JP2004345582A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法管理の厳格さを要求されることがなく、位置調整を任意に行えるステアリング装置を提供する。
【解決手段】ステアリング装置において、テンション部材13をアウタージャケット21及びインナーコラム11の径方向外側に設けたので、コンパクトで組付性の良い構成となっている。
【選択図】 図2
【解決手段】ステアリング装置において、テンション部材13をアウタージャケット21及びインナーコラム11の径方向外側に設けたので、コンパクトで組付性の良い構成となっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の運転姿勢等に応じて、ステアリングホイールの傾斜角度及びその軸線方向位置を調整できるチルト・テレスコピック式のステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用のステアリング装置として、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの傾斜角度を調整できると共に、ステアリングホイールの軸線方向位置を調整できるチルト・テレスコピック式のステアリング装置が知られている。
【0003】
ここで、運転者の膝近傍におけるスペースを確保するために、チルト・テレスコピック式のステアリング装置の構成部品を、なるべくステアリングシャフトに近い側に配置しようとする考えがある。これに対し、特許文献1には、外側コラム管内に配置された舵取り軸を支持するヨークを、一対のブラケット部に形成された垂直溝に沿って変位させることで、舵取り軸のチルト角調整を行うようになっているステアリング装置が開示されている。
【特許文献1】
特表平10−512826号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来例によれば、外側コラム管と舵取り軸との間にヨークを設けているために、かかる構造によりテレスコ調整を実現しようとすると、外側コラム管とは別に、軸線方向に長孔を有する内側コラム管をヨークの径方向外側に設ける必要がある。ところが、ヨークの外側に内側コラム管を設けることで、装置が大型化するという問題がある。又、かかる場合、内側コラム管とヨークとの間には、調整時に相対摺動を許容する一定のスキマを設ける必要があるが、これが大きいとガタの原因となり、小さいと摺動抵抗が大となるため、その寸法管理を厳格に行わなくてはならないという問題もある。さらに内側コラム管と外側コラム管との間にも、相対摺動のためのスキマを設ける必要があるため、同様の問題の他、加工の手間もかかってしまう。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、寸法管理の厳格さを要求されることがなく、位置調整を任意に行えるステアリング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のステアリング装置は、
ステアリングホイールを取り付けるステアリングシャフトを軸線方向変位自在に支持するステアリング装置において、
前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するインナーコラムと、
車体に取り付けられ、前記ステアリングシャフトの軸線に対してそれぞれ対向する位置に配置された一対のブラケット部と、
前記一対のブラケット部の間に延設されたテンション部材と、
前記一対のブラケット部の外部から前記テンション部材を固定する2つの固定部材と、
前記テンション部材と前記固定部材との間に配設され、操作レバーの動きと連動して前記ブラケット部と前記固定部材との間に相対変位を付与する付与部材と、
前記テンション部材と前記ブラケット部と前記固定部材との連結によって車体に保持され、少なくとも前記一対のブラケット部間において、ブラケット部の相対変位によって外周が前記一対の両ブラケット部と接触する押圧部を持ち、かつ前記インナーコラムの外周を包持する内周面を持つアウタージャケットとを有し、
前記付与部材により付与された変位により前記一対のブラケット部が接近し、それにより前記アウタージャケットの押圧部を介して前記インナーコラムに対して押圧力が付与され、且つ前記インナーコラムが前記アウタージャケットを介して前記ブラケット部に対して、その軸方向位置を保持されるようになっており、
前記テンション部材を前記インナーコラムの径方向外方に配置したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明のステアリング装置によれば、前記テンション部材を前記インナーコラムの径方向外方に配置したので、前記インナーコラムの外径を抑えることができ、よりコンパクトな構成を得ることができる。又、本発明の場合、前記アウタージャケットと前記インナーコラムとの間のスキマのみを管理すれば良く、製造時の手間を省くことができる。
【0008】
尚、特許文献1に記載の技術によれば、上述したように、ヨークを通すための長孔を内側コラム管(本発明のインナーコラムに相当)を設ける必要があるが、この場合、内側コラム管には、固定のための締め付け荷重が付与されるため、かかる長孔の存在により、内側コラム管の締め付け剛性が低くなってしまい、締め付け保持力も低くなってしまう。そのため、内側コラム管の肉厚を上げるなど、剛性向上のための対策が必要となる。又、内側コラム管の径を大きくすれば、その端部からヨークを斜めにして内部に挿入できるかもしれないが、内側コラム管の径が大きくなるので車載を考慮すると現実的な構成であるとは言い難い。更に、内側コラム管の中にヨークを入れた後、90度回転させなければステアリングシャフトが挿入できず、組立が困難であることが予想される。すなわち、特許文献1の技術は、テレスコ調整を考慮していないステアリング装置を対象としているといえる。これに対し、本発明によれば、前記テンション部材を前記インナーコラムの外側に配置することで、そのような長孔加工は不要となるため、上述した問題を回避できる。ただし、テレスコストッパのための長孔を設けることは任意である。
【0009】
更に、本発明によれば、前記付与部材により付与された変位により、前記一対のブラケット部が互いに接近してその間の距離が減少し、それにより前記アウタージャケットが前記テンション部材と前記ブラケット部との間で保持される。又、変位した前記ブラケット部が前記アウタージャケットの押圧部を介して、前記インナーコラムに対して押圧力を付与し、それにより前記インナーコラムが前記アウタージャケットを介して、車体に連結された前記ブラケット部により保持されるので、ステアリングシャフトをテレスコ方向に固定することができる。更に、前記一対のブラケット部が前記テンション部材と連結されているので、両ブラケット部がステアリングシャフトを挟んで略対称的な形状であれば、各ブラケット部の変位量も等しくなるため、それにより前記インナーコラムの中心位置を略一定に維持することができるため、ステアリングシャフトの心ズレを効果的に抑制できる。
【0010】
更に、前記テンション部材を前記アウタージャケットの径方向外方に配置することで、よりコンパクトな構成を提供できる。
【0011】
更に、前記テンション部材は、周方向に連続していると、より剛性の高いテンション部材となる。
【0012】
更に、前記テンション部材は、分割可能であると、分解した状態で前記ステアリング装置に組み付けることができるため組付性に優れる。
【0013】
更に、前記テンション部材と前記アウタージャケットの少なくとも一方に設けられ、その他方に対して衝接を緩和する緩衝部材が設けられていると、ガタや異音などの発生を抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図であるが、ステアリングシャフトは省略している。図2は、図1に示したステアリング装置を組み付けた状態でII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【0015】
図1で、取り付けブラケット12は、不図示の車体に対してボルトにより取り付けるための一対の車体取り付け孔12cを有し、且つ互いに平行に延在すると共に鉛直上下方向に延在する板状のブラケット部12a、12aを有している。各ブラケット部12aの板厚は同一であり、形状は垂直線に対して線対称となっている。
【0016】
ブラケット部12a、12aの間には、テンション部材13が配置されている。テンション部材13は、下部が開放してなる断面がコ字状の本体13aと、本体13aの両側壁下端間に架橋され、且つ内挿されたボルト14で本体13aに固定されるチューブ13bとからなり、アウタージャケット21の端部外周を挟むように取り付けられている。即ち、テンション部材13は、本体13aとチューブ13bとに分割可能であり実車搭載時における組付性に優れ、一方、ボルト14により固定された状態では、周方向に連続した環状となり剛性が高くなる。このような構成であれば部品点数が少なくて済み、又、ボルト14は標準品を用いることができ、更に、チューブ13bは、円管を所定長さに切断するだけで製造できるため、より低コスト化が図れる。尚、チューブ13bは、板材を丸めて溶接したものでも良い。
【0017】
アウタージャケット21は、円筒部21aと、円筒部21aの端部外周において、軸線方向に隔置配置された一対の板状のフランジ部21c、21dとを有している。円筒部21aは、インナーコラム11を内包保持しており、不図示の枢動部により、不図示の車体に対して(図2で上下方向に)枢動可能に支持されている。押圧部としてのフランジ部21c、21dの間には、テンション部材13が配置される。尚、円筒部21aの最下部には、図1に示すように、その端部から軸線方向に延在するようにして、スリット21e(実際より誇張されている)が形成されている。これに代えて、或いはこれに加えて、円筒部21aの最上部にスリットを形成しても良い。
【0018】
アウタージャケット21に内包される円筒状のインナーコラム11の中には、ステアリングシャフトSが挿通され、不図示の軸受を介してインナーコラム11に対して回転自在に支承されている。尚、インナーコラム11に、ステアリングシャフトSの軸線と平行に、テレスコストッパとしての長孔を形成し、これにアウタージャケット21に植設したボルト等を係合させても良いが、これは必須の構成ではない。
【0019】
各ブラケット部12aには、不図示の枢動点を中心とした円弧の一部となるチルト溝12bが形成されている。チルト溝12bは、取り付けブラケット12の車体取り付け孔12cに対して、インナーコラム11の軸線方向にずれている。チルト溝12bを貫通するようにして、図2の左側からは固定部材16が挿通され、図2の右側からは固定部材17が挿通されている。
【0020】
固定部材16は、図2で左側のチルト溝12bの幅よりも大径で工具係合孔を有する円盤状の頭部16aと、チルト溝12bに係合して案内される円筒状のチルト案内部16bと、テンション部材13の本体13aに形成されたネジ孔13cに螺合する雄ネジ部16cとを有している。
【0021】
これに対し、固定部材17は、工具を係合させる六角頭部17aと、第1ねじ部17bと、円筒状の軸部17cと、小フランジ17dと、第2ねじ部17eとを有している。第2ねじ部17eは、テンション部材13の本体13aに形成されたネジ孔13dに螺合することで、テンション部材13に取り付けられており、このとき小フランジ17dが本体13aの表面に当接するようになっている。軸部17cの周囲には、チルト溝12bの幅に係合するような略小判型断面のチルト案内部18a及びそれより大径の固定カム部18bを備えた固定カム18と、固定カム部18bに係合するカム面を有する可動カム19と、可動カム19と一体的に回動する操作レバー20と、スラストベアリング(転がり軸受でも滑り軸受でも良い)22が配置され、第1ねじ部17bに螺合するナット23により取り付けられている。尚、固定カム18と,可動カム19とが請求項の付与部材を構成し、固定部材17とナット23、及び固定部材16が請求項の固定部材を構成する。
【0022】
次に、本実施の形態のステアリング装置の調整動作について説明する。操作者が操作レバー20を締付方向(図1で矢印方向)に回動させると、固定部材17における固定カム18の固定カム部18bの凸部と、可動カム19の凸部同士が係合しあい、互いに離隔する方向に力を発生する。このとき、固定カム18により押圧された図2で右側のブラケット部12aは、左方へ変位する。一方、可動カム19により右方に押圧された固定部材17は、テンション部材13を右方へと変位させる。それに伴って、固定部材16も右方へ移動するので、アウタージャケット21のフランジ部21c、21dの側部を、ブラケット部12aのチルト溝12bの両側に押し当て、適切な押圧力を付与するため、ブラケット部12aに対してアウタージャケット21は固定され、それによりインナーコラム11のチルト方向の変位も阻止されることとなる。
【0023】
一方、操作レバー20の締め付け方向への回動に基づき、固定カム18により押圧された図2で右側のブラケット部12aは、左方へ変位することで、フランジ部21c、21dの右半部に当接して、これらを同様に左方に変位させる。更に、テンション部材13に付与された力は、反対側の固定部材16に伝達され、それにより押圧された図1で左側のブラケット部12aは、右方へ変位する。左側のブラケット部12aが右方へ変位すると、フランジ部21c、21dの左半部に当接して、これらを同様に右方に変位させ、アウタージャケット21の外周面に押圧力を付与する。アウタージャケット21が両側から押圧されることで、スリット21eが閉じるように変形するため、アウタージャケット21の内径は縮径し、インナーコラム11を適切な力で保持することができる。
【0024】
本実施の形態によれば、2つのブラケット部12aの形状・板厚が略等しく、すなわち曲げ弾性係数(従って剛性)が略等しくなっていることから、操作レバー20の締め付け操作によって、ブラケット部12aが互いに近接する方向に力を受け、略等しい量で変位するため、インナーコラム11は、フランジ部21c、21dにより、図1で左右両側から押圧力を受けて、ブラケット部12a間距離を2分する位置にその中心が一致するように固定され、それによりテレスコ方向の変位を阻止しながらも、ステアリングシャフトSの心ズレを抑制できることとなる。
【0025】
図3は、本実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を組み付けた状態で図1の矢印III方向に見た図である。本実施の形態においては、固定部材16,17の中心が、インナーコラム11の軸線Xと離隔している。より具体的には、固定部材16,17により与えられるインナーコラム11の保持に必要な押圧力をF1とした場合、固定部材16,17の中心を結ぶ線Rが、インナーコラム11の軸線Xより、図3で下方に距離Δだけシフトした本実施の形態における、固定部材16,17により与えられるインナーコラム11の保持に必要な押圧力F2は、
F2=(L1/(L1+Δ))・F1
{但しL1は、点P3からインナーコラム11の軸線Xまでの距離}
で表せる。ここで、L1<L1+Δであるから、本実施の形態によれば、てこの原理により、より小さな押圧力F2でインナーコラム11を保持することが可能となる。
【0026】
尚、スリット21eを上部のみに設けても良く、かかる場合には線Rが線Qの上方に位置するように、固定部材16,17を配置するのがよい。又、本実施の形態にこだわらず、固定部材16,17の中心が、インナーコラム11の軸線と交差するようにしても良い。或いは、スリット21eを上下に設けても良い。
【0027】
操作者が操作レバー20を緩め方向に回動すると、図1において、固定カム18と可動カム19の凸部同士が係脱し、両者は近接可能となるため、両ブラケット部12aは互いに離隔し、それによりアウタージャケット21は両ブラケット部12aに対してフリーな状態となるため、固定部材16のチルト案内部16b及び固定カム18のチルト案内部18aを、ブラケット部12aのチルト溝12bに沿って案内されつつ変位させることができ、更にアウタージャケット21の締め付け力低下によりインナーコラム11の軸線方向変位が可能となる(軸線方向変位可能状態となる)ため、チルト方向及びテレスコ方向の調整を任意に行えるようになっている。
【0028】
本実施の形態によれば、テンション部材13をアウタージャケット21及びインナーコラム11の径方向外側に設けたので、コンパクトで組付性の良い構成となっている。
【0029】
ところで、テンション部材13をアウタージャケット21の径方向外側に設けた場合、チルト調整時等において操作レバー20を操作して固定部材17を緩めた状態では、テンション部材13がフリーに移動しうるため、アウタージャケット21との間のガタの範囲で移動して互いに衝接し合い、それにより衝撃音を発する恐れがある。そこで、以下に述べる実施の形態では、かかる衝撃音を緩和する工夫を行っている。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。本実施の形態は、図1〜3に示す実施の形態に対して、アウタージャケットの構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
より具体的に異なる点について説明すると、アウタージャケット121は、端部外周に一体的に設けられた板状のフランジ部121cを有する円筒部121aと、円筒部121aとは別体でそれに嵌合する嵌合部121dとからなる。弾性のある薄い板材を丸めて形成される嵌合部121dは、最下部にスリット121eを有し、且つ端部より上方及び側方など径方向外方に突出する複数の突片121fを有している。同様に、アウタジャケット121のフランジ部121cの最下部にもスリットを有している。
【0032】
本実施の形態において、嵌合部121dの周囲にはテンション部材13が配置されるが、その際、フレキシブルな突片121fがテンション部材13に当接するか当接可能な状態に維持される。従って、チルト調整等のために固定部材17を緩めた状態で、アウタージャケット121とテンション部材13とが衝接しうる状態になったとしても、緩衝部材である突片121fが、テンション部材13との衝接を緩和するので、異音などを効果的に回避できる。
【0033】
又、本実施の形態では、フランジ部121cの外側で、嵌合部121dにテンション部材13を嵌合させるため、テンション部材13は、必ずしも本体13aとチューブ13bとで分割されている必要はなく、環状の一体部品であっても容易に組み付けられる。その他の作用効果については、上述した実施の形態と同様である。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図1〜3に示す実施の形態に対して、チューブ213の外周にゴム材又は樹脂材213cを被覆した点のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。チューブ213に被覆されたゴム材又は樹脂材213cは、緩衝部材として機能し、アウタージャケット21との衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避できる。尚、樹脂材としては、PBT,POM、ポリオレフィン、PA、PPS、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、PPなどを用いることができるが、特に靱性に優れるPAを用いることが望ましい(以下の実施の形態において同じ)。又、被覆ではなくチューブ状の樹脂材等を、チューブ213bにかぶせても良い。
【0035】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、更にアウタージャケット321の頂部にゴム材又は樹脂材321cを被覆している。それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。上記実施に形態の作用効果に加え、アウタージャケット321に被覆されたゴム材又は樹脂材321cは、緩衝部材として機能し、テンション部材13の本体13aとの衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避できる。
【0036】
図7は、本発明の第5の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、チューブ13bの外周にゴム材又は樹脂材を被覆する代わりに、アウタージャケット321の頂部にゴム材又は樹脂材321cを被覆した点のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図8〜10は、以上の実施の形態の変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を示す図であり、テンション部材とアウタージャケットとの間に配置される緩衝部材を示している。図8においては、アウタージャケット21の一部(21g)を隆起させ、これを緩衝部材としてテンション部材13に当接可能としている。図9においては、アウタージャケット21の表面に袋孔21hを形成し、その内部にゴム材又は樹脂材からなる緩衝部材21iを配置し、先端をテンション部材13に当接させている。図10においては、アウタージャケット21の表面に袋孔21hを形成し、その内部にコイルバネ21k及び玉21m(これらが緩衝部材21を構成する)を配置し、玉21mをテンション部材13に当接させている。以上の緩衝部材は、テンション部材13とアウタージャケット21との衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避する。尚、これらの緩衝部材は、テンション部材13とアウタージャケット21との径方向の衝接の他、軸線方向の衝接を緩和する位置に配置されても良い。
【0038】
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。
【0039】
【発明の効果】
本発明のステアリング装置によれば、テンション部材をインナーコラムの径方向外方に配置したので、前記インナーコラムの外径を抑えることができ、よりコンパクトな構成を得ることができる。又、本発明の場合、アウタージャケットと前記インナーコラムとの間のスキマのみを管理すれば良く、製造時の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。
【図2】図1に示したステアリング装置を組み付けた状態でII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1に示したステアリング装置を矢印III方向に見た図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図8】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【図9】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【図10】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【符号の説明】
11 インナーコラム
12 取り付けブラケット
13 テンション部材
16,17 固定部材
20 操作レバー
21 アウタージャケット
S ステアリングシャフト
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の運転姿勢等に応じて、ステアリングホイールの傾斜角度及びその軸線方向位置を調整できるチルト・テレスコピック式のステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用のステアリング装置として、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの傾斜角度を調整できると共に、ステアリングホイールの軸線方向位置を調整できるチルト・テレスコピック式のステアリング装置が知られている。
【0003】
ここで、運転者の膝近傍におけるスペースを確保するために、チルト・テレスコピック式のステアリング装置の構成部品を、なるべくステアリングシャフトに近い側に配置しようとする考えがある。これに対し、特許文献1には、外側コラム管内に配置された舵取り軸を支持するヨークを、一対のブラケット部に形成された垂直溝に沿って変位させることで、舵取り軸のチルト角調整を行うようになっているステアリング装置が開示されている。
【特許文献1】
特表平10−512826号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来例によれば、外側コラム管と舵取り軸との間にヨークを設けているために、かかる構造によりテレスコ調整を実現しようとすると、外側コラム管とは別に、軸線方向に長孔を有する内側コラム管をヨークの径方向外側に設ける必要がある。ところが、ヨークの外側に内側コラム管を設けることで、装置が大型化するという問題がある。又、かかる場合、内側コラム管とヨークとの間には、調整時に相対摺動を許容する一定のスキマを設ける必要があるが、これが大きいとガタの原因となり、小さいと摺動抵抗が大となるため、その寸法管理を厳格に行わなくてはならないという問題もある。さらに内側コラム管と外側コラム管との間にも、相対摺動のためのスキマを設ける必要があるため、同様の問題の他、加工の手間もかかってしまう。
【0005】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、寸法管理の厳格さを要求されることがなく、位置調整を任意に行えるステアリング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のステアリング装置は、
ステアリングホイールを取り付けるステアリングシャフトを軸線方向変位自在に支持するステアリング装置において、
前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するインナーコラムと、
車体に取り付けられ、前記ステアリングシャフトの軸線に対してそれぞれ対向する位置に配置された一対のブラケット部と、
前記一対のブラケット部の間に延設されたテンション部材と、
前記一対のブラケット部の外部から前記テンション部材を固定する2つの固定部材と、
前記テンション部材と前記固定部材との間に配設され、操作レバーの動きと連動して前記ブラケット部と前記固定部材との間に相対変位を付与する付与部材と、
前記テンション部材と前記ブラケット部と前記固定部材との連結によって車体に保持され、少なくとも前記一対のブラケット部間において、ブラケット部の相対変位によって外周が前記一対の両ブラケット部と接触する押圧部を持ち、かつ前記インナーコラムの外周を包持する内周面を持つアウタージャケットとを有し、
前記付与部材により付与された変位により前記一対のブラケット部が接近し、それにより前記アウタージャケットの押圧部を介して前記インナーコラムに対して押圧力が付与され、且つ前記インナーコラムが前記アウタージャケットを介して前記ブラケット部に対して、その軸方向位置を保持されるようになっており、
前記テンション部材を前記インナーコラムの径方向外方に配置したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
本発明のステアリング装置によれば、前記テンション部材を前記インナーコラムの径方向外方に配置したので、前記インナーコラムの外径を抑えることができ、よりコンパクトな構成を得ることができる。又、本発明の場合、前記アウタージャケットと前記インナーコラムとの間のスキマのみを管理すれば良く、製造時の手間を省くことができる。
【0008】
尚、特許文献1に記載の技術によれば、上述したように、ヨークを通すための長孔を内側コラム管(本発明のインナーコラムに相当)を設ける必要があるが、この場合、内側コラム管には、固定のための締め付け荷重が付与されるため、かかる長孔の存在により、内側コラム管の締め付け剛性が低くなってしまい、締め付け保持力も低くなってしまう。そのため、内側コラム管の肉厚を上げるなど、剛性向上のための対策が必要となる。又、内側コラム管の径を大きくすれば、その端部からヨークを斜めにして内部に挿入できるかもしれないが、内側コラム管の径が大きくなるので車載を考慮すると現実的な構成であるとは言い難い。更に、内側コラム管の中にヨークを入れた後、90度回転させなければステアリングシャフトが挿入できず、組立が困難であることが予想される。すなわち、特許文献1の技術は、テレスコ調整を考慮していないステアリング装置を対象としているといえる。これに対し、本発明によれば、前記テンション部材を前記インナーコラムの外側に配置することで、そのような長孔加工は不要となるため、上述した問題を回避できる。ただし、テレスコストッパのための長孔を設けることは任意である。
【0009】
更に、本発明によれば、前記付与部材により付与された変位により、前記一対のブラケット部が互いに接近してその間の距離が減少し、それにより前記アウタージャケットが前記テンション部材と前記ブラケット部との間で保持される。又、変位した前記ブラケット部が前記アウタージャケットの押圧部を介して、前記インナーコラムに対して押圧力を付与し、それにより前記インナーコラムが前記アウタージャケットを介して、車体に連結された前記ブラケット部により保持されるので、ステアリングシャフトをテレスコ方向に固定することができる。更に、前記一対のブラケット部が前記テンション部材と連結されているので、両ブラケット部がステアリングシャフトを挟んで略対称的な形状であれば、各ブラケット部の変位量も等しくなるため、それにより前記インナーコラムの中心位置を略一定に維持することができるため、ステアリングシャフトの心ズレを効果的に抑制できる。
【0010】
更に、前記テンション部材を前記アウタージャケットの径方向外方に配置することで、よりコンパクトな構成を提供できる。
【0011】
更に、前記テンション部材は、周方向に連続していると、より剛性の高いテンション部材となる。
【0012】
更に、前記テンション部材は、分割可能であると、分解した状態で前記ステアリング装置に組み付けることができるため組付性に優れる。
【0013】
更に、前記テンション部材と前記アウタージャケットの少なくとも一方に設けられ、その他方に対して衝接を緩和する緩衝部材が設けられていると、ガタや異音などの発生を抑制できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図であるが、ステアリングシャフトは省略している。図2は、図1に示したステアリング装置を組み付けた状態でII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【0015】
図1で、取り付けブラケット12は、不図示の車体に対してボルトにより取り付けるための一対の車体取り付け孔12cを有し、且つ互いに平行に延在すると共に鉛直上下方向に延在する板状のブラケット部12a、12aを有している。各ブラケット部12aの板厚は同一であり、形状は垂直線に対して線対称となっている。
【0016】
ブラケット部12a、12aの間には、テンション部材13が配置されている。テンション部材13は、下部が開放してなる断面がコ字状の本体13aと、本体13aの両側壁下端間に架橋され、且つ内挿されたボルト14で本体13aに固定されるチューブ13bとからなり、アウタージャケット21の端部外周を挟むように取り付けられている。即ち、テンション部材13は、本体13aとチューブ13bとに分割可能であり実車搭載時における組付性に優れ、一方、ボルト14により固定された状態では、周方向に連続した環状となり剛性が高くなる。このような構成であれば部品点数が少なくて済み、又、ボルト14は標準品を用いることができ、更に、チューブ13bは、円管を所定長さに切断するだけで製造できるため、より低コスト化が図れる。尚、チューブ13bは、板材を丸めて溶接したものでも良い。
【0017】
アウタージャケット21は、円筒部21aと、円筒部21aの端部外周において、軸線方向に隔置配置された一対の板状のフランジ部21c、21dとを有している。円筒部21aは、インナーコラム11を内包保持しており、不図示の枢動部により、不図示の車体に対して(図2で上下方向に)枢動可能に支持されている。押圧部としてのフランジ部21c、21dの間には、テンション部材13が配置される。尚、円筒部21aの最下部には、図1に示すように、その端部から軸線方向に延在するようにして、スリット21e(実際より誇張されている)が形成されている。これに代えて、或いはこれに加えて、円筒部21aの最上部にスリットを形成しても良い。
【0018】
アウタージャケット21に内包される円筒状のインナーコラム11の中には、ステアリングシャフトSが挿通され、不図示の軸受を介してインナーコラム11に対して回転自在に支承されている。尚、インナーコラム11に、ステアリングシャフトSの軸線と平行に、テレスコストッパとしての長孔を形成し、これにアウタージャケット21に植設したボルト等を係合させても良いが、これは必須の構成ではない。
【0019】
各ブラケット部12aには、不図示の枢動点を中心とした円弧の一部となるチルト溝12bが形成されている。チルト溝12bは、取り付けブラケット12の車体取り付け孔12cに対して、インナーコラム11の軸線方向にずれている。チルト溝12bを貫通するようにして、図2の左側からは固定部材16が挿通され、図2の右側からは固定部材17が挿通されている。
【0020】
固定部材16は、図2で左側のチルト溝12bの幅よりも大径で工具係合孔を有する円盤状の頭部16aと、チルト溝12bに係合して案内される円筒状のチルト案内部16bと、テンション部材13の本体13aに形成されたネジ孔13cに螺合する雄ネジ部16cとを有している。
【0021】
これに対し、固定部材17は、工具を係合させる六角頭部17aと、第1ねじ部17bと、円筒状の軸部17cと、小フランジ17dと、第2ねじ部17eとを有している。第2ねじ部17eは、テンション部材13の本体13aに形成されたネジ孔13dに螺合することで、テンション部材13に取り付けられており、このとき小フランジ17dが本体13aの表面に当接するようになっている。軸部17cの周囲には、チルト溝12bの幅に係合するような略小判型断面のチルト案内部18a及びそれより大径の固定カム部18bを備えた固定カム18と、固定カム部18bに係合するカム面を有する可動カム19と、可動カム19と一体的に回動する操作レバー20と、スラストベアリング(転がり軸受でも滑り軸受でも良い)22が配置され、第1ねじ部17bに螺合するナット23により取り付けられている。尚、固定カム18と,可動カム19とが請求項の付与部材を構成し、固定部材17とナット23、及び固定部材16が請求項の固定部材を構成する。
【0022】
次に、本実施の形態のステアリング装置の調整動作について説明する。操作者が操作レバー20を締付方向(図1で矢印方向)に回動させると、固定部材17における固定カム18の固定カム部18bの凸部と、可動カム19の凸部同士が係合しあい、互いに離隔する方向に力を発生する。このとき、固定カム18により押圧された図2で右側のブラケット部12aは、左方へ変位する。一方、可動カム19により右方に押圧された固定部材17は、テンション部材13を右方へと変位させる。それに伴って、固定部材16も右方へ移動するので、アウタージャケット21のフランジ部21c、21dの側部を、ブラケット部12aのチルト溝12bの両側に押し当て、適切な押圧力を付与するため、ブラケット部12aに対してアウタージャケット21は固定され、それによりインナーコラム11のチルト方向の変位も阻止されることとなる。
【0023】
一方、操作レバー20の締め付け方向への回動に基づき、固定カム18により押圧された図2で右側のブラケット部12aは、左方へ変位することで、フランジ部21c、21dの右半部に当接して、これらを同様に左方に変位させる。更に、テンション部材13に付与された力は、反対側の固定部材16に伝達され、それにより押圧された図1で左側のブラケット部12aは、右方へ変位する。左側のブラケット部12aが右方へ変位すると、フランジ部21c、21dの左半部に当接して、これらを同様に右方に変位させ、アウタージャケット21の外周面に押圧力を付与する。アウタージャケット21が両側から押圧されることで、スリット21eが閉じるように変形するため、アウタージャケット21の内径は縮径し、インナーコラム11を適切な力で保持することができる。
【0024】
本実施の形態によれば、2つのブラケット部12aの形状・板厚が略等しく、すなわち曲げ弾性係数(従って剛性)が略等しくなっていることから、操作レバー20の締め付け操作によって、ブラケット部12aが互いに近接する方向に力を受け、略等しい量で変位するため、インナーコラム11は、フランジ部21c、21dにより、図1で左右両側から押圧力を受けて、ブラケット部12a間距離を2分する位置にその中心が一致するように固定され、それによりテレスコ方向の変位を阻止しながらも、ステアリングシャフトSの心ズレを抑制できることとなる。
【0025】
図3は、本実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を組み付けた状態で図1の矢印III方向に見た図である。本実施の形態においては、固定部材16,17の中心が、インナーコラム11の軸線Xと離隔している。より具体的には、固定部材16,17により与えられるインナーコラム11の保持に必要な押圧力をF1とした場合、固定部材16,17の中心を結ぶ線Rが、インナーコラム11の軸線Xより、図3で下方に距離Δだけシフトした本実施の形態における、固定部材16,17により与えられるインナーコラム11の保持に必要な押圧力F2は、
F2=(L1/(L1+Δ))・F1
{但しL1は、点P3からインナーコラム11の軸線Xまでの距離}
で表せる。ここで、L1<L1+Δであるから、本実施の形態によれば、てこの原理により、より小さな押圧力F2でインナーコラム11を保持することが可能となる。
【0026】
尚、スリット21eを上部のみに設けても良く、かかる場合には線Rが線Qの上方に位置するように、固定部材16,17を配置するのがよい。又、本実施の形態にこだわらず、固定部材16,17の中心が、インナーコラム11の軸線と交差するようにしても良い。或いは、スリット21eを上下に設けても良い。
【0027】
操作者が操作レバー20を緩め方向に回動すると、図1において、固定カム18と可動カム19の凸部同士が係脱し、両者は近接可能となるため、両ブラケット部12aは互いに離隔し、それによりアウタージャケット21は両ブラケット部12aに対してフリーな状態となるため、固定部材16のチルト案内部16b及び固定カム18のチルト案内部18aを、ブラケット部12aのチルト溝12bに沿って案内されつつ変位させることができ、更にアウタージャケット21の締め付け力低下によりインナーコラム11の軸線方向変位が可能となる(軸線方向変位可能状態となる)ため、チルト方向及びテレスコ方向の調整を任意に行えるようになっている。
【0028】
本実施の形態によれば、テンション部材13をアウタージャケット21及びインナーコラム11の径方向外側に設けたので、コンパクトで組付性の良い構成となっている。
【0029】
ところで、テンション部材13をアウタージャケット21の径方向外側に設けた場合、チルト調整時等において操作レバー20を操作して固定部材17を緩めた状態では、テンション部材13がフリーに移動しうるため、アウタージャケット21との間のガタの範囲で移動して互いに衝接し合い、それにより衝撃音を発する恐れがある。そこで、以下に述べる実施の形態では、かかる衝撃音を緩和する工夫を行っている。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。本実施の形態は、図1〜3に示す実施の形態に対して、アウタージャケットの構成のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
より具体的に異なる点について説明すると、アウタージャケット121は、端部外周に一体的に設けられた板状のフランジ部121cを有する円筒部121aと、円筒部121aとは別体でそれに嵌合する嵌合部121dとからなる。弾性のある薄い板材を丸めて形成される嵌合部121dは、最下部にスリット121eを有し、且つ端部より上方及び側方など径方向外方に突出する複数の突片121fを有している。同様に、アウタジャケット121のフランジ部121cの最下部にもスリットを有している。
【0032】
本実施の形態において、嵌合部121dの周囲にはテンション部材13が配置されるが、その際、フレキシブルな突片121fがテンション部材13に当接するか当接可能な状態に維持される。従って、チルト調整等のために固定部材17を緩めた状態で、アウタージャケット121とテンション部材13とが衝接しうる状態になったとしても、緩衝部材である突片121fが、テンション部材13との衝接を緩和するので、異音などを効果的に回避できる。
【0033】
又、本実施の形態では、フランジ部121cの外側で、嵌合部121dにテンション部材13を嵌合させるため、テンション部材13は、必ずしも本体13aとチューブ13bとで分割されている必要はなく、環状の一体部品であっても容易に組み付けられる。その他の作用効果については、上述した実施の形態と同様である。
【0034】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図1〜3に示す実施の形態に対して、チューブ213の外周にゴム材又は樹脂材213cを被覆した点のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。チューブ213に被覆されたゴム材又は樹脂材213cは、緩衝部材として機能し、アウタージャケット21との衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避できる。尚、樹脂材としては、PBT,POM、ポリオレフィン、PA、PPS、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、PPなどを用いることができるが、特に靱性に優れるPAを用いることが望ましい(以下の実施の形態において同じ)。又、被覆ではなくチューブ状の樹脂材等を、チューブ213bにかぶせても良い。
【0035】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、更にアウタージャケット321の頂部にゴム材又は樹脂材321cを被覆している。それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。上記実施に形態の作用効果に加え、アウタージャケット321に被覆されたゴム材又は樹脂材321cは、緩衝部材として機能し、テンション部材13の本体13aとの衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避できる。
【0036】
図7は、本発明の第5の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図であるが、一部を省略して示している。本実施の形態は、図5に示す実施の形態に対して、チューブ13bの外周にゴム材又は樹脂材を被覆する代わりに、アウタージャケット321の頂部にゴム材又は樹脂材321cを被覆した点のみが異なるので、それ以外の共通する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図8〜10は、以上の実施の形態の変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置を示す図であり、テンション部材とアウタージャケットとの間に配置される緩衝部材を示している。図8においては、アウタージャケット21の一部(21g)を隆起させ、これを緩衝部材としてテンション部材13に当接可能としている。図9においては、アウタージャケット21の表面に袋孔21hを形成し、その内部にゴム材又は樹脂材からなる緩衝部材21iを配置し、先端をテンション部材13に当接させている。図10においては、アウタージャケット21の表面に袋孔21hを形成し、その内部にコイルバネ21k及び玉21m(これらが緩衝部材21を構成する)を配置し、玉21mをテンション部材13に当接させている。以上の緩衝部材は、テンション部材13とアウタージャケット21との衝接時に、その衝接を緩和し異音などを効果的に回避する。尚、これらの緩衝部材は、テンション部材13とアウタージャケット21との径方向の衝接の他、軸線方向の衝接を緩和する位置に配置されても良い。
【0038】
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。
【0039】
【発明の効果】
本発明のステアリング装置によれば、テンション部材をインナーコラムの径方向外方に配置したので、前記インナーコラムの外径を抑えることができ、よりコンパクトな構成を得ることができる。又、本発明の場合、アウタージャケットと前記インナーコラムとの間のスキマのみを管理すれば良く、製造時の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。
【図2】図1に示したステアリング装置を組み付けた状態でII−II線で切断して矢印方向に見た図である。
【図3】図1に示したステアリング装置を矢印III方向に見た図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の分解図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置の図2と同様な断面図である。
【図8】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【図9】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【図10】変形例に係るチルト・テレスコピック式のステアリング装置における緩衝部材を示す図である。
【符号の説明】
11 インナーコラム
12 取り付けブラケット
13 テンション部材
16,17 固定部材
20 操作レバー
21 アウタージャケット
S ステアリングシャフト
Claims (5)
- ステアリングホイールを取り付けるステアリングシャフトを軸線方向変位自在に支持するステアリング装置において、
前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するインナーコラムと、
車体に取り付けられ、前記ステアリングシャフトの軸線に対してそれぞれ対向する位置に配置された一対のブラケット部と、
前記一対のブラケット部の間に延設されたテンション部材と、
前記一対のブラケット部の外部から前記テンション部材を固定する2つの固定部材と、
前記テンション部材と前記固定部材との間に配設され、操作レバーの動きと連動して前記ブラケット部と前記固定部材との間に相対変位を付与する付与部材と、
前記テンション部材と前記ブラケット部と前記固定部材との連結によって車体に保持され、少なくとも前記一対のブラケット部間において、ブラケット部の相対変位によって外周が前記一対の両ブラケット部と接触する押圧部を持ち、かつ前記インナーコラムの外周を包持する内周面を持つアウタージャケットとを有し、
前記付与部材により付与された変位により前記一対のブラケット部が接近し、それにより前記アウタージャケットの押圧部を介して前記インナーコラムに対して押圧力が付与され、且つ前記インナーコラムが前記アウタージャケットを介して前記ブラケット部に対して、その軸方向位置を保持されるようになっており、
前記テンション部材を前記インナーコラムの径方向外方に配置したことを特徴とするステアリング装置。 - 前記テンション部材を前記アウタージャケットの径方向外方に配置したことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
- 前記テンション部材は、周方向に連続していることを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
- 前記テンション部材は、分割可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のステアリング装置。
- 前記テンション部材と前記アウタージャケットの少なくとも一方に設けられ、その他方に対して衝接を緩和する緩衝部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のステアリング装置。
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Cited By (2)
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JP2009040221A (ja) * | 2007-08-09 | 2009-02-26 | Nsk Ltd | ステアリングコラム装置 |
JP2016124360A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | 株式会社ジェイテクト | ステアリング装置 |
-
2003
- 2003-05-26 JP JP2003147329A patent/JP2004345582A/ja active Pending
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