JP7122579B2 - 金属微粒子の作製方法および金属微粒子の作製装置 - Google Patents

金属微粒子の作製方法および金属微粒子の作製装置 Download PDF

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本開示は、主として電子回路基板のはんだ付けに用いるソルダーペースト等における金属微粒子の作製方法およびその作製装置に関する。特に、粒子径10μm以下の球状はんだ粒子の作製方法とその作製装置に関するものである。
近年では電子部品の更なる微細化に伴う電子回路基板の高密度化に対応するために、粒子径が10~25μmである金属粒子が実用化されており、今後は10μm以下の金属粒子も必要となってくる。従来、金属粒子の製造方法として、遠心噴霧法、ガス噴霧を併用した遠心噴霧法、超音波振動による分散法、超音波キャビテーションによる分散法が知られている。
遠心噴霧法は、チャンバー内に設けた高速回転するディスク上に溶融した金属材料を滴下して、遠心力により液滴を飛散させて球状粒子を製造する方法である。このとき、回転ディスクは、25,000rpm~100,000rpmで回転させる。ディスクの回転数が大きくなると、ディスク上の溶融金属の膜厚が薄くなるため、より粒径の小さな粒子を製造することができる。しかしながらモータ回転数の制約により、製造できる粒子の平均径を20μmより小さくすることは困難である(特許文献1)。
ガス噴霧を併用した遠心噴霧法は、上記の遠心噴霧法を利用してさらに粒子径の小さい金属粒子を製造するものである。当該方法では、チャンバー内に設けた高速回転するディスク上に数10μmから数100μmの液滴を噴霧して吹きつけ、回転ディスク上の溶融金属膜を薄くして遠心力により飛散させて、球状粒子を製造する。当該方法では、粒子径が10μmに近い粒子を製造することができる。ただし、製造した粒子に占める、粒子径が10μm以下である金属粒子の質量比は3%程度と低い(特許文献2)。
一方、超音波振動による分散法は、金属組成物の融点以上の温度に保持した高温の加熱媒体中に金属組成物を投入し、機械的な撹拌を行いながら超音波エネルギーを負荷する方法である。溶融した金属組成物を微細な液滴として分散させ、ついで冷却凝固させることで、金属粒子を製造することができる。ただし、当該方法で製造できる粒子の平均粒子径は11μm~98μmであり、粒子径が10μm以下である金属粒子を製造することは困難である(特許文献3)。
超音波キャビテーションによる分散法は、金属組成物の融点以上の温度に保持した高温の加熱媒体中に金属組成物を投入し、機械的な撹拌をすることなく超音波を照射する方法である。超音波を照射することでキャビテーションが発生し、キャビテーション圧壊時の衝撃圧を利用して、溶融した金属組成物を微細な液滴として分散させる。この方法によれば、粒子径が1~6μmである金属粒子を全体の50~80%の質量比で製造することができる(特許文献4)。
特開平7-179912号公報 特許第3511082号公報 特開平9-49007号公報 特開2017-150005号公報
しかしながら、従来の超音波キャビテーションによる分散法では、微細な粒子を得るためには超音波を30分間以上照射しなければならない。そして、超音波照射時間が長くなると粒子の発生速度が低下するため、生産性が低下するという問題がある。
本開示は、従来の課題を解決するもので、粒子径が1~10μmである金属微粒子を効率良く作製する方法、およびその作製装置を提供することを目的とする。
上記目標を達成するために、本開示の金属微粒子の作製方法は、溶剤内の金属組成物に超音波を照射し、一次粒子を発生させる粒子発生工程と、前記一次粒子に超音波を照射し、前記一次粒子を分裂させる粒子分裂工程と、を行う方法である。
また、本開示の金属微粒子の作製装置は、溶剤内に供給した金属組成物に超音波を照射し、一次粒子を発生させるための粒子発生部と、前記一次粒子に超音波を照射し、前記一次粒子を分裂させるための粒子分裂部と、を有する装置である。
本開示の金属微粒子の作製方法によれば、粒子発生工程と、粒子分裂工程とを分けている。そのため、原料となる金属組成物から効率的に一次粒子を発生させ、かつ発生した一次粒子を効率的に所望のサイズに微細化し、金属微粒子とすることができる。したがって、粒子発生工程において超音波を長時間照射した場合にも、一次粒子の発生速度が低下することなく、粒子径が1~10μmである金属微粒子を効率的に作製することが可能となる。
本開示の実施の形態1における金属微粒子の作製方法における工程を示す図 図2(a)は溶融した金属組成物から液滴(一次粒子)が発生するプロセスを示す図、図2(b)は発生した液滴(一次粒子)が分裂するプロセスを示す図 超音波周波数と一次粒子発生量との関係を示す図 超音波出力と一次粒子発生量との関係を示す図 超音波照射時間と一次粒子発生量との関係を示す図 本開示の実施の形態2における金属微粒子の作製装置の断面を示す模式図 本開示の実施の形態2における金属微粒子の作製装置を上面から見た模式図 溶剤の流速と金属微粒子の平均粒子径との関係を示す図 溶剤の流速と作製した金属微粒子の質量の関係を示す図
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<一次粒子の作製プロセス>
図1は、実施の形態1における金属微粒子の作製方法の工程を示す図である。本開示の金属微粒子の作製方法は、粒子発生工程102および粒子分裂工程103を少なくとも含んでいればよいが、図1に示すように、本実施の形態では、原料供給工程101や、粒子形成工程104、粒子回収工程105等も行う。
原料供給工程101は、金属微粒子の原料である金属組成物を供給する工程であり、その融点以上に加熱して溶融させた液体状の金属組成物を溶剤の中に供給する工程である。
粒子発生工程102は、溶剤内に供給した液体状の金属組成物に超音波を照射して一次粒子を発生させる工程である。粒子発生工程102では、キャビテーションの衝撃圧を作用させて、溶融した金属組成物の表面から液滴(一次粒子)を発生させる。
粒子分裂工程103は、粒子発生工程102で得られた液滴(一次粒子)に超音波をさらに照射して、液滴(一次粒子)を分裂させる。つまり、上述の液滴(一次粒子)にキャビテーション衝撃圧を作用させて、液滴(一次粒子)をさらに微細な液滴(金属微粒子)に分裂させる工程である。本明細書では、粒子発生工程102を行って得られた粒子を一次粒子と称し、粒子分裂工程103を行って得られた粒子を金属微粒子と称する。
ここで、粒子分裂工程103は、主に溶剤と一次粒子とを含む混合物に対して行う。つまり、上述の粒子発生工程102で得られた溶剤および一次粒子を金属微粒子の作製装置内の別の箇所に移動させたり、別途、異なる装置に移したりして、超音波を更に照射する。なお、後述の実施の形態2で説明するように、粒子発生工程102および粒子分裂工程103は、一つの金属微粒子の作製装置内で行うことが、金属微粒子の作製効率の点で好ましい。また、粒子発生工程102で使用する溶剤と、粒子分裂工程103で使用する溶剤は、同一であってもよく、異なっていてもよい。ただし、同一であるほうが、より効率よく金属微粒子112(図2(b)参照)を作製可能となる。
粒子形成工程104は、分裂させた液滴(金属微粒子)を表面張力によって球状に変化させ、その後に金属組成物の融点未満に冷却して固体とする工程である。粒子回収工程105は、作製した金属微粒子を溶剤と分離して回収する工程である。以下、粒子発生工程102および粒子分裂工程103を中心に説明する。
<金属微粒子形成メカニズム>
図2(a)および図2(b)は、金属組成物107から金属微粒子が形成されるプロセスを示した図である。粒子発生プロセスを高速度カメラによって10000コマ/秒で詳細に観察することで、今まで未知であった超音波照射による粒子形成メカニズムを解明することができた。
図2(a)は、溶融した金属組成物107から液滴(一次粒子111)が発生する経時プロセスを示す図である。このプロセスは、図1における粒子発生工程102である。溶剤106中に加熱溶融させた液体状の金属組成物107を供給すると、金属組成物107が沈降し、溶剤106が上層、金属組成物107が下層となる。溶剤106と混合後も溶融状態を保つよう、金属組成物107はその融点以上に加熱されている。なお、固体状の金属組成物107を溶剤106と混合してから加熱を行い、金属組成物107を溶融させてもよい。
ここに超音波108を照射すると、疎密波によって溶剤106中に微小な気泡109が発生する(図2(a)左図)。この気泡109が疎と密の状態を繰り返すことで膨張と収縮を繰り返して徐々に成長する。そして、大きく成長した気泡が収縮に耐えられなくなった時に気泡が圧壊して高圧の衝撃波110が発生する(図2(a)中央図)。この衝撃波110が金属組成物107の表面に作用することで液滴(一次粒子111)が発生する(図2(a)右図)。
一方、図2(b)は、発生した一次粒子111が分裂する経時プロセスを示す図である。このプロセスは、図1の粒子分裂工程103である。上記粒子発生工程102後の溶剤106の内部には、数多くの液滴(一次粒子111)が浮遊している(図2(b)左図)。この一次粒子111に気泡が圧壊した際の高圧の衝撃波110が作用すると(図2(b)中央図)、一次粒子111が分裂して微細な金属微粒子112が発生する(図2(b)右図)。
<粒子発生工程102>
粒子発生工程102で超音波108を照射する方法は特に制限されず、一般的な超音波振動子を用いて照射することができる。超音波振動子は、ホーン型や投げ込み型等、いずれであってもよいが、溶剤106側から超音波を照射することが、キャビテーションの強度が高まりやすいことから好ましく、ホーン型であることがより好ましい。
・超音波周波数
粒子発生工程102で照射する超音波の周波数について説明する。図3は、溶剤106の下方に位置する金属組成物107に、450Wの超音波を15秒間照射した時の超音波周波数と一次粒子の発生量との関係を示す図である。図3において、一次粒子の発生量は、超音波照射前に溶剤に供給した金属組成物107の質量と、超音波照射後に一次粒子111にならずに残っていた金属組成物107の質量と、の差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
図3に示されるように、周波数が26kHzの時に最も一次粒子の発生量が多く、周波数を低周波側に変化させると一次粒子の発生量はやや減少する。また、周波数を高周波側に変化させると急激に一次粒子の発生量が減少する。このことから、超音波周波数は26kHzであることが特に好ましい。なお、周波数を高くすると一次粒子の発生量は減少し、50kHzにすると26kHzの時と比較して約1/2になるため、周波数の上限は50kHzであることが望ましい。また、周波数を下げると可聴音となり騒音が激しくなるため、下限は20kHzであることが望ましい。
・超音波出力
また、粒子発生工程102で照射する超音波出力を変化させると振動波の振幅の大きさが変化する。そのため、気泡を成長させる作用が強くなり、気泡圧壊時の衝撃圧が大きくなる。
図4は、溶剤106の下方に位置する金属組成物107に周波数26kHzの超音波を15秒間照射した時の超音波出力と一次粒子の発生量との関係を示す図である。図4における一次粒子の発生量は超音波照射前に溶剤に供給した金属組成物107の質量と、超音波照射後に一次粒子111にならずに残っていた金属組成物107の質量と、の差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
図4に示されるように、超音波出力が150Wの時は一次粒子の発生量が少ないが、300W以上の時は一次粒子の発生量が増加する。このことから、超音波出力は300W以上であることが特に好ましい。超音波出力を下げると一次粒子の発生量は減少する。220Wにすると300Wの時と比較して約1/2になるため、超音波出力の下限は220Wであることが望ましい。また、超音波出力を上げると超音波振動装置の価格が急激に高くなるため、上限は1200Wであることが望ましい。
・超音波照射時間
下記表1に、金属組成物107に周波数26kHz、出力450Wの超音波を照射した時の超音波照射時間と得られる粒子の平均粒子径との関係を示す。表1における、平均粒子径はレーザー回折粒子径測定装置で計測した値である。
Figure 0007122579000001
上記表1に示されるように、平均粒子径は、超音波照射時間30秒の時に16μmであり、照射時間が長くなるのに伴い小さくなる傾向にある。そして、従来技術のように、一次粒子111を発生させながら、一次粒子111の平均粒子径を10μm以下にする場合、必要な照射時間は約3分以上である。
図5は、溶剤106に供給した金属組成物107に周波数26kHz、出力450Wの超音波を照射した時の超音波照射時間と一次粒子の発生量との関係を示す図である、図5において、一次粒子の発生量は超音波照射前に溶剤106に供給した金属組成物107の質量と、超音波照射後に一次粒子111にならずに残っていた金属組成物107の質量の差分である。質量は0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。
図5に示されるように、超音波照射時間が30秒から3分の間は一次粒子111の発生量が急激に増加するが、超音波照射時間が5分以上になると一次粒子の発生量の増加率が低下する。30秒から3分の間の時間当たりの粒子発生量を計算すると、30秒の時は1g/min、1分の時は0.9g/min、3分の時は0.65g/minであった。そこで、本実施の形態の粒子発生工程102において、効率的に一次粒子111を発生させるためには、超音波照射時間を30秒から1分の間にすることが望ましい。
<粒子分裂工程103>
粒子分裂工程103では、粒子発生工程102で得られた一次粒子111、すなわち溶剤106中に分散された一次粒子111に超音波108を照射する。超音波の照射方法は特に制限されない。超音波の照射は、一般的な超音波振動子を用いて照射することができる。このとき、超音波108は、本実施の形態の目的および効果を損なわなければ、どの方向から照射してもよいが、超音波の減衰が少ない方向から照射することが好ましい。超音波108を照射するための超音波振動子は、ホーン型であってもよく、投げ込み型であってもよい。
・超音波照射条件
粒子分裂工程103で照射する超音波108の照射条件は、本実施の目的および効果を損なわなければ、特に制限されない。例えば、周波数は、22~130Hzとすることができる。また、超音波出力は、90W~1kWとすることができる。また、超音波照射時間は、15秒~3分とすることが望ましい。また、後述の実施の形態2で説明するように、粒子分裂工程103は、超音波振動子と、溶剤106および一次粒子111とを相対的に移動させながら行ってもよい。この場合、超音波振動子に対する一次粒子111の移動速度によって、得られる金属微粒子112の平均粒子径を変化させることができる。移動速度(流速)と平均粒子径との関係については、実施の形態2で詳しく説明する。
また、粒子分裂工程103の開始から終了までの間に温度勾配を設けてもよい。後述の実施の形態2で説明するように、溶剤106および一次粒子111を一定方向に移動させながら粒子分裂工程103を行う場合、上流側の溶剤の温度および下流側の溶剤の温度をそれぞれ制御することで、このような温度勾配を設けることができる。また後述のように、粒子分裂工程103を循環槽内で行う場合には、循環槽内の温度を、複数の箇所で測定し、温度制御することが好ましい。
<金属微粒子>
金属微粒子112の原料である金属組成物107は、電子回路基板のはんだ付けに用いるソルダーペースト用の合金等とすることができ、本実施の形態では、Bi-45質量%Inとしている。ただし、当該金属組成物107(ひいては金属微粒子112)はBi-45質量%Inに限らず、BiとInの混合比率を変化させたBi-In合金であってもよい。また、Bi-Inの組み合わせに限らず、Sn、Ag、Cu、Sb、Bi、Inから選ばれる少なくとも1種類の金属もしくはその合金とすることができる。また、これらの金属や合金から得られる金属酸化物としてもよい。
また、本実施の形態の方法では、粒子径が1~10μmである金属微粒子112を効率的に作製することができるが、粒子分裂工程103における超音波照射時間を長くすることで1μm未満のサブミクロン粒子を作製することも可能である。一方、粒子分裂工程103における超音波照射時間を短くすると10μm以上の金属微粒子を作製することもできる。
<溶剤>
本実施の形態に用いる溶剤106は、金属組成物107の融点より高い沸点を有し、かつ金属組成物107と反応しない溶剤であれば特に制限されない。例えば沸点が200~500℃程度の溶剤とすることができ、その例にはトリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、シリコーンオイル、コーン油等が含まれる。また揮発性の低いイオン液体等であってもよい。
<効果>
かかる構成によれば、粒子発生工程で、金属微粒子の原料である金属組成物に、超音波を照射してキャビテーション圧壊時の衝撃圧を作用させることで一次粒子を発生させる。そして、粒子発生工程とは異なる粒子分裂工程で超音波を照射して一次粒子を分裂させることで、粒子径1μm~10μmの金属微粒子を効率的に作製することができる。さらに、粒子径を小さくしたい場合は、粒子分裂工程での超音波照射時間を長くすることで、粒子発生量を低下させることなく金属微粒子を作製することができる。
つまり、本開示の金属微粒子作製方法によれば、粒子発生工程と粒子分裂工程を分けるため、粒子径が1~10μmである金属微粒子の作製において、粒子の発生速度が低下するという問題が生じない。
(実施の形態2)
上述の実施の形態1の金属微粒子の作製方法を行うことが可能な金属微粒子の作製装置について、以下説明する。
<装置構造>
図6は、本開示の実施の形態2における金属微粒子の作製装置の断面を示す模式図である。実施の形態2における金属微粒子の作製装置は、金属微粒子の原料である金属組成物206に、超音波を照射して一次粒子を発生させる粒子発生部201と、発生した一次粒子に超音波を照射して一次粒子を分裂させて金属微粒子とする粒子分裂部203と、を少なくとも有していればよく、これらを別の構成として備えている。このような構成にすることで、一次粒子を効率よく発生させつつ、金属微粒子を作製することができる。
粒子発生部201の加熱槽202と、粒子分裂部203の循環槽204にはそれぞれ、金属組成物206の融点以上の沸点を持つ第1溶剤205が満たされる。加熱槽202にはさらに、金属微粒子の原料となる金属組成物206が供給される。ここで、金属組成物206は、溶融状態で供給してもよく、非溶融状態で供給してもよい。粒子発生部201では、金属組成物206(および溶剤205)を、第1ヒーター207によって金属組成物206の融点以上に加熱できる構造になっている。
金属組成物206は、原料供給部208から追加供給することができる。原料供給部208は、金属組成物206のみを供給してもよく、金属組成物206および第1溶剤205をそれぞれ個別に、もしくは混合物として供給してもよい。
第1溶剤205には上側からホーン型の第1超音波振動子209が浸漬され、第1溶剤205を介して、金属組成物206の表面に超音波キャビテーションを作用させることができる。
一方、粒子分裂部203の循環槽204の下部には、投げ込み型の第2超音波振動子212と、当該第2超音波振動子212を冷却するための冷却槽210とが設けられている。冷却槽210には沸点70℃以上の第2溶剤211が満たされている。
冷却槽210の底部に設置された投げ込み型の第2超音波振動子212によって、第2溶剤211を介して、循環槽204内部の第1溶剤205に超音波キャビテーションを作用させることができる。また、第1溶剤205は、金属組成物206の融点以上に加熱されているが、投げ込み型の第2超音波振動子212は、第2溶剤211によって、耐熱温度である60℃以下に保たれている。
図7は、実施の形態2における金属微粒子の作製装置を上面から見た模式図である。上述の図6は、図7におけるX-X’線の断面である。図6および図7に示すように、粒子発生部201における加熱槽202、および粒子分裂部203が配置された循環槽204は、第1溶剤205および一次粒子が、加熱槽202側から循環槽204側に流動できるように接続されている。そして循環槽204側で第1溶剤205を循環させることで、粒子発生部201で作製された一次粒子が、循環槽204側に移動する。以下、当該循環槽204について詳しく説明する。
<循環槽204>
加熱槽202と接続している循環槽204には、第1溶剤205が満たされている。循環槽204の上流側には第2ヒーター213、下流側には冷却装置214が配置されている。
循環槽204内では、第2ヒーター213と冷却装置214を用いて、温度計測部A215における第1溶剤205の温度が金属組成物206の融点以上となるように、温度計測部B216における第1溶剤205の温度が金属組成物206の融点未満となるように制御している。つまり、循環槽204内の第1溶剤205に温度勾配を持たせている。このように温度制御することで、粒子分裂部203で十分に一次粒子を分裂させやすくすると共に、冷却装置214側では、金属微粒子を固化させて、金属微粒子どうしの結合等を抑制することができる。
上述のように、循環槽204の粒子分裂部203の下部には、第2超音波振動子212を冷却するための第2溶剤211を満たした冷却槽210が設けられる。またその底部に第2超音波振動子212が設置される。循環槽204内の第1溶剤205は、送液量を制御可能なポンプ217によって、金属微粒子219と共に粒子分離装置218に送られる。そして、金属微粒子219と第1溶剤205に分離され、第1溶剤205のみが、循環槽204の上流側に戻される構造になっている。循環槽204内の第1溶剤205を循環させることで、第1溶剤205のリユースが可能となり溶剤廃棄量を減少させることができる。また、ポンプ217で循環速度を制御することで、一次粒子が粒子分裂部203に滞留する時間を変化させることができる。すなわち、一次粒子に超音波照射する時間を変化させることが可能となり、任意の粒子径分布を持つ金属微粒子を得ることができる。
なお、図7では、粒子発生部201が1台のみであるが、一次粒子の発生量を多くするために複数の粒子発生部201を備えた構造としてもよい。また、本実施の形態では、第1超音波振動子209にホーン型の超音波振動子、第2超音波振動子212に投げ込み型の超音波振動子を用いているが、これらの組み合わせは任意である。例えば、ホーン型とホーン型との組み合わせであってもよく、投げ込み型とホーン型との組み合わせであってもよく、投げ込み型と投げ込み型との組み合わせであってもよい。
<粒子作製性能>
本開示の実施の形態2の金属微粒子の作製装置を用い、金属組成物206をBi-45質量%In(液相95℃、固相89℃)として金属微粒子219の作製を実際に行った。なお、本実施の形態では、第1溶剤205としてトリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点:278℃)、第2溶剤211として水道水を用いた。ホーン型の第1超音波振動子209には周波数20kHzで最大出力600W、ホーン先端の直径は50mmであるものを用いた。投げ込み型の第2超音波振動子212には、周波数26kHzで最大出力が500Wであり、循環槽204の流れ方向の長さが500mmであり、幅が180mmである装置を用いた。
加熱槽202内の第1ヒーター207を用いて、第1溶剤205を110℃に加熱した。第1溶剤205の液温が110℃に達すると、第1溶剤205に浸漬している金属組成物206が溶融して液体状態になった。
ここで、ホーン型の第1超音波振動子209を500Wで動作させると、ホーン先端部でキャビテーションが発生する。このキャビテーションが圧壊する際に発生する衝撃圧が溶融した金属組成物206の表面に作用して、金属組成物206の液滴(一次粒子)が得られた。しかしながら、発生した液滴の数が多くなると、液滴の表面積×液滴数で表される界面の面積が広くなるため、超音波伝搬が減衰する。そのため、液滴を効率的に発生させるためには、液滴数が多くならないように調整することが重要である。
そこで、本実施の形態の作製装置では、循環槽204内の第1溶剤205を、ポンプ217によって循環させる。これにより、加熱槽202内の第1溶剤205と、加熱槽202内で発生した液滴(一次粒子)とが、負圧によって循環槽204側に流れ込む。したがって、加熱槽202内の液滴の数が多くなることはない。また、流れ込む量は、循環槽204内の第1溶剤205の流速によって制御することができる。
循環槽204(粒子分裂部203)に流れ込んだ液滴には、投げ込み型の第2超音波振動子212でキャビテーションを作用させる。投げ込み型の第2超音波振動子212を450Wで動作させると、振動子表面から循環槽204の方向にキャビテーションが発生する。このキャビテーションが循環槽204内の第1溶剤205で圧壊する際に発生する衝撃圧が液滴(一次粒子)に作用する。そして、更に微細な液滴(金属微粒子219)が得られる。液滴の大きさはキャビテーションを作用させる時間によって制御することが可能であり、時間が長くなるのに伴い、金属微粒子の粒子径は小さくなる。なお、本実施の形態では、循環槽204における温度計測部A215の温度を110℃、温度計測部B216の温度を70℃に制御した。
図8は、循環槽204内における第1溶剤205の流速と、粒子分離装置218で分離した後の金属微粒子219の平均粒子径との関係を示す図である。平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置で測定したメジアン径である。流速が遅くなるのに伴い平均粒子径が小さくなり、流速230mm/minで平均粒子径が10μmになる。このことから、流速は230mm/min以下とすることが望ましい。
図9は、循環槽204内における第1溶剤205の流速と、粒子分離装置218で分離した後に得られた金属微粒子219の質量と、の関係を示す図である。質量は、遠心分離機で第1溶剤205の残渣を除去した後、減圧乾燥させ、0.0001gまで測定可能な精密天秤で測定した。粒子作製量は、流速500mm/minの時に最も多くなり、流速が遅くなるのに伴い減少した。なお、流速80mm/minで、粒子作製量が流速500mm/minの50%になる。このことから、流速は80mm/min以上とすることが望ましい。したがって、小さい平均粒子径と、良好な金属微粒子の作製量とを両立させるためには、循環槽204内での第1溶剤205の流速を80~230mm/minの間にすることが望ましい。
また、温度計測部A215および温度計測部B216における温度は、それぞれ110℃および70℃に限らず、金属組成物206の融点に合わせて任意に変更することができる。また、温度計測部は2点に限らず3点以上に増やしても良い。温度計測部を増やすことで温度管理精度を高めることができる。
本実施の形態では、金属組成物206に、超音波を照射してキャビテーション圧壊時の衝撃圧を作用させる粒子発生部201と、粒子発生部201とは異なる粒子分裂部203と、でそれぞれ超音波を照射して粒子分裂をさせる。これにより、粒子径1μm~10μmの金属微粒子を効率的に作製することができる。さらに、金属微粒子の粒子径を小さくしたい場合は、粒子分裂部203(循環槽204)を流動する第1溶剤205の流速を遅くすることで、粒子発生量を低下させることなく、粒子径の小さい金属微粒子を作製することができる。
本開示の金属微粒子の作製装置によれば、粒子発生部と粒子分裂部を分けることで、1~10μmの粒子作製において粒子の発生速度が低下するという問題が生じない。
本開示の金属微粒子の作製方法および装置は、一次粒子の発生と一次粒子の分裂とを異なる工程で行うため、一次粒子の発生量を低下させることなく、一次粒子を分裂させることができる。そのため、効率的に金属微粒子を作製することができる。さらに粒子分裂部における溶剤(ひいては一次粒子)の流速を調整することによって、超音波照射時間を変化させることができる。したがって、任意の粒子径の金属微粒子を得ることが可能となり、当該金属微粒子は、微細接合を必要とする電子回路基板のはんだ付け等に適用できる。
101 原料供給工程
102 粒子発生工程
103 粒子分裂工程
104 粒子形成工程
105 粒子回収工程
106 溶剤
107 金属組成物
108 超音波
109 気泡
110 衝撃波
111 一次粒子
112、219 金属微粒子
201 粒子発生部
202 加熱槽
203 粒子分裂部
204 循環槽
205 第1溶剤
206 金属組成物
207 第1ヒーター
208 原料供給部
209 第1超音波振動子
210 冷却槽
211 第2溶剤
212 第2超音波振動子
213 第2ヒーター
214 冷却装置
215 温度計測部A
216 温度計測部B
217 ポンプ
218 粒子分離装置

Claims (3)

  1. 溶剤内の金属組成物に超音波を照射し、一次粒子を発生させる粒子発生工程と、
    前記一次粒子に超音波を照射し、前記一次粒子を分裂させる粒子分裂工程と、
    を有し、
    前記粒子分裂工程では、前記金属組成物の融点以上となる温度で開始し、かつ前記金属組成物の融点未満となる温度で終了するように温度勾配を設け、
    前記粒子分裂工程を、底部に配置された超音波振動子と、前記溶剤の流速を制御するポンプと、前記溶剤を循環させる配管と、を有する循環槽内で行い、
    前記粒子分裂工程で、前記循環槽内の温度を複数の箇所で計測する、
    金属微粒子の作製方法。
  2. 前記粒子分裂工程において、前記一次粒子に超音波を照射するための超音波振動子と、前記溶剤および前記一次粒子とを相対的に移動させ、前記超音波振動子に対する前記一次粒子の移動速度の制御によって、得られる金属微粒子の平均粒子径を制御する、
    請求項1に記載の金属微粒子の作製方法。
  3. 溶剤内に供給した金属組成物に超音波を照射し、一次粒子を発生させるための粒子発生部と、
    前記一次粒子に超音波を照射し、前記一次粒子を分裂させるための粒子分裂部と、
    を有する、金属微粒子の作製装置であり、
    前記作製装置は、前記溶剤を循環させる循環槽を有し、
    前記粒子分裂部は、循環槽内に配置されており、
    前記循環槽は、
    底部に配置された超音波振動子と、
    前記溶剤の流速を制御するポンプと、
    前記溶剤を循環させる配管と、
    を有し、
    前記循環槽は、上流側の前記溶剤の温度が、前記金属組成物の融点以上となるように、かつ下流側の前記溶剤の温度が、前記金属組成物の融点未満となるように、ヒーター、冷却装置、および前記溶剤の温度を測定するための複数の温度計測部により温度が制御されている、
    金属微粒子の作製装置。


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