JP7121904B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、アウタジャケットによるインナジャケットの保持力の向上を図ることができるステアリング装置を提供することを目的とする。
請求項3に記載の発明は、前記アウタジャケットの外面(70)において前記第1領域と前記第2領域との境界には、前記第1領域の厚みを前記第2領域の厚みよりも薄くするための段差(65)が設けられている、請求項1または2に記載のステアリング装置である。
アウタジャケットが縮径する際、アウタジャケットにおいてスリットの閉塞端に隣接する部分が撓みの基点となる。そのため、アウタジャケットの縮径し易さは、アウタジャケットにおいてスリットの閉塞端の隣接する部分の撓み剛性に依存する。アウタジャケットにおいて比較的厚みが薄い第1領域が閉塞端を形成する状態で閉塞端に隣接するので、第1領域が閉塞端から離間して設けられている構成と比較して、スリットの閉塞端に隣接する部分の撓み剛性を低下させることができる。これにより、アウタジャケットを縮径させやすくすることができる。
なお、この明細書において「第1領域(第2領域)がスリットに隣接する」とは、第1領域(第2領域)との間にアウタジャケットの別の領域が介在しておらず、第1領域(第2領域)がスリットを区画していることを意味するのであって、第1領域(第2領域)がスリットから離間して設けられていることを意味するものではない。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3と、コラムジャケット4と、インターミディエイトシャフト5と、転舵機構6と、ロア側支持機構7と、アッパ側支持機構8とを備える。
ステアリングシャフト3は、一端に操舵部材2が連結されるアッパシャフト9と、アッパシャフト9と相対摺動可能に嵌合されたロアシャフト10とを含む。ステアリングシャフト3の中心軸線C2が延びる方向をコラム軸方向Xという。操舵部材2側(車両後方側)を上側XUと定義し、転舵機構6側(車両前方側)を下側XLと定義する。ステアリングシャフト3は、コラムジャケット4内に挿通されている。コラムジャケット4は、複数の軸受11,12を介してステアリングシャフト3を回転可能に支持する。
インナジャケット14の軸方向下端部14bに対して、アウタジャケット13の軸方向上端部13aが外嵌されている。すなわち、アウタジャケット13がロアジャケットであり、インナジャケット14がアッパジャケットである。アウタジャケット13に対してインナジャケット14がコラム軸方向Xに移動することにより、コラムジャケット4は、コラム軸方向Xに伸縮可能である。
ロア側支持機構7は、ロア側のアウタジャケット13を回転可能に支持する。ロア側支持機構7は、車体15に固定される固定ブラケット16と、アウタジャケット13に固定されたコラムブラケット17と、固定ブラケット16とコラムブラケット17とを連結するチルト支軸18とを含む。
固定ブラケット19は、車体15に取り付けられる取付板21Aと、取付板21Aに固定された天板21と、天板21の両端から鉛直方向の下方に延びる一対の側板22とを含む。
アウタジャケット13には、アウタジャケット13の軸方向上端部13aからコラム軸方向Xの下側XLに向けて延びるスリット40が形成されている。これにより、アウタジャケット13は、弾性的に縮径可能である。
締付軸24は、固定ブラケット19の一対の側板22にそれぞれ設けられチルト方向Yに延びるチルト用長孔33を挿通している。
アウタジャケット13の各被締付部41には、締付軸24が挿通される円孔からなる締付軸挿通孔34が形成されている。締付軸24と、アウタジャケット13と、インナジャケット14と、ステアリングシャフト3とは、チルト調整時に、チルト方向Yに一体に移動する。
回転カム25および一方の締付部材26は、締付軸24の頭部24aと一方の側板22の外側面22aとの間に介在している。回転カム25および一方の締付部材26は、互いにカム係合することによって操作レバー23の回転力を締付軸24の軸力(一対の側板22を締め付けるための締付力)に変換する力変換機構27を構成している。回転カム25には、カム突起25Aが形成されており、一方の締付部材26には、カム突起25Aが乗り上げるカム突起26Aが形成されている。回転カム25は、操作レバー23と一体回転に連結され締付軸24に対して締付軸方向Jの移動が規制されている。
ワッシャ30および針状ころ軸受31は、他方の締付部材29とナット28との間に介在する。ワッシャ30は、ナット28と他方の締付部材29との間に介在する。針状ころ軸受31は、ワッシャ30と他方の締付部材29との間に介在する。
一方の締付部材26および他方の締付部材29は、それぞれ対応する側板22の外側面22aに対向する締付板部26a,29aと、それぞれ対応するチルト用長孔33に嵌合されたボス部26b,29bとを有している。各ボス部26b,29bと対応するチルト用長孔33との嵌合によって、各締付部材26,29の回転が規制されている。
操作レバー23のロック方向への回転に伴って、回転カム25が一方の締付部材26に対して回転することにより、回転カム25のカム突起25Aが一方の締付部材26のカム突起26Aを乗り上げる。そのため、回転カム25と一方の締付部材26とが締付軸方向Jに互いに離間し、一方の締付部材26と他方の締付部材29とが互いに近づく。これにより、締付部材26,29(の締付板部26a,29a)によって、固定ブラケット19の一対の側板22の外側面22aが押圧されて締め付けられる。
図4に示すように、スリット40は、アウタジャケット13の軸方向上端部13aに設けられた開放端40aと、開放端40aよりもコラム軸方向Xの下側XLに設けられた閉塞端40bと、閉塞端40bと開放端40aとの間の中間部40cとを有する。閉塞端40bは、一対の被締付部41よりもコラム軸方向Xの下側XLに位置している。閉塞端40bは、コラム軸方向Xの下側XL(一対の被締付部41とは反対側)に向けて凸状の円弧状部50によって構成されている。中間部40cは、円弧状部50のコラム軸方向上側端と開放端40aとの間で直線状に延びる。
図6を参照して、アウタジャケット13の外面70において、第1領域61と第2領域62との境界には、段差65が設けられている。段差65によって、第1領域61におけるアウタジャケット13の厚みT1が第2領域62におけるアウタジャケット13の厚みT2よりも薄くされている。第1領域61におけるアウタジャケット13の外面70は、第2領域62におけるアウタジャケット13の外面70よりも、径方向Rにおいて中心軸線C2側(径方向内方)に位置している。
第1実施形態によれば、一対の被締付部41が締付機構20によって締め付けられてアウタジャケット13が縮径する。アウタジャケット13が縮径する際、スリット40の閉塞端40bに隣接する部分が撓みの基点となる。そのため、アウタジャケット13の縮径し易さは、アウタジャケット13においてスリット40の閉塞端40bの隣接する部分の撓み剛性に依存しやすい。アウタジャケット13において比較的厚みT1が薄い第1領域61が閉塞端40bに隣接するので、第1実施形態とは異なり第1領域61が閉塞端40bから離間して設けられている構成と比較して、閉塞端40bに隣接する部分の撓み剛性を低下させることができる。これにより、アウタジャケット13を縮径させやすくすることができる。
また、第1実施形態によれば、スリット40の閉塞端40bがコラム軸方向Xの下側XL(軸方向の一方側)に向けて凸状の円弧状部50を有する。アウタジャケット13においてスリット40の閉塞端40bに隣接する部分のうち、円弧状部50に隣接する部分が、アウタジャケット13の縮径し易さに最も影響する。第1実施形態では、アウタジャケット13において比較的厚みT1が薄い第1領域61が円弧状部50に隣接するため、アウタジャケット13を一層縮径させ易くできる。
また、第1実施形態によれば、周方向においてアウタジャケット13の半周に亘るように第1領域61を設けることによって、閉塞端40bの曲げ剛性を充分に低減しつつ、アウタジャケット13の強度を保つことができる。
次に、第2実施形態に係るステアリング装置1Pについて説明する。図7は、ステアリング装置1Pに備えられたアウタジャケット13の概略断面図であり、スリット40の周辺の断面図である。図8は、図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。図7および図8に示す第2実施形態のステアリング装置1Pでは、第1実施形態で説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
図9は、本発明の第3実施形態に係るステアリング装置1Qに備えられたアウタジャケット13のスリット40の周辺を鉛直方向の下側から見た図である。図9に示す第3実施形態のステアリング装置1Qでは、第1実施形態および第2実施形態で説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
第3実施形態では、スリット40は、アウタジャケット13の軸方向下端部13bからコラム軸方向Xの上側XUに向けて延びる。また、スリット40の開放端40aは、アウタジャケット13の軸方向下端部13bに設けられ、スリット40の閉塞端40bは、開放端40aよりもコラム軸方向Xの上側XUに設けられる。そして、閉塞端40bの円弧状部50は、コラム軸方向Xの上側XU(一対の被締付部41とは反対側)に向けて凸状である。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、上述の実施形態では、第1領域61は、閉塞端40bよりもコラム軸方向Xの上側XUにまで及んでいるとした。しかしながら、上述の実施形態とは異なり、第1領域61は、スリット40において閉塞端40b(円弧状部50)のみに隣接する領域であってもよい。また、図10に示す変形例のように、第1領域61は、閉塞端40bに隣接していれば、閉塞端40bを縁取る部分のみに設けられていてもよい。
また、第2領域62におけるアウタジャケット13の厚みT2は、均一である必要はない。すなわち、第2領域62において段差65に隣接する部分のアウタジャケット13の厚みが、第1領域61におけるアウタジャケット13の厚みT1よりも厚ければよい。たとえば、厚みT2は、第2領域62において段差65に隣接する部分よりもコラム軸方向Xの上側XUにおいて、厚みT1よりも薄くされていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。
Claims (3)
- ステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトを回転可能に支持する筒状のインナジャケットと、
前記ステアリングシャフトの軸方向の一方側における前記インナジャケットの端部に対して前記軸方向の他方側における端部が嵌合されたアウタジャケットであって、前記アウタジャケットにおける前記軸方向の他方側の端部から前記軸方向に延びるスリットと、前記アウタジャケットにおける前記軸方向の他方側の端部において前記スリットの両側に設けられた一対の被締付部とを有するアウタジャケットと、
前記一対の被締付部を締め付けることで前記アウタジャケットに前記インナジャケットを保持させる締付機構とを含み、
前記スリットが、前記アウタジャケットにおける前記軸方向の他方側の端部に設けられた開放端と、前記開放端よりも前記軸方向の一方側に設けられた閉塞端とを有し、
前記アウタジャケットが、少なくとも前記スリットの前記閉塞端に隣接する第1領域と、前記第1領域よりも前記軸方向の他方側で前記スリットに隣接する第2領域とを有し、
前記閉塞端が、前記第1領域により形成されており、
前記第1領域の厚みが、前記第2領域の厚みよりも薄い、ステアリング装置。 - 前記閉塞端が、前記軸方向の一方側に向けて凸状の円弧状部を有し、
前記第1領域が、前記円弧状部に隣接する、請求項1に記載のステアリング装置。 - 前記アウタジャケットの外面において前記第1領域と前記第2領域との境界には、前記第1領域の厚みを前記第2領域の厚みよりも薄くするための段差が設けられている、請求項1または2に記載のステアリング装置。
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