JP6770323B2 - 金属粒子の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、金属粒子、例えばはんだ合金などの金属材料から成る金属粒子の製造方法および製造装置に関する。
金属材料から成る金属粒子は種々の用途に使用されている。例えば、電子回路基板に電子部品を実装(はんだ付け)するために用いられているソルダーペーストは、はんだ合金から成る金属粒子をフラックスと混合して製造されている。
かかる金属粒子の製造方法として、遠心噴霧法、ガス噴霧を併用した遠心噴霧法、超音波分散法、超音波破砕法が知られている。遠心噴霧法は、チャンバー内に設けた高速回転するディスク上に、溶融した金属材料を滴下して、遠心力により金属材料を飛散させて金属粒子を製造するものである(特許文献1を参照のこと)。ガス噴霧を併用した遠心噴霧法は、上記の遠心噴霧法をより微細な金属粒子を製造するために改変したものであり、チャンバー内に設けた高速回転するディスク上に、溶融した金属材料をガス噴霧により数10〜数100μmの液滴の形態で吹きつけて、ディスク上により薄い溶融金属膜を生成させ、遠心力により金属材料を飛散させて金属粒子を製造するものである(特許文献2を参照のこと)。超音波分散法は、金属材料の融点以上の温度に保持した加熱媒体中に金属材料を投入し、溶融した金属材料(融液)に超音波エネルギーを負荷し、より具体的には金属材料の融液を加熱媒体と一緒に撹拌しながらこれらの混合物に超音波振動を直接負荷することにより、金属材料の融液を微細な液滴に分割して加熱媒体中で分散させ、次いでこの液滴を冷却凝固させて金属粒子を製造するものである(特許文献3を参照のこと)。超音波破砕法は、溶媒中に配置した固体の金属塊(代表的には金属箔)に、溶媒を媒質として超音波を照射し、これによって生じる超音波キャビテーションにより金属塊を破砕して金属粒子を得るものである(特許文献4を参照のこと)。
特開平7−179912号公報 特許第3511082号公報 特開平9−49007号公報 特開2011−89156号公報
ソルダーペーストを用いた典型的な電子部品の実装工程において、ソルダーペーストは所定の開口パターンが設けられたメタルマスクを通じて電子回路基板の所定の領域に供給された後、その上にBGA(Ball Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat No−Leads)等の半導体パッケージや、コンデンサ、抵抗およびコイル等のチップ部品、ならびにその他の各種電子部品が配置され、リフロー炉にて加熱されて、ソルダーペースト中のはんだ合金から成る金属粒子(はんだ粒子)が溶融し、その後、凝固することにより、電子部品が電子回路基板に実装される。
近年、スマートフォン、タブレット等の電子機器の高機能化と小型軽量化に伴い、電子回路の微細化が一層進んでいる。半導体パッケージの端子間ピッチは、従来、0.5mm、0.4m、0.3mmであったが、0.2mmへと短縮されてきている。また、チップ部品のサイズは、従来、1608(1.6mm×0.8mm)、1005(1.0mm×0.5mm)、0402(0.4mm×0.2mm)であったが、0201(0.2mm×0.1mm)へと小型化してきている。更に、FPD(Flat Panel Display)のガラス基板にフィルム基板を接合するFOG(Film On Glass)の端子間ピッチは0.1mmであり、FPDのガラス基板にドライバーICを接合するCOG(Chip On Glass)の端子間ピッチは0.03mmである。
かかる状況下、これら電子部品を実装するためのソルダーペーストに含まれるはんだ合金から成る金属粒子(はんだ粒子)の粒径を小さくすることが望まれている。例えば、従来代表的な0.5mmピッチBGAの電極サイズは直径0.25mmであり、このBGAをはんだ付けするためのソルダーペーストでは、20〜38μmの粒径分布を有するはんだ粒子が使用されている。これに対して、0.2mmピッチBGAの電極サイズは直径0.1mmであり、従来の20〜38μmの粒径分布を有するはんだ粒子ではメタルマスクの開口部で目詰まりを起こしてしまい、安定したはんだ付けができないため、10〜25μmの粒径分布を有するはんだ粒子を使用することが求められている。また、1608サイズのチップ部品の電極サイズは0.8mm×0.8mmであり、このチップ部品をはんだ付けするためのソルダーペーストでは、20〜38μmの粒径分布を有するはんだ粒子が使用されている。これに対して、0201サイズのチップ部品の電極サイズは0.1mm×0.1mmであり、従来の20〜38μmの粒径分布を有するはんだ粒子ではメタルマスクの開口部で目詰まりを起こしてしまい、安定したはんだ付けができないため、10〜25μmの粒径分布を有するはんだ粒子を使用することが求められている。更に、端子間ピッチ0.1mmのFOGは、電極幅が0.05mmと狭いため、2〜12μmの微細な粒径分布を有するはんだ粒子が求められ、端子間ピッチ0.03mmのCOGは、電極幅が0.015mmと更に狭いため、1〜6μmの一層微細な粒径分布を有するはんだ粒子が求められている。また、目詰まりを起こし難くするには、はんだ粒子の形状は球形であることが好ましい。
しかしながら、上述した従来既知の金属粒子の製造方法では、このように小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を効率的に得ることは困難である。特許文献1の遠心噴霧法では、ディスクの回転数(25,000〜120,000rpm)が大きくなると、ディスク上の溶融金属の膜厚が薄くなるため、粒径の小さな金属粒子を製造することができるが、ディスクの回転数はモータ性能により制約されるため、20μmより小さな粒径を有する金属粒子を得ることは困難である。特許文献2のガス噴霧を併用した遠心噴霧法では、13μm以下の粒径を有する金属粒子が得られる旨が記載されているが、この方法により製造された粒子全体に占める粒径13μm以下の金属粒子の質量割合はわずか3質量%程度でしかなく、粒径10μm以下の金属粒子を効率的に製造することは困難である。特許文献3の超音波分散法では、11〜102μmの平均粒径を有する金属粒子が得られる旨が記載されており、負荷する超音波の周波数が大きいほど粒径の小さな金属粒子が製造されているが、粒径10μm以下の金属粒子を効率的に製造することは困難である。特許文献4の超音波破砕法では、超音波の周波数、強度および照射時間を調整することで40nm〜1μmの粒径(FE−SEM観察)を有する金属粒子が得られる旨が記載されているが、キャビテーションの衝撃圧で固体の金属塊を破砕して粒子を製造するため、得られる金属粒子は球状ではなく不定形になるという問題がある。
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることが可能な、新規な金属粒子の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明の1つの要旨によれば、
金属材料を、該金属材料の融点以上に加熱された第1の液状媒体中にて溶融させること、および
前記第1の液状媒体中で溶融した前記金属材料に、第2の液状媒体中で超音波振動子を作動させることによって発生する衝撃波を照射して、該第1の液状媒体中で該金属材料から金属粒子を得ること
を含む、金属粒子の製造方法が提供される。
本発明の上記金属粒子の製造方法によれば、第1の液状媒体中で溶融した金属材料に、第2の液状媒体中で超音波振動子を作動させることによって発生する衝撃波を、第2の液状媒体から第1の液状媒体へと伝播させて照射しているので、溶融した金属材料にキャビテーションによる衝撃波を作用させて、第1の液状媒体中で金属粒子の液滴を形成することができ、これにより、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることができる。
本発明のもう1つの要旨によれば、
第1の液状媒体を収容するための第1の槽と、
第2の液状媒体を、前記第1の槽の周囲にて収容するための第2の槽と、
前記第1の槽の外側かつ前記第2の槽の内側にて第2の液状媒体中に配置される超音波振動子と
を含み、前記第1の槽内で金属材料が該金属材料の融点以上に加熱された第1の液状媒体中で溶融し、前記第2の槽内で第2の液状媒体中で前記超音波振動子が作動することによって発生する衝撃波が、前記第1の槽内で第1の液状媒体中で溶融した該金属材料に照射されて、第1の液状媒体中で該金属材料から金属粒子を生じる、金属粒子の製造装置が提供される。
本発明の上記金属粒子の製造装置によれば、超音波振動子は、第1の槽の外側かつ第2の槽の内側にて第2の液状媒体中に配置され、第1の液状媒体中で溶融した金属材料に、第2の液状媒体中で超音波振動子を作動させることによって発生する衝撃波が、第2の液状媒体から第1の液状媒体へと伝播させて照射されることとなるので、溶融した金属材料にキャビテーションによる衝撃波を作用させて、第1の液状媒体中で金属粒子の液滴を形成することができ、これにより、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることができる。
本発明によれば、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることが可能な、新規な金属粒子の製造方法および製造装置を提供することができる。
本発明の1つの実施形態における金属粒子の製造装置の概略断面図を示す。 本発明の1つの実施形態における金属粒子の製造方法を示すフローチャートを示す。 本発明のもう1つの実施形態における金属粒子の製造装置の概略構成図を示す。 実施例1で得られた金属粒子の電子顕微鏡写真を示す。 実施例1で得られた金属粒子の粒子径分布を示す。 実施例2で得られた金属粒子の粒子径分布を示す。 実施例3で得られた金属粒子の粒子径分布を示す。 実施例1〜3で用いた第1の液状媒体の粘度と、これにより得られた粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りとの関係を示す。 実施例4で得られた金属粒子の粒子径分布を示す。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されない。
(実施形態1)
本発明の金属粒子の製造方法は、金属材料を、金属材料の融点以上に加熱された第1の液状媒体中にて溶融させること、および第1の液状媒体中で溶融した前記金属材料に、第2の液状媒体中で超音波振動子を作動させることによって発生する衝撃波を照射して、該第1の液状媒体中で該金属材料から金属粒子を得ることを含む。
本実施形態における金属粒子の製造方法は、図1に示す金属粒子の製造装置200を用いて実施され得る。金属粒子の製造装置200は、図1を参照して、第1の液状媒体202を収容するための第1の槽201と、第1の槽201が入れられ、第2の液状媒体204を第1の槽201の周囲にて収容するための第2の槽203と、第1の槽201の外側かつ第2の槽203の内側にて第2の液状媒体204中に配置される超音波振動子207とを含む。
本実施形態の金属粒子の製造方法は、図1および図2に示すように、金属材料205を第1の液状媒体202に浸漬し、第1の液状媒体202を金属材料205の融点以上に加熱し、第1の液状媒体202(および金属材料205)を入れている第1の槽201を、超音波振動子207が浸漬されている第2の液状媒体204に浸漬し、超音波キャビテーションを金属材料205の表面に作用させると、溶融した金属材料205から球状の金属粒子206が形成される。以下、より詳細に説明する。
まず、金属粒子の原料となる金属材料を準備する。金属材料は、第1の液状媒体中で溶融させ得る(換言すれば、金属材料の融点が第1の液状媒体の沸点よりも低い)限り、特に限定されず、任意の金属材料(任意の単体金属または任意の金属組成を有する2つ以上の金属の合金または複合体)を使用し得る。例えば、主成分(即ち、金属材料の50質量%以上を占める成分)がSnまたはBiである金属材料を使用できる。また、金属材料は、第1の液状媒体中で金属粒子の液滴を形成し得るのに適した密度を有することが好ましい。金属材料の密度は、例えば5g/cm以上12g/cm以下であり得、好ましくは6g/cm以上11g/cm以下、より好ましくは7g/cm以上10g/cm以下である。SnまたはBiを主成分とし、かつ、5g/cm以上12g/cm以下の密度を有する金属材料の例としては、Sn−58mass%Bi(融点138℃、比重8.76g/cm)、Bi−45mass%In(融点98℃、比重8.67g/cm)、Bi−32mass%In(融点125℃、比重8.99g/cm)、Sn−13mass%Sb(融点270℃、比重7.27g/cm)、Sn−3mass%Ag−0.5mass%Cu(融点219℃、比重7.46g/cm)、Sn−3.5mass%Ag−0.5mass%Bi−6mass%In(融点206℃、比重7.48g/cm)、Bi−3mass%Ag−0.5mass%Cu(融点260℃、比重9.80g/cm)、100mass%Sn(融点232℃、比重7.36g/cm)等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、合金組成の表示において一般的に理解され得るように、数字が付されていない金属は、その合金組成の残部を占めていることを意味する。
次に、第1の液状媒体および第2の液状媒体を準備する。これら液状媒体は、後述する超音波振動子から発生する超音波の媒体として機能する。液状媒体は、超音波を効率的に伝播させることができる。
第1の液状媒体は、金属材料の融点より高い沸点を有し、熱的に安定なもの(換言すれば、金属材料を溶融させるための加熱状態において分解しないまたは分解し難いもの)が使用される。第1の液状媒体の沸点は、金属材料の融点より100℃高いことが好ましく、130℃高いことがより好ましい(なお、本明細書において沸点の値を記載する場合、代表的に、常圧下での沸点を言うものとする。以下も同様)。第1の液状媒体の粘度は、最終的に得られる金属粒子の粒径に影響し、第1の液状媒体の粘度が高いほうが、より小さな粒径の金属粒子をより多く得ることができる。本発明を限定するものではないが、第1液状媒体の粘度は、例えば2〜300mPa・sの範囲で、使用する金属材料ならびに目標とする金属粒子の粒径範囲および歩留り等に応じて適宜選択され得る(なお、本明細書において粘度の値を記載する場合、大気圧下、25℃にて測定される粘度を言うものとする。以下も同様)。第1の液状媒体の例としては、ブチルトリグリコール(BTG:沸点271℃、粘度8.1mPa・s)、メチルトリグリコール(MTG:沸点249℃、粘度7.5mPa・s)、ジブチルジグリコール(DBDG:沸点254℃、粘度2.4mPa・s)、ヘキシルジグリコール(HeDG:沸点259℃、粘度8.6mPa・s)および2−エチルヘキシルジグリコール(EHDG:沸点272℃、粘度10.4mPa・s)等のグリコール系溶媒、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点244℃、粘度271mPa・s)および2−エチルヘキサノール(沸点185℃、粘度9.8mPa・s)等のアルコール系溶媒、ターピネオール(沸点219℃、粘度36mPa・s)およびジヒドロターピネオール(沸点210℃、粘度83mPa・s)等のテルペン系溶媒等が挙げられる。
第2の液状媒体は、第1の液状媒体とは異なり、特に限定されない。第2の液状媒体の沸点は、第1の液状媒体の沸点より低くてよく、これにより、第2の液状媒体は、第1の液状媒体よりも幅広い範囲の種々の液状媒体から選択することが可能である。更に、第2の液状媒体の沸点は、金属粒子を製造している間に亘って第2の液状媒体を沸点以下に維持できる限り、金属材料の融点より低くてもよく、これにより、第2の液状媒体は、より一層幅広い範囲の種々の液状媒体から選択することが可能である。第2の液状媒体の例としては、水(沸点100℃)、エタノール(沸点78℃)、イソプロピルアルコール(沸点83℃)などが挙げられ、任意の液体を利用できる。第2の液状媒体は、通常、第1の液状媒体と異なるが、第1の液状媒体と(第1の槽の)隔壁により隔離されている限り、第1の液状媒体と同じものを用いてもよい。
これら第1の液状媒体および第2の液状媒体は、それぞれ第1の槽および第2の槽に入れられる。第2の槽内には、超音波振動子が、少なくともその超音波振動表面が第2の液状媒体に対して露出するように設置されており、投込みタイプの超音波振動子の場合には、その全体が第2の液状媒体に浸漬され得る。第1の槽は、超音波振動子から発生される超音波を第2の液状媒体から第1の液状媒体へ効率的に伝播し得るように、厚さおよび材質等が選択され得る。第1の槽の厚さは、例えば1.0mm以下、代表的には0.3mm以上0.5mm以下であり得る。第1の槽の材質は、例えば耐熱ガラス、セラミックなどであってよい。第2の槽は、特に限定されず、任意の適切な厚さおよび材質等で構成され得る。超音波振動子は、一般的に超音波発振器からの高周波電力を受けて振動し、かかる振動により超音波を発生する部材を言う。本発明において、超音波振動子には、第2の液状媒体中で適切な周波数の超音波を発生させ得る限り、任意のものを使用でき、投込み型やフランジ型等を含み得る市販の超音波振動子を利用してよい。
図1および図2を再び参照して、上記で準備した金属材料205を、第1の槽201内の第1の液状媒体202に浸漬する。そして、第1の液状媒体202を金属材料205の融点以上に加熱すると、金属材料205が第1の液状媒体202中で溶融する。加熱方法は、特に限定されず、例えば、マイクロ波により加熱しても、ハロゲンヒーター、投込みヒーター、ホットエアー等により加熱してもよい。なお、金属材料205の第1の液状媒体202への浸漬および第1の液状媒体202の加熱は、金属材料205が第1の液状媒体202中で溶融し得る限り、任意の適切なタイミングで実施してよく、例えば、金属材料205の融点以上に予め加熱した第1の液状媒体に金属材料205を浸漬してもよい。その後、金属材料205が少なくとも部分的に溶融し、好ましくはその全体が溶融したこと(溶融した金属材料は第1の槽201の底部で広がって液塊を形成し得る)を確認してから、第1の液状媒体202(および金属材料205)を入れている第1の槽201を、上記の通り超音波振動子207が浸漬されている第2の槽203内の第2の液状媒体204に浸漬する。そして、第2の液状媒体204が第1の液状媒体202と第1の槽201の隔壁を介して隣接した状態で、第2の液状媒体204中で超音波振動子207を作動させると、超音波振動子207の振動により発生した超音波は、第2の液状媒体204および第1の槽201の隔壁等(場合により溶融した金属材料205)を通じて第1の液状媒体202へと伝播されて、第1の液状媒体202中で超音波キャビテーションが起こる。かかる超音波キャビテーションにより発生する衝撃波が、溶融した金属材料205の表面に作用して、溶融した金属材料(液塊)205から球状の金属粒子206が液滴の形態で分離形成される。
本発明では、従来から広く知られている超音波撹拌による乱流状態ではなく、超音波によるキャビテーション効果を利用している。本実施形態において、第2の液状媒体204と第1の液状媒体202とは第1の槽201の隔壁を介して隔離されており、第1の液状媒体202には外力(例えば撹拌翼や撹拌子)による撹拌力を作用させていない(本実施形態では、第1の液状媒体202は、見かけ上、静止した系となっている)ので、第1の液状媒体202では、乱流状態とならずに、超音波によるキャビテーション効果が支配的にもたらされることに留意されたい。超音波振動子207の振動により発生した縦波は、上述した各媒体の内部を伝播し、第1の液状媒体202の内部に疎の部分と密の部分を短時間で交互に発生させる。疎の部分では圧力が低下し、圧力が飽和水蒸気圧より低くなると、第1の液状媒体202の液中にミクロン単位の微小な気泡が多数発生する。密の部分では圧力が高くなり、周囲の液体が気泡の中心に向かって集まり、気泡が消滅する瞬間に数千気圧とも言われる強力な衝撃圧が発生する。この気泡の生成と消滅がキャビテーションであり、キャビテーションによる衝撃波、より詳細には気泡が消滅する瞬間の衝撃圧が、溶融した金属材料の表面に作用して、無数の微細な金属粒子の液滴を生成させる。生成した金属粒子の液滴は第1の液状媒体202中で自らの表面張力で不定形から球状に変形し、球状の金属粒子206となる。
第2の液状媒体中で作動させる超音波振動子の周波数は、適宜選択され得るが、例えば0.5kHz以上2000kHz以下、好ましくは20kHz以上100kHz以下である。超音波振動子の周波数は、かかる範囲で、個々の事情に応じて具体的に所望される粒径および生産効率等に基づいて選択可能である。より詳細には、より小さい粒径の金属粒子を得ることが望ましい場合、より低い周波数(0.5kHz以上で、例えば60kHz以下、好ましくは45kHz以下、代表的には20kHz)のほうが、波長が長くなるため、より大きいキャビティを形成することができ、よって、より強い衝撃圧が溶融した金属材料の表面に作用することとなり、得られる金属粒子の液滴(ひいては固体の金属粒子)の粒径を小さくすることができる。他方、金属粒子の生産効率が優先される場合、より高い周波数(200kHz以下で、例えば60kHz以上、好ましくは80kHz以上、代表的には100kHz)のほうが、波長が短くなるため、キャビティの発生数を増大させることができ、よって、より多くの衝撃圧が溶融した金属材料の表面に作用することとなり、金属粒子の形成効率を高めることができる。
上記のようにして第1の液状媒体201中で発生した金属粒子206の液滴は、加熱停止により第1の液状媒体201の温度がやがて低下することにより、凝固して固体の金属粒子となる。
これによって得られる金属粒子は、通常、球状の形態を有する(但し、必ずしもその全てが球状でなくてもよい)。かかる金属粒子の真円率(10個またはそれ以上の平均)は、例えば80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上(但し理論上100%以下)以下であり得る。なお、粒子の真円率は下記の通り定義される:
真円率=短径÷長径×100(%)
式中、短径および長径は、金属粒子の電子顕微鏡写真において、1個の金属粒子について短径および長径を測定することにより求められる。
また、これによって得られる金属粒子は、小さな粒径を有する。かかる金属粒子の粒径は、例えば10μm以下、好ましくは6μm以下であり、代表的には1μm以上10μm以下、更に代表的には1μm以上6μm以下である。本発明を限定するものではないが、これにより製造された金属粒子全体に占める粒径1〜10μmの金属粒子の体積割合は、例えば65体積%以上、好ましくは80体積%以上(但し理論上100体積%以下)とすることができ、粒径1〜6μmの金属粒子の体積割合は、例えば50体積%以上、好ましくは80体積%以上(但し理論上100体積%以下)とすることができる。なお、ここで、金属粒子の粒径は個々の粒子の粒径を言うものであり、金属粒子の粒径および特定の範囲の粒径を有する金属粒子の体積割合は、金属粒子の粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定することにより求められ得る。
このように、本実施形態の金属粒子の製造方法および製造装置によれば、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることができる。
(実施形態2)
本実施形態は、金属粒子を連続式で製造することができる、金属粒子の製造方法および製造装置に関し、特段説明のない限り、上述した実施形態1と同様の説明が当て嵌まる。
本実施形態における金属粒子の製造方法は、図3に示す金属粒子の製造装置900を用いて実施され得る。金属粒子の製造装置900は、図3を参照して、第1の液状媒体901を収容するための第1の槽902と、第1の槽902が入れられ、第2の液状媒体903を第1の槽902の周囲にて収容するための第2の槽904と、第1の槽902の外側かつ第2の槽904の内側にて第2の液状媒体903中に配置される超音波振動子912とを含む。本実施形態においては、超音波振動子912で発生した超音波(縦波)が、第1の液状媒体901に到達するように調整されている。
更に、本実施形態の金属粒子の製造装置900においては、第1の槽902が、第1の液状媒体915の入口部Xおよび出口部Yを有し、金属粒子回収部906が、第1の槽902の入口部Xおよび出口部Yと、入口側パイプ910および出口側パイプ905等のパイプ(A点からB点までのパイプは図示省略)を介して接続されて設けられており、ポンプ907により第1の液状媒体915が第1の槽902と金属粒子回収部906を通って循環するように構成されている。金属粒子回収部906は、例えば液体サイクロンなどであってよい。パイプは、特に限定されないが、金属その他の適切な材料で構成されていてよい(以下も同様)。
第1の液状媒体901の循環経路上の第1の層902の入口部Xの手前には、金属材料を投入するためのホッパー908が設けられ得る。第1の槽902とポンプ907とを接続する入口側パイプ910には、加熱装置911が設けられ得る。加熱装置911は、例えば電熱ヒーターなどであってよい。また、第1の槽902の上部には、第1の槽902内に収容される第1の液状媒体901を加熱する非接触式加熱装置909が設けられ得る。非接触式加熱装置909は、例えばハロゲンスポットヒーターなどであってよい。
他方、第2の槽904の第2の液状媒体903は、第2の槽904とパイプ914を介して接続された循環冷却装置913を通って循環し、温度調整が可能なように構成されている。循環冷却装置は、例えばチラーなどであってよい。
本実施形態の金属粒子の製造方法は、次のようにして実施され得る。金属材料、第1の液状媒体および第2の液状媒体は、実施形態1にて上述したものと同様のものを使用できる。金属材料は、ダイスまたは粒状等に加工して、予めホッパー908に入れおく。第1の液状媒体901は、ポンプ907により、入口側パイプ910、第1の槽902、出口側パイプ905、金属粒子回収部906に通して循環させながら、第1の槽902の上部に設置された非接触式加熱装置909により、第1の液状媒体901を金属材料の融点以上に加熱する。他方、第2の液状媒体903は、外部の循環冷却装置913に通して循環させ、第2の液状媒体903の温度が、その沸点より低い所定の温度、例えば60℃以下になるように保つ。
第1の槽902内の第1の液状媒体901の温度が金属材料の融点以上になったことを確認した後、ホッパー908から金属材料を供給する。金属材料は、(図示する態様では入口側パイプ910から第1の液状媒体901と共に)第1の槽902へと供給され、金属材料の融点以上に加熱された第1の液状媒体901に浸漬されて、第1の液状媒体901中で溶融して液状物となり、図3に示すように第1の槽902の底部で広がって液塊を形成し得る。
ここで、第2の液状媒体903中で超音波振動子912を作動させると、超音波振動子912の振動により発生した超音波は、第2の液状媒体903および第1の槽902の隔壁等(場合により溶融した金属材料)を通じて第1の液状媒体901へと伝播されて、第1の液状媒体901中で超音波キャビテーションが起こる。かかる超音波キャビテーションにより発生する衝撃波が、溶融した金属材料の表面に作用して、溶融した金属材料(液塊)から球状の金属粒子915が液滴の形態で分離形成される。
本実施形態において、第2の液状媒体903と第1の液状媒体901とは第1の槽902の隔壁を介して隔離されており、第1の液状媒体901には外力(例えば撹拌翼や撹拌子)による撹拌力を作用させていない(本実施形態では、第1の液状媒体901は、見かけ上、層流となっている)ので、第1の液状媒体901では、乱流状態とならずに、超音波によるキャビテーション効果が支配的にもたらされることに留意されたい。
そして、第1の槽902の出口部Yから第1の液状媒体901が金属粒子915と共に抜き出される。より詳細には、これら金属粒子915は液滴として第1の液状媒体901中で雲状に浮遊しているため、第1の液状媒体901の流れに乗って出口側パイプ905を通じて金属粒子回収部906へと送られる。出口側パイプ905には加熱装置が設けられていないため、出口側パイプ905を通る間、第1の液状媒体901の温度が徐々に低下し、第1の槽902で形成された金属粒子915の液滴はやがて凝固して固体の金属粒子となり、金属粒子回収部906にて第1の液状媒体915から(例えば液体サイクロンである場合、比重差により)分離されて、P点から抜き出され得る。他方、金属粒子915が分離された第1の液状媒体901は、ポンプ907により、A点からB点にパイプ移送され、入口側パイプ910を通じて、加熱装置911にて適宜加熱されて、第1の槽901の入口部Xに戻される。
第1の槽902の底部にて広がって溶融している金属材料は、金属粒子915を放出することにより消費されるため、ホッパー908から新たな金属材料を、例えば所定時間毎に供給してよい。そして、上述の操作を繰り返し連続して行うことにより、金属粒子を連続的に製造することができる。
本実施形態の金属粒子の製造方法および製造装置によっても、実施形態1と同様の効果を得ることができ、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることができる。
以上、本発明について2つの実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、種々の改変が可能である。例えば、本発明の金属粒子の製造方法および製造装置は、簡便には常圧下にて実施および使用され得るが、適宜、加圧または減圧下にて実施および使用されてもよい。
(実施例1)
本実施例は、図1および図2を参照して上述した実施形態1の金属粒子の製造に関する。本実施例においては、金属材料としてSn−58mass%Bi(融点138℃、比重8.76g/cm)を用い、第1の液状媒体としてブチルトリグリコール(BTG:沸点271℃、粘度8.1mPa・s)を用いた。以下、詳細に説明する。
BTG(第1の液状媒体)を50ml計量して、容量100mlの耐熱ガラス製ビーカー(第1の槽)に入れた。次に、Sn−58mass%Bi(金属材料)の金属塊40gを計量し、上記のビーカーに入れてBTGに浸漬した。このビーカーを、μReactorEX(四国計測工業株式会社製)を用いて、マイクロ波によりBTGを170℃まで加熱してSn−58mass%Biを溶融させた。別途、底部に超音波振動子(株式会社カイジョー製)が設置され、室温の水道水(沸点約100℃、第2の液状媒体)で満たされた冷却容器(第2の槽)を準備し、この冷却容器の水中に、上記の通り加熱したビーカーを、ビーカー内の液面と冷却容器内の液面とが等しくなる高さまで浸漬させた。この状態で、超音波振動子に超音波発振器(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)より20kHzおよび200Wのエネルギーを印加して、超音波振動子を水中で作動させた。この結果、ビーカー内で溶融したSn−58mass%Biの液塊から、無数の微細な液滴粒子が分離形成された。これら液滴粒子は、超音波振動子の振動により発生した縦波が、その周囲の水と、ビーカー(厚さ約0.4mmの耐熱ガラス)と、場合によりSn−58mass%Biとを伝播して、BTGまで達してキャビテーションを起こさせ、溶融したSn−58mass%Biの表面に衝撃圧となって作用することにより生じたものと理解される。ビーカー内容物であるBTGとSn−58mass%Biは、冷却容器内の水により熱が奪われ、約20秒でSn−58mass%Biの融点である138℃より低い温度になるが、この間に液滴粒子は表面張力により球状に変化してから凝固し、球状の固体粒子となった。その後、固体粒子をBTGから分離して回収して、金属粒子(本実施例ではSn−58mass%Bi粒子)を得た。
上記により得られた金属粒子の電子顕微鏡写真を図4に示す。電子顕微鏡写真から無作為に選んだ10個の粒子について短径および長径を測定して真円率の平均値を算出すると95.4%であり、これははんだ粒子として実用上問題が無い数値であった。
また、上記により得られた金属粒子の粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960(株式会社堀場製作所製)で測定した結果を図5に示す。図5において、横軸は粒子径(μm)、縦軸は頻度(体積%)であり、上記により得られた金属粒子全体に占める粒径1〜6μmの範囲の金属粒子の体積割合は81.2体積%であった。従来の遠心噴霧法で製造した場合の金属粒子全体に占める粒径1〜6μmの範囲の金属粒子の体積割合(以下、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りとも言う)は5〜10体積%であるのに対して、本実施例は小さな粒径の金属粒子の生産効率に優れていることがわかる。
(実施例2)
第1の液状媒体としてブチルトリグリコール(BTG)に代えて、メチルトリグリコール(MTG:沸点249℃、粘度7.5mPa・s)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属粒子を得た。
これにより得られた金属粒子の粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960(株式会社堀場製作所製)で測定した結果を図6に示す。図6において、横軸は粒子径(μm)、縦軸は頻度(体積%)であり、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りは66.7体積%であった。本実施例も、小さな粒径の金属粒子の生産効率に優れていることがわかる。
(実施例3)
第1の液状媒体としてブチルトリグリコール(BTG)に代えて、ジブチルジグリコール(DBDG:沸点254℃、粘度2.4mPa・s)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、金属粒子を得た。
これにより得られた金属粒子の粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960(株式会社堀場製作所製)で測定した結果を図7に示す。図7において、横軸は粒子径(μm)、縦軸は頻度(体積%)であり、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りは52.6体積%であった。本実施例も、小さな粒径の金属粒子の生産効率に優れていることがわかる。
実施例1〜3の結果から、使用した第1の液状媒体(BTG、MTG、DBDG)の粘度(mPa・s)と、これにより得られた粒径1〜6μmの金属粒子の歩留り(体積%)との関係を図8にプロットして示す。図8より、第1の液状媒体の粘度が高くなるにつれて、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りが高くなる傾向にあることがわかる。図8中の3点を直線で近似した数式は、
[歩留り]=4.1391×[第1の液状溶媒の粘度]+41.998
となり、この式から、第1の液状媒体の粘度が14mPa・sのときに、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りが100体積%となる。
(実施例4)
金属材料としてSn−58mass%Biに代えて、Bi−45mass%In(融点98℃、比重8.67g/cm)を用いて、Bi−45mass%Inの金属塊15gを計量し、ビーカーに入れてBTGに浸漬したこと、およびマイクロ波によりBTGを150℃まで加熱してBi−45mass%Inを溶融させたこと以外は、実施例1と同様にして、金属粒子(本実施例ではBi−45mass%In粒子)を得た。なお、ビーカー内容物は、本実施例ではBTGとSn−58mass%Biとなるが、この場合にも、冷却容器内の水により熱が奪われ、約20秒でSn−45mass%Inの融点98℃未満となり、この間に液滴粒子は表面張力により球状に変化して凝固し、球状の固体粒子となった。
上記により得られた金属粒子の粒子径分布をレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960(株式会社堀場製作所製)で測定した結果を図9に示す。図9において、横軸は粒子径(μm)、縦軸は頻度(体積%)であり、粒径1〜6μmの金属粒子の歩留りは61.3体積%であった。本実施例も、小さな粒径の金属粒子の生産効率に優れていることがわかる。
(実施例5)
本実施例は、図3を参照して上述した実施形態2の金属粒子の製造に関する。本実施例においては、金属材料としてBi−32mass%In(融点125℃、比重8.99g/cm)を用い、第1の液状媒体としてヘキシルジグリコール(HeDG:沸点259℃、粘度8.6mPa・s)を用いた。また、本実施例においては、図9中、金属粒子回収部906として液体サイクロンを用い、非接触式加熱装置909としてハロゲンスポットヒーターを用い、循環冷却装置913としてチラーを用いた。なお、本実施例では、加熱装置911は使用を省略した。以下、図9を参照しつつ詳細に説明する。
まず、Bi−32mass%Inを15mm角の立方体(以下、Bi−32mass%Inキューブとも言う)に加工して、予めホッパー908に入れた。
第1の槽902の第1の液状媒体901は、Bi−32mass%Inを溶融させるためにその融点である125℃以上に温度を上げる必要があり、第1の液状媒体には125℃より高い沸点を有するものを選択する必要がある、第2の槽904の第2の液状媒体903は、そのような必要はなく、液体状態を維持できればよいので、125℃より低い沸点を有するものを使用してよい。本実施例では、第1の液状媒体としてHeDG(沸点259℃)を用い、第2の液状媒体として蒸留水(沸点100℃)を用いて、第1の槽902にはHeDG(第1の液状媒体)を入れ、第2の槽904には蒸留水(沸点100℃、第2の液状媒体)を入れて、第2の槽904の蒸留水は、金属製パイプ914を通じてチラー913により循環させて40℃に保つようにした。そして、第1の槽902のHeDGは、熱媒体用ポンプ907の電源を入れて、第1の槽902、出口側金属製パイプ905、液体サイクロン906、熱媒体用ポンプ907、入口側金属製パイプ910の順序で循環させた。次に、第1の槽902の上部に設置したハロゲンスポットヒーター909(集光距離30mm、集光径8mm)を作動させて、HeDGの温度を160℃まで上昇させた。なお、HeDGの温度は、非接触の温度センサで測定することが好ましい。
HeDGの温度が160℃に到達したことを確認した後、ホッパー908の下部供給口を開けて、Bi−32mass%Inキューブを1個供給した。Bi−32mass%Inキューブは、HeDGに浸漬されると、溶融して液状となり、第1の槽902の底部で広がって液塊を形成した。
この状態で、超音波振動子(本多電子株式会社製)912に、超音波発振器(株式会社エヌエフ回路設計ブロック製)より20kHzおよび200Wのエネルギーを印加して、超音波振動子を水中で作動させた。この結果、第1の槽901内で溶融したBi−32mass%Inの液塊から、無数の微細な液滴粒子が次々と分離形成された。これら液滴粒子は、超音波振動子の振動により発生した縦波が、その周囲の水と、第1の槽(厚さ約0.4mmのセラミック)と、場合によりBi−32mass%Inとを伝播して、HeDGまで達してキャビテーションを起こさせ、溶融したBi−32mass%Inの表面に衝撃圧となって作用することにより生じたものと理解される。
これらの液滴粒子は、HeDG中で雲状に浮遊し、HeDGの循環流れに乗って液体サイクロン906へと移送された。この間、HeDGの温度が徐々に低下し、Bi−32mass%Inの融点である125℃より低くなると、Bi−32mass%Inの液滴粒子は凝固して、球状の固体粒子となった。液体サイクロン906にて、固体粒子とHeDGとの比重差を利用して、固体粒子をHeDGから分離して回収し、これにより金属粒子(本実施例ではBi−32mass%In粒子)を得た。他方、HeDGは再び第1の槽902へと移送した。
第1の槽902の底部にて広がって溶融しているBi−32mass%Inは、液滴粒子を放出することにより消費されていくため、ホッパー908の下部供給口を所定時間毎に開けて、新たなBi−32mass%Inキューブを1個ずつ供給した。そして、上述の操作を繰り返し連続して行うことにより、金属粒子を連続的に製造した。
本実施例も、小さな粒径の金属粒子の生産効率に優れていることが確認された。
本発明の金属粒子の製造方法および製造装置によれば、小さな粒径、例えば10μm以下の粒径を有する球状の金属粒子を優れた生産効率で得ることができ、かかる金属粒子は、電子回路基板に電子部品を実装(はんだ付け)するために用いられているソルダーペーストに含まれるはんだ粒子として利用可能であるが、これに限定されない。
200 金属粒子の製造装置
201 第1の槽
202 第1の液状媒体
203 第2の槽
204 第2の液状媒体
205 金属材料
206 金属粒子
207 超音波振動子
900 金属粒子の製造装置
901 第1の液状媒体
902 第1の槽
903 第2の液状媒体
904 第2の槽
905 出口側パイプ
906 金属粒子回収部
907 ポンプ
908 ホッパー
909 非接触式加熱装置
910 入口側パイプ
911 加熱装置
912 超音波振動子
913 循環冷却装置
914 パイプ
915 金属粒子

Claims (3)

  1. 第1の液状媒体を収容するための第1の槽と、
    第2の液状媒体を、前記第1の槽の周囲にて収容するための第2の槽と、
    前記第1の槽の外側かつ前記第2の槽の内側にて第2の液状媒体中に配置される超音波振動子と
    を含み、前記第1の槽内で金属材料が該金属材料の融点以上に加熱された第1の液状媒体中で溶融し、前記第2の槽内で第2の液状媒体中で前記超音波振動子が作動することによって発生する衝撃波が、前記第1の槽内で前記第1の液状媒体中で溶融した該金属材料に照射されて、前記第1の液状媒体中で該金属材料から金属粒子を生じ、
    前記第1の槽が、前記第1の液状媒体の入口部および出口部を有し、
    前記第1の槽の入口部および出口部とパイプを介して接続される金属粒子回収部を更に含み、第1の液状媒体が、金属粒子と共に該第1の槽の出口部から抜き出され、該金属粒子回収部を通って金属粒子が分離され、その後、該第1の槽の入口部に戻される、金属粒子の製造装置。
  2. 前記パイプが加熱装置を備える、請求項に記載の金属粒子の製造装置。
  3. 前記第1の槽の上部に配置されて、該第1の槽内に収容される第1の液状媒体を非接触で加熱する加熱装置を更に含む、請求項またはに記載の金属粒子の製造装置。
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