素イオンフローを変更する方法のフローチャートである。 酸素測定デバイスを較正する方法のフローチャートである。 被測定パルス幅比(PWMRATIO)をパルス幅比関数と比較することによって気体の酸素濃度を測定する方法のフローチャートである。 ヒータ制御ユニットを較正する方法のフローチャートである。 酸素測定デバイスを実現するのに適するハンドヘルド型診断デバイスのブロック図である。 単一の電気化学セルがセンサセル及び測定セルの機能を実行する広帯域センサに接続されたセンサ管理デバイスを含むセンサシステムのブロック図である。 例示的なポンプ電流及び対応するセル電圧(VCELL)のグラフ図である。 単一の電気化学セル及び測定開口として使用するための拡散ギャップを含むセンサの断面のブロック図である。 単一の電気化学セル及び測定開口として使用するためのは多孔質膜を含むセンサの断面のブロック図である。 測定チャンバ、一次電気化学セルシステム及び二次電気化学セルシステムを含むイオン濃度センサのブロック図である。 ポンプセル、酸素測定セル及び窒素感知電気化学セルを有するNOxセンサを含む窒素酸化物(NOx)センサシステムのブロック図である。 図15のNOxセンサの実現例である、気体内のイオン濃度を測定するNOxセンサの断面のブロック図である。 図16のNOxセンサに接続されたセンサ管理デバイスを含むNOx測定システムの概略的機能図である。 測定チャンバ内の酸素濃度のグラフ図である。 NOxパルス出力曲線のグラフ図である。 センサ管理デバイスに接続され、酸素センサセル及び酸素測定セルの機能を実行する単一の酸素電気化学セルを含むNOxセンサを備えるセンサシステムのブロック図である。 図20のNOxセンサの実現例である、気体内のイオン濃度を測定するNOxセンサの断面のブロック図である。 図21のNOxセンサに接続されたセンサ管理デバイス2004を含むNOx測定システムの概略的機能図である。 一次電気化学セルシステム及び二次電気化学セルシステムを有するセンサを管理する方法のフローチャートである。 一次電気化学セルシステム及び二次電気化学セルシステムを含むセンサの電流を管理する方法のフローチャートである。 密閉チャンバセンサを含むセンサシステムのブロック図である。 排気ガスを測定するための密閉エアチャンバを含む電気化学センサの断面のブロック図である。
上述のように、従来のセンサシステムは、幾つかの点で制約がある。これらの制約は、流体のイオン濃度を測定するための、効率的で、低コストで、正確な方法を提供する例示的な実施の形態において克服される。流体のイオン濃度は、測定セルの出力に基づいて、測定セルを流れるポンプ電流を変更し、この結果として得られる、ポンプ電流を表す矩形波のパルス幅比を観測することによって測定される。更に、この測定法は、センサが所望の動作温度に到達していない事実を補償する補正係数の適用を可能にするので、幾つかの状況では、ここに説明した方法によって、センサをウォームアップ期間においてより早く使用できる。また、実施の形態は、測定アーチファクトを取り除くための複雑な回路に頼ることなく、ラムダを測定しながら、ポンプセルの温度を正確に制御できる。酸素イオン濃度を判定することに加えて、実施の形態を用いて、他の気体イオン濃度を判定することもできる。例えば、窒素センサ、例えば、気体の窒素酸化物(NOx)を感知するセンサを、電流管理デバイス及びコンピュータデバイスに接続して、気体の窒素酸化物のイオン濃度、例えば、NO及びNOのイオン濃度等を測定することができる。
幾つかの具体例では、ポンプセル及びセンサセルの機能は、単一の電気化学セルを含む測定セルによって実行される。ポンプ電流及びセルの内部抵抗から生じる抵抗電圧(V)をセルに亘る総電圧から減算することによって、セルのネルンスト電圧が判定される。ネルンスト電圧は、被測定流体のイオン濃度を示す。測定セルを用いて酸素濃度を測定する場合、測定セルを流れるポンプ電流を切り替えるための閾値は、ネルンスト電圧から導出される。測定セルがNOx測定システムの一次電気化学システムの一部として用いられる場合、測定セルのネルンスト電圧は、窒素感知セルからの出力を評価し、NOxを判定するための参照値として用いられる。
他のNOxシステム実施の形態では、ポンプセル及び酸素測定セルは、測定チャンバに及び測定チャンバから酸素をポンピングし、窒素感知電気化学セルの出力信号と比較される基準電圧を提供する一次電気化学システムを形成する。センサ管理デバイスは、第1の一次ポンプ定電流及び第2の一次ポンプ定電流で、ポンプセルに一次ポンプ電流を流す。センサ管理デバイスは、測定セルからの第1の出力信号と窒素感知セルの第2の出力信号との間の差分を用いて、第1の二次ポンプ定電流及び第2の二次ポンプ定電流で、窒素感知電気化学セルに二次ポンプ電流を流す。後述するように、窒素感知電気化学セルは、NOxを窒素と酸素に還元し、窒素感知電気化学セルの近傍で局所的な酸素濃度を生成する。二次ポンプ電流の方向のデューティサイクル又は他の関連する信号は、酸素の局所的濃度を示し、したがって、NOxの濃度を示す。
密閉されたセンサの実施の形態では、測定セル及び補償セルは、密閉チャンバに隣接して配設される。測定セル及び補償セルは、反対の極性によって電気的に直列接続され、これにより、測定セルによって密閉チャンバにポンピングされたイオンは、同じ又は略々同じ速度で、密閉チャンバからポンピングされる。
ここに説明するように、窒素酸化物(NOx)は、窒素及び酸素から構成された化合物を含む。この化合物は、酸素イオン及び窒素イオンに還元することができる。したがって、NOxは、イオンに還元できる元素から構成された化合物の具体例である。内燃機関の場合、NOxは、主にNO及びNOを含むが、幾つかの状況では、他の化合物が存在することもある。
図2Aは、イオン監視デバイス200のブロック図である。イオン監視デバイス200は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。ここに説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。
測定セル202は、少なくともポンプセル204及びイオンセンサセル206を含み、ポンプセル204を流れるポンプ電流208の大きさ及び方向は、測定セル202内のイオンのフロー210に相関性を有する。測定セル202の測定開口212は、被測定流体を受け取るように配置され、一方、流体開口214は、周囲流体に面している。被測定流体及び周囲流体は、気体であっても液体であってもよい。後述するように、例えば、被測定流体は、被測定気体であり、周囲流体は、周囲空気である。イオンセンサセル206は、測定セル202内のイオンの数に基づいて、出力信号を提供する。電流管理ユニット216は、この出力信号に応じて、2つの定電流レベル間でポンプ電流を変更する。第1のポンプ電流は、出力信号が第1の閾値に到達するまで、電流管理ユニット216によって維持される。第1の閾値に到達すると、電流管理ユニット216は、出力信号が第2の閾値レベルに到達するまで、ポンプ電流208を反対の方向に流す。演算デバイス218は、電流変動を監視し、被測定流体のイオン濃度を判定する。後述するように、イオン監視デバイス200の適切な応用例は、内燃機関からの排気ガスを監視し、混合気(air-fuel mixture)を調整するために酸素濃度を測定する気体イオン監視デバイスを含む。イオン監視デバイス、方法及びシステムは、幾つかの種類のアプリケーション及びシステムの一部として実現してもよく、流体媒体内の様々な種類の任意のイオンを測定するために使用してもよい。幾つかの具体例には、NOイオンレベル又はNOイオンレベル等の気体の窒素酸化物のイオン濃度の測定、二酸化炭素レベルの測定、水の酸素や二酸化炭素濃度等の液体内の気体イオン濃度の測定が含まれる。更に、幾つかの状況では、塩及び元素のイオン濃度、例えば、液体又は気体内の鉛を測定できる。このように、イオンセンサ及び電流ポンプが、測定される特定のイオンに反応すれば、様々な如何なる種類のイオン濃度でも測定できる。更に、図20、図21及び図22に関して後述するように、測定セルは、NOx測定システムの一次電気化学システムとして用いることができ、一次電気化学システムは、第1の出力信号を提供し、第1の出力信号は、基準として用いられ、窒素感知電気化学セルの第2の出力信号と比較されて、NOx濃度が判定される。
較正処理が実行された後に、電流管理ユニット216は、イオン測定セル206の出力信号に基づいて、ポンプセル204を流れる電流208を、正定電流(Ip)と負定電流(−Ip)との間で変更する。負電流(−Ip)がポンプセル204を流れると、ポンプ回路によって、周囲流体が流体開口214を介して測定セル202に流入し、この結果、測定セル202内のイオン濃度が上昇する。測定セル202内の酸素イオン濃度が高くなると、イオン測定セル206は、低電圧信号出力を提供する。出力信号が下限閾値に到達すると、電流管理ユニット216は、ポンプセル204に正電流(Ip)を流す。正電流(Ip)がポンプセル204を流れると、測定セル202のイオンは、周囲流体に流出する。正のポンプ電流208(Ip)が流され続けている限り、イオンは、流体開口214から流出し続ける。この結果、イオン濃度は、低下し続ける。出力信号は、上限閾値に到達するまで上昇し続ける。上限閾値への到達の検出に応じて、電流管理ユニット216は、ポンプ電流208の方向を変更する。閾値の適切な値の具体例は、イオン測定センサ206を線形範囲内又は実質的に線形範囲内に維持する値を含む。またこれら閾値は、幾つかの状況においては、ヒステリシスなしで濃度をサンプリングするために同じ値にしてもよい。
正電流レベル及び負電流レベルの間で矩形波が形成される。ポンプ電流208の正のフロー(Ip)及び負のフロー(−Ip)の期間は、被測定流体の構成に依存する。したがって、演算デバイス218は、結果として得られた矩形波のパルス幅比(PWMRATIO)を既知のパルス幅比関数と比較し、被測定流体のイオン濃度を判定する。
図2Bは、イオン測定デバイスが被測定気体内の酸素イオン濃度を測定するように構成された気体イオン測定デバイスであるイオン監視デバイス200のブロック図である。酸素監視デバイス222は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せによって実現してもよい。ここに説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。
酸素監視デバイス222では、ポンプセル204及びイオン測定セル206は、酸素イオンに反応する。イオン測定セル206は、酸素測定セル224である。したがって、酸素監視デバイス222内の測定セル202は、少なくともポンプセル204及び酸素センサセル224を含み、ポンプセル204を流れるポンプ電流208の大きさ及び方向は、測定セル202内の酸素イオン210のフローに関連する。測定セル202の測定開口212は、被測定気体を受け取るように配置され、一方、流体開口214は、周囲空気に面する空気開口226である。酸素センサセル224は、測定セル202内の酸素イオンの数に基づいた出力信号を提供する。電流管理ユニット216は、この出力信号に応じて、2つの定電流レベル間でポンプ電流を変更する。第1のポンプ電流は、出力信号が第1の閾値に到達するまで、電流管理ユニット216によって維持される。第1の閾値に到達すると、電流管理ユニット216は、出力信号が第2の閾値レベルに到達するまで、ポンプ電流208を反対の方向に流す。演算デバイス218は、電流変動を監視し、被測定気体のイオン濃度を判定する。酸素監視デバイス222の適切な用途は、内燃機関からの排気ガスを監視し、混合気(air-fuel mixture)を調整するために酸素濃度を測定することである。酸素監視デバイス、方法及びシステムは、幾つかの種類のアプリケーション及びシステムの一部として実現してもよい。例えば、後述するように、酸素監視デバイス222は、ハンドヘルド型診断デバイス、自動車内の相手先ブランド製造(OEM)デバイス、又は自動車に永続的に取り付けられるアフターマーケットデバイスとして実現してもよい。酸素を測定することに加えて、酸素測定デバイス及び方法は、生体の呼気の酸素濃度を測定して、消費されているカロリー量を判定するために用いることもできる。したがって、図2Bに関して説明したデバイス及び方法は、測定システムの多数の用途の一具体例にすぎない。
図2Bを参照して説明した実施の形態では、酸素センサセル224は、周知の技術に基づいてポンプセル204に隣接して配設されたネルンストセル(224)である。以下の説明では、ネルンストセル(224)について言及するが、本発明は、被測定気体内の酸素レベルに基づいて出力信号を提供できる他のタイプの酸素センサセル224によって実現してもよいことは、当業者にとって明らかである。後述する処理に従って較正処理が実行された後に、電流管理ユニット216は、ネルンストセル(224)の出力信号に基づいて、ポンプセル204を流れる電流208を、正定電流(Ip)と負定電流(−Ip)との間で変更する。負電流(−Ip)がポンプセル204を流れると、ポンプ回路によって、周囲空気が流体開口226を介して測定セル202に流入し、この結果、測定セル202内のイオン濃度が上昇する。測定セル202内の酸素イオン濃度が高くなると、ネルンストセル(224)は、低電圧信号出力を提供する。出力信号が下限閾値に到達すると、電流管理ユニット216は、ポンプセル204に正電流(Ip)を流す。正電流(Ip)がポンプセル204を流れると、測定セル202のイオンは、周囲空気に流出する。測定セル202内の何らかの未燃焼炭素又は燃料は、何らかの残留する酸素と結合する。この結果、測定セル202内の空気及び未燃焼炭素の混合物では、酸素濃度が低下し、燃料濃度が上昇する。出力信号は、測定セル202内に未燃焼炭素も余剰酸素も存在しなくなる遷移点まで上昇する。この遷移点では、ラムダは、1.0になり、ネルンストセル(224)は、約450mVの出力信号を提供する。正のポンプ電流208(Ip)が流され続けている限り、酸素イオンは、流体開口214から流出し続ける。この結果、測定セル202において、酸素の濃度は低下し続け、燃料の濃度が上昇する。出力信号は、上限閾値に到達するまで上昇し続ける。上限閾値への到達の検出に応じて、電流管理ユニット216は、ポンプ電流208の方向を変更する。図2Bの実施の形態では、上限閾値は、455mVであり、そして、下限閾値は、445mVである。なお、他の閾値を用いることもでき、幾つかの適切な値には、周囲空気の気体のための出力信号を含む範囲を提供し、電圧に対するラムダの関係が比較的線形の部分にネルンストセル(224)を維持する値が含まれる。例えば、値の他の適切な対としては、440mV及び460mVが含まれる。幾つかの場合、下側閾値及び上限閾値は、同じ値であってもよい。
上述のように、正電流レベル及び負電流レベルの間で矩形波が形成される。ポンプ電流208の正のフロー(Ip)及び負のフロー(−Ip)の期間は、被測定気体の構成に依存する。したがって、演算デバイス218は、結果として得られた矩形波のパルス幅比(PWMRATIO)を既知のパルス幅比関数と比較し、被測定気体の酸素濃度を判定する。
図3は、電流管理ユニット216が、アナログ比較器回路304及び反転増幅器回路306を用いて実現されている酸素監視デバイス222を図式的に示す図である。電流管理デバイス216は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せによって実現してもよい。図3の具体例では、電流管理デバイス216は、抵抗器、演算増幅器、アナログスイッチ、ツェナーダイオード、論理ゲート及び他の回路を含む幾つかのハードウェアコンポーネントを備える。周知の技術に基づいて、この教示を適用することによって、1つ以上の回路又は回路素子について様々な代替例を想到できることは、当業者にとって明らかである。更に、電流管理デバイス216の特定の具体例に応じて、動作値は、異なっていてもよい。図3を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
反転増幅器回路306は、少なくとも、演算増幅器(U)308、反転入力抵抗器(R)310及び非反転入力抵抗器(R)312を含む。演算増幅器(U)308の非反転入力端子の電圧は、ツェナーダイオード314によってUREFの電圧に維持される。UREFは、Vcc/2に等しく、この具体例では、約2.5ボルトである。測定セル202内のポンプセル204は、アナログスイッチ316を介して、演算増幅器(U)308の出力に接続され、及び演算増幅器(U)の反転入力端子に接続されている。演算増幅器(U)308、反転入力抵抗器(R)310及びポンプセル204インピーダンス(Rpump)は、−Rpump/Rの利得を有する反転増幅器306を構成する。演算増幅器(U)308の出力は、アナログスイッチ316に接続されており、アナログスイッチ316は、ANDゲート(U)318の出力レベルに応じて、演算増幅器308の出力をポンプセル204に接続する。ANDゲート318は、ヒータ制御ユニット302が「ハイ」イネーブル信号を示した場合、アクティブ「ハイ」出力を提供するので、アナログスイッチ316は、ウオーミングアップの間、電流が測定セル202を流れることを防ぐ。更に、後述するように、較正処理の間は、負のポンプ電流208のサイクルの間、アナログスイッチ316が開かれ、この結果、ポンプ電流208は、正のポンプ電流(IP)とゼロとの間で交互に切り替えられる。
演算増幅器(U)308の反転入力端子は、反転入力抵抗器(R)310を介して、アナログコンパレータ回路304の出力端子に接続されている。非反転入力抵抗器(R)312、供給抵抗器(R)320及びツェナーダイオード314は、分圧器を構成し、アナログコンパレータ回路304の演算増幅器(U)322の反転入力端子に基準電圧(Vcc/2+0.45V)を供給する。図3を参照して説明する具体例では、Vccが5ボルトであるので、基準電圧は、2.95ボルトである。演算増幅器322の非反転入力端子は、感知抵抗器(R)324を介して、ネルンストセル(224)の出力端子に接続されている。帰還抵抗器(R)326は、UREF+0.45Vに等しい電圧を演算増幅器322の非反転入力端子に供給する。したがって、演算増幅器(U)322、抵抗器(R)324及び帰還抵抗器(R)326は、約10mVのヒステリシス電圧で動作するアナログコンパレータ回路304を構成する。
アナログコンパレータ回路304、反転増幅器回路306及び測定セル202は、可変パルス幅変調(PWM)比と、測定セル202の応答時間に依存する周波数とを有する発振器を構成する。ポンプ電流208は、+Vcc/(2*R)と−Vcc/(2*R)との間で交互に切り替えられる。演算デバイス218は、Uの出力がVcc/2より上であった時間(t)及びVcc/2より下であった時間(t)を測定し、これから、後述する関数に基づいて、PWMRATIO及びλを算出する。この具体例では、ラムダ(λ)は、コンパレータの出力が遷移する都度、算出される。ネルンストセル(224)は、約0.1V〜0.7Vの出力信号を提供し、これにより得られる(λ)測定周波数は、酸素センサセル206の応答周波数の3dB点より約7オクターブ高い。したがって、ここに説明する具体例では、酸素センサセル224の応答周波数は、ナイキスト周波数よりかなり高い。
図3の具体例のでは、ヒータ制御ユニット302は、センサ固有の手法及び立ち上げスケジュール(ramp-up schedule)を用いて、測定セル202の温度を上昇させる。測定セル202が動作温度に到達すると、ヒータ制御ユニット302の「準備完了(Ready)」出力がアクティブになり、ANDゲート(U)にハイのイネーブル信号が供給され、これによって、アナログスイッチ304が閉じられる。また、イネーブル信号は、演算デバイス218の入力端子にも接続されており、測定セル202の動作の準備が完了したことを演算デバイス218に示す。そして、ヒータ制御ユニット302は、ヒータ素子に印加される所定の一定の電圧を維持し、又は温度調整のための他の(センサ固有の)方法を用いる。図3に示す具体例では、ヒータ素子330のインピーダンスが最小値のとき、ポンプセルインピーダンスを測定する。ポンプセルインピーダンスは、ポンプセルインピーダンスを継続的に監視し、ヒータ素子330によって温度を調整することによって、測定値において維持される。
図6に関して後述するように、演算デバイス218は、理論空燃比におけるPWM比(PWMST)及び空気のためのパルス幅比(PWMAIR)に対応する値を不揮発性メモリに保存する。図4〜図8を参照して後述する具体例では、較正値及び測定されたPWMRATIOに基づいて、+/−5%の精度の誤差を有する公称ラムダ値を算出する。PWMSTは、環境条件より、センサの特性及び使用年月に強く依存するので、較正プロセスは、殆どの状況では、頻繁に実行する必要はない。
これらの教示から、様々なコンポーネント、デバイス及び回路要素を測定装置で用いることができることは、当業者にとって明らかである。演算増幅器308、322として使用できる適切なデバイスの具体例としては、テキサスインスツルメンツ社(Texas Instruments)から市販されているTLV2463演算増幅器がある。反転抵抗器(R)310及び非反転抵抗器(R)312の値は、数百オームの桁である。適切な演算デバイス218の具体例としては、850ファミリRISC8ビットマイクロコントローラ(850 Family RISC 8-Bit Microcontroller)がある。幾つかの状況では、上述した機能ブロックの幾つか又は全ては、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit:ASIC)として実現してもよい。例えば、ヒータ制御及び電流管理ユニット216と演算デバイス218とは、極めて僅かな外部部品と共に、混在信号ASIC(mixed signal ASIC)に容易に統合できる。
図4は、気体の酸素濃度を測定する方法のフローチャートである。この方法は、ハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアの如何なる組合せによって実行してもよい。この具体例では、方法は、酸素測定デバイス222において実行される。図4を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
ステップ402では、較正処理を実行する。較正処理は、酸素測定デバイスを初期化するための較正値を取得し、特定の測定セル202の特性に関連する値又は環境条件に関連する値を含んでいてもよい。図6の具体例に関して後述するように、値は、ポンプセル204のインピーダンスを維持し、ラムダを算出するためのパルス幅比関数を確立し、理論空燃比(PWMST)のためのPWM比がゼロでないときにラムダ値を調整するために取得される。他の較正値には、酸素センサ特性を反映するポンプ電流208の矩形波の周波数に関連するパラメータを含むことができる。
ステップ404では、酸素センサセル224の出力信号に基づいて、第1のポンプ電流と第2のポンプ電流との間で、酸素イオンフローを変更する。この具体例では、イオンフローは、正の定電流(IP+)と負の定電流(IP−)との間でポンプ電流208を交互に切り替えることによって変更される。アナログスイッチ316は、測定処理の間は、閉じられたままである。
ステップ406では、演算デバイス218によって、ポンプ電流208によって形成された矩形波のパルス幅比(PWMRATIO)を判定する。この具体例では、ポンプ電流208を変更することによって形成された矩形波のパルス幅(t及びt)は、演算デバイス218内の水晶クロックを用いて測定される。個々の単一のパルスを測定及び保存してもよいが、ここでは、電流を変化させることによって生じたパルスの持続期間を所定の期間に亘って平均化する。
ステップ408では、パルス幅比(PWMRATIO)をパルス幅比関数と比較し、被測定気体の酸素濃度を判定する。この具体例では、演算デバイス218は、較正された値を利用する式に測定値を適用する。
図5は、測定セル202内の酸素イオンフローを変更する方法のフローチャートである。したがって、図5のフローチャートは、図4のステップ404を実行する例示的な方法を示している。図5を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
ステップ502では、ポンプ電流208を、ポンプセル204を介して一定の大きさで正の方向に流す。図3を参照して説明した酸素監視デバイス200では、ポンプセル204に亘って正電圧が印加されるので、アナログスイッチ316は、閉じられたままになる。正電圧は、アナログコンパレータ回路304が反転増幅器308をトリガし、ポンプセル204に亘って負電圧を印加するまで維持される。
ステップ504では、酸素センサセル224からの出力信号を受信する。例示的な酸素監視デバイス200では、酸素センサセル224の出力は、抵抗器(R)324を介して、アナログコンパレータ回路304の演算増幅器322の非反転入力端子に供給される。
ステップ506では、出力信号が上限閾値以上になったかを判定する。上限閾値に到達していない場合、方法は、ステップ502に戻り、一定の正のポンプ電流をポンプセル204に流す。上限閾値に到達すると、方法は、ステップ508に進み、電流を反転し、一定のポンプ電流208を負の方向に流す。図3の具体例に関して上述したように、電流管理デバイス216は、閾値に到達するまで定電流を供給するアナログコンパレータ回路304及び反転増幅器回路306を備える。アナログコンパレータ回路304は、閾値への到達の検出に応じて、ポンプ電流208の反転をトリガする。したがって、正のポンプ電流(IP+)は、酸素センサセル224の出力が上限閾値に到達するまで維持され、上限閾値に到達すると、アナログコンパレータ回路304の出力がハイ出力に切り替えられ、反転増幅器回路306の出力が変更される。
ステップ508では、ポンプ電流208を負の方向に流す。反転増幅器回路306の反転された電圧出力に応じて、ポンプ電流208は、方向が逆になり、負(−Ip)になる。
ステップ510では、電流管理ユニット216は、酸素センサセル224から出力信号を受信する。例示的な酸素監視デバイス222では、酸素センサセル224の出力は、抵抗器(R)324を介して、アナログコンパレータ回路304の演算増幅器322の非反転入力端子に供給される。
ステップ512では、出力信号が下限閾値以下になったかを判定する。下限閾値に到達していない場合、方法は、ステップ508に戻り、電流管理ユニット218は負の方向のポンプ電流をポンプセル204に流し続ける。この他の場合、処理はステップ502に戻り、電流を正の方向に反転する。したがって、この具体例では、電流管理デバイス216は、酸素センサセル224の出力に基づいて、0.445ボルトと0.455ボルトとの間で電流を変更する。ポンプ電流208が変更されると、この結果の矩形波の特性が測定及び保存される。
ここに説明する具体例では、演算デバイス218が期間(t及びt)を監視し、何れかの期間が動作閾値を超えると、演算デバイス218は、イネーブル(ENABLE)信号を上書きし、センサの破損を防止するためにポンプセル204を切断する。診断処理は、障害条件を判定するために実行される。
図6は、酸素監視デバイス222を較正する方法のフローチャートである。図6を参照して説明する方法は、図4の較正ステップ402を実行する方法の具体例を提供する。酸素監視デバイス222は、様々な手法で較正でき、使用される特定の較正法は、例えば、特定のセンサ202の特性、酸素監視デバイス222を用いて収集されるデータ等の様々な因子に依存する。この具体例では、較正処理は、ヒータ制御ユニット302を較正すること、及び酸素センサセル224が自由空気に露出されているとき、変更されるポンプ電流208のパルス幅を判定することを含む。図6を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
ステップ602では、酸素センサセル224を自由空気に露出させる。この具体例では、測定セル202は、排気ガス又は他の風媒不純物(air borne impurities)への曝露が最小化されるエリアに配置される。酸素測定デバイス222が走行する自動車で動作する幾つかの状況では、演算ユニットは、得られるラムダ値がガソリンの希薄燃焼限界を超えており、幾らかの期間変化しない場合、エンジンが惰行モードにあると判定する。自動車が惰行モードにあると判定された場合、演算デバイス218は、較正処理を実行する。演算デバイス218がECU自体である場合、惰行条件は、既知であり、ECUは、排気システムの所定のパージ時間の後に、自由空気について較正処理を実行する。
ステップ604では、ヒータ制御ユニット302を較正するべきかを判定する。この具体例では、電源投入シーケンス(powering up sequence)の間にヒータ制御ユニット302を較正する。ヒータ較正処理の実行を必要とする他の適切な状況の具体例としては、測定セル202の交換又は再接続及び何らかの測定誤差の検出等の状況がある。ヒータ較正が必要である場合、処理はステップ606に進む。この他の場合、処理は、ステップ608に直接進む。
ステップ606では、ヒータ制御ユニット302を較正する。この具体例では、ネルンストセル(224)の好適な動作温度に対応する好適なヒータインピーダンス及び好適なポンプセルインピーダンスをメモリに保存する。図8に関して説明するように、ネルンストセルインピーダンスは、好適なヒータインピーダンス及び好適なポンプセルインピーダンスが測定及び記録される前に、適切な期間、目標ネルンストセルインピーダンスに維持される。
ステップ608では、センサウォームアップ処理を実行する。図3を参照して説明したモニタリング装置では、アナログスイッチ316は、センサウォームアップ処理の間、初期的に開かれている。適切な加熱タイムテーブルに基づき、電力がヒータ素子330に供給され、この温度を上昇させる。ヒータ制御ユニット302は、ヒータ素子330に亘る電流及び電圧を監視し、ヒータ素子330のインピーダンスを判定する。このヒータインピーダンスは、ヒータ較正処理の間に測定及び保存された好適なヒータインピーダンスと比較される。このヒータインピーダンスが好適なヒータインピーダンスに等しいことをヒータ制御ユニットが検出すると、ヒータ制御ユニット302は、酸素センサセル206の最低動作温度に到達したと判定する。所望の動作温度に到達したとの判定に応じて、ヒータ制御ユニット302は、「準備完了」出力に「ハイ」イネーブル信号を出力する。イネーブル信号が「ハイ」になると、ANDゲート(U)318は、アナログスイッチ316を閉じる。
ステップ610では、ネルンストセルの好適な動作温度を維持する。好適な動作温度は、酸素センサ較正処理の残りの期間及び酸素監視デバイス222の動作の間、維持される。ここに説明する具体例では、ポンプセル204インピーダンスRPUMPは、動作の間、継続的に監視され、ヒータ制御ユニット302は、一定の又は略々一定の好適なポンプセルインピーダンスを維持するように制御される。好適なポンプセルインピーダンスは、ヒータ較正処理の間に保存されたメモリから読み出される。ヒータ制御ユニット302を制御する適切な方法の具体例は、パルス幅変調を用いて、ヒータ素子330によって消散されるパワーの量を上昇又は低下させることを含む。
酸素測定デバイス222が発振モードにあり、電流が変更される場合、ポンプセル204の電圧(Uの出力)は、Vcc、RPUMP、抵抗器(R)310及びポンプセル204の逆EMFによって判定される。アナログコンパレータ回路304の演算増幅器(U)322の出力は、0VとVccとの間で切り替えられる。ヒータ制御ユニット302は、演算増幅器(U)322の出力の各遷移の前後に演算増幅器(U)308の出力をサンプリングする。各遷移の前後に測定された電圧の間の差分の絶対値がUDIFFである。幾つかの状況では、演算増幅器(U)308の出力は、十分高いカットオフ周波数を有するハイパスフィルタ(図示せず)を介して渡される。フィルタ出力は、遷移点の後に直ちにサンプリングされ、この結果の出力電圧の絶対値がUDIFFになる。
ヒータ制御ユニット302は、以下の関係に基づいてポンプセル204インピーダンスRPUMPを算出する。
PUMP=R(UDIFF/Vcc) (式1)
幾つかの状況では、ポンプセル204インピーダンスの監視に代えて、又はこれに加えて、ネルンストセル(224)インピーダンス(R)が監視される。ネルンストセル(224)インピーダンスを監視するために、ネルンストセル(224)の出力電圧信号は、ハイパスフィルタ及び増幅器(図示せず)を介して渡される。そして、フィルタリングされ、増幅して得られた信号は、コンパレータ遷移点でサンプリングされる。そして、ロー/ハイ及びハイ/ローの遷移におけるサンプル電圧間の差分として、ピークツーピーク電圧UNPPが算出される。
電圧UNPPは、以下の式に基づいて算出される。
NPP=Vcc(R+2R)/R (式2)
したがって、UNPPは、ネルンストセル(224)インピーダンスRに線形に追従し、信号経路内で、測定ラムダ信号に影響を及ぼすような如何なるフィルタリングも使用しない、ネルンストセル(224)インピーダンスのための便利な尺度となる。抵抗器R及び抵抗器Rは、Rを流れる電流が、ネルンストセル(224)の機能に影響を及ぼさないように十分小さくなり、及びネルンスト動作温度及びインピーダンスにおけるUNPPが約10mVとなるように選択される。
ステップ612では、酸素センサセル224の出力信号に基づいて、酸素イオンフロー210を正電流(Ip)と負電流(−Ip)との間で切り替える。電流208を変更する適切な方法の具体例については、図5を参照して上述した通りである。
ステップ614では、空気のためのパルス幅比(PWMAIR)を判定する。これらの具体例では、正電流サイクル及び負電流サイクルについて、パルス幅(t1AIR及びt2AIR)を判定する。矩形波の遷移時間は、演算デバイス218内の水晶クロックによって計時され、パルス幅が測定される。パルス幅の値は、例えば、1秒間等の十分な期間に亘って、測定され、平均され、平均PWMAIRが算出される。
惰行条件の間、空気のためのパルス幅比が算出されると、演算デバイス218は、ポンプ電流208のパルス幅を測定する前に、条件に到達したときを判定する。演算デバイス218がシステムのECUである場合、ECUは、スロットルポジションや機関回転数等、ECUが直接利用可能なパラメータに基づいて、条件を検出する。
ステップ616では、PWMAIRをメモリに保存する。較正情報を保存し、読み出すために、様々な技術を用いることできる。例えば、パルス幅(t1AIR及びt2AIR)を直接メモリに保存し、後にPWMAIRの算出のために使用してもよい。このような処理は、圧力及び温度変動を更に補償するために矩形波の周波数を使用する場合に望ましい。パルス幅タイミングを保存することによって、空気のための平均パルス幅比(PWMAIR)に加えて、周波数情報が保存される。
ステップ618では、酸素センサセル206の出力信号に基づいて、酸素イオンフロー210を第1の電流と第2の電流との間で変更する。ここに説明する具体例では、電流208は、(IP)とゼロとの間で変更される。上述した方法と同様の手法では、負電流(−IP)に代わってゼロ電流を使用する点を除いて、電流208を第1の電流から第2の電流に同様に変更する。
ステップ620では、第2の電流がゼロのときの空気のためのパルス幅比(PWM’AIR)を判定する。ここに説明する具体例では、正電流サイクル及びゼロ電流サイクルについて、パルス幅(t’1AIR及びt’2AIR)を判定する。矩形波の遷移時間は、パルス幅を測定するために、演算デバイス218内の水晶クロックによって調整される。パルス幅の値は、例えば、1秒間等の十分な期間に亘って、測定され、平均され、平均PWM’AIRが算出される。PWM’AIRを測定するために、演算デバイス218は、較正信号(CALIBRATE)をハイに設定する。NANDゲート(U)328は、ANDゲート(U)318と共に、ポンプ電流208のハイフェーズの間だけ、アナログスイッチ316をオンに切り替える。ローフェーズの間は、アナログスイッチ316は、オフとなり、ポンプ電流は、流れることができない。
ステップ622では、PWM’AIRをメモリに保存する。較正情報を保存し、読み出すために、様々な技術を用いることできる。例えば、パルス幅(t’1AIR及びt’2AIR)を直接メモリに保存し、後にPWM’AIRの算出のために使用してもよい。
幾つかの状況では、他の較正処理を実行してもよい。圧力及び温度補償のための較正処理は、例えば、ある較正条件におけるポンプ電流208に対応する周波数情報を測定及び保存することによって実行してもよい。
図7は、被測定パルス幅比PWMRATIOをパルス幅比関数と比較することによって気体の酸素濃度を測定する方法のフローチャートである。図7を参照して説明する方法は、図4のステップ408を実行する方法の具体例である。図7を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
ステップ702では、予備的酸素濃度(λPRE)を算出する。ここに説明する具体例では、予備的酸素濃度(λPRE)は、以下の式によって判定される。
λPRE=P/(PWMAIR−PWMRATIO) (式3)
P=(1+PWM’AIR)(1−PWMAIR)/(1−PWM’AIR) (式4)
演算デバイス218は、メモリから、PWMAIR、PWMRATIO及びPWM’AIRの値を読み出し、上の式を適用して、予備的酸素濃度λPREを算出する。後述するように、理論空燃比におけるパルス幅比(PWMST)がゼロの場合、Pは、PWMAIRに等しい。したがって、特定のセンサのためのPWMSTがゼロの場合、λPREは、PWMAIR/(PWMAIR−PWMRATIO)に等しい。
ステップ704では、λPREが1未満であるかを判定する。λPREが1未満である場合、処理はステップ706に進む。この他の場合、処理はステップ708に進み、気体の酸素濃度(λ)は、予備的酸素濃度λPREと等しいと判定される。
ステップ706では、気体の酸素濃度(λ)は、較正係数(M)が乗算された予備的酸素濃度(λPRE)と、1から較正係数を減算した値との和(λ=(λPRE)*M+(1−M))に等しいと判定する。ここに説明する具体例では、特定のブランド及びモデルの測定セル202の較正係数Mは、既知の酸素濃度を有する気体に露出された場合の測定セルの202性能の統計的解析を介して導出される。幾つかの状況では、複数の測定セルのそれぞれのための較正係数がメモリに保存され、酸素測定デバイス222内で接続された特定のモデルに適用される。Mの典型的な値の具体例は、0.71428である。
図8は、ヒータ制御ユニット302を較正する方法のフローチャートである。図8を参照して説明する方法は、図6のステップ606を実行する方法の具体例を提供する。図8を参照する説明は、酸素センサに関するものであるが、この教示は、他のタイプの広帯域センサにも適用できる。
ステップ802では、ヒータ素子330の温度が上昇していく際のヒータ素子330インピーダンスを監視する。図3を参照して説明したモニタリング装置では、アナログスイッチ316は、ヒータユニット較正処理の間、初期的に開かれている。適切な加熱タイムテーブルに基づき、電力がヒータ素子330に供給され、この温度を上昇させる。ヒータ制御ユニット302は、ヒータ素子に亘る電流及び電圧を監視し、ヒータ素子のインピーダンスを判定する。ヒータ制御ユニットは、ヒータ素子インピーダンスをヒータ素子330の温度に関連付けて保存されている情報に基づいて、酸素センサセル224が最低動作温度に到達したときを判定する。ヒータ制御ユニット302は、所望の最低動作温度に到達したとの判定に応じて、「準備完了」出力に「ハイ」イネーブル信号を出力する。イネーブル信号が「ハイ」になると、ANDゲート(U)318は、アナログスイッチ316を閉じる。
ステップ804では、最低動作温度に到達したかを判定する。最低動作温度に到達している場合、処理はステップ806に進む。この他の場合、ステップ802において、アナログスイッチ316を開いて、ヒータ温度の監視を継続する。
ステップ806では、ネルンストセルインピーダンスを目標ネルンストセルインピーダンスに維持する。ヒータ制御ユニット302は、温度を変更してネルンストセルインピーダンスを目標値に維持するように制御される。目標ネルンストセルインピーダンスは、測定セル(センサ)202のタイプ及びブランドに依存する所定の値であり、センサの製造業者によって提供される。ネルンストセルインピーダンスは、温度及びインピーダンスの変動を整定するために、最短時間の間、一定又は略々一定に保たれる。適切な設定時間の具体例は、10秒である。
上述したように、ネルンストセル(224)インピーダンスは、ハイパスフィルタ及び増幅器(図示せず)を介してネルンストセル(224)の出力電圧信号を渡すことによって監視される。フィルタリングされ、増幅して得られた信号は、コンパレータ遷移点でサンプリングされる。そして、式2に基づいて、ロー/ハイ及びハイ/ローの遷移におけるサンプル電圧間の差分として、ピークツーピーク電圧UNPPが算出される。
ステップ808では、好適なヒータインピーダンス及び好適なポンプセルインピーダンスを測定及び保存する。ここに説明する具体例では、ポンプセルインピーダンスは、式1に基づいて算出される。上述のように、酸素測定デバイス222が発振モードにある場合、ポンプセル204の電圧(Uの出力)は、Vcc、RPUMP、抵抗器R、及びポンプセル204の逆EMFによって判定される。コンパレータ304の演算増幅器(U)322の出力は、0VとVccとの間で切り替えられる。ヒータ制御ユニット302は、演算増幅器(U)322の出力の各遷移の前後に演算増幅器(U)308の出力をサンプリングする。各遷移の前後に測定された電圧の間の差分の絶対値がUDIFFである。幾つかの状況では、演算増幅器(U)322の出力は、十分高いカットオフ周波数を有するハイパスフィルタ(図示せず)を介して渡される。フィルタ出力は、遷移点の後に直ちにサンプリングされ、この結果の出力電圧の絶対値がUDIFFになる。
酸素測定デバイスの特定の具体例に応じて、様々な較正係数及び式を用いることができるが、ここに説明する具体例では、上の式は、以下の解析及び仮定に基づいて、導出されている。当業者は、この教示に基づいて、変形例を想到することができる。
以下では、次のような定義に基づき、式5〜26を参照して、様々なパラメータの間の関係について説明する。
は、ネルンストセル(206)を遷移点で維持するために、測定セル202を出入りすることが要求される酸素フローである。
は、固定された定電流(Ip)において、ネルンストセル(224)から出る酸素フロー値である。
は、固定された定電流(−Ip)において、ネルンストセル(224)に入る酸素フロー値である。
は、ネルンストセル(224)を0.445Vから0.455Vに切り替えるために必要な酸素ポンプ時間(Qフロー)である。
は、ネルンストセル(224)を0.455Vから0.445Vに切り替えるために必要な酸素ポンプ時間(Qフロー)である。
したがって、上述の仮定から、ネルンストセル(206)電圧は、10mVppの交流(AC)成分を有する0.45Vである。これにより得られるQは、以下の通りである。
=(Q*t−Q*t)/(t+t) (式5)
タイミング関係は、以下のように表される。
PWMRATIO=(t−t)/(t+t) (式6)
1と2を用いて、式1は、以下のように書き換えることができる。
=[(Q+Q)*PWMRATIO+Q−Q)]/2 (式7)
ポンプフロー比率(QRAT)は、以下のように表すことができる。
RAT=(Q−Q)/(Q+Q) (式8)
空気圧の変化においては、Q及びQは、略々比例して変化し、したがって、QRATは、略々一定に留まる。温度変化にも同様のことが当てはまる。したがって、QRATは、温度から独立している。
幾つかの状況では、センサが経年変化したとき、QRATが変化することがあり、したがってセンサは、最適性能を維持するために定期的に較正する必要がある。
及びQが既知であり、一定である場合、酸素流量及びラムダ(λ)は、測定されるタイミング関係PWMRATIOから判定される。ポンプ電流208、温度、排気圧、気圧及び空気の酸素濃度が一定であれば、Q及びQは、一定である。ここに説明する具体例では、ポンプ電流208及び温度は、慎重な回路設計によって一定に保たれる。ここに説明する解析では、大気酸素濃度は、20.9%で一定であると仮定する。気圧の影響は、較正によって補償される。排気圧の影響によって、Q及びQの両方が等しい係数で変化する傾向があり、また、圧力に応じて、酸素センサセル206の表面に存在する酸素イオンが多くなったり少なくなったりするため、酸素センサセル206の応答時間も変化する。
上述したように、酸素監視デバイス222は、一定の正の値及び負の値の間でポンプ電流208を切り替えることによって酸素フローを測定する。この一定のポンプ電流値の絶対値は、自由空気のために必要なポンプ電流208の絶対値より大きくなるように選択される。
上の式は、線形であり、2つの既知の点によって判定できる。時間値のt及びtは、水晶クロックによって制御されたマイクロプロセッサ又はタイマ回路によって測定され、これにより、一旦、2つの較正点が既知になれば、ラムダ(λ)の精密な判定を行うことができる。
理論空燃比に従う混合気(stoichiometric exhaust mixture)は、調整用の如何なる酸素フローも必要とせず、したがって、定常状態のポンプ電流208は、ゼロである。この条件を用いて、較正点の1つである、理論空燃比におけるパルス幅比(stoichiometric pulse width ratio)PWMSTを判定する。
上述したように、第2の較正点は、被測定気体が空気のときのパルス幅比を測定することによって取得される。測定セル202は、自由空気に露出される。測定セル202が自動車に取り付けられていない場合、測定セルは、自由空気に露出されるエリアに配置される。測定セル202が自動車に取り付けられる場合、自動車が適切な時間に亘って動作しておらず、全ての排気ガスが消散しているとき、又は自動車が惰行モードにあるときに自由空気のための較正を実行する。惰行モードの間、エンジンのスロットルは、完全に閉じられ、機関回転数は、所定の値を超えている。この場合、典型的なECUは、エンジンが動力出力を必要としないため、及び燃料の節約のため、燃料を注入しない。そして、測定チャンバ内の空気から全ての酸素をポンピングするために十分高い総フロー値(total flow value)Qを用いてポンプセル204を駆動する。
式5〜式8から以下のことが言える。
PWMST=−QRAT (式9)
排気酸素濃度から算出されるラムダ値λは、以下のように表すことができる。
λ=空気酸素含有量/(空気酸素含有量−余剰酸素) (式10)
なお、式6の値である余剰酸素は、全ての酸素が消費されても、燃焼されていない又は部分的に燃焼された燃料がまだ存在している場合には、負の値を有することができる。
体積の代わりに酸素流量を調べるため、以下の除算によってtを消す。
λ=Qf(AIR)/(Qf(AIR)−Q) (式11)
式7、式8、式9及び式11から、以下の式が得られる。
λ=(PWMAIR−PWMST)/(PWMAIR−PWMRATIO) (式12)
上述したように、第2の自由空気PWM比(PWM’AIR)は、自由空気較正の間、ポンプセル204を、Qと電流なし(Q=0)との間で切り替えることによって測定される。
PWMSTは、較正の間に、以下の式に基づいて、PWMAIRとPWM’AIRから算出される。
式7から、
2*Q=(Q+Q)*PWMAIR+Q−Q (式13)
2*Q=Q*PWM’AIR+Q (式14)
ここで、PWM’AIRは、QとQに代えて、Qと電流なしとの間で切替を行うことによって測定される。
P=PWMAIR−PWMST (式15)
式13及び式14から、
P=(1+PWM’AIR)*(1−PWMAIR)/(1−PWM’AIR) (式16)
PWMST=PWMAIR−P (式17)
式12を適用すると、以下のようになる。
λ=P/(PWMAIR−PWMRATIO) (式18)
上述のように、PWMAIRは、適切な動作温度で自由空気にセンサを露出することによって測定され、幾つかの状況では、補償係数を判定するために、周波数情報が使用される。以下の解析は、周波数と他のパラメータとの間の関係を示す。
式8に戻ると、Q=Qの場合、QRAT(したがって、PWMST)は、ゼロになる。実際のサンプリング周波数は、総合的なフロー比(full flow ratio)Qに依存する。
したがって、式8は、以下のように書き換えられる。
=Q*PWMRATIO (式19)
式12は、以下のようになる。
λ=PWMAIR/(PWMAIR−PWMRATIO) (式20)
は、ポンプ電流208であるIpの関数であり、したがって、Q=f(Ip)である。排気圧の変化のために一定のIpのためのQが変化した場合、測定されたPWMRATIOは、同じ調整フローQのためのPWM’RATIOになる。
排気ガス圧力又は温度が変化すると、Q及びQは、第1の近似において、係数Kによって変化する。
そして、式8は、以下のようになる。
=K*[(Q+Q)*PWM’AIR+Q−Q)]/2 (式21)
ここで、
*t=K*Q*t’ (式22)
*t=K*Q*t’ (式23)
測定周波数fは、以下のように判定される。
f=1/(t+t) (式24)
f’=1/(t’+t’) (式25)
式20、式21、式22及び式23から、以下の式が導き出される。
K=f’/f (式26)
他の全ての環境条件が一定であるときfは定数であるので、この式を用いて、温度及び/又は圧力の変化について修正を行うことができる。式8は、以下のようになる。
λ=(PWMAIR−PWMST)/(PWMAIR−(1−K)*PWMST−K*PWM’RATIO) (式27)
そして、式18は、以下のようになる。
λ=PWMAIR/(PWMAIR−K*PWM’RATIO) (式28)
したがって、これらの式によって、圧力補償係数Kを適用して、圧力又は温度の変化を補償することができる。特別な状況では、Q及びQは、同じ係数Kでは等しく変化しない。したがって、幾つかの状況では、正規化された周波数偏差f’/fを経験的に導出されたルックアップテーブルへのインデクスとして用いて、正確な偏差係数K’を抽出する。
K’=func(f’/f) (式29)
これにより、一旦、所与のセンサタイプについて、正規化された周波数/ラムダテーブルを経験的に作成した後は、排気圧を測定する独立したセンサの使用なしで、算出されたラムダ値を、排気圧の変化のために修正できる。
従来の市販のパッケージ化された測定セル202は、ポンプセル204及びネルンストセル(224)の仮想接地に対して温度に依存する寄生抵抗を有することが多い。多くの市販の測定セル202に上述した圧力補償法を適用するためには、ソフトウェア又は回路によって、この寄生抵抗を解決する必要がある。
上述した式及び解析は、上述したものとは異なる手法で本発明の他の具体例に適用してもよく、ここに説明した教示は、様々な形式、具体例及び構成に適用できる。上述のように、ハードウェア及びソフトウェアは、様々な要素を含むように変更してもよい。例えば、演算増幅器(U)308がトライステート出力を提供する場合、アナログスイッチ316をなくすことができる。また、アナログスイッチ316は、酸素測定デバイス222内で演算増幅器(U)308の出力に接続することに代えて、反転抵抗器(R)310の前に接続してもよい。また演算増幅器(U)308も、トライステート出力を提供してもよい。更に、ヒータ制御装置302は、演算デバイス218の一部として統合してもよい。
更に、幾つかの状況では、ツェナーダイオード314は、デジタル/アナログ(D/A)変換器又は電位差計に置き換えてもよい。これによって、基準電圧UREFは、理論空燃比におけるパルス幅比PWMSTが正確にゼロになるように設定できる。このような状況では、λを算出するために用いられる式は、以下のようになる。
λ=PWMAIR/(PWMAIR−K*PWM’) (式30)
幾つかの状況では、上述した解析に基づいて、周波数情報を解析し、他の有用な情報又はデータを提供する。例えば、測定セル202の応答時間は、経年変化するので、置換の必要性を判定するための尺度として、発振周波数を直接使用してもよい。下限閾値周波数に達すると、演算デバイス218によって、センサを置換するべきであるとの警告を提供してもよい。周波数解析は、好ましくは、自由空気の値を再較正する際に実行するとよい。これは、環境条件が比較可能である(式27のf’及びfが等しい)ため及び周波数変化がセンサの経年変化に起因するためである。
図9は、酸素測定デバイス222を具体化する適切なハンドヘルド型診断デバイスのブロック図である。上述のように、酸素測定デバイス222は、複数の構成及びデバイスの何れとして実現してもよい。例えば、酸素測定デバイス222は、OEMデバイスとして自動車燃料システムに組み込んでもよい。更に、酸素測定デバイス222は、車載用のアフターマーケット燃料供給システム又は診断システムの一部であってもよい。この教示に基づき、他のデバイス及び用途も当業者にとって明らかである。
ハンドヘルド型診断デバイス900は、ハウジング902、ディスプレイ904、コネクタ906〜912、並びに演算デバイス218及び電流管理デバイス216へのインタフェースを提供するボタン(又は他のタイプのスイッチ)912、914を備える。ディスプレイにより、ユーザは、ハンドヘルド型診断デバイス900の状態に関する情報を見ることができる。ハンドヘルド型機器900が備えるコネクタ906〜912は、外部のコンピュータに接続するためのシリアルポート912と、測定されたλに対応するアナログ信号を供給するためのアナログ出力コネクタ908と、補助センサインタフェース919と、センサコネクタ906とを含む。また、ある状況では、他のコネクタ、例えば、DC電力を受け取る電源コネクタを設けてもよい。演算デバイス218に接続されたボタン908は、較正処理を開始するためのユーザインタフェースを提供する。記録ボタン914は、数秒間のデータをメモリに保存できる記録処理を開始するためのユーザインタフェースを提供する。使用できる他のボタン又はスイッチの具体例には、オン/オフスイッチ(図示せず)が含まれる。ボタン及びコネクタは、演算デバイス218及び他の回路に接続され、ユーザ、測定装置222、測定セル202及び他の外部の設備との間のインタフェースを提供する。
したがって、気体の酸素濃度を測定するためのシステム、装置及び方法は、従来のシステムに対して複数の利点を有する、費用効率が高く、効率的で正確な、気体を監視するための手法を提供する。ここに説明する技術によって、酸素濃度(λ)測定のためにアナログデジタル(A/D)変換が不要であるため、設計を単純化できる。更に、測定セルセンサにおいて、センサの公差を補償するための較正抵抗器は不要であり、この結果、製造が単純化され、製造コストが低減される。測定セル202自体には、広い公差を許容でき、この結果、製造歩留まりを高くできる。精密抵抗器も他の精密部品も不要であるため、回路コストが最小化される。酸素監視デバイス222は、圧力及び温度の変動を自己補償(self-compensate)する。測定処理は、アナログの電流/電圧領域の代わりに、時間領域に変換される。典型的な抵抗器の公差である10−2に比べて、水晶タイムベースの公差は10−6以下であるため、典型的なデジタル設計と同様に標準の水晶タイムベースを用いることによって、温度及び経年変化に関連するドリフトを排除できる。測定結果は、1/ラムダに対して線形であり、センサのIp/ラムダ曲線から独立している。較正は、便利であり、標準気体として空気だけを使用する。
図9に関する記述では、酸素測定デバイス222を具体化するのに適切なハンドヘルド型診断デバイスについて説明したが、この教示は、他のタイプの広帯域センサを使用するハンドヘルド型デバイスを実現するために適用してもよい。例えば、デバイス900は、窒素に反応し、または気体の窒素酸化物に反応する測定セルに接続するように構成してもよい。
図10は、単一の電気化学セル1006がセンサセル及びポンプセルの機能を実行する具体例に基づく、広帯域センサ1002に接続されたセンサ管理デバイス1004を含むセンサシステム1000のブロック図である。イオン濃度測定システム1000は、(単一の電気化学セルによって形成された)測定セルを有するセンサと、電気化学セルにおけるセル電圧に応じて、電気化学セルを流れるポンプ電流を、第1の定電流と第2の定電流との間で変更するセンサ管理デバイスとを備える。被測定流体は、測定開口1010を介して、センサの測定チャンバ1008に流入する。電気化学セル1006は、電気化学セル1006を流れるポンプ電流に基づいて、測定チャンバ1008と空気等の周囲流体に露出される周囲開口1012との間で、イオンを移動させる。センサ測定デバイス1004は、電気化学セル1006におけるセル電圧(VCELL)1018に基づいて、被測定流体のイオン濃度を判定する。電気化学セル1006の内部抵抗を判定し、セル電圧1018から減算することによって、被測定流体のイオン濃度を示す電気化学セル1006のネルンスト電圧が得られる。
センサシステム1000は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。ここに説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。
センサ1002は、測定開口1010及び周囲開口1012を有する測定チャンバ1008内に接続された電気化学セル1006を含む。電気化学セル1006を流れるポンプ電流1014の大きさ及び方向は、電気化学セル1006内のイオンのフロー1016を示す。測定チャンバ1008の測定開口1010は、被測定流体を受け取るように配置され、周囲開口1012は、周囲流体に面している。被測定流体及び周囲流体は、気体であっても液体であってもよい。ここに示す具体例では、被測定流体は、被測定気体であり、周囲流体は、周囲空気であり、被測定気体は、酸素である。電気化学セル1006は、電気化学セル1006を流れるポンプ電流1014に基づいて、測定チャンバ1008内でイオン濃度を変化させ、イオン濃度に関連する電圧(VCELL)1018を示すデバイス、コンポーネント又は要素(element)の何れであってもよい。電気化学セル1006は、従来のセンサにおけるポンプセルと同様である。この具体例では、電気化学セル1006は、酸素イオンに反応するネルンストセルである。但し、幾つかの状況では、電気化学セル1006は、他の気体、例えば、気体の窒素酸化物(NOx)等に反応してもよい。
電気化学セル1006を介して定電流が流されると、セルにおいてネルンスト電圧と、電気化学セル1006の内部抵抗によって生じる電圧降下(抵抗電圧)との和である電圧が生成される。内部抵抗は、セルのインピーダンスの実部であり、オームインピーダンス(Ohmish impedance)と呼ばれることもある。抵抗電圧(V)は、内部抵抗を流れるポンプ電流から生じる。ネルンスト電圧は、測定チャンバ内の酸素濃度を示し、総電気化学セル電圧(VCELL)と抵抗電圧(V)との間の差分に等しい。したがって、ネルンスト電圧は、電気化学電圧(VCELL)から抵抗電圧(V)を減算することによって算出できる。この具体例では、センサ管理デバイス1004は、正負の定電流の間でポンプ電流1014を継続的に切り替え、セル電圧を測定し、抵抗電圧(V)を減算することによって、ネルンスト電圧に基づいて、酸素濃度を判定する。センサ管理デバイス1004は、電流管理ユニット216及び演算デバイス218を含み、電流管理ユニット216は、電流を制御し、セル電圧を測定する。したがって、図10に関して説明した具体例の動作は、ポンプセル及び測定セルが単一の電気化学セルに置き換えられている点を除けば、図2A、図2B及び図3を参照して説明した具体例の動作と同様である。したがって、図10の具体例のポンプセルは、測定セルとしても機能する。
電気化学セル1006は、測定チャンバ1008内のイオンの数に基づいて、出力信号を提供する。センサ管理デバイス1004は、この出力信号に応じて、2つの定電流レベル間でポンプ電流を変更する。第1のポンプ電流は、出力信号が第1の閾値に到達するまで、電流管理ユニットによって維持される。第1の閾値に到達すると、電流管理ユニット1004は、出力信号が第2の閾値レベルに到達するまで、ポンプ電流1014を反対の方向に流す。演算デバイスは、電流変動を監視し、被測定流体(気体)のイオン濃度を判定する。これにより得られる振動のパルス幅比(デューティサイクル)は、ポンプセルを流れる酸素フローの指標として用いられる。電流信号のパルス幅比及び他の関連する波形及び信号の評価は、酸素濃度を測定するために用いることができる。上述のように、センサシステム1000の適切な応用例は、内燃機関からの排気ガスを監視し、混合気(air-fuel mixture)を調整するために酸素濃度を測定するための気体イオン監視デバイスを含む。イオン監視デバイス、方法及びシステムは、幾つかの種類のアプリケーション及びシステムの一部として実現してもよく、流体媒体内の様々な種類の任意のイオンを測定するために使用してもよい。幾つかの具体例には、NOイオンレベル又はNOイオンレベル等の気体の窒素酸化物のイオン濃度の測定、二酸化炭素レベルの測定、水の酸素や二酸化炭素濃度等の液体内の気体イオン濃度の測定が含まれる。更に、幾つかの状況では、塩及び元素のイオン濃度、例えば、液体又は気体内の鉛を測定できる。このように、イオンセンサ及び電流ポンプが、測定される特定のイオンに反応すれば、様々な如何なる種類のイオン濃度でも測定できる。更に、図20、図21及び図22に関して後述するように、測定セルは、NOx測定システムの一次電気化学システムとして用いることができ、一次電気化学システムは、第1の出力信号を提供し、第1の出力信号は、参照値として用いられ、窒素感知電気化学セルの第2の出力信号と比較されて、NOx濃度が判定される。
適切なセンサ管理デバイス1004の具体例は、インタフェース1022を介して、測定セル(電気化学セル1006)に接続されるように構成され、電流管理ユニット1018及び演算デバイス1020を構成する回路を含む装置を含む。インタフェース1022は、電気的コネクタ、直接ケーブル接続又はセンサ1002とセンサ管理デバイス1004との間で信号を伝送するための他の電気コンタクト構成を含むことができる。電流管理ユニット1018は、測定チャンバ内の被測定流体のイオン濃度に基づく出力信号1018を受け取るように構成される。電流管理ユニット1018は、更に、出力信号1018に応じて、電気化学セル1006のポンプセルを流れるポンプ電流1014を、第1の定電流と第2の定電流との間で変更することによって、電気化学セル1006と周囲流体との間のイオンフローを調整するように構成される。演算デバイス1020は、ポンプ電流の矩形波のパルス幅比に基づいて、被測定流体のイオン濃度を判定するように構成される。したがって、特定の具体例に応じて、演算デバイス1020は、ポンプ電流1014に関連し、又はポンプ電流1014から導出される様々な信号又は波形の何れを評価してもよい。
したがって、測定された電圧は、ポンプ電流の反転をトリガするために用いられる。例えば、正のポンプ電流(I)の間、ネルンスト電圧(|VCELL|−|R*I|)≧0.5ボルトになると、ポンプ電流(I)が反転され、R(内部抵抗)が後述するように算出され、処理は、ネルンスト電圧が0.4V以下になるまで、一定の負のポンプ電流によって継続される。そして、ポンプ電流(I)は、極性が反対に戻され、これが繰り返される。この具体例でヒステリシス電圧は、0.1V(0.5V−0.4V)である。これとは異なるヒステリシス電圧を用いてもよい。幾つかの場合、両方の閾値に同じ値を用いてもよい。
この具体例では、電気化学セルの内部抵抗(R)は、セルを流れる正電流から負電流への、及び/又は負電流から正電流への遷移点におけるセルの電圧変化を測定することによって判定される。ポンプ電流は、一定の正電流及び負電流の間で切り替えられるので、抵抗は、オームの法則に基づいて算出される。
内部抵抗は、電気化学セルの温度に依存している。ポンプ電流の極性反転の時点では、セルは、反応する時間がなく、新たな方向には、酸素をポンピングしていない。したがって、ネルンスト電圧を決定する酸素濃度差は、大きくは変化していない。したがって、セルの電圧変化は、少なくとも大部分は、電流の変化によって引き起こされる。電流の差及び電圧の差に基づき、内部抵抗は、RCELL=ΔVCELL/ΔIの関係に基づいて判定され、ここで、ΔVCELLは、セルの電圧の差であり、ΔIは、ポンプ電流の差である。内部抵抗RCELLは、オームの法則、V=RCELL*Iに基づいて、内部抵抗RCELLに起因する電圧降下(V)を判定するために使用される。ネルンスト電圧、したがって、イオン濃度を判定するための後の計算における残りのサイクルのために、電気化学セルにおける実際の電圧(VCELL)から抵抗電圧(V)が減算される。殆どのアプリケーションでは、電圧変化ΔVCELLは、電流遷移の前後の数マイクロ秒まで測定できる。極性反転の直前及び直後の電圧間の差分は、ΔVCELLで表される電圧変化である。ΔVCELL電圧を測定するための適切な技術は、サンプルアンドホールド回路を用いる技術を含む。
上の説明は、以下の具体例に適用できる。ポンプ電流の絶対値が5mAであり、測定されたΔVCELLが0.8ボルトである場合、Ipは、+5mAから−5mAに飛ぶ。ΔIpは、10mA(+5mA−(−5mA))であるため、RCELLは、80オームである。測定チャンバが理論空燃比より僅かに過濃である場合(ネルンスト電圧は、0.5Vである。)、+5mAから−5mAへの急転において、実際の測定セル電圧は、0.9Vから0.1Vに飛ぶ。このとき、ポンプ電流は、負(−5mA)になり、ポンプセルは、測定チャンバに酸素イオンをポンピングする。これによって、このチャンバは、徐々に希薄になり、ポンプセル電圧が減衰する。0Vの下限閾値(0.1Vヒステリシスを用いる)において、電流の極性は、再び逆にされ、セルの電圧は、0.8Vに飛ぶ(ネルンスト電圧の0.4V+Vの0.4V)。このとき、酸素イオンは、再びチャンバからポンピングされ、ポンプセルに亘る電圧は、0.9V(ネルンスト電圧の0.5V+Vの0.4V)の上限閾値に到達するまで再び上昇し、このような動作が繰り返される。
図11は、例示的なポンプ電流114及び対応するセル電圧(VCELL)1018のグラフ図である。ポンプ電流1014が正定電流1102と負定電流1004との間で切り替えられると、電気化学セル(ポンプセル)に亘る電圧(VCELL)も、正電圧と負電圧との間で振動する。上述のように、総電圧(VCELL)の一部(V)1106は、内部抵抗(R)に起因し、これを抵抗電圧(V)1106と呼ぶ。ポンプ電流が反転された後、セルには反対の抵抗電圧が現れ、総セル電圧における閾値に近付き始める。抵抗電圧とネルンスト電圧1108との和は、総セル電圧(VCELL)に等しい。
図12は、センサ1200の断面のブロック図であり、センサ1200は、単一の電気化学セルと、測定開口1010としての使用される拡散ギャップ1202とを備える。測定側の電極は、測定チャンバ1008に露出され、大気電極は、空気等の大気流体1210に露出される。上述のように、従来の広帯域センサは、ネルンスト基準セル出力と変化するポンプセル電流との間で、2つのコンポーネント間の物理的分離のために、遅延を示す。図12の具体例では、ポンプセルの探査電極面も、被測定気体に、遅延なく直接反応するので、この遅延が生じない。これによって、測定速度が更に速くなる。したがって、図12に示す実施の形態は、独立したセンサ基準セルなしで、他の部分は周知の技術に基づいて構成された広帯域センサの具体例である。
図13は、センサ1300の断面のブロック図であり、センサ1300は、単一の電気化学セル及び測定開口1010のための多孔質膜1302を備える。図13に示す具体例では、測定チャンバ及び拡散ギャップが省略されている。排気ガスに露出されるポンプセルの電極は、排気ガスのセンサ電極への緩やかな拡散を可能にする不活性多孔質材料で覆われている。このように、従来のセンサの単一の拡散ギャップ及び測定チャンバは、多数の拡散チャンネルに置換される。これは、本質的には、ポンプセル表面を多数の平行な動作ポンプセルに分割する。これによって、拡散ギャップを覆う単一の小粒子によってセンサが動作不能になる可能性が大幅に低減される。また、通常の広帯域センサに比べて、各ポンプセル部分は、遙かに小さい気体試料のみに対して動作すればよいため、動作速度を更に高めることができる。センサの温度は、拡散速度及びネルンスト電圧に対するその影響のために、測定することが有益であることがあり、これらのセンサのために用いられる材料は、強い負の温度係数を有するので、センサの温度は、セルの内部抵抗(オームインピーダンス)を介して測定できる。多孔層は、強い断熱特性を有する材料から形成してもよい。また、これは、ポンプセル自体のための保護としても機能できる。適切な構造によって、この多孔層は、それ自体で、センサのための保護シールドとして機能し、この結果、従来の広帯域センサの周囲に形成される金属シールドのフローダイナミクスによって引き起こされる応答速度の減速の問題が解消される。
したがって、図10〜図13に関して説明した装置、システム及び方法は、従来のイオン濃度測定システムに対して、幾つかの利点を提供する。2つのデバイスをなくすことによって、より容易に製造できるセンサが提供され、使用時におけるセンサ内の遅延も短縮される。制御ループの方式と比べて、PWM方式を用いるため、より正確な結果が得られる。セルの内部抵抗は、温度に依存するので、算出された内部抵抗RCELL値を用いて、温度を測定し、ポンプセルヒータを制御することによって温度電気化学セル(ポンプセル)を調整することができる。
図14は、測定チャンバ1402、一次電気化学セルシステム1404及び二次電気化学セルシステム1406を備えるイオン濃度センサ1400のブロック図である。イオン濃度センサ1400は、液体や気体等の流体のイオン濃度を測定するために、様々なシステム及び実施の形態内で用いることができる。後述するように、イオン濃度センサ1400は、窒素イオンセンサを実現するために、ポンプセル、測定セル、及び電気化学セルを備えていてもよい。
一次電気化学システム1404及び二次電気化学システム1406は、それぞれ少なくとも1つの電気化学セルを含み、イオンのフロー1408、1410を、対応するポンプ電流1412、1414に応じて、測定チャンバ1402に入り及び測定チャンバ1402から出るように変更し、測定チャンバ1402内のイオン濃度1420、1422に基づいて、出力信号1416、1418を生成するように構成されている。すなわち、一次電気化学システム1404は、一次ポンプ電流1412に応じて、一次イオンフロー1408を、測定チャンバ1402に入り、及び測定チャンバ1402から出るように変更する。第1の出力信号1416は、測定チャンバ1402内の第1のイオン濃度1420に応じて生成される。二次電気化学システム1406は、二次ポンプ電流1414に応じて、二次イオンフロー1410を、測定チャンバ1402に入り及び測定チャンバ1402から出るように変更する。第2の出力信号1418は、測定チャンバ内の第2のイオン濃度1422に応じて生成される。イオン濃度1420、1422は、異なる元素のイオン濃度であってもよいが、ここに説明する具体例では、イオン濃度1420、1422は、同じ元素のものである。出力信号1416、1418の具体例は、電気化学セル又は測定セルによって生成される電気化学セル電圧を含む。以下で説明する具体例では、第2のイオン濃度1422は、二次電気化学システム1406の触媒電極の近傍の局所的酸素イオン濃度であり、第1のイオン濃度1420は、触媒電極の近傍を除く、測定チャンバ内に亘って実質的に一様な酸素イオン濃度である(包括的酸素イオン濃度)。したがって、これらの具体例では、第1のイオン濃度1420は、第1の領域内にあり、第2のイオン濃度1422は、第2の領域内にあり、第2の領域は、一次電気化学システムより二次電気化学システムの近傍にある。なお、特定の具体例に応じて、第1及び第2のイオン濃度1420、1422は、異なる元素のイオン濃度であってもよく、又は測定チャンバ1402内で異なる分布を有していてもよい。
イオン濃度センサ1402の動作の間、一次ポンプ電流1412は、第1の一次ポンプ定電流と第2の一次ポンプ定電流との間で変化し、一次イオンフロー1408を変更する。イオンフローの変更によって、第1のイオン濃度1420が上昇及び低下し、この結果、第1の出力信号1426を変化させる。一次ポンプ電流1412は、第1の出力信号1416に応じて調整される。後述する具体例では、一次ポンプ電流1412は、第1の出力信号1416が上限閾値に到達したとき、及び下限閾値に到達したときに反転される。第1の一次ポンプ定電流は、第2の一次ポンプ定電流に対して反対の極性を有する。
二次ポンプ電流1414は、第1の出力信号1416と第2の出力信号1418との間の関係に基づいて、第1の二次ポンプ定電流と、第2の二次ポンプ定電流との間で変化する。後述する具体例では、二次ポンプ電流1414は、第1の出力信号1416と第2の出力信号1418との間の差分が上限差分閾値に到達したとき、及びこの差分が下限差分閾値に到達したときに反転される。したがって、第2の出力信号1418は、第1のイオン濃度1420と第2のイオン濃度1422との間の相対イオン濃度を示し、第2の出力信号1418と第1の出力信号1416との間の関係は、イオン濃度を示す。後述する具体例では、例えば、二次ポンプ電流を制御する制御信号のデューティサイクルは、窒素酸化物(NOx)濃度を示し、第1の出力信号1416は、酸素濃度を示し、第2の出力信号1418は、NOxを酸素及び窒素に触媒的に還元した結果の酸素濃度を示す。二次ポンプ電流又は電流を制御する制御信号に関連し又はこれらから導出された信号又は波形の何れかを評価して、NOx濃度を判定することができ、評価される波形又は信号は、特定の具体例に依存する。また、閾値に依存し、閾値を選択することによって調整できるヒステリシス関数が形成される。
図15は、ポンプセル1502、酸素測定セル1504及び窒素感知電気化学セル1506を有するNOxセンサ1501を備える窒素酸化物(NOx)センサシステム1500のブロック図である。したがって、NOxセンサ1501は、イオンセンサ1400の具体例であり、一次電気化学システム1404は、ポンプセル1502及び酸素測定セル1504を含み、二次電気化学システム1406は、窒素感知電気化学セル1506を含む。ポンプセル1502は、測定される外部流体1508と、測定チャンバ1510とに露出されている。酸素測定セル1504及び窒素感知セル1506は、周囲流体1512及び測定チャンバ1510に露出されている。センサ1501は、気体及び液体を含む様々な流体を取り扱うように設計することができるが、典型的な具体例は、気体濃度を測定するための構成を含む。適切な実現化の具体例は、内燃機関の排気システム内にNOxセンサ1501を取り付け、排気ガスのNOx濃度を測定することを含む。したがって、このようなシステムでは、外部流体1508は、排気ガスであり、周囲流体1512は、周囲空気である。
被測定排気ガス等の被測定流体1514は、拡散ギャップ等の測定開口又は測定チャンバ1510への他の開口を介して受け取られる。図16に関して後述するように、被測定流体1514は、拡散ギャップを介してポンプセル1502に流れる。センサ管理デバイス1516は、セル電流を制御し、出力信号を検出することによって、センサ1501を管理する。酸素測定セル1504は、測定チャンバ1510内の酸素イオン濃度を示す酸素セル出力信号1518を提供する。したがって、酸素イオン濃度は、図14の具体例における第1のイオン濃度1420の実例である。酸素測定セル出力信号1518は、第1の出力信号1416の実例である。
動作の間、センサ管理デバイス1516は、ポンプセル1502を流れるポンプセル電流1520を、第1のポンプ定電流と第2のポンプ定電流との間で変更する。酸素測定セル出力信号1518は、センサ管理デバイス1516によって監視され、ポンプ電流1520の方向をいつ切り替えるかを判定するために使用される。酸素測定セル出力信号1518が上限閾値に到達すると、ポンプ電流1520は、測定チャンバ1510に酸素イオンをポンピングする正のポンプ定電流から、測定チャンバ1510から酸素イオンをポンピングする負のポンプ定電流に反転される。酸素測定セル出力信号1518が下限閾値に到達すると、ポンプ電流1520は、切り替えられ、正のポンプ電流に戻される。センサ管理デバイスとセンサとの接続を示すラインは、信号の機能的表現であり、物理的な接続の実際の数は、特定の具体例に依存する。幾つかの接続は、接地してもよく、他の電位に接続してもよい。図17に関して説明するように、例えば、それぞれのセルからの電極は、接地され、センサとセンサ管理デバイスとの間では、(接地を除く)2つの電気的接続だけが行われている。
窒素感知電気化学セル1506は、窒素酸化物(NOx)を窒素及び酸素に還元し、セル1506における局所的酸素イオン濃度を示す窒素セル出力信号1522を生成する電気化学セルである。図16に関して後述する具体例では、窒素感知電気化学セル1506は、測定チャンバ1510に露出され、NOxをN及びOに触媒的に還元する白金及びロジウム(Pt/Rh)電極を有する。NOxが存在している場合、NOxセル電極の局所的酸素濃度は、測定チャンバ1510内の他の部分の酸素濃度より高くなる。したがって、この局所的酸素濃度は、図14の第2のイオン濃度1422の具体例である。センサ管理デバイス1516は、窒素セル出力信号1522を酸素測定セル出力信号1518と比較し、窒素感知電気化学セル1506に窒素セルポンプ電流1524を流す。窒素セルポンプ電流1524は、窒素セルポンプ電流1524が負の場合、測定チャンバ1510から周囲空気1512に酸素イオンをポンピングし、窒素セルポンプ電流1524が正の場合、周囲空気1512から測定チャンバ1510に酸素イオンをポンピングする。窒素セルポンプ電流1524は、酸素セル出力信号1518と窒素セル出力信号1522との間の差分が上限閾値に到達したとき、及び下限閾値に到達したとき、反転される。したがって、窒素セルポンプ電流1524を切り替える制御信号の関数(波形)は、被測定流体1514のNOx濃度を示す。濃度は、他の値又は信号を観測することによって判定してもよい。例えば、窒素濃度を判定するために、窒素セルポンプ電流1524のデューティサイクルを解析してもよい。したがって、酸素測定セル出力信号1518(第1の出力信号1416)と窒素感知セル出力信号1522(第2の出力信号1418)との間の差分から導出され、又はこれに関連する他の値を用いて、窒素酸化物濃度を判定してもよい。
図16は、気体内のイオン濃度を測定するための図15のNOxセンサ1501の実現例であるNOxセンサ1600の断面のブロック図である。すなわち、NOxセンサ1600は、NOxセンサ1501の具体例であり、NOxセンサ1600は、内燃機関の排気システム内で用いることができる。また、センサ1600は、他のシステム内及び他の用途で使用してもよい。他の用途には、検出アラーム及び医療器具を含ませることができる。
NOxセンサ1600は、2つのラミネートされた二酸化ジルコニウム(ZrO)セラミック層1602、1604を備える。層1602、1604間の密閉された空間は、測定チャンバ1510を形成する。白金電極1606、1608は、排気電極1606が排気ガス1610(外部流体1508)に露出され、測定電極1608が測定チャンバ1510内の気体に露出されるように、第1の層1602の両側に配設されている。第1の層内の孔1612は、被測定気体1614(被測定流体1514)を受け取るための拡散ギャップを形成する。幾つかの状況では、他のタイプの拡散ギャップ及び拡散層を用いてもよい。
単一の白金電極(空気電極)1616は、空気電極1616が測定チャンバ1510の反対側になり、周囲空気1618(周囲流体1512)に露出されるように、第2のZrO層1604に配設されている。他の白金電極(酸素測定電極)1620は、第2の層1604上において空気電極1616の反対側に配設されており、空気電極1616及び第2の層1604と共に酸素測定セル1504を形成している。白金/ロジウム(Pt/Rh)電極1622は、空気電極1616及び第2の層1604と共に窒素感知電気化学セル1506を形成する。このように、白金電極1606、1608を有する第1の層1602は、ポンプセル1502を形成し、白金層1616、1620及びPt/Rh電極1622を有する第2の層1604は、酸素測定セル1504及び窒素感知セル1506を形成する。ポンプセル1502を流れる電流1520は、電流の方向と反対の方向に酸素イオンを輸送する。酸素測定セル1504、ポンプセル1502及び窒素感知セル1506に亘る電圧は、以下のネルンスト式に従う。
Voutn = (R*T/ 4*F) * ln (Po1/Po2)
ここで、Rは、普遍気体定数であり、Tは、ケルビンで表される温度であり、Fは、ファラデー定数であり、Po1は、1つの電極(酸素測定セル及びPt/Rhセルについては空気電極、ポンプセルについては排気ガス電極)の酸素分圧であり、Po2は、他方の電極(測定チャンバ内の電極)の酸素分圧である。空気の酸素分圧は、約20000パスカルである。
窒素感知セル1506は、窒素及び酸素に反応する。Pt/Rh電極1622は、窒素酸化物(NOx)を窒素(N)及び酸素(O)に触媒的に還元する。このメカニズムは、Pt/Rh電極1622の表面において、酸素含有量(分圧)の局所的濃縮を引き起こす。したがって、NOxが存在している場合、Pt/Rh電極の近傍では、酸素の局所的濃度は上昇する。空気電極とPt/Rh電極との間のネルンスト電圧は、酸素測定セル出力電圧(第1の出力信号1416)より低い。Pt/Rh電極1622の近傍の局所的酸素濃度は、図14の第2のイオン濃度1422の具体例である。
図17は、図16のNOxセンサ1600に接続されたセンサ管理デバイス1516を備えるNOx測定システム1700の概略的機能図である。NOx測定システム1700は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。図17を参照して説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。ある場合は、幾つかの機能ブロックを省略してもよい。例えば、フリップフロップの動作は、カウンタによる出力パルスの計数が本来有している機能であるため、フリップフロップを省略してもよい。したがって、図17は、測定システム内で接続されたセンサ1600の実現例の図である。図17を参照して説明する様々な要素、デバイス、値、信号及び機能は、特定の測定システム及びセンサの特定の構造、用途、環境及び要求に応じて、センサ1400、1501、1600の他の具体例を用いる他の測定システムでは異なっていてもよい。
ヒステリシスを有する第1のコンパレータ1702は、酸素測定セル1504に亘る酸素測定セル電圧1704(第1の出力信号1416)を基準電圧1706と継続的に比較する。この具体例では、基準電圧1706は、−450mVである。酸素測定セル電圧1704(第1の出力信号1416)が下限閾値より下に低下すると、第1のコンパレータ出力は、論理ハイ信号になり、酸素測定セル電圧1704(第1の出力信号1416)が上限閾値より上に上昇すると、第1のコンパレータ出力は、論理ロー信号になる。上限閾値及び下限閾値は、コンパレータ1702のヒステリシスによって判定され、測定チャンバ1510内の酸素濃度閾値に対応するように選択される。第1のコンパレータ出力1707は、クロック入力1710が第1のフリップフロップ1708のFF1出力1712をゲートするように第1のフリップフロップ(FF1)1708によって処理される。FF1出力1712は、第1の電流スイッチ1714を制御し、第1の電流スイッチ1714は、ポンプセル1502を流れるポンプセル電流1716を、第1のポンプ定電流1718と第2のポンプ定電流1720との間で切り替える。この具体例では、第1のポンプ定電流及び第2のポンプ定電流は、大きさが同じで、反対の極性を有する。したがって、第1のコンパレータ出力1707が下限閾値(−1/2ヒステリシス)より下に低下した後、次のクロックサイクルにおいて、第1のフリップフロップ出力1712は、ハイに設定される。この結果のハイFF1出力は、正のポンプ定電流1718がポンプセル1502を流れるように第1の電流スイッチ1714を設定する。この状態では、ポンプセル1502は、排気側電極1610からポンプセル1502を介して、及び測定チャンバ1510に酸素をポンピングする。第1の電流スイッチ1714は、FF1出力1712によって切り替えられるまで、この位置に残る。酸素測定セル電圧1704が上限閾値(+1/2ヒステリシス)に到達すると、第1のコンパレータ1702は、論理ローである第1のコンパレータ出力信号を生成する。次のクロックサイクルにおいて、第1のフリップフロップ1708は、出力を論理ロー信号に変更し、第1の電流スイッチ1714を負のポンプ定電流1720に切り替える。図17には、第1のスイッチ1714によって切り替えられる正電流源1726及び負電流源1728を含むスイッチング電流源1724を示している。したがって、スイッチング電流源1724は、図14の説明で言及した一次ポンプ電流1412を提供する。第1のポンプ定電流1718から第2のポンプ定電流1720に切り替えるスイッチング電流源1724の機能を実現するために、多くの技術及び回路の何れを用いてもよい。適切な技術の具体例は、上述のように、フィードバックループを提供する入力として演算増幅器の出力を用いることを含む。他の具体例は、電流源としてトランジスタ回路を使用し、電子スイッチを用いて、電流源と電流シンクとを切り替えることを含む。
ヒステリシスを有する第2のコンパレータ1730は、酸素測定セル電圧1704(第1の出力信号1416)とPt/Rhセル出力電圧1734(第2の出力信号1418)との間の関係に基づいて、出力1732を生成する。上述したように、Pt/Rh電極1622は、NOxをN及びOに還元し、Pt/Rh電極1622の近傍の局所的酸素濃度に基づいて、出力1734を生成する。NOxが存在している場合、局所的酸素濃度が上昇し、空気電極1616とPt/Rh電極1622との間のネルンスト電圧は、酸素測定セル1504の空気電極1622と測定電極1620との間のネルンスト電圧より低くなる。第2のコンパレータ1730は、酸素測定セルのネルンスト電圧1704(第1の出力信号)をPt/Rhセルのネルンスト電圧(第2の出力信号)と継続的に比較する。有意のレベルのNOxが存在し、PT/Rhセル電圧と酸素測定セル電圧との差分が下限閾値を下回る(例えば、差分が閾値幅を超える大きさを有する)場合、第2のコンパレータ1730は、論理ローの第2のコンパレータ出力信号1732を生成する。次のクロックサイクルにおいて、第2のフリップフロップ1736は、これも論理ローであるFF2出力1740を生成する。FF2ロー信号は、Pt/Rhセル電流1742(二次ポンプ電流1414)が、第1のPt/Rhセル定電流1744(第1の二次ポンプ定電流)でPt/Rhセル1506を流れるように、第2の電流スイッチ1738を設定する。したがって、図17の具体例では、第1の二次ポンプ定電流は、空気電極1616からPt/Rhの電極1622に流れる比較的小さい負のポンプ電流である。第1の二次ポンプ定電流が流されると、Pt/Rhセル1506を形成する電気化学セルは、測定チャンバ1510から、Pt/Rhセル1506を介して周囲空気1524に酸素をポンピングするポンプセルとして機能する。したがって、Pt/Rhセル1506を流れる酸素フローは、電流フロー1742とは方向が反対である。閾値より低い局所的酸素濃度になるまで酸素が適切に消費されると、第2のコンパレータ1730は、論理ハイの第2のコンパレータ信号1732を生成する。すなわち、コンパレータ1730は、Pt/Rhセル及び酸素測定セルが同じ電圧(又はヒステリシスのために殆ど同じ電圧)を有することを検出し、ハイの論理信号を生成する。次のクロックサイクルでは、第2のフリップフロップ1736は、ハイの論理信号を第2のスイッチ1738に供給し、Pt/Rhセル電流1742(二次ポンプ電流1414)を、第1のPt/Rhセル定電流1744(第1の二次ポンプ定電流)から第2のPt/Rhセル定電流1746(第2の二次ポンプ定電流)に切り替える。すなわち、Pt/Rhセル電流1742は、負のPt/Rhセル定電流1744から正のPt/Rhセル定電流1746に切り替わり、電流1744、1746は、ポンプセル電流1718、1720と比べて、比較的小さい。Pt/Rhセルを流れる比較的小さい正の電流は、空気1524から測定チャンバ1510に酸素をポンピングする。Pt/Rh電極の近傍の局所的酸素濃度は、下限閾値に到達するまで、正の二次ポンプ電流及び何らかの触媒的に還元されたNOxの貢献のために上昇し続け、処理が繰り返される。図17には、第2のスイッチ1738によって切り替えられる正電流源1750及び負電流源1752を含むスイッチング電流源1748を示している。第1のPt/Rhセル定電流1744から第2のPt/Rhセル定電流1746に切り替えるスイッチング電流源1746の機能を実現するために、多くの技術及び回路の何れを用いてもよい。したがって、スイッチング電流源1748は、図14の説明で言及した二次ポンプ電流1414を提供する。
第2のフリップフロップ出力信号1740のNOxパルス密度出力は、測定チャンバ1510内のNOxの濃度を示す。NOxが存在していない場合、所与の期間について、信号1740の論理ハイ(1)及び論理ロー(0)の数は、等しくなる。これは、Pt/Rh電極1622によって生成される更なる酸素をポンプアウトする必要がないためである。NOx濃度が上昇すると、より多くの酸素が触媒的に生成され、ポンプアウトされ、所与の期間に亘って、1の数が0の数に比べて多くなる。したがって、NOxパルス密度出力1740のデューティサイクルは、NOxの尺度となる。
演算デバイス1754は、制御信号1740を受け取り、デューティサイクルからNOx濃度を判定する。演算デバイス1754は、プロセッサ、マイクロプロセッサを用いて実現してもよく、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの組合せによって実現してもよい。幾つかの状況では、演算デバイスは、カウンタを備えていてもよい。幾つかの場合、テーブルを用いて、デューティサイクルを、濃度に関連付けて保存されている値と比較してもよい。他の状況では、保存されている式に基づいて濃度を算出してもよい。殆どの状況において、例えば、デューティサイクルと濃度との間の関係は、線形又は殆ど線形である。したがって、検出されたデューティサイクルを算出し、一次方程式を適用して、濃度を判定してもよい。
特定の具体例に基づき、様々な信号の極性、大きさ、論理レベル及び周波数が選択される。適切な値の幾つかの具体例を以下に示す。適切な二次ポンプ電流の具体例の1つとして、二次ポンプ電流の大きさは、一次ポンプ電流より2〜3桁小さくする。測定チャンバ内の典型的なNOx含有量は、酸素含有量より何桁も少ないため、このような選択は、適切であることが多い。第1のコンパレータのヒステリシスは、コンパレータによって制御される回路の振動が50〜100Hz程度の桁となるように選択する。第2のコンパレータのヒステリシスは、第2のコンパレータによって制御されるNOx回路の振動が1〜2キロヘルツ(1〜2kHz)程度の桁となるように選択する。多くの状況では、第2のコンパレータ1730のヒステリシスは、セルの抵抗に起因するPt/Rhセルに亘る電圧(V)を補償するように選択される。Pt/Rhセル1506の出力電圧(VCell)は、ネルンスト式に従うネルンスト電圧と、抵抗電圧(V)との組合せによって生じる。(V)は、(IPump2)*RCellに等しく、ここで、RCellは、Pt/Rhセルの内部抵抗(インピーダンス)であり、(IPump2)は、二次ポンプ電流である。Vは、電流の方向によって極性を切り替えるが、ネルンスト電圧では、このような切替は生じない。
したがって、測定システム1700は、排気ガス1508のNOx含有量を測定する。被測定気体1614は、単一の拡散ギャップ1612を介して測定チャンバ1510内に拡散する。一次電気化学システムは、測定チャンバ内の酸素を流し及び測定し、二次電気化学システムは、並列に動作して、NOxを測定する。二次電気化学システムは、NOxをN及びOに還元し、一次電気化学システムによって管理される酸素のフローに平行して、測定チャンバへの及び測定チャンバからのOのフローを管理する。上述のように、このメカニズムは、従来のNOxセンサに対して幾つかの利点を提供する。例えば、従来のNOxセンサは、感度がより低く、その構造のために、エラー及び雑音により影響されやすい。上述のように、従来のNOxセンサは、通常、2つの拡散ギャップ及び測定チャンバを備える。被測定気体は、第1の拡散ギャップを介して広帯域酸素センサによって受け取られる。広帯域酸素センサは、制限電流フローセンサ(limit current flow sensor)と(気体フローに関して)直列の位置に配設される。広帯域酸素センサは、酸素の被測定気体を消費し、NOxをそのまま残す。この酸素が消費された気体は、第2の拡散ギャップを介して第2の測定チャンバに拡散する。第2のチャンバ内のPt/Rhセルは、酸素及び窒素に反応する。このセルに印加された定電圧は、酸素イオンフローを引き起こす。この外部的に印加された電圧は、セルのネルンスト電圧に逆らい、したがって、非常に小さな電流が生じる。小さな電流は、僅かな範囲に亘って、NOx含有量に対して線形である。この範囲は、分解能を犠牲にして、異なる電圧を印加することによって広げることができる。この電流は、非常に小さく(ナノアンペアの範囲)、NOx含有量に非常に緩やかに反応するので、センサがNOx含有量に追従する速度も非常に遅い。この遅延は、2つの拡散ギャップ及び測定チャンバを介してNOxを流す必要性によって、更に大きくなる。このシステムは、一定の低酸素含量に依存するので、この酸素含有量における誤差は、NOx測定における誤差として現れる。もちろん、これは、センサの最大感度の制約となる。また、非常に小さな電流は、雑音の感度が非常に高く、測定は、電気雑音に著しく影響されやすい。これら及びこの他の制限は、ここに説明する構造、回路及び技術によって軽減又は解消される。
上述のように、図17を参照して説明した機能及び要素は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。電流源1726及び電流シンク1728の適切な実現例は、切替可能な極性を有する電流源を含む。演算増幅器及び抵抗器からなるシュミットトリガ回路は、ヒステリシスを有する適切なコンパレータ1702の具体例である。電圧源は、抵抗分圧回路(resistor divider network)によって実現することができる。
したがって、動作の間、ヒステリシスを有するコンパレータ1702は、測定チャンバ電極1620及び空気電極1616を備えるO測定セルの出力を、電圧源1706からの固定電圧と比較する。コンパレータの出力は、第1のフリップフロップ(Dフリップフロップ)1708によって、クロック信号源に同期される。フリップフロップ1708の出力は、スイッチ1714を介して、ポンプ電流の方向を制御する。Dフリップフロップ1708の出力は、パルス密度(又はデューティサイクル)が被測定気体のO濃度に比例するパルス密度変調信号である。(ヒステリシスを有する)コンパレータ1730は、O基準セル(1620、1616)の出力を、Pt−Rh電極1622及び空気電極1616を備えるPt−RhNOx感知セルの電圧と比較する。NOxが存在していない場合、NOx感知電極のネルンスト電圧と、Oのみを感知する電極のネルンスト電圧とは同じになる筈である。しかしながら、コンパレータ1730のヒステリシスのために、小さいポンプ電流(IPt/Rh)がPt−Rhセルを流れる。このポンプ電流は、その方向に応じて、Pt−Rh電極における酸素含有量を局所的に増加又は減少させる。これにより、この電極における電圧が変化する。ヒステリシス点の1つに到達すると、コンパレータスイッチの出力は、1から0に(又は0から1に)変更される。この切替は、Dフリップフロップ1736によってクロック同期される。続いて、このDフリップフロップの出力は、電子スイッチ1738を介して、ポンプ電流IPt/Rhの極性を反転させる。NOxが存在していない場合、O基準セルと同じネルンスト電圧を維持するためにPt−Rhセルに正味Oフローを流す必要はない。この場合、所与の期間に亘って、Dフリップフロップ1736の出力は、ローと同じ頻度でハイになる。この結果、NOxパルス密度出力の平均デューティサイクルは、50%となる。NOxが存在している場合、Pt−Rh電極において、幾つかのNOxは、O及びNに分解される。これによって、Pt−Rh電極において、O分子の局所的な過剰が生じる。Pt−RhセルとO基準セルとの間で同じネルンスト電圧を維持するためには、この過剰なOを取り除かなければならない。電流が、空気電極1616からPt−Rh電極1622に、Pt−Rhセルを流れると、セルは、酸素ポンプセルとして振る舞い、OイオンをPt−Rh電極から空気側にポンピングする。したがって、このシナリオにおける所与の期間では、電子スイッチ1738は、IPt/Rh1に切り替えられた動作位置の時間が長くなる。この結果、平均デューティサイクルは、50%より大きくなる。デューティサイクルは、NOx濃度及び選択されたIPt/Rhの絶対値に依存する。殆どの状況において、平均デューティサイクルと測定気体のNOx濃度との間の関係は、線形又は略々線形である。幾つかの状況では、センサシステムは、デューティサイクルがNOx濃度に正確に相関するように較正される。適切な較正技術の具体例は、センサユニット内に実装されている1つ以上の外部抵抗器を調整することである。このような技術は、工場において、製造過程で行うことができ、これによって、線形関係の勾配が確立される。幾つかの状況では、較正を省略してもよく、較正が必要であるか否かの判定は、製造公差、必要とされるNOx濃度測定の精度、及び他の因子に依存する。
第1のコンパレータ1702及びフリップフロップ1708は、測定チャンバ内の第1のイオン濃度に応じて一次電気化学セルシステムによって生成される第1の出力信号を検出し、第1のスイッチング電流源を制御するように構成される第1の検出回路1756の具体例である。第1のスイッチング電流源は、一次電気化学セルシステムを流れる一次ポンプ電流を、第1の一次ポンプ定電流と第2の一次ポンプ定電流との間で切り替え、測定チャンバに入るように第1のイオンフローを流し、又は測定チャンバから出るように第1のイオンフローを流すように構成されている。一次電気化学システムは、この具体例では、測定セル及びポンプセルを含む。第2のコンパレータ1730及び第2のフリップフロップ1738は、測定チャンバ内の第2のイオン濃度に応じて二次電気化学セルシステムによって生成される第2の出力信号を検出するように構成された第2の検出器1758の具体例である。したがって、第2の検出器1758は、第1の出力信号と第2の出力信号との間の関係に基づいて、制御信号1740を生成するように構成されている。第2のスイッチング電流源1748は、制御信号1740に応じて、二次電気化学セルシステムを流れる二次ポンプ電流を、第1の二次ポンプ定電流と第2の二次ポンプ定電流との間で切り替え、測定チャンバに入るように第2のイオンフローを流し、又は測定チャンバから出るように第2のイオンフローを流すように構成されている。
図18は、測定チャンバ1510内の酸素濃度のグラフ図1800を示している。図18は、値間の一般化された関係を示しており、表現された振幅及び周波数は、必ずしも目盛を付す必要はなく、実際に測定された量を表しているわけでもない。第1のイオン濃度曲線1802は、例えば、測定チャンバ1510内の包括的な酸素濃度である第1のイオン濃度1420を表す。第2のイオン濃度曲線1804は、例えば、Pt/Rh電極1622の近傍の局所的酸素濃度である第2のイオン濃度1422を表す。殆どの状況では、曲線1802、1804は、例えば、酸素測定セル1504及び窒素感知セル1506のセル電圧である第1及び第2の出力信号1416、1418に比例している。第1のイオン濃度曲線1802は、ある状況では、閾値を超えることがあるが、酸素濃度上限閾値1806と酸素濃度下限閾値1808との間で変化する。幾つかの状況では、酸素濃度下限閾値1808は、ゼロ又は略々ゼロであってもよい。したがって、酸素濃度下限閾値1808は、酸素測定セル電圧1704を基準電圧1706と比較する際に第1のコンパレータによって適用される下限閾値に対応する。酸素濃度上限閾値1806は、第1のコンパレータ1702によって適用される上限閾値に対応する。
図19は、NOxパルス出力曲線1902のグラフ1900を示している。図19は、値間の一般化された関係を示しており、表現された振幅及び周波数は、必ずしも目盛を付す必要はなく、実際に測定された量を表しているわけでもない。NOxパルス出力曲線1902は、論理ハイ1904と論理ロー1906のレベル間で変化し、測定チャンバ1510内のNOx濃度に依存するデューティサイクルを有する。第2のフリップフロップ出力1740がNOxパルス出力曲線1902を提供してもよい。NOxパルス出力曲線1902の第1の部分1906は、測定チャンバにNOxが存在していないときの第2のフリップフロップ1736の出力を表している。第1の部分1906では、デューティサイクルは、50パーセントである。第2の部分1908は、NOxが存在しているときの第2のフリップフロップ出力1740を表している。第2の部分は、この期間内では、所与のクロックレートにおいて、1の数が0の数より多いため、50パーセントより大きいデューティサイクルを有する。
図20は、センサ管理デバイス2004に接続されたNOxセンサ2002を含むセンサシステム2000のブロック図であり、NOxセンサ2002は、酸素センサセル及び酸素測定セルのための機能を実行する単一の酸素電気化学セル2006を含む。したがって、NOxセンサ2002は、イオンセンサ1400の具体例であり、一次電気化学システム1404は、酸素電気化学セル2006を含み、二次電気化学システム1406は、窒素感知電気化学セル2008を含む。外部流体2010は、被測定流体2014として、拡散ギャップ、拡散層又は他の開口を介して測定チャンバ2012に受け取られる。酸素電気化学セル2006及び窒素感知電気化学セル2008は、周囲流体2016及び測定チャンバ2012に露出されている。センサ2002は、気体及び液体を含む様々な流体を取り扱うように設計することができるが、典型的な具体例は、気体濃度を測定するための構成を含む。適切な実現化の具体例は、内燃機関の排気システム内にNOxセンサ2002を取り付け、排気ガスのNOx濃度を測定することを含む。したがって、このようなシステムでは、外部流体2010は、排気ガスであり、周囲流体2014は、周囲空気である。センサシステム2000は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。ここに説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。
センサ測定デバイス2004は、酸素電気化学セル2006のセル電圧2020に応じて、酸素電気化学セル2006を流れるポンプ電流2018を、第1の定電流と第2の定電流との間で変更する。酸素電気化学セル2006は、酸素電気化学セル2006を流れるポンプ電流2018に基づいて、測定チャンバ2012と空気等の周囲流体2016との間でイオンを移動させる。また、センサ測定デバイス2004は、酸素電気化学セル2006のセル電圧2020と窒素感知セル2008のセル電圧2024との間の関係に応じて、窒素感知電気化学セル2008を流れるポンプ電流2022を、第1の定電流と第2の定電流との間で変更する。窒素電気化学セル2006は、NOxを酸素イオンと窒素イオンに還元し、窒素感知電気化学セル2008を流れるポンプ電流2022に基づいて、測定チャンバ2012と、空気等の周囲流体2016との間で酸素イオンを移動させる。
センサ測定デバイス2004は、窒素感知電気化学セル2008のセル電圧2024との比較のための基準を提供するために、総セル電圧2020から酸素電気化学セル2006のネルンスト電圧を抽出する。酸素電気化学セルの内部抵抗を判定し、セル電圧から減算することによって、測定チャンバ内の被測定流体の第1の領域内の酸素イオン濃度を示す酸素電気化学セル2006のネルンスト電圧が得られる。したがって、酸素電気化学セル2006のネルンスト電圧は、図14の第1の出力信号1416の具体例である。
動作の間、センサ管理デバイス2004は、酸素電気化学セル2006を流れるセル電流2012を、第1のポンプ定電流と第2のポンプ定電流との間で変更する。酸素測定セル出力信号2020は、センサ管理デバイス2004によって監視され、セル電流2018の方向をいつ切り替えるかを判定するために使用される。酸素測定セル出力信号2020が上限閾値に到達すると、セル電流2018は、測定チャンバ2012に酸素イオンをポンピングする正のポンプ定電流から、測定チャンバ2012から酸素イオンをポンピングする負のポンプ定電流に反転される。酸素測定セル出力信号2020が下限閾値に到達すると、セル電流2018は、切り替えられ、正のポンプ電流に戻される。センサ管理デバイス2004とセンサとの接続を示すラインは、信号の機能的表現であり、物理的な接続の実際の数は、特定の具体例に依存する。幾つかの接続は、接地してもよく、他の電位に接続してもよい。図22に関して説明するように、例えば、空気電極は、接地され、センサとセンサ管理デバイスとの間では、(接地を除く)2つの電気的接続だけが行われている。
窒素感知電気化学セル2008は、窒素酸化物(NOx)を窒素及び酸素に還元し、セル2008における局所的酸素イオン濃度を示す窒素セル出力信号2024を生成する電気化学セルである。図21に関して後述する具体例では、窒素感知電気化学セル2008は、測定チャンバ2012に露出され、NOxをN及びOに触媒的に還元する白金及びロジウム(Pt/Rh)電極を有する。NOxが存在している場合、NOxセル電極の局所的酸素濃度は、測定チャンバ2012内の他の部分の酸素濃度より高くなる。したがって、この局所的酸素濃度は、図14の第2のイオン濃度1422の具体例である。センサ管理デバイス2004は、窒素セル出力信号2024を酸素測定セル出力信号2020のネルンスト貢献部分(Nernst contribution)と比較し、窒素感知電気化学セル2008に窒素セルポンプ電流2022を流す。窒素セルポンプ電流2022は、窒素セルポンプ電流2022が負の場合、測定チャンバ2012から周囲空気2014に酸素イオンをポンピングし、窒素セルポンプ電流2022が正の場合、周囲空気2014から測定チャンバ2012に酸素イオンをポンピングする。窒素セルポンプ電流2022は、酸素セル出力信号のネルンスト部分と窒素セル出力信号2024との間の差分が上限閾値に到達したとき、及び下限閾値に到達したとき、反転される。したがって、窒素セルポンプ電流2022を切り替える制御信号の関数(波形)は、被測定流体2014のNOx濃度を示す。濃度は、他の値又は信号を観測することによって判定してもよい。例えば、窒素濃度を判定するために、窒素セルポンプ電流1524のデューティサイクルを解析してもよい。したがって、酸素測定セル出力信号2020(第1の出力信号1416)と窒素感知セル出力信号2024(第2の出力信号1418)との間の差分から導出され、又はこれに関連する他の値を用いて、窒素酸化物濃度を判定してもよい。
図15のNOx測定システムとは異なり、図20を参照して説明したNOx測定システム2000は、イオンをポンピング及び測定するために、個別のセルではなく、単一の電気化学セルを用いている。上述のように、NOx濃度を判定するための基準を提供するために、総セル電圧からネルンスト電圧を抽出しなければならない。
上述したように、電気化学セルは、内部抵抗を有する。酸素電気化学セルを介して定電流が流されると、セルにおいて、ネルンスト電圧と、電気化学セルの内部抵抗によって生じる電圧降下(抵抗電圧)との和である電圧が生成される。内部抵抗は、セルのインピーダンスの実部であり、オームインピーダンス(Ohmish impedance)と呼ばれることもある。抵抗電圧(V)は、内部抵抗を流れるポンプ電流から生じる。ネルンスト電圧は、測定チャンバ内の酸素濃度を示し、総電気化学セル電圧(VCELL)と抵抗電圧(V)との間の差分に等しい。したがって、ネルンスト電圧は、電気化学電圧(VCELL)から抵抗電圧(V)を減算することによって算出できる。図20の具体例では、センサ管理デバイス2004は、正負の定電流の間でポンプ電流2018を継続的に切り替え、セル電圧を測定し、抵抗電圧(V)を減算することによって、ネルンスト電圧に基づいて、酸素濃度を判定する。センサ管理デバイス2004は、電流管理ユニット及び演算デバイスを含んでいてもよく、電流管理ユニットは、電流を制御し、セル電圧を測定する。
したがって、測定された酸素電気化学セルの電圧は、酸素電気化学セルを流れるポンプ電流の反転をトリガするために用いられる。例えば、正のポンプ電流(I)の間、ネルンスト電圧(|VCELL|−|R*I|)≧0.5ボルトになると、ポンプ電流(I)が反転され、R(内部抵抗)が後述するように算出され、処理は、ネルンスト電圧が0.4V以下になるまで、一定の負のポンプ電流によって継続される。そして、ポンプ電流(IP)は、極性が反対に戻され、これが繰り返される。この具体例でヒステリシス電圧は、0.1V(0.5V−0.4V)である。これとは異なるヒステリシス電圧を用いてもよい。
酸素電気化学セルの内部抵抗(R)を判定する適切な手法の具体例は、セルを流れる正電流から負電流への、及び/又は負電流から正電流への遷移点におけるセルの電圧変化を測定することである。ポンプ電流は、一定の正電流及び負電流の間で切り替えられるので、抵抗は、オームの法則に基づいて算出される。
内部抵抗は、電気化学セルの温度に依存している。ポンプ電流の極性反転の時点では、セルは、反応する時間がなく、新たな方向には、酸素をポンピングしていない。したがって、ネルンスト電圧を決定する酸素濃度差は、大きくは変化していない。したがって、セルの電圧変化は、少なくとも大部分は、電流の変化によって引き起こされる。電流の差及び電圧の差に基づき、内部抵抗は、RCELL=ΔVCELL/ΔIの関係に基づいて判定され、ここで、ΔVCELLは、セルの電圧の差であり、ΔIPは、ポンプ電流の差である。内部抵抗RCELLは、オームの法則、V=RCELL*Iに基づいて、内部抵抗RCELLに起因する電圧降下(V)を判定するために使用される。窒素セル出力2024と比較するための基準を提供するために、酸素電気化学セルの実際の電圧(VCELL)から抵抗電圧(V)が減算される。殆どのアプリケーションでは、電圧変化ΔVCELLは、電流遷移の前後の数マイクロ秒まで測定できる。極性反転の直前及び直後の電圧間の差分は、ΔVCELLで表される電圧変化である。ΔVCELL電圧を測定するための適切な技術の具体例は、サンプルアンドホールド回路を用いる技術を含む。
適切なセンサ管理デバイス2004の具体例は、インタフェース2026を介して測定セルシステム(酸素電気化学セル2006及び窒素感知電気化学セル2008)に接続されるように構成され、電流管理ユニット及び演算デバイスを形成する回路を含む装置を含む。インタフェース2026は、電気的コネクタ、直接ケーブル接続又はセンサ2002とセンサ管理デバイス2004との間で信号を伝送するための他の電気コンタクト構成を含むことができる。
図21は、図20のNOxセンサ2002の実現例である、気体内のイオン濃度を測定するNOxセンサ2100の断面のブロック図である。すなわち、NOxセンサ2100は、NOxセンサ2002の具体例であり、NOxセンサ2100は、内燃機関の排気システム内で用いることができる。また、センサ2100は、他のシステム内及び他の用途で使用してもよい。他の用途の具体例は、検出アラーム及び医療器具を含む。
NOxセンサ2100は、単一のラミネートされた二酸化ジルコニウム(ZrO)セラミック層2102を備える。層2102とチャンバ筐体2104との間の空間は、測定チャンバ2012を形成する。チャンバ筐体2104内の孔2106は、被測定気体2108(被測定流体2014)を受け取るための拡散ギャップを形成する。拡散ギャップは、拡散ギャップ、拡散層又は測定チャンバに開設された他の開口であってもよい。
単一の白金電極(空気電極)2110は、空気電極2110が測定チャンバ2012の反対側になり、周囲空気2112(周囲流体2014)に露出されるように、ZrO層2102に配設されている。他方の白金電極(酸素電極)2114は、空気電極2110と反対側の層2102上に配設されており、測定チャンバ内の被測定気体2108に露出され、空気電極2110及びZrO層2102と共に酸素電気化学セル2006を形成している。白金/ロジウム(Pt/Rh)電極2116は、ZrO層2102の測定チャンバ側に配設され、これも測定チャンバ2012内の被測定気体2108に露出されている。白金/ロジウム(Pt/Rh)電極2116は、空気電極2110及びZrO層2102と共に窒素感知電気化学セル2008を形成する。すなわち、酸素電極2114、空気電極2110及びZrO層2102は、酸素電気化学セル2006を形成し、Pt/Rh電極2116、空気電極2110及びZrO層2102は、窒素感知セル2008を形成する。
酸素電気化学セル2006を流れる電流2018は、電流の方向と反対の方向に酸素イオンを輸送する。窒素感知セル2008は、窒素及び酸素に反応する。Pt/Rh電極2116は、窒素酸化物(NOx)を窒素(N)及び酸素(O)に触媒的に還元する。このメカニズムは、Pt/Rh電極2116の表面において、酸素含有量(分圧)の局所的濃縮を引き起こす。したがって、NOxが存在している場合、Pt/Rh電極2116の近傍では、酸素の局所的濃度は上昇する。NOxが存在しているとき、空気電極2110とPt/Rh電極2116との間のネルンスト電圧は、酸素測定セル出力電圧2020(第1の出力信号1416)より低い。Pt/Rh電極2116の近傍の局所的酸素濃度は、図14の第2のイオン濃度1422の具体例である。
図22は、図21のNOxセンサ2100に接続されたセンサ管理デバイス2004を備えるNOx測定システム2200の概略的機能図である。NOx測定システム2200は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。図22を参照して説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。ある場合は、幾つかの機能ブロックを省略してもよい。例えば、フリップフロップの動作は、カウンタによる出力パルスの計数が本来有している機能であるため、フリップフロップを省略してもよい。したがって、図22は、測定システム内で接続されたセンサ2100の実現例の図である。図22を参照して説明する様々な要素、デバイス、値、信号及び機能は、特定の測定システム及びセンサの特定の構造、用途、環境及び要求に応じて、センサ1400、2002、2100の他の具体例を用いる他の測定システムでは異なっていてもよい。
ヒステリシスを有する第1のコンパレータ2202は、酸素電気化学セル2006に亘る酸素測定セル電圧2204を基準電圧2206と継続的に比較する。この具体例では、基準電圧2206は、−450mVである。酸素測定セル電圧2204が下限閾値より下に低下すると、第1のコンパレータ出力2207は、論理ハイ信号になり、酸素測定セル電圧2020が上限閾値より上に上昇すると、第1のコンパレータ出力は、論理ロー信号になる。上限閾値及び下限閾値は、コンパレータのヒステリシスによって判定され、測定チャンバ2012内の酸素濃度閾値に対応するように選択される。また、閾値は、酸素電気化学セルの内部抵抗に起因する電圧の貢献も考慮に入れている。したがって、図22のシステムの第1のコンパレータ2202のヒステリシスは、図17に関して説明したシステム1700の第1のコンパレータ1702のヒステリシスより大きい。
第1のコンパレータ出力2207は、クロック入力2210が第1のフリップフロップ2208のFF1出力2212をゲートするように第1のフリップフロップ(FF1)2208によって処理される。FF1出力2212は、第1の電流スイッチ2214を制御し、第1の電流スイッチ2214は、酸素電気化学セル2006を流れる酸素セルポンプ電流2216を、第1のポンプ定電流2218と第2のポンプ定電流2220との間で切り替える。この具体例では、第1のポンプ定電流及び第2のポンプ定電流は、大きさが同じで、反対の極性を有する。
したがって、第1のコンパレータ出力が下限閾値(−1/2ヒステリシス)より下に低下した後、次のクロックサイクルにおいて、第1のフリップフロップ出力2212は、ハイに設定される。この結果のハイFF1出力は、正のポンプ定電流2218が酸素電気化学セル2006を流れるように第1の電流スイッチ2214を設定する。この状態では、電気化学セル2006は、酸素電極2114から酸素電気化学セル2006を介して、及び周囲空気から測定チャンバ2012に酸素をポンピングする。第1の電流スイッチ2214は、FF1出力2212によって切り替えられるまで、この位置に残る。酸素測定セル電圧2204が上限閾値(+1/2ヒステリシス)に到達すると、第1のコンパレータ2202は、論理ローである第1のコンパレータ出力信号を生成する。次のクロックサイクルにおいて、第1のフリップフロップ2208は、出力を論理ロー信号に変更し、第1の電流スイッチ2214を負のポンプ定電流2220に切り替える。この状態では、酸素は、測定チャンバ2012から周囲空気にポンプアウトされる。図22には、第1のスイッチ2214によって切り替えられる正電流源2226及び負電流源2228を含むスイッチング電流源2224を示している。第1のポンプ定電流2218から第2のポンプ定電流2220に切り替えるスイッチング電流源2224の機能を実現するために、多くの技術及び回路の何れを用いてもよい。したがって、この具体例のスイッチング電流源2224は、図14で言及した一次ポンプ電流1412を提供する。
ヒステリシスを有する第2のコンパレータ2230は、酸素セル電圧2024(第1の出力信号1416)のネルンスト電圧部分2233とPt/Rhセル出力電圧2234(第2の出力信号1418)との間の関係に基づいて、出力2232を生成する。すなわち、この具体例では、第2のコンパレータ2230は、セルに亘る総電圧ではなく、酸素電気化学セル2006によって生成されるネルンスト電圧を比較する。ネルンスト電圧抽出器2235は、酸素電気化学セル2006の総電圧からネルンスト電圧を抽出する。したがって、ネルンスト電圧抽出器2235によって抽出されたネルンスト電圧は、図14に関して説明した第1の出力信号1416の具体例である。ネルンスト電圧抽出器2035の適切な実現の具体例は、ポンプ電流の極性反転の直前及び直後にO基準電圧をサンプリングする二重サンプリング回路を含む。2つのサンプリング点の間の差分は、セルの内部抵抗を介するポンプ電流によって生じる電圧の2倍の大きさである。
ネルンスト電圧抽出器2235は、多くの技術の何れを用いて実現してもよい。適切な実現の具体例は、サンプルアンドホールド回路を用いることを含む。サンプル−ホールド回路は、通常、アナログ/デジタル変換器設計の一部として実現され、コンデンサと、電子スイッチと、演算増幅器等の低出力インピーダンス増幅器とから構成される。短いサンプルパルスは、スイッチをオンに切り替え、コンデンサを増幅器出力に接続する。これにより、コンデンサが出力電圧にチャージされる。パルスが消えると、コンデンサは、このチャージを保持し、この電荷は、A/D変換によって読み出される。ネルンスト抽出器では、サンプルアンドホールドコンデンサは、電流の極性が反転された後に、非常に短いパルスでチャージ(サンプリング)される。このとき、ネルンスト電圧は、変化する時間を有していない。セルの総電圧は、ネルンスト電圧(Vnernst)と、ポンプ電流(Ipump)によって生じた電圧と、セルの内部インピーダンス(Vicell)との和である。Vicellは、オームの法則により、Ipump*Ricellであり、ここで、Ricellは、セルインピーダンスである。具体例として、電流が正から負に切り替わった場合、この結果、総セル出力電圧は、上昇し、上限閾値電圧に到達する。Ipumpの大きさは、既知であり、固定されているので、切替の直後に上限閾値電圧とサンプリングされた電圧との間の差分を測定することによって、Vicell、したがってRicellを算出するための情報が得られる。切替の前のセルの電圧(Vupperh)は、Vnernstupper+Ipump*Ricellである。ネルンスト電圧Vnernstは、電流の極性反転と、新たなセル電圧のサンプリングとの間の非常に短い期間(マイクロ秒)では、変化する時間を有していないため、極性反転の直後のサンプリングの後のコンデンサの電圧は、Vsample=Vnernst−Ipump*Ricellである。したがって、Vupperh−Vsample=2*Ipump*Ricellである。この減算は、差動増幅器によって実行でき、デジタル的に行う必要はないが、幾つかの状況では、このようなデジタル的な演算が好ましいこともある。Vicell=Ipump*Ricellであるため、例えば、分圧器を用いて、この差を2で除算することによって、Vicellが得られる。セル電圧の比較のための新たな下限閾値は、Vlowerh=Vnernstlower−Vicellである。Ipumpは、定数であるので、Vicellは、温度に依存するインピーダンスRicellのみによって変化する。したがって、Vicellは、温度調整のために用いることもできる。
nernstupper及びVnernstlowerは、特定の具体例及び要求に応じて選択される設計パラメータである。幾つかの状況においては、これらのパラメータは、同じ値であってもよい。これらの電圧の演算における加算及び減算は、デジタル的に行ってもよく、又は例えば、演算増幅器を用いた差動増幅器及び加算増幅器等の単純なアナログ回路によって、より簡単に行ってもよい。
上述したように、Pt/Rh電極2116は、NOxをN及びOに還元し、Pt/Rh電極2116の近傍の局所的酸素濃度に基づいて、出力2024を生成する。NOxが存在している場合、局所的酸素濃度が上昇し、空気電極2110とPt/Rh電極2116との間のネルンスト電圧は、酸素電気化学セル2006の空気電極2110と酸素電極2114との間のネルンスト電圧より低くなる。第2のコンパレータ2330は、酸素測定セル2006のネルンスト電圧(第1の出力信号)を窒素感知セル出力2024(第2の出力信号)と継続的に比較する。内部抵抗からの僅かな貢献はあるが、窒素感知セルで用いられる電流は、主となる酸素セルポンプ電流より数桁も小さく、したがって、電圧変化は、ネルンスト電圧に比べてかなり小さい。この結果、殆どの状況では、窒素感知セルについては、ネルンスト電圧の抽出は、不要である。窒素感知セルは、Vicellを考慮に入れた、固定の上限又は下限閾値によって動作させてもよい。通常、温度(したがって、Ricell)は、調整されるので、Ricellは、大きくは変化しない。
有意のレベルのNOxが存在しており、窒素感知セル電圧2024及び酸素電気化学セル電圧2020の差分が下限閾値を下回る(例えば、差分が閾値幅を超える大きさを有する)場合、第2のコンパレータ2230は、論理ローレベルである第2のコンパレータ出力信号2232を生成する。次のクロックサイクルにおいて、第2のフリップフロップ2236は、これも論理ローであるFF2出力1740を生成する。FF2ロー信号は、窒素感知セル電流2022(二次ポンプ電流1414)が第1の窒素セル定電流2244(第1の二次ポンプ定電流)で窒素感知セル2008を流れるように、第2の電流スイッチ2238を設定する。したがって、図22の具体例では、第1の二次ポンプ定電流は、空気電極2110からPt/Rh電極2116に流れる比較的小さい負のポンプ電流である。第1の二次ポンプ定電流が流されると、窒素感知セル2008を形成する電気化学セルは、測定チャンバ2012から、窒素感知セル2008を介して、周囲空気2014に酸素をポンピングするポンプセルとして機能する。したがって、窒素感知セル2008を流れる酸素フローは、電流フロー2042とは方向が反対である。閾値より低い局所的酸素濃度になるまで酸素が適切に消費されると、第2のコンパレータ2230は、論理ハイの第2のコンパレータ信号2232を生成する。すなわち、コンパレータ2230は、窒素感知セル電圧及び酸素測定セルに亘る電圧のネルンスト部分2233が同じ電圧(又はヒステリシスのために殆ど同じ電圧)を有することを検出し、ハイ論理信号を生成する。次のクロックサイクルでは、第2のフリップフロップ2236は、論理ハイ信号を第2のスイッチ2238に供給し、窒素感知セル電流2242(二次ポンプ電流1414)を、第1の窒素感知セル定電流2244(第1の二次ポンプ定電流)から第2の窒素感知セル定電流2246(第2の二次ポンプ定電流)に切り替える。したがって、窒素感知セル電流2242は、負の窒素感知セル定電流2244から、正の窒素感知セル定電流2246に切り替わり、電流2244、2246は、酸素電気化学セル2006を流れるポンプセル電流2218、2220と比べて、比較的小さい。窒素感知セル2008を流れる比較的小さい正の電流は、空気2014から測定チャンバ2012に酸素をポンピングする。Pt/Rh電極2116の近傍の局所的酸素濃度は、下限閾値に到達するまで、正の二次ポンプ電流及び何らかの触媒的に還元されたNOxの貢献のために上昇し続け、処理が繰り返される。図22には、第2のスイッチ2238によって切り替えられる正電流源2250及び負電流源2252を含むスイッチング電流源2248を示している。第1の窒素感知セル定電流2244から第2の窒素感知セル定電流2246に切り替えるスイッチング電流源2246の機能を実現するために、多くの技術及び回路の何れを用いてもよい。したがって、スイッチング電流源2248は、図14の説明で言及した二次ポンプ電流1414を提供する。
第2のフリップフロップ出力信号2240のNOxパルス密度出力は、測定チャンバ2012内のNOxの濃度を示す。NOxが存在していない場合、所与の期間について、信号2240の論理ハイ(1)及び論理ロー(0)の数は、等しくなる。これは、Pt/Rh電極2116によって生成される更なる酸素をポンプアウトする必要がないためである。NOx濃度が上昇すると、より多くの酸素が触媒的に生成され、ポンプアウトされ、所与の期間に亘って、1の数が0の数に比べて多くなる。したがって、NOxパルス密度出力2240のデューティサイクルは、NOxの尺度となる。
特定の具体例に基づき、様々な信号の極性、大きさ、論理レベル及び周波数が選択される。適切な値の幾つかの具体例を以下に示す。適切な二次ポンプ電流の具体例の1つとして、二次ポンプ電流の大きさは、一次ポンプ電流より2〜3桁小さくする。測定チャンバ2012内の典型的なNOx含有量は、酸素含有量より何桁も少ないため、このような選択は、適切であることが多い。第1のコンパレータ2202のヒステリシスは、コンパレータ2202によって制御される回路の振動が50〜100Hz程度の桁となるように選択する。第2のコンパレータ2230のヒステリシスは、第2のコンパレータ2230によって制御されるNOx回路の振動が1〜2キロヘルツ(1〜2kHz)程度の桁となるように選択する。上述のように、第2のコンパレータ2230のヒステリシスは、セルの抵抗に起因するPt/Rhセルに亘る電圧(V)を補償するように選択される。Ipump2は、Ipump1より数桁小さいので、Vも遙かに小さい。この貢献は、十分小さいため、ネルンスト電圧の比較のための上下の閾値は、比較の上限閾値にRcell*Ipump2を加算し、下限閾値からRcell*Ipump2を減算することによって調整できる。約80オームの典型的なRcellと、10μAの桁のIpump2では、調整は、約0.8mVであり、したがって、比較的小さい。
したがって、測定システム2200は、排気ガス2010のNOx含有量を測定する。被測定気体21080は、単一の拡散ギャップ2106を介して測定チャンバ2012内に拡散する。一次電気化学システムは、測定チャンバ2012内の酸素を流し及び測定し、二次電気化学システムは、並列に動作して、NOxを測定する。二次電気化学システムは、NOxをN及びOに還元し、一次電気化学システムによって管理される酸素のフローに平行して、測定チャンバ2012への及び測定チャンバからのOのフローを管理する。上述のように、このメカニズムは、従来のNOxセンサに対して幾つかの利点を提供する。
第1のコンパレータ2202及びフリップフロップ2208は、測定チャンバ内の第1のイオン濃度に応じて一次電気化学セルシステムによって生成される第1の出力信号を検出し、第1のスイッチング電流源2224を制御するように構成される第1の検出回路2256の具体例である。第1のスイッチング電流源は、一次電気化学セルシステムを流れる一次ポンプ電流を、第1の一次ポンプ定電流と第2の一次ポンプ定電流との間で切り替え、測定チャンバに入るように第1のイオンフローを流し、又は測定チャンバから出るように第1のイオンフローを流すように構成されている。この具体例では、一次電気化学セルシステムは、単一のセル出力を生成する単一の電気化学セルである。第2のコンパレータ2230及び第2のフリップフロップ2236は、測定チャンバ内の第2のイオン濃度に応じて二次電気化学セルシステムによって生成される第2の出力信号を検出するように構成された第2の検出器2258の具体例である。したがって、第2の検出器2258は、第1の出力信号と第2の出力信号との間の関係に基づいて、制御信号2240を生成するように構成されている。第2のスイッチング電流源2248は、制御信号2240に応じて、二次電気化学セルシステムを流れる二次ポンプ電流を、第1の二次ポンプ定電流と第2の二次ポンプ定電流との間で切り替え、測定チャンバに入るように第2のイオンフローを流し、又は測定チャンバから出るように第2のイオンフローを流すように構成されている。
図23は、一次電気化学セルシステム及び二次電気化学セルシステムを有するセンサを管理する方法のフローチャートである。方法は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの如何なる組合せでも実行できるが、この具体例では、この方法は、センサ管理デバイス内で実行される。
ステップ2302では、第1の出力信号を検出する。第1の出力信号は、測定チャンバ内の第1のイオン濃度に応じて一次電気化学セルシステムによって生成される。第1のコンパレータは、第1の出力信号を受け取り、これを基準電圧と比較して、第1のスイッチング電流源を制御するための制御信号を生成する。一次電気化学セルシステムが別個のポンプセル及び測定セルを備える場合、第1の出力信号は、測定セルによって生成される。一次電気化学セルシステムが単一の電気化学セルを備える場合、第1の出力信号は、単一の電気化学セルによって生成される単一のセル出力電圧である。
ステップ2304では、第1の一次ポンプ定電流と第2の一次ポンプ定電流との間で一次電気化学セルシステムに一次ポンプ電流を流す。第1のスイッチング電流源は、第1のコンパレータによって生成され、第1のフリップフロップによって「クロックされた(clocked)」制御信号に応じて電流を流す。電流の変更によって、測定チャンバに及び測定チャンバから第1のイオンフローが流れる。一次電気化学セルシステムが別個のポンプセル及び測定セルを備える場合、一次ポンプ電流は、ポンプセルを流れる電流である。一次電気化学セルシステムが単一の電気化学セルを備える場合、一次ポンプ電流は、単一の電気化学セルを流れる電流である。
ステップ2306では、第2の出力信号を検出する。第2の出力信号は、測定チャンバ内の第2のイオン濃度に応じて二次電気化学セルシステムによって生成される。第2のコンパレータは、第2の出力信号を受け取り、これを第1の出力信号又は第1の出力信号のネルンスト電圧部分と比較し、第2のスイッチング電流源を制御するための制御信号を生成する。一次電気化学セルシステムが別個のポンプセル及び測定セルを備える場合、第2の出力信号は、第1の出力信号と比較される。一次電気化学セルシステムが単一の電気化学セルを備える場合、第2の出力信号は、ネルンスト電圧抽出器によって提供される第1の出力信号のネルンスト部分と比較される。
ステップ2308では、第1の出力信号と第2の出力信号との間の関係に基づいて、第1の二次ポンプ定電流と第2の二次ポンプ定電流との間で、二次電気化学セルシステムに二次ポンプ電流を流す。二次ポンプ電流は、第1の二次ポンプ定電流と第2の二次ポンプ定電流との間で変更される。第2のスイッチング電流源は、第2のコンパレータによって生成され、第2のフリップフロップによって「クロックされた(clocked)」制御信号に応じて電流を流す。電流の変更によって、測定チャンバに及び測定チャンバから第2のイオンフローが流れる。
ステップ2310では、化合物のイオン濃度を判定する。演算デバイスは、波形を評価し、すなわち、二次ポンプ電流に応じて、化合物のイオンの1つの濃度を判定する。二次電気化学セルシステムは、化合物を、測定チャンバに及び測定チャンバからポンピングされる元素のイオンと、濃度が算出される他のイオンとに還元する。NOx化合物の場合、Pt/Rh電極は、NOxをNイオンとOイオンとに還元し、電極の近傍で、Oイオンの局所的濃度を形成する。したがって、ポンピングされたイオン(O)は、測定チャンバ内の第1の領域に第1の濃度を有し、測定チャンバ内の第2の領域に第2の濃度を有し、第2の領域は、第1の領域より電極の近傍にある。イオンの局所的濃度は、第2のスイッチング電流源を制御するための制御信号1740を評価することによって判定される。但し、制御信号(又は二次ポンプ電流)のデューティサイクルを示す信号を評価して、濃度を判定することもできる。例えば、幾つかの場合、二次ポンプ電流を直接評価してもよい。また第2のコンパレータの出力を評価してもよい。
図24は、一次電気化学セルシステム及び二次電気化学セルシステムを含むセンサの電流を管理する方法のフローチャートである。
ステップ2402では、一次ポンプ電流を、第1の一定の大きさで、第1の出力信号が上限閾値に到達するまで、正の方向に流す。この具体例では、スイッチング電流源は、第1の出力電圧が上限閾値に到達したことを第1のコンパレータが検出するまで、正の一次ポンプ電流を維持し、この時点で、コンパレータ出力は、(フリップフロップを介して)スイッチング電流源に方向を変更させる。
ステップ2404では、一次ポンプ電流を、第1の一定の大きさで、第1の出力信号が下限閾値に到達するまで、負の方向に流す。スイッチング電流源は、第1の出力電圧が下限閾値に到達したことを第1のコンパレータが検出するまで、負の一次ポンプ電流を維持し、この時点で、コンパレータ出力は、(フリップフロップを介して)スイッチング電流源に再び方向を変更させ、正の方向及び第1の大きさを有するポンプ電流を流す。ステップ2402及び2404は、繰り返し実行される。
ステップ2406では、第2の出力信号と第1の出力信号との間の第1の差分が第1の差分閾値に到達するまで、二次ポンプ電流を、第2の一定の大きさで、正の方向に流す。第2のスイッチング電流源は、第2の出力信号と第1の出力電圧との間の差分が差分閾値に達したことを第2のコンパレータが検出するまで正の二次ポンプ電流を維持する。一次電気化学セルシステムが単一の電気化学セルを備える場合、第1の信号のネルンスト電圧部分が抽出され、第2の出力電圧と比較される。第1の差分閾値に到達すると、第2のコンパレータ出力は、(第2のフリップフロップを介して)第2のスイッチング電流源に方向を変更させる。
ステップ2408では、第2の出力信号と第1の出力信号との間の第2の差分が第2の差分閾値に到達するまで、二次ポンプ電流を、第2の一定の大きさで負の方向に流す。第2のスイッチング電流源は、第2の出力信号と第1の出力電圧との間の差分が第2の差分閾値に到達したことを第2のコンパレータが検出するまで負の二次ポンプ電流を維持する。一次電気化学セルシステムが単一の電気化学セルを備える場合、第1の信号のネルンスト電圧部分が抽出され、第2の出力電圧と比較される。第2の差分閾値に到達すると、第2のコンパレータ出力は、(第2のフリップフロップを介して)第2のスイッチング電流源に再び方向を変更させる。ステップ2402、2404、2406、2408の順序は、動作の間に変更してもよい。例えば、一次ポンプ電流の振動の周波数は、二次ポンプ電流の周波数より遙かに低いのでステップ2404を実行する前に、ステップ2406、2408を複数回繰り返してもよい。
図25は、密閉チャンバセンサ(sealed chamber sensor)2502を含むセンサシステム2500のブロック図である。密閉チャンバセンサ2502は、電気化学測定セル2504及び電気化学補償セル2506を含み、両方のセル2504、2506は、密閉チャンバ2508に接続されている。被測定流体2510、例えば、被測定気体又は液体は、測定開口2512を介して、測定チャンバ2514に受け取られる。測定開口2512は、被測定流体2508が測定チャンバ2514に入ることができる拡散ギャップ、拡散層若しくは他の膜又はオリフィスであってもよい。電気化学測定セル2504は、上述した電気化学セル1006の動作の説明に基づいて動作する。但し、密閉チャンバセンサ2500は、汚れ、水及び他の環境要素による汚染から生じる悪影響を受ける可能性が低い。電気化学補償セル2506は、電気化学測定セル2504を、これらの汚染への直接的な曝露から隔離する。
測定セル電流2516は、電気化学測定セル2504を流れ、密閉チャンバ2510と測定チャンバ2512との間でイオンを移動させる。したがって、第1のイオンフロー2518は、測定セル電流2516に対応する。補償セル電流2520は、電気化学補償セル2506を介して、密閉チャンバ2508と外部流体2522との間でイオンを移動させ、外部流体2522は、センサ2500の特定の具体例に応じて、周囲液体、周囲空気、排気ガスであってもよく、又は他の気体又は液体であってもよい。外部流体2522は、外部流体2522から電気化学補償セル2506を介して密閉チャンバ2510に十分なイオンフローを流し込むために適切なイオン濃度を有する。したがって、第2のイオンフロー2524は、補償セル電流2520に対応している。
密閉エアチャンバ2510に出入りする全てのイオンは、電気化学セル2504、2506の1つを介して出入りする。したがって、密閉チャンバ2510は、電気化学セル2504、2506の1つを通り抜けない限り、如何なるイオンも密閉チャンバ2510に出入りしないという意味で密閉されている。
センサ管理デバイス2526は、イオン濃度を判定するために、電流2516、2520を管理し、電気化学測定セル2504に亘るセル電圧(VCELL)2528を測定するためのハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの如何なる組合せを含んでいてもよい。したがって、センサ管理デバイス2526は、センサ管理デバイス2526が電気化学補償セル2506にも適切な補償電流2520を流す点を除いて上述と同様に動作する。補償セル電流2520は、電気化学測定セル2504を介して密閉チャンバ2510に流れ込んだイオンの量と同じ量のイオンが、電気化学補償セル2506を介して密閉チャンバ2510から流れ出すように、及び電気化学測定セル2504を介して密閉チャンバ2510から流れ出たイオンの量と同じ量のイオンが、電気化学補償セル2506を介して密閉チャンバ2510に流れ込むように、イオンフロー2524を生じさせる。2つのセル2504、2506の構造が同じである状況では、電流2516、2520は、極性が反対で大きさが等しい。センサシステム2500は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの如何なる組合せを用いて実現してもよい。ここに説明する機能ブロックの様々な機能及び動作は、幾つのデバイス、回路又は要素によって実行してもよい。機能ブロックの何れも、単一のデバイスに統合してもよく、ブロックの機能は、複数のデバイス、回路及び要素に亘って分散させてもよい。
図26は、排気ガスを測定するための密閉エアチャンバを含む電気化学センサ2600の断面のブロック図である。したがって、センサ2600は、被測定流体及び外部流体が気体である図25のセンサ2502の具体例である。図26の具体例では、センサ2600は、内燃機関の排気システム内の酸素濃度を測定するための広帯域の単一の測定セルセンサである。幾つかの状況では、センサ2600は、他のシステム内で、及び他の用途のために使用してもよい。
センサ2600は、単一のラミネートされた二酸化ジルコニウム(ZrO)セラミック層2604を備える。ZrO層2604とチャンバ筐体2606との間の空間は、測定チャンバ2514を形成する。チャンバ筐体2606内の孔2512は、被測定気体2608を受け取るための拡散ギャップを形成する。したがって、被測定排気ガス2608は、被測定流体2508の具体例である。孔2512は、拡散ギャップ、拡散層又は測定チャンバ2514に開設された他の開口であってもよい。
単一の白金電極2610(空気電極)は、空気電極2510が測定チャンバ2514の反対側になり、密閉エアチャンバ2602内の密閉された空気2612に露出されるように、ZrO層2604上に配設されている。密閉エアチャンバ2602は、密閉チャンバ2510の具体例である。
第2の白金電極(測定電極)2614は、空気電極2610の反対側のZrO層2604上に配設されており、測定チャンバ2512内の被測定気体2608に露出され、空気電極2610、ZrO層2604と共に、酸素電気化学測定セル2616を形成している。第3の白金電極2618は、第2の白金電極2614と同じ側のZrO層2604上に配置されており、測定チャンバ2514の外側に位置し、これにより、第3の白金電極2618は、外部気体2620に露出されている。外部気体2620は、適切な量の酸素イオンを含む周囲空気、排気ガス又は他の如何なる気体であってもよい。第3の白金電極2618は、補償電極2618であり、空気電極2610及びZrO層2604と共に補償電気化学セル2622を形成する。すなわち、測定電極2614、空気電極2610及びZrO層2604は、電気化学酸素測定セル2616を形成し、補償電極2618、空気電極2610及びZrO層2604は、補償電気化学セル2522を形成する。
電気化学酸素測定セル2616を流れる電流(測定セル電流)は、電流の方向と反対の方向に酸素イオンを輸送する。測定セル電流と反対の極性を有する補償電流は、補償セルに流され、これにより、補償セル電流と反対の方向に酸素イオンを移動させる。電流は、セルの1つによって測定チャンバにポンピングされた酸素イオンの量が、他方の電気化学セルによって測定チャンバからポンピングされた酸素イオンの量に等しくなるように選択される。例えば、補償電極2618が測定電極2614と同じ表面積を有し、電気化学補償セル2622が電気化学酸素測定セル2616と同様の構造を有している場合、補償電流は、測定電流と極性が反対で大きさが等しい。
上述のように、電気化学補償セル2622が、電気化学酸素測定セル2616によって密閉されたエアチャンバ2602から消費された酸素イオンと同じ量の酸素イオンをポンピングできるように、外部気体2620は、適切な量の酸素イオンを有している必要がある。したがって、図26の具体例では、外部気体2620は、イオンフロー2524を供給するために十分な酸素イオンを含む適切な水、二酸化炭素、一酸化炭素又は他の化合物が存在する排気ガス、空気又は他の気体であってもよい。
密閉エアチャンバ2602は、適切な量の周囲気体を確保し、酸素が消費され又は酸素が濃縮された気体が空気電極2610に露出される可能性を最小化又は排除する。単一のセルが開口を介して周囲空気に露出されるセンサでは、開口が遮蔽され、気流が制限される可能性がある。例えば、オフロード用の自動車は、多くの場合、汚れ、埃、泥及び水に露出され、センサは、これらの汚染物質に接触することがあり、又は水没することもある。したがって、センサ開口内の開口は、遮蔽されることがある。一方、密閉チャンバを有するセンサでは、空気電極を周囲空気に直接露出させる必要がない。補償セルは、開口を用いることなく、外気へのインタフェースを提供する。
この教示の観点から、本発明の他の実施の形態及び変形例を実施できることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明は、明細書及び添付の図面に関連して想到されるこのような全ての実施の形態、均等物及び変形例を含む特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (23)

  1. イオン濃度を測定する方法であって、
    一次電気化学セルシステムを介して一次ポンプ電流を流すステップ、
    前記一次電気化学セルシステムにおける第1イオン濃度に基づき前記一次電気化学セルシステムによって生成された第1出力信号を検出するステップ、
    前記第1出力信号を、対応する第1および第2閾値と比較した結果に基づき、第1固定一次ポンプ電流と第2固定一次ポンプ電流の間で前記一次ポンプ電流を切り替えて、多孔質膜を介して第1イオンフローを前記一次電気化学セルシステムに向かって流し、または前記一次電気化学セルシステムから遠ざけるステップであって、前記多孔質膜は前記一次電気化学セルシステムの電極表面上に配置されている、ステップ、
    を有することを特徴とする方法。
  2. 前記一次ポンプ電流を流すステップは、
    前記第1イオンフローをポンプすることと前記第1出力信号を生成することに関する前記一次電気化学セルシステムの機能を実施するように構成された単一の電極ペアを備える単一の電気化学セルを介して前記一次ポンプ電流を流すステップを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記第1出力信号を検出するステップは、前記単一の電気化学セルの単一のセル出力信号を検出するステップを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記第1固定一次ポンプ電流と前記第2固定一次ポンプ電流は、反対極性を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記方法はさらに、
    共通測定空間内において第2イオン濃度に基づき二次電気化学セルシステムによって生成された第2出力信号を検出するステップ、
    前記第1出力信号と前記第2出力信号との間の関係に基づき、前記二次電気化学セルシステムを介して、第1固定二次ポンプ電流と第2固定二次ポンプ電流との間の二次ポンプ電流を流して、第2イオンフローを前記共通測定空間内に向かって流し、または前記共通測定空間から出るように流すステップ、
    を有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記第1イオン濃度と前記第2イオン濃度は、元素のイオン濃度であり、
    前記第1イオン濃度は、前記共通測定空間の第1領域の範囲内にあり、
    前記第2イオン濃度は、前記共通測定空間の第2領域の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 前記第2イオン濃度は、前記二次電気化学セルシステムにおいて、前記元素のイオンおよび少なくとももう1つの元素のイオンに還元された、化合物の元素のイオンである
    ことを特徴とする請求項6記載の方法。
  8. 前記第1イオン濃度は、全体酸素イオン濃度であり、
    前記第2イオン濃度は、前記全体酸素イオン濃度よりも電極に近い局所酸素イオン濃度であり、
    前記二次電気化学セルシステムは、窒素酸化物を酸素イオンと窒素イオンに還元する前記電極を有する窒素検出電気化学セルを備える
    ことを特徴とする請求項7記載の方法。
  9. 前記一次ポンプ電流を流すステップは、前記一次電気化学セルシステムのポンプセルを介して前記一次ポンプ電流を流すステップを有し、
    前記第1出力信号を検出するステップは、前記一次電気化学セルシステムの測定セルの測定セル出力信号を検出するステップを有する
    ことを特徴とする請求項5記載の方法。
  10. 前記一次ポンプ電流を流すステップは、単一の電気化学セルを介して前記一次ポンプ電流を流すステップを有し、
    前記第1出力信号を検出するステップは、前記単一の電気化学セルの単一のセル出力信号を検出するステップを有する
    ことを特徴とする請求項5記載の方法。
  11. 前記単一の電気化学セルは、前記第1イオンフローをポンプすることと前記第1出力信号を検出することに関する前記一次電気化学セルシステムの機能を実施するように構成された単一の電極ペアを備える
    ことを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記方法はさらに、
    前記第1出力信号が前記第1および第2閾値の上限閾値に達するまで、第1固定振幅で前記一次ポンプ電流を正方向に流すステップ、
    前記第1出力信号が前記第1および第2閾値の下限閾値に達するまで、前記第1固定振幅で前記一次ポンプ電流を負方向に流すステップ、
    前記第2出力信号と前記第1出力信号との間の第1差分が第1差分閾値に達するまで、第2固定振幅で前記二次ポンプ電流を正方向に流すステップ、
    前記第2出力信号と前記第1出力信号との間の第2差分が第2差分閾値に達するまで、前記第2固定振幅で前記二次ポンプ電流を負方向に流すステップ、
    を有することを特徴とする請求項7記載の方法。
  13. 前記方法はさらに、
    前記少なくとももう1つの元素のイオン濃度を判定するステップを有する
    ことを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 前記イオン濃度を判定するステップは、前記二次ポンプ電流のデューティサイクルに基づき前記少なくとももう1つの元素のイオン濃度を判定するステップを有する
    ことを特徴とする請求項13記載の方法。
  15. 前記共通測定空間は、前記共通測定空間をイオンフローが無制限に通過できるように構成されている
    ことを特徴とする請求項5記載の方法。
  16. 前記共通測定空間は、拡散ギャップによって分離されていない
    ことを特徴とする請求項5記載の方法。
  17. 前記方法はさらに、
    前記一次電気化学セルシステムとともに電子回路を動作させて、可変パルス幅率、可変振幅、可変周波数を有する発信器を形成するステップを有する
    ことを特徴とする請求項1記載の方法。
  18. イオン濃度を測定する方法であって、
    酸素電気化学セルから、前記酸素電気化学セルにおける第1酸素イオン濃度に対応する第1出力信号を受信するステップ、
    前記第1出力信号を、対応する第1および第2閾値と比較した結果に基づき、前記酸素電気化学セルを介して、一次ポンプ電流を第1固定一次ポンプ電流と第2固定一次ポンプ電流との間で変化させるステップ、
    前記第1固定一次ポンプ電流と前記第2固定一次ポンプ電流に対する応答において、多孔質膜を介して第1イオンフローを前記酸素電気化学セルに向けて流し、または前記酸素電気化学セルから遠ざけるステップであって、前記多孔質膜は前記酸素電気化学セルの電極表面上に配置されている、ステップ、
    を有することを特徴とする方法。
  19. 前記方法はさらに、
    前記酸素電気化学セルとともに電子回路を動作させて、可変パルス幅率、可変振幅、可変周波数を有する発信器を形成するステップを有する
    ことを特徴とする請求項18記載の方法。
  20. 前記方法はさらに、
    窒素検出電気化学セルから、窒素酸化物を窒素イオンと酸素イオンに還元した結果として得られる第2酸素イオン濃度に対応する第2出力信号を受信するステップ、
    前記第1出力信号と前記第2出力信号との間の関係に基づき、前記窒素検出電気化学セルを介して、二次ポンプ電流を第1固定二次ポンプ電流と第2固定二次ポンプ電流の間で変化させるステップ、
    前記二次ポンプ電流による信号波形に基づき窒素酸化物濃度を判定するステップ、
    を有することを特徴とする請求項18記載の方法。
  21. 前記二次ポンプ電流を変化させるステップは、
    前記第1出力信号と前記第2出力信号との間の差分が第1窒素閾値に達するまで、前記窒素検出電気化学セルを介して前記第1固定二次ポンプ電流を流すステップ、
    前記第1出力信号と前記第2出力信号との間の差分が第2窒素閾値に達するまで、前記窒素検出電気化学セルを介して前記第2固定二次ポンプ電流を流すステップ、
    を有することを特徴とする請求項20記載の方法。
  22. 前記第1出力信号の少なくとも一部は、前記第1酸素イオン濃度に対する反応において前記酸素電気化学セルによって生成された酸素セルネルンスト電圧であり、
    前記第2出力信号の少なくとも一部は、前記第2酸素イオン濃度に対する反応において前記窒素検出電気化学セルによって生成された窒素セルネルンスト電圧である
    ことを特徴とする請求項21記載の方法。
  23. 前記方法はさらに、
    前記酸素電気化学セルおよび前記窒素検出電気化学セルとともに電子回路を動作させて、可変パルス幅率、可変振幅、可変周波数を有する発信器を形成するステップを有する
    ことを特徴とする請求項21記載の方法。
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