JP6387298B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1のステアリング装置では、インナーコラムを包囲するアウターコラムが、軸方向に延びるスリットを有している。ロック機構によるロック時には、ロック機構のカム部材が、車体側ブラケットをアウターコラムの外周のフランジに押圧し、これにより、アウターコラムが、スリット幅を縮小するように縮径してインナーコラムを保持する。
そこで、本願発明者は、アンロック時のスリット幅を調整する機構を設けることを想定する。
したがって、ステアリング装置の組み付け状態で、スリット幅を調整する必要がある。しかしながら、ステアリング装置の組み付け状態では、アウターコラムの外側方は、ブラケットにより覆われている。また、ブラケットの外側方には、ロック機構の各部品(締付軸としてのボルトの軸端部、カム部材および操作レバー等)が配置されている。このため、組み付け状態でスリット幅を調整する機構として、アウターコラムの外側方から調整する機構を採用することは、レイアウト上、困難である。
請求項2のように、前記調整軸は、前記スリットに配置されていてもよい。
請求項3のように、前記調整軸の第1回転方向(Z1)への回転に伴って、前記駆動部材が、前記アウターコラムのスプリングバックに抗して、前記一対のタブを互いに近づけることにより、アンロック時の前記スリット幅の前記上限値が縮小調整されるように構成され、前記調整軸の、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向(Z2)への回転に伴って、前記アウターコラムのスプリングバックによる、前記一対のタブの拡開が許容されることにより、アンロック時の前記スリット幅の前記上限値が増大調整されるように構成されていてもよい。
請求項6のように、アンロック時に、各前記側板と対応するタブとの間にチルト調整用の所要量の摺動隙間(S1)が設けられ、且つ前記インナーコラムと前記アウターコラムとの間にテレスコ調整用の所要量の摺動隙間(S2)が設けられるように構成されていてもよい。
請求項3の発明によれば、アンロック時において、調整軸の操作とアウターコラムのスプリングバックとを用いて、スリット幅の上限値を縮小調整したり、増大調整したりすることができる。したがって、アウターコラムとその周辺部品に厳しい寸法精度を要求せずとも、組み付け状態で、個体毎に、スリット幅の上限値を所望に調整することが可能となる。
請求項5の発明によれば、無端帯である駆動部材の係合部が巻かれた軸部から径方向外方に突出する脱落抑制部によって、特にロック時の駆動部材の脱落を抑制することができる。
(第1実施形態)
図1は本発明の一実施形態のステアリング装置の概略構成を示す一部破断模式的側面図である。図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2が一端(軸方向上端)に連結されたステアリングシャフト3と、インターミディエイトシャフト4等を介してステアリングシャフト3と連結されたステアリング機構5と備えている。
ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3を回転可能に支持する中空のステアリングコラム8を備える。ステアリングシャフト3は、ステアリングコラム8内に挿通されており、複数の軸受9,10を介してステアリングコラム8によって回転可能に支持されている。
概略斜視図である図2に示すように、アウターコラム12のコラム軸方向Xの上部は、弾性的に縮径することによりインナーコラム11をクランプする支持部19を備える。支持部19は、インナーコラム11の外周11aの一部を取り囲む円弧状部26と、円弧状部26から延設されスリット27を介して互いに対向する一対のタブ28とを含む。
ロック機構18のアンロック時には、アウターコラム12の弾性復元力によりスリット幅Wが増大され、支持部19によるインナーコラム11に対するクランプが解除される。図1に示されるスリット幅上限値調整機構40は、アンロック時のスリット幅Wの上限値W1(図2参照)を調整する。
図2を参照して、ロック機構18は、締付軸21を介してブラケット17をアウターコラム12の支持部19の一対のタブ28に締め付けることでチルトロックを達成する。
締付軸21は、ブラケット17の一対の側板22(図1では一方の側板22のみを示してある)にそれぞれ設けられチルト方向Yに延びるチルト用長孔23を挿通している。
アウターコラム12の支持部19の一対のタブ28は、円弧状部26の一対の円弧端261からそれぞれ延設されている。一対のタブ28は、一対の側板22間に配置され、一対の側板22と概ね平行な板状をなしている。
アウターコラム12の各タブ28には、締付軸21が挿通される円孔からなる締付軸挿通孔29が形成されている。締付軸21、アウターコラム12、インナーコラム11およびステアリングシャフト3は、チルト調整時に、チルト方向Yに一体に移動する。
ロック機構18は、締付軸21の頭部21aと一方の側板22との間に介在し、操作レバー20の操作トルクを締付軸21の軸力(一対の側板22を締め付けるための締付力)に変換する力変換機構30をさらに備える。
ロック機構18は、締付軸21の他端のねじ部21bに螺合したナット33と、他方の側板22を締め付ける他方の締付部材34と、他方の締付部材34とナット33との間に介在する介在部材35とをさらに備える。
ナット33とブラケット17の他方の側板22との間に、他方の締付部材34と、介在部材35とが介在している。回転カム31、一方の締付部材(非回転カム32)、他方の締付部材34および介在部材35は、締付軸21の外周によって支持されている。
操作レバー20のロック方向への回転に伴って、回転カム31が非回転カム32(一方の締付部材)に対して回転することにより、非回転カム32が締付軸21の軸方向Jに移動されて、非回転カム32(一方の締付部材)と他方の締付部材34との間で、ブラケット17の一対の側板22が挟持されて締め付けられる。
図5(b)に示すように、スリット幅上限値調整機構40は、ロック機構18のアンロック時のスリット幅Wの上限値W1を調整する機能を果たす。
図3および図5(a)に示すように、調整軸としての調整ねじ50は、一対のタブ28間のスリット27に配置されている。図4および図5(a)に示すように、駆動部材60は、無端帯からなる。無端帯である駆動部材60は、一対のタブ28にそれぞれ設けられた一対の被係合部70にそれぞれ係合する一対の係合部61と、コラム軸方向Xに対向する一対の対向部62とを有している。
具体的には、調整ねじ50のねじ部53は、駆動部材60の他方の対向部62に例えば溶接により固定されたナット63のねじ孔64にねじ係合している。他方の対向部62には、ねじ孔64と連通するねじ挿通孔65が設けられている。調整ねじ50のねじ部53は、ねじ挿通孔65を挿通してナット63のねじ孔64に螺合している。
図3および図5(a)に示すように、各タブ28のチルト方向Yの下面28cには、凹部28dが形成されている。図5(a)に示すように、チルト方向Yの下方から見て、凹部28dは、例えば山形に形成されている。
図5(a)に示すロック時には、一対のタブ28の外側面28b間の距離D1と、一対の側板22の内側面22a間の距離D2とが互いに等しくなる。また、インナーコラム11の外径D3と、アウターコラム12の支持部19の円弧状部26の内径D4(円弧状部26の内周26aの径)とが互いに等しくなる。
そして、図5(b)に示すように、アンロック時に、アウターコラム12の(円弧状部26の)スプリングバックによって一対のタブ28が拡がり、一対のタブ28間のスリット27のスリット幅Wが、スリット幅上限値調整機構40により予め調整された上限値W1に規制される。これにより、例えばチルト調整時に必要な摺動隙間S1(側板22とタブ28との間の摺動隙間)が確保される。これにより、位置調整を容易に行うことができる。
また、アンロック時において、調整軸(調整ねじ50)の操作とアウターコラム12のスプリングバックとを用いて、スリット幅Wの上限値W1を縮小調整したり、増大調整したりすることができる。したがって、アウターコラム12とその周辺部品に厳しい寸法精度を要求せずとも、組み付け状態で、個体毎に、スリット幅Wの上限値W1を所望に調整することが可能となる。
また、アンロック時において、調整ねじ50を第2回転方向Z2へ回転操作して、アウターコラム12のスプリングバックによる駆動部材60の一対の係合部61間の間隔L2の増大を許容する。これにより、アンロック時のスリット幅Wの上限値W1を増大するように調整することができる。
すなわち、図5(a)に示すロック時において、被係合部70の軸部71と駆動部材60の係合部61との間に、隙間が生じたとしても、図3および図4に示される脱落抑制部72が係合部61を受けることにより、駆動部材60の脱落を抑制することができる。
また、アンロック時に、インナーコラム11の外周11aとアウターコラム12(の支持部19の円弧状部26の内周26a)との間に、所要量の摺動隙間S2が形成されるので、アウターコラム12に対してインナーコラム11をコラム軸方向Xに摺動させるテレスコ調整を良好に行うことができる。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係るスリット幅上限値調整機構40Pの分解斜視図である。図6の第2実施形態のスリット幅上限値調整機構40Pが、図4の第1実施形態のスリット幅上限値調整機構40と異なるのは、ナットが廃止され、調整ねじ50のねじ部53が、駆動部材60Pの対向部62Pに設けられたねじ孔65Pに、ねじ込まれている点である。すなわち、調整ねじ50は、駆動部材60Pの対向部62Pに直接ねじ係合している。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、インナーコラム11がアッパーコラムであり、アウターコラム12がロアーコラムであったが、これに限らず、インナーコラムがロアーコラムであり、アウターコラムがアッパーコラムであってもよい。
Claims (6)
- 一端に操舵部材が連結されたステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトを回転可能に支持する筒状のインナーコラムと、前記インナーコラムの外周を取り囲む円弧状部と前記円弧状部の一対の円弧端からそれぞれ延設されスリットを介して互いに対向する一対のタブとを有し弾性的に縮径するアウターコラムと、を含むステアリングコラムと、
前記一対のタブを締め付ける一対の側板を含み、車体に固定されるブラケットと、
前記一対の側板および前記一対のタブを貫通する締付軸を含み、前記締付軸を介して前記一対の側板を前記一対のタブに締め付けてロックを達成するロック機構と、
コラム軸方向に延びる中心軸線を含み該中心軸線回りに回転操作可能な調整軸と、前記調整軸の回転に伴って前記一対のタブを互いに近づける駆動部材と、を含み、ロック機構のアンロック時の前記スリットのスリット幅の上限値を調整するスリット幅上限値調整機構と、を備えるステアリング装置。 - 請求項1において、前記調整軸は、前記スリットに配置されているステアリング装置。
- 請求項1または2において、前記調整軸の第1回転方向への回転に伴って、前記駆動部材が、前記アウターコラムのスプリングバックに抗して、前記一対のタブを互いに近づけることにより、アンロック時の前記スリット幅の前記上限値が縮小調整されるように構成され、
前記調整軸の、前記第1回転方向とは反対の第2回転方向への回転に伴って、前記アウターコラムのスプリングバックによる、前記一対のタブの拡開が許容されることにより、アンロック時の前記スリット幅の前記上限値が増大調整されるように構成されているステアリング装置。 - 請求項1〜3の何れか一項において、前記駆動部材は、前記一対のタブにそれぞれ設けられた一対の被係合部にそれぞれ係合する一対の係合部と、コラム軸方向に対向する一対の対向部と、を有する無端帯であり、
前記調整軸は、前記一対の対向部の一方に内接する第1端部と、操作部が設けられた第2端部と、前記一対の対向部の他方に直接または間接的にねじ係合するねじ部と、を有する調整ねじを含み、
前記調整ねじは、回転操作に伴って前記一対の対向部間の間隔を増大することにより前記一対の係合部間の間隔を縮小して前記上限値を縮小するように構成されているステアリング装置。 - 請求項4において、各前記被係合部は、対応するタブにそれぞれ固定され前記無端帯が巻かれる一対の軸部と、各前記軸部から径方向外方に突出し前記無端帯の脱落を抑制する脱落抑制部と、を含むステアリング装置。
- 請求項1〜5の何れか一項において、アンロック時に、各前記側板と対応するタブとの間にチルト調整用の所要量の摺動隙間が設けられ、且つ前記インナーコラムと前記アウターコラムとの間にテレスコ調整用の所要量の摺動隙間が設けられるように構成されているステアリング装置。
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